JP2788689B2 - 銅および銅合金の表面処理方法 - Google Patents
銅および銅合金の表面処理方法Info
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- Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
- Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】銅および銅合金のインヒビターを
用いた脱脂後の変色防止処理方法であって、特にインヒ
ビターによる変色防止処理効果を高め、変色が発生しに
くい変色防止処理方法に関する。
用いた脱脂後の変色防止処理方法であって、特にインヒ
ビターによる変色防止処理効果を高め、変色が発生しに
くい変色防止処理方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】銅、黄銅、りん青銅等の銅合金は、比較
的耐食性の高い金属材料であるが、その表面を大気中に
さらすと酸化膜が成長して変色に至り、商品価値が低下
することがある。この変色を防ぐために、通常インヒビ
ターとしてベンゾトリアゾール系の化合物を含む水溶液
または有機溶剤溶液に浸漬して変色防止処理を施す。
的耐食性の高い金属材料であるが、その表面を大気中に
さらすと酸化膜が成長して変色に至り、商品価値が低下
することがある。この変色を防ぐために、通常インヒビ
ターとしてベンゾトリアゾール系の化合物を含む水溶液
または有機溶剤溶液に浸漬して変色防止処理を施す。
【０００３】この変色防止処理工程は、銅および銅合金
を板、条、線、棒、管等の素材に加工する過程でもある
いは素材を部品に加工する過程でも適宜行なわれる。
を板、条、線、棒、管等の素材に加工する過程でもある
いは素材を部品に加工する過程でも適宜行なわれる。
【０００４】加工工程では各種の熱処理と塑性加工が主
なものとなる。熱処理後は必要に応じて表面調整のため
に酸洗、研磨等が行なわれ表面が清浄であるためインヒ
ビター溶液への浸漬処理により変色防止処理が行なわれ
る。
なものとなる。熱処理後は必要に応じて表面調整のため
に酸洗、研磨等が行なわれ表面が清浄であるためインヒ
ビター溶液への浸漬処理により変色防止処理が行なわれ
る。
【０００５】一方、圧延、切削、プレス等の塑性加工工
程を経ると、それぞれの工程で圧延油、切削油、プレス
油等の使用された加工油が付着しているため、その被加
工品を変色防止処理するに当たり加工油の脱脂処理が行
なわれるのが一般的である。脱脂は溶剤脱脂とアルカリ
脱脂に大別される。溶剤脱脂の場合は、トリクロロエタ
ン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、キシレン等の石油系
溶剤、等が使用される。この場合は通常、脱脂液中に直
接インヒビターを添加して変色防止処理が行なわれる。
アルカリ脱脂の場合は、苛性ソーダ、アルカリ塩、界面
活性剤等を含有する水溶液に被脱脂材を浸漬して、場合
によっては被脱脂材を陰極または陽極として通電電解す
ることもあるが、いずれにしてもアルカリ性の液に浸漬
するため、一度水洗してから、変色防止処理するのが通
例である。
程を経ると、それぞれの工程で圧延油、切削油、プレス
油等の使用された加工油が付着しているため、その被加
工品を変色防止処理するに当たり加工油の脱脂処理が行
なわれるのが一般的である。脱脂は溶剤脱脂とアルカリ
脱脂に大別される。溶剤脱脂の場合は、トリクロロエタ
ン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、キシレン等の石油系
溶剤、等が使用される。この場合は通常、脱脂液中に直
接インヒビターを添加して変色防止処理が行なわれる。
アルカリ脱脂の場合は、苛性ソーダ、アルカリ塩、界面
活性剤等を含有する水溶液に被脱脂材を浸漬して、場合
によっては被脱脂材を陰極または陽極として通電電解す
ることもあるが、いずれにしてもアルカリ性の液に浸漬
するため、一度水洗してから、変色防止処理するのが通
例である。
【０００６】変色防止処理の溶媒として、ハロゲン化炭
化水素系溶剤は公害の問題があり、石油系溶剤は爆発、
火災の危険がある。そこで、アルカリ性水溶液を用いた
脱脂が今後ますます有望である。
化水素系溶剤は公害の問題があり、石油系溶剤は爆発、
火災の危険がある。そこで、アルカリ性水溶液を用いた
脱脂が今後ますます有望である。
【０００７】ベンゾトリアゾール等を用いた変色防止処
理では、被処理材表面で銅イオンとインヒビターとの錯
化合物により保護皮膜が形成される。ところが、工業的
に採用される変色防止処理条件は、ベンゾトリアゾール
濃度で０．００５〜０．０１％程度の低濃度水溶液へ数
秒間浸漬する低濃度、短時間処理である。このような条
件での処理条件と皮膜の保護性は、これまで、十分に明
らかにされておらず、実際に銅及び銅合金材料の変色事
故は後を断たない。
理では、被処理材表面で銅イオンとインヒビターとの錯
化合物により保護皮膜が形成される。ところが、工業的
に採用される変色防止処理条件は、ベンゾトリアゾール
濃度で０．００５〜０．０１％程度の低濃度水溶液へ数
秒間浸漬する低濃度、短時間処理である。このような条
件での処理条件と皮膜の保護性は、これまで、十分に明
らかにされておらず、実際に銅及び銅合金材料の変色事
故は後を断たない。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】本発明は銅及び銅合金
材料の変色を抑制する方法、特に、アルカリ性の脱脂液
で脱脂後水洗し、その後インヒビター水溶液への浸漬処
理により変色防止する方法においてより変色防止効果の
高い方法を提供しようとするものである。
材料の変色を抑制する方法、特に、アルカリ性の脱脂液
で脱脂後水洗し、その後インヒビター水溶液への浸漬処
理により変色防止する方法においてより変色防止効果の
高い方法を提供しようとするものである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の方法は、銅および銅合金を界面活性剤を含有
するアルカリ性の脱脂液により脱脂処理した後、水洗
し、その後インヒビター溶液により変色防止処理を行な
う表面処理方法において、脱脂処理後の水洗温度が上記
界面活性剤の曇点以下である銅および銅合金の表面処理
方法である。
の本発明の方法は、銅および銅合金を界面活性剤を含有
するアルカリ性の脱脂液により脱脂処理した後、水洗
し、その後インヒビター溶液により変色防止処理を行な
う表面処理方法において、脱脂処理後の水洗温度が上記
界面活性剤の曇点以下である銅および銅合金の表面処理
方法である。
【００１０】アルカリ性の脱脂液には、被脱脂材より脱
脂された油分を水溶液中に分散させるために界面活性剤
が使用されている。特にノニオン系の界面活性剤がアル
カリ性脱脂液の性能を高めるため一般的に用いられる。
ところが、ノニオン系界面活性剤は、その界面活性剤に
固有の曇点を有する。曇点以上の温度では、水溶液中の
界面活性剤は、巨大ミセルを形成し混濁する。すなわ
ち、曇点生成物として界面活性剤が油層として分離す
る。そして、脱脂後、脱脂液の付着した被脱脂材を曇点
以上の温度で水洗（湯洗）すると曇点生成物は、洗浄性
が低下し、容易には洗浄除去されないために、引き続き
行なわれる変色防止処理において、インヒビターによる
保護皮膜形成を妨げる。その結果、変色防止処理効果が
不十分となり変色が発生し易くなる。
脂された油分を水溶液中に分散させるために界面活性剤
が使用されている。特にノニオン系の界面活性剤がアル
カリ性脱脂液の性能を高めるため一般的に用いられる。
ところが、ノニオン系界面活性剤は、その界面活性剤に
固有の曇点を有する。曇点以上の温度では、水溶液中の
界面活性剤は、巨大ミセルを形成し混濁する。すなわ
ち、曇点生成物として界面活性剤が油層として分離す
る。そして、脱脂後、脱脂液の付着した被脱脂材を曇点
以上の温度で水洗（湯洗）すると曇点生成物は、洗浄性
が低下し、容易には洗浄除去されないために、引き続き
行なわれる変色防止処理において、インヒビターによる
保護皮膜形成を妨げる。その結果、変色防止処理効果が
不十分となり変色が発生し易くなる。
【００１１】ノニオン系界面活性剤はアルキルポリオキ
シエチレンエーテル、アルキルフェニルポリオキシエチ
レンエーテル、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリ
プロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等公知
のものが適応される。
シエチレンエーテル、アルキルフェニルポリオキシエチ
レンエーテル、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリ
プロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等公知
のものが適応される。
【００１２】脱脂液のその他の組成は水酸化ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、リン酸第三ナトリウム、トリポリ
リン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルソケイ
酸ナトリウム、キレート剤等公知の薬品が用途により適
宜添加される。
ム、炭酸ナトリウム、リン酸第三ナトリウム、トリポリ
リン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルソケイ
酸ナトリウム、キレート剤等公知の薬品が用途により適
宜添加される。
【００１３】変色防止処理液の組成は、まず銅および銅
合金用インヒビターとして一般的なベンゾトリアゾー
ル、ベンゾトリアゾール誘導体、トリアジンチオール系
化合物等公知のものが利用できる。変色防止処理液には
その他補助的な成分として、アルキルアミン、グリコー
ル系化合物、界面活性剤等を添加しても本発明の効果に
は影響はない。
合金用インヒビターとして一般的なベンゾトリアゾー
ル、ベンゾトリアゾール誘導体、トリアジンチオール系
化合物等公知のものが利用できる。変色防止処理液には
その他補助的な成分として、アルキルアミン、グリコー
ル系化合物、界面活性剤等を添加しても本発明の効果に
は影響はない。
【００１４】処理方法としては、条、線等の形状でリー
ル・トゥ・リール形式で脱脂、水洗、変色防止処理、乾
燥と連続的な処理でも、部品形状でラック形式による半
連続的な処理でもよく、処理方法に制約はない。
ル・トゥ・リール形式で脱脂、水洗、変色防止処理、乾
燥と連続的な処理でも、部品形状でラック形式による半
連続的な処理でもよく、処理方法に制約はない。
【００１５】
【実施例】以下、実施例および比較例によって、本発明
を具体的に説明する。
を具体的に説明する。
【００１６】りん青銅条（Ｃｕ−８％Ｓｎ−０．１％
Ｐ）を浸漬脱脂、水洗、変色防止処理、乾燥と連続ライ
ンにより各種条件で処理した後、耐変色性を試験した結
果を表１に示す。
Ｐ）を浸漬脱脂、水洗、変色防止処理、乾燥と連続ライ
ンにより各種条件で処理した後、耐変色性を試験した結
果を表１に示す。
【００１７】試験条件は以下に示すものである。
【００１８】脱脂及び変色防止処理 １）脱脂液 組成 炭酸ナトリウム ２０
ｇ／Ｌ りん酸第三ナトリウム ３５ｇ／Ｌ トリポリリン酸ナトリウム ５ｇ／Ｌ メタケイ酸ナトリウム ３０ｇ／Ｌ 界面活性剤 １０ｇ／Ｌ 温度 ５０℃ 時間 １０秒 ２）水洗 スプレー水洗 時間 ３秒 ３）変色防止処理 組成 ベンゾトリアゾール １０
０ｐｐｍ 温度 ７０℃ 時間 ３秒耐変色性評価方法 変色防止処理したりん青銅条を短冊条試験片に切り出
し、３ｐｐｍＨ2Ｓ，４０℃、５０％ＲＨの硫化水素雰
囲気に２０分間暴露し、試験片の硫化変色の程度を目視
により評価した。
ｇ／Ｌ りん酸第三ナトリウム ３５ｇ／Ｌ トリポリリン酸ナトリウム ５ｇ／Ｌ メタケイ酸ナトリウム ３０ｇ／Ｌ 界面活性剤 １０ｇ／Ｌ 温度 ５０℃ 時間 １０秒 ２）水洗 スプレー水洗 時間 ３秒 ３）変色防止処理 組成 ベンゾトリアゾール １０
０ｐｐｍ 温度 ７０℃ 時間 ３秒耐変色性評価方法 変色防止処理したりん青銅条を短冊条試験片に切り出
し、３ｐｐｍＨ2Ｓ，４０℃、５０％ＲＨの硫化水素雰
囲気に２０分間暴露し、試験片の硫化変色の程度を目視
により評価した。
【００１９】
【表１】
【００２０】注１）界面活性剤 ａ：ＣＨ3（ＣＨ2）10ＣＨ2Ｏ（ＣＨ2ＣＨ2Ｏ）nＨ，ｎ
＝６．５（ｎ：エチレンオキサイド平均付加モル数） ｂ：ＣＨ3（ＣＨ2）10ＣＨ2Ｏ（ＣＨ2ＣＨ2Ｏ）nＨ，ｎ
＝９．５ ｃ：ＣＨ3（ＣＨ2）7ＣＨ2Ｃ6Ｈ4Ｏ（ＣＨ2ＣＨ2Ｏ）n
Ｈ，ｎ＝８．５ ｄ：ＣＨ3（ＣＨ2）7ＣＨ2Ｃ6Ｈ4Ｏ（ＣＨ2ＣＨ2Ｏ）n
Ｈ，ｎ＝１０．５ 注２）曇点：水溶液で測定されたもの
＝６．５（ｎ：エチレンオキサイド平均付加モル数） ｂ：ＣＨ3（ＣＨ2）10ＣＨ2Ｏ（ＣＨ2ＣＨ2Ｏ）nＨ，ｎ
＝９．５ ｃ：ＣＨ3（ＣＨ2）7ＣＨ2Ｃ6Ｈ4Ｏ（ＣＨ2ＣＨ2Ｏ）n
Ｈ，ｎ＝８．５ ｄ：ＣＨ3（ＣＨ2）7ＣＨ2Ｃ6Ｈ4Ｏ（ＣＨ2ＣＨ2Ｏ）n
Ｈ，ｎ＝１０．５ 注２）曇点：水溶液で測定されたもの
【００２１】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、低
濃度インヒビター溶液による短時間の変色防止処理であ
っても、優れた変色防止効果を得ることができる。
濃度インヒビター溶液による短時間の変色防止処理であ
っても、優れた変色防止効果を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−20485（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−312090（ＪＰ，Ａ) 大木道則 （外３名）編 「化学大辞 典」 第１版 （1989−10−20） 株式 会社東京化学同人 Ｐ．1637 (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) C23F 11/00 C23F 11/14 C23G 1/16 C23G 1/20 C23G 3/02 C23G 5/00
Claims (1)
- 【請求項１】 銅および銅合金を界面活性剤を含有する
アルカリ性の脱脂液により脱脂処理した後、水洗し、次
にインヒビター溶液により変色防止処理を行なう表面処
理方法において、脱脂処理後の水洗温度が上記界面活性
剤の曇点以下であることを特徴とする銅および銅合金の
表面処理方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4099459A JP2788689B2 (ja) | 1992-04-20 | 1992-04-20 | 銅および銅合金の表面処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4099459A JP2788689B2 (ja) | 1992-04-20 | 1992-04-20 | 銅および銅合金の表面処理方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05295570A JPH05295570A (ja) | 1993-11-09 |
| JP2788689B2 true JP2788689B2 (ja) | 1998-08-20 |
Family
ID=14247906
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4099459A Expired - Fee Related JP2788689B2 (ja) | 1992-04-20 | 1992-04-20 | 銅および銅合金の表面処理方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2788689B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN113265665B (zh) * | 2021-03-23 | 2024-02-13 | 广州市睿承科技有限公司 | 一种除油增效剂、制备方法及其应用 |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH01312090A (ja) * | 1988-06-13 | 1989-12-15 | Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd | 金属加工素材用洗浄剤及び洗浄方法 |
| JPH0320485A (ja) * | 1989-06-16 | 1991-01-29 | Kobe Steel Ltd | 金属材料のリンス方法 |
-
1992
- 1992-04-20 JP JP4099459A patent/JP2788689B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
| Title |
|---|
| 大木道則 （外３名）編 「化学大辞典」 第１版 （１９８９−１０−２０） 株式会社東京化学同人 Ｐ．１６３７ |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05295570A (ja) | 1993-11-09 |
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