JP3998438B2 - 固体高分子型燃料電池用接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池用接着剤に関し、特に、固体電解質膜と電極とのシール材として有効で、該固体電解質膜に自己接着させることが可能な固体高分子型燃料電池用接着剤に関する
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池の開発が急速に進んでいる。この燃料電池を構成する部品のうち最も重要なものは固体電解質膜とセパレータであり、これらを接着させることが不可欠である。しかし、この固体電解質膜は、テフロンを主鎖とした化合物から構成されているので、従来の接着剤では接着させることが非常に困難であった。またたとえ接着できたとしても、耐久性が低く、過酷な使用条件下では被着物が経時的に剥離してしまうという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、実際の過酷な使用条件下でも長期にわたって安定した接着力を維持することが可能な、自己接着型のシリコーンゴム組成物からなる固体高分子型燃料電池用接着剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決する手段として、(A)ケイ素原子に直結した炭素原子を介してケイ素原子に結合したフルオロアルキル基及び/又はフルオロアルキルエーテル基を分子中に有するとともに、ケイ素原子に直結した炭素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基及び/又はトリアルコキシシリル基を有する有機ケイ素化合物を含有するシリコーンゴム組成物からなる固体高分子型燃料電池用接着剤を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0006】
−(A)有機ケイ素化合物−
この有機化合物は本発明に用いられるシリコーンゴム組成物の必須の成分であり、本発明の接着剤に自己接着性を発現させる作用を有する。
【0007】
この有機ケイ素化合物は、ケイ素原子に直結した炭素原子を介してケイ素原子に結合したフルオロアルキル基及び/又はフルオロアルキルエーテル基を1分子中に有するとともに、ケイ素原子に直結した炭素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基(例えば
【0008】
【化5】
など)及び/又はトリアルコキシシリル基(例えば、
【0009】
【化6】
など)を有する有機ケイ素化合物である。更に、この有機ケイ素化合物としては分子中に少なくとも1個の、ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を有するものであることが好ましい。
【0010】
該有機ケイ素化合物の代表的な例はオルガノポリシロキサンであり、そのシロキサン骨格は、環状、直鎖状、分岐状の何れでもよい。合成のし易さの点では環状または直鎖状のポリシロキサン骨格を有するもの、特に環状ポリシロキサン骨格を有するものが好ましい。直鎖状または環状の場合特にそれの分子量に制限はないが、直鎖状オルガノポリシロキサン中のケイ素原子数は4〜100、特に4〜20程度が好ましく、またシロキサン環を形成するケイ素原子の数は3〜50、特に4〜10程度が好ましい。
【0011】
この有機ケイ素化合物が有するフルオロアルキル基としては、例えば、一般式
−CnFn+1
〔ここで、nは1〜20の整数、好ましくは1〜10の整数である。〕
で表されるパーフルオロアルキル基、等があげられ、またフルオロアルキルエーテル基としては、例えば下記一般式
【0012】
【化7】
【0013】
(式中、R0は炭素原子数1〜4のアルキレン基、pは0〜10までの整数、qは1〜5までの整数を示す。)
で表わされるパーフルオロ(又はポリフルオロ)アルキルエーテル基が好ましいものとしてあげられる。これらのパーフルオロアルキル基またはフルオロアルキルエーテル基は、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜6程度の低級アルキレン基を介してケイ素原子に結合したものを使用することができる。
【0014】
この有機ケイ素化合物は、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジエンシロキサンに、ビニル基等のアルケニル基とフルオロアルキル基及び/又はフルオロアルキルエーテル基とを有する有機ケイ素化合物(例えば、オルガノポリシロキサン)、並びにビニル基等のアルケニル基とエポキシ基及び/又はトリアルコキシシリル基とを有する有機ケイ素化合物(例えば、オルガノポリシロキサン)を白金系触媒存在下で付加反応(ヒドロシリル化反応)を起こさせる常法によって合成することができる。この有機ケイ素化合物中にはケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)は必ずしも必須とされるものではないが、反応後好ましくは1分子中に少なくとも1個残留するケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)は、他の成分が有するアルケニル基と付加反応を起こし、接着強度を高める。反応終了後目的物質を単離して用いても良いが、未反応物と付加反応用触媒を除去しただけの混合物を使用することもできる。
この(A)成分の有機ケイ素化合物として、例えば、下記に示す構造式のものが挙げられる。
【0015】
【化8】
【0016】
【化9】
【0017】
【化10】
【0018】
【化11】
【0019】
【化12】
【0020】
【化13】
【0021】
【化14】
【0022】
【化15】
【0023】
【化16】
【0024】
【化17】
【0025】
【化18】
(ここでo、p、rは正の整数、pは0以上の整数)
【0026】
【化19】
(ここでs、u、vは正の整数、tは0以上の整数)。
【0027】
本発明の接着剤に用いられるシリコーンゴム組成物は、ヒドロシリル化反応により硬化する付加硬化型シリコーンゴム組成物であることが好ましい。この場合、本発明に用いられる組成物は、上記(A)成分に加えて、下記(B)、(C)及び(D)成分を含有する。
【0028】
−(B)アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン−
本発明に用いるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するもので、通常は主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のものが一般的に用いられるが、分子構造の一部に分枝状の構造を含んだものであってもよく、また環状構造を有するものであってもよい。しかし、硬化物の機械的強度等の物性の点から直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。アルケニル基は、分子鎖の両末端のみに存在していても、分子鎖の途中のみに存在していても、あるいは分子鎖の両末端及び分子鎖の途中に存在していてもよい。このようなアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(1):
X-SiR1 2O-(SiR1 2O)n-(SiR1(X)O)m-SiR1 2-X (1)
(式中、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基であり、nは0又は1以上の整数であり、mは0又は1以上の整数である。)で表されるジオルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0029】
式中、R1の脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基;並びにこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基などで置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基などの炭素原子数が1〜10、好ましくは炭素原子数が1〜6の1価炭化水素基が挙げられ、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等の炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアルキル基及びフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基等の非置換又は置換のフェニル基が挙げられる。
【0030】
式中、Xのアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の通常炭素原子数2〜8程度のものが挙げられ、中でもビニル基、アリル基等の低級アルケニル基が好ましい。式中、nは0又は1以上の整数であり、mは0又は1以上の整数である。また、n及びmは、10≦n+m≦10,000を満たすことが好ましく、50≦n+m≦2,000であり、かつ0≦m/(n+m)≦0.2を満足することがより好ましい。
【0031】
また、このようなアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が10〜1,000,000cSt、特に100〜500,000cSt程度のものが好ましい。
【0032】
前記した(A)成分の有機ケイ素化合物の配合量は、(B)成分のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン100重量部当り0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部が好ましい。
【0033】
−(C)オルガノハイドロジエンポリシロキサン−
本発明に用いるオルガノハイドロジエンポリシロキサンは、一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に結合する水素原子(即ち、SiH基)を含有するものであり、直鎖状、分岐状、環状、あるいは三次元網状構造の樹脂状のものいずれでもよい。このようなオルガノハイドロジエンポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(2):
HaR2 bSiO(4-a-b)/2 (2)
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、a及びbは、0<a<2、0.8≦b≦2かつ0.8<a+b≦3となる数であり、好ましくは0.05≦a≦1、1.0≦b≦2かつ1.05≦a+b≦2.7となる数である)で表されるオルガノハイドロジエンポリシロキサンが挙げられる。
【0034】
式中、R2の脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基としては、前記一般式(1)のR1として例示したものと同様のものが挙げられ、代表的なものは炭素原子数が1〜10、好ましくは炭素原子数が1〜7の1価炭化水素基が挙げられ、特に好ましくはメチル基等の炭素原子数1〜3の低級アルキル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
【0035】
このようなオルガノハイドロジエンポリシロキサンの例としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8−ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジエンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジエンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジエンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジエンシロキシ基封鎖メチルハイドロジエンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジエンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体等;R2 2(H)SiO1/2単位とSiO4/2単位からなり、任意にR2 3SiO1/2単位、R2 2SiO2/2単位、R2(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2単位又はR2SiO3/2単位を含み得るシリコーンレジン(但し、式中、R2は前記と同じである)などが挙げられ、更には下記式:
【0036】
【化20】
〔ここで、lは2〜100の整数、mは0〜100の整数、nは0〜100の整数、l+nは2〜200の整数、m+nは0〜200の整数である。〕
等で表されるものが挙げられる。
【0037】
本発明に用いるオルガノハイドロジエンポリシロキサンは、公知の方法で得ることができる。例えば、下記一般式:R2SiHCl2及びR2 2SiHCl(式中、R2は前記と同じである)から選ばれる少なくとも1種のクロロシランを共加水分解し、或いは該クロロシランと下記一般式:R2 3SiCl及びR2 2SiCl2(式中、R2は前記と同じである)から選ばれる少なくとも1種のクロロシランを組み合わせて共加水分解して得ることができる。また、オルガノハイドロジエンポリシロキサンは、このように共加水分解して得られたポリシロキサンを平衡化したものでもよい。
【0038】
成分(C)の使用量は、成分(B)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン中のアルケニル基1モル当たり、成分(C)のオルガノハイドロジエンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)が、通常0.5〜4モルとなるような量、好ましくは1〜2.5モルとなるような量である。
【0039】
−(D)白金族金属系触媒−
本発明に用いる白金族金属系触媒は、前記の成分(B)のアルケニル基と成分(C)のケイ素原子に結合する水素原子とのヒドロシリル化付加反応を促進するための触媒であり、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げられる。その具体例としては、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;
H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O、
【0040】
(但し、式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、ビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックスなどが挙げられる。
【0041】
(D)成分の配合量は、触媒としての有効量でよく、通常、成分(B)及び成分(C)の合計量に対する白金族金属の重量換算で、0.1〜500ppm、特には0.5〜200ppm程度でよい。
【0042】
本発明の一実施形態によると、上記組成物にはさらに式:R3SiO1/2(Rはメチル基又はビニル基)で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位を含有する、三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン((E)成分)を配合される。これを配合することで硬化後のシリコーンゴムの強度がより向上するという利点が得られる。
【0043】
−(E)オルガノポリシロキサンレジン−
このようなオルガノポリシロキサンレジンとしては例えば、(CH3)3SiO1/2単位とSiO4/2単位からなるレジン、(CH3)3SiO1/2単位と(CH2=CH)SiO3/2単位とSiO4/2単位からなるレジン、(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位とSiO4/2単位からなるレジン、(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位と(CH2=CH)SiO3/2単位とSiO4/2単位からなるレジンが挙げられる。特にビニル基等のアルケニル基を持つものは組成物中の架橋構造中に取り込まれることでその強度をより向上させることができる点で、より好ましい。このオルガノポリシロキサンレジンの配合量は(A)成分のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン100重量部当り0〜30重量部、特に0.1〜20重量部であることが好ましい。
【0044】
本発明に用いられるシリコーンゴム組成物にはさらに微粉末状シリカを添加し、得られる硬化シリコーンゴムの機械的強度を向上させることができる。
【0045】
−(F)微粉末状のシリカ−
この微粉末状シリカとしては、従来シリコーンゴムに用いられている公知のものを使用することができ、例えば煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ)、沈降シリカ、焼成シリカ、石英粉末、珪藻土などが挙げられる。これらは1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらのシリカ粒子は通常BET法による比表面積が50m2/g以上、通常50〜500m2/g、好ましくは100〜400m2/g程度のものが一般的である。このような微粉末状シリカはそのまま使用してもよいが、組成物に良好な流動性を付与させるためメチルクロロシラン類、ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザンなどの有機ケイ素化合物で処理したものを使用することが好ましい。
【0046】
微粉末状のシリカの配合量は前記(A)、(B)、(C)成分の合計100重量部当り、あるいは前記(A)、(B)、(C)及び(E)成分の合計100重量部当り、0〜200重量部、特に0.1〜100重量部程度とすることが好ましい。
【0047】
本発明に用いられるシリコーンゴム組成物には、さらに、接着剤層の厚みを一定にするためにスペーサー(即ち、金属酸化物や熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の有機樹脂などの材料からなる、均一な粒子径を有する球状無機微粒子又は球状有機樹脂微粒子)を添加することができる。
【0048】
−(G)スペーサー−
該スペーサーは、球状でかつ粒度分布がほぼ単分散で均一の粒径を有しているため、接着剤層の厚さを均一にする作用を奏する。該スペーサーとしては、例えば、ポリスルホン、ポリアミド、ジビニルベンゼン、ポリエーテルエーテルケトン、高密度ポリエチレン、アルミナ、シリカ等の材料からなり、直径が10〜300μm、特に20〜200μmの範囲で粒度分布がほぼ単分散で、均一である球状の粒子が好ましい。例えば、ミクロパール(MICROPEARL)SP-250(積水化学)等の商品名で市販されているものを使用することもできる。スペーサーを添加する割合は、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物100重量部のうち10重量部以下(0〜10重量部)、特に0.1〜5重量部が好ましい。
【0049】
−その他の成分−
本発明に用いられる組成物には、上記の(A)〜(G)成分以外に、必要に応じて、例えば、ヒュームド二酸化チタン等の補強性無機充填剤;けい酸カルシウム、二酸化チタン、酸化第二鉄、カーボンブラック等の非補強性無機充填剤などを添加することができる。これらの無機充填剤の使用量は、通常、該無機充填剤を除く成分の合計量(例えば前記(A)、(B)、(C)成分の合計あるいは(A)、(B)、(C)及び(E)成分の合計)100重量部当たり、通常、0〜200重量部である。
【0050】
また、圧縮永久ひずみを向上させるためにヒドロシリル化反応を制御又は阻害させる化合物を添加させてもよい。具体的な化合物として、トリフェニルフォスフィン、トリブチルフォスフィン、トリブチルフォスフィンオキサイド等のリン化合物、テトラメチレンジアミン、ベンゾトリアゾール、ジブチルアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、モルフォリン等の窒素化合物、チオフェノール、ジブチルイオウ、ジフェニルイオウ、チオ酢酸等のイオウ化合物、プロパギルアルコール等のアセチレン系化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼン、ハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキシ化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレート等の錫化合物等が挙げられる。
【0051】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれら実施例に限定されない。
【0052】
実施例1〜4及び比較例1〜2
下記の(A-1)〜(H)に示す原料を使用し、表1に示す配合割合(重量部)で組成物を調製した。
【0053】
調製の際、(B)成分、(E)成分及び(F)成分を混合し、さらに(A)成分、(C)成分、(D)成分、(G)成分及び(H)成分を加えて混合し、減圧脱泡行った。
【0054】
接着耐久試験に用いるサンプル片は、以下のように作った。炭素基板(5cm×5cm)上に接着剤組成物を塗布し、その上に固体電解質膜(5cm×5cm)をのせる。その上から平滑なプレートで押さえつけて、接着層が一定の厚さ(約50μm)になるようにする。これをオーブンに入れて60℃×15分間の条件で加熱させ、接着層を硬化させる。できたサンプル片を110℃の硫酸水溶液(pH=1)、100℃のLLC(自動車ラジエター用冷却液ロングライフクーラント)にそれぞれ100時間浸漬させる。その後、一晩乾燥させる。
【0055】
評価方法は以下の通りである。サンプル片の固体電解質膜を幅1cmになるようにカッターナイフで切れ目を入れる。剥離試験装置を用いて、炭素基板から電解質膜をはがす。その時の界面状態を観察する。炭素基板と固体電解質膜との間にある接着層が凝集破壊していれば、評価は良好○とし、固体電解質膜と接着層との間で界面剥離していれば不良×とした。
【0056】
原料
(A-1)有機ケイ素含有化合物
【化21】
【0057】
(A-2)有機ケイ素含有化合物
【化22】
【0058】
(A-3)有機ケイ素化合物
【化23】
【0059】
(A-4)有機ケイ素化合物
【化24】
【0060】
(A-5)有機ケイ素含有化合物
【化25】
【0061】
(A-6)有機ケイ素含有化合物
【化26】
【0062】
(B-1)アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン
Vi(Me)2Si-(OSiMe2)n-OSi(Me)2Vi
(式中、Meはメチルであり、Viはビニル基であり、nは該シロキサンの25℃における粘度が10000cStとなるような数である)で表されるビニル基含有の直鎖状オルガノポリシロキサン
【0063】
(B-2)アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン
Vi(Me)2Si-(OSiMe2)n− OSi(Me)2Vi
(式中、Meはメチルであり、Viはビニル基であり、nは該シロキサンの25℃における粘度が5000cStとなるような数である)で表されるビニル基含有の直鎖状オルガノポリシロキサン
【0064】
(C-1)オルガノハイドロジエンポリシロキサン
【化27】
【0065】
(C-2)オルガノハイドロジエンポリシロキサン
【化28】
【0066】
(D)白金族金属系触媒
白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/トルエン溶液
白金元素含有量0.5重量%
【0067】
(E)オルガノポリシロキサンレジン
Vi(Me)2SiO1/2単位とSiO4/2単位からなるビニル基含有メチルポリシロキサンレジン
【0068】
(F)補強性シリカ
ジメチルポリシロキサンとヘキサメチルジシラザンで処理された煙霧状シリカ(BET比表面積200m2/g)
【0069】
(G)球状のスペーサー
積水化学(株)製 ミクロパール・MICROPEARL
TYPE:SP-250
直径:50μm
【0070】
(H)硬化制御剤
エチニル−シクロヘキサノール/50%トルエン溶液
【0071】
【表1】
【0072】
上記の結果から明らかなように(A)成分を含有する組成物は、固体電解質膜への自己接着性が良好で、LLC・硫酸水溶液に浸漬させた後でも接着性を確保できることが確認された。
【0073】
【発明の効果】
本発明の固体高分子型燃料電池用接着剤は、自己接着型の接着剤であり、固体電解質膜への接着性が良好で、耐久試験の結果から分かるように長期にわたって安定した接着性を維持することが可能である。また、接着剤のベースが付加反応硬化型シリコーンゴム組成物である場合、この組成物の硬化物は弾性であるので、固体電解質膜と電極とのシール材としても有効である。したがって、近い将来における固体高分子型燃料電池の普及に多いに役立つことができる。
Claims (5)
- (A)炭素原子数1〜6のアルキレン基によりケイ素原子に結合したフルオロアルキル基及び/又は炭素原子数1〜6のアルキレン基によりケイ素原子に結合したフルオロアルキルエーテル基を1分子中に有するとともに、
(B)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、
(C)分子鎖両末端ジメチルハイドロジエンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンとケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも3個含有するオルガノハイドロジエンポリシロキサンとの組み合わせ、及び
(D)白金族金属系触媒
を含有する付加反応硬化型シリコーンゴム組成物からなる固体高分子型燃料電池用接着剤。 - (A) 炭素原子数1〜6のアルキレン基によりケイ素原子に結合したフルオロアルキル基及び/又は炭素原子数1〜6のアルキレン基によりケイ素原子に結合したフルオロアルキルエーテル基を1分子中に有するとともに、
( B )一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、
( C )分子鎖両末端ジメチルハイドロジエンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンとケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも3個含有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジエンシロキサン共重合体との組み合わせ、及び
( D )白金族金属系触媒
を含有する付加反応硬化型シリコーンゴム組成物からなる固体高分子型燃料電池用接着剤。 - 前記付加反応硬化型シリコーンゴム組成物が、さらに、(E)分子中に、式:R3SiO1/2(Rはメチル基又はビニル基)で示されるシロキサン単位と式SiO4/2で示されるシロキサン単位を有するオルガノポリシロキサンレジンを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池用接着剤。
- 前記付加反応硬化型シリコーンゴム組成物が、さらに、(F)微粉末状シリカを含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の固体高分子型燃料電池用接着剤。
- 形成される接着剤層の厚さを均一にするために、前記付加反応硬化型シリコーンゴム組成物が、さらに、(G)10〜300μmの範囲にある均一な直径を有する球状のスペーサーを含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の固体高分子型燃料電池用接着剤。
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