JP3940617B2 - 配線基板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学的な粗化が難しいコア基板の主面に絶縁樹脂層を強固に被着でき、電子部品を実装する際の急激な温度変化でも絶縁樹脂層に膨れや剥がれのない、コア基板とこれに被着された絶縁樹脂層との間の密着信頼性に優れた配線基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、現在の電子機器は、移動体通信機器に代表されるように小型・薄型・軽量化が要求されてきており、このような電子機器に搭載される電子装置を構成する配線基板にも小型・薄型・多端子化が求められてきている。そのため、そのような電子装置を構成する配線基板においては、その配線導体の幅を細くするとともに配線導体同士の間隔を狭くし、さらに複数層の配線導体を間に絶縁層を挟んで多層化することにより高密度配線化が図られている。
【0003】
このような高密度配線が可能な配線基板として、ビルドアップ法を採用して製作された配線基板が知られている。ビルドアップ法とは、例えば、ガラスクロスやアラミド不織布等の繊維基材に耐熱性のエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて硬化した絶縁層と銅箔から成る配線層とを交互に複数層積層して成るコア基板の表面に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂から成る絶縁樹脂層を被着形成した後、この絶縁樹脂層にレーザで径が50〜200μm程度の貫通孔を、その下の配線層の一部を露出させるようにして穿設し、次に、その絶縁樹脂層を例えば、過マンガン酸水溶液等の粗化液で化学的に粗化し、さらにその粗化された絶縁樹脂層の表面、貫通孔の内壁および貫通孔の内部に露出した配線層上に無電解銅めっき層を被着した後、その無電解銅めっき層上に電解銅めっき層を全面あるいは部分的に被着させ、しかる後、その無電解銅めっき層および電解銅めっき層を所定パターンにエッチングすることにより絶縁樹脂層の上面に配線導体を形成するとともに貫通孔の内壁に下層の配線層と上層の配線導体とを電気的に接続する貫通導体を形成し、さらに、その上に同様にして次層の絶縁樹脂層や貫通導体・配線導体の形成を複数回繰り返すことにより多層配線構造の配線基板を製作する方法である。このようにして製作された配線基板は、その上面に露出する配線導体に電子部品の電極が接続される電子部品接続用の実装用電極が設けられており、その実装用電極に電子部品の電極を例えば半田等から成る導体バンプを介して接合することにより、その上面に電子部品が実装される。
【0004】
なお、絶縁樹脂層の表面を化学的に粗化するのは、絶縁樹脂層とその上に被着される銅めっき層とを、化学的な粗化によって絶縁樹脂層の表面に形成された微小な凹凸を介して互いに機械的に噛み合わせ、それにより両者を強固に密着させるためである。
【0005】
しかしながら、上記のコア基板は、最外層の絶縁層表面に形成された配線層により表面が凹凸状態となることから、コア基板の上に絶縁樹脂層を被着させると、絶縁樹脂層に大きな凹凸が形成されて、絶縁樹脂層に配線導体を微細かつ正確なパターンに形成することが困難であるという問題点を有していた。
【0006】
そこで、近時は、繊維基材に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させて成る絶縁層の上下面に、予め所定のパターンにエッチングされた銅箔から成る配線層を貼着させておき、配線層が貼着された複数の未硬化の絶縁層を上下に重ねるとともに、加熱装置を備えたプレス装置により加熱しながらプレスすることにより、複数の絶縁層および配線層を積層すると同時に各絶縁層に貼着した配線層を各絶縁層中に完全に埋入させることにより、その上下面が平坦なコア基板を得る方法が採用されるようになってきている。
【0007】
しかしながら、上記の方法により上下面が平坦なコア基板を得る場合、絶縁層中の熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いると、エポキシ樹脂は、加熱硬化する際に一旦極めて低粘度となる性質を有しているために、絶縁層に貼着させた配線層がプレスの圧力により絶縁層上で変形したり移動してしまい、その結果、配線層を正確に形成することができないという問題点を有していた。このため、コア基板用の絶縁層ではエポキシ樹脂に代えて硬化時の粘度がエポキシ樹脂に較べて高い変性ポリフェニレンエーテル樹脂が用いられるようになってきている。
【0008】
絶縁層中の熱硬化性樹脂として変性ポリフェニレンエーテル樹脂を用いることにより、銅箔から成る配線層が貼着された未硬化の絶縁層を積層・プレスして上下面が平坦なコア基板を製作したとしても、積層時に配線層の変形やずれがない高精細のコア基板を得ることができる。このようなコア基板は、上下面が平坦なため研磨等の平坦化工程が不用となっている。なお、このようなコア基板は、その形状が弾性率の高い繊維基材に拘束されており、コア基板の外周辺に対して平行に配列されているので、コア基板の熱膨張の方向が外周辺と平行になるため、配線基板はその長さ方向や幅方向に熱膨張する。
【0009】
そして、その表面に熱硬化性樹脂から成る絶縁樹脂層と銅めっきから成る貫通導体および配線導体を交互に複数層積層することにより、高精細なビルドアップ配線基板が得られる。なお、コア基板の表面に絶縁樹脂層を良好に被着するために粗化を行なう必要がある。
【0010】
ところで、コア基板上に被着させる絶縁樹脂層として変性ポリフェニレンエーテル樹脂を用いると、変性ポリフェニレンエーテル樹脂は化学的な安定性が高いので絶縁樹脂層の表面を十分に化学的に粗化することができず、そのため絶縁樹脂層の表面にめっき法により配線導体層を強固に被着させることが困難である。従って、コア基板上に被着させる絶縁樹脂層としては、化学的に粗化しやすいエポキシ樹脂が採用されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コア基板に用いられる変性ポリフェニレンエーテル樹脂が化学的に安定で粗化することが困難であり、コア基板の表面にエポキシ樹脂から成る絶縁樹脂層を積層した場合、コア基板の変性ポリフェニレンエーテル樹脂と絶縁樹脂層のエポキシ樹脂とが強固に結合することができず、その結果、コア基板とその上に積層された絶縁樹脂層との密着力が弱いものとなってしまうという問題点を有していた。そのため、このような配線基板は、例えばその表面に電子部品を実装する際に、急激な温度変化が加わったりあるいは電子部品を実装した後に電子部品が作動する際に発生する熱や外部環境による熱等が長期間にわたり繰返し加わったりすると、絶縁樹脂層とコア基板との間で膨れや剥がれが発生してしまうという問題点があった。
【0012】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、コア基板の主面に絶縁樹脂層を強固に被着でき、電子部品を実装する際の急激な温度変化や電子部品が作動する際に発生する熱や外部環境による熱履歴が長期間にわたり繰り返し加わったとしても、絶縁樹脂層に膨れや剥がれがなく、コア基板とこれに被着された絶縁樹脂層との間の密着信頼性に優れた配線基板およびその製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の配線基板は、繊維基材に変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含浸させて成る絶縁層に配線層をその表面が絶縁層の表面と同一面をなすように埋入して成る回路基板を複数積層して成る略四角平板状のコア基板の主面に、エポキシ樹脂から成る絶縁樹脂層と配線導体とを交互に積層して成る配線基板において、コア基板は主面に深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕が、1cmあたり1000本以上の密度で主面上の互いに直交する二方向に沿って形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の配線基板は、上記構成において、互いに直交する二方向が、コア基板の外周辺に対して30〜60度の方向とされていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の配線基板の製造方法は、繊維基材に変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含浸させて成る絶縁層に配線層をその表面が絶縁層の表面と同一面をなすように埋入して成る回路基板を複数積層して成る略四角平板状のコア基板を得る工程と、このコア基板の主面を、この主面上の互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ研磨し、コア基板の主面に深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕を1cmあたり1000本以上の密度で互いに直交する二方向に沿って形成する工程と、コア基板の研磨痕を形成した主面に、エポキシ樹脂から成る絶縁樹脂層と配線導体とを交互に積層する工程とを順次行なうことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の配線基板の製造方法は、上記製造方法において、互いに直交する二方向が、コア基板の外周辺に対して30〜60度の方向とされていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の配線基板によれば、コア基板の主面の全面に、深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕をコア基板の主面上の互いに直交する二方向に沿って形成したので、コア基板の主面上に積層された絶縁樹脂層の一部がコア基板の主面に形成された溝状の研磨痕に入り込んでアンカーの役目を果たし、コア基板と絶縁樹脂層とが機械的に強固に接合され、その結果、電子部品を実装する際の急激な温度変化や電子部品が作動する際に発生する熱や外部環境による熱履歴が長期間にわたり繰り返し加わったとしても、絶縁樹脂層に膨れや剥がなく、コア基板とこれに被着された絶縁樹脂層との間の密着信頼性に優れたものとすることができる。
【0018】
また、本発明の配線基板によれば、上記構成において、コア基板の主面に形成した研磨痕の互いに直交する二方向をコア基板の外周辺に対して30〜60度の方向としたので、配線基板に実装された電子部品が作動する際に発生する熱等が印加されて、配線基板がその長さ方向や幅方向に熱膨張したとしても、溝状の研磨痕の方向と熱膨張の方向とが平行になることはなく、その結果、溝状の研磨痕に埋め込まれた絶縁樹脂層がより強固なアンカー効果を発揮し、コア基板と絶縁樹脂層の接合をより強固なものとすることができる。
【0019】
本発明の配線基板の製造方法によれば、繊維基材に変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含浸させた絶縁層と配線層とを交互に複数層積層した略四角平板状のコア基板を得る工程と、コア基板の主面の全面を、その主面上の互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ研磨し、コア基板の主面に深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕を、互いに直交する二方向に沿って形成する工程と、コア基板の研磨痕を形成した主面に、エポキシ樹脂から成る絶縁樹脂層と配線導体とを交互に積層する工程とを順次行なうことから、コア基板の主面上に積層された絶縁樹脂層の一部がコア基板の主面に形成された溝状の研磨痕に入り込んでアンカーの役目を果たし、コア基板と絶縁樹脂層とが機械的に強固に接合され、その結果、電子部品を実装する際の急激な温度変化や電子部品が作動する際に発生する熱や外部環境による熱履歴が長期間にわたり繰り返し加わったとしても、絶縁樹脂層に膨れや剥がなく、コア基板とこれに被着された絶縁樹脂層との間の密着信頼性に優れた配線基板を得ることができる。
【0020】
また、本発明の配線基板の製造方法によれば、上記製造方法において、コア基板の主面に形成する研磨痕の互いに直交する二方向を、コア基板の外周辺に対して30〜60度の方向としたので、配線基板に実装された電子部品が作動する際に発生する熱等が印加されて、配線基板がその長さ方向や幅方向に熱膨張したとしても、溝状の研磨痕の方向と熱膨張の方向とが平行になることはなく、その結果、溝状の研磨痕に埋め込まれた絶縁樹脂層がより強固なアンカー効果を発揮し、コア基板と絶縁樹脂層の接合がより強固な配線基板を得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の配線基板およびその製造方法を添付の図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の配線基板を半導体素子等の電子部品を実装するために用いられる配線基板に適用した場合の実施の形態の一例を示す断面図であり、図2はコア基板の平面図である。これらの図において、1は絶縁層、2aは配線層、2bは配線導体、3a・3bは貫通導体、4はコア基板、5は絶縁樹脂層であり、主にこれらで本発明の配線基板が構成される。また、6はコア基板4の主面に形成された研磨痕である。そして、この配線基板上に、半導体素子等の電子部品が例えば半田リフロー等により実装されて電子装置と成る。
【0022】
本発明の配線基板は、繊維基材に変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含浸させて成る絶縁層1に配線層2aをその表面が絶縁層1の表面と同一面をなすように埋入して成る回路基板を複数積層して成る略四角平板状のコア基板4の主面に、エポキシ樹脂から成る絶縁樹脂層5と金属層から成る配線導体2bとを交互に積層して成る。
【0023】
コア基板4は、その厚みが0.15〜1.5mmであり、絶縁樹脂層5を支持する機能を有し、厚みが0.15mm未満であると配線基板の剛性が低下し、反りが発生し易くなる傾向があり、1.5mmを超えると配線基板が不要に厚いものとなり配線基板を軽量化することが困難となる傾向がある。従って、コア基板4の厚みは0.15〜1.5mmの範囲が好ましい。なお、図1では、コア基板4を4層の絶縁層1を積層して成る場合の例を示している。
【0024】
コア基板4を構成する絶縁層1は、その厚みが50〜150μmであり、配線層2aを支持するとともに上下に位置する配線層2a間の貫通導体3aを保持する機能を有し、ガラスクロスやアラミド不織布等の繊維基材に変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含浸させて成る。なお、絶縁層1は、その厚みが50μm未満であるとその剛性が低下して、その取り扱いが困難となる傾向があり、150μmを超えるとその厚みが不要に厚いものとなり配線基板の軽量化が困難となる傾向がある。したがって、絶縁層1の厚みは50〜150μmの範囲が好ましい。
【0025】
このような絶縁層1は、変性ポリフェニレンエーテル樹脂を40〜50質量%含有することが好ましく、変性ポリフェニレンエーテル樹脂の含有量が40質量%より少ないと、繊維基材に変性ポリフェニレンエーテル樹脂が充分に含浸されず絶縁層1に空隙が生じやすく、そのように絶縁層1に空隙が生じると、絶縁層1に膨れや剥がれが生じてしまう危険性が大きくなる。他方、50質量%を超えると絶縁層1を積層する際に絶縁層1が変形しやすくなり、その結果、絶縁層1の表面に配線層2aを正確な位置および形状に設けることが困難となる傾向にある。従って、絶縁層1は変性ポリフェニレンエーテル樹脂を40〜50質量%含有することが好ましい。なお、変性ポリフェニレンエーテル樹脂の架橋密度をあげるために、絶縁層1にトリアリルイソシアヌレート等の架橋剤を添加しても良い。
【0026】
また、配線層2aは、幅が20〜200μm、厚みが5〜50μm程度で、銅やアルミニウム・ニッケル・銀・金等の金属箔から成り、各絶縁層1の表面に被着・埋入されており、後述する銅めっきから成る配線導体2b等とともに半導体素子等の電子部品(図示せず)の各電極を外部電気回路基板(図示せず)に電気的に接続する導電路の一部としての機能する。なお、配線層2aは、特に加工性に優れかつ安価であるという観点から銅箔から成ることが好ましい。
【0027】
なお、配線層2aは、その幅が20μm未満となると配線層2aの変形や断線が発生しやすくなる傾向があり、200μmを超えると高密度配線が形成できなくなる傾向がある。また、配線層2aの厚みが5μm未満になると配線層2aの強度が低下し変形や断線が発生しやすくなる傾向があり、50μmを超えると絶縁層1への埋入が困難となる傾向がある。従って、配線層2aは、その幅を20〜200μm、厚みを5〜50μmの範囲とすることが好ましい。
【0028】
また、各絶縁層1には、その上面から下面にかけて金属粉末を含有する導体を充填して成る貫通導体3aが複数個配設されている。これらの貫通導体3aは、絶縁層1の上下に位置する配線層2a間を電気的に接続する機能を有し、その直径が30〜100μmであり、絶縁層1に設けた貫通孔内に銅や銀・錫合金等の金属粉末とトリアジン系熱硬化性樹脂等とから成る導体を埋め込むことにより形成されている。なお、貫通導体3aの直径が30μm未満になると貫通導体3aの形成が困難となる傾向があり、100μmを超えると高密度配線が形成できなくなる傾向がある。従って、貫通導体3aの直径は30〜100μmの範囲とすることが好ましい。
【0029】
このようなコア基板4は、以下に述べる方法により製作される。
まず、ガラスクロス等の繊維基材に未硬化の変性ポリフェニレンエーテル樹脂のペーストをその含有量が40〜50重量%になるように含浸させるとともに未硬化状態に乾燥することにより絶縁層1用の絶縁シートを製作する。次に、その絶縁層1用の絶縁シートの所定の位置に炭酸ガスレーザやYAGレーザ等の従来周知の方法を採用して直径が30〜100μm程度の貫通孔を穿設する。そして、次に貫通孔内に従来周知のスクリーン印刷法を採用して、例えば錫や銅等の金属粉末およびトリアジン系樹脂等の未硬化の熱硬化性樹脂を含む貫通導体3a用の導体ペーストを充填する。その後、別途準備した、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の耐熱性樹脂から成る離型フィルムの表面に銅箔から成る配線層2aを所定のパターンに被着形成した転写シートを絶縁層1用の絶縁シート上に、貫通導体3a用の導体ペーストと配線層2aとが接続されるように位置合わせして重ね合わせ、これらを熱プレス機を用いて100〜150℃の温度で数分間プレスすることにより転写シートの配線層2aを絶縁層1用の絶縁シートの表面に圧接して、配線層2aの転写シート側の面が絶縁シートの表面と同一面をなすように埋入させる。しかる後、転写シートの離型フィルムを絶縁層1用の絶縁シートから剥離するとともに、表面に配線層2aを埋入した絶縁層1用の絶縁シートを複数枚上下に重ね合わせ、それらを熱プレス機を用いて150〜200℃の温度で数時間加熱プレスして絶縁シート中の変性ポリフェニレンエーテル樹脂および貫通導体3a用の導体ペースト中の熱硬化性樹脂を熱硬化させることにより、絶縁層1と配線層2aとが交互に積層されているとともに、絶縁層1を挟んで上下に位置する配線層2a同士が絶縁層1を貫通する貫通導体3aで電気的に接続されて成る略四角平板状のコア基板4が得られる。このとき、配線層2aが絶縁層1に埋入しているため、コア基板4の主面は平坦となっている。
【0030】
なお、上述したように絶縁層1中の変性ポリフェニレンエーテル樹脂の含有量を40〜50質量%の範囲としたことから、絶縁層1用の絶縁シートを積層して熱プレスする際に絶縁シート中の変性ポリフェニレンエーテル樹脂が繊維基材に隙間なく含浸・圧縮されて大きく流動することなく熱硬化されるので絶縁層1に膨れや剥がれが発生することがないとともに、絶縁層1の表面に埋入された配線層2aに変形やずれが発生することがない。また、絶縁層1中に形成される貫通導体3aの金属粉末同士も配線層2aの厚み分だけ圧接さるので電気的に良好に接続され、その結果、電気的接続信頼性に優れる貫通導体3aとすることができる。
【0031】
さらに、コア基板4の主面には、その全面に、深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕6が、主面上の互いに直交する二方向に沿って形成されている。そして、本発明の配線基板においてはこのことが重要である。
【0032】
なお、ここでいう直交とは90±20度の幅を有するものである。また、同一方向の研磨痕6の全てが完全に平行となっている必要はなく、同一方向になるように形成された研磨痕6のそれぞれの方向がある一方向に対して±20度以内におさまっていればよい。さらに、多数の溝状の研磨痕6が形成されているとは、その長さが5mm以上で配線基板の対角線の長さ以下の溝が、研磨痕6の幅方向1cmあたり1000本以上形成されていることをいう。
【0033】
本発明の配線基板によれば、コア基板4の主面の全面に、深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕6を、コア基板4の主面上の互いに直交する二方向に沿って形成したので、コア基板4の主面上に積層される、後述する絶縁樹脂層5の一部がコア基板4の主面に形成された溝状の研磨痕6に入り込んでアンカーの役目を果たし、コア基板4と絶縁樹脂層5とが機械的に強固に接合され、その結果、電子部品を実装する際の急激な温度変化や電子部品が作動する際に発生する熱や外部環境による熱履歴が長期間にわたり繰り返し加わったとしても、絶縁樹脂層5に膨れや剥がなく、コア基板4とこれに被着された絶縁樹脂層5との間の密着信頼性に優れたものとすることができる。
【0034】
なお、溝状の研磨痕6の深さが1μm未満であるとコア基板4の主面に形成された溝状の研磨痕6と絶縁樹脂層5との噛み合いが弱いものとなり、コア基板4の主面に絶縁樹脂層5を強固に密着させることが困難となる傾向にあり、他方、5μmを超えると、そのような溝状の研磨痕6を形成する際に、コア基板4の表面に埋入した配線層2aが断線し易くなる傾向にある。従って、溝状の研磨痕6の深さは1〜5μmの範囲とすることが重要である。また、溝状の研磨痕6の幅が2μm未満であると、コア基板4の主面に形成された溝状の研磨痕6の内部に絶縁樹脂層5が入り込みにくくなり、そのため溝状の研磨痕6と絶縁樹脂層5とが良好に噛み合わなくなり、コア基板4の主面に絶縁樹脂層5を強固に密着させることができなくなる傾向がある。他方、10μmを超えるとコア基板4の主面に形成された溝状の研磨痕6と絶縁樹脂層5とのアンカー効果が小さいものとなり、コア基板4の主面に絶縁樹脂層5を強固に密着させることができなくなる傾向にある。従って、研磨痕6の溝の幅は2〜10μmでなければならない。
【0035】
さらに、研磨痕6の直交する二方向のなす角度が70度未満あるいは110度を超えると、溝状の研磨痕6の方向と熱膨張の方向が平行に近くなり、配線基板に熱履歴が長期にわたり繰返し加わった際に、絶縁樹脂層5とコア基板4との間で膨れや剥がれが生じ易くなる傾向がある。また、同一方向になるように形成された研磨痕6のそれぞれの方向がある一方向に対して±20度を超えると、溝状の研磨痕6の方向と熱膨張の方向とが平行に近いものとなり、長期にわたり熱履歴が繰返し加わった際に、絶縁樹脂層5とコア基4板との間で膨れや剥がれが生じてしまうとなる傾向がある。
【0036】
さらに、溝状の研磨痕6の長さが5mm未満であると、溝状の研磨痕6と絶縁樹脂層5とのアンカー効果が弱いものとなり、コア基板4の主面に絶縁樹脂層5を強固に密着させることが困難となる傾向がある。また、溝状の研磨痕6の数が、その幅方向1cmあたり1000本未満であると、溝状の研磨痕6と絶縁樹脂層5との噛み合いが弱いものとなり、コア基板4の主面に絶縁樹脂層5を強固に密着させることが困難となる傾向がある。なお、溝状の研磨痕6の数は多い程、コア基板4と絶縁樹脂層5との密着性を良好とすることができるが、通常は幅方向1cmあたり1000〜5000本程度である。従って、研磨痕6の直交する二方向のなす角度が90±20度、同一方向になるように形成された研磨痕6のそれぞれの方向がある一方向に対して±20度、溝状の研磨痕6の長さが5mm以上および溝状の研磨痕6の数がその幅方向1cmあたり1000本以上であることが重要である。
【0037】
また、研磨痕6の主面の互いに直交する二方向が、コア基板4の外周辺に対してそれぞれ30〜60度の方向とされていることが好ましい。コア基板4の主面に形成した研磨痕6の互いに直交する二方向をコア基板の外周辺に対して30〜60度の方向とすることにより、配線基板に実装された電子部品が作動する際に発生する熱等が印加されて、配線基板がその長さ方向や幅方向に熱膨張したとしても、溝状の研磨痕6の方向と熱膨張の方向とが平行になることはなく、その結果、溝状の研磨痕6に埋め込まれた絶縁樹脂層5がより強固なアンカー効果を発揮し、コア基板4と絶縁樹脂層5の接合をより強固なものとすることができる。なお、コア基板4の主面に形成した研磨痕6の互いに直交する二方向がコア基板の外周辺に対して30度より小さいまたは60度より大きい方向とされている場合、溝状の研磨痕6に埋め込まれた絶縁樹脂層5のアンカー効果が小さなものとなる傾向がある。従って、研磨痕6の主面の互いに直交する二方向が、コア基板4の外周辺に対して30〜60度であることが好ましい。
【0038】
このようなコア基板4の溝状の研磨痕6は、次に述べる方法により形成される。まず支持板にコア基板4を貼付ける。次に、ポリエステル不織布に直径が1〜10μmの砥粒子を付着させたバフロールを1000〜3000rpmで回転させる。そして、コア基板4の主面の互いに直交する二方向がその外周辺に対して30〜60度になるような方向で、コア基板4を一定の押し圧および0.5〜2m/分の速度でロール表面を移動させることによりコア基板4の表面を数回研磨し、さらに、裏面も同様に研磨することにより、コア基板4の主面の全面に、深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕6が主面上の互いに直交する二方向に沿って形成される。
【0039】
さらに、コア基板4の主面には、絶縁樹脂層5が被着形成されている。絶縁樹脂層5は、銅めっきから成る配線導体2bの支持体としての機能を有し、その厚みが10〜80μmであり、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と平均粒径が0.01〜2μmで含有量が10〜50重量%のシリカやアルミナ・窒化アルミニウム等の無機絶縁フィラーとから成る。無機絶縁フィラーは、絶縁樹脂層5の熱膨張係数を調整し配線導体2bの熱膨脹係数と整合させるとともに、絶縁樹脂層5の表面に適度な凹凸を形成し、配線導体2bと絶縁樹脂層1bとの密着性を良好となす機能を有する。
【0040】
なお、無機絶縁フィラーは、その平均粒径が0.01μm未満であると、フィラー同士が凝集して厚みが均一な絶縁樹脂層5を形成することが困難となる傾向があり、2μmを超えると絶縁樹脂層5の表面の凹凸が大きなものとなり過ぎ配線導体2bと絶縁樹脂層5との密着性を低下させてしまう傾向がある。従って、無機絶縁フィラーの平均粒径は、0.01〜2μmの範囲が好ましい。また、無機絶縁フィラーの含有量が10重量%未満であると、絶縁樹脂層5の熱膨張係数を調整する作用が小さくなる傾向があり、50重量%を超えると樹脂量が減少し絶縁樹脂層5を成形することが困難となる傾向がある。従って、無機絶縁フィラーの含有量は、10〜50重量%の範囲が好ましい。
【0041】
このような絶縁樹脂層5は、エポキシ樹脂と平均粒径0.01〜2μmの無機絶縁フィラーとから成る絶縁樹脂層5をコア基板4の主面に貼着し、150〜200℃で熱硬化することによりコア基板4の主面に被着される。なお、絶縁樹脂層5に含有されるエポキシ樹脂は、熱硬化の際にその粘度が極端に低くなることから、エポキシ樹脂の一部がコア基板4の主面に形成した多数の溝状の研磨痕に埋入され、アンカー効果を発揮することとなる。
【0042】
また、絶縁樹脂層5には、レーザ加工により貫通孔が形成されている。さらに、絶縁樹脂層5上に後述する方法で銅めっきから成る配線導体2bを、貫通孔の内部に銅めっきから成る貫通導体3bを形成した後、同様にして次の絶縁樹脂層5を順次積み重ねることによって積層されて配線基板が製造される。
【0043】
なお、絶縁樹脂層5上の銅めっきから成る配線導体2bは、その幅が10〜50μmであり、その厚みが1〜2μmの無電解銅めっき層と厚みが10〜30μmの電解銅めっき層とから成り、配線基板に搭載される半導体素子等の電子部品の各電極を外部電気回路基板に電気的に接続する導電路としての機能を有する。
【0044】
このような銅めっきから成る配線導体2bおよび貫通導体3bは、次に述べる方法により形成される。まず、絶縁樹脂層5の表面および貫通孔の内壁を過マンガン酸塩類水溶液等の粗化液に浸漬し表面を粗化した後、無電解めっき用パラジウム触媒の水溶液中に浸漬し表面にパラジウム触媒を付着させ、さらに、硫酸銅・ホルマリン・EDTAナトリウム塩・安定剤等から成る無電解銅めっき液に約30分間浸漬して厚みが1〜2μm程度の無電解銅めっき層を析出させる。次に、無電解銅めっき層の上面に耐めっき樹脂層を被着し露光・現像により銅めっきの配線導体2bのパターン形状に、電解銅めっき層を被着させるための開口部を複数形成し、さらに、硫酸・硫酸銅5水和物・塩素・光沢剤等から成る電解銅めっき液に数A/dm2の電流を印加しながら数時間浸漬することにより開口部および貫通孔の内壁に電解銅めっき層を被着させる。しかる後、耐めっき樹脂層を水酸化ナトリウムで剥離し、さらに、耐めっき樹脂層を剥離したことにより露出する無電解銅めっき層を硫酸と過酸化水素水の混合物等の硫酸系水溶液によりエッチング除去することにより形成される。
【0045】
さらに、絶縁樹脂層5の一方の最外層表面に形成された配線導体2bの一部は、電子部品の各電極に導体バンプ13aを介して接合される電子部品接続用の実装用電極11aを形成し、また、絶縁樹脂層5の他方の最外層表面に形成された配線導体2bの一部は、外部電気回路基板の各電極に導体バンプ13bを介して接続される外部接続用の実装用電極11bを形成している。
【0046】
なお、実装用電極11a・11bの表面には、その酸化腐蝕を防止するとともに導体バンプ13a・13bとの接続を良好とするために、半田等の導体バンプ13a・13bとの濡れ性が良好で耐腐蝕性に優れたニッケル−金等のめっき層が被着されている。
【0047】
また、最外層の絶縁樹脂層5および実装用電極11a・11bには、その中央部を露出させる開口を有する耐半田樹脂層12が被着されている。耐半田樹脂層12は、その厚みが10〜50μmであり、例えばアクリル変性エポキシ樹脂等の感光性樹脂と光開始剤等とから成る混合物に30〜70重量%のシリカやタルク等の無機粉末フィラーを含有させた絶縁材料から成り、隣接する実装用電極11a・11b同士が導体バンプ13a・13bにより電気的に短絡することを防止するとともに、実装用電極11a・11bと絶縁樹脂層5との接合強度を向上させる機能を有する。
【0048】
このような耐半田樹脂層12は、感光性樹脂と光開始剤と無機粉末フィラーとから成る未硬化樹脂フィルムを最外層の絶縁樹脂層5表面に被着させる、あるいは、熱硬化性樹脂と無機粉末フィラーとから成る未硬化樹脂ワニスを最外層の絶縁樹脂層5表面に塗布するとともに乾燥し、しかる後、露光・現像により開口部を形成し、これをUV硬化および熱硬化させることにより形成される。
【0049】
かくして、本発明の配線基板によれば、コア基板4の主面の全面に、深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕6を、コア基板4の主面上の互いに直交する二方向に沿って形成したことから、コア基板4の主面上に積層された絶縁樹脂層5がコア基板4の主面に形成された溝状の研磨痕6と噛み合ってコア基板4と絶縁樹脂層5とが機械的に強固に接合される。
【0050】
また、本発明の配線基板において、コア基板4の主面に形成した研磨痕6の互いに直交する二方向を、コア基板4の外周辺に対して30〜60度の方向としたことから、配線基板に実装された電子部品が作動する際に発生する熱等が印加されて、配線基板がその長さ方向や幅方向に熱膨張したとしても、溝状の研磨痕6の方向と熱膨張の方向とが平行になることはなく、その結果、溝状の研磨痕6に埋め込まれた絶縁樹脂層5がより強固なアンカー効果を発揮し、コア基板4と絶縁樹脂層5の接合をより強固なものとすることができる。
【0051】
次に、本発明の配線基板の製造方法を、図3(a)〜(c)を用いて詳細に説明する。図3(a)〜(c)は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための各工程毎の断面図である。なお、図1と同じ部材は、図1と同じ符号を付した。
【0052】
まず、ガラスクロス等の繊維基材に変性ポリフェニレンエーテル樹脂をその含有量が40〜50重量%になるように含浸させて未硬化状態に乾燥することにより絶縁層1用の絶縁シートを製作する。次に、絶縁シートの所定の位置に炭酸ガスレーザやYAGレーザ等の従来周知の方法を採用して直径が30〜100μmの貫通孔を穿設する。そして、貫通孔に従来周知のスクリーン印刷法を採用して、例えば錫や銅等の金属粉末およびトリアジン系樹脂等の熱硬化性樹脂を含む貫通導体3aと成る導体ペーストを充填する。その後、別途準備した、表面に金属箔から成る配線層2aを所定のパターンに被着形成した、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の耐熱性樹脂からなる転写シートを絶縁シートに、所定の貫通導体3aと成る導体ペーストと配線層2aとが接続するように位置合わせして重ね合わせ、これらを熱プレス機を用いて100〜150℃の温度で数分間プレスすることにより転写シートを絶縁シートに圧接して、配線層2aの転写シート側の面が絶縁シートの表面と同一面をなすように埋入させる。しかる後、転写シートを絶縁シートから剥離するとともに配線層2aを埋入した絶縁シートを複数枚上下に重ね合わせ、熱プレス機を用いて150〜200℃の温度で数時間加熱プレスすることにより、図3(a)に断面図で示すような略四角平板状のコア基板4を得る。
【0053】
次に、コア基板4を支持板(図示せず)に貼付ける。次に、ポリエステル不織布に直径が1〜10μmの研磨粉末を付着させたバフロールを1000〜3000rpmで回転させる。そして、主面の互いに直交する二方向がコア基板4の外周辺に対して30〜60度の方向となるように、コア基板4を一定の押し圧および0.5〜2m/分の速度でロール表面を移動させることによりコア基板4の表面を数回研磨し、さらに、裏面も同様に研磨することにより、図3(b)に断面図で示すように、コア基板4の主面の全面に、深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕6を、主面上の互いに直交する二方向に沿って形成する。
【0054】
本発明の配線基板の製造方法においては、コア基板4の主面の全面に、深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕6を主面上の互いに直交する二方向に沿って形成することが重要である。
【0055】
なお、ここでいう直交あるいはとは90±20度の幅を有するものである。また、同一方向の研磨痕6の全てが完全に平行となっている必要はなく、同一方向になるように形成された研磨痕6のそれぞれの方向がある一方向に対して±20度以内におさまっていればよい。さらに、多数の溝状の研磨痕6が形成されているとは、その長さが5mm以上で配線基板の対角線の長さ以下の溝が、研磨痕6の幅方向1cmあたり1000本以上形成されていることをいう。
【0056】
本発明の配線基板の製造方法によれば、コア基板4の主面の全面に、深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕6を、コア基板4の主面上の互いに直交する二方向に沿って形成したので、コア基板の主面上に積層される、後述する絶縁樹脂層5の一部がコア基板4の主面に形成された溝状の研磨痕6に入り込んでアンカーの役目を果たし、コア基板4と絶縁樹脂層5とが機械的に強固に接合され、その結果、電子部品を実装する際の急激な温度変化や電子部品が作動する際に発生する熱や外部環境による熱履歴が長期間にわたり繰り返し加わったとしても、絶縁樹脂層5に膨れや剥がなく、コア基板4とこれに被着される絶縁樹脂層5との間の密着信頼性に優れた配線基板を得ることができる。
【0057】
なお、溝状の研磨痕6の深さが1μm未満であるとコア基板4の主面に形成された溝状の研磨痕6と絶縁樹脂層5とのアンカー効果が小さいものとなり、コア基板4の主面に絶縁樹脂層5を強固に密着させることが困難となる傾向にあり、他方、5μmを超えると、そのような溝状の研磨痕6を形成する際に、コア基板4の表面に埋入した配線層2aが断線し易くなる傾向にある。従って、溝状の研磨痕6の深さは1〜5μmの範囲とすることが重要である。
【0058】
また、溝状の研磨痕6の幅が2μm未満であると、コア基板4の主面に形成された溝状の研磨痕6の内部に絶縁樹脂層5が入り込みにくくなり、そのため溝状の研磨痕6と絶縁樹脂層5とが良好に噛み合わなくなり、コア基板4の主面に絶縁樹脂層5を強固に密着させることができなくなる傾向がある。他方、10μmを超えるとコア基板4の主面に形成された溝状の研磨痕6と絶縁樹脂層5との噛み合いが弱いものとなり、コア基板4の主面に絶縁樹脂層5を強固に密着させることができなくなる傾向にある。従って、研磨痕6の溝の幅は2〜10μmでなければならない。
【0059】
さらに、研磨痕6の直交する二方向のなす角度が70度未満あるいは110度を超えると、溝状の研磨痕6の方向と熱膨張の方向が略平行となり、長期にわたり熱履歴が繰返し加わったたりすると、絶縁樹脂層5とコア基板4との間で膨れや剥がれが生じてしまう傾向がある。また、同一方向になるように形成された研磨痕6のそれぞれの方向がある一方向に対して±20度を超えると、溝状の研磨痕6の方向と熱膨張の方向が略平行となり、長期にわたり熱履歴が繰返し加わったたりすると、絶縁樹脂層5とコア基板4との間で膨れや剥がれが生じてしまう傾向がある。さらに、溝状の研磨痕6の長さが5mm未満であると、溝状の研磨痕6と絶縁樹脂層5との噛み合いが弱いものとなり、コア基板4の主面に絶縁樹脂層5を強固に密着させることが困難となる傾向がある。また、溝状の研磨痕6の数が、その幅方向1cmあたり1000本未満であると、溝状の研磨痕6と絶縁樹脂層5との噛み合いが弱いものとなり、コア基板4の主面に絶縁樹脂層5を強固に密着させることが困難となると成る傾向がある。なお、溝状の研磨痕6の数は多い程、コア基板4と絶縁樹脂層5との密着性を良好とすることができるが、通常は幅方向1cmあたり2000〜5000本程度である。従って、研磨痕6の直交する二方向のなす角度が90±20度、同一方向になるように形成された研磨痕6のそれぞれの方向がある一方向に対して±20度、溝状の研磨痕6の長さが5mm以上および溝状の研磨痕6の数がその幅方向1cmあたり1000本以上であることが重要である。
【0060】
また、研磨痕6の主面の互いに直交する二方向が、コア基板4の外周辺に対してそれぞれ30〜60度の方向とされていることが好ましい。コア基板4の主面に形成した研磨痕6の互いに直交する二方向をコア基板の外周辺に対して30〜60度の方向とすることにより、配線基板に実装された電子部品が作動する際に発生する熱等が印加されて、配線基板がその長さ方向や幅方向に熱膨張したとしても、溝状の研磨痕6の方向と熱膨張の方向とが平行になることはなく、その結果、溝状の研磨痕6に埋め込まれた絶縁樹脂層5がより強固なアンカー効果を発揮し、コア基板4と絶縁樹脂層5の接合をより強固なものとすることができる。なお、コア基板4の主面に形成した研磨痕6の互いに直交する二方向がコア基板の外周辺に対して30度より小さいまたは60度より大きい方向とされている場合、溝状の研磨痕6に埋め込まれた絶縁樹脂層5のアンカー効果が小さなものとなる傾向がある。
【0061】
さらに、研磨痕6の主面の互いに直交する二方向が、コア基板4の外周辺に対して30〜60度の方向とすることにより、後述するコア基板4の主面にバフロールを用いて溝状の研磨痕6を形成する際に、バフロールにコア基板4の角部から挿入することとなり、コア基板4の外周辺に欠けが発生することはなく、コア基板の主面の全面に均一な良好に溝状の研磨痕6を形成することが可能となる。従って、研磨痕6の主面の互いに直交する二方向が、コア基板4の外周辺に対して30〜60度の方向であることが好ましい。
【0062】
次に、コア基板4の研磨痕6を形成した主面に、エポキシ樹脂から成る絶縁樹脂層5と金属層から成る配線導体2bとを交互に積層する。絶縁樹脂層5は、エポキシ樹脂と平均粒径0.01〜2μmの無機絶縁フィラーとから成る樹脂フィルムをコア基板4の主面に貼着するとともに150〜200℃で熱硬化することにより形成される。
【0063】
また、絶縁樹脂層5には、レーザ加工により貫通孔が形成されている。さらに、絶縁樹脂層5上に後述する方法で銅めっきから成る配線導体2bを、貫通孔の内部に銅めっきから成る貫通導体3bを形成した後、同様にして次の絶縁樹脂層5を順次積み重ねることによって積層されて図3(c)に断面図で示す配線基板が製造される。
【0064】
なお、絶縁樹脂層5上の銅めっきから成る配線導体2bは、その幅が10〜50μmであり、その厚みが1〜2μmの無電解銅めっき層と厚みが10〜30μmの電解銅めっき層とから成り、配線基板に搭載される半導体素子等の電子部品の各電極を外部電気回路基板に電気的に接続する導電路としての機能を有する。
【0065】
このような銅めっきから成る配線導体2bおよび貫通導体3bは、次に述べる方法により形成される。まず、絶縁樹脂層5の表面および貫通孔の内壁を過マンガン酸塩類水溶液等の粗化液に浸漬し表面を粗化した後、無電解めっき用パラジウム触媒の水溶液中に浸漬し表面にパラジウム触媒を付着させ、さらに、硫酸銅・ホルマリン・EDTAナトリウム塩・安定剤等から成る無電解銅めっき液に約30分間浸漬して厚みが1〜2μm程度の無電解銅めっき層を析出させる。次に、無電解銅めっき層の上面に耐めっき樹脂層を被着し露光・現像により銅めっきの配線導体2bのパターン形状に、電解銅めっき層を被着させるための開口部を複数形成し、さらに、硫酸・硫酸銅5水和物・塩素・光沢剤等から成る電解銅めっき液に数A/dm2の電流を印加しながら数時間浸漬することにより開口部および貫通孔の内壁に電解銅めっき層を被着させる。しかる後、耐めっき樹脂層を水酸化ナトリウムで剥離し、さらに、耐めっき樹脂層を剥離したことにより露出する無電解銅めっき層を硫酸と過酸化水素水の混合物等の硫酸系水溶液によりエッチング除去することにより形成される。
【0066】
さらに、絶縁樹脂層5の一方の最外層表面に形成された配線導体2bの一部は、電子部品の各電極に導体バンプ(図示せず)を介して接合される電子部品接続用の実装用電極11aを形成し、また、絶縁樹脂層5の他方の最外層表面に形成された配線導体2bの一部は、外部電気回路基板の各電極に導体バンプ(図示せず)を介して接続される外部接続用の実装用電極11bを形成している。
【0067】
なお、実装用電極11a・11bの表面には、その酸化腐蝕を防止するとともに導体バンプ(図示せず)との接続を良好とするために、半田等の導体バンプ(図示せず)との濡れ性が良好で耐腐蝕性に優れたニッケル−金等のめっき層が被着されている。
【0068】
また、最外層の絶縁樹脂層5および実装用電極11a・11bには、その中央部を露出させる開口を有する耐半田樹脂層12が被着されている。耐半田樹脂層12は、その厚みが10〜50μmであり、例えばアクリル変性エポキシ樹脂等の感光性樹脂と光開始剤等とから成る混合物に30〜70重量%のシリカやタルク等の無機粉末フィラーを含有させた絶縁材料から成り、隣接する実装用電極11a・11b同士が導体バンプにより電気的に短絡することを防止するとともに、実装用電極11a・11bと絶縁樹脂層5との接合強度を向上させる機能を有する。
【0069】
このような耐半田樹脂層12は、感光性樹脂と光開始剤と無機粉末フィラーとから成る未硬化樹脂フィルムを最外層の絶縁樹脂層5表面に被着させる、あるいは、熱硬化性樹脂と無機粉末フィラーとから成る未硬化樹脂ワニスを最外層の絶縁樹脂層5表面に塗布するとともに乾燥し、しかる後、露光・現像により開口部を形成し、これをUV硬化および熱硬化させることにより形成される。
【0070】
かくして、本発明の配線基板の製造方法によれば、繊維基材に変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含浸させた絶縁層1と金属層から成る配線層2aとを交互に複数層積層した略四角平板状のコア基板4を得る工程と、コア基板4の主面の全面を、その主面上の互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ研磨し、コア基板4の主面に深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕6を、互いに直交する二方向に沿って形成する工程と、コア基板4の研磨痕6を形成した主面に、エポキシ樹脂から成る絶縁樹脂層5と金属層から成る配線層2aとを交互に積層する工程とを順次行なうことから、コア基板4の主面上に積層された絶縁層樹脂層5がコア基板4の主面に形成された溝状の研磨痕6と噛み合ってコア基板4と絶縁樹脂層5とが機械的に強固に接合された配線基板を得ることができる。
【0071】
また、本発明の配線基板の製造方法において、コア基板4の主面に形成する研磨痕6の互いに直交する方向を、コア基板4の外周辺に対して30〜60度とすると、研磨痕6を形成する際にコア基板4の外周辺に欠けが発生しにくく、それによりコア基板4の主面の全面に均一に研磨痕6が形成され、コア基板4と絶縁樹脂層5とがより強固に接合された配線基板を得ることができる。
【0072】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0073】
【実施例】
本発明の配線基板のコア基板と絶縁樹脂層との接着信頼性を評価するために、以下に説明するような配線基板を作成した。
【0074】
まず、ガラスクロス等の繊維基材に変性ポリフェニレンエーテル樹脂をその含有量が45重量%になるように含浸させて乾燥することにより絶縁層1用の絶縁シートを製作する。次に、絶縁シートの所定の位置に炭酸ガスレーザやYAGレーザ等の従来周知の方法を採用して直径が100μmの貫通孔を穿設する。そして、貫通孔に従来周知のスクリーン印刷法を採用して、銅粉末およびトリアジン系樹脂等の熱硬化性樹脂を含む貫通導体3aとなる導体ペーストを充填する。その後、別途準備した、表面に銅箔から成る配線層2aを所定のパターンに被着形成した、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の耐熱性樹脂からなる転写シートを絶縁シートに、所定の貫通導体3aとなる導体ペーストと配線層2aとが接続するように位置合わせして重ね合わせ、これらを熱プレス機を用いて120℃の温度で数分間プレスすることにより転写シートを絶縁シートに圧接して、配線層2aの転写シート側の面が絶縁シートの表面と同一面をなすように、銅箔から成る配線層2aを絶縁シートに転写埋入させた。しかる後、転写シートを絶縁シートから剥離するとともに銅箔から成る配線層2aを埋入した絶縁層1を複数枚上下に重ね合わせ、熱プレス機を用いて200℃の温度で3時間加熱プレスすることにより、略四角平板状のコア基板4を得た。
【0075】
次に、コア基板4を支持板に貼付け、ポリエステル不織布に平均粒径がそれぞれ0.1〜20μmの研磨粉末を付着させたバフロールを2000rpmで回転させるとともに、主面の互いに直交する二方向がコア基板4の外周辺に対して45度になるように、コア基板4を一定の押し圧および1.0m/分の速度でロール表面を移動させることにより数回研磨し、さらに、裏面も同様に研磨することにより、コア基板4の主面の全面に、表1に示すような深さと幅の多数の溝状の研磨痕6を、主面上の互いに直交する二方向に沿って形成した。なお、この時、研磨痕6の直交する二方向のなす角度が90度であり、また溝状の研磨痕6の長さが平均5mm、さらに溝状の研磨痕6の数がその幅方向1cmあたり平均2500本であった。
【0076】
次に、絶縁樹脂層5は、エポキシ樹脂と平均粒径1μmの無機絶縁フィラーとから成る樹脂フィルムをコア基板4主面に貼着し、180℃で熱硬化して形成した。また、ピール強度用のパターン(幅1cm)をコア基板4の表面に貼着し熱硬化した後、パターン端から引き剥がしてピール強度を測定した。
【0077】
次に、絶縁樹脂層5にレーザ加工により貫通孔を形成するとともに、その表面および貫通孔の内壁を過マンガン酸塩類水溶液等の粗化液に浸漬して、絶縁樹脂層5の表面および貫通孔の内壁を粗化した。次に、絶縁樹脂層5を無電解めっき用パラジウム触媒の水溶液中に浸漬してその表面および貫通孔の内壁にパラジウム触媒を付着させ、さらに、硫酸銅・ホルマリン・EDTAナトリウム塩・安定剤等から成る無電解銅めっき液に約30分間浸漬してその表面および貫通孔の内壁に厚みが1.5μm程度の無電解銅めっき層を析出させ、しかる後、無電解銅めっき層の上面に耐めっき樹脂層を被着し露光・現像により銅めっきの配線導体2bのパターン形状に、電解銅めっき層を被着させるための開口部を複数形成し、さらに、硫酸・硫酸銅5水和物・塩素・光沢剤等から成る電解銅めっき液に3A/dm2の電流を印加しながら数時間浸漬することにより開口部および貫通孔の内壁に電解銅めっき層を被着させ、その後、耐めっき樹脂層を水酸化ナトリウムで剥離し、さらに、耐めっき樹脂層を剥離したことにより露出する無電解銅めっき層を硫酸と過酸化水素水の混合物等の硫酸系水溶液によりエッチング除去して、銅めっきから成る配線導体2bおよび銅めっきから成る貫通導体3bを形成した。同様にして次の絶縁樹脂層5を順次積み重ねることによって積層して、試験用の配線基板を製造した。
【0078】
評価試験は、コア基板状に被着した絶縁樹脂層のピール強度測定、ピール強度測定用のサンプルと同じ条件のものを電子部品の実装条件と略同じ条件である270℃のリフロー炉を3回通した後の外観の目視検査、および、温度サイクル(TCT)で行なった。温度サイクルは、気相冷熱試験機を用い、サンプルを温度が−55℃および125℃の気相中に各30分間放置しこれを1サイクルとして500、1000、1500、2000サイクル後に絶縁樹脂層の剥離の確認を目視で行なった。
実験結果を表1および表2に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
表1からは、研磨痕6の深さが0.5μmであるとピール強度が低く、密着強度が低いためにリフロー炉を通すと膨れが発生した。また、深さが7μmであると研磨により配線層の一部が欠け、断線が発生した。それに対し、研磨痕6の深さが1〜5μmの範囲では、ピール強度が0.7〜1.2kg/cmと良好な値を示し、また実装後においても膨れや配線層の断線は発生しなかった。
【0082】
また、研磨痕6の幅が0.5μm、1μmの場合、絶縁樹脂層5が溝に良好に埋め込まれずピール強度が0.2kg/cm、0.5kg/cmと低い値となり、実装後においても膨れが発生した。さらに、12μm、15μmであると、研磨痕6のアンカー効果が小さくピール強度が0.5kg/cm、0.3kg/cmと低くなり、実装後において膨れが発生した。これに対して、研磨痕6の幅が2〜10μmの範囲では、ピール強度が実用使用範囲である0.7kg/cm以上となり、電子部品を実装する際の急激な温度変化でも、コア基板4と絶縁樹脂層5との間に膨れや剥がれのないことが判った。
【0083】
表2からは、研磨方向がコア基板の外周辺に対して20度(この場合、一方向を20度、それと直行する方向を70度とした)および70度(この場合、一方向を70度、それと直行する方向を20度とした)の場合、TCT1500サイクルまででコア基板と絶縁樹脂層間で剥離が発生した。それに対して、研磨方向がコア基板の外周辺に対して30度(この場合、一方向を30度、それと直行する方向を60度とした)〜60度(この場合、一方向を60度、それと直行する方向を30度とした)の範囲では、TCT2000回においても、コア基板と絶縁樹脂層間で剥離が発生せず、コア基板と絶縁樹脂層との密着性の良好な配線基板であることがわかった。
【0084】
【発明の効果】
本発明の配線基板によれば、コア基板の主面の全面に、深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕を、コア基板の主面上の互いに直交する二方向に沿って形成したので、コア基板の主面上に積層された絶縁樹脂層がコア基板の主面に形成された溝状の研磨痕と噛み合ってコア基板と絶縁樹脂層とが機械的に強固に接合され、その結果、電子部品を実装する際の急激な温度変化や電子部品が作動する際に発生する熱や外部環境による熱履歴が長期間にわたり繰り返し加わったとしても、絶縁樹脂層に膨れや剥がなく、コア基板とこれに被着された絶縁樹脂層との間の密着信頼性に優れたものとすることができる。
【0085】
また、本発明の配線基板によれば、上記構成において、コア基板の主面に形成した研磨痕の互いに直交する二方向をコア基板の外周辺に対して30〜60度の方向としたので、配線基板に実装された電子部品が作動する際に発生する熱等が印加されて、配線基板がその長さ方向や幅方向に熱膨張したとしても、溝状の研磨痕の方向と熱膨張の方向とが平行になることはなく、その結果、溝状の研磨痕に埋め込まれた絶縁樹脂層がより強固なアンカー効果を発揮し、コア基板と絶縁樹脂層の接合をより強固なものとすることができる。
【0086】
本発明の配線基板の製造方法によれば、繊維基材に変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含浸させた絶縁層と金属層から成る配線導体とを交互に複数層積層した略四角平板状のコア基板を得る工程と、コア基板の主面の全面を、その主面上の互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ研磨し、コア基板の主面に深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕を、互いに直交する二方向に沿って形成する工程と、コア基板の研磨痕を形成した主面に、エポキシ樹脂から成る絶縁樹脂層と配線導体とを交互に積層する工程とを順次行なうことから、コア基板の主面上に積層された絶縁樹脂層がコア基板の主面に形成された溝状の研磨痕と噛み合ってコア基板と絶縁樹脂層とが機械的に強固に接合され、その結果、電子部品を実装する際の急激な温度変化や電子部品が作動する際に発生する熱や外部環境による熱履歴が長期間にわたり繰り返し加わったとしても、絶縁樹脂層に膨れや剥がなく、コア基板とこれに被着された絶縁樹脂層との間の密着信頼性に優れた配線基板を得ることができる。
【0087】
また、本発明の配線基板の製造方法によれば、上記製造方法において、コア基板の主面に形成する研磨痕の互いに直交する二方向を、コア基板の外周辺に対して30〜60度の方向としたので、配線基板に実装された電子部品が作動する際に発生する熱等が印加されて、配線基板がその長さ方向や幅方向に熱膨張したとしても、溝状の研磨痕の方向と熱膨張の方向とが平行になることはなく、その結果、溝状の研磨痕に埋め込まれた絶縁樹脂層がより強固なアンカー効果を発揮し、コア基板と絶縁樹脂層の接合がより強固な配線基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】コア基板の平面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の配線基板の製造方法を示す工程毎の断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・絶縁層
2a・・・・・配線層
2b・・・・・配線導体
3・・・・・・貫通導体
4・・・・・・コア基板
5・・・・・・絶縁樹脂層
6・・・・・・研磨痕
Claims (4)
- 繊維基材に変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含浸させて成る絶縁層に配線層をその表面が前記絶縁層の表面と同一面をなすように埋入して成る回路基板を複数積層して成る略四角平板状のコア基板の主面に、エポキシ樹脂から成る絶縁樹脂層と配線導体とを交互に積層して成る配線基板において、前記コア基板は前記主面に深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕が、1cmあたり1000本以上の密度で前記主面上の互いに直交する二方向に沿って形成されていることを特徴とする配線基板。
- 前記互いに直交する二方向が、前記コア基板の外周辺に対して30〜60度の方向とされていることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
- 繊維基材に変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含浸させて成る絶縁層に配線層をその表面が前記絶縁層の表面と同一面をなすように埋入して成る回路基板を複数積層して成る略四角平板状のコア基板を得る工程と、
該コア基板の主面を、該主面上の互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ研磨し、前記コア基板の主面に深さが1〜5μmで、幅が2〜10μmの多数の溝状の研磨痕を1cmあたり1000本以上の密度で前記互いに直交する二方向に沿って形成する工程と、
前記コア基板の前記研磨痕を形成した主面に、エポキシ樹脂から成る絶縁樹脂層と配線導体とを交互に積層する工程とを順次行なうことを特徴とする配線基板の製造方法。 - 前記互いに直交する二方向が、前記コア基板の外周辺に対して30〜60度の方向とされていることを特徴とする請求項3記載の配線基板の製造方法。
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