JP3491656B2 - 金属の乾燥前処理剤および乾燥方法 - Google Patents

金属の乾燥前処理剤および乾燥方法

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JP3491656B2
JP3491656B2 JP09850796A JP9850796A JP3491656B2 JP 3491656 B2 JP3491656 B2 JP 3491656B2 JP 09850796 A JP09850796 A JP 09850796A JP 9850796 A JP9850796 A JP 9850796A JP 3491656 B2 JP3491656 B2 JP 3491656B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水系の金属表面処理や金
属洗浄の分野において、乾燥ムラ、シミを防止するため
の乾燥前処理剤及び乾燥方法に関するものである。更に
詳しくは、金属表面処理剤での処理、或いは、金属洗浄
剤での洗浄後に、式(1)で示される化合物もしくは式
(2)で示される化合物、並びに、式(3)で示される
化合物、アルコールを含有する水溶液からなる処理剤で
処理した後、乾燥する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、水系の金属表面処理や金属洗浄の
分野において、乾燥ムラ、シミを防止するための乾燥工
程における金属の酸化防止方法としては、溶剤による水
切り置換法、真空乾燥法、窒素雰囲気での乾燥などが挙
げられる。しかし、真空乾燥法は設備費が高価になり、
作業能率も低い。又、窒素雰囲気での乾燥も設備費が高
価であり、更に多量の窒素を使用することからコストが
高くなり、これらの乾燥方法は特殊な製品の場合に適用
され、一般的には溶剤による水切り置換法が工業的には
採用されている。
【0003】水が付着したまま乾燥すると多くの場合、
金属表面の酸化による変色が発生し製品価値が落ちる。
溶剤による水切り置換法はリンス(最終仕上げ)水洗
後、フロン又は塩素系溶剤で処理し、金属表面の水を置
換除去する方法である。
【0004】しかし、上記の水切り置換法で使用される
溶剤であるフロン又は塩素系溶剤は環境破壊を引き起こ
すことから、これらの使用は世界的に規制されてきてお
り、これに代わる代替技術が強く求められている。代替
技術として、イソプロピルアルコール等の低毒性溶剤の
使用が提案されているが、これら溶剤は引火性(可燃
性)であり、フロン又は塩素系溶剤に比べ安全性に問題
があり、設備費が高価になる欠点がある。
【0005】又、水洗工程での金属酸化が問題となる場
合、金属酸化防止法として水洗工程において、溶存酸素
を除去する脱酸素剤、腐食抑制剤、不動態皮膜形成剤等
を使用する方法が知られている。
【0006】水洗工程における酸化は、水に溶解した酸
素に起因し、従って、水中の溶存酸素をできるだけ除去
することにより、水中での金属酸化を防止することがで
きる。一般的に脱酸素剤としては、ヒドラジン、ヒドロ
キシルアミン、亜硫酸ソーダ、重亜硫酸ソーダ等の還元
剤が使用される。
【0007】又、腐食抑制剤としては一般的にアミン化
合物を使用する。腐食抑制剤の作用は、金属表面に均一
に吸着被覆し、金属と酸素の接触を断つことで金属酸化
を防止することにある。不動態皮膜形成剤としては、重
クロム酸塩、クロム酸塩、亜硝酸塩等の酸化剤を用い、
金属表面に耐食性の不動態皮膜を形成し、それ以上の酸
化を防止する。
【0008】一方、乾燥工程における金属酸化防止技術
としては、溶剤を用いた水切り置換法が主体であった。
溶剤を用いた水切り置換法には、金属を還元又は洗浄す
る能力はなく、水洗工程以降、即ち乾燥工程における金
属酸化を防止することにある。
【0009】通常、乾燥工程は大気中で行われ、絶えず
酸素が存在する雰囲気であり、存在する酸素を脱酸素剤
等で除去して金属酸化を防止することは困難であり、水
中における酸化防止を目的とした溶存酸素を除去する手
段を適用することは不可能である。従って、溶剤による
水切り置換を行い水分を除去することにより、充分なる
酸素が供給されても乾燥ムラ、シミの発生を防止する乾
燥が可能となる。
【0010】乾燥工程において、金属表面に付着した水
が水膜を形成している乾燥初期段階では、金属酸化速度
は遅い。しかし、乾燥が進むに伴って金属表面の水膜が
破壊され、直接金属表面が露出し、且つ湿った雰囲気の
乾燥後期段階では、大気中の酸素が連続的に充分なる量
で供給され、金属表面温度も高いため、金属の酸化は急
激に進行する。
【0011】溶剤を用いた水切り置換による乾燥法を適
用する一般的な金属表面処理工程では、水洗工程におけ
る金属酸化は極く少なく、多くの場合、特別の手段を採
用しなくとも、水洗工程で発生する金属酸化量では、最
終製品の変色等の現象まで結びつかない。しかし、乾燥
工程における金属酸化量は大きく、前述のように溶剤に
よる水切り置換を実施しないで乾燥すると、従来技術で
は変色が発生し欠陥製品となる。
【0012】前述したように、乾燥工程における金属酸
化を脱酸素剤を用いて防止することは困難なばかりでな
く、脱酸素剤等を含んだ水洗水が付着したまま乾燥する
と脱酸素剤成分が金属表面に析出(蒸発乾固)し、乾燥
ムラ、シミの原因となる。又、析出した脱酸素剤成分が
次工程に悪影響を及ぼすため、リンス水洗水は出来るだ
け清浄に保つことが不可欠であった。
【0013】腐食抑制剤の使用では、乾燥工程における
金属酸化を防止できても、金属表面には腐食抑制剤が存
在し、乾燥ムラ、シミにならなくとも清浄な金属表面を
得ることは不可能である。従って、後の工程において、
吸着した腐食抑制剤の悪影響が生じる場合があり、次工
程の処理前に腐食抑制剤を除去する必要が生じる。又、
不動態皮膜形成剤の使用も乾燥ムラ、シミのない外観の
良好な製品を得ることはできるが、金属表面は均一な酸
化膜(不動態皮膜)で被覆されるため、腐食抑制剤の場
合と同様に清浄な金属表面を得ることは不可能である。
従って、後の工程において均一な酸化膜の悪影響が生
じ、次工程前に酸化膜(不動態皮膜)を除去する必要が
生じる。
【0014】一方、水切り置換法を用いた乾燥の場合
は、水分の除去にて金属の酸化を防止し、使用した溶剤
は乾燥工程にて蒸発飛散し、金属表面に残らない。従っ
て、乾燥ムラ、シミの発生しない良好な外観得ると同時
に、金属は清浄な表面が得られる理想的な乾燥方法であ
る。
【0015】しかし、これら溶剤の使用は環境を破壊す
るため、代替技術が強く求められている。代替技術とし
て、水中での金属酸化防止技術を直接利用しても、前記
の様に種々なる欠陥を有し、満足し得る金属の乾燥を実
施することは困難である。
【0016】現在では、グリコールエーテル類を含有し
た種々の洗浄剤が提案されている。例えば、特公平5−
1840号公報、特開平5−287300号公報、特開
平8−34991号公報に挙げられているように、グリ
コールエーテル系化合物を含有した洗浄剤組成物が提案
されている。該組成物においてグリコールエーテル化合
物は、洗浄性等の問題から1〜50重量%と高濃度で用
いることが必須であるが、これらは、該洗浄液での洗浄
後には水によるリンス水洗が必要であり、水リンスを行
わない場合には、乾燥後には、肉眼で確認できる程の明
かな洗浄剤成分の析出、あるいは、肉眼では確認できな
くても薄膜上に洗浄剤成分の残留が発生する。また、こ
れらの組成物に関して、乾燥工程時の金属表面の酸化防
止については、何ら開示されていない。
【0017】これに対して、本発明においては、グリコ
ールエーテル類を界面活性剤としての用途ではなく、水
切り性向上を目的として、水切り性が確保され、なおか
つ、乾燥後の残渣が無い範囲の低濃度で用い、さらに、
ヒドロキシルアミン化合物あるいは、ヒドラジン化合物
を共存させることにより、乾燥時の金属表面の酸化を防
止するものである。
【0018】また、特公昭59−12717号公報、特
開平4−306298号公報では、グリコールエーテル
系化合物を含有する乾燥仕上げ剤組成物が提案されてい
るが、これらはガラス、陶器等の食器を対象としたもの
であり、金属のような乾燥時の表面酸化に関しての開示
は何らされていない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は環境破壊を起
こす溶剤類による水切り置換工程を必要とせず、水が付
着したまま乾燥してもムラ、シミの発生を防止すると同
時に、清浄な金属表面を得る金属の乾燥方法を提供する
ことである。
【0020】
【課題を解決するための手段】環境破壊を起こすフロ
ン、塩素系溶剤等を用いた水切り置換による乾燥法の代
替技術が現在強く望まれている。そこで、本発明者等
は、式(1)で示されるヒドロキシルアミン類もしくは
式(2)で示されるヒドラジン類、並びに、式(3)で
示されるグリコールエーテル類、アルコールを含有する
水溶液を用いた乾燥前処理剤は、酸化防止効果と水切れ
効果により乾燥工程時の金属酸化を効果的に防止できる
と同時に、乾燥した金属表面に乾燥前処理剤の成分が付
着することなく、清浄な金属表面が得られることを見い
出した。
【0021】水系金属表面処理や水系金属洗浄で用いら
れている各種プロセスにおいて、金属に水が付着したま
ま乾燥すると、多くの場合、金属酸化に起因する変色が
発生し乾燥ムラ、シミとなる。しかし、本発明は、金属
表面処理剤或いは金属洗浄剤での処理後、乾燥工程に先
立ち、式(1)で示されるヒドロキシルアミン類もしく
は式(2)で示されるヒドラジン類、並びに、式(3)
で示されるグリコールエーテル類、アルコールを含有す
る水溶液で金属を処理することにより、水が付着したま
ま乾燥しても、乾燥工程における金属酸化を防止し、乾
燥ムラ、シミの発生を抑制すると共に清浄な金属表面を
得る乾燥方法に関する。即ち、本発明は式(1)で示さ
れるヒドロキシルアミン類もしくは式(2)で示される
ヒドラジン類、並びに、式(3)で示されるグリコール
エーテル類、アルコールを含有する水溶液からなる処理
剤で処理した後、水洗することなく乾燥することを特徴
とする乾燥方法に関する。
【0022】
【化4】 (式中R1 、R2 、R3 は水素又はアルキル基、アルケ
ニル基であり、これらの基は置換基を有しても良い。)
【化5】 (式中R1 、R2 、R3 、R4 は水素又はアルキル基、
アルケニル基であり、これらの基は置換基を有しても良
い。)
【化6】 (式中R1 、R2 は、水素、又は炭素数1〜10のアル
キル基であり、nは2又は3、mは1〜3の整数を表
す。)
【0023】本発明に用いられる水系金属表面処理プロ
セスとしては、無電解メッキ、電気メッキ、陽極酸化、
酸洗、アルカリ洗、化学研磨、電解研磨、機械研磨、金
属着色処理、エッチング、化成処理等のプロセスが挙げ
られ、水系金属洗浄プロセスとしては、脱脂、酸洗浄、
アルカリ洗浄、電解洗浄等のプロセスが挙げられる。
【0024】これら各種の金属表面処理や金属洗浄のプ
ロセスにおいて、リンス水洗後、乾燥に先立ち金属を乾
燥前処理剤を含有した水溶液で処理するか、又は、リン
ス水洗の水に乾燥前処理時を添加した水溶液で、水洗を
兼ねた処理をした後、金属を乾燥させる。これにより乾
燥ムラ、シミの発生を抑制し外観の良好でかつ清浄な金
属を得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明に使用する式(1)で示さ
れるヒドロキシルアミン類、式(2)で示されるヒドラ
ジン類、及び、式(3)で示されるグリコールエーテル
類、及び、アルコールの沸点又は分解温度は乾燥条件で
異なるが、200℃以下であることが最適である。沸点
又は分解温度が200℃を超える化合物は、金属酸化の
防止効果は高いが、乾燥した金属表面に乾燥前処理剤の
成分が付着し、乾燥ムラ、シミの原因となると同時に清
浄な金属表面を得ることが困難になる。乾燥温度を高く
すれば、この欠陥を防止できるが、取り扱い性、経済性
の観点から好ましくない。200℃以下の沸点又は分解
温度を有する化合物が、金属酸化の防止効果も高く、乾
燥ムラ、シミのない良好な外観を得ると同時に清浄な金
属表面を確保でき、取り扱いの点からも最適である。
【0026】更に、式(3)で示されるグリコールエー
テル類の分子構造としては、水切れ性を確保するために
疎水基、つまり、アルキル基の炭素数が大きいことが必
要であると同時に、アルコールとの混合により水中に均
一に溶解しうる為には過度にアルキル基の炭素数が大き
くなっても不都合であり、これら2つの条件を満足させ
ることが不可欠である。又、水切れ性を水溶液に付与す
る性能を持つグリコールエーテル類は、その疎水基の長
さのために、それのみでは水中に均一に溶解することが
困難であり、均一に溶解せずコロイド状に水中に懸濁し
た状態のまま処理剤として用いると、乾燥後の金属表面
にシミ状に残留する。この為、グリコールエーテル類の
溶解のためには、アルコールの添加も必要不可欠であ
る。
【0027】式(1)で示されるヒドロキシルアミン化
合物について、好ましい化合物を具体的に例示すると、
ヒドロキシルアミン、O−メチルヒドロキシルアミン、
O−エチルヒドロキシルアミン、N−メチルヒドロキシ
ルアミン、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン、N,
O−ジメチルヒドロキシルアミン、N−エチルヒドロキ
シルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、
N,O−ジエチルヒドロキシルアミン、O,N,N−ト
リメチルヒドロキシルアミン、N−(2−メトキシエチ
ル)ヒドロキシルアミン、N−アリルヒドロキシルアミ
ン、N,O−ジアリルヒドロキシルアミン、O−シクロ
ヘキシル−N,N−ジメチルヒドロキシルアミン等が挙
げられる。これらのうちヒドロキシルアミン、N,N−
ジエチルヒドロキシルアミン等が最適である。
【0028】式(2)で示されるヒドラジン化合物につ
いて、好ましい化合物を具体的に例示すると、1,1−
ジエチルヒドラジン、1,2−ジエチルヒドラジン、メ
チルヒドラジン、エチルヒドラジン、1,1−ジメチル
ヒドラジン、1,2−ジメチルヒドラジン、1,2−ジ
イソプロピルヒドラジン、ヒドラジン、シクロヘキシル
ヒドラジン、アリルヒドラジン、イソプロピルヒドラジ
ン等が挙げられる。これらのうち、特に、ヒドラジン、
メチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、1,
2−ジメチルヒドラジン、エチルヒドラジン、1,1−
ジエチルヒドラジン、1,2−ジエチルヒドラジン等が
最適である。
【0029】式(3)で示されるグリコールエーテル類
としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル、
エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレング
リコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコール
ジアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアル
キルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロ
ピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレンン
グリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコ
ールジアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモ
ノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールジアル
キルエーテル等が挙げられ、アルキル基としては、炭素
数1〜10のものが好適に用いられる。この中でも、特
に、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエ
チレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレング
リコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコー
ルジアルキルエーテル等が好適であり、特に、ジエチレ
ングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリ
コールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコール
モノブチルエーテル等が最適である。
【0030】アルコール類としては、炭素数1〜10の
アルコールが好ましく、特に、メタノール、エタノー
ル、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノ
ール、s−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノー
ル等が好適であり、特に、メタノール、エタノールが最
適である。
【0031】本発明の実施に際して、水溶液中における
ヒドロキシルアミン類もしくはヒドラジン類の濃度は1
0ppm〜10,000ppmである。10ppm未満
では、金属の種類、形状、水質、乾燥方法等によって
は、乾燥ムラ・シミが発生する場合がある。又、10,
000ppmを超えることは、取り扱い性、経済性等を
考慮すると不適当である。
【0032】又、グリコールエーテルの濃度は、100
〜10,000ppmが好ましく、特に、500〜1
0,000ppmが好適であり、更には、500〜1,
000ppmが最適である。濃度が、100ppm未満
では、水切れ性の向上効果は殆ど見られず、又、10,
000ppmを超えると、水溶液中へ均一に分散しにく
くなり、、又、乾燥後に残渣が発生する場合がある。
【0033】アルコールの濃度は、200〜20,00
0ppmが好ましく、特に、1,000〜20,000
ppmが好適であり、更には、1,000〜2,000
ppmが最適である。又、アルコール濃度は、グリコー
ルエーテル濃度の2〜5倍であることが望ましい。
【0034】乾燥前処理の時間は金属の種類、形状、処
理方法等により異なり、特に制限はない。しかし、実用
的には10〜600秒が好ましい。10秒未満の場合、
製品に乾燥ムラ、シミが発生する場合がある。600秒
を超えても、処理効果それ自体には問題はないが、生産
性、経済性の観点より不適当である。処理温度も特に制
限はないが、室温以上が好ましい。乾燥効率を上げるた
め、80℃以上の湯洗をしても処理効果に問題はなく、
むしろ優れた外観の金属を得ることができる利点があ
る。
【0035】本発明に用いられる金属としては、鉄、
銅、ニッケル、クロム、コバルト、鉛、亜鉛、アルミニ
ウム、チタン、スズ、金、銀等及びこれらの合金、また
は樹脂、ガラス、セラミックス等の表面に接着、圧着、
メッキ、蒸着、イオンプレーティング、等の手段により
金属化した製品に適用できる。
【0036】本発明の方法において、乾燥前処理剤の乾
燥工程における金属酸化防止機構それ自体は解明されて
いないが、以下のような挙動を示すものと推測される。
【0037】即ち、ヒドロキシルアミン類もしくはヒド
ラジン類は、金属表面に吸着し均一な被覆膜を形成し、
金属と酸素の接触を防止する。金属に吸着した成分は、
水及び非吸着成分に比べ、蒸発飛散が起こり難く、乾燥
工程の終期段階まで均一な被覆膜を形成している。
【0038】水及び非吸着成分が蒸発飛散した後、金属
に吸着した成分も蒸発飛散するが、この段階では金属の
置かれた雰囲気が乾いているため、溶剤による水切り置
換の場合と同様に、金属と酸素が接触しても実用上問題
となるほど金属の酸化は起こらず乾燥ムラ、シミを防止
し外観の良好な乾燥品を得ることが出来る。
【0039】又、金属との吸着が強く、蒸発飛散が起こ
り難い場合でも、本発明で使用される化合物は自己分解
性を有するため、最終的には分解飛散し、清浄な金属表
面を得ることができる。式(1)で示されるヒドロキシ
ルアミン類及び式(2)で示されるヒドラジン類はそれ
自身は勿論、酸素との酸化生成物及び自己分解生成物も
全てが乾燥工程にて蒸発飛散可能な物質であり、フロ
ン、塩素系溶剤と同様に蒸発残分は発生しない。
【0040】更に、グリコールエーテルの添加により水
切れ性が向上し、乾燥時間が短縮され、生産上、経済上
の効果も得られる。又、乾燥時間が短縮される分、金属
表面が水分雰囲気下にある時間が短くなるため、金属表
面の酸化も進行しにくくなり、ヒドロキシルアミン類或
いはヒドラジン類との相乗効果により、より強力な乾燥
時の酸化防止効果が得られる。
【0041】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものでは
ない。
【0042】実施例1 ベアリング部品(SS400製)を化学研磨しバリ取り
・光輝化処理後、水洗する。次いで、ヒドロキシルアミ
ン500ppm、ジプロピレングリコールモノブチルエ
ーテル500ppm、メタノール1000ppmを含む
水溶液を添加した水溶液を用い室温で120秒間浸漬処
理を施し、遠心脱水機で液切りし、80℃の箱型乾燥機
中で乾燥する。
【0043】実施例2 実施例1において、ヒドロキシルアミン、ジプロピレン
グリコールモノブチルエーテル、メタノールを含有する
水溶液を用いる代わりに、メチルヒドラジン1000p
pm、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル2
000ppm、n−プロパノール5000ppmを用い
た以外は、実施例1と同様に行った。
【0044】実施例3 実施例1において、ヒドロキシルアミン、ジプロピレン
グリコールモノブチルエーテル、メタノールを含有する
水溶液を用いる代わりに、1,1−ジエチルヒドラジン
1000ppm、エチレングリコールジヘキシルエーテ
ル1500ppm、イソプロパノール4000ppmを
用いた以外は、実施例1と同様に行った。
【0045】実施例4 銅張り積層板を整面後、水溶性ドライフイルムを圧着
し、パターンフイルムを重ね露光する。次いで、連続コ
ンベアーラインにて1%炭酸ソーダ水溶液で現像し、未
硬化部のドライフイルムを溶解除去して、不要部の金属
銅を露出させる。次いで、塩化銅エッチング溶液にて、
露出した金属銅を溶解除去した後、3%苛性ソーダ水溶
液で硬化部のドライフイルムを溶解除去する。次いで、
ヒドラジン10ppm、ジエチレングリコールモノヘキ
シルエーテル100ppm、エタノール500ppmを
含む水溶液をスプレー水洗機で室温で20秒間噴霧水洗
する。次いで、絞りロール及びエアーナイフで液切りし
た後、コンベアー式熱風乾燥機で乾燥する。この様にし
て印刷配線回路基板を製造した。
【0046】実施例5 テストピース(鉄−ニッケル合金)を化学研磨しバリ取
り・光輝化処理する。次いで、室温でN,N−ジエチル
ヒドロキシルアミン10,000ppm、ジプロピレン
グリコールモノプロピルエーテル1000ppm、イソ
プロパノール3000ppmを含む水溶液で10秒間水
洗する。これをエアーブローにて液切りした後、80℃
の箱形乾燥機で乾燥する。
【0047】実施例6 実施例5において、N,N−ジエチルヒドロキシルアミ
ン、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、イ
ソプロパノールを含有する水溶液を用いる代わりに、
1,2−ジエチルヒドラジン5000ppm、ジプロピ
レングリコールジメチルエーテル1000ppm、エタ
ノール3000ppmを用いた以外は、実施例5と同様
に行った。
【0048】実施例7 実施例5において、N,N−ジエチルヒドロキシルアミ
ン、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、イ
ソプロパノールを含有する水溶液を用いる代わりに、
1,1−ジメチルヒドラジン2500ppm、プロピレ
ングリコールモノオクチルエーテル1500ppm、n
−ブタノール5000ppmを用いた以外は実施例5と
同様に行った。
【0049】実施例8 潤滑油の付着した熱間工具鋼をアルカリ洗浄した後、水
洗する。次いで、1,2−ジメチルヒドラジン500p
pm、ジエチレングリコールジエチルエーテル200p
pm、t−ブタノール500ppmを含む水溶液に80
℃、30秒間浸漬しする。これを100℃に保持した遠
心脱水機で乾燥する。
【0050】実施例9 無機フィラ−を含有する液晶ポリマ−(ポリプラスッチ
ックス社製ベクトラC−820)を用い、射出成形によ
り部品搭載用凹みを有する成形基板を得た。この成形品
全面に無電解メッキを施す。次に、電着型フォトレジス
トを用いて、メッキレジストパタ−ンを形成した。こう
して得られた基板に光沢ニッケルメッキを10〜30μ
m付け回路パタ−ンを形成し、更に金ストライクメッキ
を行った後、ワイヤボンディング用金メッキにて 0.
3μm付けた。この後、基板から、メッキレジスト、非
回路部の無電解銅メッキを除去した。最後に、エチルヒ
ドラジン100ppm、ジエチレングリコールジブチル
エーテル250ppm、メタノール1,000ppmを
含む水溶液にて室温で30秒間超音波洗浄を行い、エア
−ブロ−した後、80℃の熱風乾燥器にて乾燥した。
【0051】比較例1−1 実施例1の乾燥前処理剤による処理を行わない以外は実
施例1と同様に行った。
【0052】比較例1−2 実施例1の乾燥前処理をヒドロキシルアミン500pp
mのみを含む水溶液にて行った以外は実施例1と同様に
行った。
【0053】比較例1−3 実施例1の乾燥前処理をジプロピレングリコールモノブ
チルエーテル500ppm、メタノール1000ppm
のみを含む水溶液にて行った以外は実施例1と同様に行
った。
【0054】比較例2−1 実施例4の水洗水に乾燥前処理剤を添加しなかった以外
は、実施例24と同様に行った。
【0055】比較例2−2 実施例4における水洗水にヒドラジン10ppmのみ添
加し、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エ
タノールは添加しなかった以外は、実施例24と同様に
行った。
【0056】比較例2−3 実施例4における水洗水にジエチレングリコールモノヘ
キシルエーテル100ppm、エタノール500ppm
のみを添加し、ヒドラジンを添加しなかった以外は、実
施例24と同様に行った。
【0057】比較例3 実施例5の水洗水にN,N−ジエチルヒドロキシルアミ
ン、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、イ
ソプロパノールを添加しなかった以外は、実施例5と同
様に行った。
【0058】比較例4 実施例8の1,2−ジメチルヒドラジン、ジエチレング
リコールジエチルエーテル、t−ブタノール水溶液によ
る乾燥前処理を実施しなかった以外は、実施例8と同様
に行った。
【0059】比較例5 実施例9のエチルヒドラジン、ジエチレングリコールジ
ブチルエーテル、メタノール水溶液による、乾燥前処理
を実施しなかった以外は、実施例9と同様に行った。
【0060】上記各種処理後の金属製品を目視観察し、
乾燥ムラ、シミ等の外観を下記基準で4段階に評価し
た。 ◎乾燥ムラ、シミ等の外観の欠陥はなく、非常に優れる ○乾燥ムラ、シミ等の外観の欠陥は殆どなく、優れる △乾燥ムラ、シミ等の外観の欠陥が、若干発生しやや劣
る。 ×乾燥ムラ、シミ等の外観の欠陥が、目立ち劣る
【0061】上記の結果を表1に示す。 表1 実施例No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 評価結果 ◎ ○ ○ ◎ ◎ ○ ○ ○ ◎ 比較例No. 1-1 1-2 1-3 2-1 2-2 2-3 3 4 5 評価結果 × ○ △ × △ × △ △ ×
【0062】
【発明の効果】本発明の方法による金属乾燥品は、フロ
ン又は塩素系溶剤を用いた水切り置換法による乾燥品と
同様に金属表面が清浄で、且つ乾燥ムラ、シミのない良
好な外観が得られる。従って環境を破壊するフロン、又
は塩素系溶剤の使用を廃止可能とする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23G 5/036 F26B 5/00 C11D 7/60

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)下記式(1)で示されるヒドロキシ
    ルアミン化合物 10〜10,000ppm 【化1】 (式中R1 、R2 、R3 は水素又はアルキル基、アルケ
    ニル基であり、これらの基は置換基を有しても良い。)
    または、下記式(2)で示されるヒドラジン化合物 1
    0〜10,000ppm 【化2】 (式中R1 、R2 、R3 、R4 は水素又はアルキル基、
    アルケニル基であり、これらの基は置換基を有しても良
    い。) (B)下記式(3)で示されるグリコールエーテル類
    100〜10,000ppm 【化3】 (式中R1 、R2 は、水素又は炭素数1〜10のアルキ
    ル基であり、nは2または3、mは1〜3の整数を表
    す。) (C)炭素数1〜7のアルコール 200〜20,00
    0ppmを含有する水溶液からなることを特徴とする乾
    燥前処理剤。
  2. 【請求項2】 式(1)で示される化合物がヒドロキシ
    ルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンから選
    ばれる少なくとも一種である請求項1記載の処理剤。
  3. 【請求項3】 式(2)で示される化合物がヒドラジ
    ン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、1,1−又
    は1,2−ジメチルヒドラジン、1,1−又は1,2−
    ジエチルヒドラジンから少なくとも選ばれる一種である
    請求項1または2記載の処理剤。
  4. 【請求項4】 式(3)で示されるグリコールエーテル
    が、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプ
    ロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレ
    ングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくと
    も一種であるである請求項1〜3のいずれか一項に記載
    の処理剤。
  5. 【請求項5】 炭素数1〜7のアルコールが、メタノー
    ル、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール
    から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいず
    れか一項に記載の処理剤。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれか一項に記載の
    乾燥前処理剤で処理後、水洗することなく、乾燥するこ
    とを特徴とする金属の乾燥方法。
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