JP3477008B2 - 炭酸カルシウム充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物 - Google Patents

炭酸カルシウム充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物

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JP3477008B2 JP23726596A JP23726596A JP3477008B2 JP 3477008 B2 JP3477008 B2 JP 3477008B2 JP 23726596 A JP23726596 A JP 23726596A JP 23726596 A JP23726596 A JP 23726596A JP 3477008 B2 JP3477008 B2 JP 3477008B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭酸カルシウムを
充填した付加反応硬化型シリコーンゴム組成物、その製
造方法及び該組成物を硬化することにより得られる硬化
物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、炭酸カルシウムは、シリコーンゴ
ムの耐熱性、電気絶縁性等の特性を向上させることを目
的に使用されており、主に有機過酸化架橋によるミラブ
ル型シリコーンゴムや縮合架橋によるRTVシリコーン
ゴムに使用されている。しかし、付加反応架橋によるシ
リコーンゴムには使用されていない。その理由は、通常
に充填剤として使用される炭酸カルシウム粉末には、不
純物としてアルカリ成分が含まれており、該アルカリ成
分が付加反応硬化型のシリコーンゴム組成物中に架橋剤
として含まれるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
と反応して水素ガスを発生するからである。そして、こ
のように水素ガスが発生することにより、保存中に組成
物が発泡したり、該組成物を収納した容器の内圧が上昇
して該容器が破裂する危険性もある。
【0003】一方、付加反応硬化型のシリコーンゴム組
成物は、縮合型RTVシリコーンゴム組成物のように長
い硬化時間を必要とすることもなく、また付加反応架橋
によるシリコーンゴムは、縮合架橋によるRTVシリコ
ーンゴムのように密封下での高温状態において、構成成
分のポリシロキサンが開裂する、所謂リバージョンを起
こさない点で有利であるから、炭酸カルシウムを充填し
た付加反応硬化型のシリコーンゴム組成物が望まれてい
る。しかし、炭酸カルシウム充填付加反応硬化型シリコ
ーンゴム組成物は、前記の理由により未だ提供されてい
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、炭酸
カルシウムを充填した付加反応硬化型シリコーンゴム組
成物、その製造方法及び該組成物を硬化することにより
得られる硬化物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)一分子
中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガ
ノポリシロキサン、(B)ケイ素原子に結合する水素原
子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイド
ロジェンポリシロキサン、(C)白金族金属系触媒、及
び(D)テトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物
で表面処理した炭酸カルシウム粉末を含有する炭酸カル
シウム充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を提供
する。
【0006】また本発明は、前記の組成物の製造方法で
あって、炭酸カルシウム粉末とテトラアルコキシシラン
の部分加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱
処理するか、あるいは前記(A)成分の一部又は全部
と、炭酸カルシウム粉末及びテトラアルコキシシランの
部分加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱処
理し、該混合物に前記(A)成分、(B)成分及び
(C)成分からなる群の残りの成分を混合することを特
徴とする炭酸カルシウム充填付加反応硬化型シリコーン
ゴム組成物の製造方法を提供する。
【0007】また本発明は、前記の組成物を硬化するこ
とにより得られる硬化物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】(A)アルケニル基含有ジオルガノポリシ
ロキサン 本発明の組成物に用いるアルケニル基含有ジオルガノポ
リシロキサンは、一分子中に少なくとも2個のアルケニ
ル基を含有するもので、通常は主鎖部分が基本的にジオ
ルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末
端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のもの
であるのが一般的であるが、これは分子構造の一部に分
枝状の構造を含んだものであってもよく、また環状体で
あってもよいが、硬化物の機械的強度等の物性の点から
直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。該アル
ケニル基は、分子鎖の両末端にのみに存在していても、
或いは分子鎖の両末端及び分子鎖の途中に存在していて
もよい。このようなアルケニル基含有ジオルガノポリシ
ロキサンの代表例としては、例えば、下記一般式
(1):
【0010】
【化1】 (式中、R1 は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非
置換又は置換の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル
基であり、nは0又は1以上の整数であり、mは0又は
1以上の整数である)で表されるジオルガノポリシロキ
サンが挙げられる。
【0011】式中、R1 の脂肪族不飽和結合を含有しな
い非置換又は置換の1価炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ
チル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、
ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル
基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシ
リル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、
メチルベンジル基等のアラルキル基;並びにこれらの基
の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部がフ
ッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基などで置
換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチ
ル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオ
ロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル
基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,
6,6−ノナフルオロヘキシル基などが挙げられ、代表
的なものは炭素原子数が1〜10、特に代表的なものは
炭素原子数が1〜6のものであり、好ましくは、メチル
基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエ
チル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノ
エチル基等の炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアル
キル基及びフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフ
ェニル基等の非置換又は置換のフェニル基である。
【0012】式中、Xのアルケニル基としては、例え
ば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニ
ル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基
等の通常炭素原子数2〜8程度のものが挙げられ、中で
もビニル基、アリル基等の低級アルケニル基が好まし
い。
【0013】式中、nは0又は1以上の整数であり、m
は0又は1以上の整数である。また、n及びmは、10≦
n+m≦10,000を満たす整数であるのが好ましく、より
好ましくは50≦n+m≦2,000 であり、かつ0 ≦m/
(n+m)≦0.2 を満足する整数である。
【0014】また、このようなアルケニル基含有ジオル
ガノポリシロキサンは、25℃における粘度が10〜1,00
0,000 cSt、特に100 〜500,000 cSt程度のものが
好ましい。
【0015】(B)オルガノハイドロジェンポリシロキ
サン 本発明の組成物に用いるオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサンは、一分子中に少なくとも2個、好ましくは3
個以上のケイ素原子に結合する水素原子(即ち、SiH
基)を含有するものであり、直鎖状、分岐状、環状、或
いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよい。この
ようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの代表例
としては、例えば、下記平均組成式(2): Ha 2 b SiO(4-a-b)/2 (2) (式中、R2 は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非
置換又は置換の1価炭化水素基であり、a及びbは、0
<a <2、0.8 ≦b≦2かつ0.8 <a+b≦3となる数
であり、好ましくは0.05≦a≦1、1.5 ≦b≦2かつ1.
8 ≦a+b≦2.7となる数である)で表されるオルガノ
ハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
【0016】式中、R2 の脂肪族不飽和結合を含有しな
い非置換又は置換の1価炭化水素基としては、前記一般
式(1)のR1 として例示したものと同様のものが挙げ
られ、代表的なものは炭素原子数が1〜10、特に炭素原
子数が1〜7のものであり、好ましくはメチル基等の炭
素原子数1〜3の低級アルキル基、フェニル基、3 、3
、3-トリフルオロプロピル基である。このようなオル
ガノハイドロジェンポリシロキサンの例としては、例え
ば、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テト
ラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8-ペンタメ
チルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマ
ー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイ
ドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシ
ロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェ
ンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖
メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シ
ラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジ
ェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイド
ロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子
鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチル
ハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチル
ハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メ
チルハイドロジェンシロキサン共重合体等;R2 (H)
SiO1/2 単位とSiO4/2 単位からなり、任意にR3
SiO1/2 単位、R2 SiO2/2 単位、R(H)SiO
2/2 単位、(H)SiO3/2 単位又はRSiO3/2 単位
を含み得るシリコーンレジン(但し、式中、Rは前記の
1 として例示した非置換又は置換の1価炭化水素基と
同様のものである)などが挙げられ、更には下記式:
【0017】
【化2】 等で表されるものが挙げられる。
【0018】本発明の組成物に用いるオルガノハイドロ
ジェンポリシロキサンは、公知の方法で得ることがで
き、例えば、下記一般式: R2 SiHCl2 及びR2 2 SiHCl (式中、R2 は前記と同じである)から選ばれる少なく
とも1種のクロロシランを共加水分解し、或いは該クロ
ロシランと下記一般式: R2 3 SiCl及びR2 2 SiCl2 (式中、R2 は前記と同じである)から選ばれる少なく
とも1種のクロロシランを組み合わせて共加水分解して
得ることができる。また、オルガノハイドロジェンポリ
シロキサンは、このように共加水分解して得られたポリ
シロキサンを平衡化したものでもよい。
【0019】成分(B)の使用量は、成分(A)のアル
ケニル基含有ジオルガノポリシロキサン中のアルケニル
基1モル当たり、成分(B)のオルガノハイドロジェン
ポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子(即
ち、SiH基)が、通常0.5〜4モルとなるような量、
好ましくは1〜2.5 モルとなるような量である。
【0020】(C)白金族金属系触媒 本発明に用いる白金族金属系触媒は、前記の成分(A)
のアルケニル基と成分(B)のケイ素原子に結合する水
素原子との付加反応を促進するための触媒であり、ヒド
ロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙
げられる。その具体例としては、例えば、白金(白金黒
を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;
2 PtCl4 ・nH2 O、H2 PtCl6 ・nH
2 O、NaHPtCl6 ・nH2 O、KHPtCl6
nH2 O、Na2 PtCl6 ・nH2 O、K2 PtCl
4 ・nH2 O、PtCl4 ・nH2 O、PtCl2 、N
2 HPtCl4 ・nH2 O (但し、式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0
又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金
酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,22
0,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンと
のコンプレックス(米国特許第3,159,601号明
細書、同第3,159,662号明細書、同第3,77
5,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白
金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持
させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;ク
ロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウ
ィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白
金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環
状シロキサンとのコンプレックスなどが挙げられる。
【0021】成分(C)の使用量は、所謂触媒量でよ
く、通常、成分(A)及び成分(B)の合計量に対する
白金族金属の重量換算で、0.1 〜500ppm、特には0.5 〜
200ppm程度でよい。
【0022】(D)表面処理した炭酸カルシウム粉末 本発明に用いる炭酸カルシウム粉末は、テトラアルコキ
シシランの部分加水分解縮合物で表面処理したものであ
る。このような表面処理を行った炭酸カルシウム粉末を
含む付加反応硬化型シリコーンゴム組成物においては、
該炭酸カルシウム粉末からアルカリ成分が溶出すること
に起因するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの脱
水素反応が低減される。従って、該(D)成分は、該組
成物の保存中における発泡を防止し、そして該組成物を
収納した容器の内圧が上昇して該容器が破裂するの防止
しながら、該組成物に耐熱性、電気絶縁性等の特性を付
与するものである。
【0023】テトラアルコキシシランの部分加水分解
縮合物 本発明に用いるテトラアルコキシシランは、下記一般
式: Si(OR3 4 (式中、R3 は独立に非置換又は低級アルコキシ置換の
アルキル基である)で表される。式中、R3 の非置換又
は低級アルコキシ置換のアルキル基としては、例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ
チル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、
ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ドデシル基やメトキシメチル
基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエ
チル基などの、通常炭素数1〜12、好ましくは炭素数
1〜6程度のもの等が挙げられる。
【0024】このようなテトラアルコキシシランの部分
加水分解縮合物としては、例えば、下記平均組成式: [(OR3)3SiO1/2]K [(OR3)2SiO2/2]L [(OR3)SiO3/2] M [S
iO4/2]N (式中、R3 は前記と同じであり、K、L、M及びN
は、K+L+M+N=1、0.002 ≦K≦1、0≦L≦0.
998 、0≦M≦0.998 及び0≦N≦0.35を満足する数で
ある)で表されるもの等が挙げられ、特に代表的なもの
は、下記一般式(3): R3 O−[Si(OR3 2 O]j −R3 (3) (式中、R3 は前記と同じであり、jは1以上の整数で
ある)で表されるものである。このようなテトラアルコ
キシシランの部分加水分解縮合物は、重量平均分子量が
150 〜100,000 のものが好ましい。
【0025】炭酸カルシウム粉末 表面処理に供する炭酸カルシウム粉末は、公知のものを
用いることができるが、好ましくは化学的方法によって
製造される沈降炭酸カルシウムが純度が高い点で好まし
い。炭酸カルシウム粉末の平均粒子径は、通常、0.1
〜30μm 程度のものでよく、用途により適宜に選択す
ることができる。
【0026】表面処理 表面処理の方法としては、公知の湿式処理法又は乾式処
理法を使用することができる。このような表面処理法の
具体例としては、例えば、前記のテトラアルコキシシラ
ンの部分加水分解縮合物を適当な溶媒に溶解し、或いは
分散媒に分散した後、この溶液又は分散液に前記の炭酸
カルシウム粉末を混合した後、加熱・乾燥する方法が挙
げられる。前記の溶媒又は分散媒としては、例えば、ト
ルエン、キシレン等が挙げられる。加熱・乾燥の条件と
しては、例えば、80〜200℃で0.5〜10時間程
度でよい。
【0027】また、別の表面処理の方法としては、例え
ば、前記(A)成分の一部又は全部(通常30%以上、
特に50%以上)と、炭酸カルシウム粉末及びテトラア
ルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合した後、
該混合物を加熱処理する方法が挙げられる。加熱処理の
条件としては、例えば、80〜200℃で0.5〜10
時間程度でよい。このように(A)成分の一部又は全部
と炭酸カルシウム粉末及びテトラアルコキシシランの部
分加水分解縮合物とを混合して表面処理する方法は、本
発明の組成物の製造工程における各成分の混合工程、或
いは混練工程において、同時に炭酸カルシウム粉末の表
面処理が行えるので、省エネルギー及び工程時間短縮等
による合理化を図ることができる点で好ましい。
【0028】前記のテトラアルコキシシランの部分加水
分解縮合物の使用量は、炭酸カルシウム粉末の比表面積
やその他の性状に合わせて適宜に調節できるが、通常、
炭酸カルシウム粉末100重量部当たり、0.1〜20
重量部程度でよい。このような表面処理により、前記の
炭酸カルシウム粉末の表面にシロキサン被膜を形成し、
炭酸カルシウム粉末からアルカリ成分が溶出するのを防
止する。
【0029】表面処理した炭酸カルシウム粉末の使用量
は、成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロ
キサン100重量部当たり、通常、5〜200重量部、
好ましくは10〜100重量部である。この使用量が少
なすぎると得られる硬化物の耐熱性、電気絶縁性が不十
分になる場合があり、逆に多すぎると得られる硬化性シ
リコーンゴム組成物の粘度が上昇して流動性が悪くなる
場合がある。
【0030】その他の成分 本発明の組成物には、前記成分(A)、成分(B) 、成
分(C)及び成分(D)以外に、必要に応じて、例え
ば、ヒュームドシリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補
強性無機充填剤;けい酸カルシウム、二酸化チタン、酸
化第二鉄、カーボンブラック等の非補強性無機充填剤な
どを添加することができる。これらの無機充填剤の使用
量は、通常、該無機充填剤を除く成分の合計量100重
量部当たり、通常、0〜200重量部である。
【0031】硬化性シリコーンゴム組成物及びその硬化
本発明の組成物は、通常の硬化性シリコーンゴム組成物
と同様に、例えば、成分(A)、(C)及び成分
(D)、並びに成分(A) 及び成分(B)というように
前記の成分を2液に分け、使用時にこの2液を混合して
硬化させる所謂2液型の組成物でもよい。また、(A)
成分の一部又は全部と、炭酸カルシウム粉末及びテトラ
アルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合すると
同時に炭酸カルシウム粉末の表面処理を行う方法を使用
する場合には、例えば、成分(A) 一部又は全部とアル
コキシシランの部分加水分解縮合物と炭酸カルシウム粉
末とを混合し、該混合物を加熱処理したものを予め調製
しておき、これを1液とする2液型の組成物とすればよ
い。また、成分(A)〜(D)の各成分を混合し、この
組成物に少量の硬化抑制剤(例えばアセチレンアルコー
ル等)などを添加した所謂1液型の組成物でもよい。ま
た、組成物の接着性を向上させる目的で前記成分以外に
エポキシ基含有ポリシロキサン化合物やエステルシロキ
サン化合物を必要により配合することができる。このよ
うにして得られる本発明の組成物は、流動性が良好であ
る。そして、本発明の硬化物は、前記組成物を硬化して
得られたものである。硬化条件としては、公知の付加反
応硬化型シリコーンゴム組成物と同様でよく、例えば常
温でも十分硬化するが必要に応じて加熱してもよい。こ
のような本発明の硬化物は耐熱性、電気絶縁性に優れ
る。
【0032】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を
さらに具体的に説明する。実施例1 下記式(4): Vi(Me)2 Si-(OSiMe2) n -OSi(Me)2 Vi (4) (式中、Meは前記と同じであり、Viはビニル基であ
り、nは該シロキサンの25℃における粘度が1000cS
tとなるような数である)で表されるビニル基含有の直
鎖状オルガノポリシロキサン40重量部、前記の一般式
(4)において、nが、25℃における粘度が5000cS
tとなるような数である分子鎖両末端ビニル基封鎖の直
鎖状オルガノポリシロキサン60重量部、炭酸カルシウ
ム[日亜化学(株)製、FP、平均粒径1.2μm、ア
ルカリ成分含有量:0.02重量%(水酸化カルシウム
換算)]40重量部、テトラエトキシシランの部分加水
分解縮合物(SiO2 含有量40重量%)[コルコート
(株)製、(商品名)エチルポリシリケート40T]2
重量部を3本ロールで混練した後、プラネタリーミキサ
ーを使用して後、該混練物を160℃で3時間混練し
た。次に、この混練物に、メチルハイドロジェンポリシ
ロキサン(ケイ素原子に結合する水素原子(SiH基)
の含有量:0.8モル/100g)2重量部及び塩化白
金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金含有量2重量
%)0.02重量部を加えて攪拌し、硬化性シリコーン
ゴム組成物を得た。該組成物の粘度をB型回転粘度計を
用いて測定した結果、36P(ポイズ(25℃)以下同
様)であった。得られた組成物について、下記の抽出水
電導度、水素ガス発生量、硬化物のゴム物性(硬さ、引
張強さ、伸び)、硬化物の電気特性(体積抵抗率、絶縁
破壊電圧、誘電率、誘電正接)、硬化物の耐熱性を測定
し、硬化物の発泡状態を観察した。結果を表1に示す。抽出水電導度 得られた組成物20重量部、特級トルエン40重量部、
純水100重量部を分液ロートに投入し、これを1時間
振盪した後静置し、これより水相を分取した。そして、
分取した水の電導度(μS/cm)をコンダクトメータ
を使用して測定した。水素ガス発生量 得られた組成物5gを500mlのヘッドスペースボト
ルに密封し、室温で48時間放置し、そして該ボトル内
に発生した水素ガス量をガスクロマトグラフにより測定
した。硬化物のゴム物性 得られた組成物を150mm×100mm×2mmの金型に流
し込み、これを真空脱泡した後、150℃で4時間加熱
してシート状の硬化物を得た。得られた硬化物につい
て、JIS K 6301に準じて測定した。なお、硬
さはスプリング式硬さ試験機のA型を使用した。硬化物の電気特性 得られた組成物を150mm×100mm×1mmの金型に流
し込み、これを真空脱泡した後、150℃で4時間加熱
してシート状の硬化物を得た。得られた硬化物につい
て、JIS C 2123に準じて測定した。硬化物の耐熱性 前記のゴム物性の測定に使用したものと同様のシート状
の硬化物を250℃で24時間加熱した後の硬さ、及び
同温度で48時間加熱した後の硬さをJISK 630
1に準じて測定した(スプリング式硬さ試験機のA型を
使用)。硬化物の発泡状態 得られた硬化物を目視で観察し発泡の有無を判断した。実施例2 実施例1において、テトラエトキシシランの部分加水分
解縮合物に代えて、テトラメトキシシランの部分加水分
解縮合物[重量平均分子量(Mw):788]2重量部
を使用した以外は実施例1と同様にして、硬化性シリコ
ーンゴム組成物を得た。該組成物の粘度をB型回転粘度
計を用いて測定した結果、37Pであった。そして得ら
れた組成物を使用して実施例1と同様にして抽出水電導
度、水素ガス発生量、硬化物のゴム物性(硬さ、引張強
さ、伸び)、硬化物の電気特性(体積抵抗率、絶縁破壊
電圧、誘電率、誘電正接)、硬化物の耐熱性を測定し、
硬化物の発泡状態を観察した。結果を表1に示す。比較例1 実施例1において、テトラエトキシシランの部分加水分
解縮合物に代えて、ヘキサメチルジシラザン3重量部を
使用した以外は実施例1と同様にして、硬化性シリコー
ンゴム組成物を得た。該組成物の粘度をB型回転粘度計
を用いて測定した結果、41Pであった。そして得られ
た組成物を使用して実施例1と同様にして抽出水電導
度、水素ガス発生量、硬化物のゴム物性(硬さ、引張強
さ、伸び)、硬化物の電気特性(体積抵抗率、絶縁破壊
電圧、誘電率、誘電正接)、硬化物の耐熱性を測定し、
硬化物の発泡状態を観察した。結果を表1に示す。比較例2 実施例1において、テトラエトキシシランの部分加水分
解縮合物を使用しなかった以外は実施例1と同様にし
て、硬化性シリコーンゴム組成物を得た。該組成物の粘
度をB型回転粘度計を用いて測定した結果、46Pであ
った。そして得られた組成物を使用して実施例1と同様
にして抽出水電導度、水素ガス発生量、硬化物のゴム物
性(硬さ、引張強さ、伸び)、硬化物の電気特性(体積
抵抗率、絶縁破壊電圧、誘電率、誘電正接)、硬化物の
耐熱性を測定し、硬化物の発泡状態を観察した。結果を
表1に示す。比較例3 実施例1において、テトラエトキシシランの部分加水分
解縮合物に代えて、モノメチルトリエトキシシラン3重
量部を使用した以外は実施例1と同様にして、硬化性シ
リコーンゴム組成物を得た。該組成物の粘度をB型回転
粘度計を用いて測定した結果、42Pであった。そして
得られた組成物を使用して実施例1と同様にして抽出水
電導度、水素ガス発生量、硬化物のゴム物性(硬さ、引
張強さ、伸び)、硬化物の電気特性(体積抵抗率、絶縁
破壊電圧、誘電率、誘電正接)、硬化物の耐熱性を測定
し、硬化物の発泡状態を観察した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】 評価 表1に示すとおり、本発明の組成物(実施例1及び2参
照)は、炭酸カルシウムの表面処理剤として、シラザン
(比較例1参照)やカーボンファンクショナルシラン
(比較例3参照)を使用したもの、及び炭酸カルシウム
をシリコーンオイルで加熱処理したもの(比較例2参
照)に比較し、水素ガスの発生量が少なく、得られる硬
化物の物性も優れている。
【0034】
【発明の効果】本発明は、保存中における水素ガスの発
生量が極めて少ない炭酸カルシウム充填付加反応硬化型
シリコーンゴム組成物を提供することができる。そし
て、該組成物は流動性に優れており、また硬化後の耐熱
性、電気絶縁性等の電気特性、ゴム物性に優れる。ま
た、本発明の製造方法は、製造工程における省エネルギ
ー及び工程時間短縮等による合理化を図ることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−268764(JP,A) 特開 平4−139258(JP,A) 特開 平7−316298(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 83/00 - 83/16 C08K 3/00 - 13/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)一分子中に少なくとも2個のアル
    ケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、(B)
    ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも
    2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
    (C)白金族金属系触媒、及び(D)テトラアルコキシ
    シランの部分加水分解縮合物で表面処理した炭酸カルシ
    ウム粉末を含有する炭酸カルシウム充填付加反応硬化型
    シリコーンゴム組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の組成物の製造方法であ
    って、炭酸カルシウム粉末とテトラアルコキシシランの
    部分加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱処
    理するか、あるいは前記(A)成分の一部又は全部と、
    炭酸カルシウム粉末及びテトラアルコキシシランの部分
    加水分解縮合物とを混合した後、該混合物を加熱処理
    し、該混合物に前記(A)成分、(B)成分及び(C)
    成分からなる群の残りの成分を混合することを特徴とす
    る炭酸カルシウム充填付加反応硬化型シリコーンゴム組
    成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の組成物を硬化すること
    により得られる硬化物。
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