JP3594056B2 - 金属の乾燥方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水系の金属表面処理や金属洗浄の分野において、乾燥ムラ・シミを防止するための乾燥方法に関するものである。更に詳しくは、乾燥前処理剤を含有する水溶液で処理した後、水洗することなく乾燥する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水系の金属表面処理や金属洗浄の分野において、乾燥ムラ・シミを防止するため、溶剤による水切り置換法、遠心脱水法等の乾燥が行われている。しかし、遠心脱水法は金属の種類、形状により製品を変形させる場合があると同時に、完全に乾燥ムラ・シミを防止することが困難である。従って、一般的には溶剤による水切り置換法が工業的に採用されている。
【0003】
水が付着したまま乾燥すると、多くの場合、乾燥ムラ・シミよる変色が発生し製品価値を低下させる。溶剤による水切り置換法はリンス(最終仕上げ)水洗後、フロン、又は塩素系溶剤で処理し、金属表面の水を置換除去する方法である。
【0004】
しかし、上記の溶剤による水切り置換法で使用される溶剤であるフロン又は塩素系溶剤は環境破壊を引き起こすことから、これらの使用は世界的に規制されてきており、これに代わる代替技術が強く求められている。代替技術として、イソプロピルアルコール等の低毒性溶剤の使用が提案されているが、これら溶剤は引火性(可燃性)があり、フロン又は塩素系溶剤に比べ安全性に問題があり、設備費が高価になる欠点がある。
【0005】
溶剤による水切り置換法を用いた乾燥は乾燥ムラ・シミの発生しない理想的な乾燥方法であるが、環境破壊、安全性に欠陥があり、種々なる代替技術が検討されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、環境破壊を起こす溶剤類による水切り置換工程を必要とせず、水が付着したまま乾燥してもムラ、シミの発生を防止すると同時に、清浄な金属表面を得る金属の乾燥方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ムラ・シミを発生させない金属の乾燥方法について鋭意研究を重ねた結果、乾燥前処理剤を10μS/cm以下の電気伝導度を有する水で希釈した水溶液で処理した後、水洗することなく乾燥すれば、乾燥ムラ・シミが発生しないことを見いだし本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は、式(1)、式(2)、又は式(3)で示される化合物の内、少なくとも一種を含有する乾燥前処理剤を電気伝導度が10μS/cm以下の水で建浴し、該水溶液で金属を処理した後、水洗することなく、乾燥することを特徴とする金属の乾燥方法に関するものである。
【0009】
【化4】
Figure 0003594056
(式中R1 、R2 、R3 は水素又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、フェニル基でありこれらの基は置換基を有してもよい。)
【0010】
【化5】
Figure 0003594056
(式中R1 、R2 、R3 、R4 は水素又はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニル基でありこれらの基は置換基を有してもよい。)
【0011】
【化6】
Figure 0003594056
(式中R1 、R2 、R3 、R4 は水素又はアルキル基、アルケニル基でありこれらの基は置換基を有してもよい。又、式中Xは、水酸基、炭酸基、又は、重炭酸基であり、nは1又は2である。)
【0012】
水質に起因する乾燥ムラ・シミに関しては、乾燥前処理剤の建浴に使用する水の電気伝導度を管理することが重要であり、電気伝導度が10μS/cmを超えるとムラ・シミが発生し易くなる。建浴に用いる水の中に非蒸発成分が限度を超えて含まれていると、乾燥後の金属表面に蒸発残渣が付着し、ムラ・シミとなる。又、乾燥前処理剤の建浴に用いる水が、電気伝導度10μS/cm以下を満足する場合でも、直前の水洗工程の水質によっては水洗工程から持ち込まれる非蒸発成分が蓄積し、限度を超えると蒸発残渣が金属表面に付着しムラ・シミを発生させる様になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる水系金属表面処理プロセスとしては、無電解メッキ、電気メッキ、陽極酸化、酸洗、アルカリ洗、化学研磨、電解研磨、機械研磨、金属着色処理、エッチング、化成処理等のプロセスが挙げられ、水系金属洗浄プロセスとしては、脱脂、酸洗浄、アルカリ洗浄、電解洗浄等のプロセスが挙げられる。
【0014】
これら各種金属表面処理、及び金属洗浄プロセスにおいて、リンス水洗後、乾燥に先立ち、金属を、10μS/cm以下の電気伝導度を有する水を用いて建浴した乾燥前処理剤で処理するか、又は、10μS/cm以下の電気伝導度を有するリンス水洗水に乾燥前処理剤を添加し、水洗を兼ねた処理をした後、金属を乾燥させる。これにより、乾燥ムラ・シミの発生を抑制し、外観が良好でかつ清浄な金属を得ることができる。
【0015】
水の電気伝導度に関しては10μS/cm以下であれば、非蒸発成分による蒸発残渣は少なく、乾燥ムラ・シミは抑制される。しかし、水に可溶な成分の種類、濃度、特に、非イオン成分の濃度が高い場合には、5μS/cm以下の水を用いることが好ましい。
【0016】
乾燥前処理剤の浴に導かれる金属に付着するリンス水洗水の電気伝導度を10μS/cm以下に維持するための手段として、リンス水洗水をイオン交換樹脂に通水し、リンス水洗水中に含まれるイオン成分を除去することは有効である。特に、前工程からの汚染物の持込量が大きく、大量の水洗水を必要とする場合、排水処理の負荷の増大等を考慮すると、イオン交換樹脂による処理が最適である。
【0017】
リンス水洗工程が多段の場合には、通常は、最終段の水洗水をイオン交換樹脂にて処理するが、特に制約はなく、いずれの段の水洗水を処理しても良く、又、複数の段についてイオン交換樹脂による処理を行っても良い。いずれの方法においても、乾燥前処理剤の浴に導かれる金属に付着するリンス水洗水の電気伝導度を10μS/cm以下に維持出来れば良い。
【0018】
使用するイオン交換樹脂の種類は特に制限はなく、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂、強塩基性イオン交換樹脂、弱塩基性イオン交換樹脂、キレート樹脂等が挙げられる。又、水に溶解している成分の種類によっては合成吸着剤等も利用できる。
【0019】
陽イオン交換樹脂としてはスルホン酸基を有するスチレン系陽イオン交換樹脂、架橋ポリスチレン系陽イオン交換樹脂。弱酸性陽イオン交換樹脂としてはカルボン酸基を有するメタクリル系陽イオン交換樹脂、アクリル系陽イオン交換樹脂。強塩基性交換樹脂としては4級アンモニウム基を有するスチレン系陰イオン交換樹脂。弱塩基性イオン交換樹脂としてはアミノ基を有するスチレン系イオン交換樹脂、メタクリル系イオン交換樹脂、アクリル系イオン交換樹脂等が例示できる。
【0020】
キレート樹脂としてはイミノジ酢酸基を有する架橋ポリスチレン系キレート樹脂、ポリアミン基を有する架橋ポリスチレン系キレート樹脂。合成吸着剤としてはスチレンージビニルベンゼン系合成吸着剤、メタクリル系合成吸着剤等が例示できる。
【0021】
水洗水の処理方式にも特に制約はなく、単床単塔式、2床2塔式、2床3塔式複層床式、混床式等のいずれの方式を用いても良く、又、再生方式も特に制約はない。
【0022】
本発明に使用する式(1)で示される化合物の沸点又は分解温度は乾燥条件で異なるが、一般的には、室温〜180℃の範囲の化合物が好ましく、通常は室温〜150℃の範囲の化合物が最適である。沸点又は分解温度が室温未満の化合物は、金属酸化による乾燥ムラ、シミ発生の防止効果は良好であるが、取り扱いが困難になる。
【0023】
一方、沸点又は分解温度が180℃を超える化合物は、金属酸化の防止効果は高いが、乾燥後の金属表面に乾燥前処理剤の成分が付着し、乾燥ムラ・シミの原因となると同時に清浄な金属表面を得ることが困難になる。乾燥温度を高くすれば、この欠陥を防止できるが、取り扱い性、経済性の観点から好ましくない。150℃〜180℃の沸点又は分解温度を示す化合物は、金属酸化の防止効果は高く、外観の良好な金属製品を得ることが出来るが、金属表面の清浄度が劣る傾向にある。室温〜150℃の沸点又は分解温度を有する化合物が、金属酸化の防止効果も高く、乾燥ムラ・シミのない良好な外観を得ると同時に清浄な金属表面を確保でき、又、入手のし易さ、取り扱い性の良さ等の点からも最適である。
【0024】
式(1)で示される化合物について、好ましい化合物を具体的に例示すると、ヒドロキシルアミン、O−メチルヒドロキシルアミン、O−エチルヒドロキシルアミン、N−メチルヒドロキシルアミン、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン、N−エチルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,O−ジエチルヒドロキシルアミン、O,N,N−トリメチルヒドロキシルアミン、N−(2−メトキシエチル)ヒドロキシルアミン、N−アリルヒドロキシルアミン、N,O−ジアリルヒドロキシルアミン、N−フェニルヒドキシルアミン、O−シクロヘキシル−N,N−ジメチルヒドロキシルアミン等が挙げられる。これらのうちヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等が最適である。
【0025】
本発明に使用する式(2)で示される化合物の沸点又は分解温度は乾燥条件で異なるが、一般的には、室温〜250℃の範囲の化合物であり、通常は室温〜150℃の範囲の化合物が好ましく、更には室温〜100℃程度の沸点又は分解温度を示す化合物が最適である。沸点又は分解温度が室温未満の化合物は、金属酸化による乾燥ムラ・シミ発生の防止効果は良好であるが、取り扱いが困難になる。
【0026】
一方、沸点又は分解温度が250℃を超える化合物は、金属酸化の防止効果は高いが、乾燥後の金属表面に乾燥前処理剤の成分が付着し、乾燥ムラ・シミの原因となると同時に清浄な金属表面を得ることが困難になる。乾燥温度を高くすれば、この欠陥を防止できるが、取り扱い性、経済性の観点から好ましくない。150℃〜250℃の沸点又は分解温度を示す化合物は、金属酸化の防止効果は高く、外観の良好な金属製品を得ることが出来るが、金属表面の清浄度が劣る傾向にある。室温〜150℃、更には室温〜100℃の沸点又は分解温度を有する化合物が、、金属酸化の防止効果も高く、乾燥ムラ・シミのない良好な外観を得ると同時に清浄な金属表面を確保でき、又、入手のし易さ、取り扱い性の点からも最適である。
【0027】
式(2)で示される化合物について、好ましい化合物を具体的に例示すると、1,1−ジエチルヒドラジン、1,2−ジエチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、1−メチル−2−フェニルヒドラジン、1−エチル−2フェニル−ヒドラジン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、1,2−ジメチルヒドラジン、1,2−ジイソプロピルヒドラジン、ヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、アリルヒドラジン、イソプロピルヒドジン等が挙げられる。これらのうち、ヒドラジン、メチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、1,2−ジメチルヒドラジン、エチルヒドラジン、アリルヒドラジン、イソプロピルヒドラジン、1,2−ジイソプロピルヒドラジン、1,1−ジエチルヒドラジン、1,2−ジエチルヒドラジンが好適である。特に、ヒドラジン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、1,2−ジメチルヒドラジン、1,1−ジエチルヒドラジン、1,2−ジエチルヒドラジン等が仕上がり金属表面の光輝性の点から最適である。
【0028】
本発明に使用する式(3)で示される化合物の沸点又は分解温度は乾燥条件で異なるが、180℃以下の化合物が最適である。沸点又は分解温度が180℃を超える化合物は、金属酸化の防止効果は高いが、乾燥後の金属表面に乾燥前処理剤の成分が付着し、乾燥ムラ・シミの原因となると同時に清浄な金属表面を得ることが困難になる。乾燥温度を高くすれば、この欠陥を防止できるが、取り扱い性、経済性の観点から好ましくない。180℃以下の沸点又は分解温度を示す化合物が、金属酸化の防止効果も高く、乾燥ムラ・シミのない良好な外観を得ると同時に清浄な金属表面を確保でき、又、入手のし易さ、取り扱い性の良さの点からも最適である。
【0029】
式(3)で示される化合物について、好ましい化合物を具体的に例示すると、アンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ノイリン、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルイソプロピルアンモニウムヒドロキシド、tertーブチルートリメチルアンモニウムヒドロキシド、アリルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、炭酸アンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラエチルアンモニウム、炭酸トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸テトラメチルアンモニウム、重炭酸テトラエチルアンモニウム、重炭酸トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム等が挙げられ、これらの内でも、特に、アンモニウムヒドロキシド、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム等が最適である。
【0030】
本発明の実施に際して、水溶液中における式(1)、(2)で示される化合物の濃度は一般的には、少なくとも1ppmである。1ppm未満でも、効果はあるが金属の種類、形状、水質、乾燥方法によっては、乾燥ムラ・シミが発生する場合がある。又、、乾燥ムラ・シミに関し上限濃度としては一般的には、取り扱い性、経済性等を考慮して50,000ppmを超える濃度で用いることは不適当である。実際的には、取り扱い性、経済性等、更には被処理金属の種類、形状、水質、乾燥方法等を考慮し、通常20ppm以上、50〜10,000ppmに保持することが好適である。
【0031】
又、水溶液中における式(3)で示される化合物の濃度についても特に制限はないが、少なくとも処理液のPHを8.5以上に保つことが好ましい。PH8.5未満でも効果はあるが金属の種類、形状、水質、乾燥方法によっては、乾燥ムラ・シミが発生する場合がある。又、上限濃度としては、一般的には、取り扱い性、経済性等を考慮して処理液のPHを11を超えて用いることは不適当である。
【0032】
式(1)、式(2)で示される化合物の内少なくとも1種を含有する水溶液による処理方法は浸漬、噴霧等の手段による。処理工程が多段の場合、最終水洗槽で式(1)、或いは式(2)で示される化合物の濃度が少なくとも1ppmあれば、その他の水洗槽の濃度は特に制限はなく任意である。
【0033】
式(3)で示される化合物を少なくとも1種含有する水溶液による処理方法も浸漬、噴霧等の手段による。処理工程が多段の場合、最終水洗槽で式(3)で示される化合物を含有する処理液のPHを8.5以上に保持すれば、その他の水洗槽のPHは特に制限はなく任意である。
【0034】
処理時間は金属の種類、形状、あるいは処理方法等により異なり特に制限はない。しかし、実用的には10〜600秒が好ましい。10秒未満の場合、製品に乾燥ムラ・シミが発生する場合がある。600秒を超えても、処理効果それ自体には問題はないが、生産性、経済性の観点より不適当である。式(1)、(2)、(3)で示される化合物を含有する水溶液の処理温度も特に制限はないが、室温以上が好ましい。乾燥効率を上げるため、80℃以上の湯洗をしても処理効果に問題はなく、むしろ優れた外観の金属を得ることができる利点がある。
【0035】
本発明に用いられる金属としては、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルト、鉛、亜鉛、アルミニウム、チタン、スズ、金、銀等及びこれらの合金、又は樹脂、ガラス、セラミックス等の表面に接着、圧着、メッキ、蒸着、イオンプレーティング等の手段により金属化した製品に適用できる。
【0036】
又、式(1)、(2)、(3)の化合物に、添加剤として、アルコール、グリコールエーテル、アルキルアミン、アルカノールアミン等の成分を混合して用いることも有効である。これらの成分は、乾燥工程において、式(1)、(2)、(3)の酸化防止効果の向上や水切れ性の付与等の効果をもたらすものである。
【0037】
アルコールとしては、炭素数1〜10程度のアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等が最適である。
【0038】
グリコールエーテルとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類のモノアルキルエーテル、或いはジアルキルエーテルが好ましく、これらの中でもジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル等が最適である。
【0039】
アルキルアミンとしては、炭素数1〜7程度のアルキル、又はシクロアルキルアミンが好まく、アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び、これらのアルキル化物等が好ましい。
【0040】
本発明の方法において、式(1)、(2)、(3)で示される化合物の乾燥工程における金属酸化防止機構それ自体は解明されていないが、以下のような挙動を示すものと推測される。
【0041】
即ち、式(1)、(2)、(3)で示される化合物は金属表面に吸着し均一な被覆膜を形成し、金属と酸素との接触を防止する。金属に吸着した成分は、水及び非吸着成分に比べ、蒸発飛散が起こり難く、乾燥工程の終期段階まで均一な被覆膜を形成している。
【0042】
水及び非吸着成分が蒸発飛散した後、金属に吸着した成分も蒸発飛散するが、この段階では金属の置かれた雰囲気が乾いているため、溶剤による水切り置換の場合と同様に、金属と酸素とが接触しても実用上問題となるほど金属の酸化は起こらず、乾燥ムラ・シミを防止し外観の良好な乾燥品を得ることが出来る。
【0043】
又、金属との吸着が強く、蒸発飛散が起こり難い場合でも、本発明で使用される化合物は自己分解性を有するため、最終的には分解飛散し、清浄な金属表面を得ることができる。式(1)、(2)、(3)で示される化合物はそれ自身は勿論、酸素との酸化生成物及び自己分解生成物も全てが、乾燥工程にて蒸発飛散可能な物質であり、フロン、塩素系溶剤と同様に蒸発残分は発生しない。
【0044】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
実施例1
ベアリング部品(SS400製)を化学研磨しバリ取り・光輝化処理後、水洗する。次いで、2μS/cmの電気伝導度を有する水を用いて100ppmヒドロキシルアミン含有水溶液を調整した乾燥前処理剤浴にて、室温で120秒間浸漬処理を施し、100℃の箱型乾燥機中で乾燥する。
【0046】
実施例2
テストピース(鉄−ニッケル合金)を化学研磨しバリ取り・光輝化処理する。次いで、5μS/cmの電気伝導度を有する水を用いて500ppmヒドラジン含有水溶液を調整し、これを用いて室温で10秒間水洗することにより、乾燥前処理とした。この後、80℃の箱形乾燥機で乾燥する。
【0047】
実施例3
テストピース(鉄−ニッケル合金)を化学研磨しバリ取り・光輝化処理後、5μS/cmの水を供給して水洗した。(オーバーフロー方式を採用)水の供給量は水洗水の電気伝導度が10μS/cmを保持する様に調整した。次いで、10μS/cmの電気伝導度を有する水を用いて1,000ppmN,N−ジエチルヒドロキシルアミン含有水溶液を調整し、乾燥前処理剤とした。この浴を用い室温で60秒間浸漬処理を施し、120℃の箱形乾燥機中で乾燥する。これら一連の処理を連続で200回実施した。
【0048】
実施例4
実施例3の水洗を3段とし前2段に上水(120μS/cm)を供給し、オーバーフロー方式で水洗し、後1段の水洗槽にはイオン交換樹脂塔(三菱化学製ダイヤイオンSK102,SA11を用いた混床1塔式)を設置し、水洗水を連続的にイオン交換樹脂塔に導き、後1段の水洗槽中の水の電気伝導度を2μS/cmに維持した。なお水洗水のレベルが低下した時以外は、本槽への水の供給は実施しなかった。これらの水洗方式以外は実施例3と同一方法にて連続200回テストピース(鉄−ニッケル合金)を処理した。
【0049】
実施例5
実施例1の100ppmヒドロキシルアミン含有水溶液の代わりに、10,0000ppm炭酸アンモニウムを用いた以外は実施例1と同様に実施した。
【0050】
実施例6
銅張り積層板を整面後、水溶性ドライフイルムを圧着し、パターンフイルムを重ね露光する。次いで、連続コンベアーラインにて1重量%炭酸ソーダ水溶液で現像し、未硬化部のドライフイルムを溶解除去して、不要部の金属銅を露出させる。次いで、塩化銅エッチング溶液にて、露出した金属銅を溶解除去した後、3重量%苛性ソーダ水溶液で硬化部のドライフイルムを溶解除去する。次いで、2μS/cmの電気伝導度を有する水を用いて調整した10,000ppm1,2−ジエチルヒドラジン含有水溶液をスプレー水洗機を用いて、室温で20秒間噴霧水洗する。次いで、絞りロール及びエアーナイフで液切りした後、コンベアー式熱風乾燥機で乾燥する。この様にして印刷配線回路基板を製造した。
【0051】
実施例6
無機フィラーを含有する液晶ポリマー(ポリプラスッチックス社製ベクトラC−820)を用い、射出成形により部品搭載用凹みを有する成形基板を得た。この成形品全面に無電解メッキを施す。次に、電着型フォトレジストを用いて、メッキレジストパタ−ンを形成した。
こうして得られた基板に光沢ニッケルメッキを10〜30μm付け回路パタ−ンを形成し、更に金ストライクメッキを行った後、ワイヤボンディング用金メッキにて 0.3μm付けた。この後、基板から、メッキレジスト、非回路部の無電解銅メッキを除去した。最後に電気伝導度20μS/cmの水を用いて調整した100ppmアンモニア水溶液にて室温で30秒間超音波洗浄を行うことにより、乾燥前処理とした。次いで80℃の熱風乾燥器にて乾燥した。
【0052】
比較例1
電気伝導度150μ/cmの水を用いて、100ppmヒドロキシルアミン含有水溶液を調整し、乾燥前処理剤とした以外は実施例1と同様に行った。
【0053】
比較例2
120μS/cmの水を用いて、500ppmヒドラジン含有水溶液を調整した乾燥前処理剤を水洗水に用いた以外は、実施例2と同様に行った。
【0054】
比較例3
120μS/cmの水を用い、水洗水の電気伝導度が130μS/cmを保持するように水の供給量を調整した以外は、実施例3と同様に行った。
【0055】
比較例4
実施例4の水洗槽の3段すべてに上水(120μS/cm)を供給して、(オーバーフロー方式)水洗し、イオン交換樹脂処理を実施しなかった以外は実施例4と同様に行った
【0056】
比較例5
80μS/cmの水を用いて、100ppmアンモニア水溶液を調整し乾燥前処理剤に用いた以外は、実施例6と同様に行った。
【0057】
上記各種処理後の金属製品を目視観察し、乾燥ムラ、シミ等の外観を下記基準で4段階に評価した。
◎乾燥ムラ、シミ等の外観の欠陥はなく、非常に優れる
○乾燥ムラ、シミ等の外観の欠陥は殆どなく、優れる
△乾燥ムラ、シミ等の外観の欠陥が、若干発生しやや劣る。
×乾燥ムラ、シミ等の外観の欠陥が、目立ち劣る
【0058】
上記の結果を表1、表2に示す。
Figure 0003594056
【0059】
Figure 0003594056
【0060】
【発明の効果】
本発明の方法による金属乾燥品は、フロン又は塩素系溶剤を用いた水切り置換法による乾燥品と同様に金属表面が清浄で、且つ乾燥ムラ・シミのない良好な外観が得られる。従って、環境を破壊するフロン又は塩素系溶剤の使用を廃止可能とする。

Claims (4)

  1. 下記式(1)の乾燥前処理剤を電気伝導度が10μS/cm以下の水で建浴し、該水溶液で金属を処理した後、水洗することなく、乾燥することを特徴とする金属の乾燥方法。
    Figure 0003594056
    (式中R1 、R2 、R3 は、水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはフェニル基であり、これらの基は置換基を有してもよい。)
  2. 下記式(2)の乾燥前処理剤を電気伝導度が10μS/cm以下の水で建浴し、該水溶液で金属を処理した後、水洗することなく、乾燥することを特徴とする金属の乾燥方法。
    Figure 0003594056
    (式中R1 、R2 、R3 は、水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはフェニル基であり、これらの基は置換基を有してもよい。)
  3. 式(1)で示される化合物がヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミンである請求項1記載の方法。
  4. 式(2)で示される化合物がヒドラジン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、1,1−または1,2−ジメチルヒドラジン、1,1−または1,2−ジエチルヒドラジンである請求項2記載の方法。
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