JP4021501B2 - 多層配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、多層配線板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、多層配線板の高密度化、薄型化が進展し、薄物ガラス−エポキシプリプレグを回路基板の間に挟んで積層多層化する方法、もしくはガラスクロスを使用しないで、可とう性を有するシート状接着材料を回路基板の間に挟んで積層多層化する多層配線板製造法が検討されている。
また、隣接する配線層のみ接続を行う、いわゆるインタースティシャルバイアホールを形成する方法が検討され、例えば、特開平5−259649号公報に開示されているように、層間接続用穴をあらかじめ明けた絶縁接着材料付き銅箔を回路基板に積層する方法が知られている。
さらにまた、回路間の間隙にレジストなどの樹脂を印刷した後、穴明けした絶縁材料を積層する方法が、特開平1−259649号公報に開示され、レジストインクなどの樹脂を塗工または印刷した後、穴明けした絶縁材料を積層する方法が、特開平1−259649号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術のうち、薄物ガラス−エポキシプリプレグを使用して積層多層化する方法については、樹脂の流動量が十分でないため、成形性、回路充填性が十分でないという課題が有った。
また、可とう性を有するシート状接着材料を、回路基板の間に挟んで多層化する方法についても、回路銅箔の厚さが35μm以上になると回路充填性が十分でなかった。
また、層間接続用穴をあらかじめ明けた絶縁接着材料付き銅箔を回路基板に積層する方法では、回路充填性の向上と、層間接続用穴からの絶縁接着材料の流動量低減の両立が難しく、特に回路の厚さが35μm以上の場合には、平坦性と、回路充填性と、層間接続の信頼性の高い多層配線板は得られていなかった。
【0004】
さらにまた、回路間凹部に充填材を印刷する方法では、印刷時のずれなどにより、回路と凹部充填材に間隙が発生するか、または回路と凹部充填材が重なるため凹凸の原因になるなどの課題が発生しており、これを回避するためには、研磨による平滑化などの手段を取る必要があり、製造コストの上昇を招いていた。
また、絶縁接着材料と凹部充填材との接着性が低く、この界面で剥離が起こり易いという課題が有った。
さらに、絶縁接着材料を積層する際に回路と凹部充填材との界面に応力が集中しクラックが発生し信頼性が低下し易いという課題があった。
【0005】
本発明は、回路充填性の向上と、層間接続用穴からの絶縁接着材料の流動量低減の両立ができ、かつ層間接続の信頼性に優れた多層配線板の製造法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の多層配線板の製造法は、回路基板上の凹部に、AまたはBステージで流動性を有する凹部充填材を印刷または塗布する工程、その凹部充填材を乾燥し、AまたはBステージに硬化する工程、この上にシート状絶縁性接着材料を重ね、加圧加熱して積層一体化する工程からなることを特徴とする。
【0007】
例えば、以下の工程のように行う。
(a)回路基板上の凹部に、AまたはBステージで流動性を有する凹部充填材を印刷または塗布する工程
(b)凹部充填材を乾燥し、AまたはBステージに硬化する工程
(c)回路基板上に、予め穴明けしたシート状絶縁接着材料付き銅箔を回路と接着材料とが接するように重ね、加圧加熱して積層一体化する工程
(d)層間接続を含む回路形成を行う工程
(e)必要に応じて前記工程(a)〜(d)を繰り返し多層化する工程
【0008】
また、以下のようにすることもできる。
(a)回路基板上の凹部に、Bステージで流動性を有する凹部充填材を印刷または塗布する工程
(b)凹部充填材を乾燥し、Bステージに硬化する工程
(c)回路基板上に、ケミカルエッチングにより穴明け可能なシート状絶縁接着材料付き銅箔を重ね、加圧加熱して積層一体化する工程
(d)銅箔に回路形成を行う工程
(e)形成した回路をレジストとしてシート状絶縁接着材料をケミカルエッチングにより除去することにより層間接続穴を形成し、層間接続を行う工程
(f)必要に応じて前記工程(a)〜(e)を繰り返し多層化する工程
【0009】
また、この凹部充填材には、高熱伝導の無機フィラーを含ませることもできる。
【0010】
本発明に用いる回路基板には、ガラス布−エポキシ樹脂を用いた銅張り積層板、紙−フェノール樹脂を用いた銅張り積層板、金属ベース基板、金属コア基板等がある。
【0011】
凹部充填材の組成に関しては、AまたはBステージ状態で流動性を有することが必要である。絶縁信頼性の良好であることが好ましく、例えばエポキシ樹脂系、フェノール樹脂系が示される。またこれらの樹脂系と無機フィラーとの混合物を用いることができる。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナなどを用いることができる。また市販の熱硬化型ソルダーレジストCCR−506GTH(アサヒ化研株式会社製、商品名)、紫外線硬化型ソルダーレジスト(アサヒ化研株式会社製、商品名)などを用いても良い。
【0012】
また凹部充填材の流動性を調節するため、または機械的強度を向上する、または熱膨張率の調整、あるいはコストを低減するなどのために各種フィラーを加えても良い。その例としては、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、タルクなどが挙げられる。
【0013】
また、配線板の放熱性を向上させるため、凹部充填材に高放熱無機フィラーを含有せしめることができる。その例としては、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどが挙げられる。
【0014】
なお、ここでA,B,Cステージとは、以下に定義するものである。
本発明でいうA,B,Cステージは、接着剤の硬化の程度を示すものであり、Aステージとは、ほぼ未硬化でゲル化していない状態を示し、全硬化発熱量の0〜20%の発熱を終えた状態であり、Bステージとは若干硬化、ゲル化が進んだ状態を示し、全硬化発熱量の20〜60%の発熱を終えた状態であり、Cステージとはかなり硬化が進みゲル化した状態を示し、全硬化発熱量の60〜100%の発熱を終えた状態であることとする。
【0015】
絶縁接着材料については特に制限するものではないが、エポキシ樹脂、イミド樹脂などの電気的特性の良好なものが好ましい。また、可とう性成分として、ゴム、フェノキシ樹脂、高分子量エポキシ樹脂、超高分子量エポキシ樹脂などを加えることができる。また、これらを銅箔に塗布したものか、または、これらの絶縁接着材料をフィルム化したものと銅箔を積層一体化したものを用いても良い。また絶縁接着材料に高放熱性の無機フィラーを含有せしめることにより、多層配線板の放熱性を向上させることができる。また、この場合、金属ベース基板などの放熱性の高い回路基板と組み合わせることにより放熱性向上の効果が大きくなる点で好ましい。
【0016】
絶縁接着材料に関しては、積層後にドリルにより穴を明けてもよいが、予めドリルまたはパンチングにより穴を明ける方式、あるいはケミカルエッチングより積層後に穴明けする方式等があり、特に制限するものではない。先に穴明けした後積層する場合には、穴明け部からのしみだしが少ないものである必要がある。
【0017】
続いて、製造法について説明する。凹部充填材の印刷、または塗工方法に関しては、スクリーン印刷法などがある。これらの方法を用いて回路基板の凹部に印刷を行った後、乾燥を行う。凹部充填材の量については凹部を埋めるに十分な量を印刷もしくは塗布する必要がある。
【0018】
印刷パターンについては回路と凹部充填材が重ならないように0.05〜0.2mm程度の間隙を置くことが望ましい。間隔については印刷精度により調整をすることが望ましい。なお回路間隙が0.4mmより小さい場合には、この間に印刷を行うことが難しく、その場合には回路上に層間接続がない場合には、全面に印刷する。回路上の凹部充填材は積層時の圧力により流動するため、良好な基板平坦性が得られる。凹部充填材を印刷または塗布した回路基板と接着材料を積層する。この際に凹部充填材に流動性が有るため積層時に流動し、その結果、回路と凹部充填材の間隙を気泡などが発生しないように充填することができる。積層後、必要に応じて導電ペースト、めっき、ワイヤボンディングなどにより層間接続を図ることができる。
【0019】
次に絶縁接着材料の積層方法については、プレス、真空プレス、ホットロールラミネータ、真空ラミネータなどを使用することができる。
続いてエッチングレジストを形成し、不要な銅をエッチング除去して、基板の必要な箇所に導体回路を形成する。以上の製造工程を1回または必要に応じて経ることによって目的の多層配線板を得ることができる。
【0020】
【作用】
絶縁接着材料と回路層を複数を配した多層配線板において、回路間の凹部を樹脂により平坦化を行った後、接着材料を積層することによって多層配線板を構成することにより、多層配線板の成形性向上、表面平坦化、薄型化を図ることができた。
絶縁接着材料と回路層を複数を配した多層配線板において、回路間の凹部を樹脂により平坦化を行った後、予め層間接続を行う部分に穴明け加工を施した絶縁接着材料付き銅箔もしくは接着材料を積層することによって多層配線板を構成することにより、上記の効果に加えて層間接続信頼性向上を図ることができた。凹部充填材及びもしくは絶縁接着材料に高熱伝導の無機フィラーを含むことにより上記の効果に加えて、基板の放熱性を向上することが出来た。
【0021】
【実施例】
実施例1
(1)回路を作製した銅箔の厚さが35μmであるガラスエポキシ片面板にソルダーレジスト(CCR−506GTH(アサヒ化研株式会社製、商品名)を、乾燥後の膜厚が35μmになるように印刷した後、110℃にて10分乾燥する。
(2)低分子エポキシ樹脂と高分子量エポキシ樹脂を主成分とするシート状絶縁接着材料(厚さ100μm)を、前記の凹部充填材料を印刷した配線板2枚の間に挟んで加熱加圧一体化する。
(3)めっきにより層間接続を行う。
【0022】
実施例2
(1)銅箔の厚さが70μmである配線板にソルダーレジスト(CCR−506GTH(アサヒ化研株式会社製、商品名)を乾燥後の膜厚が70μmになるように印刷した後、110℃にて10分乾燥硬化する。
(2)低分子エポキシ樹脂と高分子量エポキシ樹脂を主成分とする絶縁接着材料(50μm)付き銅箔の層間接続を行う部所にパンチングで穴明けを行い、これと前記の凹部充填材料を印刷した配線板を加熱加圧一体化する。
(3)めっきにより層間接続を行う。
(4)銅箔のエッチング処理によりパターンを形成する。
【0023】
実施例3
(1)銅箔の厚さが70μmである配線板にソルダーレジスト(CCR−506GTH(アサヒ化研株式会社製、商品名)を乾燥後の膜厚が70μmになるように印刷した後、110℃にて10分乾燥硬化する。
(2)低分子エポキシ樹脂と高分子量エポキシ樹脂を主成分とする絶縁接着材料(50μm)付き銅箔の層間接続を行う部所にパンチングで穴明けを行い、これと前記の凹部充填材料を印刷した配線板を加熱加圧一体化する。
(3)めっきにより層間接続を行う。
(4)銅箔のエッチング処理によりパターンを形成する。
【0024】
比較例1
凹部充填材料によって回路間の凹部の充填を行わない他は、実施例1と同様である。
【0025】
比較例2
凹部充填材料の乾燥硬化条件が160℃、30分であり、流動性のない状態に硬化した以外は実施例2と同様である。
【0026】
以上述べたようにして作製した多層配線板の特性を、表1に示す。
本発明による多層配線板は比較例に比べて表面平坦性の点で優れている。
【0027】
【表1】
1)耐電圧は上下パターン間で測定。
【0028】
ここで、評価の判断基準を説明する。
(回路充填性)
顕微鏡観察により、下層回路と絶縁接着材料との間に、直径10μm以上の空隙の発生があるものを不良とし、空隙が直径10μm以下であれば良好とした。
(耐電圧)
25℃で、上下回路間に、交流電圧を0Vから、100V/secで増加し、電流1mA以上流れたときの電圧とした。
(はんだ耐熱性)
基板を、260℃のはんだ浴に180秒間浸漬し、膨れや剥がれの発生しないものを良好とした。
【0029】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によって、回路充填性の向上と、層間接続用穴からの絶縁接着材料の流動量低減の両立ができ、かつ層間接続の信頼性に優れた多層配線板の製造法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
Claims (2)
- 以下の工程を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
(a)厚さ35μm以上の回路が形成された回路基板上の凹部に、AまたはBステージで流動性を有する凹部充填材を、回路と凹部充填材が重ならないように0.05〜0.2mmの間隔を置いて印刷または塗布する工程
(b)凹部充填材を乾燥し、AまたはBステージに硬化する工程
(c)回路基板上に、予め穴明けしたシート状絶縁接着材料付き銅箔を回路と接着材料とが接するように重ね、加圧加熱して積層一体化するとともに、積層時の圧力により凹部充填材を流動させて回路基板表面を平坦化する工程
(d)層間接続を含む回路形成を行う工程
(e)必要に応じて前記工程(a)〜(d)を繰り返し多層化する工程 - 凹部充填材及びもしくは絶縁接着材料に、高熱伝導の無機フィラーを含むことを特徴とする請求項1記載の多層配線板の製造方法。
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1994
- 1994-02-14 JP JP1704894A patent/JP4021501B2/ja not_active Expired - Fee Related
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