しかしながら、上記従来技術では、ニッケルメタライズ金属層を銅めっき被覆層で被覆する際に、ニッケルメタライズ金属層の表面の凹凸に対して銅めっきが十分に追従しない。そのため、両層の界面に隙間が生じやすく銅めっき被覆層の密着性が低下するため、銅めっき被覆層が剥がれることがあり、信頼性に問題があった。従って、このような外部電極内部における2層間の密着性の問題を解決するためには、ニッケルメタライズ金属層の表面の凹凸に対して銅めっきを十分に追従させる必要がある。具体的には、銅めっき被覆層を構成する銅粒子の粒径を、ニッケルメタライズ金属層を構成するニッケル粒子の粒径よりも小さく設定して銅めっきを行うことで、銅めっき被覆層を形成することが考えられる。しかしながら、銅めっき被覆層を構成する銅粒子が小径化した結果、コンデンサを配線基板に内蔵する工程における表面粗化処理の際に、銅めっき被覆層表面から銅粒子が脱粒しやすくなる。そのため、粗化不良が起こり、銅めっき被覆層の周囲に存在する樹脂絶縁層との間にデラミネーションが発生する結果、外部電極と樹脂層間絶縁層との間の密着性が低下するという問題があった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部電極内部や外部電極と樹脂絶縁層間での剥離が起こりにくいため信頼性が高く、かつ低抵抗な外部電極を備えた配線基板内蔵用部品及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記部品を内蔵した好適な配線基板を提供することにある。
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、配線基板に内蔵される部品であって、主面及び裏面を有するセラミック焼結体と、前記セラミック焼結体の主面及び裏面の少なくとも一方の上に配置され、ニッケルを含むメタライズ金属層の表面上に銅からなる被覆層を形成した構造を有する外部電極とを備え、前記被覆層の深部に存在する銅粒子の平均粒径は、前記メタライズ金属層を構成する無機材料粒子の平均粒径よりも小さく、前記被覆層の浅部に存在する銅粒子の平均粒径は、前記深部に存在する銅粒子の平均粒径よりも大きくかつ前記メタライズ金属層を構成する無機材料粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とした配線基板内蔵用部品、がある。
従って、手段1に記載の発明によると、被覆層の深部に存在する銅粒子の平均粒径は、メタライズ金属層を構成する無機材料粒子の平均粒径よりも小さいため、メタライズ金属層の表面の凹凸に対して銅粒子が入り込みやすくなり、メタライズ金属層に対する被覆層の追従性が増す。ゆえに、メタライズ金属層と被覆層との界面に隙間が生じにくくなりこれら2層間の密着性が向上する結果、外部電極内層での剥離が発生しにくくなる。しかも、メタライズ金属層の表面の凹凸が吸収されることで、外部電極の表面の平滑性が向上する。また、被覆層の浅部に存在する銅粒子の平均粒径は、深部に存在する銅粒子の平均粒径よりも大きくかつメタライズ金属層を構成する無機材料粒子の平均粒径よりも小さいため、例えば表面粗化処理等を経ても被覆層表面から銅粒子が脱粒しにくくなる。ゆえに、被覆層の周囲に存在する樹脂材料との間にデラミネーションが発生しにくく、外部電極と樹脂材料との間の密着性が向上する。しかも、被覆層の浅部に存在する銅粒子の粒界領域が減少することで、外部電極の低抵抗化にもつながる。以上の結果、信頼性に優れかつ低抵抗な配線基板内蔵用部品を実現することが可能となる。
前記被覆層は、前記メタライズ金属層上に形成された前記深部としての第1銅めっき層と、前記第1銅めっき層上に形成された前記浅部としての第2銅めっき層とからなる2層構造を有するものであってもよい。あるいは、前記被覆層は、前記深部から前記浅部に行くに従って銅粒子の平均粒径が大きくなっている銅めっき層であってもよい。つまり、被覆層は必ずしも明確に2層に分かれていなくてもよい。
被覆層の浅部に存在する銅粒子の平均粒径は、メタライズ金属層を構成する無機材料粒子の平均粒径よりも小さい必要があり、例えば後者の平均粒径が通常5μm超であることを考慮すると、前者の平均粒径を0.5μm以上5μm以下とすることがよく、さらには0.5μm以上3μm以下とすることがよく、特には0.5μm以上1.5μm以下とすることがよい。この下限値が0.5μm未満であると、被覆層表面からの銅粒子の脱粒を十分に防止できなくなるおそれがあるほか、外部電極の低抵抗化を十分に達成できなくなるおそれがある。また、この上限値が5μm超であると、メタライズ金属層を構成する無機材料粒子の平均粒径との差が小さくなるばかりでなく、外部電極表面の凹凸が大きくなることで表面の平滑性が低下するおそれがある。
被覆層の深部に存在する銅粒子の平均粒径は、浅部に存在する銅粒子の平均粒径よりもさらに小さい必要があることから、0.5μm未満とすることがよく、特には0.1μm以上0.3μm未満に設定することがよい。この上限値が0.5μm以上であると、浅部に存在する銅粒子の平均粒径との差が小さくなるばかりでなく、メタライズ金属層に対する被覆層の追従性が低下するおそれがあり、また、外部電極の表面を十分に平滑化できなくなるおそれがある。なお、この上限値が0.5μm未満であれば、外部電極をその厚さ方向に切った断面において、被覆層の深部に存在する銅粒子が、メタライズ電極層を構成する無機材料粒子に2つ以上接することとなり、好ましい。この場合にはメタライズ金属層に対する被覆層の追従性が高いものとなる。
前記被覆層が第1銅めっき層と第2銅めっき層とからなる2層構造を有するものである場合、各々のめっき層の厚さは特に限定されず任意に設定することが可能である。例えば、第1銅めっき層の厚さは、そこに存在している銅粒子の平均粒径よりも大きいことが好ましく、0.5μm以上5μm以下であることがよい。同様に、第2銅めっき層の厚さは、そこに存在している銅粒子の平均粒径よりも大きいことが好ましく、1μm以上10μm以下であることがよい。いずれの場合も銅めっき層の厚さが薄すぎると均一な層にならないからである。また、被覆層の厚さは20μm以下であることがよく、10μm以上20μm以下であることがよい。
前記被覆層には表面粗さRaが0.3μm以上の粗面が形成されることが好ましい。このような粗面があると、外部電極とその周囲に位置する樹脂材料との間の密着性がより向上するからである。なお、粗面は配線基板に内蔵する前に形成されていてもよいほか、配線基板に内蔵された状態で形成されてもよい。
前記セラミック焼結体としては、ペロブスカイト型酸化物を主体として構成される焼結体を挙げることができる。また、前記メタライズ金属層は、金属粒子としてのニッケル粒子を主体として含むとともに、前記ペロブスカイト型酸化物を含むことが好ましい。このように、メタライズ金属層の形成材料としてニッケルを使用することにより、比較的に高価なパラジウムを用いる場合と比較して、セラミック焼結体の製造コストを抑えることができる。また、メタライズ金属層にペロブスカイト型酸化物を添加することにより、セラミック焼結体におけるメタライズ金属層の熱収縮差を抑えることができ、クラックやデラミネーションなどの問題を回避することができる。
前記配線基板内蔵用部品としては、例えばセラミックコンデンサ、セラミックインダクタなどを挙げることができる。また、好適なセラミックコンデンサとしては、主面及び裏面を有するセラミック焼結体を備え、前記セラミック焼結体には、セラミック誘電体層を介して複数の内部電極が積層配置され、前記複数の内部電極に接続された複数のコンデンサ内ビア導体が設けられ、前記外部電極が、前記複数のコンデンサ内ビア導体における主面側端部及び裏面側端部のうちの少なくとも一方に接続されたセラミックコンデンサなどを挙げることができる。なお、セラミックコンデンサは、前記複数のコンデンサ内ビア導体が全体としてアレイ状に配置されたビアアレイタイプのセラミックコンデンサであることが好ましい。このような構造であれば、コンデンサのインダクタンスの低減化が図られ、ノイズ吸収や電圧安定化が可能となる。
なお、前記ペロブスカイト型酸化物としては、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどを挙げることができる。この種の酸化物は高い誘電率を有しているのでコンデンサにおける誘電体として極めて好適であり、それを使用することにより高容量のコンデンサを実現しやすくなる。
前記配線基板内蔵用部品は、前記外部電極上に突設されるとともに、前記被覆層と同じく銅からなる複数の突起状導体を備えていてもよい。この場合、複数の突起状導体を構成する銅粒子の平均粒径は、前記被覆層の浅部に存在している銅粒子の平均粒径よりも大きいことが好ましく、5μm以上に設定されることがよい。被覆層と同じ金属材料である銅を用いて突起状導体を形成することにより、被覆層と突起状導体との密着性を十分に確保することができる。また、突起状導体を構成する銅粒子の平均粒径が被覆層を構成する銅粒子の最大粒径よりも大きいので、突起状導体の内部の残留応力を抑えることができる。この結果、突起状導体の強度を十分に確保することができ、突起状導体の折れ等の不具合を解消することができる。また、突起状導体を構成する金属粒子の粒径を大きくすることにより、突起状導体における粒界が減少してその低抵抗化を図ることができる。
上記課題を解決するための手段(手段2)としては、手段1に記載の部品が、コア主面及びコア裏面を有する樹脂コア基板内、または、樹脂層間絶縁層及び導体層を積層した構造を有する配線積層部内に収容されていることを特徴とする配線基板、がある。
従って、手段2に記載の発明によると、信頼性に優れかつ低抵抗な手段1にかかる配線基板内蔵用部品を用いていることから、これを内部に収容した配線基板について高信頼化、高性能化を達成することができる。
前記樹脂コア基板の具体例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)基板、PI樹脂(ポリイミド樹脂)基板、BT樹脂(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)基板、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)基板などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料からなる基板等を使用してもよい。
上記配線基板を構成する配線積層部は、高分子材料を主体とする樹脂層間絶縁層及び導体層を積層した構造を有している。なお、配線積層部は、前記コア主面上及び前記コア裏面上のいずれか一方にのみ形成されていてもよいし、前記コア主面上及び前記コア裏面上の両方に形成されていてもよいが、前記コア主面上及び前記コア裏面上の両方に形成されることが好ましい。このように構成すれば、コア主面上に形成された配線積層部とコア裏面上に形成された配線積層部との両方に電気回路を形成できるため、配線基板のよりいっそうの高機能化を図ることができる。
前記樹脂層間絶縁層は、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。樹脂層間絶縁層の形成材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
前記導体層は、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法などといった公知の手法によって、樹脂層間絶縁層上にパターン形成される。前記導体層の形成に用いられる金属材料の例としては、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、スズ、スズ合金などが挙げられる。
上記課題を解決するための手段(手段3)としては、主面及び裏面を有するセラミック焼結体と、前記セラミック焼結体の主面及び裏面の少なくとも一方の上に配置され、ニッケルを含むメタライズ金属層の表面上に銅からなる被覆層を形成した構造を有する外部電極とを備えた配線基板内蔵用部品の製造方法であって、前記メタライズ金属層上に当該メタライズ金属層を構成する無機材料粒子の平均粒径よりも小さい銅粒子からなる第1銅めっき層を形成する第1銅めっき工程と、前記第1銅めっき層上に当該第1銅めっき層に存在する銅粒子の平均粒径よりも大きくかつ前記メタライズ金属層を構成する無機材料粒子の平均粒径よりも小さい第2銅めっき層を形成する第2銅めっき工程とを含むことを特徴とする配線基板内蔵用部品の製造方法、がある。
従って、手段3に記載の発明によると、被覆層の形成にあたって銅めっき工程を2段階に分けて行っており、これらの銅めっき工程において異なる条件を適宜設定することで、深部としての第1銅めっき層と、浅部としての第2銅めっき層とからなる2層構造の被覆層を比較的容易に形成することができる。また、この製造方法によると、第1銅めっき層及び第2銅めっき層を形成する手法としていずれも銅めっきを採用しているので、製造コストを低く抑えることができるとともに、両層間に好適な密着性を確保することができる。
上記の製造方法においては、例えば、無電解銅めっきによる前記第1銅めっき工程を行った後に、電解銅めっきによる前記第2銅めっき工程を行うこととしてもよい。通常、無電解銅めっきにより析出する銅めっき層中の銅粒子は平均粒径が小さくなり、電解銅めっきにより析出する銅めっき層中の銅粒子は平均粒径が大きくなるからである。
また、光沢銅めっきによる前記第1銅めっき工程を行った後に、前記光沢銅めっきよりも光沢剤の含有量が少ない光沢銅めっきによる前記第2銅めっき工程を行うこととしてもよい。光沢剤を多く含む光沢銅めっきでは銅粒子の粒成長が抑制されるため、銅粒子の平均粒径が小さくなるからである。
また、高電流密度の電解銅めっきによる前記第1めっき工程を行った後に、前記第1めっき工程よりも低電流密度の電解銅めっきによる前記第2めっき工程を行うこととしてもよい。通常、高電流密度の電解銅めっきにより析出する銅めっき層中の銅粒子は平均粒径が小さくなり、それよりも低電流密度の電解銅めっきにより析出する銅めっき層中の銅粒子は平均粒径が大きくなるからである。
以下、本発明を配線基板に具体化した一実施形態を図1〜図9に基づき詳細に説明する。
図1に示されるように、本実施形態の配線基板10は、ICチップ21を搭載するための配線基板10である。配線基板10は、平面視で略矩形板状の樹脂コア基板11、第1ビルドアップ層31(配線積層部)、第2ビルドアップ層32(配線積層部)を備えている。
第1ビルドアップ層31は、樹脂コア基板11のコア主面12(図1では上面)上に形成されている。第1ビルドアップ層31は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)を主体とする2層の樹脂層間絶縁層33,35と、銅からなる導体層42とを交互に積層した構造を有している。第2層の樹脂層間絶縁層35の表面上における複数箇所には、端子パッド44がアレイ状に形成されている。さらに、樹脂層間絶縁層35の表面は、ソルダーレジスト37によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト37における複数の箇所には、端子パッド44を露出させる開口部46が形成されている。端子パッド44の表面上には、複数のはんだバンプ45が配設されている。各はんだバンプ45は、矩形平板状をなすICチップ21の面接続端子22に電気的に接続されている。なお、各端子パッド44及び各はんだバンプ45が形成されている領域は、ICチップ21を搭載可能なICチップ搭載領域23と呼ぶべきものである。ICチップ搭載領域23は、第1ビルドアップ層31の表面39に設定されている。また、第2層の樹脂層間絶縁層35内における複数箇所にはビア導体43が形成されている。各ビア導体43の下端となる箇所は、樹脂層間絶縁層33の表面上に形成された導体層42に接続されており、各ビア導体43の上端となる箇所は、樹脂層間絶縁層35の表面上に形成された端子パッド44に接続されている。このビア導体43は、導体層42及び端子パッド44を相互に電気的に接続している。また、第1層の樹脂層間絶縁層33内における複数箇所には、導体層42とセラミックコンデンサ101側の導体とを電気的に接続するビア導体50が形成されている。
第2ビルドアップ層32は、樹脂コア基板11のコア裏面13(図1では下面)上に形成されおり、上述した第1ビルドアップ層31とほぼ同じ構造を有している。即ち、第2ビルドアップ層32は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)を主体とする2層の樹脂層間絶縁層34,36と、導体層42とを交互に積層した構造を有している。第1層の樹脂層間絶縁層34内における複数箇所にはビア導体47が形成されている。各ビア導体47の下端となる箇所は、樹脂層間絶縁層34の表面上に形成された導体層42に接続されている。第2層の樹脂層間絶縁層36内における複数箇所にはビア導体43が形成されており、樹脂層間絶縁層36の下面上において各ビア導体43の下端となる箇所には、ビア導体43を介して導体層42に電気的に接続されるBGA用パッド48が格子状に形成されている。また、第2層の樹脂層間絶縁層34内における複数箇所には、ビア導体47とセラミックコンデンサ101側の導体とを電気的に接続する別のビア導体51が形成されている。
また、樹脂層間絶縁層36の下面は、ソルダーレジスト38によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト38における複数の箇所には、BGA用パッド48を露出させる開口部40が形成されている。BGA用パッド48の表面上には、図示しないマザーボードに対して電気的に接続可能な複数のはんだバンプ49が配設されている。そして、各はんだバンプ49により、図1に示される配線基板10は図示しないマザーボード上に実装される。
本実施形態の樹脂コア基板11は、縦25mm×横25mm×厚さ0.90mmの平面視略矩形板状である。樹脂コア基板11は、ガラスエポキシからなる基材161と、基材161の上面及び下面に形成され、シリカフィラーなどの無機フィラーを添加したエポキシ樹脂からなるサブ基材164と、同じく基材161の上面及び下面に形成され、銅からなる導体層163とによって構成されている。また、樹脂コア基板11には、複数のスルーホール導体16がコア主面12、コア裏面13及び導体層163を貫通するように形成されている。かかるスルーホール導体16は、樹脂コア基板11のコア主面12側とコア裏面13側とを接続導通するとともに、導体層163に電気的に接続している。なお、スルーホール導体16の内部は、例えばエポキシ樹脂などの閉塞体17で埋められている。スルーホール導体16の上端は、樹脂層間絶縁層33の表面上にある導体層42の一部に電気的に接続されており、スルーホール導体16の下端は、樹脂層間絶縁層34の下面上にある導体層42の一部に電気的に接続されている。また、樹脂コア基板11のコア主面12及びコア裏面13には、銅からなる導体層41がパターン形成されており、各導体層41は、スルーホール導体16に電気的に接続されている。さらに、樹脂コア基板11は、コア主面12の中央部及びコア裏面13の中央部にて開口する平面視で矩形状の収容穴部90を1つ有している。即ち、収容穴部90は貫通穴である。なお、収容穴部90は、四隅に面取り寸法0.1mm以上2.0mm以下の面取り部を有している。
そして、収容穴部90内には、図2,図3に示すセラミックコンデンサ101(配線基板内蔵用部品)が、埋め込まれた状態で収容されている。セラミックコンデンサ101は、コンデンサ主面102をコア主面12と同じ側に向け、かつ、コンデンサ裏面103をコア裏面13と同じ側に向けた状態で収容されている。本実施形態のセラミックコンデンサ101は、縦12.0mm×横12.0mm×厚さ0.8mmの平面視略矩形板状である。セラミックコンデンサ101は、樹脂コア基板11においてICチップ搭載領域23の真下の領域に位置している。ICチップ搭載領域23の面積(ICチップ21において複数の面接続端子22が形成されている部分の面積)は、セラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102の面積よりも小さくなるように設定されている。セラミックコンデンサ101を平面方向から見た場合、ICチップ搭載領域23はコンデンサ主面102内に位置している。
図1に示されるように、収容穴部90の内面と、セラミックコンデンサ101のコンデンサ側面106との隙間は、高分子材料(本実施形態ではエポキシ等の熱硬化性樹脂)を主体とする樹脂充填部92によって埋められている。この樹脂充填部92は、セラミックコンデンサ101を樹脂コア基板11に固定する機能を有している。セラミックコンデンサ101は、平面視略正方形状をなしており、四隅に面取り寸法0.55mm以上(本実施形態では面取り寸法0.6mm)の面取り部を有している。このような面取り部があることにより、配線基板10へのセラミックコンデンサ101の内蔵時や、温度変化に伴う樹脂充填部92の変形時において、セラミックコンデンサ101の角部へ応力が集中しにくくなる。その結果、樹脂充填部92におけるクラックの発生が防止される。
図1〜図3に示されるように、本実施形態のセラミックコンデンサ101は、いわゆるビアアレイタイプのセラミックコンデンサである。セラミックコンデンサ101を構成するセラミック焼結体104は、1つのコンデンサ主面102(図1では上面)、1つのコンデンサ裏面103(図1では下面)、及び、4つのコンデンサ側面106(図1では左面、右面)を有する板状物である。
図2に示されるように、セラミック焼結体104は、セラミック誘電体層105を介して電源用内部電極層141(内部電極)とグランド用内部電極層142(内部電極)とを交互に積層配置した構造を有している。また、セラミック誘電体層105は、高誘電率セラミックの一種であるチタン酸バリウムの焼結体からなり、電源用内部電極層141及びグランド用内部電極層142間の誘電体(絶縁体)として機能する。電源用内部電極層141及びグランド用内部電極層142は、いずれもニッケルを主成分として形成された層であって、セラミック焼結体104の内部において一層おきに配置されている。
図2に示されるように、セラミック焼結体104には、多数のビアホール130が形成されている。これらのビアホール130は、セラミック焼結体104をその厚さ方向に貫通するとともに、セラミック焼結体104の全面にわたって格子状(アレイ状)に配置されている。各ビアホール130内には、ニッケルを主材料として複数のコンデンサ内ビア導体131,132が形成されている。各コンデンサ内ビア導体131,132は、コンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103間を連通させている。本実施形態ではビアホール130の直径は約100μmに設定されているため、コンデンサ内ビア導体131,132の直径も約100μmに設定されている。各電源用コンデンサ内ビア導体131は、各電源用内部電極層141を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している。各グランド用コンデンサ内ビア導体132は、各グランド用内部電極層142を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している。各電源用コンデンサ内ビア導体131及び各グランド用コンデンサ内ビア導体132は、全体としてアレイ状に配置されている。
そして図2,図3に示されるように、セラミック焼結体104のコンデンサ主面102上には、複数の主面側電源用外部電極111と複数の主面側グランド用外部電極112とが設けられている。各外部電極111は、平面視長方形状となっており、互いに並列に配置されている。一方、各外部電極112は、各外部電極111同士の間に介在しつつそれら全体を包囲するような形状となっている(図3参照)。主面側電源用外部電極111は、複数の電源用コンデンサ内ビア導体131におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されている。主面側グランド用外部電極112は、複数のグランド用コンデンサ内ビア導体132におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されている。
また、図2に示されるように、セラミック焼結体104のコンデンサ裏面103上には、複数の裏面側電源用外部電極121と複数の裏面側グランド用外部電極122とが設けられている。各外部電極122は、平面視長方形状となっており、互いに並列に配置されている。一方、各外部電極121は、各外部電極122同士の間に介在しつつそれら全体を包囲するような形状となっている。つまり、コンデンサ主面102側とコンデンサ裏面103側とでは、外部電極111,112,121,122の形状がちょうど逆になっている。裏面側電源用外部電極121は、複数の電源用コンデンサ内ビア導体131におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されている。裏面側グランド用外部電極122は、複数のグランド用コンデンサ内ビア導体132におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されている。よって、電源用外部電極111,121は、電源用コンデンサ内ビア導体131及び電源用内部電極層141に導通している。グランド用外部電極112,122は、グランド用コンデンサ内ビア導体132及びグランド用内部電極層142に導通している。
図4及び図5に示されるように、外部電極111,112,121,122は、メタライズ金属層151と、そのメタライズ金属層151よりも導電性が高く、2層構造を有する被覆層152(第1銅めっき層158及び第2銅めっき層159)とからなっている。メタライズ金属層151は、コンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103の上に配置されており、ニッケル粒子154を主体として構成されている。本実施形態のメタライズ金属層151には、主材料のニッケル粒子154に対して、例えば30vol%のチタン酸バリウム粒子155(ペロブスカイト型酸化物)が含まれている。なお、メタライズ金属層151を構成するニッケル粒子154の平均粒径は8μm程度、最大粒径は10μm程度であり、チタン酸バリウム粒子155の平均粒径は4μm程度、最大粒径は5μm程度である。
メタライズ金属層151上には、被覆層152を構成する第1銅めっき層158が、メタライズ金属層151を全体的に覆うようにして形成されている。即ち、被覆層152の深部には第1銅めっき層158が位置している。銅粒子156は、メタライズ金属層151の表面の凹凸(特に凹部160)に対して入り込んでいる。ゆえに、メタライズ金属層151と第1銅めっき層158との界面においては、例えばニッケル粒子154の1つに対して複数の銅粒子156が接して追従した状態となっている。第1銅めっき層158上には、被覆層152を構成する第2銅めっき層159が、第1銅めっき層158を全体的に覆うようにして形成されている。即ち、被覆層152の浅部には第2銅めっき層159が位置している。
被覆層152の浅部(第2銅めっき層159)に存在する銅粒子157の平均粒径は、本実施形態では0.8μm以上1.5μm以下となっている。従って、メタライズ金属層151を構成するニッケル粒子154及びチタン酸バリウム粒子155の平均粒径と比較して、銅粒子157の平均粒径は、かなり小さくなっている。
被覆層152の深部(第1銅めっき層158)に存在する銅粒子156の平均粒径は、本実施形態では0.2μm以上0.3μm以下となっている。従って、銅粒子157の平均粒径よりも、銅粒子156の平均粒径のほうがさらに小さくなっている。よって、銅粒子156の平均粒径は、ニッケル粒子154及びチタン酸バリウム粒子155の平均粒径よりも当然に小さくなっている。
第1銅めっき層158の厚さは、そこに存在している銅粒子156の平均粒径よりも大きい値(本実施形態では7μm〜10μm程度)に設定されている。同様に、第2銅めっき層159の厚さは、銅粒子157の平均粒径よりも大きい値(本実施形態では10μm〜13μm程度)に設定されている。また、被覆層152のトータルの厚さは約20μmとなっている。
配線基板10への内蔵時においては、被覆層152の表面は粗化された状態となっている。このときの被覆層152の表面の算術平均粗さRaは、0.3μmとなるように設定されている。なお、「算術平均粗さRa」とは、JIS B0601で定義されている算術平均粗さRaである。算術平均粗さRaの測定方法はJIS B0651に準じるものとする。
図1に示されるように、コンデンサ主面102側にある外部電極111,112は、ビア導体50、導体層42、ビア導体43、端子パッド44、はんだバンプ45及びICチップ21の面接続端子22を介して、ICチップ21に電気的に接続されている。一方、コンデンサ裏面103側にある外部電極121,122は、ビア導体51、ビア導体47、導体層42、ビア導体43、BGA用パッド48及びはんだバンプ49を介して、図示しないマザーボードが有する電極に対して電気的に接続されている。
例えば、マザーボード側から外部電極121,122を介して通電を行い、電源用内部電極層141−グランド用内部電極層142間に電圧を加えると、電源用内部電極層141に例えばプラスの電荷が蓄積し、グランド用内部電極層142に例えばマイナスの電荷が蓄積する。その結果、セラミックコンデンサ101がコンデンサとして機能する。また、セラミックコンデンサ101では、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132がそれぞれ交互に隣接して配置され、かつ、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように設定されている。これにより、インダクタンス成分の低減化が図られている。
次に、本実施形態のセラミックコンデンサ101の製造方法について述べる。
まず、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体材料のグリーンシートを形成し、このグリーンシートに内部電極層用ニッケルペーストをスクリーン印刷して乾燥させる。これにより、後に電源用内部電極層141となる電源用内部電極部と、グランド用内部電極層142となるグランド用内部電極部とを形成する。次に、電源用内部電極部が形成されたグリーンシートとグランド用内部電極部が形成されたグリーンシートとを交互に積層し、シート積層方向に押圧力を付与することにより、各グリーンシートを一体化してグリーンシート積層体を形成する。
さらに、レーザ加工機を用いてグリーンシート積層体にビアホール130を多数個貫通形成し、図示しないペースト圧入充填装置を用いて、ビア導体用ニッケルペーストを各ビアホール130内に充填する。次に、グリーンシート積層体の上面上に電極用ニッケルペーストを印刷し、グリーンシート積層体の上面側にて各導体部の上端面を覆うように外部電極111,112のメタライズ金属層151を形成する。また、グリーンシート積層体の下面上に電極用ニッケルペーストを印刷し、グリーンシート積層体の下面側にて各導体部の下端面を覆うように外部電極121,122のメタライズ金属層151を形成する。
この後、グリーンシート積層体の乾燥を行い、各メタライズ金属層151をある程度固化させる。次に、グリーンシート積層体を脱脂し、さらに所定温度で所定時間焼成を行う。その結果、チタン酸バリウム及びペースト中のニッケルが同時焼結し、セラミック焼結体104となる。焼結により形成されるメタライズ金属層151の表面粗さRaは0.2μm〜0.4μmである。
次に、得られたセラミック焼結体104の各メタライズ金属層151上に被覆層152を形成する。具体的には、まず、第1銅めっき工程でピロりん酸銅めっきを実施することにより、メタライズ金属層151上に厚さ約10μmの第1銅めっき層158を形成する(図6、7参照)。次に、第2銅めっき工程にて、第1銅めっき工程よりも光沢剤(粒成長抑制剤)の使用量を減らしてピロりん酸銅めっきを実施することにより、第1銅めっき層158上に厚さ約10μmの第2銅めっき層159を形成する(図8参照)。
本実施形態の第1銅めっき工程では、第1銅めっき層158を構成する銅粒子156の平均粒径が0.2μm〜0.3μmとなるようめっき条件が設定されている。具体的には、ピロりん酸銅めっき浴を用い、50℃〜60℃程度の温度、1.0A/dm2〜3.0A/dm2程度の電流密度、20分〜25分程度の析出時間等の条件で電解銅めっきを行う。なお、銅めっき浴には、銅粒子156の粒成長を抑制するための添加剤(例えば、光沢剤等)が含有されている。
本実施形態の第2銅めっき工程では、第2銅めっき層159を構成する銅粒子157の平均粒径が0.8μm〜1.5μmとなるようめっき条件が設定されている。具体的には、ピロりん酸銅めっき浴を用い、50℃〜60℃程度の温度、1.0A/dm2〜3.0A/dm2程度の電流密度、20分〜25分程度の析出時間等の条件で電解銅めっきを行う。ただし、この銅めっき浴は、第1銅めっき工程時で使用する銅めっき浴よりも使用する光沢剤量が少ない。以上の結果、2層構造を有するトータル厚さ約20μmの被覆層152が形成され、各外部電極111,112,121,122の形成が完了する。
図6は、第1銅めっき工程の開始時の様子を概念的に示している。このとき、メタライズ金属層151中のニッケル粒子154及びチタン酸バリウム粒子155よりも小さい銅粒子156でめっきを開始する。銅粒子156は凹部160に入り込んで追従するようにしてメタライズ金属層151の表面に析出し、徐々に第1銅めっき層158が形成される。図7は、第2銅めっき工程の開始時の様子を概念的に示している。このとき、第1銅めっき層158中の銅粒子156よりも大きい銅粒子157が析出し、徐々に第2銅めっき層159が形成される。図8は、第2銅めっき工程の完了後の様子を概念的に示している。
次に、本実施形態の配線基板10の製造方法について述べる。
まず、コア基板準備工程では、樹脂コア基板11の中間製品を従来周知の手法により作製し、あらかじめ準備しておく。
樹脂コア基板11の中間製品は以下のように作製される。まず、縦400mm×横400mm×厚さ0.65mmの基材161の両面に銅箔が貼付された銅張積層板(図示略)を準備する。次に、銅張積層板の両面の銅箔のエッチングを行って導体層163を例えばサブトラクティブ法によってパターニングする。具体的には、無電解銅めっきの後、この無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施す。さらにドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、ドライフィルムを所定パターンに形成する。この状態で、不要な電解銅めっき層、無電解銅めっき層及び銅箔をエッチングで除去する。その後、ドライフィルムを剥離する。次に、基材161の上面及び下面と導体層163とを粗化した後、基材161の上面及び下面に、無機フィラーが添加されたエポキシ樹脂フィルム(厚さ80μm)を熱圧着により貼付し、サブ基材164を形成する。
次に、上側のサブ基材164の上面及び下側のサブ基材164の下面に導体層41(厚さ50μm)をパターン形成する。具体的には、上側のサブ基材164の上面及び下側のサブ基材164の下面に対する無電解銅めっきを行った後にエッチングレジストを形成し、次いで電解銅めっきを行う。さらに、エッチングレジストを除去してソフトエッチングを行う。次に、基材161及びサブ基材164からなる積層体に対してルータを用いて孔あけ加工を行い、収容穴部90となる貫通孔を所定位置に形成し、樹脂コア基板11の中間製品を得る。
続く収容工程では、マウント装置を用いて、コア主面12とコンデンサ主面102と同じ側に向け、かつ、コア裏面13とコンデンサ裏面103とを同じ側に向けた状態で収容穴部90内にセラミックコンデンサ101を収容する。なお、収容穴部90のコア裏面13側開口は剥離可能な粘着テープでシールされ、同テープの粘着面にはセラミックコンデンサ101が貼り付けられて仮固定される。
そして、この状態において、収容穴部90の内面とセラミックコンデンサ101のコンデンサ側面106との隙間に、ディスペンサ装置を用いて、熱硬化性樹脂製の樹脂充填部92を充填する。その後、加熱処理を行うと、樹脂充填部92が硬化して、セラミックコンデンサ101が収容穴部90内に固定される。粘着テープはこの時点で剥離する。
その後、外部電極111,112における被覆層152(即ち第2銅めっき層159)の表面を粗化し、表面粗さRaが約0.3μmの粗面とする。
さらに、従来周知の手法に基づいてコア主面12の上に第1ビルドアップ層31を形成するとともに、コア裏面13の上に第2ビルドアップ層32を形成する。そして、樹脂層間絶縁層35,36上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト37,38を形成する。その後、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト37,38に開口部40,46をパターニングする。さらに、端子パッド44上にはんだバンプ45を形成し、かつ、BGA用パッド48上にはんだバンプ49を形成することにより、配線基板10を完成させる。
本発明者は、上記の製造方法において、第1銅めっき層158形成時、第2銅めっき層159形成時のめっき条件を変更することにより、銅粒子156,157の平均粒径が異なる複数のサンプル品(表1の実施例A、B、及び比較例C、D)を作製した。
具体的には、実施例Aのセラミックコンデンサ101では、第1銅めっき層158の銅粒子156の平均粒径を0.3μmとし、第2銅めっき層159の銅粒子157の平均粒径を0.8μmとした。実施例Bのセラミックコンデンサ101では、第1銅めっき層158の銅粒子156の平均粒径を0.2μmとし、第2銅めっき層159の銅粒子157の平均粒径を1.5μmとした。比較例Cのセラミックコンデンサ101では、第1銅めっき層158の銅粒子156の平均粒径を0.3μmとし、第2銅めっき層159については形成しないものとした。比較例Dのセラミックコンデンサ101では、第1銅めっき層158の銅粒子156の平均粒径を10μmとし、第2銅めっき層159の銅粒子156の平均粒径を1.0μmとした。
なお、銅粒子156,157の平均粒径の測定については、内蔵工程後に行った。具体的には、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)加工装置を用いて外部電極111等を切断し、その切断面について走査イオン(SIM:Scanning Ion Microscope)像観察を実施した。そして、得られたSIM像写真に基づき、線インターセプト法を用いて平均粒径を求めた。ここでは、1サンプルにつき3箇所でSIM像(倍率20000倍)を撮影後、それぞれのSIM像上にランダムに10本の直線を引き、観察される粒子がそれら直線を切り取る線分長さの平均値を平均粒径とした。なお、コンデンサ主面102に平行な面を観察することとした。
そして、外部電極111等の密着強度を評価するために、引張り試験を行った。即ち、外部電極111の表面に0.5mmのニッケル線161をはんだ162で接合し、そのニッケル線161をクランプで挟んで20mm/minで垂直方向に引っ張り上げ、剥がれたときの荷重を測定した。なお、試験部のサイズは3mm×12mmとした。その結果、実施例A、B及び比較例Cでは、メタライズ金属層151と被覆層152との間に剥離は見られず、両層の密着性に問題がないことを確認した。一方、比較例Dでは、メタライズ金属層151と被覆層152との間に剥離が見られ、両層の密着性に関して問題があった。
そして、各サンプルのセラミックコンデンサ101を内蔵した配線基板10に対して、低温−65℃から高温+150℃への昇温及び降温を100サイクル分繰り返す熱衝撃試験(環境試験規格MIL−STD−883D)を実施しその信頼性を評価した。ここでは、熱衝撃試験後の配線基板10について、セラミックコンデンサ101における外部電極111等の断面を観察した。その結果、実施例A、B及び比較例Dでは、セラミックコンデンサ101と樹脂層間絶縁層33との界面でのデラミネーションといった不具合は発生していなかった。ゆえに、これらのものは十分な信頼性を有することが確認された。一方、比較例Cでは、上記のような箇所にデラミネーションが認められ、信頼性に問題があった。
また、実施例A、B及び比較例Cでは、コンデンサ主面102の平滑性が向上したことで、ビア穴形成時におけるレーザの乱反射が解消されたため、ビア形状不良は特に認められなかった。しかし、比較例Dでは、レーザの乱反射が起こった結果、ビア形状不良が認められた。
従って、本実施形態によれば、内層での剥離や表面での脱粒が起こりにくいため高信頼性であり、かつ低抵抗な外部電極111,112,121,122を備えたセラミックコンデンサ101を提供することができる。また、このような信頼性に優れかつ低抵抗なセラミックコンデンサ101を用いていることから、これを内部に収容した配線基板10について高信頼化、高性能化を達成することができる。
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態のセラミックコンデンサ101では、各外部電極111,112,121,122上には特に何も設けていないが、例えば図10に示す別の実施形態のセラミックコンデンサ101Aのように突起状導体171を突設してもよい。各突起状導体171は、銅めっきによって形成された円柱状導体(銅ポスト)である。この突起状導体171を構成する銅粒子の平均粒径は限定されないが、第2銅めっき層159に存在している銅粒子157の平均粒径よりも大きいことが好ましく、5μm以上に設定されることがよい。
・上記実施形態の配線基板10において、セラミックコンデンサ101は樹脂コア基板11内に収容されていた。しかし、セラミックコンデンサ101などよりも薄いセラミックコンデンサ201(厚さ0.08mm)を形成し、そのセラミックコンデンサ201を配線基板10Bの第1ビルドアップ層202内(例えば図11参照)に収容してもよい。セラミックコンデンサ201においても、上記のセラミックコンデンサ101と同様に、そのメタライズ金属層151と被覆層152とからなる外部電極(コンデンサ主面102上の外部電極111,112及びコンデンサ裏面103上の外部電極121,122)が形成されている。なお、各外部電極111,112,121,122の第1銅めっき層158を構成する銅粒子156の平均粒径は0.5μm未満であり、第2銅めっき層159を構成する銅粒子157の平均粒径は0.5μm以上5μm以下である。そして、各外部電極111,112,121,122における被覆層152の表面が粗化された後、セラミックコンデンサ201が第1ビルドアップ層202内に内蔵されている。
・本発明のセラミックコンデンサ101等の製造方法は、上記実施形態に記載したもののみに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。その具体的な手法としては、例えば、第1銅めっき層158を無電解銅めっきにより形成し、第2銅めっき層159を電解銅めっきにより形成してもよい。また、低電流密度めっきに比べ、高電流密度めっきでは核生成が促されるため銅粒子の粒径が小さくなる。このため、第1銅めっき層158を高電流密度めっきにより形成し、第2銅めっき層159を低電流密度めっきにより形成してもよい。高電流密度めっきの電流密度は例えば8A/dm2とし、低電流密度めっきの電流密度は例えば2A/dm2とすればよい。
・上記実施形態のセラミックコンデンサ101では、外部電極111,112,121,122が、コンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103の両方に設けられていたが、いずれか一方のみに設けられていてもよい。
・上記実施形態では、配線基板10のパッケージ形態はBGA(ボールグリッドアレイ)であったが、BGAのみに限定されず、例えばPGA(ピングリッドアレイ)やLGA(ランドグリッドアレイ)等であってもよい。
次に、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)上記手段1において、前記セラミック焼結体は、ペロブスカイト型酸化物を主体として構成され、前記メタライズ金属層は、ニッケルを主体として含むとともに、前記ペロブスカイト型酸化物を含むことを特徴とする配線基板内蔵用部品。
(2)上記手段1において、前記セラミック焼結体には、セラミック誘電体層を介して複数の内部電極が積層配置され、前記複数の内部電極に接続された複数のコンデンサ内ビア導体が設けられ、前記外部電極が、前記複数のコンデンサ内ビア導体における主面側端部及び裏面側端部のうちの少なくとも一方に接続され、前記複数のコンデンサ内ビア導体が全体としてアレイ状に配置されていることを特徴とする配線基板内蔵用部品。
(3)上記手段1において、前記被覆層は、前記メタライズ金属層上に形成された前記深部としての第1銅めっき層と、前記第1銅めっき層上に形成された前記浅部としての第2銅めっき層とからなる2層構造を有し、前記第1銅めっき層の厚さが0.5μm以上5μm以下、前記第2銅めっき層の厚さが1μm以上10μm以下、前記被覆層のトータル厚さが20μm以下であることを特徴とする配線基板内蔵用部品。