JP3532179B2 - カムチェーンテンショナ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明はＯＨＣ型内燃機関の
動弁伝達系のカムチェーンテンショナ構造に関するもの
である。 【０００２】 【従来の技術】図１１は実開平５−４２７９８号公報に
掲載された従来のカムチェーンテンショナ001の分解斜
視図である。このカムチェーンテンショナは、金属製ア
ーム002と、その上面に取付けられる樹脂製シュー003
と、アームの中央部付近の下部に装着される樹脂製パッ
ド004とからなっている。図１２は組立てた状態におけ
る上記パッド004の位置の横断面図である。 【０００３】アーム002はアルミ等金属から成形された
もので、基端部002ａには取付けボルトを挿通する取り
付け穴002ｂが設けてある。上記アーム002に取付けられ
るシュー003のチェーン摺動側は、略チェーンの幅に相
当する凹溝003ａとなっており、カムチェーンはその溝
底を摺動する。凹溝003ａの両側には、チェーン外れ防
止のため、背の低い側壁状部分003ｂが形成されてい
る。シュー003の基端部003ｃの両側部は前記アーム002
の基端部002ａまで延長され、この延長部には、前記取
付けボルトによって前記アーム002と共締めする穴003ｄ
が設けてある。シュー003の先端部はアーム002の先端に
係合させるためにＵ字状フック003ｅが形成してある。
シューのアームに対する位置ずれ防止のために、シュー
の中央部には突部003ｆが形成され、アームの凹部002ｃ
に嵌めこまれる。アーム002中央部のチェーン摺動側と
は反対側にパッド004が嵌めこまれる。パッド004はテン
ショナリフタの突出部が当接する際の打音防止用緩衝材
として作用する。なお上例のテンショナリフタ当接部緩
衝材のパッド004は嵌めこみ式であるが、アームのテン
ショナリフタ当接部に背当てゴム部材を焼き付けている
例も多い。 【０００４】 【解決しようとする課題】従来は、シューの基端部の両
側が、アームの基端部の位置まで延長されていたので、
余分な加工時間を要していた。更に、従来は、アーム00
2とテンショナリフタ突出部との間の緩衝材として、ア
ーム002背面にパッド004を嵌めこんだり、背あてゴムを
焼き付けていたので、パッドの製作・嵌めこみ工程、あ
るいは背当てゴム焼付け工程には、余分な部品、作業時
間、作業人員を必要としていた。 【０００５】本発明は、従来の部材または作業に替わる
手段を提供し、部品点数の削減、作業工数の削減、およ
び作業工程の短縮を図ろうとするものである。 【０００６】 【課題を解決するための手段および効果】本発明は上記
課題を解決したものであって、請求項１に記載の発明
は、アームと、該アームのチェーン摺動側に取付けられ
た樹脂製シューとから成るカムチェーンテンショナにお
いて、前記樹脂製シューの先端は前記アームの先端に係
合するＵ字状のフック形状とされ、該樹脂製シューの基
端部の一側部が前記アームの取付部まで延長され、該延
長部には前記アームと共締めされる穴が設けられ、か
つ、前記樹脂製シューの中央部近くの一部は前記アーム
の側部を回りテンショナリフタの当接側までコ字状に延
長されていることを特徴とするものである。 【０００７】本発明のカムチェーンテンショナは、上記
のように構成されているので、樹脂製シューの基端部の
一側部だけが前記アームと共締めするためにアームの取
付部まで延長され、そこに穴が設けられているので、シ
ューの加工が容易であり、かつ取付け作業もやり易くな
る。また、シューの中央部近くの一部をアームの側部を
回し、テンショナリフタの当接側までコ字状に延長し
て、緩衝材として作用させるので、部品点数が削減さ
れ、かつ緩衝材取付けが容易となる。 【０００８】 【発明の実施の形態】図１は本発明の一実施形態のチェ
ーンテンショナを備えたＯＨＣ型内燃機関の一部をカム
チェーンの位置で切断して示す正面図である。この内燃
機関１は、クランクケース２、シリンダブロック３、お
よびシリンダヘッド４を順に重ねて組立てられている。
上記クランクケース２、シリンダブロック３、およびシ
リンダヘッド４を通して、チェーン室５が設けられてい
る。この例は、シリンダヘッドが縦に２分割されるの
で、シリンダヘッドカバーはない。 【０００９】チェーン室５のうち、クランクケース２の
部分では、クランクシャフト６の一端がチェーン室５の
中へ突出し、この突出部にドライブスプロケット７が取
付けられている。チェーン室５のうち、シリンダヘッド
４の部分では、その中に支持されているカムシャフト８
の一端がチェーン室５内へ突出し、この突出部にドリブ
ンスプロケット９が取付けられ、前記のドライブスプロ
ケット７との間に巻き掛けられたカムチェーン10によっ
て矢印方向に回転駆動されて、図示されていないカムを
回転させる。 【００１０】カムチェーン10の、ドライブスプロケット
７で引かれる側には、カムチェーン10を案内する樹脂製
のカムチェーンガイド11が設けられている。カムチェー
ンガイド11の一端は、屈曲点11ａで略くの字状に屈曲
し、チェーン室５のクランクケース２に設けられた支持
凹部２ａに支持されている。カムチェーンガイド11の他
端11ｂは自由端となっている。自由端の近くに位置決め
固定部11ｃが設けられ、カムチェーンガイド11がピン11
ｄを介してシリンダブロック３に支持されている。カム
チェーンガイド11のチェーン摺動部は略直線状をなし、
その断面は略チェーンの幅に相当する凹溝となってお
り、チェーンはその溝底を摺動する。凹溝の両側には、
チェーン外れ防止のため、背の低い側壁状部分が形成さ
れている。 【００１１】ドライブスプロケット７のチェーン押し出
し側とドリブンスプロケット９との間に張られたカムチ
ェーン10の弛みを無くすために、カムチェーンテンショ
ナ12がテンショナリフタ16によってカムチェーン10に外
側から押しつけられている。テンショナリフタ16は、チ
ェーン室５内に位置するようにシリンダブロック３にそ
の外部からボルト17によって取り付けられている油圧装
置であり、油圧によってチェーン室の内部に向けて突出
する突出部16ａを備えている。 【００１２】カムチェーンテンショナ12は弾力性に富ん
だスチール系金属で作られたアーム13と、同アームのチ
ェーン摺動側に取付けられた樹脂製シュー14とから成っ
ている。カムチェーンテンショナ12のドライブスプロケ
ット７側は、アーム13とシュー14の一側の延長部とがボ
ルト15によってクランクケース２に共締めされている。 【００１３】図２は上記カムチェーンテンショナ12を構
成する一部材であるアーム13の平面図（ａ）と側面図
（ｂ）である。アーム13は、図２に示されるように、ば
ね鋼等の弾力性に富んだスチール系の細幅の材料を湾曲
させ、基端部13ａに近い屈曲点13ｂで屈曲させ、基端部
13ａに前記ボルト15を挿通させる環状部13ｃを形成した
ものである。 【００１４】図３は上記カムチェーンテンショナ12を構
成する他の一つの部材であるシュー14の側面図、図４、
図５はそれぞれ図３のIV矢視拡大図とＶ矢視拡大図、図
６〜図９はそれぞれ図３のVI−VI断面拡大図、VII−VII
断面拡大図、VIII−VIII断面拡大図、IX−IX断面拡大図
である。シュー14は硬質ゴム系合成樹脂で成形されたも
のである。シュー14のチェーン摺動側（図４、図５、図
７、図８参照）は、略チェーンの幅に相当する凹溝14ａ
となっており、カムチェーン10はその溝底を摺動する。
凹溝14ａの両側には、チェーン外れ防止のため、背の低
い側壁状部分14ｂが形成されている。シュー14の基端部
（図３、図６参照）の一側部14ｃは前記アーム13の環状
部 13 ｃまで延長されている。この延長部には、前記ボル
ト15によって前記アーム13と共締めする穴14ｄが設けて
ある。シュー14の中央部の基端寄り（図７参照）に、ア
ーム側面に当接する横方向位置決め係止部14ｅが形成さ
れている。シュー14の中央部の先端寄り（図８参照）に
は、前記アームの前記位置決め係止部14ｅとは反対側の
アーム側部を回り、チェーン摺動側とは反対側にあるテ
ンショナリフタ16の当接位置までコ字状腕部14ｆが形成
され、その端部はテンショナリフタの突出部16ａが当接
する当接部14ｇとなっている。コ字状腕部14ｆの内側に
は、位置決め突起14ｈが形成されている。シューの先端
部（図３、図９参照）は前記アームの先端に係合するＵ
字状フック部14ｉとなっており、同フック部14ｉの前記
位置決め係止部14ｅと同じ側には、側板部14ｊが一体に
形成されている。同側板部14ｊの内側には位置決め突起
14ｋが形成されている。 【００１５】図１０は上記アーム13と上記シュー14とを
組合わせた状態における基端部の側面図である。カムチ
ェーンテンショナ12の組付けに当たっては、まず、アー
ム13の先端をシュー14のコ字状腕部14ｆの内側へ滑りこ
ませる。更にアーム13の先端をフック部14ｉの中まで押
し込むと、アーム13の腹面とシュー14背面とが接し、相
互の位置は、位置決め係止部14ｅ、位置決め突起14ｈ、
および位置決め突起14ｋによって位置決めされる。この
時、アーム13の環状部13ｃの側面とシュー14の基端部14
ｃの内側面が当接し、アームの環状部13ｃとシュー14の
基端部14ｃの穴14ｄとが図１０に示されるように一致
し、ここにボルト15を挿通して共締めされる。 【００１６】以上に詳述したように、本実施形態では、
アーム13は板金の細幅材料を曲げて製作されているの
で、加工が容易であり、かつ加工時間が短縮される。ま
た、シュー14は、複数の位置決め部14ｅ、14ｈ、14ｋに
よって位置決めされ、先端のＵ字状フック部14ｉと基端
部の穴14ｄによって、接着剤等を使うことなくアーム13
に支持されるので、組立て工数を低減することができ
る。上記シュー14の基端部14ｃは片側だけが延長されて
いるので、両側が延長されているものに比して、加工・
組付けが容易である。また、緩衝材として作用するテン
ショナリフタ当接部14ｇは、シュー14と一体のものであ
るから、部品点数が削減され、別個の緩衝部材の製作・
取付けや、緩衝材料の焼き付け等の余分な工数が不要と
なる。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明の一実施形態のチェーンテンショナを備
えた自動二輪車用ＯＨＣ型内燃機関１の一部をカムチェ
ーンの位置で切断して示した正面図である。 【図２】上記カムチェーンテンショナのアーム13の平面
図（ａ）と側面図（ｂ）である。 【図３】上記カムチェーンテンショナのシュー14の側面
図である。 【図４】図３のIV矢視拡大図である。 【図５】図３のＶ矢視拡大図である。 【図６】図３のVI−VI断面拡大図である。 【図７】図３のVII−VII断面拡大図である。 【図８】図３のVIII−VIII断面拡大図である。 【図９】図３のIX−IX断面拡大図である。 【図１０】上記アームとシューとをくみ合わせた状態に
おける基端部の側面図である。 【図１１】従来のチェーンテンショナの分解斜視図であ
る。 【図１２】上記従来のチェーンテンショナのパッド位置
における横断面図である。 【符号の説明】 １…内燃機関、２…クランクケース、２ａ…支持凹部、
３…シリンダブロック、４…シリンダヘッド、５…チェ
ーン室、６…クランクシャフト、７…ドライブスプロケ
ット、８…カムシャフト、９…ドリブンスプロケット、
10…カムチェーン、11…カムチェーンガイド、11ａ…屈
曲点、11ｂ…他端、11ｃ…位置決め固定、11ｄ…ピン、
12…カムチェーンテンショナ、13…アーム、13ａ…基端
部、13ｂ…屈曲点、13ｃ…環状部、14…シュー、14ａ…
凹溝、14ｂ…側壁状部分、14ｃ…基端部、14ｄ…穴、14
ｅ…横方向位置決め係止部、14ｆ…コ字状腕部、14ｇ…
テンショナリフタ当接部、14ｈ…位置決め突起、14ｉ…
Ｕ字状フック部、14ｊ…側板部、14ｋ…位置決め突起、
15…ボルト、16…テンショナリフタ、16ａ…突出部、17
…テンショナリフタ取付けボルト。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2001−311457（ＪＰ，Ａ) 特開2002−139111（ＪＰ，Ａ) 特開2000−346154（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−226506（ＪＰ，Ａ) 特開2002−181145（ＪＰ，Ａ) 特開2000−356252（ＪＰ，Ａ) 実開 平５−42798（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F16H 7/00 - 7/24 F02B 67/06

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 アームと、該アームのチェーン摺動側に
   取付けられた樹脂製シューとから成るカムチェーンテン
   ショナにおいて、 前記樹脂製シューの先端は前記アームの先端に係合する
   Ｕ字状のフック形状とされ、該樹脂製シューの基端部の
   一側部が前記アームの取付部まで延長され、該延長部に
   は前記アームと共締めされる穴が設けられ、かつ、前記
   樹脂製シューの中央部近くの一部は前記アームの側部を
   回りテンショナリフタの当接側までコ字状に延長されて
   いることを特徴とするカムチェーンテンショナ。