JP3471015B2 - プラスチック光伝送体の製造方法 - Google Patents
プラスチック光伝送体の製造方法Info
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Description
率分布型光導波路、屈折率分布型ロッドレンズ、シング
ルモードポリマー光ファイバー、光機能性を有するポリ
マー光ファイバー等の多岐にわたるプラスチック光伝送
体の製造方法に関する。
に屈折率が変化する領域を有するガラス製の光伝送体は
既に提案され、実用化されている。特に、光通信用の用
途で要求される帯域特性を満たすような屈折率分布を有
する光伝送体として、ガラス製光伝送体が用いられてい
る。
衝撃性も乏しい等、機械的特性に問題があり、また、製
造に際しての生産効率が低く、経済的にも高価であると
いう欠点を有していた。
プラスチック製の屈折率分布型光伝送体を製造する方法
が特開平3−42603号、特開平3−64704号、特開平3−
65904号、特開平3−81701号、特開平3−81703号、特
開平3−81704号、特開平3−81706号等で提案されてい
る。
えばポリマーを形成する単量体の反応比の差を用いた光
伝送体の製造方法では、製造方法がバッチプロセスのた
め長い伝送距離を有する伝送体を製造できなかった。
は、反応性を有する単量体を2種類以上用いる共重合法
であるため透明性を与える材料選択の余地がなく、屈折
率の分布の制御が難しいという欠点を有していた。
性が付与出来る製造方法が特願平3−27345号として、
本発明者によって既に提案されている。これは従来の単
量体を重合させて製造する光伝送体の製造方法と異な
り、非重合性の材料を用いているので、重合速度の差に
基づく相分離による光散乱が抑えられ、導光損失を小さ
く出来る製造方法である。
性に劣り、かつ長い光伝送体を均一に製造することがで
きないという欠点を有していた。
し、高い生産効率で連続的に製造することができ、屈折
率分布の制御が容易であり、且つ、材料を選択すること
で高い透明性が得られるプラスチック光伝送体とその製
造方法を提供するものである。
折率分布が、透明な重合体の溶融液と、その屈折率が前
記重合体と異なる透明で拡散可能な非重合性の材料とが
同心的に共存して流動する流れを形成させ、前記拡散可
能な非重合性の材料を前記流れの径方向に所定時間拡散
させることによって形成されている点に基本的な特徴が
ある。
法は、透明な重合体の溶融液からなる材料と、 その屈折率が前記重合体と異なる透明で拡散可能な非
重合性の材料、あるいは、その屈折率が前記重合体と異
なる透明で拡散可能な材料と前記重合体の溶融液とを含
む少なくとも1種類の材料とを、前記第1の材料及び前
記少なくとも1種類の材料が互いに同心状の流れを形成
するような関係で共存させ、前記拡散可能な材料を所定
時間前記流れの径方向に拡散させることによって屈折率
分布を形成した点に基本的な特徴がある。
からなる材料と、その屈折率が前記重合体と異なる透明
で拡散可能な非重合性の材料、あるいは、その屈折率が
前記重合体と異なる透明で拡散可能な非重合性の材料と
前記重合体の溶融液とを含む材料が用意され、上記一方
の材料を他方の材料の中心部乃至内部に注入し、屈折率
が透明な重合体と異なる拡散性の非重合性材料の周辺部
あるいは中心部に向けての拡散を生起させ、更に、溶融
押出と冷却によって径方向に屈折率分布を有する成形体
を得る。
重配置し、各ノズルに「透明な重合体の溶融液」、ある
いは、「その屈折率が前記透明な重合体と異なる透明で
拡散可能な非重合性の材料又は該透明で拡散可能な非重
合性の材料と透明な重合体とを含む材料」を供給し、こ
れら押出しノズルから出射された被出射物を各押出しノ
ズルの出射口から出射させ、前記透明で拡散可能な非重
合性の材料の周辺部又は中心部に向かう拡散を生起さ
せ、溶融状態での押出とそれに続く冷却とを行なうよう
にしたプラスチック光伝送体製造方法を提供する。
種類や組成を選択し、また、拡散を行なう条件を変える
ことを通して、屈折率分布が所望のものに制御されたプ
ラスチック光伝送体が押出溶融成形によって連続製造さ
れる。
採用するため、透明性が特に優れたプラスチック光伝送
体を得ることが出来る。
レート、ポリエチルメタクリレート、ポリ4−メチルシ
クロヘキシルメタアクリレート、ポリパーフルオロメタ
クリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリ
2、2、2−トリフルオロエチルメタアクリレート、ポ
リフルフリルメタアクリレート、ポリ1−フェニルエチ
ルメタアクリレート、ポリ1−フェニルシクロヘキシル
メタクリレート、ポリベンジルメタクリレート、ポリフ
ェニルメタクリレート、ポリスチレン、エチレン/酢酸
ビニルコポリマー、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビ
ニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセター
ル、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル及び前記化合物
を主成分としそれと共重合可能な成分とのコポリマー等
を挙げることが出来る。
リレート、ポリシロキシルメタクリレート、ポリスチレ
ン類、及び前記化合物を主成分としそれと共重合可能な
成分とのコポリマーが良い。これらの重合体の代表的な
ものについてその屈折率を下記の表1に示す。
用する透明な溶融重合体中を拡散する能力を有している
ことが最も重要であり、その沸点が溶融成形を行う温度
より高く、屈折率が重合体と異なるものであれば、いか
なるものを使用しても良い。
物、例えばフタル酸系のエステル化合物、安息香酸系の
エステル化合物、ベンゼン系の化合物、ナフタレン系の
化合物などが使用される。更に、これら化合物は単独、
混合物のいずれで使用されても良いが、非重合性材料の
利点を生かす上で透明性に影響しないことに配慮するこ
とが望ましい。
可能となる。これら透明で拡散可能な材料として代表的
な化合物の例について、表2にその屈折率を示す。
ものに限らない。
フタル酸ジフェニル(DPP;分子量318)や安息香酸フェ
ニル(PB;分子量198、沸点298℃)等が非重合性高屈折
率低分子量化合物として使用出来る。
ル重合触媒による熱重合法や光重合触媒による光重合法
によって行うのが良い。その際、従来より公知の重合開
始剤、重合促進剤、光増感剤を添加併用することは有効
な手段である。また、成形時の粘度変化、熱重合を防止
するために、従来公知の連鎖移動剤を用いて分子量を制
御することが望ましい。
為には、光伝送体の中心部の屈折率を周辺部のそれより
も高くすれば良く、逆に光発散性をもたせるためには、
中心部の屈折率を周辺部のそれよりも低くすれば良い。
従って、例えば拡散性材料として屈折率が重合体のそれ
より高いものを選び、これを重合体溶融液の中心部に注
入して所定時間拡散させれば、集光性の光伝送体が得ら
れ、また、拡散性材料として屈折率が重合体のそれより
低いものを選び、これを重合体溶融液の中心部に注入し
て所定時間拡散させれば、光発散性の光伝送体が得られ
る。
料の中心部に重合体溶融液を注入する場合には、上記の
関係は逆になる。
折率が連続的に変化する領域の拡がりを変えることが出
来る。一般的には、拡散時間を短くするほど屈折率が連
続的に変化する領域は狭まり、相対的に急俊な屈折率勾
配を与えることができ、拡散時間を長くすればその領域
は拡がり、相対的に緩やかな屈折率勾配が実現される。
でも異なった屈折率分布が得られる。SI型光ファイバの
ように急俊な屈折変化領域を有するプラスチック光伝送
体に本発明を適用した場合には、その屈折率変化が拡散
によって形成されるものであるが故に、急俊ではあって
も滑らかな連続的な変化を示すものとなる。このこと
は、屈折率の不連続な変化に起因した光散乱損失を低減
させる上で極めて有意義である。
う同心状に多重配置された2本叉は3本の押出しノズル
を用いて、各ノズルに所定の屈折率を有する透明重合体
溶融液、透明で拡散可能な材料又は該拡散可能な材料と
屈折率の異なる透明な重合体溶融液とを含む材料を選択
的に供給し、これら被供給物が出射され最下流側の出射
口に至るまでに前記透明で拡散可能な材料の中心部ある
いは周辺部に向けての拡散を生起させ、更に、溶融状態
での押出とこれに続く冷却によって、より大きな自由度
をもってプラスチック光伝送体に連続的な屈折率の変化
を与えることが出来る。
物の屈折率を内側から順にn0、n1、n2とした時に、n0>
n1>n2となるように材料を選択して所定時間の拡散を行
なって光伝送体を押出溶融成形すれば、中心部から周辺
部にかけて屈折率が連続的に低下するGI形構造をプラス
チック光伝送体において実現することが出来る。
部にかけて屈折率が連続的に増大するGI形構造が得られ
る。
屈折率を内側から順にn0>n1<n2となるように材料を選
択して、比較的短時間の拡散を行なって光伝送体を溶融
成形すれば、コアとクラッドの間により低い屈折率を持
つ中間領域を有する、いわゆるW形構造乃至これに近い
構造の光伝送体をプラスチック光伝送体において実現す
ることが出来る。このような構造の光伝送体において
は、材料分散と導波路分散とが互いに相殺する作用によ
って帯域特性の向上が図られる(詳しくは、大越孝敬編
著「光ファイバの基礎」;第1版第1刷、p.150−p.15
4、7・2の項参照)。この場合にも、前述したよう
に、屈折率変化は急俊であっても滑らかであるから、境
界領域における光散乱損失を大幅に低減出来ることは云
うまでもない。
ルに供給する材料の種類や濃度を選択制御することを通
してn0、n1、n2の値を調節すると共に、拡散の諸条件を
選択制御することによって、種々の屈折率分布を持った
優れた特性のプラスチック光伝送体を得ることが出来
る。
のようになる。先ず、透明な重合体溶融液の中心部に屈
折率が前記透明な重合体と異なる透明で拡散可能な材料
を注入する場合について説明する。
をシリンダ1内に送り込み図示しないヒーター等の加熱
手段で加熱し、材料及び圧力供給源(窒素ガス圧源、ポ
ンプまたはピストン等により材料を圧送する手段)2に
より圧力を加えノズル3からファイバー状に押出す。一
方、細管状のシリンダ4を経てノズル5から、前記材料
及び圧力供給源2からの圧力よりも小さくない圧力で透
明拡散材料Bを前記重合体Aの溶融液の中心部に注入す
れば、拡散性材料Bはノズル3の出射口に向かって流動
しつつ、中心部から周辺部へ向かって徐々に拡散を起こ
す。ノズル3の出射口から押し出された材料は、空冷さ
れニップローラー6を経て巻き取り器7に巻き取られ
る。
辺部にかけて連続的に拡散した物質の濃度が低下する分
布を持っており、これに対応して集光性(材料Bの屈折
率nB>重合体Aの屈折率nAの場合)あるいは光発散性
(nA>nBの場合)を有するプラスチック光伝送体とな
る。
を適当に選びあるいは変化させることによって、拡散の
途中で光伝送体を溶融状態で押し出して成形し、拡散領
域すなわち屈折率が連続的に変化する領域を狭くとるこ
とも出来るし、また、十分に拡散が行われた後に冷却さ
れるようにして、広い範囲に亘って屈折率を連続的に変
化させることも出来る。
についても、ノズル3(シリンダ1)と同様に、窒素ガ
ス圧源、ポンプまたはピストン等任意のものを利用して
良い。
物質にとどまらず、数種類の拡散可能な化合物を混合し
たものや、周辺部を構成する単量体ゾル、およびポリマ
ーを溶かし込んだもの等を用いることも出来る。
3(シリンダ1)の役割を入れ替えて、後者から透明で
拡散可能な材料あるいは該材料を含む重合体溶融液Bを
押し出し、その中心部に前者から重合体溶融液Aを注入
するようにしても良い。この場合には、拡散性物質の拡
散は、周辺部から中心部に向かって起こる。両者の屈折
率の大小関係に対応して、逆勾配の屈折率分布が得られ
ることや、押出し圧力、距離d等によって屈折率連続変
化領域の拡がりを制御出来ることは、上述の場合と同様
である。
を用いたが、図5に示したように、これを3本にして、
各ノズル5、3、8に所定の屈折率を有する透明重合体
溶融液、透明で拡散可能な材料又は該材料を含有した該
材料とは屈折率の異なる透明な重合体溶融液のうちのい
ずれかを供給し、これら被供給物が出射され最下流側の
ノズル8の出射口に至る間、前記拡散可能な材料を中心
部あるいは周辺部に向けて拡散させ、図1の場合と同様
に押出溶融成形することによって、プラスチック光伝送
体に種々の連続的な屈折率の変化を与えることが出来
る。
れる材料の屈折率を内側から(中心軸から周辺に向かっ
て)順にn5、n3、n8、とした時、n5>n3>n8となるよう
に材料を選択して所定時間の拡散を行って光伝送体を押
出溶融成形すれば、中心部から周辺部にかけて、徐々に
屈折率が低下するGI形の構造となり、逆にn5<n3<n8と
して同様の拡散、溶融を行えば中心部から周辺部にかけ
て、徐々に屈折率が増大するGI形構造の素子が得られ
る。
る材料の屈折率を内側からn5>n8>n3となるように材料
を選択し、距離d′やd″を短くするか、材料の流動速
度を大きくするかして拡散を行ないつつ光伝送体を押出
溶融成形すれば(即ち、拡散の途中で溶融押出しとそれ
に続く冷却を行なえば)、コアとクラッドの間により低
い屈折率を持つ中間領域を有し、帯域特性が改善され
た、いわゆるW形構造の光伝送体をプラスチック光伝送
体において実現することが出来る。
ズルに内側から順に、例えば、メチルメタクリレートを
重合して得られたポリマー、該ポリマーに比較的多量
(例えば、60wt%の割合)のフタル酸ジオクチルを含ま
せたもの、同じく該ポリマーに比較的少量(例えば30wt
%の割合)のフタル酸ジオクチルを含ませたもの、をそ
れぞれ供給すれば良い。
イル)を持ったプラスチックファイバ、プラスチックレ
ンズ等の光学素子を簡単に作ることが出来る。
重合体や拡散性材料の種類や組成(例えば、重合体溶融
液に対する拡散性物質の含有濃度)を選択制御すれば、
各材料の屈折率を所定の値とすることが出来る。
折率分布が所望のものに制御されたプラスチック光伝送
体を作ることが出来る。
ための装置の1例を示す模式図。
(フタル酸ベンジル−n−ブチル)を注入して製造され
た直径1ミリの光伝送体が有する屈折率分布を表す線
図。
長の関数の形で描いたグラフ。
チル)の短時間拡散を行なって製造された直径1ミリの
光伝送体が有する屈折率分布を表す線図。
為の装置の他の例を示す模式図。
通過するHe−Neレーザー光線のうねりから判定した光線
の周期(L)のほぼ1/4の長さとなるように研磨機を用
いて試料の両端面を長軸に垂直な平行平面に研磨し、結
像特性評価用の試料とした。この試料を用いて格子像を
結像させ、像の歪みを観察した。
を用いて屈折率分布の測定を行なうと共に、カットバッ
ク法による光伝送損失測定及びパルス法による伝送帯域
測定を適宜行なった。
として用い、これに重合開始剤としてベンゾイルパーオ
キサイド(以下、BPOという)を0.50wt%、連鎖移動剤
にノルマルブチルメルカプタン(以下、nBMという)を
0.2wt%を加え、75℃で24時間重合した。得られたポリ
マーの屈折率(n)は1.492であった。
10mm、外径30mm)内に入れた。この状態で細管状のシリ
ンダ4のノズル5からは、窒素ガス圧力源を利用して、
5.05kg/cm2の圧力をかけて、フタル酸ベンジル−n−ブ
チルからなる屈折率1.540のフタル酸エステルを押出し
た。
までの距離は、30mmであった。また、シリンダ内の温度
は185℃であった。直径1mmのノズル3から溶融紡出され
た光伝送体は、図2に示されるように中心軸部分から周
辺部にかけて屈折率が連続的に低下する形の屈折率分布
を有するものとなった。
周辺部との屈折率差は0.015であった。
/4ピッチ)のところで切断し、その両端を研磨し、端面
に投影されている像を観察したところ、乱れの少ない倒
立実像が観察された。
定したところ、図3に示したように、波長570nmのとこ
ろで最小値約90dB/kmを持つことが判った。
重合開始剤としてBPOを0.50wt%、連鎖移動剤にnBMを0.
2wt%を加え、75℃で24時間重合し、屈折率1.492のポリ
マーを得た。
れた。この状態で、窒素ガス圧力源の代わりにピストン
を用いた以外は、実施例1と全く同じ材料、同じ条件で
ノズル3から光伝送体を溶融紡出した。得られた光伝送
体の特性の評価結果は実施例1の場合と変わらなかっ
た。
重合開始剤としてBPOを0.50wt%、連鎖移動剤にnBMを0.
2wt%を加え、75℃で24時間重合し、屈折率1.492のポリ
マーを得た。
れた。この状態で、シリンダ4に重合したMMAを60wt%
含むフタル酸ベンジル−n−ブチル溶液を入れ、ノズル
5から押出した。この時ノズル5とノズル3の距離は、
30mmであり、シリンダ1内の温度は、220℃〜240℃であ
った。
類似の、中心部から周辺部に向かって中心からの距離の
2乗に比例して徐々に屈折率が下がる形のものであっ
た。
以上という非常に広い伝送帯域を有していることが確認
された。これは市販されているステップインデックス
(段階屈折型)の光ファイバーに比べて約60倍に相当す
る値である。
重合開始剤としてBPOを0.50wt%、連鎖移動剤にnBMを0.
2wt%を加え、75℃で24時間重合し、屈折率1.492のポリ
マーを得た。
内に入れ、一方、細管4には重合したMMAを60%含むフ
タル酸ベンジル−n−ブチル溶液(屈折率1.5315)を注
入し、ノズル5から押出した。シリンダ1内温度は185
℃とした。
約5×10-6cm2/secなので、前述したように、屈折率分
布が中心部分まで形成されるには少なくとも54秒程度の
時間が必要である。
定することを試みる為に、両ノズル間距離をd=5mmと
短くとり、約25秒間だけ拡散させて溶融紡糸して光伝送
体を得た。
コア領域とクラッド領域の界面領域が急俊な屈折率連続
変化領域で形成される、ステップインデックス型に近い
ものとなった。
連続して滑らかに屈折率の変化する領域となり、純粋な
ステップインデックス型にならないのは、短時間ではあ
るが、拡散を行なっているからである。そして、前述し
たように、このことによってコア−クラッド境界領域に
おける光散乱損失が大幅に低減されることになる。実
際、得られたSI型のプラスチック光伝送体の光伝送損失
をスペクトルアナライザーを使って測定したところ,波
長650nmで110dB/kmと低い値を示した。
重合開始剤としてBPOを0.50wt%、連鎖移動剤にnBMを0.
2wt%を加え、75℃で24時間重合し、屈折率1.492のポリ
マーを得た。
リンダ9(内径10mm、外径20mm)に送り込む一方、この
MMAの重合体を70wt%の割合で含むフタル酸ベンジル−
n−ブチル溶液(屈折率1.509)をシリンダ4(内径5m
m、外径10mm)に送り、ノズル3から押し出した。
MMAの重合体を50wt%の割合で含むフタル酸ベンジル−
n−ブチル溶液(屈折率1.5315)を送って、ノズル5か
ら押し出した。この時シリンダ9内温度は200℃とし、
各ノズル間距離は、d′=d″=15mmとした。
10-6cm2/secなので、フィックの拡散方程式を誤差関数
を使って解析すると、ほぼ20秒で最低限の屈折率分布が
中心部分まで一応形成されることになる。そこで、ノズ
ル8から外径1mmで溶融紡糸するまでに十分な屈折率分
布が得られる実際的な拡散時間値と思われる約3分間の
時間をかけて得られた光伝送体の屈折率分布は、屈折率
が中心部から周辺部に向かって徐々に低下するものであ
った。中心部と周辺部との屈折率差は、約0.018であっ
た。
う値を示した。これは市販されているステップインデッ
クス(段階屈折型)の光ファイバーに比べて約20倍に相
当する値である。
う。)20wt%の混合液に対し、重合開始剤としてBPOを
0.50wt%、連鎖移動剤としてnBMを0.2wt%を加え、75℃
で24時間重合した。これを100℃で24時間加熱処理した
ものを被供給物Cとした。
混合液に対して上記被供給物Cの場合と同様の重合及び
熱処理を行なったものを被供給物Dとした。
を混合したものを単量体として用い、これに対して上記
被供給物Cの場合と同様の重合及び熱処理を行なったも
のを被供給物Eとした。
外側のシリンダ9(内径10mm、外径20mm)に送り込む一
方、被供給物Dを中間に位置したシリンダ4(内径5m
m、外径10mm)に供給すると共に、最内側の細管状のシ
リンダ10には、被供給物Cを送り込み、各ノズル5、3
及び8から材料の押し出しを行なった。
間間隔は、d'=d"=15mmとした。
約3分間拡散させたところ、最内側の細管状シリンダ10
から供給された被供給物C中に含まれているDPSは外側
に向かって拡散し、中間位置に配置されたシリンダ4か
ら供給された被供給物D中に含まれているDMPは外側及
び内側の双方に向かって拡散し、最外側のシリンダ9か
ら供給された被供給物E中に含まれているDPEは、内側
に向かって拡散する現象が生じ、W形構造の光伝送体が
作製された。
れるDPMの屈折率は各々1.633、1.502であり、被供給物
Eに含有されるDPEの屈折率は1.579であることに対応し
て、中心部では屈折率が最も高く、半径方向外側に向か
って一旦滑らかに屈折率が低下し、その後周辺部に向か
って滑らかに屈折率が上昇するW形の屈折率プロファイ
ルが得られることが確認された。なお、屈折率の最大値
と最小値の差は、約0.02であった。
ンダを3本として、その各々に拡散性の材料を含有した
材料を供給したが、発明の開示の欄に記されているよう
に、シリンダの本数を2本として、各ノズルに屈折率の
異なる拡散性物質含有材料を供給し、本実施例と同様に
押し出しを実行する方法も考えられる。
側(叉は外側)シリンダに供給し、被供給物Dと同じ材
料を外(叉は内側)シリンダに供給する方法は、本実施
例における最外側シリンダ9及び該シリンダへの被供給
物Eの供給を省略したものに他ならないから、上記確認
されたDPSとDMPの相互拡散による屈折率分布形成作用に
照らして、半径方向外側に向かって滑らかに変化する単
調増加(叉は減少)関数状の屈折率プロファイルが得ら
れることは明らかである。
としてBPOを0.5wt%、連鎖移動剤としてnBMを0.2wt%加
え、75℃で24時間重合した。これを100℃で24時間熱処
理したものを被供給物Fとした。
率1.486、沸点384℃)を30wt%含む透明な混合物を内径
10mm、外径30mmとした図1のシリンダ1内に送り込ん
だ。
ら押出した。この時の両ノズル間距離d=30mmとし、シ
リンダ1内の温度は、200℃とした。
間拡散させたところ、得られた光伝送体は、図2と同様
の屈折率分布を有していた。
を混合したものを単量体として用い、これに重合開始剤
としてBPOを0.50wt%、連鎖移動剤としてnBMを0.2wt%
を加え、75℃で24時間重合した。得られた共重合体の屈
折率は1.508であった。
り込み、一方、細管4には重合した共重合体を60%含む
ジフェニルエーテル溶液(屈折率1.537)を注入し、ピ
ストンを用いて押出した。ノズル3とノズル5の間の距
離は、30mmとし、シリンダ1内温度は185℃とした。
拡散させて得られた光伝送体の屈折率分布は、図2に示
したものと同様であった。中心部と周辺部との屈折率差
は、約0.011であった。
う大きな値を示した。
ート(BzMA)20wt%を混合したものを単量体として用
い、これに重合開始剤としてBPOを0.50wt%、連鎖移動
剤としてnBMを0.2wt%を加え、75℃で24時間重合して屈
折率が1.508の共重合体を得た。
0wt%の割合で含む透明な混合物を図1のシリンダ1
(内径10mm,外径30mm)に送り込み、一方、シリンダ4
には上記のMMAとBzMAとの共重合体を注入し、ノズル5
から押し出した。ノズル3とノズル5の間の距離は、30
mmとし、シリンダ1内温度は200℃とした。
拡散させて得られた光伝送体の屈折率分布は、図4に示
したものと同様に、コアとクラッドの界面がステップ型
のものに比べて滑らかなプロファイルを呈するものであ
った。中心部と周辺部との屈折率差は、約0.016であっ
た。
チック光伝送体では困難であった高精度の屈折率分布の
制御が可能となり、また、多様な屈折率分布が重合性材
料と拡散可能な材料の組み合わせ、あるいは両者の含有
比、あるいは材料注入条件(圧力、温度、拡散時間等)
を選択、制御するだけで可能となった。
ック製光学素子を高精度で作ることが出来る。
造工程であり、連続的な製造が可能なので、長尺の光伝
送体であっても効率的に製造することが可能であり、こ
の面から見た利点も大きい。
構成され、拡散可能な材料として非重合性のものを採用
したため、透明性の高い光伝送体を得ることが出来る。
高い透明性が得られる。
率分布を形成するものであることによって更に高められ
ている。すなわち、拡散現象を利用するので屈折率分布
の局所的ゆらぎが小さく、プロファイル曲線が一般に滑
らかであり、また、SI型光ファイバにおけるコア−クラ
ッド境界領域等におけるプロファイルも急俊ではあるが
連続的かつ滑らかなものとなる為に不連続な屈折率変化
に起因する光散乱損失が大幅に抑えられるという効果が
ある。
御と相俟って、なかんずく光通信分野において重要な広
帯域、低損失の特性を有する各種プラスチック製光伝送
体を製造する上で特に大きな意義がある。
率分布型導波路、屈折率分布型ロッドレンズ、シングル
モードポリマー光ファイバー、光機能性を有するポリマ
ー光ファイバー等の多岐にわたるプラスチック光伝送体
とその製造方法に適用可能なものである。
Claims (8)
- 【請求項1】径方向に屈折率分布を持つプラスチック光
伝送体の製造方法であって; 透明な重合体の溶融液からなる第1の材料と、 その屈折率が前記重合体と異なる透明で拡散可能な非重
合性の材料、あるいは、その屈折率が前記重合体と異な
る透明で拡散可能な非重合性の材料と前記重合体の溶融
液とを含む少なくとも1種類の材料とを、前記第1の材
料及び前記少なくとも1種類の材料が互いに同心状の流
れを形成するような関係で共存させ、 前記拡散可能な材料を所定時間前記流れの径方向に拡散
させることによって屈折率分布を形成する、前記プラス
チック光伝送体の製造方法。 - 【請求項2】透明な重合体を溶融し、 該溶融液の中心部に、屈折率が前記透明な重合体と異な
る透明で拡散可能な材料又は該透明で拡散可能な非重合
性の材料と透明な重合体とを含む材料を注入し、 該透明で拡散可能な非重合性の材料を周辺部に向かって
拡散させることによって屈折率が連続的に変化する領域
を生成し、更に、溶融状態での押出と冷却により、屈折
率が連続的に変化する領域を有するプラスチック光伝送
体を得るようにしたプラスチック光伝送体の製造方法。 - 【請求項3】透明な重合体溶融液を第1の押出ノズルに
供給し、 屈折率が前記透明な重合体と異なる透明で拡散可能な非
重合性の材料又は該透明で拡散可能な非重合性の材料と
透明な重合体とを含む材料を、その出射口が前記第1の
押出しノズルの出射口の手前内側に位置した第2の押出
しノズルに供給し、 該第2の押出しノズルから出射された前記透明で拡散可
能な非重合性の材料または該透明で拡散可能な非重合性
の材料と透明な重合体とを含む前記材料が第1の押出し
ノズルの出射口に至る間に該透明で拡散可能な非重合性
の材料の周辺部に向けての拡散を生起させ、 更に、前記第1の押出しノズルからの溶融押出と、冷却
によって屈折率が連続的に変化する領域を有するプラス
チック光伝送体を得るようにしたプラスチック光伝送体
の製造方法。 - 【請求項4】透明な重合体の溶融液と透明で拡散可能な
材料とからなる材料の中心部に、 屈折率が前記透明な重合体の溶融液と透明で拡散可能な
非重合性の材料とを含む材料とは異なる透明な溶融重合
体を注入し、 該透明で拡散可能な非重合性の材料を周辺部から中心部
に向かって拡散させることによって屈折率が連続的に変
化する領域を生成し、 更に、溶融状態での押出と冷却により、屈折率が連続的
に変化する領域を有するプラスチック光伝送体を得るよ
うにしたプラスチック光伝送体の製造方法。 - 【請求項5】透明で拡散可能な非重合性の材料又は該透
明で拡散可能な非重合性の材料と透明な重合体とを含む
材料を第1の押出しノズルに供給し、 屈折率が前記透明で拡散可能な非重合性の材料と異なる
透明な重合体溶融液を、その出射口が前記第1の押出し
ノズルの出射口の手前内側に位置した第2の押出しノズ
ルに供給し、 該第2の押出しノズルから出射された前記透明な重合体
が第1の押出しノズルの出射口に至る間に該透明で拡散
可能な非重合性の材料の周辺部から中心部に向けての拡
散を生起させ、 更に、前記第1の押出しノズルからの溶融押出と、冷却
によって屈折率が連続的に変化する領域を有するプラス
チック光伝送体を得るようにしたプラスチック光伝送体
の製造方法。 - 【請求項6】前記屈折率が連続的に変化する領域が、コ
アとクラッドの界面領域を形成することを特徴とする請
求項3から請求項5のいずれか1項に記載のプラスチッ
ク光伝送体の製造方法。 - 【請求項7】同心状に、複数本の押出しノズルを多重配
置し、 各ノズルに、透明な重合体の溶融液か、屈折率が前記透
明な重合体と異なる透明で拡散可能な非重合性の材料
か、あるいは、透明で拡散可能な材料と透明な重合体と
を含む材料、をそれぞれ供給してこれら押出しノズルか
ら各材料を出射させることにより前記透明で拡散可能な
非重合性の材料の径方向移動を伴う拡散を生起させるこ
と、及び、 前記押出しノズルから出射された前記各材料を冷却する
ことを含む、プラスチック光伝送体の製造方法。 - 【請求項8】前記複数本の押出しノズルに供給される被
供給物の屈折率が相互に異なることを特徴とする請求項
7に記載のプラスチック光伝送体の製造方法。
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