JP3538601B2 - 粉末調味材及び粉末調味材の製造方法 - Google Patents
粉末調味材及び粉末調味材の製造方法Info
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Description
きに油脂が熱水の表面に浮遊してくる粉末スープなどの
粉末調味材に関する。また、本発明は、粉末調味材の原
料として用いる油脂含有糖類粉末の製造方法に関する。
食時にスープの表面に油脂が浮遊してくるのが普通であ
る。したがって、即席麺のスープは、スープ粉末と油脂
を別添包装し、喫食時にスープ粉末と油脂とを別個に添
加する方法によって得るのが一般的である。しかしなが
ら、油脂を別個に添加する場合には、油脂が包装袋内に
残ったり、手に付着するなどの欠点があるばかりでな
く、スープ粉末用の包装袋と油脂用の包装袋とを別々に
必要とするなど不経済であった。かかる諸々の欠点を解
消するための方法として、特公昭63−42508号公
報は、糖類粉末又は糖類を主体とする粉末と添加水とか
らなる粉末状の系を該糖類が結晶化する加熱条件で加熱
処理して多孔質状の不定形粒とし、これに液状油脂を添
加混合した後、各種粉末スープ原料と粉体混合すること
を特徴とする粉末スープの製造方法を開示している。し
かしながら、特公昭63−42508号公報に記載の粉
末スープの製造方法においては、多孔質状の不定形粒を
調製する煩雑な工程をとる必要がある。また、この方法
においては、多孔質状の不定形粒を調製するために糖類
粉末を大量に使用する必要があることから、スープの風
味バランスの調整が難しく、しかも粉末スープが嵩張る
という課題が残されている。
包装する必要がなく、流動性に優れ、熱水に添加した場
合に速やかに溶解し、油脂が熱水表面に浮遊してきて、
ラーメンスープ等として好ましい外観、風味を有する粉
末調味材を提供することを目的とする。また、本発明
は、風味バランスがよく、嵩張らない粉末調味材を提供
することを目的とする。さらに、本発明は、このような
粉末調味材の原料として用いる油脂含有糖類粉末を、多
孔質状の不定形粒を調製するなどの煩雑な工程をとるこ
となく効率的に製造できる方法を提供することを目的と
する。
点を有する油脂を加熱処理して得られた加熱溶融油脂
を、糖類粉末に対して特定の割合で添加混合して油脂含
有糖類粉末を形成することにより、上記課題を解決でき
るとの知見に基づきなされたものである。
℃の油脂を加熱処理して得られた加熱溶融油脂を、糖類
粉末100質量部に対して10〜35質量部の割合で添
加混合して油脂含有糖類粉末を調製し、該油脂含有糖類
粉末100質量部に対してその他の粉末原料を350〜
6500質量部の割合で加えることを特徴とする粉末調
味材の製造方法を提供する。また、本発明は、糖類粉末
100質量部に対して10〜35質量部の割合で上昇融
点40〜60℃の油脂を含有する油脂含有糖類粉末とそ
の他の粉末原料とからなり、糖類の含有量が20質量%
以下であることを特徴とする粉末調味材を提供する。
熱水に添加溶解した場合に油脂が熱水の表面に浮遊して
きて、ラーメンスープ等として好ましい外観、風味を呈
するものである。具体的には、中華麺スープ、中華スー
プ、さつま汁の素、けんちん汁の素などが挙げられる。
本発明では、上昇融点が40〜60℃、より好ましくは
45〜55℃、更に好ましくは50〜55℃の油脂を使
用する。かかる上昇融点を有する油脂であれば特に制限
されず、天然油脂、加工油脂及びこれらの混合物のいず
れをも使用することができる。具体的には、牛脂硬化
油、豚脂硬化油、大豆硬化油、綿実硬化油、ゴマ硬化
油、パーム硬化油、ヤシ硬化油、あるいはこれらの混合
物などが挙げられる。尚、ここで、上昇融点とは、油脂
のほとんどが液相に転じ、残ったわずかの量の固相が存
在するまま全体が流動を開始する温度のことをいう。
含ませた香味油を使用することもできる。この香味油
は、例えば、上記油脂に香味成分を含む原料を添加して
加熱処理を施し、該原料中の香味成分を油脂に移行させ
た後、残渣をとり除き、油相を採取することにより得る
ことができる。上記香味成分を含む原料としては、例え
ば、ジンジャー、ガーリック、オニオン、ネギ、モヤ
シ、トウバンジャンなどが挙げられる。
ース、キシロース、ガラクトースなどの単糖類、シュー
クロース、ラクトース、マルトースなどの二糖類、ラフ
イノースなどの三糖類、スタキシオースなどの四糖類、
その他デキストリンの如き多糖類などが挙げられる。こ
れらのうちでも、流動性の優れた油脂含有糖類粉末を得
る上で、シュークロースを用いるのがよい。また、これ
らの糖類粉末は単独で用いても二種以上を併用してもよ
い。尚、二種以上を併用する場合には、予め混合して使
用することもできる。
粉末原料として、粉末スープなどの原料として用いられ
ている原料、例えば、肉エキス、食塩、アミノ酸、グル
タミン酸ナトリウム、各種スパイスなどを適宜使用する
ことができる。また、後述する油脂含有糖類粉末を製造
するための油脂とは別に、油脂を乳化剤を用いて水に乳
化し、これをスプレードライヤーを用いて乾燥、粉末化
するなどして製造された粉末油脂(以下、粉末乳化油脂
という。)を使用することもできる。粉末乳化油脂は、
熱水に添加したときに熱水の表面に浮遊してくるもので
はないが、スープなどに円やかな油脂の風味を付与する
ことができる。
材の原料として好適に用いられる油脂含有糖類粉末の製
造方法が提供される。この製造方法においては、先ず、
上昇融点が40〜60℃、より好ましくは45〜55
℃、更に好ましくは50〜55℃の油脂を加熱処理して
加熱溶融油脂を得る。そして、得られた加熱溶融油脂
を、糖類粉末100質量部に対して10〜35質量部、
より好ましくは15〜35質量部、更に好ましくは20
〜30質量部の割合で添加混合する。これにより、糖類
粉末中に添加混合された加熱溶融油脂が糖類粉末によっ
て吸熱されて温度が下がり糖類粉末を核として固まり油
脂含有糖類粉末が形成される。したがって、多孔質状の
不定形粒を調製するなどの煩雑な工程をとることなく、
比較的少量の糖類粉末の使用により、流動性に優れ、し
かも保存時等に油脂の滲出することのない油脂含有糖類
粉末を効率的に形成することができる。
は、攪拌羽根を備えた混合容器等の攪拌装置により適宜
実施することができる。加熱溶融油脂の糖類粉末への添
加方法は任意であり、例えば、攪拌装置で攪拌中の糖類
粉末に加熱溶融油脂を徐々に添加する方法、或いは、加
熱溶融油脂をスプレーノズルから噴霧する方法などが挙
げられる。但し、ここで添加する加熱溶融油脂は、糖類
粉末に添加して混合を開始したら速やかに上昇融点の±
5℃に相当する温度にまで下がる温度、例えば上昇融点
より10〜45℃、より好ましくは15〜25℃高い温
度に調整しておくのがよい。また、糖類粉末は、上記油
脂の上昇融点よりも低い温度、例えば40℃未満、好ま
しくは15〜25℃に調整しておくのがよい。
た後、これらを油脂の上昇融点の±5℃に相当する温度
で混合することにより油脂含有糖類粉末を好適に形成す
ることができる。また、油脂含有糖類粉末を好適に形成
する上で、攪拌装置に設けられたジャケットなどの調温
手段により上記温度になるように適宜調温しながら混合
してもよい。そして、このようにして形成された油脂含
有糖類粉末は、その後、40℃未満、より好ましくは1
5〜25℃に冷却するのがよい。また、この冷却の前及
び/又は後に篩(例えば、目開き1000〜1700μ
mのもの)を通過させることにより粒度分布の狭い油脂
含有糖類粉末を好適に得ることができる。この場合に
は、粒度が1700μm以下、より好ましくは150〜
1000μmで流動性に優れた油脂含有糖類粉末を好適
に得ることができる。
量部に対して10〜35質量部、より好ましくは15〜
35質量部、更に好ましくは20〜30質量部の割合で
上昇融点40〜60℃、より好ましくは45〜55℃、
更に好ましくは50〜55℃の油脂を含有する油脂含有
糖類粉末とその他の粉末原料とからなり、糖類の含有量
が20質量%以下、好ましくは5〜15質量%であるこ
とを特徴とする粉末調味材である。この粉末調味材は、
油脂を別添包装する必要がなく、流動性に優れ、熱水に
添加した場合に速やかに溶解し、油脂が熱水表面に浮遊
してきて、ラーメンスープ等として好ましい外観を付与
することができると共に、糖類の含有量が少ないことか
ら、風味の調整が容易で風味バランスのよいラーメンス
ープ等を得ることができ、しかも嵩張らないという効果
を有する。
態様で説明した好ましい方法により調製することができ
る。そして、粉末調味材は、油脂含有糖類粉末100質
量部に対して、前記のようなその他の粉末原料を350
〜6500質量部、好ましくは600〜1500質量部
の割合で加え、好ましくは混合することによって得るこ
とができる。また、この粉末調味材は、熱水に添加した
ときに油脂が熱水表面に浮遊する好ましい外観を得る上
で、油脂含有糖類粉末中の油脂が粉末調味材全体に対し
て0.5〜7質量%、より好ましくは1.0〜4.5質
量%の割合で含まれているのが好ましい。このようにし
て得られた粉末調味材は、アルミ箔製などの包装袋に入
れ、麺塊とともに更に別の包装袋に収納して袋入り即席
麺などとして市場に供することができる。
がなく、流動性に優れ、熱水に添加した場合に速やかに
溶解し、油脂が熱水表面に浮遊してきて、ラーメンスー
プ等として好ましい外観、風味を有する粉末調味材が提
供される。また、本発明により、全体の風味バランスが
よく、嵩張らない粉末調味材が提供される。さらに、本
発明により、このような粉末調味材に用いる糖類含有粉
末を、多孔質状の不定形粒を調製するなどの煩雑な工程
を採用することなく効率的に製造する方法が提供され
る。次に本発明を実施例により説明する。
の製造 上昇融点が53℃の牛脂硬化油200部にガーリック1
00部を添加し、攪拌混合しながら15分間で100℃
にまで昇温させ、当該温度を20分間保持した後、残渣
をとり除き、油相を採取して香味油を得た。次に、攪拌
羽根を供えた混合容器内で攪拌中のグラニュー糖100
部(20℃)に、上記香味油25部を75℃としてから
徐々に添加して、品温約53℃の条件下で攪拌混合して
粉末状の混合物を得た。次に、上記混合物を目開き10
00μmの篩に通した後20℃に冷却して油脂含有糖類
粉末(粒度150〜1000μm)を得た。次に、上記
油脂含有糖類粉末10部、肉エキス17部、食塩23
部、グラニュー糖2部、アミノ酸13部、グルタミン酸
ナトリウム13部、スパイス混合物2部、粉末乳化油脂
13部、及び薬味7部を混合してラーメン用粉末スープ
を得、このラーメン用粉末スープ14gをアルミ箔製の
包装袋に充填密封した。尚、このラーメン用粉末スープ
は、当該ラーメン用粉末スープ全体に対して糖類が10
質量%、油脂含有糖類粉末中の油脂が2質量%含まれて
いるものであった。 2)即席麺の製造 上記ラーメン用粉末スープを入れた包装袋と、常法によ
り製造した麺塊80gとを更に合成樹脂製の包装袋に収
納して袋入り即席麺を得た。 3)ラーメンの調理 上記合成樹脂製の包装袋から麺塊を取り出し、沸騰水5
50mlに入れて3分間茹でた後、上記アルミ箔製の包
装袋を開封してラーメン用粉末スープを添加してかき混
ぜラーメンを調理した。ここで、ラーメン用粉末スープ
は、流動性があって包装袋内に残留せず、熱水に速やか
に溶解した。また、出来上がったラーメンは、ガーリッ
クに由来する茶色の色調を有する油脂が熱水表面に浮遊
していてラーメンスープとして好ましい外観を呈し、ガ
ーリックの香味と油脂の円やかな風味が活かされた風味
バランスのよいものであった。
Claims (4)
- 【請求項1】 上昇融点40〜60℃の油脂を加熱処理
して得られた加熱溶融油脂を、糖類粉末100質量部に
対して10〜35質量部の割合で添加混合して油脂含有
糖類粉末を調製し、該油脂含有糖類粉末100質量部に
対してその他の粉末原料を350〜6500質量部の割
合で加えることを特徴とする粉末調味材の製造方法。 - 【請求項2】 糖類粉末100質量部に対して10〜3
5質量部の割合で上昇融点40〜60℃の油脂を含有す
る油脂含有糖類粉末とその他の粉末原料とからなり、糖
類の含有量が20質量%以下であることを特徴とする粉
末調味材。 - 【請求項3】 粉末調味材全体に対する上記油脂の含有
量が0.5〜7質量%である請求項2記載の粉末調味
材。 - 【請求項4】 請求項2記載の粉末調味材が入れられた
包装袋と、麺塊とを収納した袋入り即席麺。
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