JP3514647B2 - 多層プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、多層プリント配
線板およびその製造方法に関し、より詳しくは熱可塑性
樹脂からなる絶縁層を有する多層プリント配線板および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の電子機器の小型・軽量・高速・高
機能化の要求に応えるため、プリント配線板に実装する
半導体の集積度が高まり、ピン数の増加および各半導体
同士の配置間隔(ピッチ)も減少し、多層プリント配線
板への高機能化の要望は日々に高まっている。
【0003】このような状況の中で使用されている多層
プリント配線板は、エポキシ樹脂等を繊維に含浸したプ
リプレグを絶縁材料とする樹脂多層基板からなるもので
あり、銅張積層板に形成した電気回路の各層間の接続を
可能とするために、層厚方向にビアホール(Via hole;
部品を挿入しないメッキされたスルーホール)またはス
ルーホールと呼ばれる穴径0.3〜1.2mm程度の貫
通穴を有するものである。
【0004】多層プリント配線板のスルーホールの形成
密度は、前述のような高機能化の要望に伴って高まり、
配線ピッチが例えば50〜150μmという高配線密度
に対応するために、ドリル穴開け加工によってスルーホ
ールを形成することが多層プリント配線板の回路の高密
度化の要望に対する障害になった。
【0005】このような問題に対処するために、ミクロ
ン単位の微小穴径のビアホール等のスルーホールを形成
したビルドアップ層を有する多層プリント配線板が開発
されている。
【0006】ビルドアップ層を有する多層プリント配線
板は、予め所要数のスルーホールを形成した通常の配線
板をベース(基板)とし、レーザー加工またはエッチン
グによって微小径ビアホールを形成した銅箔付き樹脂フ
ィルム(ビルドアップ層)を前記のベースに重ねて接着
一体化するか、または全層のすべてを微小径のビアホー
ルを形成したビルドアップ層を積層して形成される。
【0007】図2(a)、(b)、(c)に製造工程を
示すように、全6層がすべてビルドアップ層で形成され
た多層プリント配線板は、先ず、不織布にエポキシ樹脂
を含浸させたプリプレグにレーザー加工で両面に貫通す
る下穴11を開け、これに導電性ペースト12を印刷の
手法で充填して真空熱プレスにより銅箔と積層し、プリ
プレグおよび導電性ペーストを硬化させる。
【0008】次いで、銅箔をエッチングして回路パター
ン13を形成することにより、両面配線基板14を形成
したものをコア層とし、別途、下穴11を開けて導電性
ペースト12を充填したプリプレグ15および銅箔16
を前記コア層の両面に整合させて重ね、これに再度の熱
プレスとパターニング(エッチングして回路パターンを
形成すること)処理を施して、図2(b)に示すような
4層の基板17を製造する。
【0009】そして、図2(c)に示すように、4層の
基板17の表面の銅箔をエッチングして両面に回路パタ
ーン13を形成した後、さらにプリプレグ18および銅
箔19の熱プレスとパターニングの工程を繰り返すこと
により、6層のプリント配線板を製造していた。因み
に、8層のプリント配線板についても前記6層配線板に
対して、さらにプリプレグおよび銅箔の熱プレスとパタ
ーニングの工程を繰り返すことにより2層を追加して製
造できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の多層プリント配線板は、コア層とプリント配線された
ビルドアップ層の接着状態を確実にすることが容易でな
く、回路パターンがミクロン単位の配線ピッチで形成さ
れている高密度配線のものは配線間に絶縁材料が完全に
充填されない場合があり、絶縁材料のいわゆる「内層回
路の埋め込み性」が悪くなりやすいという問題がある。
【0011】このような問題は、絶縁性などの特性が不
均一な製品が製造されることに関連し、プリント配線板
の信頼性や不良品の発生による製品の歩留りの低下(製
造効率の低下)を招くことにもなる。
【0012】このように絶縁材料による高配線密度の内
層回路の埋め込み性が不確実であるため、4層を越える
多層プリント配線板の材料を一括して積層し、熱融着に
よって確実に一体化して絶縁の信頼性の高い製品を製造
することはできなかった。
【0013】なお、液状の絶縁材料を使用すれば、内層
回路の埋め込み性の問題はかなり改善されるが、絶縁材
料の塗布・乾燥工程に長時間を要し、乾燥工程では薄肉
の基板が変形しやすくなるといった種々の問題も生じ
る。
【0014】そこで、多層プリント配線板に係る発明の
課題は、上記した問題点を解決し、熱融着性のフィルム
状絶縁体を用いて積層一体化された多層プリント配線板
について、配線が高密度化した内層回路を有する場合で
も絶縁材料による配線の埋め込みが確実であるものを提
供することである。
【0015】また、多層プリント配線板の製造方法に係
る発明の課題は、フィルム状絶縁体を用いた多層プリン
ト配線板のビルドアップによる製造方法を改善し、絶縁
材料の内層回路の埋め込み性が良好であって高配線密度
の回路の絶縁信頼性が高く、しかも積層材料を多層に重
ねた際に一度の加熱加圧工程で一括して熱融着により積
層一体化できる効率のよい製造方法を提供することであ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、多層プリント配線板に係る発明では、結晶融解ピー
ク温度260℃以上のポリアリールケトン樹脂65〜3
5重量%と非晶性ポリエーテルイミド樹脂35〜65重
量%とからなるフィルム状絶縁体を設け、このフィルム
状絶縁体に両面貫通孔を形成すると共に貫通孔内に導電
性ペーストを充填して積層電気回路の層間接続用熱融着
性フィルムを形成し、この層間接続用熱融着性フィルム
の片面または両面に導体箔を熱融着しかつ回路形成して
フィルム状配線基板を設け、このフィルム状配線基板お
よび前記層間接続用熱融着性フィルムからなる積層材料
を複数枚重ねて熱融着により一体化してなる多層プリン
ト配線板としたのである。
【0017】また、上記多層プリント配線板におけるフ
ィルム状絶縁体を形成する熱可塑性樹脂が、示差走査熱
量測定で昇温した時に測定されるガラス転移温度が15
0〜230℃であり、かつ結晶融解熱量ΔHmと昇温中
の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの関係が下
記の式(I) で示される関係を満たす熱可塑性樹脂組成物
である多層プリント配線板としたのである。 式(I): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.35 。
【0018】または、上記多層プリント配線板における
フィルム状配線基板を形成する熱可塑性樹脂が、結晶融
解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱
量ΔHcとの関係が下記の式(II)で示される関係を満た
す熱可塑性樹脂組成物である多層プリント配線板とした
のである。 式(II): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.5 。
【0019】または、上記多層プリント配線板における
多層プリント配線板を形成する熱可塑性樹脂が、結晶融
解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱
量ΔHcとの関係が下記の式(III) で示される関係を満
たす熱可塑性樹脂組成物である多層プリント配線板とし
たのである。 式(III): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≧0.7 。
【0020】また、前述した製造方法に係わる課題を解
決するため、この発明では、結晶融解ピーク温度260
℃以上のポリアリールケトン樹脂65〜35重量%と、
非晶性ポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とから
なり、示差走査熱量測定で昇温した時に測定されるガラ
ス転移温度が150〜230℃であり、かつ結晶融解熱
量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量Δ
Hcとの関係が下記の式(I) で示される関係を満たす熱
可塑性樹脂組成物でフィルム状絶縁体を形成し、このフ
ィルム状絶縁体に両面貫通孔を形成すると共に貫通孔内
に導電性ペーストを充填して積層電気回路の層間接続用
熱融着性フィルムを形成し、この層間接続用熱融着性フ
ィルムの片面または両面に導体箔を重ねて熱可塑性樹脂
組成物が下記の式(II)で示される関係を満たすように熱
融着した後、この導体箔に回路を形成してフィルム状配
線基板を設け、このフィルム状配線基板および前記層間
接続用熱融着性フィルムからなる積層材料を交互に複数
枚重ね、各層を構成する熱可塑性樹脂組成物が下記の式
(III) で示される関係を満たすように熱融着することか
らなる多層プリント配線板の製造方法としたのである。 式(I): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.35 式(II): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.5 式(III): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≧0.7 。
【0021】上記したように構成されるこの発明の多層
プリント配線板は、結晶性のポリアリールケトン樹脂と
非晶性のポリエーテルイミド樹脂を所定量配合したフィ
ルム状絶縁体を有するものであり、プリント基板用絶縁
材料に要求される導体箔との接着性、耐熱性、機械的強
度および電気絶縁性を充分に満足する。
【0022】積層電気回路の層間接続用熱融着性フィル
ムは、絶縁性の前記熱可塑性樹脂成物で形成されてお
り、両面貫通孔内の導電性ペーストによって両面貫通孔
の開口部が電気的接点となって、フィルムの片面または
両面に配置形成された電気回路の要所を層厚方向に導通
する。
【0023】このようなフィルム状絶縁体またはフィル
ム状配線基板を形成する熱可塑性樹脂は、ガラス転移温
度が150〜230℃のものであり、かつ結晶融解熱量
ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔH
cとの関係が前記式(I) または式(II)で示される関係を
満たすものであるから、結晶化の進行状態が適当な範囲
に調整されたものであり、例えば250℃未満という比
較的低温での熱融着により優れた接着強度を発揮する。
そのため、4層を越えるようなビルドアップ層を有する
多層プリント配線板を一括して加熱加圧により積層一体
化することができる。導体箔として、表面が粗化されて
いる導体箔を使用すると、接着強度はより大きくなる。
【0024】また、式(I),(II)で示される関係を満たす
熱可塑性樹脂組成物は、導体箔との接着温度領域で弾性
率が低下するので、微細な配線ピッチにも充填される。
そのため、層間接続用熱融着性フィルムおよびフィルム
状絶縁体を使用した多層プリント配線板の内層回路の埋
め込み性、すなわち絶縁性が良好になる。
【0025】この発明の多層プリント配線板の製造方法
は、フィルム状配線基板および前記層間接続用熱融着性
フィルムからなる積層材料を交互に複数枚重ね、各層を
構成する熱可塑性樹脂組成物の結晶融解熱量ΔHmと昇
温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの関係
が前記式(III) で示される関係を満たすように熱融着す
る。このようにすると、熱融着後の熱可塑性樹脂組成物
は、ポリアリールケトン樹脂の結晶性が適当に進行して
いるので、260℃に耐えるハンダ耐熱性を確実に有す
る絶縁層になり、かつ導体箔との接着強度も大きくな
り、導体箔をエッチングして形成された導電性回路もフ
ィルム状絶縁体に強固に接着して層間剥離を起こし難い
ものになる。
【0026】上記多層プリント配線板の製造方法におい
て、層間接続用熱融着性フィルムの片面または両面に導
体箔を重ねて熱融着する際に、熱可塑性樹脂組成物の熱
融着後の結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発
生する結晶化熱量ΔHcとの関係が前記式(II)で示され
る関係を満たすように熱融着する方法では、その熱融着
後に再びフィルム状配線基板および前記層間接続用熱融
着性フィルムからなる積層材料を交互に複数枚重ね、一
括して加熱加圧による熱融着を行なう時にも熱可塑性樹
脂が導体箔との接着温度領域で弾性率が低下するので、
微細な配線ピッチにも適当な低粘度の樹脂が確実に充填
されて、内層回路の埋め込み性、すなわち絶縁の信頼性
が極めて高い良好なものが製造できる。
【0027】なお、フィルム状絶縁体と導体箔の接着
は、層間にエポキシ樹脂などの接着剤を介在させずに熱
融着するため、耐熱性、耐薬品性、電気特性などの諸特
性は接着剤の特性に支配されることがなく、絶縁層の優
れた諸特性が充分に生かされる。また、製造工程中に接
着剤その他の液状積層材料の塗布・乾燥の工程がないの
で、製造効率の良い多層プリント配線板の製造方法とな
る。
【0028】
【発明の実施の形態】この発明の多層配線板およびその
製造方法の実施形態を、以下に添付図面に基づいて説明
する。
【0029】図1(a1 )と(b)、または同図
(a2 )と(b)にそれぞれ2系統の製造工程を示すよ
うに、この発明に係る多層プリント配線板は、所定の組
成および熱特性の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム
状絶縁体1に、レーザー加工により両面に貫通する孔2
を形成し、この孔2内に導電性ペースト3を充填して積
層電気回路の層間接続用熱融着性フィルム4を形成し、
さらにこの層間接続用熱融着性フィルム4の両面(図1
1 )または片面(同図a2 )に導体箔を真空熱プレス
機で熱融着すると共に、サブトラクティブ法によって導
体箔の不要部分を除いて導電性回路5を形成し、得られ
たフィルム状配線基板6、7および層間接続用熱融着性
フィルム4から選ばれる積層材料を複数枚重ねて、熱融
着により積層一体化して得られる。
【0030】図1(b)には実線で導電性回路5が4層
に形成された多層プリント配線板を示したが、図1(a
1 )と同図(b)に鎖線で示された部分を付加して、6
層またはそれ以上に多層化された多層プリント配線板を
製造することもできる。
【0031】なお、フィルム状絶縁体を製造するには、
ポリアリールケトン樹脂と、非晶性ポリエーテルイミド
樹脂とを配合し、式(I) で示される所定の結晶性のもの
を調製する。 式(I): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.35 。
【0032】フィルム状絶縁体に導体箔を熱融着する際
には、熱可塑性樹脂組成物のガラス転移点(Tg ) は越
えるが、結晶融解ピーク温度(Tc ) は越えず、すなわ
ち非晶性が維持される所定温度範囲に加熱し、好ましく
は熱可塑性樹脂組成物が式(II)で示される特性を維持す
る導体箔が熱融着されたフィルム状基板を作製する。 式(II): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.5 。
【0033】導体箔に対する導電性回路の形成方法は、
周知のサブトラクティブ法を採用できるが、アディティ
ブ法を採用することもできる。因みに、サブトラクティ
ブ法の具体例としては、銅箔に紫外線硬化性樹脂からな
るドライフィルムをラミネートし、次に導電性回路の切
り抜き型を形成したパターンフィルムをドライフィルム
に密着させた状態で紫外線に露光させ、その後、パター
ンフィルムおよび未硬化のドライフィルムを取り除いて
塩化第二鉄溶液でエッチングを行ない、導電性回路の不
要部分の銅箔を除去し、次に、水酸化ナトリム溶液に浸
漬して残った銅箔上のドライフィルムを除去して導電性
回路を形成する。
【0034】フィルム状配線基板および前記層間接続用
熱融着性フィルムからなる積層材料を複数枚重ねて一括
して熱融着する際には、各層を構成する熱可塑性樹脂組
成物の結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生
する結晶化熱量ΔHcとの関係が式(III) で示される関
係を満たすように熱融着する。 式(III): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≧0.7 このようにすると、熱可塑性樹脂組成物の結晶融解ピー
ク温度(Tc ) 付近(例えば230〜250℃)まで加
熱することになって、確実な熱融着が可能になると共に
熱可塑性樹脂組成物の結晶化が進み、ハンダ耐熱性に優
れた多層プリント配線板を製造できる。
【0035】この発明においてフィルム状絶縁体を構成
する第1の成分であるポリアリールケトン樹脂は、その
構造単位に芳香核結合、エーテル結合およびケトン結合
を含む熱可塑性樹脂であり、すなわち、フェニルケトン
とフェニルエーテルの組み合わせ構造からなる耐熱性の
結晶性高分子である。
【0036】ポリアリールケトン樹脂の代表例として
は、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリエーテルケトンケトンなどがあるが、この発明
においては、下記の化1の式に示されるポリエーテルエ
ーテルケトンが好適なものとして使用できる。
【0037】
【化1】
【0038】フィルム状絶縁体を構成する第2の成分で
ある非晶性ポリエーテルイミド樹脂は、その構造単位に
芳香核結合、エーテル結合およびイミド結合を含む非晶
性熱可塑性樹脂であり、この発明においては、下記の化
2の式に示されるポリエーテルイミド樹脂を適用でき
る。
【0039】
【化2】
【0040】そして、この発明に用いるフィルム状絶縁
体は、上記した2種類の耐熱性樹脂を所定の割合でブレ
ンドした組成物からなり、すなわち、熱可塑性樹脂組成
物は、結晶融解ピーク温度260℃以上のポリアリール
ケトン樹脂65〜35重量%と非晶性ポリエーテルイミ
ド樹脂35〜65重量%とからなり、示差走査熱量測定
で昇温した時に測定されるガラス転移温度が150〜2
30℃のものである。
【0041】上記のように配合割合を限定する理由は、
ポリアリールケトン樹脂が65重量%を越えて多量に配
合されたり、ポリエーテルイミド樹脂の配合割合が35
重量%未満の少量の配合割合では、組成物の結晶化速度
が速くなり過ぎてその結晶性が高くなりすぎ、熱融着に
よる基板の多層化が困難になったり、結晶化に伴う体積
収縮(寸法変化)が大きくなって回路基板の信頼性が低
下するからである。
【0042】また、結晶性ポリアリルエーテルケトン樹
脂が35重量%未満であったり、非晶性ポリエーテルイ
ミド樹脂が65重量%を超えると、組成物の結晶化速度
が遅くなりすぎてその結晶性が低くなり、たとえ結晶融
解ピーク温度が260℃以上であってもハンダ耐熱性が
低下するので、好ましくない。
【0043】この発明における重要な制御因子であるフ
ィルム状絶縁体の熱特性は、結晶融解熱量ΔHmと昇温
中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの関係が
下記の式(I) で示される関係を満たすことである。 式(I): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.35 (ΔHm−ΔHc)/ΔHmで示される熱特性は、JI
S K 7121、JIS K7122に準じた示差走
査熱量測定で昇温したときのDSC曲線に現れる2つの
転移熱の測定値、結晶融解熱量ΔHm(J/g)と結晶
化熱量ΔHc(J/g)の値から算出される。
【0044】(ΔHm−ΔHc)/ΔHmで示される式
の値は、原料ポリマーの種類や分子量、組成物の配合比
率にも依存しているが、フィルム状絶縁体の成形・加工
条件に大きく影響する。すなわち、フィルム状に製膜す
る際に、原料ポリマーを溶融させた後、速やかに冷却す
ることにより、前記式の値を小さくすることができる。
また、これらの数値は、各工程でかかる熱履歴を調整す
ることにより、制御することができる。ここでいう熱履
歴とは、フィルム状絶縁体の温度と、その温度になって
いた時間を指し、温度が高いほど、この数値は大きくな
る傾向がある。
【0045】導体箔と熱融着前のフィルム状絶縁体の熱
特性については、前記式(I) で示される値ができるだけ
小さいほうが好ましい。導体箔との熱融着前に0.35
を越えていると、すでに結晶性が高く、多層化の熱融着
時には結晶化がさらに進行して接着強度が低下するので
好ましくない。
【0046】前記式(II)で示される関係は、多層プリン
ト配線板を製造する過程において、フィルム状絶縁体の
少なくとも一面に導体箔を熱融着した銅張積層基板にお
ける熱融着後の測定に基づくものである。
【0047】前記式(II)で示される値が、0.5を越え
ると、すでに結晶性が高く、多層化の熱融着時に結晶化
がさらに進行して接着強度が低下する。また、導体箔と
の熱融着を高温で行なう必要があり製造効率の面からも
好ましくない。
【0048】そして、多層化後の熱融着後のフィルム状
絶縁体の熱特性は、下記式(III) の関係を満たすことに
なる。 式(III): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≧0.7 なぜなら、上記式(III) の値が、0.7未満の低い値で
は、絶縁層の結晶化が不充分であり、ハンダ耐熱性(通
常260℃)を保てないからである。
【0049】この発明に用いるフィルム状絶縁体は、通
常25〜300μmの膜厚のものであり、その製造方法
は、例えばTダイを用いた押出キャスト法やカレンダー
法などの周知の製膜方法を採用すればよく、特に限定さ
れた製造方法を採る必要はない。なお、製膜性や安定生
産性の面からTダイを用いた押出キャスト法を採用する
ことが好ましい。押出キャスト法の成形温度は、組成物
の流動特性や製膜特性によって適宜に調節するが、概ね
組成物の融点以上、430℃以下である。
【0050】この発明に用いるフィルム状絶縁体を構成
する樹脂組成物には、この発明の効果を阻害しない程度
に、他の樹脂その他の添加剤を配合してもよく、その具
体例としては、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着
色剤、滑剤、難燃剤、無機フィラーなどが挙げられる。
また、フィルム状絶縁体の表面に、ハンドリング性改良
等のためのエンボス化工やコロナ処理などを施してもよ
い。
【0051】この発明に用いる導体箔としては、例えば
銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル、錫などのように
厚さ8〜70μm程度の金属箔が挙げられる。このう
ち、適用される金属箔としては、その表面を黒色酸化処
理などの化成処理した銅箔が特に好ましい。導体箔は、
接着効果を高めるために、フィルム状絶縁体との接触面
(重ねる面)側を予め化学的または機械的に粗化したも
のを用いることが好ましい。表面粗化処理された導体箔
の具体例としては、電解銅箔を製造する際に電気化学的
に処理された粗化銅箔などが挙げられる。
【0052】導体箔をフィルム状絶縁体の片面または両
面に重ねて加熱・加圧条件で熱融着する際には、例えば
熱プレス法もしくは熱ラミネートロール法またはこれら
を組み合わせた方法、その他の周知の加熱圧着方法を採
用することができる。
【0053】なお、ここで多層化する際には、フィルム
状絶縁体からなる層の厚さが、導体箔の総厚さの2倍以
上であることが好ましい。2倍未満では、多層化された
際に導体回路部分への樹脂の埋め込み性が不充分となり
やすいからである。
【0054】
【実施例および比較例】まず、この発明のフィルム状絶
縁体の条件を満足するフィルム状絶縁体の製造例1〜3
およびこれに対比する参考例1、2の製造方法およびこ
れらの物性について、以下に説明する。
【0055】〔フィルム状絶縁体の製造例1〕ポリエー
テルエーテルケトン樹脂(ビクトレックス社製:PEE
K381G)(以下の文中または表1、2において、P
EEKと略記する。)60重量%と、ポリエーテルイミ
ド樹脂(ゼネラルエレクトリック社製:Ultem−1
000)(以下の文中または表1、2において、PEI
と略記する。)40重量%をドライブレンドした。この
混合組成物を押出成形し、厚さ25μmのフィルム状絶
縁体を製造した。
【0056】〔フィルム状絶縁体の製造例2〕製造例1
において、混合組成物の配合割合をPEEK40重量
%、PEI60重量%としたこと以外は、同様にしてフ
ィルム状絶縁体を製造した。
【0057】〔フィルム状絶縁体の製造例3〕製造例1
において、混合組成物の配合割合をPEEK30重量
%、PEI70重量%としたこと以外は、同様にしてフ
ィルム状絶縁体を製造した。
【0058】〔フィルム状絶縁体の参考例1、2〕製造
例1において、混合組成物の配合割合をPEEK100
重量%(参考例1)、またはPEI100重量%(参考
例2)としたこと以外は、同様にしてそれぞれのフィル
ム状絶縁体を製造した。
【0059】上記製造例および参考例で得られたフィル
ム状絶縁体の物性を調べるため、以下の(1) および(2)
に示す項目を測定または測定値から計算値を算出した。
これらの結果は、表1にまとめて示した。
【0060】(1) ガラス転移温度(℃)、結晶化温度
(℃)、結晶融解ピーク温度(℃) JIS K7121に準じ、試料10mgを使用し、パ
ーキンエルマー社製:DSC−7を用いて加熱速度を1
0℃/分で昇温した時の上記各温度をサーモグラムから
求めた。
【0061】(2) (ΔHm−ΔHc)/ΔHm JIS K7122に準じ、試料10mgを使用し、パ
ーキンエルマー社製:DSC−7を用いて加熱速度を1
0℃/分で昇温した時のサーモグラムから結晶融解熱量
ΔHm(J/g)と結晶化熱量ΔHc(J/g)を求
め、上記式の値を算出した。
【0062】
【表1】
【0063】〔実施例1〕製造例1で得られた厚さ25
μmのフィルム状絶縁体に、レーザーでインナーバイア
ホール(inner via hole) 用の孔開け加工を施し、スク
リーン印刷機を用いて孔内に導電性ペースト剤を充填し
た。この導電性ペーストを充分に乾燥させた後、フィル
ム状絶縁体の両面に厚さ12μmの電気化学的に表面を
粗面化した電解銅箔を積層し、真空雰囲気下760mm
Hgでプレス温度200℃、プレス圧力30kg/cm
2 、プレス時間10分の条件で熱融着させ両面銅張積層
板を作製した。
【0064】作製した両面銅張積層板のフィルム状絶縁
体に対し、前記 (2)(ΔHm−ΔHc)/ΔHmの測定
試験を前記同じ方法で行ない、式値を表2に示した。
【0065】また、上記得られた両面銅張積層板に対し
て、後述する(3) の方法で接着強度を調べ、この結果を
表2中に併記した。
【0066】上記得られた両面銅張積層板にサブトラク
ティブ法によって回路パターンを形成し、導電性回路を
エッチングにより形成した配線基板を2枚製造した。そ
して、2枚の配線基板の間に製造例1で得られた厚さ2
5μmのフィルム状絶縁体を挟んで図1(a1 )に示す
状態に積み重ね、真空雰囲気下760mmHgでプレス
温度220℃、プレス圧力30kg/cm2 、プレス時
間20分の条件でピンラミネーション方式によって熱融
着し、4層の多層プリント配線板を製造した。
【0067】得られた多層プリント配線板に対して前記
(2)(ΔHm−ΔHc)/ΔHmの測定試験を行なうと
共に、室温における銅箔回路とフィルム状絶縁体との接
着強度を下記の(3) の試験方法で調べ、さらに層間剥離
の有無を走査型電子顕微鏡(下記の(5) の方法)で観察
し、ハンダ耐熱性を下記の(4) の試験方法で調べ、これ
らの結果を表2中に示した。
【0068】(3) 接着強度 JIS C6481の常態の引き剥がし強さに準拠し
て、FPC素板の銅箔の引き剥がし強さを測定し、その
平均値をkgf/10cmで示した。
【0069】(4) ハンダ耐熱性 JIS C6481の常態のハンダ耐熱性に準拠し、2
60℃のハンダ浴に試験片の銅箔側がハンダ浴に接触す
る状態で10秒間浮かべた後、浴から取り出して室温ま
で放冷し、その膨れや剥がれ箇所の有無を目視観察し、
その良否を評価した。
【0070】(5) 多層プリント配線板をエポキシ樹脂
に包埋し、精密切断機で断面観察用サンプルを作製し、
走査型電子顕微鏡(SEM)で切断面を観察し、フィル
ム状絶縁体と銅箔製の導電性回路との層間剥離の有無を
評価した。
【0071】
【表2】
【0072】〔実施例2〕実施例1において、フィルム
状絶縁体として製造例2を使用し、両面銅張積層板を作
製する際のプレス温度を225℃、4層基板を作製する
際の熱プレス条件を温度240℃、ブレス時間を30分
に変更したこと以外は実施例1と同様にして4層のプリ
ント配線板を作製し、これに対する試験(3) 〜(5) の評
価を表2中に併記した。
【0073】〔実施例3〕実施例1において、両面銅張
積層板から回路パターンを形成し、導電性回路をエッチ
ングにより形成した配線基板を5枚取り揃え、この配線
基板の間に製造例1で得られたフィルム状絶縁体を挟ん
で積み重ねてピンラミネーション方式により一括して熱
融着したこと以外は、実施例1と同様にして10層の多
層プリント配線板を製造した。
【0074】〔比較例1〕実施例1において、両面銅張
積層板を作製する際のプレス温度を215℃としたこと
以外は実施例1と同様にして4層の多層プリント配線板
を作製し、これに対する試験(3) 〜(5) の評価を表2中
に併記した。
【0075】〔比較例2〕実施例2において、4層の多
層プリント配線板のプレス温度を230℃、プレス時間
を10分に変更したこと以外は実施例2と同様にして4
層の多層プリント配線板を作製し、これに対する試験
(3) 〜(5) の評価を表2中に併記した。
【0076】〔比較例3〕実施例1において、フィルム
状絶縁体として製造例3を使用し、両面銅張積層板を作
製する際のプレス温度を240℃、プレス時間を20分
に変更したこと以外は実施例1と同様にして4層の多層
プリント配線板を作製し、これに対する試験(3) 〜(5)
の評価を表2中に併記した。
【0077】表2の結果からも明らかなように、実施例
1の両面銅張積層板の接着強度は、0.7kgf/10
cmという良好な値であり、(ΔHm−ΔHc)/ΔH
mの値も0.31と適正値であった。また、4層の多層
プリント配線板積層時の(ΔHm−ΔHc)/ΔHmの
値も0.95と適正値であり、接着強度は、1.4kg
f/10cmという良好な値であった。また、ハンダ耐
熱性試験の結果は基板に膨れや剥がれが一切観察され
ず、また4層の多層プリント配線板のSEM観察でも層
間剥離は全く観察されず、回路パターン近傍への樹脂の
回り込み(充填量)は良好でありボイドの発生は全く見
受けられなかった。
【0078】実施例2の両面銅張積層板の接着強度も
1.3kgf/10cmという良好な値であり、ハンダ
耐熱性試験の結果も良好であり、また4層熱融着後のS
EM観察でも層間剥離は全く観察されず、回路パターン
近傍への樹脂の回り込みも良好であった。
【0079】また、実施例3でも接着強度は良好な値で
あり、ハンダ耐熱性試験の結果は基板に膨れや剥がれが
一切観察されず、また10層の多層プリント配線板のS
EM観察でも層間剥離は全く観察されず、回路パターン
近傍への樹脂の回り込み(充填量)は良好でありボイド
の発生は全く見受けられなかった。また、従来のビルド
アップ式の多層プリント配線板の製造方法に比べて工程
数はかなり少なく、製造日数および製造コストも低減で
きるものであった。また、多層プレス前の両面銅張積層
板の段階で基板の良否判定を行なえるので、歩留りが大
幅に向上した。
【0080】これに対して、比較例1の4層プリント配
線板は、層間の密着性が不充分であり、ハンダ耐熱性も
膨れや剥がれが観察されて不良であった。
【0081】また、比較例2の4層プリント配線板は、
層間の密着性はあったが、ハンダ耐熱性は不良であっ
た。
【0082】また、比較例3は、両面銅張積層板の銅箔
とフィルムの接着強度は0.2kgf/10cmという
低い値であり、エッチング工程において回路が剥離し
た。
【0083】
【発明の効果】この発明の多層プリント配線板は、以上
説明したように、所定のポリアリールケトン樹脂と非晶
性ポリエーテルイミド樹脂とを所定量配合し、所定の熱
的特性の結晶性熱可塑性樹脂組成物でフィルム状絶縁体
を形成し、このフィルム状絶縁体でもって積層電気回路
の層間接続用熱融着性フィルムを形成すると共に、これ
に回路形成したフィルム状配線基板を形成し、これらを
複数枚重ねて熱融着により一体化したものであるので、
各層の熱可塑性樹脂成物は加熱融解時に優れた接着強度
を発揮し、4層を越えるような多層プリント配線板でも
層間の剥離がなく、前記熱可塑性樹脂組成物の耐熱性に
よって所要のハンダ耐熱性を示すものになる。
【0084】また、式(I) で示される関係を満たす熱可
塑性樹脂組成物は、導体箔との接着温度領域で弾性率が
低下するので、各層の熱融着時に微細な配線ピッチ間に
も絶縁性材料が充填され、高配線密度に形成された内層
回路の絶縁性が良好な多層プリント配線板となる。
【0085】この発明の多層プリント配線板の製造方法
は、所定の熱特性を有する結晶性熱可塑性樹脂からなる
フィルム状絶縁体を用いた多層プリント配線板の製造方
法であるので、絶縁材料の高配線密度の内層回路に対す
る埋め込み性が良好になって回路の絶縁信頼性が高いも
のが製造でき、しかも積層材料を多層に重ねた際に一度
の加熱加圧工程で熱融着により積層一体化できるので、
効率のよい製造方法であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層プリント配線板の製造工程を示す模式図
【図2】従来の多層プリント配線板の製造工程を示す模
式図
【符号の説明】
1 フィルム状絶縁体 2 孔 3、12 導電性ペースト 4 層間接続用熱融着性フィルム 5 導電性回路 6、7 フィルム状配線基板 11 下孔 13 回路パターン 14 両面配線基板 15、18 プリプレグ 16、19 銅箔 17 4層の基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 73/00 C08L 73/00 79/08 79/08 B (72)発明者 谷口 浩一郎 滋賀県長浜市三ッ矢町5番8号 三菱樹 脂株式会社長浜工場内 (72)発明者 野本 薫 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式 会社デンソー内 (72)発明者 愛知後 将 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式 会社デンソー内 (56)参考文献 特開 平8−255982(JP,A) 特開 平2−269765(JP,A) 特開 平5−310951(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 1/03 H05K 1/05 H05K 3/00 H05K 3/22 H05K 3/28 H05K 3/44 H05K 3/46 C08J 5/18 C08L 71/10 C08L 73/00 C08L 79/08

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶融解ピーク温度260℃以上のポリ
    アリールケトン樹脂65〜35重量%と非晶性ポリエー
    テルイミド樹脂35〜65重量%とからなる熱可塑性樹
    脂組成物のフィルム状絶縁体を設け、このフィルム状絶
    縁体に両面貫通孔を形成すると共に貫通孔内に導電性ペ
    ーストを充填して積層電気回路の層間接続用熱融着性フ
    ィルムを形成し、この層間接続用熱融着性フィルムの片
    面または両面に、熱可塑性樹脂組成物の結晶融解熱量Δ
    Hmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHc
    との関係が下記の式 (II) で示される関係を満たすように
    導体箔を熱融着しかつ回路形成してフィルム状配線基板
    を設け、このフィルム状配線基板および前記層間接続用
    熱融着性フィルムから選ばれる積層材料を複数枚重ねて
    熱融着により一体化してなる多層プリント配線板。 (II): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.5
  2. 【請求項2】 導体箔が、表面粗化されている導体箔で
    ある請求項1記載の多層プリント配線板。
  3. 【請求項3】 ポリアリールケトン樹脂が、ポリエーテ
    ルエーテルケトン樹脂である請求項1または2に記載の
    多層プリント配線板。
  4. 【請求項4】 フィルム状絶縁体を形成する熱可塑性樹
    脂が、示差走査熱量測定で昇温した時に測定されるガラ
    ス転移温度が150〜230℃であり、かつ結晶融解熱
    量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量Δ
    Hcとの関係が下記の式(I)で示される関係を満たす熱
    可塑性樹脂組成物である請求項1〜3のいずれかに記載
    の多層プリント配線板。 式(I): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.35
  5. 【請求項5】 多層プリント配線板を形成する熱可塑性
    樹脂が、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発
    生する結晶化熱量ΔHcとの関係が下記の式(III) で示
    される関係を満たす熱可塑性樹脂組成物である請求項1
    〜3のいずれかに記載の多層プリント配線板。 式(III): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≧0.7
  6. 【請求項6】 結晶融解ピーク温度260℃以上のポリ
    アリールケトン樹脂65〜35重量%と、非晶性ポリエ
    ーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなり、示差走
    査熱量測定で昇温した時に測定されるガラス転移温度が
    150〜230℃であり、かつ結晶融解熱量ΔHmと昇
    温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの関係
    が下記の式(I)で示される関係を満たす熱可塑性樹脂組
    成物でフィルム状絶縁体を形成し、このフィルム状絶縁
    体に両面貫通孔を形成すると共に貫通孔内に導電性ペー
    ストを充填して積層電気回路の層間接続用熱融着性フィ
    ルムを形成し、この層間接続用熱融着性フィルムの片面
    または両面に導体箔を重ねて熱可塑性樹脂組成物が下記
    の式(II)で示される関係を満たすように熱融着した後、
    この導体箔に回路を形成してフィルム状配線基板を設
    け、このフィルム状配線基板および前記層間接続用熱融
    着性フィルムから選ばれる積層材料を複数枚重ね、各層
    を構成する熱可塑性樹脂組成物が下記の式(III) で示さ
    れる関係を満たすように熱融着することからなる多層プ
    リント配線板の製造方法。 式(I): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.35 式(II): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.5 式(III): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≧0.7
  7. 【請求項7】 層間接続用熱融着性フィルムの片面また
    は両面に重ねる導体箔が、表面粗化されている導体箔で
    ある請求項記載の多層プリント配線板の製造方法。
  8. 【請求項8】 ポリアリールケトン樹脂が、ポリエーテ
    ルエーテルケトン樹脂である請求項またはに記載の
    多層プリント配線板の製造方法。
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