JP4248697B2 - 熱融着性絶縁シート - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板と被接着物の両者間を電気的に絶縁しかつ熱融着する多層プリント配線板用熱融着性絶縁シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板の絶縁層を形成する素材として、ガラス繊維の不織布に熱硬化性のエポキシ樹脂を含浸して得られるプリプレグが知られている。このようなプリプレグは、通称、ガラスエポキシ樹脂とも呼ばれるものであり、銅張積層板を作製する際に銅箔の間に挟んだ状態で、圧力10〜40kgf/cm2 、温度170〜230℃、時間30〜120分程度の条件で熱プレス成形して硬化させている。
【0003】
銅張積層板を回路形成したガラスエポキシ樹脂基材のプリント配線基板は、基板同士を複数枚貼り合わせて多層化する場合があり、その際に、エポキシ樹脂系の接着性シート(フィルム状のものを含む)を2枚以上のプリント配線基板の間に挟んで加熱加圧する方法が採用される。
【0004】
また、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂に代えて、耐熱性熱可塑性樹脂を採用する場合があり、例えばプリント配線板の絶縁層を形成する耐熱性熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルケトン樹脂やポリイミド樹脂が知られている。これらの樹脂は、高温で電気絶縁性に優れており、耐熱性の要求される配線板の回路導通の信頼性を高めるために好ましい材料である。
【0005】
ところで、ガラスエポキシ樹脂や耐熱性熱可塑性樹脂を絶縁材料とし、作製されたプリント配線板を2枚以上重ね合わせて多層化する場合や、プリント配線板に金属板を重ねて放熱性を高める場合に、層間を接着するための接着剤としてエポキシ樹脂が使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プリント配線板を接着する用途にエポキシ樹脂を使用するには、260℃以上の高温に加熱加圧して細かいピッチで配線された印刷回路を完全に埋め込んで絶縁性を確実にする必要があり、そのために加熱および冷却の工程(昇・降温工程)に長時間を費やし、接着工程の効率が悪いという問題点がある。また、ポリエーテルケトンのような耐熱性に優れた結晶性樹脂は、融点近くまで加熱しなければ接着性が得られず、また融点を越えると一転して低溶融粘度で流動するので、加圧接着が困難な樹脂である。
【0007】
なお、ポリイミド樹脂は、前述のように耐熱性に優れ、耐薬品性および電気絶縁性に優れているが、吸湿性が大きく、平滑面に対する接着性が悪いという欠点があり、プリント配線板用の接着剤として使用することは技術的に困難な点が多い。
【0008】
そこで、本発明の課題は上記した問題点を解決し、プリント配線板とその表面に接着されるプリント配線板または金属板の両者間を電気的に絶縁し、かつ熱融着可能な多層プリント配線板用熱融着性絶縁シートについて、耐熱性に優れ、かつ260℃以下の低温に加熱した際にプリント配線板とプリント配線板または金属板との接着に適当な流動性を示して、しかも比較的短時間で接着可能な多層プリント配線板用熱融着性絶縁シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明においては、プリント配線板とその表面に接着されるプリント配線板または金属板に介在し、両者間を電気的に絶縁しかつ熱融着するプリント配線板用の熱融着性絶縁シートにおいて、この熱融着性絶縁シートが、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂と、当該スチレン系樹脂と相溶性のある変性ポリフェニレンエーテルを主成分とし上記スチレン系樹脂の含有率が35〜70重量%のフィルム状絶縁体であって、示差走査熱量測定で昇温した時に測定される結晶融解ピーク温度が260℃以上であり、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの関係が式(I) で示される関係を満たす特性であることを特徴とする、プリント配線板とその表面に接着されるプリント配線板または金属板に介在する多層プリント配線板用熱融着性絶縁シートとしたのである。
【0010】
式(I):〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.28
上記の被接着物としては、プリント配線板または金属板を使用することができる。
【0011】
上記した本発明の熱融着性絶縁シートは、プリント配線板と被接着物の両者間を接着する際に使用されるものであり、これを構成する熱可塑性樹脂は、結晶融解ピーク温度が260℃以上であり、かつ結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの関係が前記式(I) で示される関係を満たすものであって、加熱加圧による熱融着時には250℃以下という比較的低温の条件で熱可塑性樹脂の弾性率が適度に低下し、微細な配線ピッチにも熱可塑性樹脂が確実に充填されて、電気的絶縁の信頼性が極めて高い多層プリント配線板や、良放熱性の金属ベースプリント配線板などを製造できる。
【0012】
また、上記熱可塑性樹脂組成物は、熱融着時の加熱によりシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂の結晶性を適当に進行させるので、260℃に耐えるハンダ耐熱性を確実に有する絶縁性を示し、機械的強度および電気的絶縁性にも優れた絶縁層を形成できる。
【0013】
そして、上記熱可塑性樹脂組成物は、金属製の導体箔との接着強度が大きいので、表面に導体箔からなる導体回路を有するプリント配線板と、これに重ねた被接着物は強固に接着される。通常、表面粗化銅箔等の表面が粗化されている金属製の導体箔が採用されるが、表面が粗化された被接着物は粗化されていない被接着物に比べて接着強度をより大きくできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において熱融着性絶縁シートを構成する第1の成分であるシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂は、立体化学構造がシンジオタクチック構造、すなわちC−C結合から形成される主鎖に対して、側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものである。上記スチレン系樹脂の含有量は熱融着性絶縁シートの35〜70重量%の範囲が好適であり、35重量%未満でははんだ耐熱性に劣り、70重量%を越えると導体箔との接着性に劣り易い傾向がある。
【0015】
また、熱融着性絶縁シートを構成する第2の成分である上記スチレン系樹脂と相溶性のある変性ポリフェニレンエーテルの含有量は熱融着性絶縁シートの30〜70重量%の範囲が好適であり、30重量%未満では導体箔との接着性に劣り易い傾向があり、70重量%を越えるとはんだ耐熱性に劣り易い傾向がある。
【0016】
熱融着性絶縁シートには上記成分以外に機械的強度を向上する目的で、さらに、ゴム状弾性体を含有させてもよく、ゴム状弾性体としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明においては、上記ゴム状弾性体のうちSEBSが好適に使用される。ゴム状弾性体は熱融着性絶縁シートの10〜20重量%の範囲で含有するのが好ましく、10重量%未満では強度の改良効果が少なく、20重量%を越えるものでは耐熱性が低下する傾向がある。
【0017】
本発明における重要な制御因子である熱融着性絶縁シートの熱融着前の熱特性は、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの関係が下記の式(I) で示される関係を満たすことである。
【0018】
式(I):〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.28
(ΔHm−ΔHc)/ΔHmで示される熱特性は、JIS K 7121、JIS K7122に準じた示差走査熱量測定で昇温したときのDSC曲線に現れる2つの転移熱の測定値、結晶融解熱量ΔHm(J/g)と結晶化熱量ΔHc(J/g)の値から算出される。
【0019】
(ΔHm−ΔHc)/ΔHmで示される式の値は、原料ポリマーの種類や分子量、組成物の配合比率にも依存しているが、熱融着性絶縁シートの成形・加工条件に大きく影響する。すなわち、シート状(フィルム状の場合を含む)に製膜する際に、原料ポリマーを溶融させた後、速やかに冷却することにより、前記式の値を小さくすることができる。また、これらの数値は、各工程でかかる熱履歴を調整することにより、制御することができる。ここでいう熱履歴とは、熱融着性絶縁シートの温度と、その温度になっていた時間を指し、温度が高いほど、この数値は大きくなる傾向がある。
【0020】
熱融着前の熱融着性絶縁シートの熱特性については、前記式(I) の右辺で示される値ができるだけ小さいほうが、接着性がよく好ましい。より好ましい前記式(I) の右辺の値は0.35以下である。
そして、熱融着後の熱融着性絶縁シートの熱特性は、下記式(II)の関係を満たすようにすることが好ましい。
【0021】
式(II): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≧0.7
上記式(II)の値が、0.7未満の低い値では、熱可塑性樹脂組成物の結晶化が不充分であり、特にハンダ耐熱性(通常260℃)を充分に発揮させることが難しくなる。
【0022】
本発明に用いる熱融着性絶縁シートは、その厚みを特に限定せずに被接着物の接着用途に合わせて設定できるものであり、例えば5〜300μm程度のフィルムであるものを含み、300μmを越えるシートの場合もあり、フィルムを含むシートとして包括的に総称するものである。因みに多層プリント配線板の層間接着用に使用する熱融着性絶縁シートは、25〜300μmの厚さのものが好ましい。
【0023】
熱融着性絶縁シートの製造方法は、例えばTダイを用いた押出キャスト法やカレンダー法などの周知の製法を採用すればよい。なお、製膜性や安定生産性の面からTダイを用いた押出キャスト法を採用することが好ましい。押出キャスト法の成形温度は、組成物の流動特性や製膜特性によって適宜に調節するが、概ね組成物の融点以上、300℃以下である。
【0024】
本発明に用いる熱融着性絶縁シートを構成する熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない程度に、主成分以外の樹脂その他の添加剤を配合してもよい。添加剤の具体例としては、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、滑剤、難燃剤、無機フィラーなどが挙げられる。また、熱融着性絶縁シートの表面に、ハンドリング性改良等のためのエンボス化工やコロナ処理などを施してもよい。
【0025】
本発明における被接着物は、通常、プリント配線板の表面に接着される必要のあるものとして、例えば金属、樹脂、セラミックス、複合材料などが想定されるものである。被接着物の具体例としては、多層プリント配線板を製造する場合に積層一体化される別途調製されたプリント配線板か、または放熱用の金属板が挙げられる。
【0026】
本発明の熱融着性絶縁シートで接着されるプリント配線板は、絶縁層の基材や樹脂の種類を特に限定したものではなく、例えばガラス布基材エポキシ樹脂、紙基材エポキシ樹脂、ガラス布基材ポリイミド樹脂、その他周知の材質からなる絶縁層を有するものであってよい。被接着物のうち、金属板の金属の種類としては、例えばアルミニウム、鉄、銅、亜鉛が挙げられる。放熱用金属板の厚さは、0.1〜3.0mm程度のものが好適であり、通常は1.0〜1.6mm程度である。
【0027】
また、表面粗化された金属板を使用することが、接着性を高めるために好ましい。粗化(粗面化)の方法としては、サンドブラスト法、ショットブラスト法、ドライホーニング法、化学エッチング法、電解エッチング法等の周知の方法が例示できる。
本発明の熱融着性絶縁シート(実施形態)の使用例について、以下に添付図面に基づいて説明する。
【0028】
図1に示した第1の使用例は、多層プリント配線板の層間接着用シートとして使用したものであり、先ず、図1(a)に示すように、ガラスエポキシ樹脂基材で絶縁層1を形成した2枚の両面プリント配線板2を調製し、その間に所定組成で所定熱特性の熱可塑性樹脂組成物からなる熱融着性絶縁シート3を挟み、これらを加熱加圧して積層一体化する。
【0029】
両面プリント配線板2の絶縁層1には、予め、レーザー加工により両面貫通孔4を形成し、この内部に導電性ペースト5を充填し、その両面に粗化銅箔等からなる導体箔を真空熱プレス機で熱融着し、さらにサブトラクティブ法によって不要部分を除いてプリント回路6を形成しておく。
【0030】
そして、1枚の両面プリント配線板2の上面に熱融着性絶縁シート3を重ねると共に、別途調製した両面プリント配線板2を重ね、真空積層プレス機等の熱盤の間に入れ、適宜にステンレス板やクッション材を介して加熱加圧することにより積層一体化する。この場合に用いる熱融着性絶縁シート3は、ガラスエポキシ樹脂基材を絶縁層とするプリント配線板の多層化に適当な温度180〜230℃および圧力10〜70kg/cm2 で熱融着可能なように、スチレン系樹脂と、当該スチレン系樹脂組成物と相溶性のある熱可塑性樹脂を配合調製したものである。
【0031】
また、図1では、2枚の両面銅張積層板から形成した2枚の両面プリント配線板2の間に1枚の熱融着性絶縁シート3を挟んで積層一体化し、4層の多層プリント配線板を製造した例を示したが、同様の手法を繰り返すか、または一挙に6層以上の多層プリント配線板を加熱加圧して製造することもできる。
図2に示す第2の使用例は、両面プリント配線板2の片面に熱可塑性樹脂組成物からなる熱融着性絶縁シート3を介し、銅板からなる金属板7を熱融着した金属ベース多層プリント配線板である。
【0032】
上記いずれの使用例においても熱融着する際には、熱可塑性樹脂組成物の結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの関係が式(II)で示される関係を満たすように、例えば230〜250℃で熱融着する。
【0033】
式(II): 〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≧0.7
このようにすると、熱可塑性樹脂組成物は、結晶融解ピーク温度(Tc ) 付近まで加熱されてプリント配線板の導体回路同士、または導体回路と金属板とを確実に熱融着すると共に絶縁し、また熱可塑性樹脂組成物の結晶化が進んでハンダ耐熱性に優れた多層プリント配線板を製造できる。
【0034】
【実施例】
本発明の熱融着性絶縁シートの実施例1、2およびこれに対比するための比較例1、2について以下に説明する。
【0035】
〔実施例1〕
シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂[出光石油化学(株)製、ザレック](以下、単にSPSと略記することがある)60重量%と、変性PPE[三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ユピエース]40重量%とからなる混合組成物を、Tダイを備えた三菱重工(株)製40mmφ二軸混練押出機(L/D=35)を用いて押し出し、調温機能を備えたキャストロールに直ちに接触させて固化させて、厚さ25μmの熱融着性絶縁シートを製造した。
【0036】
〔実施例2〕
【0037】
実施例1において、混合組成物の配合割合をSPS40重量%、変性PPE60重量%としたこと以外は、同様にして熱融着性絶縁シートを製造した。
【0038】
〔比較例1、2〕 実施例1において、混合組成物の配合割合をSPS100重量%(比較例1)、または変性PPE100重量%(比較例2)としたこと以外は、同様にしてそれぞれの熱融着性絶縁シートを製造した。
【0039】
上記実施例および比較例の熱融着性絶縁シートの物性を調べるため、以下の(1) および(2) に示す項目を測定または測定値から計算値を算出した。これらの結果は、表1にまとめて示した。
【0040】
(1) ガラス転移温度(℃)、結晶化温度(℃)、結晶融解ピーク温度(℃)
JIS K7121に準じ、試料10mgを使用し、パーキンエルマー社製:DSC−7を用いて加熱速度を10℃/分で昇温した時の上記各温度をサーモグラムから求めた。
【0041】
(2) (ΔHm−ΔHc)/ΔHm
JIS K7122に準じ、試料10mgを使用し、パーキンエルマー社製:DSC−7を用いて加熱速度を10℃/分で昇温した時のサーモグラムから結晶融解熱量ΔHm(J/g)と結晶化熱量ΔHc(J/g)を求め、上記式の値を算出した。
【0042】
Figure 0004248697
【0043】
〔多層プリント配線板の製造試験〕
厚さ50μmのガラスエポキシ樹脂基板に、レーザーでインナーバイアホール(inner via hole) 用の孔開け加工を施し、スクリーン印刷機を用いて孔内に導電性ペースト剤を充填した。この導電性ペーストを充分に乾燥させた後、両面に厚さ12μmの電解銅箔(粗面化銅箔)を積層し、真空雰囲気下760mmHgでプレス温度180℃、プレス圧力30kg/cm2 、プレス時間60分の条件で熱融着させ両面銅張積層板を作製した。作製した両面銅張積層板にサブトラクティブ法によって回路パターンを形成し、導電性回路をエッチングにより形成した配線基板を2枚製造した。
【0044】
そして、図1に示すように2枚の両面プリント配線基板2の間に実施例1で得られた厚さ25μmの熱融着性絶縁シート3(実施例1、2、比較例1、2)を1枚挟んで真空雰囲気下760mmHgでプレス温度240℃、プレス圧力30kg/cm2 、プレス時間20分の条件でピンラミネーション方式によって熱融着し、4層の多層プリント配線板を製造した。 得られた多層プリント配線板に対して層間剥離の有無を走査型電子顕微鏡(下記の(3) の方法)で観察し、ハンダ耐熱性を下記の(4) の試験方法で調べ、これらの結果を表1中に併記した。
【0045】
(3) 多層プリント配線板をエポキシ樹脂に包埋し、精密切断機で断面観察用サンプルを作製し、走査型電子顕微鏡(SEM)で切断面を観察し、熱融着性絶縁シートと銅箔製の導電性回路との層間剥離の有無を評価した。
【0046】
(4) ハンダ耐熱性
JIS C6481の常態のハンダ耐熱性に準拠し、260℃のハンダ浴に試験片の銅箔側がハンダ浴に接触する状態で10秒間浮かべた後、浴から取り出して室温まで放冷し、その膨れや剥がれ箇所の有無を目視観察し、その良否を評価した。
【0047】
比較例1の熱融着性絶縁シートは、プレス温度180℃では結晶化速度が速いので、充分な熱融着性を示さず、多層プリント配線板を製造できなかった。また、比較例2の熱融着性絶縁シートは、プレス温度180℃では接着性が充分ではなく、積層体の層間の一部に剥離の発生が観察され、ハンダ耐熱性も不充分であった。これに対して、実施例1、2の熱融着性絶縁シートは、プレス温度180℃で接着性が充分であると共に結晶化も進行し、結晶融解ピーク温度が260℃以上という優れた耐熱性があり、また積層体の層間剥離もなく、ハンダ耐熱性も備えた優れた多層プリント配線板を製造可能であり、接着性および耐熱性に優れたものであった。
【0048】
【発明の効果】
本発明の熱融着性絶縁シートは、以上説明したように、多層プリント配線板用の熱融着性絶縁シートを所定の耐熱性を示すシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂と、当該スチレン系樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂を主成分とし、スチレン系樹脂の結晶性を適当に進行させた特性のものを採用したので、このような熱融着性絶縁シートは、260℃以下の低温に加熱した際にプリント配線板とプリント配線板または金属板との接着に適した流動性を示して比較的短時間で接着可能であり、しかも熱融着後には260℃に耐えるハンダ耐熱性を示し、機械的強度および電気絶縁性にも優れた絶縁層を形成できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の使用例である多層プリント配線板の製造工程図
【図2】実施形態の使用例である金属ベース多層プリント配線板の要部拡大断面図
【符号の説明】
1 絶縁層
2 両面プリント配線板
3 熱融着性絶縁シート
4 両面貫通孔
5 導電性ペースト
6 プリント回路
7 金属板

Claims (1)

  1. プリント配線板とその表面に接着されるプリント配線板または金属板に介在し、両者間を電気的に絶縁しかつ熱融着するプリント配線板用の熱融着性絶縁シートにおいて、この熱融着性絶縁シートが、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂と、当該スチレン系樹脂と相溶性のある変性ポリフェニレンエーテルを主成分とし上記スチレン系樹脂の含有率が35〜70重量%のフィルム状絶縁体であって、示差走査熱量測定で昇温した時に測定される結晶融解ピーク温度が260℃以上であり、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの関係が下記の式(I) で示される関係を満たす特性であることを特徴とする、プリント配線板とその表面に接着されるプリント配線板または金属板に介在する多層プリント配線板用熱融着性絶縁シート。
    式(I):〔(ΔHm−ΔHc)/ΔHm〕≦0.28
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