JP5886774B2 - 難燃剤、及びこれを用いた難燃性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

難燃剤、及びこれを用いた難燃性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、難燃剤、及びこれを用いた難燃性樹脂組成物の製造方法に関する。
ケーブルの被覆、ケーブルのシース、チューブ、テープ、包装材、建材等にはいわゆるエコマテリアルが広く使用されるようになっている。
このようなエコマテリアルとして、ポリオレフィン樹脂に、難燃剤としてタルクを添加するとともに、難燃助剤としてシリコーン油などのシリコーン系化合物やステアリン酸マグネシウムを添加してなる組成物が知られている(下記特許文献1参照)。
特開平9−169918号公報
しかしながら、上記特許文献1では、難燃剤及び難燃助剤を別々にポリオレフィン樹脂に配合して組成物を得ると、得られる組成物において、シリコーン系化合物の偏析が見られる場合があった。この場合、シリコーン系化合物の偏析が生じている箇所において亀裂が生じるおそれがある。また、上記特許文献1に記載の組成物では、十分な難燃性が得られない場合があった。
このため、難燃性樹脂組成物に配合した場合に、難燃性樹脂組成物に優れた難燃性を付与でき、シリコーン系化合物の偏析を十分に抑制できる難燃剤が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、難燃性樹脂組成物に配合される場合に、難燃性樹脂組成物に優れた難燃性を付与でき、シリコーン系化合物の偏析を十分に抑制できる難燃剤及びこれを用いた難燃性樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため検討した結果、シリコーン系化合物の偏析を抑制するためには、無機化合物粒子にシリコーン系化合物を付着させればよいのではないかと考えた。さらに本発明者らは、難燃性樹脂組成物に優れた難燃性を付与するべく鋭意研究を重ねた。その結果、以下の発明により上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち本発明は、少なくともベース樹脂、難燃剤及び脂肪酸含有化合物を混練することにより難燃性樹脂組成物を製造する混練工程を含む難燃性樹脂組成物の製造方法であって、前記難燃剤が、無機化合物粒子と、前記無機化合物粒子表面の少なくとも一部に付着しているシリコーン系化合物とを含み、前記無機化合物粒子の平均粒径が0.7〜1.8μmであり、前記無機化合物粒子が炭酸カルシウム粒子であり、前記無機化合物粒子100質量部に対する前記シリコーン系化合物の付着量が2〜100質量部であり、前記ベース樹脂がポリオレフィン化合物であり、前記脂肪酸含有化合物が脂肪酸金属塩であり、前記脂肪酸金属塩がステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムであ難燃性樹脂組成物の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、より優れた難燃性を有し、シリコーン系化合物の偏析が十分に抑制された難燃性樹脂組成物が得られる。また上記難燃剤において、無機化合物粒子100質量部に対するシリコーン系化合物の付着量が上記範囲を外れた場合に比べて、難燃性樹脂組成物に優れた難燃性を付与でき、シリコーン系化合物の偏析の発生をより十分に抑制できるという利点が得られる。さらに上記製造方法においては、ベース樹脂がポリオレフィン化合物であるため、ベース樹脂がポリオレフィン化合物でない場合に比べて、ベース樹脂が絶縁性やコストパフォーマンスに優れるという利点が得られる。さらにまた上記製造方法においては、脂肪酸含有化合物が脂肪酸金属塩であり、脂肪酸金属塩がステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムであるため、脂肪酸含有化合物が脂肪酸の金属塩ではない場合に比べて、より優れた機械的特性が得られる。
本発明の難燃剤によれば、難燃性樹脂組成物に配合される場合に、難燃性樹脂組成物に優れた難燃性を付与でき、シリコーン系化合物の偏析を十分に抑制できる。
なお、本発明の難燃剤が、難燃性樹脂組成物に配合された場合に、より優れた難燃性を付与できる理由について、本発明者らは以下のように推察している。
すなわち、難燃剤が0.7〜1.8μmの平均粒径を有する無機化合物粒子の表面の少なくとも一部にシリコーン系化合物を付着させてなり、この難燃剤が、脂肪酸含有化合物とともにベース樹脂に配合される。このため、燃焼時に表面バリア層が形成され、その結果、樹脂組成物の難燃効果が高まるためではないかと本発明者らは推察している。
また、本発明の難燃剤がシリコーン系化合物の偏析を十分に抑制できる理由については本発明者らは以下のように推察している。
すなわち、シリコーン系化合物が無機化合物粒子に付着しているため、シリコーン系化合物が無機化合物粒子に伴われて難燃性樹脂組成物中で均一に分散されやすくなり、その結果、シリコーン系化合物の偏析が十分に抑制されるのではないかと本発明者らは推測する。
なお、本発明において、「平均粒径」とは、複数個の無機化合物粒子をSEMで観察したときの2次元画像の面積Sをそれぞれ求め、これらの面積Sをそれぞれ円の面積に等しいと考え、これらの面積から下記式:
R=2×(S/π)1/2
に基づいてそれぞれ算出したRの平均値を言うものとする。
本発明によれば、難燃性樹脂組成物に配合される場合に、優れた難燃性を付与でき、シリコーン系化合物の偏析を十分に抑制できる難燃剤、及びこれを用いた難燃性樹脂組成物の製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[難燃剤]
本発明の難燃剤は、無機化合物粒子と、無機化合物粒子表面の少なくとも一部に付着しているシリコーン系化合物とを含み、無機化合物粒子の平均粒径が15.0μm以下である。
本発明の難燃剤によれば、難燃性樹脂組成物に配合される場合に、難燃性樹脂組成物に優れた難燃性を付与でき、シリコーン系化合物の偏析を十分に抑制できる。
以下、本発明の難燃剤について詳細に説明する。
<無機化合物粒子>
無機化合物粒子は、無機化合物からなる粒子である。無機化合物粒子の平均粒径は15.0μm以下である。無機化合物粒子の平均粒径が15.0μm以下であると、平均粒径が15.0μmを超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物中に配合した場合に、優れた難燃性を付与でき、シリコーン系化合物の偏析をより十分に抑制できる。
無機化合物粒子としては、例えば炭酸カルシウム粒子、珪酸塩化合物粒子、炭酸マグネシウム及び水酸化アルミニウムが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。無機化合物粒子としては、炭酸カルシウム粒子又は珪酸塩化合物粒子が好ましい。この場合、これら以外の無機化合物粒子が用いられる場合に比べてシリコーン系化合物の偏析をより十分に抑制できるという利点が得られる。なお、複数個の難燃剤のうち、一部の難燃剤の無機化合物粒子が炭酸カルシウム粒子で構成され、残りの難燃剤の無機化合物粒子が珪酸塩化合物粒子で構成されてもよい。
(炭酸カルシウム粒子)
炭酸カルシウム粒子は、重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムのいずれでもよい。中でも、入手が容易で且つ低価格であることから、重質炭酸カルシウムが好ましい
炭酸カルシウム粒子の平均粒径は、より優れた表面平滑性を難燃性樹脂組成物に付与する観点からは、0.7μm以上3.6μm以下であることが好ましく、0.7μm以上1.8μm以下であることがより好ましい。
炭酸カルシウム粒子の平均粒径は、より優れた耐低温性を難燃性樹脂組成物に付与する観点からは、0.7μm以上1.2μm未満であることが好ましい。
炭酸カルシウム粒子の平均粒径は、優れた耐摩耗性を難燃性樹脂組成物に付与する観点からは、0.7μm未満であってもよい。中でも、特に耐磨耗性に優れるという理由から、炭酸カルシウム粒子の平均粒径は0.3μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることがさらに好ましい。但し、炭酸カルシウム粒子の平均粒径は、0.01μm以上であることが好ましい。この場合、炭酸カルシウム粒子の平均粒径は、0.01μm未満である場合に比べて、難燃剤が難燃性樹脂組成物に配合された場合に、より優れた難燃性を難燃性樹脂組成物に付与できる。
(珪酸塩化合物粒子)
珪酸塩化合物粒子は、珪酸塩化合物からなる粒子である。珪酸塩化合物としては、例えばタルク、クレイ、及びそれらを焼成処理した焼成クレイなどが挙げられる。ここで、クレイとしては、例えばカオリンクレイ及びろう石クレイが挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。中でも、カオリンクレイが好ましい。この場合、不純物の含有が少なく、着色し難いという利点が得られる。
珪酸塩化合物粒子の平均粒径は、好ましくは0.8μm以上3.3μm以下である。この場合、珪酸塩化合物粒子の平均粒径が0.8μm未満である場合に比べて、より優れた難燃性を難燃性樹脂組成物に付与できる。また、珪酸塩化合物粒子の平均粒径が上記範囲内にあると、珪酸塩化合物粒子の平均粒径が3.3μmを超える場合に比べて、より優れた表面平滑性を難燃性樹脂組成物に付与できる。
珪酸塩化合物粒子の平均粒径は、1μm以上であることが好ましい。この場合、珪酸塩化合物粒子の平均粒径が1μm未満である場合に比べて、より優れた難燃性を難燃性樹脂組成物に付与できる。
また、珪酸塩化合物がタルクからなる場合、珪酸塩化合物粒子の平均粒径は2.5μm以下であることが好ましい。この場合、珪酸塩化合物粒子の平均粒径が2.5μmより大きい場合に比べて、より優れた表面平滑性を難燃性樹脂組成物に付与できる。
また、珪酸塩化合物がクレイからなる場合、珪酸塩化合物粒子の平均粒径は2.2μm以下であることが好ましい。この場合、珪酸塩化合物粒子の平均粒径が2.2μmより大きい場合に比べて、より優れた表面平滑性を難燃性樹脂組成物に付与できる。
<シリコーン系化合物>
シリコーン系化合物は、難燃助剤として機能するものであり、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。ここで、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖とし側鎖に有機基を有するものであり、有機基としては、例えばメチル基、ビニル基、エチル基、プロピル基、フェニル基などが挙げられる。具体的にはポリオルガノシロキサンとしては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンなどが挙げられる。ポリオルガノシロキサンは、シリコーンオイル、シリコーンパウダー、シリコーンガム又はシリコーンレジンの形態で用いられる。中でも、ポリオルガノシロキサンは、シリコーンガムの形態で用いられることが好ましい。この場合、難燃剤が難燃性樹脂組成物中に配合された場合に、ブルームを起こしにくくなる。
シリコーン系化合物は、無機化合物粒子の表面の少なくとも一部に付着している。従って、シリコーン系化合物は、無機化合物粒子の表面の全部に付着していてもよいし、一部のみに付着していてもよい。
無機化合物粒子100質量部に対するシリコーン系化合物の付着量は、特に制限されるものではないが、0.83質量部より大きく100質量部以下であることが好ましい。この場合、無機化合物粒子100質量部に対するシリコーン系化合物の付着量が上記範囲を外れた場合に比べて、難燃性樹脂組成物に優れた難燃性を付与でき、シリコーン系化合物の偏析の発生をより十分に抑制できるという利点が得られる。
無機化合物粒子100質量部に対するシリコーン系化合物の付着量は、より好ましくは1〜50質量部である。
本発明の難燃剤は、例えば無機化合物粒子とシリコーン系化合物を混合し、必要に応じて得られた混合物を乾燥し、乾燥した混合物を粉砕する方法などによって製造することができる。無機化合物粒子とシリコーン系化合物の混合にはバンバリーミキサーを用いることが好ましい。得られた混合物を乾燥させる場合、温度は例えば40〜75℃であればよく、乾燥時間は例えば10〜40分であればよい。また、乾燥した混合物を粉砕する方法としては、例えばヘンシェルミキサ、アトマイザなどにより粉砕する方法などが挙げられる。
[難燃性樹脂組成物の製造方法]
本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法は、少なくともベース樹脂、上述した難燃剤及び脂肪酸含有化合物を混練することにより難燃性樹脂組成物を製造する混練工程を含む。
<ベース樹脂>
ベース樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)及びエチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)などのポリオレフィン化合物、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などが挙げられる。
ベース樹脂はポリオレフィン化合物であることが好ましい。この場合、ベース樹脂がポリオレフィン化合物でない場合に比べて、ベース樹脂が絶縁性やコストパフォーマンスに優れるという利点が得られる。
<難燃剤>
難燃剤としては、上述した難燃剤が用いられる。ベース樹脂100質量部に対する難燃剤の配合割合は、好ましくは11質量部よりも大きく130質量部以下である。ベース樹脂100質量部に対する難燃剤の配合割合が上記範囲内にあると、配合割合が130質量部より大きくなる配合割合に比べて、難燃性樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。またベース樹脂100質量部に対する難燃剤の配合割合が上記範囲内にあると、配合割合が11質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。
また、ベース樹脂100質量部に対する難燃剤の配合割合は、より好ましくは20〜100質量部であり、さらに好ましくは20〜80質量部である。難燃剤が上記範囲で配合される場合、配合割合が上記各範囲の上限値を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性を十分に確保しつつ、機械的特性をより十分に向上させることができる。
<脂肪酸含有化合物>
脂肪酸含有化合物は、難燃助剤として機能するものである。脂肪酸含有化合物とは、脂肪酸又はその金属塩を含有するものを言う。ここで、脂肪酸としては、例えば炭素原子数が12〜28である脂肪酸が用いられる。このような脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸及びモンタン酸が挙げられる。中でも、脂肪酸としては、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸が好ましく、ステアリン酸が特に好ましい。この場合、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸以外の脂肪酸を用いる場合に比べて、より優れた難燃性が得られる。
脂肪族含有化合物は、脂肪酸の金属塩であることが好ましい。この場合、脂肪酸含有化合物が脂肪酸の金属塩ではない場合に比べて、より優れた機械的特性が得られる。
脂肪酸の金属塩を構成する金属としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛及び鉛などが挙げられる。脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムが好ましい。この場合、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウム以外の脂肪酸金属塩を用いる場合に比べて、より優れた難燃性が得られる。
脂肪酸含有化合物は、ベース樹脂100質量部に対して3質量部より大きく20質量部以下の割合で配合されることが好ましい。この場合、脂肪酸含有化合物の割合が3質量部以下である場合に比べて、より優れた難燃性が得られる。
また、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合が上記範囲内にあると、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合が20質量部より大きい場合に比べて、より優れた表面平滑性が得られる。これは、脂肪酸含有化合物がベース樹脂に均等に混ざりやすくなり、部分的に塊が発生しにくくなるためである。
脂肪酸含有化合物は、10質量部以下の割合で配合されることが好ましい。この場合、脂肪酸含有化合物の割合が10質量部より大きい場合に比べて、より優れた機械的特性が得られる。
脂肪酸含有化合物は、難燃剤の表面に予め付着させておいてもよい。この場合、難燃性樹脂組成物中において脂肪酸含有化合物の偏析がより起こりにくくなり、難燃性樹脂組成物における特性の均一性がより向上する。
上記混練工程においては、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、加工助剤、着色顔料、滑剤、カーボンブラックなどの充填剤を必要に応じてさらに配合してもよい。
上記混練工程は、例えばバンバリーミキサ、タンブラ、加圧ニーダ、混練押出機、二軸押出機、ミキシングロール等の混練機で行うことができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、表1〜5において、各配合成分の配合量の単位は質量部である。
(実施例1〜25)
まず以下のようにして難燃剤を作製した。すなわちまず表1〜4に示す炭酸カルシウム粒子、タルク粒子又はクレイ粒子からなる無機化合物粒子に、表1〜4に示す配合割合でシリコーン1又は2を添加し、東洋精機社製ラボプラストミル・バンバリーミキサーB600Hを用いて、室温、攪拌速度50rpmにて10分間混合した。こうして難燃剤を得た。
上記無機化合物粒子およびシリコーンとしては具体的には下記のものを用いた。
(A)無機化合物粒子
(A−1)炭酸カルシウム粒子(平均粒径0.70μm)
ソフトン3200(商品名、白石カルシウム社製)
(A−2)炭酸カルシウム粒子(平均粒径1.7μm)
NCC−P(商品名、日東粉化社製)
(A−3)炭酸カルシウム粒子(平均粒径3.6μm)
BF100(商品名、白石カルシウム社製)
(A−4)炭酸カルシウム粒子(平均粒径8.0μm)
BF300(商品名、白石カルシウム社製)
(A−5)炭酸カルシウム粒子(平均粒径14.8μm)
NN#200(商品名、日東粉化社製)
(A−6)タルク粒子
タルク粒子(平均粒径1.0μm)
NANO ACE D−1000(商品名、日本タルク社製)
(A−7)タルク粒子(平均粒径8.0μm)
MICRO ACE K−1(商品名、日本タルク社製)
(A−8)クレイ粒子(平均粒径1.5μm)
Glomax LL(商品名、竹原化学工業社製)
(A−9)クレイ粒子(平均粒径5.3μm)
No.5カオリンクレイ(商品名、竹原化学工業社製)
(B)シリコーン系化合物
(B−1)シリコーン1
X−21−3043(商品名、信越化学社製)シリコーンガム
(B−2)シリコーン2
KF−96−350cs(商品名、信越化学社製)シリコーンオイル
上記のようにして得られた難燃剤、表1〜4に示すベース樹脂及び表1〜4に示す脂肪酸含有化合物を、表1〜4に示す配合量で配合し、バンバリーミキサによって160℃にて5分間混練し、難燃性樹脂組成物を得た。
次いで、この難燃性樹脂組成物をバンバリーミキサによって160℃にて15分間混練した。その後、この難燃性樹脂組成物を、単軸押出機(L/D=20、スクリュー形状:フルフライトスクリュー、マース精機社製)に投入し、その押出機からからチューブ状の押出物を押し出し、導体(素線数1本/断面積2mm)上に、厚さ0.7mmとなるように被覆した。こうして絶縁電線を得た。
表1〜4に示すベース樹脂および脂肪酸含有化合物としては具体的には下記のものを用いた。
(C)ベース樹脂
(C−1)ポリエチレン(PE)
エクセレンGMH GH030(商品名、住友化学社製)
(C−2)ポリプロピレン(PP)
E−150GK(商品名、プライムポリマー社製)
(C−3)エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)
レクスパールA115(商品名、日本ポリエチレン社製)
(C−4)エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)
LOTRYL 16MA003(商品名、アルケマ社製)
(C−5)スチレン−ブタジエンゴム(SBR)
ダイナロン1320P(商品名、JSR社製)
(D)脂肪酸含有化合物
(D−1)ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸Mg)
エフコケムMGS(商品名、ADEKA社製)
(D−2)ステアリン酸カルシウム(ステアリン酸Ca)
SC−P(商品名、堺化学社製)
(D−3)ステアリン酸
ステアリン酸さくら(商品名、日油社製)
(D−4)ラウリン酸
NAA−122(商品名、日油社製)
(D−5)ベヘン酸
NAA−222S(商品名、日油社製)
Figure 0005886774
Figure 0005886774
Figure 0005886774
Figure 0005886774
(比較例1〜4)
難燃剤として、表5に示す難燃剤、表5に示すシリコーンマスターバッチ(シリコーンMB)及び脂肪酸含有化合物を、ベース樹脂に対して表5に示す配合割合で配合したこと以外は実施例1と同様にして絶縁電線を得た。
Figure 0005886774
なお、表5に示す難燃剤及びシリコーンMBとしては、以下のものを用いた。
(E)難燃剤
(E−1)炭酸カルシウム粒子(平均粒径1.7μm)
NCC−P(商品名、日東粉化社製)
(E−2)炭酸カルシウム粒子(平均粒径3.6μm)
BF100(商品名、白石カルシウム社製)
(E−3)炭酸カルシウム粒子(平均粒径14.8μm)
NN#200(商品名、日東粉化社製)
(E−4)炭酸カルシウム粒子(平均粒子径17μm)
K−270(商品名、旭鉱末社製)
(F)シリコーンMB
X−22−2125H(商品名、信越化学社製)
50質量%シリコーンガム(ジメチルポリシロキサン)と50質量%PEとを含有
上記のようにして得られた実施例1〜25及び比較例1〜4の難燃性樹脂組成物について、以下のようにして難燃性、シリコーン系化合物の偏析状態、機械的特性および表面平滑性の評価を行った。
<難燃性>
実施例1〜25及び比較例1〜4の絶縁電線について、JIS C3005の60度傾斜燃焼試験を行い、難燃性を評価した。結果を表1〜5に示す。表1〜5においては、各実施例及び比較例ごとに、10本の絶縁電線を用意して難燃性試験を行い、10本の絶縁電線の消火時間(単位:秒)の平均値を測定した。ここで消火時間とは、接炎終了直後(バーナーの炎を電線から離した直後)から自己消火するまでの時間であり、消火時間が短ければ短いほど難燃性が高いことを表す。このとき、接炎は、30秒以内で電線に着火が起こるまで行った。結果を表1〜5に示す。なお、表1〜5において、消火時間の平均値の単位は秒であり、消火時間の平均値の合否基準は下記の通りとした。

60秒以下:合格
60秒超 :不合格

なお、表1〜5において、難燃性が優れる場合には、表1〜5の「60度傾斜燃焼試験」の欄に「○」と併記し、難燃性が劣る場合には、表1〜5の「60度傾斜燃焼試験」の欄に「×」と併記した。
<シリコーン系化合物の偏析状態>
実施例1〜25及び比較例1〜4の絶縁電線の被覆から一部を試験片として切り取り、この試験片の切断面について、SEMで観察しながらエネルギー分散型X線分析(Energy dispersive X-ray spectrometry:EDS)を行った。結果を表1〜5に示す。なお、切断面において、シリコーン系化合物の偏析が見られなかった場合には合格とし、表1〜5における「シリコーン系化合物の偏析」の欄に「○」と表示した。また、シリコーン系化合物の偏析が見られた場合には、不合格と判断し、表1〜5における「シリコーン系化合物の偏析」の欄に「×」と表示するようにした。このとき、直径10μm以上の凝集部が確認された場合、偏析有りと判断し、直径10μm以上の凝集部が確認されない場合、偏析なしと判断した。
<機械的特性>
機械的特性の評価は、実施例1〜25及び比較例1〜4の難燃性樹脂組成物について、JIS C3005により引張試験を行い、測定された引張強度に基づいて行った。結果を表1〜5に示す。表1〜5において、引張強度の単位はMPaであり、引張強度の合否基準は下記の通りとした。引張試験において、引張速度は200mm/min、標線間距離は20mmとした。
<表面平滑性>
表面平滑性は、実施例1〜25及び比較例1〜4の絶縁電線について、下記I〜IVの基準に従って評価した。結果を表1〜5に示す。

I :触っても凹凸が確認できず且つ表面に光沢が見られる
II :触っても凹凸が確認できず且つ表面に光沢が見られない
III:触ると凹凸が確認できるが、目視では凹凸が確認できない
IV :触ると凹凸が確認でき且つ目視でも凹凸が確認できる
表1〜5に示す結果より、実施例1〜25の難燃剤を脂肪酸含有化合物とともにベース樹脂に配合して難燃性樹脂組成物を作製すると、難燃性樹脂組成物に優れた難燃性を付与でき、シリコーンの偏析を十分に抑制できることが分かった。
このことから、本発明の難燃剤によれば、難燃性樹脂組成物に配合される場合に、優れた難燃性を付与でき、シリコーン系化合物の偏析を十分に抑制できることが確認された。

Claims (1)

  1. 少なくともベース樹脂、難燃剤及び脂肪酸含有化合物を混練することにより難燃性樹脂組成物を製造する混練工程を含む難燃性樹脂組成物の製造方法であって、
    前記難燃剤が、
    無機化合物粒子と、
    前記無機化合物粒子表面の少なくとも一部に付着しているシリコーン系化合物とを含み、
    前記無機化合物粒子の平均粒径が0.7〜1.8μmであり、
    前記無機化合物粒子が炭酸カルシウム粒子であり、
    前記無機化合物粒子100質量部に対する前記シリコーン系化合物の付着量が2〜100質量部であり、
    前記ベース樹脂がポリオレフィン化合物であり、
    前記脂肪酸含有化合物が脂肪酸金属塩であり、前記脂肪酸金属塩がステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムである、難燃性樹脂組成物の製造方法
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