JP3543521B2 - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層プリント配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、多層プリント配線板の高密度化、薄型化が進展し、ガラスクロスを使用しない多層プリント配線板の製造法が検討されており、隣接する配線層のみ接続を行う、いわゆるインタースティシャルバイアホール(IVH)を形成する方法が検討されている。このような例として、銅箔の片面に絶縁接着層を設けた銅箔付き絶縁性接着フィルムに、予め層間接続用の穴をあけたものを、内層回路基板に積層し、内層回路基板上の回路と銅箔付き絶縁性接着フィルムの銅箔を電気的に接続する方法が知られている。また、特開平2−62095号公報には補強材を有する銅箔に、殆ど樹脂流れのない接着シートを張り合わせ、穴あけ後、回路を形成した内層板に積層し、インタースティシャルバイアホールを形成する方法が記載され、効果としては、銅箔にしわ、破れを発生することなく、NC穴加工を行うことができることが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで絶縁接着層と銅箔からなる銅箔付き絶縁性接着フィルムに、予め層間接続用穴をあけたものを、内層回路基板に積層し、内層回路基板上の回路と銅箔付き絶縁性接着フィルムの銅箔を電気的に接続する方法では、その絶縁接着層の流動性を大きくすれば、内層回路の回路間を絶縁接着層で充填でき、回路間の絶縁特性は向上するが、層間接続用穴にまで流動し、穴を塞ぐこともあるという問題が発生し、反対にその絶縁接着層の流動性を小さくすれば、層間接続用穴内に流動する樹脂は少なくなるが、内層回路の回路間を絶縁接着層で十分に充填できずボイド等が存在してしまい、回路間の絶縁特性が低下するという問題が発生する。
【0004】
絶縁接着層が層間接続用穴にまで流動し、穴を塞ぐという問題を避けるために、多層化積層時に絶縁接着層よりも流動性が高いクッション材を、銅箔付き絶縁性接着フィルムとプレス鏡板との間に挿んで、多層化積層する方法があるが、この方法は、クッション材があらかじめ層間接続用の穴に流入することによって、あとから起こる絶縁接着層の流動により穴を塞ぐという問題を避けるために有効であるが、クッション材を介することにより鏡板による加圧の効果が減少するために、多層化積層した基板表面に内層回路に使用した銅箔の厚みに起因する段差が凹凸として現れる。内層回路の凹凸が基板表面に現れると外層回路加工時のエッチングレジストフィルムのラミネートもしくはエッチングレジストインクのスクリーン印刷時に、レジストが凹部に密着せず、回路断線等の不良が多数発生する等、外層回路の形成性が低下する等の問題が生じた。前記した特開平2−62095号公報に記載された方法では、殆ど樹脂流れのない接着シートを使用する必要があり、内層回路の充填性が十分でなく、回路間にボイド等が発生しやすい等の前記問題がみられた。これらの問題を改善するために本発明者らは、積層時に穴あけした高温での弾性率が大きいシート状補強材を穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムに接して配置し、さらに、シート状補強材に接して流動性の大きいクッション材を配置する方法を提案した。この方法では、シート状補強材料が流動し、穴部を塞ぐため絶縁性接着フィルムのしみだしを低減することができ、層間接続のための穴径を小さくすることが可能である。また、シート状補強材が穴あけされてない部分にはクッション材が流動しないため、表面平滑性を向上させることができた。 しかしながら、流動性の大きいクッション材料が内層銅箔の銅箔の凹凸面に流動し、積層後の剥離時に内層銅箔上にクッション材料が残存する現象が生じた。さらに、離型性の良い、シートをラミネートしたクッション材料を使用したところ、離型性の良いシートがクッション材料の流動を妨げ、層間接続用の穴部を十分に塞ぐことができず、絶縁接着材料のしみ出し量が増大し、層間接続信頼性が低下するという現象が生じたため、十分な製造時の信頼性を得ることができなかった。
本発明は、多層プリント配線板の製造方法において、クッション材が内層銅箔の銅箔の凹凸面に流動し、積層後の剥離時に内層銅箔上にクッション材が残存しその後の電気的接続に障害とならないようにすることや層間接続用の穴部を十分に塞ぐことができるようにする多層プリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の多層プリント配線板の製造方法は、
a.銅箔の一方の面にAステージまたはBステージ状の絶縁接着層を有する銅箔付き絶縁性接着フィルムを形成する工程。
b.銅箔付き絶縁性接着フィルムの所定位置に内層回路との電気的接続のための穴あけを行い穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムを作製する工程。
c.補強材に上記の穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムと同じ位置に穴をあけた穴あき補強材を作製する工程。
d.内層回路基板上に、上記穴あけを行った穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムを位置合わせし回路基板と絶縁接着層が接触するように重ね、更にその外側に離型フィルムを重ね、更にその上に、穴あき補強材を重ね、その上に多層化積層時の加圧加熱によって流動し、上記穴あき補強材および穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムの穴に離型フィルムを介して流入するクッション材を重ね、これを鏡板にはさみ、加圧加熱し積層一体化する工程。
e.クッション材、穴あき補強材および離型フィルムを除去する工程。
f.銅箔付き絶縁性接着フィルムに設けた穴を介して、内層回路基板上の回路と、銅箔付き絶縁性接着フィルムの銅箔との電気的接続を行う工程と外層の回路を形成する工程。
g.これらの一連の工程を任意の回数繰り返し行う工程。
を有することを特徴とするものである。本発明の多層プリント配線板の製造方法では、離型フィルムを穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムと穴あき補強材の間に配置することにより、離型フィルムがクッション材の流動を妨げることがなく、流動性の大きいクッション材が離型フィルムを介して内層銅箔の凹凸面に流動し、穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムに設けた穴を塞ぎ、積層一体化後の剥離時に、内層銅箔上の凹凸面に離型フィルムが残存せずに剥離されるため、絶縁性接着材料のしみだしを抑制でき、層間接続のための穴径を小さくすることが可能となる。そして、層間接続信頼性が向上する。本発明では、補強材が銅、アルミニウム、ステンレスまたはガラス転転温度が80℃以上若しくは融点が170℃以上の耐熱性有機材料のうちいずれかであると好ましく、更にその厚さが15〜500μmであると好ましい。また多層化積層時のクッション材の流動性が絶縁接着層の流動性より大きく、離型フィルムの厚さが、5〜70μmで有ると好ましいものである。また、補強材に穴をあける工程において、穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムと同じ位置に、穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムにあけた穴より直径が50μm以上大きな穴をあけた穴あき補強材を作製すると好ましいものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
この銅箔付き絶縁性接着フィルムは、銅箔に絶縁接着材料を塗布した銅箔もしくは、絶縁接着材料を銅箔にラミネートすることにより製造することができる。銅箔の厚さは9μmから50μmのものを使用するのが好ましい。微細配線形成性を向上させるためには銅箔の厚さは薄いほうが好ましく、他方、銅箔が薄くなるほど取り扱い性は低下するので微細回路形成用銅箔としては、12μmから18μmの厚さのものの使用が好ましい。絶縁接着層の厚さは20μmから120μmの厚さとすることが好ましく、生産性や電気特性の点から、40μmから70μmの厚さとすることがより好ましい。したがって、微細回路形成用途の場合の、銅箔および絶縁接着層の厚さの和は52μmから88μmであると好ましい。
【0007】
補強材には、金属箔、金属板や高温での弾性率が大きく剛性のある耐熱性有機材料シートを使用することができ、金属箔、金属板としては、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属箔、金属板、あるいは銅箔に異種金属をめっきしたものが使用できる。また耐熱性有機材料シートとしては、多層化積層時の温度でも剛性の高いことが必要であり、この点からガラス転移温度が80℃以上若しくは融点が170℃以上の耐熱性有機材料が好ましい。このような材料としてはポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシドまたポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテフタレート、ポリスチレン、ポリー4−メルペンテン−1、ナイロン6、ナイロン66等のシートが使用できる。
【0008】
これらの補強材は、外層の凹凸の減少のためには厚くするほど有効であるが、大幅に厚くなるとクッション材を充填する穴体積が大きくなるために、穴内へのクッション材の流動量が不足する問題が出てくるので、厚さは15μmから500μmの範囲で選ばれる。補強材として銅箔を使用する場合には、15μmから70μmの範囲が望ましい。
【0009】
本発明に用いることのできる絶縁接着層の組成はエポキシ樹脂系接着剤、アクリル変成樹脂系あるいはポリイミド樹脂系接着剤等が使用できる。絶縁接着層は、Aステージ状またはBステージ状であることが必要であり、流動性については、樹脂流れが、塗布した状態から170℃、15MPa、10分間の条件でプレス成形したときの面積変化率に換算して、内層回路の導体間を十分に充填させるためとクッション材による穴内への樹脂のしみだしを抑制し層間接続信頼性を向上させる効果の点より0.2〜5.0%の範囲である接着材料を使用することが好ましい。このような絶縁接着材料としては、AS−3000(日立化成工業株式会社製、製品名)やGF−3500(日立化成工業株式会社製、製品名)等がある。この発明でA、B、Cステージとは、絶縁接着層の硬化の程度を示すもので
、Aステージとは、ほぼ未硬化でゲル化していない状態であり、全硬化発熱量の0〜20%の発熱を終えた状態とし、Bステージとは、若干硬化しゲル化が進んだ状態であり、全硬化発熱量の20〜60%の発熱を終えた状態とし、Cステージとは、かなり硬化が進みゲル化した状態であり、全硬化発熱量の60〜100%の発熱を終えた状態とする。そして、A、Bステージ状の絶縁接着層は、室温で固体状であることが必要である。なお、この絶縁接着層を形成するに当たって、ワニスを銅箔やフィルムに塗布する方法としては、バーコータ、リップコータ、ロールコータ等があるがクレータ、ボイド等の欠陥が少なく、塗膜厚をほぼ均一にできる方法ならば、いずれの方法でも良く制限されない。
【0010】
また、発熱量の大きい電子部品を搭載する場合には、この絶縁接着層にアルミナ、シリカ、窒化アルミ等の、無機フィラーや繊維状のウィスカーを加えることができ、その添加量は、樹脂に対し50体積%までの範囲が好ましい。この添加量が多くなるに従い放熱性や剛性が向上するが、その反面絶縁接着層の流動性が低下し、絶縁接着層と内層板との接着性や絶縁接着層と銅箔との接着性が低下するために添加量が50体積%を越えると、十分なはんだ耐熱性を得ることができないおそれがある。
次に、銅箔付き絶縁性接着フィルムへの穴あけは、これを1枚から40枚程度重ね、一括してドリル等により穴あけを行うことができ穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムとする。この積み重ね枚数は多いほど作業能率が向上する点で好ましいが、40枚以上積み重ねると、穴の位置ずれや、ばりが発生するために好ましくなくなる。
【0011】
補強材にあける穴径は、銅箔付き絶縁性接着フィルムにあけた穴径とほぼ同じかそれよりも大きくする必要がある。その理由は剛性を有するシート状材料の穴径を大きくすることによって、銅箔付き絶縁性接着フィルムにあけた穴にクッション材を流入しやすくするためである。一般に穴径に対して穴が深くなるほどクッション材は流入しにくくなる。また、他のもう一つの理由は、基材の穴に流入したクッション材を、多層化積層後に引き抜きやすくするためである。一般に穴径に対して穴が深くなるほどクッション材は引き抜きにくくなる。また、多層化積層時に補強材にあけた穴と銅箔付き絶縁性接着フィルムにあけた穴の位置ずれが発生することがある。補強材が銅箔付き絶縁性接着フィルムの穴入り口の一部を塞ぐほど位置ずれが大きくなると、クッション材は穴内に完全に流入しないという問題が起こる。このような点から補強材にあける穴径は、銅箔付き絶縁性接着フィルムにあける穴径よりも50μm以上大きな穴が有効であることがわかった。位置ずれ、クッション材の流入性、クッション材の引き抜き性等を総合すると、補強材にあける穴径は、銅箔付き絶縁性接着フィルムにあける穴径よりも100μmから500μmの範囲で大きいことが最も好ましい。
【0012】
本発明で用いる穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムと補強材の間に入れて使用する離型フィルムは、内層銅箔の凹凸に食い込み離型性が悪化しないこと、内層銅箔表面に離型剤等が残存し、その後のめっき工程等に悪影響を及ぼさないことが必要である。また、厚みが5μm〜70μmであると好ましい。厚みが5μm未満では、積層作業の作業性が低下し、厚みが70μmを越えると穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムの穴内へのクッション材の流動を妨げるようになったり得られる多層プリント配線板の表面平滑性を損ねるおそれがある。離型フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリふっ化ビニリデン・ポリ四ふっ化エチレン等の含フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、セロファン等、また、各種エンジニアリングプラスチックフィルムを用いることができる。
【0013】
クッション材としては、多層化積層時の加圧加熱条件で、銅箔付き絶縁性接着フィルムの絶縁接着層よりも流動性が高いことが必要である。もし絶縁接着層の流動性が高いと、絶縁接着層に予めあけておいた層間接続用の穴が、絶縁接着層の流動によって塞がれてしまいIVHの形成ができなくなったり、できたとしても内層回路との接続面積が小さくなり接続信頼性が低下してしまい好ましくない。これらを防ぐため銅箔付き絶縁性接着フィルムにあけた穴に離型フィルムを介してクッション材を流入させ、プレス初期に存在していた穴空間を離型フィルムを介してクッション材で充填し、絶縁接着層の流動により層間接続用穴が塞がれることを防止する必要がある。このようなクッション材としてゴムシート、シリコンゴムシート、各種フィルム材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等を使用することができる。クッション材の必要な厚さは、銅箔付き絶縁性接着フィルムの厚さおよび剛性を有するシート状材料の厚さの和の80%以上であることが、基材にあけた穴を充填するために必要である。
銅箔付き絶縁性接着フィルムに設けた穴を介して、内層回路基板上の回路と銅箔付き絶縁性接着フィルムの銅箔との電気的接続である層間接続に関しては、めっき、はんだ、ワイヤボンディング、導電性ペースト等による方法を用いることができる。
【0014】
次に多層化積層方法については、特に制限するものではないが、プレス、真空プレス、ロールラミネート等によることができる。
【0015】
本発明の多層プリント配線板の製造方法では、離型フィルムを穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムと穴あき補強材の間に配置することにより、離型フィルムがクッション材の流動を妨げることがなく、流動性の大きいクッション材が離型フィルムを介して内層銅箔の凹凸面に流動し、穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムに設けた穴を塞ぎ、積層一体化後の剥離時に、内層銅箔上の凹凸面に離型フィルムが残存せずに剥離されるため、絶縁性接着材料のしみだしを抑制でき、層間接続のための穴径を小さくすることが可能となる。そして、層間接続信頼性が向上する。また、従来と同様に、穴あけされてない部分の補強材には、クッション材の流動がなく内層回路の銅箔による凹凸の段差を絶縁性接着フィルムで埋めるので得られる多層プリント配線板の表面を平滑にすることができる。
【0016】
【実施例】
(実施例1)
工程1:
図1(a)に示すように厚さが18μmの銅箔に乾燥後の厚さが55μmになるようにエポキシ樹脂系接着剤を塗布し、130℃で10分間乾燥しBステージ状の銅箔付き絶縁性接着フィルムであるMCF3000E(日立化成工業株式会社製、製品名)を準備した。なお、この絶縁接着層の樹脂の流れ量は0.3%であった。そして、図1(b)に示すように、上記の銅箔付き絶縁性接着フィルム、MCF−3000Eにドリルを用い直径が0.2mmの穴あけを行い穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムを作製した。
工程2:
図1(c)に示すように、補強材として厚さ35μmの両面平滑銅箔を用い、工程1の銅箔付き絶縁性接着フィルムにあけた層間接続用の穴と同じ位置に、直径0.5mmの穴をあけ、穴あき補強材を作製した。
工程3:
図1(d)に示すように、銅箔回路の厚さが18μmの黒化処理を行った内層回路基板上に、工程1で穴あけを行った銅箔付き絶縁性接着フィルムを回路基板と絶縁接着層が接触するように重ね、更にその外側に離型フィルムとして厚み25μmのポリエチレン・ポリふっ化エチレン共重合体フィルムを重ね、その外側に工程2で穴あけを行った補強材を位置合わせして重ね、更にその上にクッション材として、厚さが150μmのポリエチレンフィルムを重ね合わせた。そして、クッション材の上に厚み25μmポリエチレン・ポリふっ化エチレン共重合体離型フィルムを重ね、これらを鏡板に挟み、図1の(e)に示すように、プレスを用いて積層温度170℃、圧力30kgf/cm2、1時間の条件で、加圧加熱して積層一体化した。
工程4:
図1(f)に示すように、クッション材、補強材及び離型フィルムを引き剥がすことによって除去した。
工程5:
図1(g)に示すように、外層の銅箔表面の研磨、洗浄、デスミア処理、めっき前処理、無電解銅めっきそして電気銅めっき、表面の銅箔の不要な箇所をエッチング除去して内層回路基板上の回路と銅箔付き絶縁性接着フィルムの銅箔との電気的接続を行い、また外層の回路を形成し多層プリント配線板を製造した。
【0017】
(比較例1)
補強材として使用した35μm銅箔を用いない他は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0018】
(比較例2)
補強材として使用した35μm銅箔と、クッション材を用いない他は、実施例1と同様にし多層プリント配線板を製造した。
【0019】
(比較例3)
離型フィルムを穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムと補強材の間でなく、補強材とクッション材の間に配置した以外は実施例1と同様にし多層プリント配線板を製造した。
【0020】
(比較例4)
離型フィルムを用いない他は実施例1と同様にし多層プリント配線板を製造した。
【0021】
以上に述べたようにして作製した多層プリント配線板を以下のようして評価した。評価した結果を表1に示す。この結果より、補強材を用いない比較例1では、しみだし量は少ないものの、表面凹凸量が大きく、微細配線が形成しにくい。また補強材とクッション材を用いない比較例2では、しみだし量が大きく0.2mmの穴がほとんど埋まってしまった。また離型フィルムの配置を変更した比較例3では、しみだし量が大きい。これに対し本発明の実施例1は、穴内へのしみだし量が少なく、また表面凹凸量も少なくさらに穴内へのクッション材残りもなく良好であった。
【0022】
(しみだし量)
直径0.2mmの穴をあけた銅箔付き絶縁性接着フィルムを用いた実施例1及び比較例1〜4で得られ多層プリント配線板の積層後に穴からしみだした絶縁接着層の距離を測定した。
(表面の凹凸量)
積層後の外層表面の凹凸を表面粗さ計を用いて測定し、凸部と凹部の高さの差を表面凹凸量として表した。
(ボイド)
多層プリント配線板の外表面の銅箔をエッチング除去して顕微鏡観察を行い、内層回路基板の銅箔と絶縁性接着フィルムとの間に、直径10μmを越える空隙の無いものを良好とし、直径が10μmを越える空隙の発生しているものを不良として評価した。
(穴内の付着物)
多層プリント配線板製造工程中、加熱加圧して積層一体化した後に、クッション材、補強材、離型フィルムを機械的に引き剥がした際に、銅箔付き絶縁性接着フィルムの穴内にクッション材あるいは離型フィルムの一部が残ることなく除去できるかどうかを調べそれらの材料が残ってないものを「なし」とし、それらが一部ちぎれて残っているものを「あり」として評価した。
【0023】
【表1】
Figure 0003543521
【0024】
【発明の効果】
本発明の多層プリント配線板の製造方法により、内層回路基板の銅箔の凹凸を補強材、離型フィルム及びクッション材を使用することにより銅箔付き絶縁性接着フィルムの銅箔面を平坦化することができ、外層回路の微細配線の形成が可能になった。さらにクッション材を離型フィルムを介して銅箔付き絶縁性接着フィルムに形成した穴内に充填して塞ぎ、剥離時に内層回路銅箔の微細な凹凸面に残ることなく剥離することができるため、内層回路銅箔面を塞ぐことなく多層化積層できるようになり、非貫通穴付き(IVH)多層プリント配線板の製造が可能になるとともに多層プリント配線板の小型化や層間接続信頼性の向上が図れた。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(g)は、本発明の一実施例を示す多層プリント配線板の各製造工程の断面を示す概念図である。

Claims (7)

  1. 下記の工程を有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
    a.銅箔の一方の面にAステージまたはBステージ状の絶縁接着層を有する銅箔付き絶縁性接着フィルムを形成する工程。
    b.銅箔付き絶縁性接着フィルムの所定位置に内層回路との電気的接続のための穴あけを行い穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムを作製する工程。
    c.補強材に上記の穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムと同じ位置に穴をあけた穴あき補強材を作製する工程。
    d.内層回路基板上に、上記穴あけを行った穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムを位置合わせし回路基板と絶縁接着層が接触するように重ね、更にその外側に離型フィルムを重ね、更にその上に、穴あき補強材を重ね、その上に多層化積層時の加圧加熱によって流動し、上記穴あき補強材および穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムの穴に離型フィルムを介して流入するクッション材を重ね、これを鏡板にはさみ、加圧加熱し積層一体化する工程。
    e.クッション材、穴あき補強材および離型フィルムを除去する工程。
    f.銅箔付き絶縁性接着フィルムに設けた穴を介して、内層回路基板上の回路と、銅箔付き絶縁性接着フィルムの銅箔との電気的接続を行う工程と外層の回路を形成する工程。
    g.これらの一連の工程を任意の回数繰り返し行う工程。
  2. 補強材が銅、アルミニウム、ステンレスまたはガラス転移温度が80℃以上若しくは融点が170℃以上の耐熱性有機材料のうちいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  3. 補強材の厚さが、15μmから500μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  4. クッション材の厚さが、補強材の厚さと銅箔付き絶縁性接着フィルムの厚さの和の80%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
  5. 多層化積層時のクッション材の流動性が、銅箔付き絶縁性接着フィルムの多層化積層時の流動性よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
  6. 離型フィルムの厚さが5〜70μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
  7. 補強材に穴をあける工程において、穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムと同じ位置に、穴あき銅箔付き絶縁性接着フィルムにあけた穴より直径が50μm以上大きな穴をあけた穴あき補強材を作製することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
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