JP6145999B2 - 水晶ウェハの製造方法 - Google Patents

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本発明は、水晶デバイスに用いられる水晶片が設けられた水晶ウェハの製造方法に関する。
従来より、水晶デバイスには水晶片に金属膜を設けて構成された水晶振動素子が用いられている。
この水晶片は、ATカットの水晶ウェハをエッチングすることで形成することができる。
ATカットの水晶ウェハは、人工水晶を切断して設けられる板材であって、水晶の結晶軸であるX軸、Y軸、Z軸のうち、Y軸側を向く面をX軸まわりにθ°回転させて新たに設定されるX軸、Y´軸、Z´軸、のうちY軸を向いていた面がY´軸を向いた状態で切断されて得られる。
切断された水晶ウェハは、表面が研磨されて所定の厚さTで仕上げられている。
このような水晶ウェハに複数の水晶片を設ける場合、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて水晶ウェハの縁部分の厚みより水晶片となる部分の厚みが薄くなるようにする水晶片の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、水晶ウェハの破損を軽減することができる。
また、水晶ウェハをラップ棒で研磨しながら所定幅の溝を形成して振動部となる部分と支持部となる部分とを備えた水晶ウェハを製造し、所定の幅で厚みのある部分と溝とした部分とを切断して、振動部と支持部とを備えた水晶片の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2011−078118号公報 特開2001−144578号公報
しかしながら、従来から提案されている水晶ウェハの製造方法は、水晶ウェハに振動部となる部分より厚みのある支持部を有する水晶ウェハが構成されているが、特許文献1では、水晶ウェハの縁部分と水晶片となる部分との境目でフォトレジストの液溜りが生じてしまい、素子形状を形成するための露光が不完全となる恐れがある。
また、特許文献1で提案される水晶ウェハを用いて、振動部とこれよりも厚みのある支持部を備えた水晶片を形成する場合、水晶ウェハの縁部分が水晶片の支持部よりもさらに厚みがあるため、水晶片の振動部とマスクとの間の間隔が広がってしまい、精細なパターンを形成するのが困難となることが懸念される。
また、特許文献2で提案される水晶ウェハは、研磨を用いて振動部を形成するため、研磨中に水晶片の振動部となる部分が破損する恐れがある。
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、水晶片の破損を防ぎ、容易に水晶片を製造することができる水晶ウェハを提供することを課題とする。
前記課題を可決するため、
本発明は、所定の厚みを有する板状の水晶板に、略薄型直方体の振動部と、前記振動部より厚みのある略薄型直方体の
支持部とを備え、平面視して、前記振動部の所定の一辺に沿って前記支持部が設けられ、断面視して、片持ち梁形状となっている水晶片が形成された水晶ウエハの製造方法であって、複数の前記水晶片の前記振動部が水晶ウエハ内に隣り合って配置されるように、耐食膜の上にフォトレジストが設けられた前記水晶板の一方の主面において前記水晶片となる部分に対応させた外形パターンが形成された第一マスクを重ねる第一マスク工程と、
耐食膜の上にフォトレジストが設けられた前記水晶板の他方の主面において前記水晶片の振動部となる部分および前記振動部の前記支持部に接続していない外縁部に沿った部分に対応させた振動パターンが形成された第二マスクを重ねる第二マスク工程と、前記振動部パターンが隣り合う前記振動部を一括して露出させるように形成され、前記水晶板に前記第一マスクと前記第二マスクとを重ねた状態でフォトレジストに対して露光する露光工程と、前記水晶板の一方の主面が露出するように外形パターンを形成しつつ前記水晶板の他方の主面が露出するように振動パターンを形成するパターン形成工程と、前記外形パターンと前記振動部パターンが形成された状態で前記水晶板をウェットエッチングするウェットエッチング工程とを含んで構成されていることを特徴とする。
このような水晶ウェハの製造方法によれば、耐食膜の上にフォトレジストが設けられた前記水晶板の一方の主面において前記水晶片となる部分に対応させた外形パターンが形成された第一マスクを重ねる第一マスク工程と、耐食膜の上にフォトレジストが設けられた前記水晶板の他方の主面において前記水晶片の振動部となる部分に対応させた振動部パターンが形成された第二マスクを重ねる第二マスク工程とを行って、露光工程を行い、水晶板の一方の主面に外形パターンを形成しつつ水晶板の他方の主面に振動部パターンを形成するパターン形成工程を行った後にウェットエッチング工程を行うことにより水晶片の外形形状と振動部とを同時に形成でき、また、水晶片が水晶ウェハに接続した状態で形成されるので、水晶片の生産性が良く、破損の恐れを軽減することができる。
また、このような水晶ウェハの製造方法によれば、耐食膜の上にフォトレジストが設けられた前記水晶板の一方の主面において複数の前記水晶片の前記振動部が水晶ウェハ内に隣り合って配置されるように前記水晶片となる部分に対応させた外形パターンが形成された第一マスクを重ねる第一マスク工程と、耐食膜の上にフォトレジストが設けられた前記水晶板の他方の主面において振動部を一括して露出させるように前記水晶片の振動部となる部分に対応させた振動部パターンが形成された第二マスクを重ねる第二マスク工程とを行って、露光工程を行い、水晶板の一方の主面に外形パターンを形成しつつ水晶板の他方の主面に振動部パターンを形成するパターン形成工程を行った後にウェットエッチング工程を行うことにより水晶片の外形形状と振動部とを同時に形成でき、また、水晶片が水晶ウェハに接続した状態で形成されるので、水晶片の生産性が良く、破損の恐れを軽減することができる。
(a)は水晶板に耐食膜とフォトレジストを設けた状態の一例を示す部分断面図であり、(b)は第一マスクを重ねた状態を示す部分断面図であり、(c)は第二マスクを重ねた状態を示す部分断面図であり、(d)は、フォトレジストを現像した状態の一例を示す部分断面図であり、(e)は耐食膜をウェットエッチングした状態の一例を示す部分断面図であり、(f)は第一マスクと第二マスクとを外した状態を示す部分断面図であり、(g)は水晶板をウェットエッチングした状態の一例を示す部分断面図であり、(h)は、フォトレジストと耐食膜とを除去した水晶ウェハの一例を示す部分断面図である。 (a)は第一マスクの一例を示す部分平面図であり、(b)は第二マスクの一例を示す部分平面図である。 水晶ウェハの一例を示す部分斜視図である。 水晶片の一例を示す斜視図である。
次に、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各構成要素について、状態をわかりやすくするために、誇張して図示している。
(水晶ウェハ)
まず、水晶ウェハについて説明する。
図3に示すように、水晶ウェハ10は、例えば、ATカットの板状の所定の厚みを有する水晶板4から形成され、平面視における外形形状が四角形状又は円形形状となっている。本実施形態では、四角形状の水晶板について説明する。この水晶ウェハ10は、複数の水晶片1が設けられている。水晶片1は、図4に示すように、振動部2とこの振動部2より厚みのある支持部3とから構成されている。このように構成される複数の水晶片1は、振動部2が水晶ウェハ10内で隣り合うように配置されて形成されており、支持部3と水晶板4とが接続した状態となっている。
(水晶ウェハの製造方法)
次に水晶ウェハの製造方法について説明する。
本発明の実施形態に係る水晶ウェハの製造方法は、第一マスク工程と、第二マスク工程と、露光工程と、パターン形成工程と、ウェットエッチング工程とを含んで構成されている。
まず、板状に形成された水晶板を所定の厚みに形成する。
図1(a)に示すように、この水晶板4に耐食膜Tを設ける。耐食膜Tは、例えば、蒸着技術やスパッタ技術を用いて水晶板4に設けることができる。
この耐食膜T上にフォトレジストRを設ける。フォトレジストRは、例えば、スピンコータを用いて水晶板4に設けた耐食膜T上に設けることができる。
第一マスク工程は、図1(b)に示すように、耐食膜Tの上にフォトレジストRが設けられた水晶板4の一方の主面において水晶片1となる部分に対応させた外形パターン21(図2(a)参照)が形成された第一マスク20を重ねる工程である。
第一マスク工程では、まず水晶板4にフォトレジストRが設けられた状態で、第一マスク20を水晶板4の一方の主面に重ね合わせる。この第一マスク20は、水晶ウェハ10に形成する複数の水晶片1の外形形状に対応させて貫通した部分を有している。この貫通部が外形パターン21となる。例えば、第一マスク20は、水晶片4となる部分と水晶ウェハ10との接続部分が塞がれ、隣り合う水晶片1の間と水晶板4と接続しない部分が貫通した状態で形成されている。
第二マスク工程は、図1(c)に示すように、耐食膜Tの上にフォトレジストRが設けられた水晶板4の他方の主面において水晶片1の振動部2となる部分に対応させた振動部パターン31が形成された第二マスク30を重ねる工程である。
第二マスク工程では、水晶板4にフォトレジストRが設けられた状態で、第二マスク30を水晶板4の他方の主面に重ね合わせる。この第二マスク30は、図2(b)に示すように、水晶片1の振動部2となる部分に対応させて貫通した部分を有している。この貫通した部分が振動部パターン31となる。例えば、第二マスク30は、水晶片1の振動部2となる部分が貫通した状態で形成されている。また、この第二マスク30は、隣り合う前記振動部2を一括して露出させるように貫通した部分が形成されている。なお、支持部3となる部分において、隣り合う支持部3となる部分の境目に、個変化する際に割断を容易に行うための溝が形成されるよう直線状の貫通部32を形成しても良い。
露光工程は、水晶板4に第一マスクと第二マスクとを重ねた状態でフォトレジストRに対して露光する工程である。
露光工程では、水晶板4に第一マスクと第二マスクとを重ね合わせた状態で、フォトレジストRに対し露光を行って例えばフォトレジストの感光した部分を変質させる。
なお、露光には、例えば、両面露光が可能な露光装置を用いると良い。また、片面露光が可能な露光装置を用いる場合は、水晶板4の片面ずつ分けて露光させても良い。
パターン形成工程は、図1(d)及び図1(e)に示すように、水晶板4の一方の主面が露出するように外形パターン21を形成しつつ水晶板4の他方の主面が露出するように振動部パターン31を形成する工程である。
パターン形成工程では、まず、露光工程で例えば感光したフォトレジストRに対して現像を行い、水晶板4に設けた耐食膜Tを露出させ(図1(d)参照)、次に、露出した耐食膜Tをウェットエッチングにより除去し、水晶板4の表面を露出させる(図1(e)参照)。
これにより、水晶片1の外形形状に対応した外形パターン21で水晶板4の表面が露出し、振動部2となる部分に対応した振動部パターン31を含んで水晶板4の表面が露出した状態となる。
ここで、振動部パターン31は、隣り合う振動部3となる部分の水晶板4の表面を一括して露出させるように形成されている。
図1(f)に示すように、水晶板4に重ね合わせていた第一マスクと第二マスクとを外して、外形パターン21と振動部パターン31とが設けられた水晶板4を得る。
ウェットエッチング工程は、図1(g)に示すように、外形パターン21と振動部パターン31が形成された状態の水晶板4をウェットエッチングする工程である。
ウェットエッチング工程では、これら外形パターン21と振動部パターン31が形成された状態の水晶板4に対してウェットエッチングを行い、水晶片1の外形形状の形成と振動部2と支持部3とを同時に形成する。
これにより、水晶板4に振動部2と支持部3とを有した水晶片1が設けられた状態となる。
図1(h)に示すように、ウェットエッチング工程を行った後に、複数の水晶片1が水晶板4に形成された状態で、フォトレジストRに対して剥離を行って水晶板4に設けられているフォトレジストRを剥離して耐食膜Tを露出させ、露出した耐食膜Tに対してウェットエッチングを行い水晶板4に設けられていた耐食膜Tを除去する工程を行う。
これにより、振動部2とこの振動部2よりも厚みのある支持部3とを備えた水晶片1が複数形成された水晶ウェハ10を製造することができる。
したがって、本発明の実施形態に係る水晶ウェハの製造方法は、耐食膜Tの上にフォトレジストRが設けられた水晶板4の一方の主面において複数の水晶片1の振動部2が水晶板4内に隣り合って配置されるように水晶片1となる部分に対応させた外形パターン21が形成された第一マスク20を重ねる第一マスク工程と、耐食膜Tの上にフォトレジストRが設けられた水晶板4の他方の主面において振動部2を一括して露出させるように水晶片1の振動部2となる部分に対応させた振動部パターン31が形成された第二マスク30を重ねる第二マスク工程とを行って、露光工程を行い、水晶板4の一方の主面に外形パターン21を形成しつつ水晶板4の他方の主面に振動部パターン31を形成するパターン形成工程を行った後にウェットエッチング工程を行うことにより水晶片1の外形形状と振動部2とを同時に形成でき、また、水晶片1が水晶板4に接続した状態で形成されるので、水晶片1の生産性が良く、破損の恐れを軽減することができる。
なお、本発明の水晶ウェハの製造方法は、本実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、フォトレジストは、ポジ型又はネガ型のいずれかを用いることは言うまでもない。
また、振動部パターンは、水晶片の振動部となる部分の個々の形状に対応させて形成しても良い。
また、水晶片1の振動部2と支持部3との間に貫通部を別途設けた構成としても良い。この場合、前記貫通部は、第一マスクと第二マスクとに前記貫通部に対応した形状の貫通部分を形成することで形成することができる。
10 水晶ウェハ
1 水晶片
2 振動部
3 支持部
4 水晶板
20 第一マスク
21 外形パターン
30 第二マスク
31 振動部パターン
T 耐食膜
R フォトレジスト

Claims (1)

  1. 所定の厚みを有する板状の水晶板に、略薄型直方体の振動部と、前記振動部より厚みのある略薄型直方体の支持部とを備え、平面視して、前記振動部の所定の一辺に沿って前記支持部が設けられ、断面視して、片持ち梁形状となっている水晶片が形成された水晶ウエハの製造方法であって、
    複数の前記水晶片の前記振動部が水晶ウエハ内に隣り合って配置されるように、
    耐食膜の上にフォトレジストが設けられた前記水晶板の一方の主面において前記水晶片となる部分に対応させた外形パターンが形成された第一マスクを重ねる第一マスク工程と、
    耐食膜の上にフォトレジストが設けられた前記水晶板の他方の主面において前記水晶片の振動部となる部分および前記振動部の前記支持部に接続していない外縁部に沿った部分に対応させた振動パターンが形成された第二マスクを重ねる第二マスク工程と、
    前記振動部パターンが隣り合う前記振動部を一括して露出させるように形成され、
    前記水晶板に前記第一マスクと前記第二マスクとを重ねた状態でフォトレジストに対して露光する露光工程と、
    前記水晶板の一方の主面が露出するように外形パターンを形成しつつ前記水晶板の他方の主面が露出するように振動パターンを形成するパターン形成工程と、
    前記外形パターンと前記振動部パターンが形成された状態で前記水晶板をウェットエッチングするウェットエッチング工程と
    を含んで構成されていることを特徴とする水晶ウエハの製造方法。
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