JP3755548B2 - 金属の乾燥前処理剤及び乾燥方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水系の金属表面処理や金属洗浄の分野において、乾燥ムラ、シミを防止するための乾燥前処理剤及び乾燥方法に関するものである。更に詳しくは、金属表面処理剤での処理、或いは、金属洗浄剤での洗浄後に、式(1)で示される化合物もしくは式(2)で示される化合物、並びに、アセチレンアルコール類を含有する水溶液からなる処理剤で処理した後、乾燥する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水系の金属表面処理や金属洗浄の分野において、乾燥ムラ、シミを防止するための乾燥工程における金属の酸化防止方法としては、溶剤による水切り置換法、真空乾燥法、窒素雰囲気での乾燥などが挙げられる。しかし、真空乾燥法は設備費が高価になり、作業能率も低い。又、窒素雰囲気での乾燥も設備費が高価であり、更に多量の窒素を使用することからコストが高くなり、これらの乾燥方法は特殊な製品の場合に適用され、一般的には溶剤による水切り置換法が工業的には採用されている。
【0003】
水が付着したまま乾燥すると多くの場合、金属表面の酸化による変色が発生し製品価値が落ちる。溶剤による水切り置換法はリンス(最終仕上げ)水洗後、フロン又は塩素系溶剤で処理し、金属表面の水を置換除去する方法である。
【0004】
しかし、上記の水切り置換法で使用される溶剤であるフロン又は塩素系溶剤は環境破壊を引き起こすことから、これらの使用は世界的に規制されてきており、これに代わる代替技術が強く求められている。代替技術として、イソプロピルアルコール等の低毒性溶剤の使用が提案されているが、これら溶剤は引火性(可燃性)であり、フロン又は塩素系溶剤に比べ安全性に問題があり、設備費が高価になる欠点がある。
【0005】
又、水洗工程での金属酸化が問題となる場合、金属酸化防止法として水洗工程において、溶存酸素を除去する脱酸素剤、腐食抑制剤、不動態皮膜形成剤等を使用する方法が知られている。
【0006】
水洗工程における酸化は、水に溶解した酸素に起因し、従って、水中の溶存酸素をできるだけ除去することにより、水中での金属酸化を防止することができる。一般的に脱酸素剤としては、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、亜硫酸ソーダ、重亜硫酸ソーダ等の還元剤が使用される。
【0007】
例えば、特開昭53−55427号公報、特開平2−125887号公報には、ヒドラジンを用いた金属の酸化防止方法が提案されている。しかし、これらは、水洗工程における金属酸化の防止、或いは還元洗浄を目的とした脱酸素剤としての使用であり、これらの発明から乾燥工程における金属酸化防止の効果を類推することは困難である。
【0008】
又、特開昭57−63364号公報では、ヒドロキシルアミンと中和性アミンとからなる組成物による蒸気系統における金属の防蝕方法が挙げられている。しかし、これも水中での金属酸化を防止する為に、水中の溶存酸素を除去する脱酸素剤として、ヒドロキシルアミンが使用されているもので、乾燥工程における金属酸化防止については何ら開示されていない。
【0009】
又、腐食抑制剤としては一般的にアミン化合物等が用いられる。腐食抑制剤の作用は、金属表面に均一に吸着被覆し、金属と酸素の接触を断つことで金属酸化を防止することにある。不動態皮膜形成剤としては、重クロム酸塩、クロム酸塩、亜硝酸塩等の酸化剤を用い、金属表面に耐食性の不動態皮膜を形成し、それ以上の酸化を防止する。
【0010】
一方、乾燥工程における金属酸化防止技術としては、溶剤を用いた水切り置換法が主体であった。溶剤を用いた水切り置換法には、金属を還元又は洗浄する能力はなく、水洗工程以降、即ち乾燥工程における金属酸化を防止することにある。
【0011】
通常、乾燥工程は大気中で行われ、絶えず酸素が存在する雰囲気であり、存在する酸素を脱酸素剤等で除去して金属酸化を防止することは困難であり、水中における酸化防止を目的とした溶存酸素を除去する手段を適用することは不可能である。従って、溶剤による水切り置換を行い水分を除去することにより、充分なる酸素が供給されても乾燥ムラ、シミの発生を防止する乾燥が可能となる。
【0012】
乾燥工程において、金属表面に付着した水が水膜を形成している乾燥初期段階では、金属酸化速度は遅い。しかし、乾燥が進むに伴って金属表面の水膜が破壊され、直接金属表面が露出し、且つ湿った雰囲気の乾燥後期段階では、大気中の酸素が連続的に充分なる量で供給され、金属表面温度も高いため、金属の酸化は急激に進行する。
【0013】
溶剤を用いた水切り置換による乾燥法を適用する一般的な金属表面処理工程では、水洗工程における金属酸化は極く少なく、多くの場合、特別の手段を採用しなくとも、水洗工程で発生する金属酸化量では、最終製品の変色等の現象まで結びつかない。しかし、乾燥工程における金属酸化量は大きく、前述のように溶剤による水切り置換を実施しないで乾燥すると、従来技術では変色が発生し欠陥製品となる。
【0014】
前述したように、乾燥工程における金属酸化を脱酸素剤を用いて防止することは困難なばかりでなく、脱酸素剤等を含んだ水洗水が付着したまま乾燥すると脱酸素剤成分が金属表面に析出(蒸発乾固)し、乾燥ムラ、シミの原因となる。又、析出した脱酸素剤成分が次工程に悪影響を及ぼすため、リンス水洗水は出来るだけ清浄に保つことが不可欠であった。
【0015】
又、腐食抑制剤の使用では、乾燥工程における金属酸化を防止できても、金属表面には腐食抑制剤が存在し、乾燥ムラ、シミにならなくとも清浄な金属表面を得ることは不可能である。従って、後の工程において、吸着した腐食抑制剤の悪影響が生じる場合があり、次工程の処理前に腐食抑制剤を除去する必要が生じる。又、不動態皮膜形成剤の使用も乾燥ムラ、シミのない外観の良好な製品を得ることはできるが、金属表面は均一な酸化膜(不動態皮膜)で被覆されるため、腐食抑制剤の場合と同様に清浄な金属表面を得ることは不可能である。従って、後の工程において均一な酸化膜の悪影響が生じ、次工程前に酸化膜(不動態皮膜)を除去する必要が生じる。
【0016】
例えば、特開昭60−208487号公報、特開昭61−91379号公報、特公昭61−54873号公報には、金属の酸洗浄・酸処理用の腐食抑制剤として、アセチレンアルコールを用いた組成物が提案されているが、これの組成物は、ボイラー系配管、水冷配管、油井等の酸洗浄液中での金属腐食の抑制を目的としたものであり、乾燥工程における金属酸化を目的としたものではなく、もし、これらの組成物を乾燥工程に用いた場合には、乾燥終了時には金属表面に腐食抑制成分が残留する。
【0017】
又、特公昭61−47909号公報や特公平3−30640号公報においては、アセチレンアルコールが金属の防錆成分として用いられているが、これらにおけるアセチレンアルコールの使用濃度は0.1〜20%と高濃度であり、あくまでも金属表面に吸着・残留し、防錆効果を確保するものであり、本発明におけるように、乾燥工程終了後には金属表面に残留しない程の低濃度で用い、且つ、高温での防錆効果を得る処理剤とは、明らかに異なるものである。これらの先願発明において、乾燥工程時の金属表面の酸化防止については、何ら開示されていない。
【0018】
これに対して、本発明においては、アセチレンアルコールの有する防錆性能と水切れ性能が発現する濃度を確保することと、乾燥工程後に金属表面に残渣が残らないことを、ヒドロキシルアミン化合物或いはヒドラジン化合物を共存させることにより、両立させ、乾燥時の金属表面の酸化を防止するしたものである。
【0019】
一方、水切り置換法を用いた乾燥の場合は、水分の除去にて金属の酸化を防止し、使用した溶剤は乾燥工程にて蒸発飛散し、金属表面に残らない。従って、乾燥ムラ、シミの発生しない良好な外観得ると同時に、金属は清浄な表面が得られる理想的な乾燥方法である。
【0020】
しかし、これら溶剤の使用は環境を破壊するため、代替技術が強く求められている。代替技術として、水中での金属酸化防止技術を直接利用しても、前記の様に種々なる欠陥を有し、満足し得る金属の乾燥を実施することは困難である。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は環境破壊を起こす溶剤類による水切り置換工程を必要とせず、水が付着したまま乾燥してもムラ、シミの発生を防止すると同時に、清浄な金属表面を得る金属の乾燥方法を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
環境破壊を起こすフロン、塩素系溶剤等を用いた水切り置換による乾燥法の代替技術が現在強く望まれている。そこで、本発明者等は、式(1)で示されるヒドロキシルアミン類もしくは式(2)で示されるヒドラジン類、並びに、アセチレンアルコールを含有する水溶液を用いた乾燥前処理剤は、酸化防止効果と水切れ効果により乾燥工程時の金属酸化を効果的に防止できると同時に、乾燥した金属表面に乾燥前処理剤の成分が付着することなく、清浄な金属表面が得られることを見い出した。
【0023】
水系金属表面処理や水系金属洗浄で用いられている各種プロセスにおいて、金属に水が付着したまま乾燥すると、多くの場合、金属酸化に起因する変色が発生し乾燥ムラ、シミとなる。しかし、本発明は、金属表面処理剤或いは金属洗浄剤での処理後、乾燥工程に先立ち、式(1)で示されるヒドロキシルアミン類もしくは式(2)で示されるヒドラジン類、並びに、アセチレンアルコールを含有する水溶液で金属を処理することにより、水が付着したまま乾燥しても、乾燥工程における金属酸化を防止し、乾燥ムラ、シミの発生を抑制すると共に清浄な金属表面を得る乾燥方法に関する。即ち、本発明は式(1)で示されるヒドロキシルアミン類もしくは式(2)で示されるヒドラジン類、並びに、アセチレンアルコールを含有する水溶液からなる処理剤で処理した後、水洗することなく乾燥することを特徴とする乾燥方法に関する。
【0024】
【化3】
(式(1)中R1、R2、R3は水素又はアルキル基、アルケニル基であり、これらの基は置換基を有しても良い。)
【化4】
(式(2)中R1、R2、R3、R4は水素又はアルキル基、アルケニル基であり、これらの基は置換基を有しても良い。)
【0025】
本発明に用いられる水系金属表面処理プロセスとしては、無電解メッキ、電気メッキ、陽極酸化、酸洗、アルカリ洗、化学研磨、電解研磨、機械研磨、金属着色処理、エッチング、化成処理等のプロセスが挙げられ、水系金属洗浄プロセスとしては、脱脂、酸洗浄、アルカリ洗浄、電解洗浄等のプロセスが挙げられる。
【0026】
これら各種の金属表面処理や金属洗浄のプロセスにおいて、リンス水洗後、乾燥に先立ち金属を乾燥前処理剤を含有した水溶液で処理するか、又は、リンス水洗の水に乾燥前処理時を添加した水溶液で、水洗を兼ねた処理をした後、金属を乾燥させる。これにより乾燥ムラ、シミの発生を抑制し外観の良好でかつ清浄な金属を得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する式(1)で示されるヒドロキシルアミン類、式(2)で示されるヒドラジン類、及び、アセチレンアルコールの沸点又は分解温度は乾燥条件で異なるが、200℃以下であることが最適である。沸点又は分解温度が200℃を超える化合物は、金属酸化の防止効果は高いが、乾燥した金属表面に乾燥前処理剤の成分が付着し、乾燥ムラ、シミの原因となると同時に清浄な金属表面を得ることが困難になる。乾燥温度を高くすれば、この欠陥を防止できるが、取り扱い性、経済性の観点から好ましくない。200℃以下の沸点又は分解温度を有する化合物が、金属酸化の防止効果も高く、乾燥ムラ、シミのない良好な外観を得ると同時に清浄な金属表面を確保でき、取り扱いの点からも最適である。
【0028】
式(1)で示されるヒドロキシルアミン化合物について、好ましい化合物を具体的に例示すると、ヒドロキシルアミン、O−メチルヒドロキシルアミン、O−エチルヒドロキシルアミン、N−メチルヒドロキシルアミン、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン、N−エチルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,O−ジエチルヒドロキシルアミン、O,N,N−トリメチルヒドロキシルアミン、N−(2−メトキシエチル)ヒドロキシルアミン、N−アリルヒドロキシルアミン、N,O−ジアリルヒドロキシルアミン、O−シクロヘキシル−N,N−ジメチルヒドロキシルアミン等が挙げられる。これらのうちヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等が最適である。
【0029】
式(2)で示されるヒドラジン化合物について、好ましい化合物を具体的に例示すると、1,1−ジエチルヒドラジン、1,2−ジエチルヒドラジン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、1,2−ジメチルヒドラジン、1,2−ジイソプロピルヒドラジン、ヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、アリルヒドラジン、イソプロピルヒドラジン等が挙げられる。これらのうち、特に、ヒドラジン、メチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、1,2−ジメチルヒドラジン、エチルヒドラジン、1,1−ジエチルヒドラジン、1,2−ジエチルヒドラジン等が最適である。
【0030】
アセチレンアルコール類としては、1−プロピン−3−オール、1−ブチン−3−オール、1−ブチン−4−オール、2−ブチン−1−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−4−オール、1−ペンチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、1−ヘキシン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−ヘプチン−3−オール、1−オクチン−3−オール、1−ノニン−3−オール、1−デシン−3−オール、2−ブチン−1,4−ジオール、3−ヘキシン−2,5−ジオール、3,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、4−エチル−1−オクチン−3−オール等の炭素数3〜10のアセチレンアルコールが好適であり、これらの中でも特に、3−メチル−1−ペンチン−3−オール(メチルペンチノール),3−メチル−1−ブチン−3−オール(メチルブチノール),3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(ジメチルヘキシノール)等が最適である。
【0031】
本発明の実施に際して、水溶液中におけるヒドロキシルアミン類もしくはヒドラジン類の濃度は10ppm〜10,000ppmである。10ppm未満では、金属の種類、形状、水質、乾燥方法等によっては、乾燥ムラ・シミが発生する場合がある。又、10,000ppmを超えることは、取り扱い性、経済性等を考慮すると不適当である。
【0032】
又、アセチレンアルコールの濃度は、1〜10,000ppmが好ましく、特に、1〜1,000ppmが好適であり、更には、10〜100ppmが最適である。濃度が、1ppm未満では、水切れ性・酸化防止性の効果は殆ど見られず、又、10,000ppmを超えると、乾燥後に残渣が発生する場合がある。
【0033】
乾燥前処理の時間は金属の種類、形状、処理方法等により異なり、特に制限はない。しかし、実用的には10〜600秒が好ましい。10秒未満の場合、製品に乾燥ムラ、シミが発生する場合がある。600秒を超えても、処理効果それ自体には問題はないが、生産性、経済性の観点より不適当である。処理温度も特に制限はないが、室温以上が好ましい。乾燥効率を上げるため、80℃以上の湯洗をしても処理効果に問題はなく、むしろ優れた外観の金属を得ることができる利点がある。
【0034】
本発明に用いられる金属としては、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルト、鉛、亜鉛、アルミニウム、チタン、スズ、金、銀等、及びこれらの合金、又は樹脂、ガラス、セラミックス等の表面に接着、圧着、メッキ、蒸着、イオンプレーティング、等の手段により金属化した製品に適用できる。
それらの中でも、特に、銅、及び、丹銅、黄銅、燐青銅、白銅、洋白等の銅合金に関しては、銅特有のシミ・変色に対しての防止効果が顕著である。
【0035】
本発明の方法において、乾燥前処理剤の乾燥工程における金属酸化防止機構それ自体は解明されていないが、以下のような挙動を示すものと推測される。
【0036】
即ち、ヒドロキシルアミン類もしくはヒドラジン類は、金属表面に吸着し均一な被覆膜を形成し、金属と酸素の接触を防止する。金属に吸着した成分は、水及び非吸着成分に比べ、蒸発飛散が起こり難く、乾燥工程の終期段階まで均一な被覆膜を形成している。
【0037】
水及び非吸着成分が蒸発飛散した後、金属に吸着した成分も蒸発飛散するが、この段階では金属の置かれた雰囲気が乾いているため、溶剤による水切り置換の場合と同様に、金属と酸素が接触しても実用上問題となるほど金属の酸化は起こらず乾燥ムラ、シミを防止し外観の良好な乾燥品を得ることが出来る。
【0038】
又、金属との吸着が強く、蒸発飛散が起こり難い場合でも、本発明で使用される化合物は自己分解性を有するため、最終的には分解飛散し、清浄な金属表面を得ることができる。式(1)で示されるヒドロキシルアミン類及び式(2)で示されるヒドラジン類はそれ自身は勿論、酸素との酸化生成物及び自己分解生成物も全てが乾燥工程にて蒸発飛散可能な物質であり、フロン、塩素系溶剤と同様に蒸発残分は発生しない。
【0039】
更に、アセチレンアルコールの添加により酸化防止性が一層向上すると同時に、水切れ性が向上し乾燥時間が短縮され、生産上・経済上の効果も得られる。又、乾燥時間が短縮される分、金属表面が水分雰囲気下にある時間が短くなるため、金属表面の酸化もより進行しにくくなり、ヒドロキシルアミン類或いはヒドラジン類との相乗効果により、更に強力な乾燥時の酸化防止効果が得られる。
【0040】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
実施例1
ベアリング部品(SS400製)を化学研磨しバリ取り・光輝化処理後、水洗する。次いで、ヒドロキシルアミン500ppm、メチルペンチノール50ppmを含む水溶液を添加した水溶液を用い室温で120秒間浸漬処理を施し、遠心脱水機で液切りし、80℃の箱型乾燥機中で乾燥する。
【0042】
実施例2
実施例1において、ヒドロキシルアミン、メチルペンチノールを含有する水溶液を用いる代わりに、メチルヒドラジン1000ppm、1−プロピン−3−オール100ppmを用いた以外は、実施例1と同様に行った。
【0043】
実施例3
実施例1において、ヒドロキシルアミン、メチルペンチノールを含有する水溶液を用いる代わりに、1,1−ジエチルヒドラジン1000ppm、1−ブチン−3−オール200ppmを用いた以外は、実施例1と同様に行った。
【0044】
実施例4
銅張り積層板を整面後、水溶性ドライフイルムを圧着し、パターンフイルムを重ね露光する。次いで、連続コンベアーラインにて1重量%炭酸ソーダ水溶液で現像し、未硬化部のドライフイルムを溶解除去して、不要部の金属銅を露出させる。次いで、塩化銅エッチング溶液にて、露出した金属銅を溶解除去した後、3重量%苛性ソーダ水溶液で硬化部のドライフイルムを溶解除去する。次いで、ヒドラジン30ppm、メチルブチノール5ppmを含む水溶液をスプレー水洗機で室温で20秒間噴霧水洗する。次いで、絞りロール及びエアーナイフで液切りした後、コンベアー式熱風乾燥機で乾燥する。この様にして印刷配線回路基板を製造した。
【0045】
実施例5
テストピース(鉄−ニッケル合金)を化学研磨しバリ取り・光輝化処理する。次いで、室温でN,N−ジエチルヒドロキシルアミン10,000ppm、ジメチルヘキシノール1,000ppmを含む水溶液で10秒間水洗する。これをエアーブローにて液切りした後、80℃の箱形乾燥機で乾燥する。
【0046】
実施例6
実施例5において、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、ジメチルヘキシノールを含有する水溶液を用いる代わりに、1,2−ジエチルヒドラジン5000ppm、1−ヘプチン−3−オール10ppmを用いた以外は、実施例5と同様に行った。
【0047】
実施例7
実施例5において、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、ジメチルヘキシノールを含有する水溶液を用いる代わりに、1,1−ジメチルヒドラジン5,000ppm、1−ヘキシン−3−オール2,500ppmを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0048】
実施例8
潤滑油の付着した熱間工具鋼をアルカリ洗浄した後、水洗する。次いで、1,2−ジメチルヒドラジン500ppm、メチルペンチノール500ppmを含む水溶液に80℃、30秒間浸漬しする。これを100℃に保持した遠心脱水機で乾燥する。
【0049】
実施例9
無機フィラ−を含有する液晶ポリマ−(ポリプラスッチックス社製ベクトラC−820)を用い、射出成形により部品搭載用凹みを有する成形基板を得た。この成形品全面に無電解メッキを施す。次に、電着型フォトレジストを用いて、メッキレジストパタ−ンを形成した。
こうして得られた基板に光沢ニッケルメッキを10〜30μm付け回路パタ−ンを形成し、更に金ストライクメッキを行った後、ワイヤボンディング用金メッキにて 0.3μm付けた。この後、基板から、メッキレジスト、非回路部の無電解銅メッキを除去した。最後に、エチルヒドラジン100ppm、ジメチルヘキシノール20ppmを含む水溶液にて室温で30秒間超音波洗浄を行い、エア−ブロ−した後、80℃の熱風乾燥器にて乾燥した。
【0050】
比較例1−1
実施例1の乾燥前処理剤による処理を行わない以外は実施例1と同様に行った。
【0051】
比較例1−2
実施例1の乾燥前処理をヒドロキシルアミン500ppmのみを含む水溶液にて行った以外は実施例1と同様に行った。
【0052】
比較例1−3
実施例1の乾燥前処理をメチルペンチノール50ppmのみを含む水溶液にて行った以外は実施例1と同様に行った。
【0053】
比較例2−1
実施例4の水洗水に乾燥前処理剤を添加しなかった以外は、実施例4と同様に行った。
【0054】
比較例2−2
実施例4における水洗水にヒドラジン10ppmのみ添加し、メチルブチノールは添加しなかった以外は、実施例4と同様に行った。
【0055】
比較例2−3
実施例4における水洗水にメチルブチノール5ppmのみを添加し、ヒドラジンを添加しなかった以外は、実施例4と同様に行った。
【0056】
比較例3
実施例5の水洗水にN,N−ジエチルヒドロキシルアミン、ジメチルヘキシノールを添加しなかった以外は、実施例5と同様に行った。
【0057】
比較例4
実施例8の1,2−ジメチルヒドラジン、メチルペンチノール水溶液による乾燥前処理を実施しなかった以外は、実施例8と同様に行った。
【0058】
比較例5
実施例9のエチルヒドラジン、ジメチルヘキシノール水溶液による、乾燥前処理を実施しなかった以外は、実施例9と同様に行った。
【0059】
上記各種処理後の金属製品を目視観察し、乾燥ムラ、シミ等の外観を下記基準で4段階に評価した。
◎乾燥ムラ、シミ等の外観の欠陥はなく、非常に優れる
○乾燥ムラ、シミ等の外観の欠陥は殆どなく、優れる
△乾燥ムラ、シミ等の外観の欠陥が、若干発生しやや劣る。
×乾燥ムラ、シミ等の外観の欠陥が、目立ち劣る
【0060】
上記の結果を表1に示す。
【0061】
【発明の効果】
本発明の方法による金属乾燥品は、フロン又は塩素系溶剤を用いた水切り置換法による乾燥品と同様に金属表面が清浄で、且つ乾燥ムラ、シミのない良好な外観が得られる。従って環境を破壊するフロン、又は塩素系溶剤の使用を廃止可能とする。
Claims (5)
- 式(1)で示される化合物がヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンから選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の処理剤。
- 式(2)で示される化合物がヒドラジン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、1,1−又は1,2−ジメチルヒドラジン、1,1−又は1,2−ジエチルヒドラジンから少なくとも選ばれる一種である請求項1または請求項2記載の処理剤。
- アセチレンアルコール類が、3−メチル−1−ペンチン−3−オール,3−メチル−1−ブチン−3−オール,3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれか一項に記載の処理剤。
- 金属表面処理剤あるいは金属洗浄剤で処理した後、次いで請求項1〜4のいずれか一項に記載の乾燥前処理剤で処理した後、水洗することなく、乾燥することを特徴とする金属の乾燥方法。
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