JP4895496B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents
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(1)ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、炭酸カルシウム(B)をシリカ系またはチタン系カップリング剤(C)によって表面処理が施した、平均粒径が0.01μm〜1.0μmであり、かつ粒子の平均長径(L)と粒子の平均短径(d)の比である平均アスペクト比(L/d)が3未満であるカップリング剤処理済炭酸カルシウム(D)0.01〜100質量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物、
(2)炭酸カルシウム(B)が軽質炭酸カルシウムであることを特徴とする上記(1)記載のポリアセタール樹脂組成物、
(3)炭酸カルシウム(B)が 平均粒径0.01μm〜1.0μmであり、かつ粒子の平均長径(L)と粒子の平均短径(d)の比である平均アスペクト比(L/d)が3未満であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のポリアセタール樹脂組成物、
(4)炭酸カルシウム(B)が、BET比表面積において、6〜200m2/gであることを特徴とする上記(1)から(3)いずれか記載のポリアセタール樹脂組成物、
(6)カップリング剤(C)が下記一般式であることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物、
(R1O)lSiR2mC3H6NHC2H4NH2
または (R1O)lSiR2mC3H6NH2
およびこれらの重縮合体
ここで、l+m=3、l、m、は0から3から選ばれる数であり、R1、R2は水素または、飽和、不飽和の炭化水素基であり、炭化水素基には官能基が導入されていても良い、
(7)炭酸カルシウム(B)のBET吸着量より算出される比表面積をX1(m2/g)、その質量をX2、カップリング剤(C)の最小被覆面積をY1(m2/g)、その質量をY2としたときに、表面被覆率%=(Y 1Y2/X1X2 )*100が0より大きく200%以下であることを特徴とする請求項1から6いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物、
である。
本発明で用いられるポリアセタール樹脂(A)は、公知のポリアセタール樹脂であって特に限定されるものではない。例えば、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られる実質上オキシメチレン単位のみから成るポリアセタールホモポリマーや、ホルムアルデヒド単量体又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソランや1,4−ブタンジオールホルマールなどのグリコールやジグリコールの環状ホルマール等の環状エーテル、環状ホルマールとを共重合させて得られたポリアセタールコポリマーを挙げることができる。ここで、ポリアセタールコポリマーのうち、より剛性、靭性、耐熱性のバランスに優れるといった観点から、好ましい1,3−ジオキソラン等のコモノマーの添加量は、トリオキサン1molに対して0.1〜60mol%であり、より好ましくは0.1〜20mol%であり、もっとも好ましくは0.15〜10mol%である。
平均粒径=平均長径=ΣLi 2Ni/ΣLiNi
平均短径=Σdi 2Ni/ΣdiNi
平均アスペクト比L/d=(ΣLi 2Ni/ΣLiNi)/(Σdi 2Ni/ΣdiNi)
と定義して用いる。より具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて検査する炭酸カルシウムのサンプリングを行い、これを用いて粒子像を倍率1千倍から5万倍で撮影し、無作為に選んだ最低100個の炭酸カルシウムの粒子からそれぞれ長さを測定し求める。
シリカ系カップリング剤としては下記一般式で表すことができる。
(R1O)lSiR2mR3n およびこれらの重縮合体
(ここで、l+m+n=4、l、m、nは0から4から選ばれる数であり、R1、R2、R3は水素または、飽和、不飽和の炭化水素基であり、炭化水素基には官能基が導入されていも良い。さらに、(R1O)lにおいては、Cll等のハロゲンであってもよい。)
前記炭化水素基としては、炭素数1〜10を有するものが好ましく、炭素数1〜6を有するものがより好ましい。特に、好ましいものは、例えば、R1、R2としては、メチル、エチル、フェニル基をあげることができ、R3は、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基を有するアルキル基をあげることができる。
(R4O)lTiR5mR6n およびこれらの重縮合体
(ここで、l+m+n=4、l、m、nは0から4から選ばれる数であり、R4、R5、R6は水素または、飽和、不飽和の炭化水素基であり、炭化水素基には官能基が導入されていも良い。)
前記炭化水素基としては、炭素数1〜10を有するものが好ましく、炭素数1〜6を有するものがより好ましい。特に好ましいものは、例えば、R4としては、イソプロポキシル、n−ブトキシ基をあげることができ、R5、R6は、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基を有するアセトナト、アミナト基をあげることができる。
(R1O)lSiR2mC3H6NHC2H4NH2
または (R1O)lSiR2mC3H6NH2 およびこれらの重縮合体
(ここで、l+m=3、l、mは0から3までの数であり、R1、R2は水素または、飽和、不飽和の炭化水素基であり、炭化水素基には官能基が導入されていも良い。)
R1,R2が示す炭化水素基の好ましいものは、前記と同様である。
具体的な例としては、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランである。
表面被覆率%=(Y 1Y2/X1X2 )*100
(ここで、炭酸カルシウム(A)のBET吸着量より算出される比表面積をX1(m2/g)、その質量をX2(g)、カップリング剤(B)の最小被覆面積をY1(m2/g)、その質量をY2(g)と定義する。)
上記範囲内であればカップリング処理された炭酸カルシウムをポリアセタール樹脂と混練した際、樹脂組成物の機械的特性のバランスに優れる。
ここで、シランカップリング剤の最小被覆面積とは、Stuart−brieglebの分子モデルから計算されるもので、下記式により求めることができる。
最小被覆面積(m2/g)=(78.3×1000)/シランカップリング剤の分子量
ASTMD−1238により東洋精機(株)製のMELT INDEXERを用いて190℃、2160gの条件下で測定した。
炭酸カルシウム、カップリング剤処理済炭酸カルシウムの粒子の平均粒径、平均アスペクト比(平均長径および平均短径の測定)および形状の観察には以下の装置を用いて求めた。
ファインコーター:日本電子(株)製JFC−1600
コーティング条件は30mA、60秒間で行った。
走査型電子顕微鏡:日本電子(株)製JSM−6700F
測定条件は加速電圧9.00kV、印加電流10.0μAで行った。
平均粒径は、得られた粒子像から無作為に選択した最低100個の粒子についてそれぞれの長径を計測し、平均粒径=平均長径=ΣLi2Ni/ΣLiNiの式に従って求めた。
平均アスペクト比は、得られた粒子像から無作為に選択した最低100個の粒子についてそれぞれの長径、短径を計測し、平均長径=ΣLi2Ni/ΣLiNi、平均短径=Σdi2Ni/ΣdiNi、平均アスペクト比L/d=(ΣLi2Ni/ΣLiNi)/(Σdi2Ni/ΣdiNi)の式に従って求めた。
(3−1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
樹脂組成物中の最大凝集粒子径の観察
射出成形機(住友重機械工業(株)製SH―75)を用いて、シリンダー温度200℃、金型温度70℃に設定し、射出15秒、冷却25秒の射出成形条件でASTMD638のTYPEI試験片を成形し、ReichertNissei製クライオミクロトームを用いて試験片の中央部、樹脂流動方向に垂直な面から約50nmの超薄切片を作成した。透過型電子顕微鏡(TEM)観察は、日立製作所(株)製HF2000用いて、5000〜3.0万倍の明視野像を撮影し、二次凝集粒子各々についてその最大の大きさを測定し、その値の最大値を最大凝集粒子径とした。ただし、凝集を形成する各粒子の大きさが、添加した炭酸カルシウムの平均粒径よりも明らかに大きい場合は他の添加剤であると判断し、測定からはずした。
射出成形機(住友重機械工業(株)製SH―75)を用いて、シリンダー温度200℃、金型温度70℃に設定し、射出15秒、冷却25秒の射出成形条件で評価用ダンベル片、短冊片を得た。
ASTM D790に準じて行った。
(3−3)引っ張り伸度(%)および引っ張り強度(MPa)
ASTM D638に準じて行なった。
(3−4)ノッチ付きIzod衝撃強度
ASTM D256に準じて行った。
(3−5)荷重たわみ温度(1.82MPa)
ダンベル片を150℃で3hエージング処理した後、23℃、50%RHにて48時間放置した。その後、ASTM D648に準じて行なった。
あらかじめ140℃で1時間乾燥処理を施したポリアセタール樹脂組成物のペレット3gを、窒素気流(50NL/hr)下、220℃に加熱溶融し、発生するホルムアルデヒドを水に吸収した後、亜硫酸ソーダ法により滴定した。その際、加熱開始から2分後までのホルムアルデヒド発生量(ppm)をT2、同10分をT10、同30分をT30、同50分をT50、同90分をT90としたときに、
2〜10分の発生速度(T10−T2)/8(ppm/min.)
10分〜30分の発生速度(T30−T10)/20(ppm/min.)
50分〜90分の発生速度(T90−T50)/40(ppm/min.)
として算出した。これらの値はそれぞれ、ポリアセタール樹脂組成物に付着したホルムアルデヒド起因、ポリアセタール樹脂の末端分解によって生じるホルムアルデヒド起因、ポリアセタール樹脂の主鎖分解によって生じるホルムアルデヒド起因であり、これらの値が小さいことは、熱安定性に優れることを示す。
また、実施例、比較例には下記成分を用いた。
(a−1)白石工業(株)製Brilliant−15
(a−2)丸尾カルシウム(株)製カルテックス5
(a−3)丸尾カルシウム(株)製スーパーS
(a−4)白石工業(株)製R重炭
(a−5)白石工業(株)製PC
(a−6)白石工業(株)製シルバーW
シランカップリング剤
(b−1)信越シリコーン(株)製KBM−603 N−2(アミノメチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(b−2)信越シリコーン(株)製KBM−403 3−グリジドキシプロピルトリエトキシシラン
(b−3)信越シリコーン(株)製KBM−503 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
その他の表面処理剤
比較例用として、炭酸カルシウムの表面処理剤、分散剤として一般に公知であるものから選んで用いた。
(c−1)ステアリン酸(川研ファインケミカル(株)製F−3)
(c−2)アクリル酸 (東京化成(株)製試薬グレード)
(c−3)ラウリル硫酸ナトリウム(花王(株)製エマール10パウダー)
(c−4)ポリカルボン酸系分散剤 (花王(株)製ポイズ520)
(c−5)不飽和ポリエステル (日本ユピカ(株)製ユピカA530)
(d−1)旭化成ケミカルズ(株)ポリアセタール樹脂 テナック(登録商標)HC450
MFIは10であった。
(d−2)上記(d−1)65質量部と旭化成ケミカルズ(株)ポリアセタール樹脂 テナック(登録商標)HC750を35質量部の2種類をペレットで混合して用いた。MFIは15であった。
表1に示した配合量で炭酸カルシウム(a−1〜6)の粉末およびシランカップリング処理剤(b−1〜3)原液を配合し、ヘンシェルミキサーにて、窒素雰囲気下、120℃、2000rpmにて攪拌、混合を15分行なった。得られた粉末を80℃のオーブンにて12時間乾燥処理し、カップリング剤処理済炭酸カルシウムを得た。表1に原料である各種炭酸カルシウムの性質および、得られたカップリング剤処理済炭酸カルシウムの性質を示す。
表2に示した配合量で炭酸カルシウム(a−1)の粉末および表面処理剤(c−1〜5)原液または粉末を配合し、ヘンシェルミキサーにて、窒素雰囲気下、120℃、2000rpmにて攪拌、混合を15分行なった。得られた粉末を80℃のオーブンにて12時間乾燥処理し、カップリング剤処理済炭酸カルシウムを得た。表2に原料である各種炭酸カルシウムの性質および、得られた表面処理済炭酸カルシウムの性質を示す。
表3、4に示した割合で、各成分を計量、混合し、二軸押し出し機(池貝(株)製PCM−30)を用いて、押出機のトップから添加して溶融混練し、それぞれポリアセタール樹脂組成物を得た。その際、溶融混錬条件は温度200度、回転数150rpmで行った。評価結果を表3、4に示す。
Claims (7)
- ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、炭酸カルシウム(B)をシリカ系またはチタン系カップリング剤(C)によって表面処理が施した、平均粒径が0.01μm〜1.0μmであり、かつ粒子の平均長径(L)と粒子の平均短径(d)の比である平均アスペクト比(L/d)が3未満であるカップリング剤処理済炭酸カルシウム(D)0.01〜100質量部を配合してなるポリアセタール樹脂組成物。
- 炭酸カルシウム(B)が軽質炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 炭酸カルシウム(B)が 平均粒径0.01μm〜1.0μmであり、かつ粒子の平均長径(L)と粒子の平均短径(d)の比である平均アスペクト比(L/d)が3未満であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 炭酸カルシウム(B)が、BET比表面積において、6〜200m2/gであることを特徴とする請求項1から3いずれか記載のポリアセタール樹脂組成物。
- カップリング剤(C)がアミノシラン系カップリング剤であることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- カップリング剤(C)が下記一般式であることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
(R1O)lSiR2mC3H6NHC2H4NH2
または (R1O)lSiR2mC3H6NH2
およびこれらの重縮合体
ここで、l+m=3、l、m、は0から3から選ばれる数であり、R1、R2は水素または、飽和、不飽和の炭化水素基であり、炭化水素基には官能基が導入されていも良い。 - 炭酸カルシウム(B)のBET吸着量より算出される比表面積をX1(m2/g)、その質量をX2、カップリング剤(C)の最小被覆面積をY1(m2/g)、その質量をY2としたときに、表面被覆率%=(Y 1Y2/X1X2 )*100が0より大きく200%以下であることを特徴とする請求項1から6いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
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