JP3489487B2 - 角速度検出装置 - Google Patents
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Description
して物体の角速度を検出する角速度検出装置に関する。
6回センサシンポジウムのテクニカルダイジェスト第3
7頁〜第40頁(Technical Digest of the 16th Sympo
sium,1998,pp.37〜40)、特開平10−103960号
公報、及び1997年IEEE発行のトランスデューサ
(Trnsducer '97)第1129頁〜第1132頁に記載
されているように、基板に支持部材を介して接続されて
なり同基板上にて互いに直交するX軸方向及びY軸方向
に振動可能な振動部と、基板に設けられて振動部をX軸
方向に振動させるための駆動部と、基板に設けられて振
動部のY軸方向の振動を検出するための検出部とからな
り、振動部をX軸方向に振動させた状態で、X軸及びY
軸に直交したZ軸回りに作用する角速度を同振動部のY
軸方向の振動に基づいて検出する角速度検出装置はよく
知られている。
ーサには、前記振動部を、基板に支持部材としての駆動
用梁を介して接続され同基板上にてX軸方向に振動可能
な方形状のフレームと、フレーム内に配置されるととも
に同フレームに支持部材としての検出用梁を介して接続
され基板上にてフレームに対してY軸方向に振動可能な
振動子とで構成し、フレームを駆動部により基板に対し
てX軸方向に駆動して振動子を基板に対してX軸方向に
振動させるとともに、振動子の基板に対するY軸方向の
振動を検出部により検出し、振動子にX軸方向以外の不
用な駆動力が伝達されないようにするとともに、Z軸回
りの角速度によって振動子がY軸方向に振動され易くし
て、角速度の検出精度を良好にすることも示されてい
る。また、前記特開平10−103960号公報には、
振動部をX軸方向に振動させるための駆動信号の一部が
Y軸方向に漏れ(以下、この漏れ振動をクロストークと
いう)、このクロストークがノイズとなって現れること
を防止するために、振動部をY軸方向に振動させる補正
部を設けて前記クロストークを打ち消す分だけ振動部を
Y軸方向に振動させるようにすることも示されている。
度検出装置にあっては、前記クロストークによる角速度
の検出誤差ばかりではなく、振動部(振動子)、駆動
部、フレーム、梁などの加工のばらつきにより、振動部
(振動子)を安定して所望の方向(X軸方向に)に精度
よく振動させることができなかったり、振動子がコリオ
リ力に応じて安定して所望の方向(Y軸方向に)に精度
よく振動しなかったりするために、角速度の検出精度が
悪化するという問題があった。
て基板に接続するとともに、同フレームにその内側にて
検出用梁を介して振動子を接続したタイプの上記従来の
角速度検出装置にあっては、温度変化、外力などの外的
要因により基板が変形すると、この基板の変形に伴って
フレーム及び駆動用梁も変形するので、駆動用梁に内部
応力が発生して同駆動用梁のばね定数の非線形性が大き
くなったり、駆動用梁の変形量が制限されたりするため
に、振動子を安定して所望の方向(X軸方向に)に精度
よく振動させることができず、角速度の検出精度が悪化
するという問題もある。また、このタイプの角速度検出
装置にあっては、フレームの対向する2辺の各両端にそ
れぞれ駆動用梁が設けられているだけであるので、一つ
の梁に作用する応力が大きくなり過ぎて、駆動用梁のば
ね定数の非線形性が大きくなったり、駆動用梁の変形量
が制限されたりするために、振動子を安定かつ大振幅で
所望の方向(X軸方向に)に精度よく振動させることが
できず、角速度の検出精度が悪化するという問題もあ
る。
ては、前記コリオリ力に応じた振動子のY軸方向の振動
及びクロストークはフレーム及び梁を介して基板にも入
力され、この入力された振動に対する反作用が基板から
フレーム及び梁を介して振動子に逆に入力される。そし
て、この振動子に入力された振動は検出角速度に対する
ノイズの原因となるので、前記振動子のコリオリ力に応
じたY軸方向の振動及びクロストークが大きくなると、
角速度の検出精度が悪化するという問題もある。
されたもので、その目的は、前記加工のばらつき、梁の
非線形性、振動子のコリオリ力による振動による影響を
少なくして、検出誤差をできるだけ小さくするようにし
た角速度検出装置を提供することにある。
成上の特徴は、基板に駆動用梁を介して接続され同基板
に対してX軸方向に振動可能に支持されたフレームと、
フレームにその内側にて検出用梁を介して接続され基板
に対してX軸方向及び同X軸と直交するY軸方向に振動
可能に支持された振動子と、フレームを基板に対してX
軸方向に振動させるための駆動部と、振動子の基板に対
するY軸方向の振動を検出するための検出部とを備え、
フレーム及び振動子をX軸方向に振動させた状態でX軸
及びY軸に直交したZ軸回りに作用する角速度を同振動
子のY軸方向の振動に基づいて検出する角速度検出装置
において、前記フレームをY軸方向に複数に分割したこ
とにある。
要因により基板が変形しても、フレームはY軸方向に複
数に分割され、振動子を介して検出用梁によって互いに
振動可能すなわち弾性的に接続されているので、前記変
形が検出用梁によって吸収され、分割された複数のフレ
ームが互いに影響し合うことを抑制できるとともに、駆
動用梁の変形量を小さく抑えることができる。したがっ
て、前記外的要因による駆動用梁の内部応力を極めて小
さく抑えることができて、同駆動用梁のばね定数の線形
性を良好に保つことができるとともに、駆動用梁の最大
変形量を大きく保つことができるので、振動子を安定か
つ大振幅でX軸方向に精度よく振動させることができ、
角速度の検出精度を良好に保つことができる。
のような角速度検出装置において、前記フレームを、X
軸方向に延びた部分を有するとともに検出用梁を介して
振動子を接続したメインフレームと、メインフレームの
X軸方向に延びた部分に沿って平行に延びたサブフレー
ムとで構成し、前記駆動用梁を、基板とサブフレームと
を接続して同サブフレームを同基板に対してX軸方向に
振動可能に支持する第1駆動用梁と、サブフレームとメ
インフレームとを接続してメインフレームを基板に対し
てX軸方向に振動可能に支持する第2駆動用梁とで構成
したことにある。
にサブフレームを設けた角速度検出装置においては、サ
ブフレームが駆動用梁の補強部材として作用するので、
駆動用梁の変形によるメインフレームのY軸方向の変位
が抑えられ、メインフレームを安定かつ大振幅でX軸方
向に精度よく振動させることができるようになる。そし
て、振動子もメインフレームを介して安定かつ大振幅で
X軸方向に精度よく振動させることが可能となり、角速
度の検出精度を向上させることができるようになる。
と、図1は同実施形態に係る半導体で構成した角速度検
出素子の平面図であり、図2は同素子の各部の断面図で
ある。なお、図1及び図2においては、基板10上面と
の間に隙間のある部材と隙間のない部材とで模様を異な
らせて示している。
に直交したX,Y軸各方向の中心線に対してそれぞれ対
称に形成されており、シリコンで方形状に形成された基
板10上に、振動子20、一対のメインフレーム30−
1,30−2及び一対のサブフレーム30−3,30−
4をその上面から所定距離だけ隔てた水平面内に延設さ
せている。これらの振動子20及び各フレーム30−
1,30−2,30−3,30−4は、基板10上に振
動可能に支持された振動部を構成する。
態で、X,Y両軸に直交するZ軸回りの角速度によって
同角速度の大きさに比例した振幅でY軸方向に振動する
もので、中央部に設けられて適当な質量を有するととも
にX軸及びY軸を各辺の延設方向とする方形状のマス部
21と、同マス部21の各対角位置からX軸方向に延設
された4つのアーム部22−1〜22−4とからなるほ
ぼH型に形成されている。マス部21、アーム部22−
1〜22−4などの幅広の部分には、複数の方形状の貫
通孔21aが設けられている。
動子20をX軸方向に振動させるもので、振動子20の
アーム部22−1〜22−4のY軸方向外側位置にてX
軸方向にそれぞれ延設された幅広の長尺部31−1,3
1−2と、両長尺部31−1,31−2の両端にてそれ
らの両側にそれぞれY軸方向に短く延設された幅広の終
端部32−1〜32−4とからなるほぼI型にそれぞれ
形成されている。サブフレーム30−3,30−4も、
幅広に構成されていて、長尺部31−1,31−2の各
外側にてX軸方向にそれぞれ延設されている。これらの
メインフレーム30−1,30−2及びサブフレーム3
0−3,30−4においても、前記振動子20における
貫通孔21aと同様な貫通孔が設けられている。
−2における終端部32−1,32−3のY軸方向各内
側端及び終端部32−2,32−4のY軸方向各内側端
との各間には隙間がそれぞれ設けられている。このこと
は、メインフレーム30−1,30−2が振動子20の
全周囲を囲むことなく、Y軸方向に複数に分割されてい
ることを意味する。
33−1〜33−4により振動子20に連結されてい
る。梁33−1〜33−4も、基板10上面から所定距
離だけ隔てた水平面内にてX軸方向に延設されており、
各一端は振動子20のアーム部22−1〜22−4の根
元付近にそれぞれ接続され、各他端はメインフレーム3
0−1,30−2の各終端部32−1〜32−4にそれ
ぞれ接続されている。また、梁33−1〜33−4は、
振動子20のアーム部22−1〜22−4、メインフレ
ーム30−1,30−2の長尺部31−1,31−2及
び終端部32−1〜32−4の幅より細く構成されてい
る。これにより、メインフレーム30−1,30−2か
ら振動子20へY軸方向の振動が伝達され難くかつX軸
方向の振動が効率よく伝達されるようになるとともに、
振動子20がメインフレーム30−1,30−2に対し
X軸方向に比べてY軸方向に振動し易くなっている。す
なわち、梁33−1〜33−4は、振動子20を、基板
10、メインフレーム30−1,30−2及びサブフレ
ーム30−3,30−4に対してY軸方向に振動可能に
支持する機能を有する。
1,41−2、梁42−1,42−2、サブフレーム3
0−3及び梁43−1,43−2を介し、基板10に対
して振動可能に支持されている。アンカ41−1,41
−2は、図2(A)に示すように、メインフレーム30−
1の長尺部31−1の各外側位置にて、基板10の上面
に固着されている。アンカ41−1,41−2には梁4
2−1,42−2の各一端がそれぞれ接続されるととも
に、同梁42−1,42−2はアンカ41−1,41−
2からそれぞれY軸方向外側に延設されている。梁42
−1,42−2の各先端はサブフレーム30−3の内側
端にそれぞれ接続されており、サブフレーム30−3に
は、同フレーム30−3のY軸方向内側に延設された梁
43−1,43−2の各一端がそれぞれ接続されてい
る。梁43−1,43−2の各他端はメインフレーム3
0−1の長尺部31−1の外側端にそれぞれ接続されて
いる。梁42−1,42−2,43−1,43−2は、
振動子20、メインフレーム30−1,30−2及びサ
ブフレーム30−3,30−4と同様に、基板10から
所定距離だけ上方に浮いて設けられており、梁33−
1,33−2と同様に狭い幅に構成されている。
3,41−4、梁42−3,42−4、サブフレーム3
0−4及び梁43−3,43−4を介し、基板10に対
して振動可能に支持されている。これらのアンカ41−
3,41−4、梁42−3,42−4、サブフレーム3
0−4及び梁43−3,43−4は、アンカ41−1,
41−2、梁42−1,42−2、サブフレーム30−
3及び梁43−1,43−2とY軸方向の中心線に対し
て対称かつそれぞれ同様に構成されている。これらの構
成により、メインフレーム30−1,30−2は、基板
10に対しX軸方向に振動し易くかつY軸方向に振動し
難く支持されている。すなわち、梁42−1〜42−
4,43−1〜43−4は、メインフレーム30−1,
30−2、サブフレーム30−3,30−4及び振動子
20を基板10に対してX軸方向に振動可能に支持する
機能を有する。また、サブフレーム30−3,30−4
は、補強部材として作用して、梁42−1〜42−4,
43−1〜43−4をX軸方向以外に変形し難くする。
なお、これらのアンカ41−1〜41−4、梁42−1
〜42−4,43−1〜43−4,33−1〜33−4
が、振動部(振動子20及びフレーム30−1〜30−
4)を基板10に対して振動可能に支持する支持部材を
構成する。
0−1,30−2を基板10に対してX軸方向に駆動す
るための駆動電極部51−1〜51−4と、前記メイン
フレーム30−1,30−2の基板10に対するX軸方
向の駆動をモニタするための駆動モニタ電極部52−1
〜52−4と、振動子20の基板10に対するY軸方向
の振動を検出するための検出電極部53−1〜53−4
とが設けられている。
フレーム30−1,30−2の終端部32−1〜32−
4の各X軸方向外側位置にて同終端部32−1〜32−
4に向けてX軸方向に延設した複数の電極指を有する櫛
歯状電極51a1〜51a4をそれぞれ備えている。各
櫛歯状電極51a1〜51a4は、図2(B)に示すよう
に、同電極51a1〜51a4に接続されたパッド部5
1b1〜51b4と共にそれぞれ一体的に形成されて基
板10の上面に固着されており、パッド部51b1〜5
1b4の上面には、導電金属(例えばアルミニウム)で
形成された電極パッド51c1〜51c4がそれぞれ設
けられている。終端部32−1〜32−4には、X軸方
向外側に向けて延設した複数の電極指からなる櫛歯状電
極32a1〜32a4が櫛歯状電極51a1〜51a4
に対向してそれぞれ設けられている。櫛歯状電極32a
1〜32a4は、終端部32−1〜32−4と一体的に
形成されて基板10の上面から所定距離だけ浮かして設
けられており、同電極32a1〜32a4の各電極指は
櫛歯状電極51a1〜51a4の各隣合う電極指の幅方
向中心位置に侵入して同隣合う電極指に対向している。
メインフレーム30−1,30−2の終端部32−1〜
32−4の各X軸方向内側位置にて同終端部32−1〜
32−4に向けてX軸方向に延設した複数の電極指を有
する櫛歯状電極52a1〜52a4をそれぞれ備えてい
る。各櫛歯状電極52a1〜52a4は、図2(B)及び
図2(C)に示すように、同電極52a1〜52a4に接
続されたパッド部52b1〜52b4と共にそれぞれ一
体的に形成されて基板10の上面に固着されており、パ
ッド部52b1〜52b4の上面には、導電金属(例え
ばアルミニウム)で形成された電極パッド52c1〜5
2c4がそれぞれ設けられている。終端部32−1〜3
2−4には、X軸方向内側に向けて延設した複数の電極
指からなる櫛歯状電極32b1〜32b4が櫛歯状電極
52a1〜52a4に対向してそれぞれ設けられてい
る。櫛歯状電極32b1〜32b4は、終端部32−1
〜32−4と一体的に形成されて基板10の上面から所
定距離だけ浮かして設けられており、同電極32b1〜
32b4の各電極指は櫛歯状電極52a1〜52a4の
各隣合う電極指の幅方向中心位置に侵入して同隣合う電
極指に対向している。
21の各外側位置にてX軸方向内外両側に延設された複
数の電極指を有する櫛歯状電極53a1〜53a4をそ
れぞれ備えている。各櫛歯状電極53a1〜53a4
は、図2(D)に示すように、同電極53a1〜53a4
に接続されたパッド部53b1〜53b4と共にそれぞ
れ一体的に形成されて基板10の上面に固着されてお
り、パッド部53b1〜53b4の上面には、導電金属
(例えばアルミニウム)で形成された電極パッド53c
1〜53c4がそれぞれ設けられている。振動子20の
マス部21には、X軸方向外側に向けて延設した複数の
電極指からなる櫛歯状電極21a1〜21a4が櫛歯状
電極53a1〜53a4の各一方に対向してそれぞれ設
けられている。振動子20のアーム部22−1〜22−
4の中間部にも、X軸方向内側に向けて延設した複数の
電極指からなる櫛歯状電極22a1〜22a4が櫛歯状
電極53a1〜53a4の各他方に対向してそれぞれ設
けられている。櫛歯状電極21a1〜21a4,22a
1〜22a4は、マス部21及びアーム部22−1〜2
2−4と一体的に形成されて基板10の上面から所定距
離だけ浮かして設けられており、同電極21a1〜21
a4,22a1〜22a4の各電極指は櫛歯状電極53
a1〜53a4の各隣合う電極指間に侵入して同隣合う
電極指に対向している。この場合、櫛歯状電極21a1
〜21a4,22a1〜22a4の各電極指は櫛歯状電
極53a1〜53a4の隣合う各電極指の幅方向中心位
置から一方にずれて設けられている。
33−3,33−4、メインフレーム30−2、梁43
−3,43−4、サブフレーム30−4、梁42−3及
びアンカ41−3を介して電気的に接続されたパッド部
20aが設けられている。パッド部20aは、アンカ4
1−3と一体的に形成されて基板10の上面に固着され
ており、パッド部20aの上面には、導電金属(例えば
アルミニウム)で形成された電極パッド20bが設けら
れている。
法を、図2を参照しながら簡単に説明しておく。まず、
単結晶シリコン層Aの上面上にシリコン酸化膜Bを介し
て単結晶シリコン層Cを設けたSOI(Silicon−On−In
sulator)基板を用意し、単結晶シリコン層Cにリン、ボ
ロン等の不純物をドーピングして同層Cを低抵抗化す
る。以下、この層を低抵抗層Cという。次に、図1の模
様を付けた部分(ただし、振動子20の貫通孔21a、
メインフレーム30−1,30−2及びサブフレーム3
0−3,30−4の貫通孔を除く)及び各種電極指部分
をレジスト膜にてマスクして、単結晶シリコン層Cを反
応性イオンエッチング等でエッチングして、シリコン酸
化膜B上に、アンカ41−1〜41−4、各種櫛歯状電
極51a1〜51a4、52a1〜52a4、53a1
〜53a4、及び各種パッド部20a、51b1〜51
b4、52b1〜52b4、53b1〜53b4など
(上記に基板10と固着されているとして説明した部
分)を形成する。
する酸化シリコン膜Bをフッ酸水溶液などでエッチング
して除去し、振動子20、梁33−1〜33−4、メイ
ンフレーム30−1,30−2、サブフレーム30−
3,30−4、梁42−1〜42−4,43−1〜43
−2及び櫛歯状電極32a1〜32a4,32b1〜3
2b4,21a1〜21a4,22a1〜22a4(上
記に基板10から所定距離だけ浮いているとして説明し
た部分)を形成する。そして、各種パッド部20a、5
1b1〜51b4、52b1〜52b4、53b1〜5
3b4上に、アルミニウム等を蒸着して電極パッド20
b、51c1〜51c4、52c1〜52c4、53c
1〜53c4を形成する。したがって、基板10上に形
成された上述した各部分は基板10とは絶縁された低抵
抗層Cで構成されるとともに、振動子20、梁33−1
〜33−4、メインフレーム30−1,30−2、サブ
フレーム30−3,30−4、梁42−1〜42−4,
43−1〜43−4及び櫛歯状電極32a1〜32a
4,32b1〜32b4,21a1〜21a4,22a
1〜22a4が、基板10から所定距離だけ浮いて位置
するとともにアンカ41−1〜41−4により基板10
に振動可能に支持された構造となる。
いて角速度を検出するための電気回路装置について説明
すると、図3は同電気回路装置をブロック図により示し
ている。
ド53c1,53c2には高周波発振器61が接続され
ており、同発振器61は、振動子20の共振周波数より
も極めて高い周波数f1の検出用信号E1sin(2πf1t)
を同パッド53c1,53c2に供給する。この高周波
発振器61には位相反転回路61aが接続されており、
同回路61aは前記検出用信号E1sin(2πf1t)の位相
を反転した検出用信号E1sin(2πf1t+π)を検出電極
部53−3,53−4の電極パッド53c3,53c4
に供給する。
極パッド52c1,52c3には高周波発振器62が接
続されており、同発振器62は、振動子20の共振周波
数よりも極めて高くかつ前記周波数f1とは異なる周波
数f2のモニタ用信号E2sin(2πf2t)を同パッド52
c1,52c3に供給する。高周波発振器62には位相
反転回路62aが接続されており、同回路62aはモニ
タ用信号E2sin(2πf2t)の位相を反転したモニタ用信
号E2sin(2πf2t+π)を駆動モニタ電極部52−2,
52−4の電極パッド52c2,52c4に供給する。
これにより、振動子20のX,Y軸方向の各振動をE0xs
in(2πf0t),E0ysin(2πf0t)で表すと、電極パッ
ド20bから出力されて振動子20のX,Y両軸方向の
各振動をそれぞれ表す信号は、E2・E0x・sin(2πf0t)・
sin(2πf2t),E1・E0y・sin(2πf0t)・sin(2πf1
t)となる。なお、周波数f0は、振動子20の共振周波
数近傍の周波数である。
ッド51c1〜51c4には、駆動回路70が接続され
ている。駆動回路70は、電極パッド20bから増幅器
63を介して入力した信号に基づいて駆動信号を形成し
て各電極パッド51c1〜51c4に供給する。
れた復調回路71、移相回路72及び利得制御回路73
を備えているとともに、復調回路71に接続されて利得
制御回路73の利得を制御する検波回路74を備えてい
る。復調回路71は、電極パッド20bから出力された
信号を周波数f2で同期検波して(周波数2πf2の信号
の振幅エンベロープを取り出して)、振動子20のX軸
方向の振動成分を表す信号E0xsin(2πf0t)を出力す
る。移相回路72は、振動子20の振動を表す検出信号
が振動子20を駆動するための信号に対してπ/2(=
1/8πf0秒に相当)だけ遅れることを補正するため
に、入力信号の位相をπ/2だけ進めて出力する。検波
回路74は、前記復調回路71からの信号を周波数f0
で同期検波して(振動子20のX軸方向の振動成分の振
幅エンベロープを取り出して)、振動子20のX軸方向
の振動成分の振幅を表す信号E0xを出力する。利得制御
回路73は、移相回路72及び利得制御回路73の入力
信号の振幅(振動子20のX軸方向の振動成分の振幅)
が一定となるように、移相回路72からの出力信号の利
得を検波回路74からの信号E0xに応じて制御して出力
する、すなわち検波回路74からの信号が大きくなるに
したがって利得制御回路73の出力信号の振幅が小さく
なるように制御して出力する。
の出力に接続された加算器75−1,75−3も備えて
いるとともに、利得制御回路73に位相反転回路73a
を介して接続された加算器75−2,75−4も備えて
いる。位相反転回路73aは、利得制御回路73からの
信号を位相反転して出力する。加算器75−1,75−
2には可変調整される直流電圧ETを出力する可変電圧源
回路76aが接続されるとともに、加算器75−3,7
5−4には固定された直流電圧EBを出力する定電圧源回
路76bが接続されている。
の信号E0x'sin(2πf0t)と可変電圧源回路76aから
の直流電圧信号ETとを加算して、加算電圧ET+E0x'sin
(2πf0t)を駆動電極部51−1の電極パッド51c
1に供給する。加算器75−2は、位相反転回路73a
からの信号E0x'sin(2πf0t+π)と可変電圧源回路7
6aからの直流電圧信号ETとを加算して、加算電圧ET+
E0x'sin(2πf0t+π)を駆動電極部51−2の電極パ
ッド51c2に供給する。加算器75−3は、利得制御
回路73からの信号E0x'sin(2πf0t)と定電圧源回路
76bからの直流電圧信号EBとを加算して、加算電圧EB
+E0x'sin(2πf0t)を駆動電極部51−3の電極パッ
ド51c3に供給する。加算器75−4は、位相反転回
路73aからの信号E0x'sin(2πf0t+π)と定電圧源
回路76bからの直流電圧信号EBとを加算して、加算電
圧EB+E0x'sin(2πf0t+π)を駆動電極部51−4の
電極パッド51c4に供給する。
調回路81、検波回路82及び増幅器83からなる出力
回路80が接続されている。復調回路81は、電極パッ
ド20bから出力された信号を周波数f1で同期検波し
て(周波数f1の信号の振幅エンベロープを取り出し
て)、振動子20のY軸方向の振動成分を表す信号E0ys
in(2πf0t)を出力する。検波回路82は、前記復調
回路81からの信号を周波数f0で同期検波して(振動
子20のY軸方向の振動成分の振幅エンベロープを取り
出して)、振動子20のY軸方向の振動成分の振幅を表
す信号E0yを出力する。増幅器83は、前記信号E0yを入
力して出力端子OUTから振動子20のY軸方向の振動
の大きさを表す直流信号を出力する。
ては、図3に示すように角速度検出素子を電気回路装置
に接続して角速度検出装置を構成した後、同装置の出荷
前にZ軸回りの角速度を「0」にした状態で出力端子O
UTから振動子20のY軸方向の振動の大きさを表す信
号を取り出す。この場合、角速度「0」であるから、前
記出力信号は「0」であるはずであるが、「0」でなけ
れば可変電圧源回路76aを調整することにより直流電
圧信号ETを変更して、同出力信号が「0」になるように
する。
部51−1,51−2には駆動電圧信号ET+E0x'sin(2
πf0t),ET+E0x'sin(2πf0t+π)=ET−E0x'sin
(2πf0t)が印加されるとともに、駆動電極部51−
3,51−4には駆動電圧信号EB+E0x'sin(2πf
0t),EB+E0x'sin(2πf0t+π)=EB−E0x'sin(2π
f0t)が印加されている。角速度検出素子が精度よく構
成されている場合には、可変電圧源回路76aからの直
流電圧信号ETと定電圧源回路76bからの直流電圧信号
EBとを等しく設定すれば、メインフレーム30−1,3
0−2には静電引力による均等な力がX軸方向に作用
し、同メインフレーム30−1,30−2は振動周波数
f0でX軸方向に同期するとともに同一振幅でそれぞれ
振動するはずである。そして、この振動は、梁33−1
〜33−4を介して振動子20にも伝達され、同振動子
20はX軸方向にしか振動しないはずである。したがっ
て、出力端子OUTから取り出された振動子20のY軸
方向の振動の大きさを表す信号は「0」になるはずであ
る。
反転回路62a及び駆動モニタ電極部52−1〜52−
4の作用により、X軸方向の振動成分を表す信号E2・E0x
・sin(2πf0t)・sin(2πf2t)が電極パッド20b及
び増幅器63を介して駆動回路70に供給される。そし
て、駆動回路70を構成する復調回路71、検波回路7
4、移相回路72及び利得制御回路73は、移相回路7
2及び利得制御回路73の入力信号E0xsin(2πf
0t)、すなわち電極パッド20bからのX軸方向の前記
振動成分が時間的に常に一定になるように作用するの
で、振動子20はX軸方向に常に一定振幅で振動する。
き、特にメインフレーム30−1,30−2、梁33−
1〜33−4及び駆動電極部51−1〜51−4などの
加工上のばらつきにより、メインフレーム30−1,3
0−2がX軸方向に均等に駆動されない場合には、前記
両直流電圧信号ET,EBが等しくても、振動子20にY軸
方向の振動が発生する。ここで、メインフレーム30−
1,30−2への各駆動力F1,F2に着目すると、駆動
力F1は、前記駆動電圧信号ET+E0x'sin(2πf0t),E
T−E0x'sin(2πf0t)によるもので、Kを比例定数と
すると下記数1で表される。
+E0x'sin(2πf0t),EB−E0x'sin(2πf0t)による
もので、下記数2で表される。
に、可変電圧源回路76aから出力される直流電圧信号
ETの大きさを変更することにより、メインフレーム30
−1,30−2に対する両駆動力の大きさを調整するこ
とができる。したがって、振動子20及びメインフレー
ム30−1,30−2のY軸方向の振動成分を除去でき
る。
振動子20及びメインフレーム30−1,30−2をX
軸方向に駆動するための駆動電極部51−1〜51−4
を複数に分割するとともに、各駆動電極部51−1〜5
1−4に加えられる駆動電圧信号を独立して可変調整す
るようにしたので、メインフレーム30−1,30−
2、梁33−1〜33−4及び駆動電極部51−1〜5
1−4などに加工上のばらつきがあっても、同加工上の
ばらつきによる振動子20のY軸方向の漏れ振動を簡単
に除去できる。
使ってZ軸回りの角速度を検出する動作について説明す
る。まず、この角速度検出装置を角速度を検出しようと
する物体に固定して、前述のように電気回路装置を作動
させる。この状態で、Z軸回りに角速度が作用すると、
振動子20はコリオリ力によって前記角速度に比例した
振幅でY軸方向に振動し始める。
により検出電極部53−1〜53−4の静電容量が前記
振動に応じて変化する。そして、この静電容量の変化
は、高周波発振器61及び位相反転回路61aから出力
された検出用信号E1sin(2πf 1t),E1sin(2πf1t
+π)=−E1sin(2πf1tπ)の振幅を変調した信号、
すなわちE1・E0y・sin(2πf0t)・sin(2πf1t)となっ
て電極パッド20bに現れ、増幅器63を介して出力回
路80に出力される。出力回路80は、復調回路81、
検波回路82及び増幅器83の作用により、出力端子O
UTから前記振動子20のY軸方向の振動の大きさを表
す信号E0yを出力する。そして、このY軸方向の振動の
大きさはZ軸回りの角速度に比例するので、同角速度を
表す検出信号が出力端子OUTから出力されることにな
る。
角速度検出素子においては、振動子20、メインフレー
ム30−1,30−2及びサブフレーム30−3,30
−4は、駆動用梁(支持部材)として機能するY軸方向
に延設された梁42−1〜42−4,43−1〜43−
4により、基板10上にX軸方向に振動可能に支持され
ると同時に、振動子20は、検出用梁(支持部材)とし
て機能するX軸方向に延設された梁33−1〜33−4
により、基板10上にY軸方向に振動可能に支持され
る。そして、基板10上には、Y軸方向の異なる位置に
配置されて振動子20、メインフレーム30−1,30
−2及びサブフレーム30−3,30−4を独立してX
軸方向に駆動可能な駆動電極部51−1〜51−4が設
けられており、これらの駆動電極部51−1〜51−4
による各駆動力が駆動回路70によって調整されるよう
になっているので、角速度検出素子の各部に加工上のば
らつきがあっても、振動子20、メインフレーム30−
1,30−2及びサブフレーム30−3,30−4のX
軸方向の振動が精度よくかつ安定して確保され、Z軸回
りの角速度も精度よく検出される。
−1,30−2は振動子20の全周囲を囲むことなくY
軸方向に複数に分割され、振動子20を介して梁33−
1〜33−4によって弾性的に接続されているので、温
度変化、外力などの外的要因によりY軸方向に反りが発
生するなど基板10が変形しても、同変形が梁33−1
〜33−4によって吸収され、メインフレーム30−
1,30−2が互いに影響し合うことを抑制することが
できるとともに、梁42−1〜42−4,43−1〜4
3−4の各変形量を小さく抑えることができる。したが
って、前記外的要因による梁42−1〜42−4,43
−1〜43−4における内部応力の発生を極めて小さく
抑えることができて、駆動用梁のばね定数の線形性を良
好に保つことができるとともに、同梁42−1〜42−
4,43−1〜43−4の最大変形量を大きくすること
ができるので、振動子20を安定かつ大振幅でX軸方向
に精度よく振動させることができ、この点においても、
前記Z軸回りの角速度の検出精度を高めることができ
る。
いて説明すると、図4は上記図1と同様な手法で示した
第2実施形態に係る角速度検出素子の平面図である。
の角速度検出素子に、駆動によるメインフレーム30−
1,30−2の斜め振動(Y軸方向の振動成分)の影響
を打ち消すための補正電極部54−1〜54−4を設け
たことを特徴としている。他の部分に関しては、上記第
1実施形態と同じであるので、同一符号を付してその説
明を省略する。
フレーム30−1,30−2の各終端部32−1〜32
−4のY軸方向内側部分にてX軸方向内外両側にそれぞ
れ設けられて、X軸方向に延設した複数の電極指を有す
る櫛歯状電極54a1〜54a4をそれぞれ備えてい
る。各櫛歯状電極54a1〜54a4は、同電極54a
1〜54a4に接続されたパッド部54b1〜54b4
と共にそれぞれ一体的に形成されて基板10の上面に固
着されており、パッド部54b1〜54b4の上面に
は、導電金属(例えばアルミニウム)で形成された電極
パッド54c1〜54c4がそれぞれ設けられている。
メインフレーム30−1,30−2の各終端部32−1
〜32−4のY軸方向内側部分には、X軸方向内外両側
に向けて延設した複数の電極指からなる櫛歯状電極32
c1〜32c4が櫛歯状電極54a1〜54a4に対向
してそれぞれ設けられている。櫛歯状電極32c1〜3
2c4は、メインフレーム30−1,30−2と一体的
に形成されて基板10の上面から所定距離だけ浮かして
設けられており、同電極32c1〜32c4の各電極指
は櫛歯状電極54a1〜54a4の各隣合う電極指間に
侵入して同隣合う電極指に対向している。
4の各電極指は櫛歯状電極54a1〜54a4の隣合う
各電極指の幅方向中心位置から一方にずれて設けられて
いるが、この場合には、櫛歯状電極32c1〜32c4
の各電極指のずれ方向は、上述した検出電極部53−1
〜53−4における各櫛歯状電極54a1〜54a4の
電極指に対する櫛歯状電極21a1〜21a4,22a
1〜22a4の電極指のずれ方向とは逆になっている。
したがって、この場合には、メインフレーム30−1,
30−2のY軸方向の変位による補正電極部54−1〜
54−4の容量(キャパシタンス)変化は、振動子20
の前記と同じY軸方向の変位による検出電極部53−1
〜53−4の容量変化と逆に変化する。すなわち、メイ
ンフレーム30−1,30−2と振動子20のY軸同一
方向の変位に対して、補正電極部54−1〜54−4の
容量が増加(又は減少)するときには、検出電極部53
−1〜53−4の容量は減少(又は増加)する。なお、
メインフレーム30−1,30−2のY軸方向の不要な
振動によってもたらされる補正電極部54−1〜54−
4の容量変化が、振動子20のY軸方向の不要な振動に
よってもたらされる検出電極部53−1〜53−4の容
量変化に対して反対かつ同じ大きさになるように、補正
電極部54−1〜54−4及び検出電極部53−1〜5
3−4を構成しておく必要がある。
1電気回路装置について説明すると、図5は同電気回路
装置をブロック図により示している。この電気回路装置
においては、補正電極部54−1,54−2のための電
極パッド54c1,54c2が、検出電極部53−1,
53−2のための電極パッド53c1,53c2と共通
に高周波発振器61の出力に接続されている。また、補
正電極部54−3,54−4のための電極パッド54c
3,54c4が、検出電極部53−3,53−4のため
の電極パッド53c3,53c4と共通に位相反転回路
61aの出力に接続されている。他の回路については、
上記第1実施形態の場合と同じであるので、同一符号を
付して説明を省略する。
速度検出装置においても、上記第1実施形態と場合と同
様にZ軸回りの角速度が検出されるが、この場合には、
補正電極部54−1〜54−4は次のように機能する。
の駆動によってメインフレーム30−1,30−2及び
振動子20が基板10に対してX軸から傾いた斜め方向
に振動している場合、Z軸回りの角速度が「0」であっ
てもY軸方向の振動成分が出力端子OUTには現れてし
まう。しかし、この場合、高周波発振器61からの検出
用の高周波信号は、検出電極部53−1,53−2の櫛
歯状電極53a1,53a2に供給されるとともに補正
電極部54−1,54−2の櫛歯状電極54a1,54
a2にも供給され、また位相反転回路61aからの前記
高周波信号の位相を反転した信号は、検出電極部53−
3,53−4の櫛歯状電極53a3,53a4に供給さ
れるとともに補正電極部54−3,54−4の櫛歯状電
極54a3,54a4にも供給されている。そして、前
述のように、メインフレーム30−1,30−2と振動
子20のY軸同一方向の変位に対して、補正電極部54
−1〜54−4の容量は検出電極部53−1〜53−4
の容量と逆に変化するように構成されているので、振動
子20及びメインフレーム30−1,30−2が同時に
X軸から傾いた斜め方向に振動すると、振動子20のY
軸方向の振動成分によってもたらされる検出電極部53
−1〜53−4の容量変化から、メインフレーム30−
1,30−2のY軸方向の振動成分によってもたらされ
る補正電極部54−1〜54−4の容量変化分が除去さ
れる。
は支持部材としての梁42−1〜42−4,43−1〜
43−4の作用によりY軸方向に振動し難く構成されて
いるとともに、振動子20は支持部材としての梁33−
1〜33−4の作用によってX軸方向にはメインフレー
ム30−1,30−2と一体的に振動し易く、かつY軸
方向にはメインフレーム30−1,30−2と独立に振
動し易く構成されている。したがって、Z軸回りの角速
度に対しては、コリオリ力によって振動子20のみが同
コリオリ力に比例してY軸方向に振動する。その結果、
基板10上の各部品、特に前記メインフレーム30−
1,30−2の加工上のばらつきによって振動子20が
X軸から傾いた方向に駆動されても、前記駆動による振
動子20の傾いた方向への振動による影響が除去され、
角速度が精度よく検出されるようになる。
素子に接続される第2電気回路装置について説明する
と、図6は同電気回路装置をブロック図により示してい
る。
54−1,54−2のための電極パッド54c1,54
c2は、高周波発振器64の出力に接続されている。補
正電極部54−3,54−4のための電極パッド54c
3,54c4は、高周波発振器64の出力を位相反転す
る位相反転回路64aの出力に接続されている。高周波
発振器64及び位相反転回路64aは、補正電極部54
−1,54−2の容量変化を検出するためのもので、同
発振器64は、振動子20の共振周波数よりも極めて高
くかつ高周波発振器61,62の各発振周波数f1,f2
とは異なる周波数f3の補正電極用信号E3sin(2πf
3t)を出力する。
器63の出力に上記復調回路81、検波回路82及び増
幅器83と並列に、復調回路84、検波回路85及び増
幅器86が接続されている。復調回路84は、電極パッ
ド20bから出力された信号を周波数f3で同期検波し
て(周波数f3の信号の振幅エンベロープを取り出し
て)、メインフレーム30−1,30−2のY軸方向の
振動成分を表す信号E3ysin(2πf0t)を出力する。検
波回路85は、前記復調回路84からの信号を周波数f
0で同期検波して(メインフレーム30−1,30−2
のY軸方向の振動成分の振幅エンベロープを取り出し
て)、メインフレーム30−1,30−2のY軸方向の
振動成分の振幅を表す信号E3yを出力する。また、増幅
器83,86と出力端子OUTの間には、増幅器83の
出力値E0yから増幅器86の出力値E3yを減算して出力す
る減算器87が接続されている。
ても、上記第1実施形態と場合と同様にZ軸回りの角速
度が検出されるが、この場合も、補正電極部54−1〜
54−4によって検出されたメインフレーム30−1,
30−2のY軸方向の振動成分を用いて、駆動による振
動子20のY軸方向の振動成分が除去される。
の駆動によってメインフレーム30−1,30−2及び
振動子20が基板10に対してX軸から傾いた斜め方向
に振動している場合、この斜め方向の振動におけるメイ
ンフレーム30−1,30−2のY軸方向の振動成分の
振幅値が、復調回路84、検波回路85及び増幅器86
の作用により出力値E3yとして取り出される。そして、
減算器87により、振動子20のY軸方向の振動の大き
さを表す増幅器83の出力値E0yから前記出力値E3yが減
算されて出力端子OUTから出力される。一方、増幅器
83から取り出された振動子20のY軸方向の振動を表
す出力値E0yには、Z軸回りの角速度による振動成分に
加えて、前記メインフレーム30−1,30−2の斜め
方向の振動による不要な振動成分も含まれており、この
不要な振動成分が減算器87の減算によって除去される
ことになる。
た角速度検出装置においても、基板10上の各部品、特
に前記メインフレーム30−1,30−2の加工上のば
らつきによって振動子20がX軸から傾いた方向に駆動
されても、前記駆動による振動子20の傾いた方向への
振動による影響が除去され、角速度が精度よく検出され
るようになる。
装置の第1電気回路装置においては、前記メインフレー
ム30−1,30−2のY軸方向の不要な振動によって
もたらされる補正電極部54−1〜54−4の容量変化
が、前記振動子20のY軸方向の不要な振動によっても
たらされる検出電極部53−1〜53−4の容量変化に
対して反対かつ同じ大きさになるように、補正電極部5
4−1〜54−4及び検出電極部53−1〜53−4を
構成する必要がある。しかし、第2電気回路装置によれ
ば、増幅器83,86の利得を調整することにより、前
記補正電極部54−1〜54−4及び検出電極部53−
1〜53−4の各容量変化の大きさが異なっていても、
前記振動子20のY軸方向の不要な振動成分を除去でき
る。
素子を適用する場合には、前記補正電極部54−1〜5
4−4の容量変化と検出電極部53−1〜53−4の容
量変化とを反対にする必要もない。したがって、この場
合、櫛歯状電極54a1〜54a4の隣合う各電極指の
幅方向中心位置に対して櫛歯状電極32c1〜32c4
の各電極指をずらす方向と、櫛歯状電極53a1〜53
a4の隣合う各電極指の幅方向中心位置に対して櫛歯状
電極21a1〜21a4,22a1〜22a4の各電極
指をずらす方向とを一致させるようにしても、反対にす
るようにしてもよい。
いて説明すると、図7は上記図1及び図4と同様な手法
で示した第3実施形態に係る角速度検出素子の平面図で
ある。
の角速度検出素子と比べて、メインフレーム30−1,
30−2及びサブフレーム30−3,30−4の基板1
0に対する支持構造が異なる点、振動子20の共振周波
数を調整するための調整電極部55−1〜55−4を設
けた点、及び振動子20のY軸方向の振動を打ち消すた
めのサーボ電極部56−1〜56−4を設けた点で異な
る。また、上記第2実施形態の角速度検出素子の補正電
極部54−1〜54−4のためのパット部54b1〜5
4b4を省略して、検出電極部53−1〜53−4のパ
ット部53b1〜53b4には補正電極部54−1〜5
4−4もそれぞれ共通に接続されている。このことは、
上記第2実施形態の第1電気回路装置(図5)の場合の
ように、検出電極部53−1〜53−4のパット部53
b1〜53b4と、補正電極部54−1〜54−4のた
めのパット部54b1〜54b4とを基板10外で接続
した場合と動作上は等価であることを意味する。他の部
分に関しては、上記第2実施形態と同じであるので、同
一符号を付してその説明を省略する。
及びサブフレーム30−3,30−4の基板10に対す
る支持構造について説明する。上記第2実施形態と同様
なアンカ41−1及び梁42−1,43−1からなる1
組の支持部材と、アンカ41−2及び梁42−2,43
−2からなる1組の支持部材との間に、アンカ44−1
及び梁45−1,46−1からなる1組の支持部材と、
アンカ44−2及び梁45−2,46−2からなる1組
の支持部材とがそれぞれ設けられている。
れており、それらの各内側端はアンカ44−1,44−
2にそれぞれ接続され、それらの各外側端はサブフレー
ム30−3の内側端にそれぞれ接続されている。梁46
−1,46−2もY軸方向に延設されており、それらの
各内側端はメインフレーム30−1の長尺部31−1の
外側端にそれぞれ接続され、それらの各外側端はサブフ
レーム30−3の内側端にそれぞれ接続されている。ま
た、梁45−1,45−2,46−1,46−2も、梁
42−1,42−2,43−1,43−2と同様に、狭
い幅に構成されて基板10から所定距離だけ上方に浮い
て設けられている。
サブフレーム30−3の両端部に同フレーム30−3及
びメインフレーム30−1のX軸方向中心位置に対して
対称にそれぞれ設けられており、梁43−1,45−
1,46−1及び梁43−2,45−2,46−2もサ
ブフレーム30−3及びメインフレーム30−1のX軸
方向中心位置に対して対称にそれぞれ設けられている。
これらの全ての梁42−1,42−2,43−1,43
−2,45−1,45−2,46−1,46−2は、長
さ、幅など構造的に同一であり、同一のばね定数を有す
るように構成されている。なお、前記全ての梁42−
1,42−2,43−1,43−2,45−1,45−
2,46−1,46−2を、X軸方向にほぼ等間隔に配
置すると好ましい。
3−1,43−2,45−1,45−2,46−1,4
6−2が、同一のばね定数でメインフレーム30−1及
びサブフレーム30−3をX軸方向に正確に振動させる
ために、接続部の構造も工夫されている。この構造につ
いて、梁45−1,46−1を例にして図8を用いて説
明する。梁45−1とアンカ44−1との接続部と、梁
46−1とメインフレーム30−1の長尺部31−1と
の接続部の構造を合わせるために、アンカ44−1は、
基盤10に固着された固着部44a1と、基板10の上
面から浮かせて設けた固着部44a1のX軸方向幅に等
しい接続部44b1とにより構成されている。長尺部3
1−1側には、アンカ44−1のX軸方向幅に等しい接
続部31a1が基板10の上面から浮かせて形成されて
いる。これらの両接続部44b1,31a1には、共に
同一形状の貫通孔44b11,31a11が設けられて
いるとともに、両貫通孔44b11,31a11のX軸
方向の各数も等しく設定されている。他のアンカ41−
1,41−2,44−2及び梁42−1,42−2,4
3−1,43−2,45−2,46−2についても、前
記アンカ44−1及び梁45−1,46−1と同様に構
成されている。
レーム30−4側にも、この角速度検出素子のY軸方向
中心位置に対して対称に、前記アンカ41−1,41−
2,44−1,44−2及び梁42−1,42−2,4
3−1,43−2,45−1,45−2,46−1,4
6−2からなる支持部材と同様なアンカ41−3,41
−4,44−3,44−4及び梁42−3,42−4,
43−3,43−4,45−3,45−4,46−3,
46−4からなる支持部材が設けられている。
は、振動子20及びメインフレーム30−1,30−2
をX軸方向に振動させるために多くの駆動用の梁42−
1〜42−4,43−1〜43−4,45−1〜45−
4,46−1〜46−4を設けたので、前記振動子20
及びメインフレーム30−1,30−2の振動の際にも
一つの梁に作用する応力を小さく保つことができる。し
たがって、梁42−1〜42−4,43−1〜43−
4,45−1〜45−4,46−1〜46−4のばね定
数の線形性を良好に保つことができるとともに、それら
の最大変形量を大きく保つことができるので、振動子2
0を安定かつ大振幅でX軸方向に精度よく振動させるこ
とが可能となり、角速度の検出精度を向上させることが
できる。なお、この第3実施形態では、メインフレーム
30−1及びメインフレーム30−2を支持する梁及び
アンカからなる各支持部材の組数をそれぞれ4組とした
が、この各支持部材の組数を3組又は5組以上にしても
よい。
42−1〜42−4,43−1〜43−4,45−1〜
45−4,46−1〜46−4の接続構造もほぼ同じに
したので、前記振動子20及びメインフレーム30−
1,30−2の振動の際にも各梁に作用する応力を均等
にすることができる。これにより、梁42−1〜42−
4,43−1〜43−4,45−1〜45−4,46−
1〜46−4のばね定数の線形性を良好に保つととも
に、それらの最大変形量を大きく保つことができるよう
になり、また振動子20及びメインフレーム30−1,
30−2のX軸方向の正確かつ安定した振動を確保する
ことにもなるので、角速度の検出精度が向上する。さら
に、サブフレーム30−3,30−4は、メインフレー
ム30−1,30−2のX軸方向以外の変位に対する梁
42−1〜42−4,43−1〜43−4,45−1〜
45−4,46−1〜46−4の補強部材として作用す
るので、振動子20及びメインフレーム30−1,30
−2のX軸方向の正確かつ安定した振動が確保され、角
速度の検出精度が向上する。
サーボ電極部56−1〜56−4について説明する。調
整電極部55−1〜55−4は、振動子20のマス部2
1のX軸方向各外側であって基板10のY軸方向中央部
にそれぞれ設けられて、X軸方向に延設した各一対の電
極指55a1〜55a4をそれぞれ備えている。電極指
55a1,55a3は、同電極指55a1,55a3に
共通に接続されたパッド部56b1と共にそれぞれ一体
的に形成されて基板10の上面に固着されている。電極
指55a2,55a4は、同電極指55a2,55a4
に共通に接続されたパッド部55b2と共にそれぞれ一
体的に形成されて基板10の上面に固着されている。パ
ッド部55b1,55b2上面には、導電金属(例えば
アルミニウム)で形成された電極パッド55c1,55
c2がそれぞれ設けられている。
振動子20と一体的振動するとともにX軸方向に延設さ
れた各一対の電極指23a1〜23a4がY軸方向に対
向して設けられている。電極指23a1〜23a4は、
振動子20のマス部21のX軸方向両側から同X軸方向
に突出したT字部23−1〜23−4の各Y軸方向内側
端に一体的にそれぞれ形成されている。T字部23−1
〜23−4及び電極指23a1〜23a4は、振動子2
0と一体的に形成されて基板10の上面から所定距離だ
け浮かして設けられている。
出電極部53−1〜53−4のY軸方向内側にそれぞれ
設けられて、X軸方向に延設した各一対の電極指56a
1〜56a4をそれぞれ備えている。各一対の電極指5
6a1〜56a4は、同電極指56a1〜56a4に接
続されたパッド部56b1〜56b4と共にそれぞれ一
体的に形成されて基板10の上面に固着されており、パ
ッド部56b1〜56b4の上面には、導電金属(例え
ばアルミニウム)で形成された電極パッド56c1〜5
6c4がそれぞれ設けられている。
4には、T字部23−1〜23−4の各Y軸方向外側端
に一体的にそれぞれ形成された各一対の電極指23b1
〜23b4がY軸方向に対向して設けられている。電極
指23b1〜23b4も、振動子20と一体的に形成さ
れて基板10の上面から所定距離だけ浮かして設けられ
ている。
素子に接続される第1電気回路装置について説明する
と、図9は同電気回路装置をブロック図により示してい
る。この電気回路装置において、検出電極部53−1及
び補正電極部54−1のための共通の電極パット53c
1と、検出電極部53−2及び補正電極部54−2のた
めの共通の電極パット53c2とには、上記高周波発振
器61が接続されている。検出電極部53−3及び補正
電極部54−3のための共通の電極パット53c3と、
検出電極部53−4及び補正電極部54−4のための共
通の電極パット53c4とには、上記位相反転回路61
aが接続されている。
通の電極パット55c1には直流可変電圧源65aが接
続されているとともに、調整電極部55−2,55−4
のための共通の電極パット55c2には直流可変電圧源
65bが接続されている。なお、これらの直流可変電圧
源65a,65bは、複数の電圧源で構成してもよい
が、単一の電圧源を共通に用いてもよい。
ット56c1〜56c4には、サーボ制御回路90が接
続されている。サーボ制御回路90は、振動子20のY
軸方向の振動を抑制するためのもので、復調回路91、
サーボアンプ92及び位相反転回路93からなる。復調
回路91は、上記第2の実施形態の復調回路92と同じ
であり、振動子20のY軸方向の振動を表す信号を取り
出して、同信号を交流サーボ制御信号として出力する。
サーボアンプ92は、前記交流サーボ制御信号を所定の
ゲインで増幅して、振動子20のY軸方向の振動(Z軸
回りの角速度による振動子20のY軸方向の振動)を打
ち消すために、同ゲイン制御された交流サーボ制御信号
をサーボ電極部56−3,56−4の電極パット56c
3,56c4に供給する。位相反転回路93は、前記ゲ
インの制御された交流サーボ制御信号の位相を反転し
て、同位相反転した逆相の制御信号をサーボ電極部56
−1,56−2の電極パット56c1,56c2に供給
する。
直流用の増幅器83が接続されている。検波回路82a
は、サーボアンプ92から交流サーボ制御信号を入力す
るとともに、移相回路72から駆動による振動子20の
X軸方向の振動を表す信号を入力し、交流サーボ制御信
号を前記X軸方向の振動を表す信号で同期検波して振動
子20のY軸方向の振動の振幅すなわちZ軸回りの角速
度による振動子20のY軸方向の振動の大きさを表す直
流信号を出力する。ここで、移相回路72の出力信号を
利用するのは、同信号が振動子20のZ軸回りの角速度
によりもたらされるコリオリ力の位相と同期したもので
あり、交流サーボ制御信号すなわち振動子20のZ軸回
りの角速度に同期したものであるからである。他の回路
に関しては、上記第2実施形態の第1電気回路装置と同
じであるので、同回路と同一符号を付して説明を省略す
る。
速度検出装置においては、直流可変電圧源65a,65
bの電圧を変化させると、調整電極部55−1〜55−
4による静電引力の大きさが変化し、Y軸方向の力に対
する振動子20の変位量すなわち検出用の梁33−1〜
33−4のばね定数が変更される。その結果、振動子2
0のY軸方向の共振周波数が適宜調整される。
56−1〜56−4に交流サーボ制御信号を供給するの
で、サーボ電極部56−1〜56−4は振動子20のY
軸方向の振動すなわちZ軸回りの角速度による振動子2
0のY軸方向の振動を抑制する。理想的には、振動子2
0のY軸方向の振動の振幅を「0」に制御する。このと
き、サーボアンプ92は振動子20のY軸方向の振動を
打ち消すための信号すなわちZ軸回りの角速度による振
動子20のY軸方向の振動の大きさを振幅で表す信号を
出力しているので、検波回路82aは前記角速度の大き
さを表す直流信号を形成して増幅器83を介して出力す
る。したがって、実際には、振動子20はY軸方向に振
動していないにもかかわらず、Z軸回りの角速度の大き
さを表す信号が取り出されることになる。
軸回りの角速度による振動子20のY軸方向の振動が基
板10を介して振動子20に再入力することがなくな
り、この再入力に伴うノイズの発生が抑えられ、角速度
の検出精度を向上させることができる。
サーボ制御の原理を表すブロック図を用いて簡単に説明
しておく。図中、FcはZ軸回りの角速度によって振動
子20にもたらされるY軸方向のコリオリ力を表し、F
sはサーボ力を表し、Rateは角速度を表し、Nは電気回
路入力部の電気的なノイズ量を表す。また、Qは振動子
20の共振のQを表し、Aはサーボアンプ92のゲイン
を表し、bはフィードバック量を表す。このブロック図
からも分かるように、角速度Rateは下記数3により表さ
れる。
(例えば、実質的に無限大と考えれる程度に大きな値)
に設定できれば、前記数3は下記数4のように変形され
る。
度の検出感度を表し、第2項N/Qbはノイズ成分を表
す。ここで、前記のようなサーボ制御を行わない角速度
検出装置(図10のフィードバックループのないもの)
を想定すると、角速度Rateは下記数5のように表され
る。
角速度の検出感度を表し、第2項N・Aはノイズ成分を
表している。これらの数4,5を対比することにより、
サーボ制御を行わない場合には角速度の検出感度は振動
子20の共振のQに依存し、ゲインAをある程度大きく
してサーボ制御を行った場合には角速度の検出感度は振
動子20の共振のQに依存しないことが理解できる。し
たがって、振動子20のY軸方向の振動をサーボ制御す
る前記第3実施形態によれば、角速度の検出感度が振動
子20の共振のQに依存しなくなって、同検出感度を安
定させることができる。
素子に接続される第2電気回路装置について説明する。
この第2電気回路装置について説明する前に、前記第1
電気回路装置を用いた角速度検出装置の課題を説明して
おく。この種のサーボ制御においては、振動子20の共
振周波数(数〜数10KHz程度)近傍でサーボ制御を
行う必要がある。一方、この種の角速度検出素子におい
ては、図11(B)に示すように、機械的な位相遅れのた
めに周波数軸において大きな位相ずれが生じる。この位
相ずれのために、サーボループのゲインを大きく設定す
ると、位相ずれの大きな周波数域においてサーボ制御に
よる発振が生じてしまう。したがって、図11(A)に示
すように、サーボループのゲインをある程度小さく抑え
て安定したサーボ制御を実現する必要がある。このこと
は、前記数3におけるゲインAをある程度小さな値に抑
えざるを得ないことを意味し、その結果、前記数4で説
明したような角速度の検出感度が振動子20の共振のQ
に依存することになり、同検出感度を充分に安定させる
ことはできない。
2電気回路装置であり、同電気回路装置について図12
のブロック図を用いて説明する。この第2電気回路装置
は、前記第1電気回路装置に対して、出力回路80及び
サーボ制御回路90のみが相違するので、両回路80,
90についてのみ説明する。
a、検波回路95a、サーボアンプ96a及び乗算回路
97aからなって角速度に応じた振動子20のY軸方向
の振動を抑制するための第1サーボ制御回路と、振幅制
御回路94b、検波回路95b、サーボアンプ96b及
び乗算回路97bからなって振動子20の駆動によるY
軸方向の漏れ振動を抑制するための第2サーボ制御回路
とからなる。
力であって振動子20に作用するコリオリ力に同期した
信号の振幅を予め決められた基準値に制御することによ
り、振動子20の角速度によるY軸方向の振動に同期し
た一定振幅の第1基準信号を形成する。検波回路95a
は、復調回路91の出力であって振動子20のY軸方向
の振動を表す信号を、移相回路72の出力であって振動
子20に作用するコリオリ力に同期した信号(振動子2
0の角速度によるY軸方向の振動に同期した信号)で同
期検波して、振動子20の角速度によるY軸方向の振動
の大きさに比例する第1直流サーボ制御信号を形成す
る。サーボアンプ96aは、第1直流サーボ制御信号を
所定のゲインで直流増幅して出力する。乗算回路97a
は、前記第1基準信号とゲイン調整された第1直流サー
ボ制御信号とを乗算することにより第1基準信号の振幅
を同ゲイン調整された第1直流サーボ制御信号に応じて
制御し、同振幅の制御された第1基準信号を振動子20
の角速度によるY軸方向の振動を抑制する制御信号とし
て出力する。
力であって振動子20の駆動によるY軸方向の漏れ振動
に同期した信号(前記振動子20の角速度によるY軸方
向の振動に対して90度位相の遅れた信号)の振幅を予
め決められた基準値に制御することにより、振動子20
の駆動によるY軸方向の漏れ振動に同期した一定振幅の
第2基準信号を形成する。検波回路95bは、復調回路
91の出力であって振動子20のY軸方向の振動を表す
信号を、復調回路71の出力であって前記振動子20の
駆動によるY軸方向の漏れ振動に同期した信号で同期検
波して、振動子20の駆動による漏れ振動の大きさに比
例する第2直流サーボ制御信号を形成する。サーボアン
プ96bは、第2直流サーボ制御信号を所定のゲインで
直流増幅して出力する。乗算回路97bは、前記第2基
準信号とゲイン調整された第2直流サーボ制御信号とを
乗算することにより第2基準信号の振幅を同ゲイン調整
された第2直流サーボ制御信号に応じて制御し、同振幅
の制御された第2基準信号を振動子20の駆動によるY
軸方向の漏れ振動を抑制する制御信号として出力する。
98に接続されており、加算回路98は両乗算回路97
a,97bの各出力を加算合成してサーボ電極部56−
3,56−4の電極パット56c3,56c4に供給す
る。位相反転回路93は、上記第1電気回路装置と同様
に、前記加算回路98による合成信号の位相を反転し
て、同位相反転した逆相の合成信号をサーボ電極部56
−1,56−2の電極パット56c1,56c2に供給
する。
装置と同様な増幅器83を備えていて、同増幅器83は
サーボアンプ96aの出力を直流増幅して出力する。
いては、第1サーボ制御回路は、角速度に応じた振動子
20のY軸方向の振動を抑制するので、同角速度による
振動子20のY軸方向の振動が基板10を介して振動子
20に逆入力されることに伴うノイズの発生が防止され
る。また、第2サーボ制御回路は、振動子20の駆動に
よるY軸方向の漏れ振動を抑制するので、同駆動による
Y軸方向の漏れ振動の発生も防止される。一方、サーボ
アンプ96aは、角速度による振動子20のY軸方向の
振動の大きさに比例した直流信号を出力するので、増幅
器83からは角速度を表す直流信号が得られる。
ンプ96a,96bの前に検波回路95a,95bをそ
れぞれ設けてサーボ制御信号の直流化を図っているの
で、センサの共振周波数帯域にてサーボ制御を行う必要
がなくなるため、前述した位相ずれの問題がなくなり、
上述したサーボループのゲインを大きく設定できる。こ
のことは、上記数3におけるゲインAを実質的に無限大
に設定できることを意味し、その結果、上記数4で説明
した角速度の検出感度が振動子20の共振のQには依存
しなくなり、同検出感度を安定させることができる。ま
た、増幅器63及び復調回路91により検出信号に位相
ずれが生じても、サーボ制御のゲインが変化するのみ
で、角速度の検出感度、オフセットなどには全く影響す
ることがない。
振動をサーボ制御することにより同振動を抑制するよう
にしているので、サーボ制御回路90内を通過する振動
子20のY軸方向の振動を表す信号は極めて小さなもの
である。したがって、サーボ制御回路90内に断線など
の異常が生じたために振動子20のY軸方向の振動を表
す信号が「0」になっているのか、前記振動子20のY
軸方向の振動抑制のために同Y軸方向の振動を表す信号
がほぼ「0」であるのかを判定することが難しい場合が
あり、前記異常の判定に遅れが生じることがある。な
お、前記断線異常は、検波回路82aの出力部、増幅器
83、サーボアンプ96a,96bの出力部などに設け
たローパスフィルタ、及び増幅器63、復調回路91な
どに設けたハイパスフィルタなどを構成する回路部品
(例えば、コンデンサ、抵抗)などの端子が開放した場
合に生じることが多い。
13は第1の異常判定装置例をブロック図により示して
いる。この第1の異常判定装置例においては、振動子2
0のY軸方向の振動を表す検出信号の経路に、オペアン
プOP1、抵抗R1,R2、コンデンサC1及び直流電
源DC1からなるローパスフィルタ101を介装してい
る。この信号経路の上流すなわちローパスフィルタ10
1の入力側には、抵抗R3を介してダミー信号発生回路
102が接続されている。ダミー信号発生回路102
は、ローパスフィルタ101のカットオフ周波数より高
くかつ前記検出信号に使用されないとともに同検出信号
に含まれない周波数の信号をダミー信号として出力し、
同ダミー信号を検出信号に抵抗R3を介して重畳する。
ルタ101の出力には、比較器COMP1,COMP
2、抵抗R4,R5,R6及びオア回路OR1からなり
異常判定回路を構成するウインドコンパレータ103が
接続されている。この場合、検出信号は抵抗R4,R
5,R6によって定まる第1及び第2基準電圧Vref1,
Vref2の間に収まるように設定されており、ダミー信号
は前記第1及び第2基準電圧Vref1,Vref2の範囲を超
える大振幅に設定されている。
ると、コンデンサC1などの回路部品に断線異常が発生
していなくてローパスフィルタ101が正常に動作して
いれば、ダミー信号発生回路102から発生されたダミ
ー信号はローパスフィルタ101を通過しないので、ウ
インドコンパレータ103は検出信号に応答しないでオ
ア回路OR1から正常を表すローレベル信号を出力す
る。一方、コンデンサC1などの回路部品に断線異常が
発生してローパスフィルタ101が正常に動作しなくな
ると、ダミー信号はローパスフィルタ101を通過す
る。この場合、ウインドコンパレータ103はダミー信
号に応答してオア回路OR1から異常を表すハイレベル
信号を出力する。これにより、ウインドコンパレータ1
03は、ダミー信号の通過の有無によりローパスフィル
タ101を含む信号経路の異常を遅滞なく検出でき、同
ウインドコンパレータ103に接続されたフェイル処理
回路(図示しない)は前記信号経路の異常に遅滞なく対
処できる。
ロック図により示しており、この装置例においては、振
動子20のY軸方向の振動を表す検出信号の経路に、オ
ペアンプOP2,OP3、抵抗R7,R8、R9、コン
デンサC2及び直流電源DC2からなるハイパスフィル
タ104を介装している。この信号経路の上流すなわち
ハイパスフィルタ104の入力側には、上記第1の異常
判定装置例と同様に抵抗R3を介してダミー信号発生回
路102が接続されている。この場合、ダミー信号発生
回路102は、ハイパスフィルタ104のカットオフ周
波数より高くかつ前記検出信号に使用されないとともに
同検出信号に含まれない周波数の信号をダミー信号とし
て出力し、同ダミー信号を検出信号に抵抗R3を介して
重畳する。
ルタ104の出力には、検波回路105と、上記第1の
異常判定装置例と同様なウインドコンパレータ103と
が接続されている。これらの検波回路105及びウイン
ドコンパレータ103は異常判定回路を構成する。検波
回路105にはダミー信号も供給されており、同回路1
05はハイパスフィルタ104の出力をダミー信号で同
期検波して、同ダミー信号をその振幅を表す直流信号に
変換してウインドコンパレータ103に出力する。この
場合には、ダミー信号の振幅は、抵抗R4,R5,R6
に設定される第1及び第2基準電圧Vref1,Vref2の間
に収まるように設定されている。
ると、コンデンサC2などの回路部品に断線異常が発生
していなくてハイパスフィルタ104が正常に動作して
いれば、ダミー信号発生回路102から出力されたダミ
ー信号はハイパスフィルタ104を通過する。そして、
検波回路105が前記ダミー信号を同期検波して直流電
圧信号を出力するので、ウインドコンパレータ103は
前記直流電圧信号に応答しないで正常を表すローレベル
信号を出力する。一方、コンデンサC2などの回路部品
に断線異常が発生すると、ダミー信号はハイパスフィル
タ104を通過しないので、ウインドコンパレータ10
3は、検波回路105から出力される「0」レベルの信
号に応答してオア回路OR1から異常を表すハイレベル
信号を出力する。これにより、ウインドコンパレータ1
03は、ダミー信号の通過の有無によりハイパスフィル
タ104を含む信号経路の異常を遅滞なく検出でき、同
ウインドコンパレータ103に接続されたフェイル処理
回路(図示しない)は前記信号経路の異常に遅滞なく対
処できる。
ロック図により示している。この第3の異常判定装置例
においては、前記第2の異常判定装置例の検波回路10
5およびウインドコンパレータ103に代えて、周波数
検出回路106を用いている。周波数検出回路106
は、ダミー信号の周波数を検出することにより、同ダミ
ー信号の到来時にハイレベル信号を出力し、それ以外の
ときローレベル信号を出力する。この場合も、ダミー信
号は、ハイパスフィルタ104のカットオフ周波数より
高くかつ前記検出信号に使用されないとともに同検出信
号に含まれない周波数の信号である。
においても、コンデンサC2などの回路部品に断線異常
が発生していなくてハイパスフィルタ104が正常に動
作していれば、ダミー信号発生回路102から出力され
たダミー信号はハイパスフィルタ104を通過する。そ
して、周波数検出回路106がこのダミー信号の到来に
応答して正常を表すハイレベル信号を出力する。一方、
コンデンサC2などの回路部品に断線異常が発生する
と、ダミー信号はハイパスフィルタ104を通過しない
ので、周波数検出回路106は異常を表すローレベル信
号を出力する。これによっても、周波数検出回路106
は、ダミー信号の通過の有無によりハイパスフィルタ1
04を含む信号経路の異常を遅滞なく検出でき、同周波
数検出回路106に接続されたフェイル処理回路(図示
しない)は前記信号経路の異常に遅滞なく対処できる。
置を用いれば、振動子20のY軸方向の振動がサーボ制
御により抑制されて、振動子20のY軸方向の振動を表
す信号の振幅が「0」又は極めて小さくても、前記ダミ
ー信号の有無により、前記経路の断線による異常を遅滞
なく検出することができる。
ーム30−1,30−2を介して振動子20をX軸方向
に振動させるために、X軸方向の同一直線上に配置した
1対の駆動電極部51−1,51−2と、X軸方向の同
一直線上に配置した1対の駆動電極部51−3,51−
4とをY軸方向の異なる位置に設けるようにしたが、さ
らに、X軸方向の同一直線上に配置した他の1対又は複
数対の駆動電極部を前記駆動電極部51−1〜51−4
とはY軸方向の異なる位置に配置するようにしてもよ
い。この場合も、全ての対の駆動電極部に逆相の駆動信
号をそれぞれ供給するようにするとともに、少なくとも
一対の駆動電極部に対する駆動信号による駆動力を変更
可能にする。
は、加算器75−1,75−2に可変電圧源回路76a
を接続するとともに、加算器75−3,75−4には定
電圧源回路76aを接続するようにした。しかし、これ
らの可変電圧源回路76a及び定電圧源回路76bは、
駆動電極部51−1,51−2に印加される電圧と駆動
電極部51−3,51−4に印加される電圧とを相対的
に調整することができるようにするものであればよいの
で、加算器75−1,75−2に定電圧源回路を接続す
るとともに、加算器75−3,75−4に可変電圧源回
路を接続するようにしたり、両電圧源回路76a,76
bを共に可変にするようにしてもよい。
は、加算器75−1〜75−4により直流信号に利得制
御回路73及び位相反転回路73aからの交流信号を重
畳させて駆動電極部51−1〜51−4に対する駆動信
号としたが、利得制御回路73及び位相反転回路73a
からの交流信号を駆動電極部51−1〜51−4に対す
る駆動信号とするようにしてもよい。この場合、駆動電
極部51−1,51−2による駆動力と駆動電極部51
−3,51−4による駆動力とを相対的に変更可能とす
るために、駆動電極部51−1,51−2に対する前記
交流信号からなる駆動信号及び駆動電極部51−3,5
1−4に対する前記交流信号からなる駆動信号の少なく
とも一方の振幅値を変更可能とするとよい。
の平面図である。
いて角速度を検出するための電気回路装置のブロック図
である。
の平面図である。
いて角速度を検出するための第1電気回路装置のブロッ
ク図である。
いて角速度を検出するための第2電気回路装置のブロッ
ク図である。
の平面図である。
す拡大部分図である。
いて角速度を検出するための第1電気回路装置のブロッ
ク図である。
示すブロック図である。
プゲインの周波数特性を示すグラフであり、(B)は同サ
ーボ制御におけるサーボループ位相の周波数特性を示す
グラフである。
用いて角速度を検出するための第2電気回路装置のブロ
ック図である。
込まれるのに適した第1の異常判定回路装置を示すブロ
ック図である。
込まれるのに適した第2の異常判定回路装置を示すブロ
ック図である。
込まれるのに適した第3の異常判定回路装置を示すブロ
ック図である。
ンフレーム、30−3,30−4…サブフレーム、33
−1〜33−4…梁(検出用梁)、41−1〜41−
4,44−1〜44−4…アンカ、42−1〜42−
4,43−1〜43−4,45−1〜45−4,46−
1〜46−4…梁(駆動用梁)、51−1〜51−4…
駆動電極部(駆動部)、52−1〜52−4…駆動モニ
タ電極部(駆動モニタ部)、53−1〜53−4…検出
電極部(検出部)、54−1〜54−4…補正電極部
(補正部)、55−1〜55−4…調整電極部(調整
部)、56−1〜56−4…サーボ電極部(サーボ
部)、61,62,64…高周波発振器、70…駆動回
路、71,81,84,91…復調回路、74,82,
82a,85,95a,95b…検波回路、75−1〜
75−4…加算器、76a…可変電圧源回路、76b…
定電圧源回路、80…出力回路、90…サーボ制御回
路、92,96a,96b…サーボアンプ、94a,9
4b…振幅制御回路、97a,97b…乗算回路、10
1…ローパスフィルタ、102…ダミー信号発生回路、
103…ウインドコンパレータ、104…ハイパスフィ
ルタ、105…検波回路、106…周波数検出回路。
Claims (2)
- 【請求項1】 基板に駆動用梁を介して接続され同基板
に対してX軸方向に振動可能に支持されたフレームと、
前記フレームにその内側にて検出用梁を介して接続され
前記基板に対してX軸方向及び同X軸と直交するY軸方
向に振動可能に支持された振動子と、前記フレームを前
記基板に対してX軸方向に振動させるための駆動部と、
前記振動子の前記基板に対するY軸方向の振動を検出す
るための検出部とを備え、前記フレーム及び振動子をX
軸方向に振動させた状態でX軸及びY軸に直交したZ軸
回りに作用する角速度を同振動子のY軸方向の振動に基
づいて検出する角速度検出装置において、 前記フレームをY軸方向に複数に分割したことを特徴と
する角速度検出装置。 - 【請求項2】 前記請求項1に記載した角速度検出装置
において、 前記フレームを、X軸方向に延びた部分を有するととも
に前記検出用梁を介して前記振動子を接続したメインフ
レームと、前記メインフレームのX軸方向に延びた部分
に沿って平行に延びたサブフレームとで構成し、 前記駆動用梁を、前記基板と前記サブフレームとを接続
して同サブフレームを同基板に対してX軸方向に振動可
能に支持する第1駆動用梁と、前記サブフレームと前記
メインフレームとを接続して前記メインフレームを前記
基板に対してX軸方向に振動可能に支持する第2駆動用
梁とで構成したことを特徴とする角速度検出装置。
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