JP2020029536A - シリコーンゲル組成物、およびシリコーンゲル硬化物 - Google Patents
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(A)分子鎖末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有し、23℃における粘度が10〜100,000mPa・sであるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン100質量部と、
(B1)ケイ素原子に結合した水素原子を有するポリシロキサンであって、該水素原子が分子鎖末端のケイ素原子にのみ結合した第1のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、前記水素原子が前記(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合したアルケニル基1個あたり0.05〜0.8個となる量と、
(B2)式:R1 3SiO1/2(式中、R1は、それぞれ独立に、水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基である。)で表される1官能型シロキサン単位と、式:R2HSiO2/2(式中、R2は、置換もしくは非置換のアルキル基である。)で表される第1の2官能型シロキサン単位と、式:R2 2SiO2/2(式中、R2は前記の通りである。)で表される第2の2官能型シロキサン単位をそれぞれ含有し、前記第1の2官能型シロキサン単位の2官能型シロキサン単位全体に対するモル比率が10%以上65%以下である第2のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、該成分の有する水素原子が、前記(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合したアルケニル基1個あたり0.05〜1.0個となる量、および
(C)白金系触媒の有効量
を含むことを特徴とする。
本発明のシリコーンゲル組成物は、硬化物のイソプロパノール抽出による質量減少率が、10質量%以下であることが好ましい。(ただし、前記イソプロパノール抽出による質量減少率は、硬化物1gをイソプロパノール40gに浸漬して常温で7日間放置した後の質量減少量の、浸漬前の硬化物の質量に対する割合である。)
本発明のシリコーンゲル組成物は、上記の(A)成分、(B1)成分、(B2)成分および(C)成分を、それぞれ必須成分として含有する。
本発明において、シリコーンゲル硬化物とは、オルガノポリシロキサンを主成分とする架橋密度の低い硬化物であって、ASTM D1403の規定に準じて測定される針入度が10〜200、好ましくは10〜100のものを意味する。これは、ゴム状弾性を有するシリコーンゴム硬化物とは別異のものであり、シリコーンゴム硬化物と比べて、低硬度(すなわち軟らか)であって、弾性が低く、低応力である。
本発明の(A)成分であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、分子鎖末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するものであり、シリコーンゲル組成物の主剤(ベースポリマー)である。
(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンが分岐状である場合、2個以上のアルケニル基は2つ以上の末端にそれぞれ結合する。(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンが直鎖状である場合、2個以上のアルケニル基はそれぞれ分子鎖の両末端に結合する。
本発明の(A)成分は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B1)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、その水素原子が分子鎖末端のケイ素原子のみに結合した構造を有するものである。(B1)第1のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に2個以上の水素原子を有することが好ましい。(B1)成分は、後述する(B2)成分とともに前記(A)成分と反応し、架橋剤として作用する。
(B1)第1のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B2)成分は、式:R1 3SiO1/2(R1は、水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基である。)で表される1官能型シロキサン単位と、式:R2HSiO2/2で表される第1の2官能型シロキサン単位(R2は、置換もしくは非置換のアルキル基である。)と、式:R2 2SiO2/2(R2は、前記の通りである。)で表される第2の2官能型シロキサン単位を含有し、第1の2官能型シロキサン単位の2官能型シロキサン単位全体に対するモル比率が10%以上65%以下であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。(B2)成分は、前記(B1)成分とともに前記(A)成分と反応し、架橋剤として作用する。
この単位式において、R1は、それぞれ独立に、水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表す。非置換のアルキル基の炭素原子数は、通常1〜10、好ましくは1〜6である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。置換のアルキル基としては、上記アルキルの基の水素原子の一部または全部を、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子で置換した3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
(B2)第2のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分は、前記(A)成分のアルケニル基と、前記(B1)成分および(B2)成分の水素原子との付加反応(ヒドロシリル化反応)を促進する触媒である。(C)成分は白金系触媒(白金または白金系化合物)であり、公知のものを使用することができる。その具体例としては、白金ブラック、塩化白金酸、塩化白金酸等のアルコール変性物;塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニル基含有シロキサンまたはアセチレンアルコール類等との錯体などが例示される。
本発明のシリコーンゲル組成物には、前記(A)成分、(B1)成分、(B2)成分および(C)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で任意成分を配合することができる。この任意成分としては、例えば、反応抑制剤、無機質充填剤、ケイ素原子に結合した水素原子およびアルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサン、耐熱性付与剤、難燃性付与剤、チクソ性付与剤、顔料、染料等が挙げられる。
本発明のシリコーンゲル組成物は、電気・電子部品の封止もしくは充填に好適している。
本発明のシリコーンゲル組成物の硬化物(シリコーンゲル硬化物)は、イソプロパノール抽出による質量減少率が、10質量%以下であることが好ましい。この質量減少率は、イソプロパノールによる硬化物からの抽出量に対応し、質量減少率を10質量%以下とすることで、シリコーンゲル硬化物からのブリードが抑制され、またシリコーンゲル硬化物の耐久性が向上される。
質量減少率(%)=100(1−W2/W1)
以下の記載において、「部」は「質量部」を示す。また、M単位、MH単位、D単位およびDH単位は、それぞれ前記した通りである。
温度計、還流管および窒素パージ用ガラス管を備えた500mlセパラブルフラスコに単位式:MDH 56Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン158.2gと、単位式:MMで表されるヘキサメチルジシロキサン10.2gと、単位式:D4で表されるオクタメチルシクロテトラシロキサン129.2g、および活性白土2.5gを入れ、窒素雰囲気下75℃で4時間撹拌しながら加熱し、平衡化反応を行った。
次いで、反応液を、ろ過助剤を用いたろ紙で吸引ろ過して活性白土を取り除き、無色透明のメチルハイドロジェンポリシロキサン(B2-1)を得た。
温度計、還流管および窒素パージ用ガラス管を備えた500mlセパラブルフラスコに単位式:MDH 56Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン50.5gと、ヘキサメチルジシロキサン4.8gと、オクタメチルシクロテトラシロキサン241.8g、および活性白土3.1gを入れ、窒素雰囲気下75℃で4時間撹拌しながら加熱し、平衡化反応を行った。
次いで、反応液を、ろ過助剤を用いたろ紙で吸引ろ過して活性白土を取り除き、無色透明のメチルハイドロジェンポリシロキサン(B2-2)を得た。
温度計、還流管および窒素パージ用ガラス管を備えた500mlセパラブルフラスコに単位式:MHMHで表されるテトラメチルハイドロジェンジシロキサン10.7gと、オクタメチルシクロテトラシロキサン248.0gと、単位式:DH 4で表されるヘキサメチルシクロテトラハイドロジェンシロキサン38.3g、および活性白土3.0gを入れ、窒素雰囲気下75℃で4時間撹拌しながら加熱し、平衡化反応を行った。
次いで、反応液を、ろ過助剤を用いたろ紙で吸引ろ過して活性白土を取り除き、無色透明のメチルハイドロジェンポリシロキサン(B2-3)を得た。
温度計、還流管および窒素パージ用ガラス管を備えた500mlセパラブルフラスコに単位式:MDH 56Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン173.4gと、ヘキサメチルジシロキサン9.9gと、オクタメチルシクロテトラシロキサン114.2g、および活性白土2.8gを入れ、窒素雰囲気下75℃で4時間撹拌しながら加熱し、平衡化反応を行った。
次いで、反応液を、ろ過助剤を用いたろ紙で吸引ろ過して活性白土を取り除き、無色透明のメチルハイドロジェンポリシロキサン(B2-4)を得た。
温度計、還流管および窒素パージ用ガラス管を備えた500mlセパラブルフラスコに単位式:MDH 56Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン178.2gと、ヘキサメチルジシロキサン9.3gと、オクタメチルシクロテトラシロキサン109.5g、および活性白土3.0gを入れ、窒素雰囲気下75℃で4時間撹拌しながら加熱し、平衡化反応を行った。
次いで、反応液を、ろ過助剤を用いたろ紙で吸引ろ過して活性白土を取り除き、無色透明のメチルハイドロジェンポリシロキサン(B2-5)を得た。
温度計、還流管、滴下ロートおよび窒素パージ用ガラス管を備えた500mlセパラブルフラスコに、メチルジクロロシラン287.0gと、トリメチルクロロシラン13.0gを入れ、水をゆっくりと滴下して、クロロシラン類を加水分解した。
次いで、反応液を中和処理した後、ろ過助剤を用いたろ紙で吸引ろ過し、無色透明のメチルハイドロジェンポリシロキサン(B2-6)を得た。
温度計、還流管および窒素パージ用ガラス管を備えた500mlセパラブルフラスコに単位式:MHMHで表されるテトラメチルハイドロジェンジシロキサン24.7gと、オクタメチルシクロテトラシロキサン272.3g、および活性白土3.0gを入れ、窒素雰囲気下75℃で4時間撹拌しながら加熱し、平衡化反応を行った。
次いで、反応液を、ろ過助剤を用いたろ紙で吸引ろ過して活性白土を取り除き、無色透明のメチルハイドロジェンポリシロキサン(B1)を得た。
(A-1)粘度が350mPa・sの両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン70部と、(A-2)粘度が3000mPa・sの両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン30部と、(B1)合成例7で得られた両末端ジメチルハイドロジェンシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン7.0部と、合成例1で得られたメチルハイドロジェンポリシロキサン(B2-1)0.32部と、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを配位子とする白金錯体溶液(白金原子含有量:2質量%)0.004部、および1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.014部を、均一に混合してシリコーンゲル組成物を調製した。
合成例1で得られたメチルハイドロジェンポリシロキサン(B2-1)の代わりに、合成例2〜6で得られたメチルハイドロジェンポリシロキサン(B2-2)〜(B2-6)をそれぞれ使用した。これらを、表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に混合してシリコーンゲル組成物を調製した。
表1に示す各成分を同表に示す割合で配合し、実施例1と同様に混合してシリコーンゲル組成物を調製した。
これらの組成物において、ケイ素原子に結合したビニル基の含有量、合成例1で得られたメチルハイドロジェンポリシロキサン(B2-1)からの水素原子についてのH/Vi比、および(B2-1)からの水素原子と(B1)からの水素原子との合計についてのH/Vi比を、それぞれ表1に示す。
また、実施例1〜7および比較例1〜2の組成物から得られたシリコーンゲル硬化物について、イソプロパノール抽出による質量減少量を以下の方法で測定し、質量減少率を算出した。結果を、シリコーンゲル組成物の粘度、硬化物の針入度と併せて表1に示す。
50mlガラス瓶中に、実施例1〜7および比較例1,2の組成物1gを収容して硬化させた。放冷後にガラス瓶にイソプロパノール40gを充填し、23℃で7日放置してイソプロパノール抽出を行った。その後イソプロパノールを除去し、硬化物を150℃、1時間で乾燥させた後、質量を測定した。硬化物の初期の質量と、イソプロパノール抽出後の質量により質量減少量を求め、質量減少率を算出した。
Claims (5)
- (A)分子鎖末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有し、23℃における粘度が10〜100,000mPa・sであるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン100質量部と、
(B1)ケイ素原子に結合した水素原子を有するポリシロキサンであって、該水素原子が分子鎖末端のケイ素原子にのみ結合した第1のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、前記水素原子が前記(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合したアルケニル基1個あたり0.05〜0.8個となる量と、
(B2)式:R1 3SiO1/2(式中、R1は、それぞれ独立に、水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基である。)で表される1官能型シロキサン単位と、式:R2HSiO2/2(式中、R2は、置換もしくは非置換のアルキル基である。)で表される第1の2官能型シロキサン単位と、式:R2 2SiO2/2(式中、R2は前記の通りである。)で表される第2の2官能型シロキサン単位をそれぞれ含有し、前記第1の2官能型シロキサン単位の2官能型シロキサン単位全体に対するモル比率が10%以上65%以下である第2のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、該成分の有する水素原子が、前記(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合したアルケニル基1個あたり0.05〜1.0個となる量、および
(C)白金系触媒の有効量
を含むことを特徴とするシリコーンゲル組成物。 - 前記シリコーンゲル組成物の硬化物のイソプロパノール抽出による質量減少率が、10質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のシリコーンゲル組成物。(ただし、前記イソプロパノール抽出による質量減少率は、硬化物1gをイソプロパノール40gに浸漬して常温で7日間放置した後の質量減少量の、浸漬前の硬化物の質量に対する割合である。)
- 前記(A)成分であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、直鎖状であり、分子鎖両末端のケイ素原子にそれぞれ結合したアルケニル基を有する、請求項1または2に記載のシリコーンゲル組成物。
- 前記シリコーンゲル組成物の硬化物のASTM D1403の規定に準じて測定される針入度は、10〜200である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコーンゲル組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリコーンゲル組成物を加熱硬化させてなるシリコーンゲル硬化物。
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JP2021001257A (ja) * | 2019-06-20 | 2021-01-07 | 信越化学工業株式会社 | 室温硬化型シリコーンゴム組成物 |
WO2024121942A1 (ja) * | 2022-12-06 | 2024-06-13 | ダウ・東レ株式会社 | オルガノポリシロキサン組成物、その硬化物、電子部品封止剤、電子部品、および半導体チップの保護方法 |
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WO2014115456A1 (ja) * | 2013-01-22 | 2014-07-31 | 信越化学工業株式会社 | 熱伝導性シリコーン組成物、熱伝導性層及び半導体装置 |
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