JP3990513B2 - 耐熱絶縁性フィルムとこれを用いたプリント配線基板用素板および基板の製造方法 - Google Patents

耐熱絶縁性フィルムとこれを用いたプリント配線基板用素板および基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線基板用耐熱絶縁性フィルムを用いたプリント配線基板用素板及びプリント配線基板の製造方法に関する。さらに詳しくは、はんだ耐熱性、可とう性、耐薬品性、機械的強度、電気的特性等に優れ、かつ低温での熱成形性(熱融着性)に優れたプリント配線基板用熱可塑性樹脂フィルムプリント配線基板用絶縁材として使用した、素板および基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、最も一般的なプリント配線基板としては、絶縁材として、ガラスクロス(ガラス繊維の不織布)に熱硬化性のエポキシ樹脂を含浸して得られるプリプレグ(以下、ガラスエポキシ樹脂と表記する)を用い、通常、圧力10〜40kgf/cm、温度170〜230℃、時間30〜120分程度の条件で熱プレス成形により銅箔等の導体箔を貼り合わせた基板が使用されている。
【0003】
ガラスエポキシ樹脂は、はんだ耐熱性や耐薬品性等に優れ、比較的安価であるものの、ガラス繊維を含有しているため、落下等の衝撃が加わった際にクラックが入り導通不良を起こしたり、また熱プレス成形時に行うエポキシ樹脂の硬化時間に長時間を要し、生産性が悪いといった問題点があった。
【0004】
また、近年、ノートブックパソコンや携帯電話を始めとする電子機器の小型軽量化に呼応して、配線の高密度化や回路基板の小型軽量化が求められ、これに対応する目的で、熱可塑性樹脂フィルムを絶縁体層とした多層基板の検討が活発に行われている。
【0005】
熱可塑性樹脂フィルムをプリント配線基板用絶縁材として用いた場合、種々の利点が期待できる。従来のガラスエポキシ樹脂と比較すれば、回路基板の小型軽量化が実現でき、耐衝撃性が改善され、熱プレス成形時の成形時間が短縮でき、生産性においても有利である。本来、プリント配線基板用絶縁材には、その製造工程上、はんだ耐熱性が要求されるが、耐熱性熱可塑性樹脂が使用できれば、高温での電気的特性にも優れ、高温雰囲気下での回路の信頼性を得ることも期待できる。
【0006】
しかしながら、これら耐熱性熱可塑性樹脂は、成形加工温度が高いため、導体貼り合わせや基板の多層化には、エポキシ樹脂等の接着剤を使用したり、260℃以上の高温での熱プレス成形を行う必要があり、昇温・降温に時間がかかることを考えると、生産性における熱可塑性樹脂の優位性を損なうこととなっている。さらには、結晶性樹脂の場合には、融点近傍の温度まで加熱しないと接着性が得られず、融点を超えると一転して樹脂が流れ出し、流動変形してしまうという問題点もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、はんだ耐熱性、可とう性、耐薬品性、機械的強度、電気的特性等に優れ、かつ低温での熱成形性(熱融着性)に優れたプリント配線基板用耐熱絶縁性フィルムフィルム状絶縁材として使用した、プリント配線基板用素板を提供し、また、工業的に有利な基板の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂組成物と、当該スチレン系樹脂と相溶性のある特定の熱可塑性樹脂を主成分とする耐熱絶縁性フィルムを用い、さらに、プリント配線基板を組み立て加工する際のフィルムの熱特性を特定の範囲に制御することにより、上記課題を解決することのできる、プリント配線基板用素板およびこれを用いる基板の製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の主旨とするところは、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂組成物と、当該スチレン系樹脂と相溶性のある特定の熱可塑性樹脂を主成分とし上記スチレン系樹脂組成物の含有率が35重量%以上のフィルム状絶縁体であって、示差走査熱量測定で昇温した時に測定される結晶融解ピーク温度が260℃以上であり、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとが、下記の関係式を満たすことを特徴とするプリント配線基板用耐熱絶縁性フィルムに存する。
【0010】
[(△Hm−△Hc)/△Hm]≦0.4
また、本発明の別の主旨は、上記の耐熱絶縁性フィルムに、必要とあれば通孔を設けて導電性ペーストを充填した後、その少なくとも一面に、導体箔を熱融着してなるプリント配線基板用素板であって、該熱融着後において、示差走査熱量測定で昇温した時に測定される、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとが、下記の関係式を満たす
[(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≦0.6
ことを特徴とするプリント配線基板用素板に存する。
【0011】
さらに、本発明の別の主旨は、上記のプリント配線基板用素板を、その導体箔に回路形成に必要なエッチング処理を施した後、耐熱絶縁性フィルムを介して融着し、多層化するプリント配線基板の製造方法において、該熱融着後において、上記結晶融解熱量ΔHmと結晶化熱量ΔHcとが、下記の関係式を満たす
[(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≧0.7
ことを特徴とするプリント配線基板の製造方法に存する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、詳しく説明する。
本発明において、耐熱絶縁性フィルムを構成する第1の成分であるシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂は、立体化学構造がシンジオタクチック構造、すなわちC−C結合から形成される主鎖に対して、側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものである。
【0013】
上記スチレン系樹脂の含有量は耐熱絶縁性フィルムの35重量%以上、35〜70重量%の範囲が好適であり、35重量%未満でははんだ耐熱性に劣り、70重量%を越えると導体箔との接着性に劣り易い傾向がある。
【0014】
また、プリント配線基板用耐熱絶縁性フィルムを構成する第2の成分である上記スチレン系樹脂と相溶性のある特定の熱可塑性樹脂としては、溶融成形時に均一な分散が可能な樹脂であればよく、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリフェニレンエーテル系、ポリフェニレンスルフィド系の樹脂などが挙げられる。本発明においては、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)が好適に使用される。このスチレン系樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂の含有量は耐熱絶縁性フィルムの30〜65重量%の範囲が好適であり、30重量%未満では導体箔との接着性に劣り易い傾向があり、65重量%を越えるとはんだ耐熱性に劣り易い傾向がある。
【0015】
耐熱絶縁性フィルムには上記成分以外に機械的強度を向上する目的で、さらに、ゴム状弾性体を含有させてもよく、ゴム状弾性体としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明においては、上記ゴム状弾性体のうちSEBSが好適に使用される。ゴム状弾性体は耐熱絶縁性フィルムの10〜20重量%の範囲で含有するのが好ましく、10重量%未満では強度の改良効果が少なく、20重量%を越えるものでは耐熱性が低下する傾向がある。
【0016】
さらに、本発明において、耐熱絶縁性フィルムは、特定の物性を有することが必要である。すなわち、上記組成からなるフィルムであって、示差走査熱量測定で昇温した時に測定される結晶融解ピーク温度が260℃以上であり、結晶融解熱量△Hmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量△Hcとが、下記の関係式を満たすことが必要である。
【0017】
[(△Hm−△Hc)/△Hm]≦0.4
上記フィルムの結晶融解ピーク温度が260℃未満では、はんだ耐熱性が低下するという問題がある。
【0018】
本発明において最も重要な制御因子である熱特性は、フィルムの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとの次の関係式によって表される。
【0019】
[(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]
すなわち、この熱特性は、JIS K7121、JIS K7122に準じた示差走査熱量測定で、昇温したときのDSC曲線に現れる2つの転移熱の測定値、結晶融解熱量ΔHm(J/g)と結晶化熱量ΔHc(J/g)の値から上記式に従って算出される。
【0020】
この関係式[(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]の値は、原料ポリマーの種類・分子量・組成物の比率等にも依存するが、耐熱絶縁性フィルムの成形・加工条件に大きく依存する。すなわち、フィルム状に製膜する際に、原料ポリマーを溶融させた後、速やかに冷却することにより、該数値を小さく制御することができる。また、これらの数値は、各工程でかかる熱履歴を調整することにより、制御することができる。熱履歴とは、すなわち、フィルムの温度と、その温度になっていた時間を指し、温度が高いほど、時間が長いほど、該数値は大きくなる傾向にある。
【0021】
上記耐熱絶縁性フィルムにおいて、この値が0.4を超えていると、導体箔との熱融着による接着を行う前の結晶化度がすでに高く、導体箔との熱融着による接着成形温度を高温で行う必要があったり、導体箔との熱融着による接着の際に結晶化が過度に進行してしまい、熱融着による基板の多層化が困難となる。
【0022】
次に、この関係式の制御の態様で最も重要なことは、プリント配線基板を製造する過程において、まず、耐熱絶縁性フィルムの少なくとも一面に導体箔を熱融着してなるプリント配線基板用素板について、該熱融着後の測定に基づく値が、下記の関係式を満たすことにある。
【0023】
[(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≦0.6
この値が0.6を超えると、基板の多層化工程での熱融着による接着性が低下し、多層化が困難になる。同様に、導体箔との熱融着前の耐熱絶縁性フィルムについても、上記関係式の値はできるだけ小さい方がよい。例えば、熱融着前に0.6を超えていると、導体箔との熱融着による接着を行う前の結晶性がすでに高く、導体箔との熱融着による接着成形温度を高温で行う必要があったり、導体箔との熱融着による接着の際に結晶化が過度に進行してしまい、熱融着による基板の多層化が困難となる。
【0024】
最終的には、多層化後のはんだ耐熱性を実現するために、上記プリント配線基板用素板を、耐熱絶縁性フィルムを介して融着し、多層化してなるプリント配線基板について、該熱融着後の測定に基づく値が、下記の関係式を満たすことになる。
【0025】
[(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≧0.7
この値が0.7未満では、結晶化が不十分であるため、はんだ耐熱性が低下するので好ましくない。
【0026】
本発明において、耐熱絶縁性フィルムを構成する樹脂組成物には、その性質を損なわない程度に、他の樹脂や添加剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、着色剤、滑剤、難燃剤、無機フィラー等の充填材等の各種添加剤を適宜配合してもかまわない。また、耐熱絶縁性フィルムの表面に、ハンドリング性の改良等のために、エンボス加工やコロナ処理等を適宜ほどこしてもかまわない。
【0027】
耐熱絶縁性フィルムの製膜方法としては、公知の方法、例えばTダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法等を採用することができ、特に限定されるものではないが、フィルムの製膜性や安定生産性等の面から、Tダイを用いる押出キャスト法が好ましい。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね融点以上、310℃以下である。また、該フィルムの厚みは、通常25〜300μmである。
【0028】
本発明のプリント配線基板は耐熱絶縁性フィルムを使用し、目的に応じた層数の基板を製造することが出来るが、まず、耐熱絶縁性フィルムに所定の通孔を設け、ここに導電性ペーストを充填した後、その両面に導体箔、例えば銅箔を熱融着してプリント配線基板用素板(「両面銅張板」ともいう。)とし、ついで、導体箔にエッチング処理により導電パターンを形成し、得られた素材を2枚用い中間に所定の通孔を設け、導電性ペーストを充填した耐熱絶縁性フィルムを介在させて4層基板を製造できる。導電パターン相互間は、導電ペーストによって接続される。同様にして6層以上の基板を作成することも可能である。
【0029】
本発明に使用される導体箔としては、例えば銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル、錫等の、厚さ5〜70μm程度の金属箔が挙げられる。金属箔としては、通常銅箔が使用され、さらに表面を黒色酸化処理等の化成処理を施したものが、好適に使用される。
【0030】
プリント配線基板の製造方法においてその熱融着方法としては、加熱、加圧できる方法であれば公知の方法を採用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、熱プレス法や熱ラミネートロール法、又はこれらを組み合わせた方法を好適に採用することができる。
【0031】
【実施例】
以下に、実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示されるフィルムについての種々
の測定および評価は、次のようにして行った。
【0032】
(1)ガラス転移温度、結晶化温度、結晶融解ピーク温度
パーキンエルマー(株)製DSC−7を用いて、試料10mgをJIS K7121に準じて、加熱速度を10℃/分で昇温した時のサーモグラムから求めた。
【0033】
(2)(ΔHm−ΔHc)/ΔHm
パーキンエルマー(株)製DSC−7を用いて、試料10mgをJIS K7122に準じて、加熱速度を10℃/分で昇温した時のサーモグラムから、結晶融解熱量ΔHm(J/g)と結晶化熱量ΔHc(J/g)を求め、算出した。
【0034】
(3)接着強度
JIS C6481の常態の引き剥がし強さに準拠して、両面の銅箔をそれぞれ測定し、その平均値をkgf/cmで表示した。
【0035】
(4)はんだ耐熱性
JIS C6481の常態のはんだ耐熱性に準拠し、260℃のはんだ浴に試験片を銅箔側とはんだ浴とが接触するように10秒間浮かべ、室温まで冷却した後、膨れやはがれ等の有無を目視によって調べ、良否を判定した。
【0036】
(5)耐折性
両面銅張板を作製し、180度の耐折試験を実施し、フィルムにクラックが入った場合の耐折回数を調べた。
【0037】
参考例1)
シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂組[出光石油化学(株)製、ザレック](以下、単にSPSと略記することがある)60重量%と、変性PPE[三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ユピエース]40重量%とからなる混合組成物を、Tダイを備えた三菱重工(株)製40mmΦ二軸混練押出機(L/D=35)を用いて押し出し、調温機能を備えたキャストロールに直ちに接触させて固化させて、厚さ100μmのフィルムを得た。押出条件は以下の通りであった。
【0038】
押出設定温度 290〜310℃
押出量 20Kg/h
キャストロール温度 95℃
参考例2)
参考例1において、混合組成物の割合をSPS40重量%と、変性PPE60重量%に変更した以外は同様にして、フィルムを得た。
【0039】
(参考例3〜5
参考例1において、混合組成物の割合を、それぞれ、SPS100重量%(参考例)、SPS30重量%と、変性PPS70重量%(参考例)および、変性PPE100重量%(参考例)に変更した以外は同様にして、フィルムを得た。次に、上記参考例で得られたフィルムについて、それぞれ、ガラス転移温度、結晶化温度、結晶化熱量ΔHc、結晶融解ピーク温度、結晶融解熱量ΔHmを測定し、(ΔHm−ΔHc)/ΔHmを算出した。結果を、表1にまとめて示した。
【0040】
【表1】
Figure 0003990513
【0041】
(実施例
参考例1で得られたフィルムをA4サイズにカットし、両面に厚さ18μmの電解銅箔を積層し、圧力30kgf/cm、温度160℃、時間10分の条件で、熱プレスにより接着させ、両面銅貼り板を作製した。さらに、エッチングにより回路を形成した後、この回路を形成した両面銅貼り板2組の間に、新たなフィルムを積層し、圧力30kgf/cm、温度180℃、時間20分の条件で、熱プレスにより多層化し、4層基板を作製した。加工工程中における銅箔の剥離等は何ら問題なく、得られた4層基板は、層間の密着性および銅箔との接着強度も十分であり、また、はんだ耐熱性も良好であった。
【0042】
(比較例1)
実施例において、両面銅貼り板を作製する際の熱プレス温度を180℃に変更した以外は同様にして、4層基板を作製した。得られた4層基板は、層間の密着性が不十分であり容易に剥離した。
【0043】
(実施例
実施例において、参考例1で得られたフィルムを参考例2で得られたフィルムに、また、両面銅貼り板を作製する際の熱プレス温度を170℃に、4層基板を作製する際の熱プレス条件を温度190℃、時間30分に変更した以外は同様にして、4層基板を作製した。加工工程中における銅箔の剥離等は何ら問題なく、得られた4層基板は、層間の密着性および銅箔との接着強度も十分であり、また、はんだ耐熱性も良好であった。
【0044】
(比較例2)実施例において、4層基板を作製する際の熱プレス条件を温度170℃、時間10分に変更した以外は同様にして、4層基板を作製した。得られた4層基板は、層間の密着性はあったが、はんだ耐熱性は不良であった。
【0045】
(比較例3)
実施例において、参考例1で得られたフィルムを参考例で得られたフィルムに、また、両面銅貼り板を作製する際の熱プレス温度220℃、時間20分に変更した以外は同様にして、両面銅貼り板を作製した。これらの実施例および比較例で得られた両面銅貼り板および4層基板についての評価結果を、表2にまとめて示した。
【0046】
【表2】
Figure 0003990513
【0047】
中、実施例1〜についてみると、フィルムの原料組成が規定範囲内にあり、かつ特定の熱特性を有する場合は、低温(250℃以下)での導体箔との積層が可能であり、また、多層基板を作製する際に、(ΔHm−ΔHc)/ΔHmの値を、導体箔との熱融着による接着工程後は0.6以下に、基板の多層化工程後は0.7以上に、それぞれ制御すれば、低温(250℃以下)での多層化が可能であり、かつ、はんだ耐熱性が良好なことが分かる。一方、比較例1〜2のように、多層基板を作製する際の(ΔHm−ΔHc)/ΔHmの値を規定範囲内に制御していない場合は、多層化が困難になったり、はんだ耐熱性が不良となることが分かる。さらに、比較例3のように、フィルムの原料組成が規定範囲外では、得られた両面銅貼り板の銅箔との接着強度が低く多層化が困難なことが分かる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、はんだ耐熱性、可とう性、耐薬品性、機械的強度、電気的特性等に優れ、かつ低温での熱成形性(熱融着性)に優れたプリント配線基板用耐熱絶縁性フィルムフィルム状絶縁材として使用した、プリント配線基板用素板および基板の製造方法が提供できる。

Claims (7)

  1. シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂組成物と、当該スチレン系樹脂組成物と相溶性のあるポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリフェニレンエーテル系、ポリフェニレンスルフィド系の樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂を主成分とし上記スチレン系樹脂組成物の含有率が35重量%以上のフィルム状絶縁体であって、JIS K7121、JIS K7122に準じた示差走査熱量測定で10℃/分で昇温した時に測定される結晶融解ピーク温度が260℃以上であり、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとが、下記の関係式(1)を満たす耐熱絶縁性フィルムの少なくとも一面に、導体箔を熱融着してなるプリント配線基板用素板であって、該熱融着後において、示差走査熱量測定で昇温した時に測定される、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとが、下記の関係式(2)を満たすことを特徴とするプリント配線基板用素板。
    式(1) [(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≦0.4
    式(2) [(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≦0.6
  2. シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂組成物と、当該スチレン系樹脂組成物と相溶性のあるポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリフェニレンエーテル系、ポリフェニレンスルフィド系の樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂を主成分とし上記スチレン系樹脂組成物の含有率が35重量%以上のフィルム状絶縁体であって、JIS K7121、JIS K7122に準じた示差走査熱量測定で10℃/分で昇温した時に測定される結晶融解ピーク温度が260℃以上であり、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとが、下記の関係式(1)を満たす耐熱絶縁性フィルムに、通孔を設けて導電性ペーストを充填した後、その少なくとも一面に、導体箔を熱融着してなるプリント配線基板用素板であって、該熱融着後において、示差走査熱量測定で昇温した時に測定される、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとが、下記の関係式(2)を満たすことを特徴とするプリント配線基板用素板。
    式(1) [(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≦0.4
    式(2) [(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≦0.6
  3. シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂組成物と、当該スチレン系樹脂組成物と相溶性のあるポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリフェニレンエーテル系、ポリフェニレンスルフィド系の樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂を主成分とし上記スチレン系樹脂組成物の含有率が35重量%以上のフィルム状絶縁体であって、JIS K7121、JIS K7122に準じた示差走査熱量測定で10℃/分で昇温した時に測定される結晶融解ピーク温度が260℃以上であり、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとが、下記の関係式(1)を満たす耐熱絶縁性フィルムの少なくとも一面に、導体箔を熱融着してなるプリント配線基板用素板の製造方法であって、該熱融着後において、示差走査熱量測定で昇温した時に測定される、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとが、下記の関係式(2)を満たすことを特徴とするプリント配線基板用素板の製造方法。
    式(1) [(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≦0.4
    式(2) [(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≦0.6
  4. シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂組成物と、当該スチレン系樹脂組成物と相溶性のあるポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリフェニレンエーテル系、ポリフェニレンスルフィド系の樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂を主成分とし上記スチレン系樹脂組成物の含有率が35重量%以上のフィルム状絶縁体であって、JIS K7121、JIS K7122に準じた示差走査熱量測定で10℃/分で昇温した時に測定される結晶融解ピーク温度が260℃以上であり、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとが、下記の関係式(1)を満たす耐熱絶縁性フィルムに、通孔を設けて導電性ペーストを充填した後、その少なくとも一面に、導体箔を熱融着してなるプリント配線基板用素板の製造方法であって、該熱融着後において、示差走査熱量測定で昇温した時に測定される、結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生する結晶化熱量ΔHcとが、下記の関係式(2)を満たすことを特徴とするプリント配線基板用素板の製造方法。
    式(1) [(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≦0.4
    式(2) [(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≦0.6
  5. 請求項3又は4記載のプリント配線基板用素板の製造方法において、上記耐熱絶縁性フィルムと導体箔との熱融着を、該耐熱絶縁性フィルムのガラス転移温度以上、結晶化温度未満の温度で行うことを特徴とするプリント配線基板用素板の製造方法。
  6. 請求項3〜5のいずれか記載の製造方法により得られたプリント配線基板用素板を、その導体箔に回路形成に必要なエッチング処理を施した後、耐熱絶縁性フィルムを介して熱融着し、多層化するプリント配線基板の製造方法において、該熱融着後において、上記結晶融解熱量ΔHmと結晶化熱量ΔHcとが、下記の関係式を満たすことを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
    [(ΔHm−ΔHc)/ΔHm]≧0.7
  7. 請求項記載のプリント配線基板の製造方法において、上記耐熱絶縁性フィルムと導体箔との熱融着及び多層化の際の熱融着を、いずれも、190℃以下の温度で行うことを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
JP20837399A 1999-07-23 1999-07-23 耐熱絶縁性フィルムとこれを用いたプリント配線基板用素板および基板の製造方法 Expired - Fee Related JP3990513B2 (ja)

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