JPH08334604A - プラスチック光伝送体及びその製造方法 - Google Patents

プラスチック光伝送体及びその製造方法

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JPH08334604A
JPH08334604A JP7137983A JP13798395A JPH08334604A JP H08334604 A JPH08334604 A JP H08334604A JP 7137983 A JP7137983 A JP 7137983A JP 13798395 A JP13798395 A JP 13798395A JP H08334604 A JPH08334604 A JP H08334604A
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JP
Japan
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refractive index
polymer
polymerizable compound
nonpolymerizable
optical transmission
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JP7137983A
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Masahiro Matsumoto
正廣 松本
Yoshi Hiramoto
叔 平本
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 透明な重合体内に該重合体とは屈折率が異
なる透明な非重合性化合物を含有し、該非重合性化合物
の濃度分布に応じて屈折率が連続的に変化する領域を有
するプラスチック光伝送体において、該重合体よりも高
屈折率の非重合性化合物および該重合体よりも低屈折率
の非重合性化合物が含まれることを特徴とするプラスチ
ック光伝送体。 【効果】 透光性が優れているだけでなく、安定な温
度特性、耐熱耐久性に優れた、内部に連続的な屈折率分
布を有するプラスチック光伝送体となる。さらにこれを
容易に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバ、光導波
路、ロッドレンズなどに有効に使用される、重合体内部
に連続的に変化する屈折率分布を有するプラスチック光
伝送体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】線状体又は棒状体の中心から外周に向か
って、連続的に屈折率が変化する領域を有する石英ガラ
ス製の光伝送体は既に提案され、実用化されている。し
かしながら、石英系光伝送体は優れた透光性能を持って
いるが、可撓性が悪く耐衝撃性も乏しい等、機械的特性
に問題があり、また高価であるという欠点を有してい
た。 これに対して、プラスチック系光伝送体は、透光
性能では石英系よりも劣るが、軽くて加工性が良く、可
撓性も良く、安価である等の利点がある。
【0003】このプラスチック系光伝送体のなかでもロ
ッドレンズや広帯域光ファイバなどに利用される、中心
部から外周部へと連続的に低下する屈折率分布を有する
光伝送体を製造する方法が既にいくつか提案されてい
る。
【0004】例えば、屈折率が重合体と異なる単量体単
独または重合体単量体混合物を、光伝送体を主に形成す
る重合体の表面又は中空状内面に接触させて重合体内部
に拡散させて濃度分布を持たせた後に重合する方法(特
公昭52-5857 号,特公昭56-37521号,特開平2-33104
号,特開平3-42604 号,特開平3-64704 号,特開平3-65
904 号公報等)、屈折率および単量体反応性比が異なる
2種類以上の単量体を透明容器内で光重合させることに
よって屈折率分布を持たせる方法(特公昭54-30301号,
特開昭61-130904 号公報等)、揮発性が高く重合体と異
なる屈折率の単量体を含有した重合体を紡糸し、表面よ
り単量体を揮発させて濃度分布を持たせた後に重合する
方法(特開昭62-209402 号公報等)、単量体反応性比は
かなり近似するが屈折率は異なる2種類以上の単量体
を、この単量体に溶解される重合体容器内に充填した後
に重合する方法(特開平4-97302 号,特開平4-97303 号
公報)などがある。
【0005】しかし、これらの方法は全て、屈折率が大
きく異なる(例えば0.04以上)重合体が生成され、
かつ単量体反応性比が多少なりとも異なる2種類以上の
単量体を反応させ、又は、先に形成されている重合体成
形体内でこの重合体と屈折率が大きく異なる重合体を与
える単量体の単独重合反応などが行われるため、重合が
完結した重合体内に屈折率の異なるミクロな相分離構造
が形成されることを避けることができなかった。このた
め、透光性能に悪影響を与えてしまうという欠点を有し
ていた。
【0006】さらに、屈折率分布型プラスチック光伝送
体でありながら優れた透光性が付与できる製造方法が特
願平3−274354号,特願平4−238811号と
して、既に提案されている。これは、屈折率の異なる単
量体を重合させて屈折率分布を形成する従来の製造方法
とは異なり、非重合性の材料を用いるので、重合速度の
差に基づく相分離による光散乱が抑えられ、導光損失を
小さくできる製造方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法によれば、透光性能では優れているが、重合体内に非
重合性化合物を添加分散させているので、その重合体の
ガラス転移温度(Tg)が低下し、耐熱性が悪化すると
いう問題があった。これでは従来より耐熱性が石英系よ
りも低いために石英系光伝送体に比し適用範囲が限られ
ていたプラスチック光伝送体の耐熱性をさらに低下させ
ることになる。
【0008】通信用途などに適用する場合、信頼性の点
で耐熱性を85℃以上とすることが必要であるとされて
いるが、例えば、プラスチック光伝送体に一般的に使用
されているポリメタクリル酸メチル(PMMA、nD20
=1.492)を用い、屈折率分布型光伝送体として有
用なコア中心部とクラッドの屈折率差0.015程度以
上を得るために、入手が容易で透明な非重合性化合物
(nD20=1.50〜1.65)を使用すれば、コア中
心部の高屈折率部分に15〜20重量部程度以上含有さ
せる必要がある。この結果、この部分のTgは70℃程
度以下となってしまう。
【0009】このため、この方法で屈折率分布型プラス
チック光伝送体を作製したのでは、85℃以上の耐熱保
存性及び動作性能を維持することは難しい。まして、さ
らに高い耐熱性が必要な用途には適応困難である。
【0010】さらに、光伝送体を構成する重合体のコア
部分とクラッド部分に含有する非重合性化合物の濃度が
部分的に極端に異なる(例えば、その差が10重量部以
上)と、その部分間における屈折率の温度依存性が異な
る結果となり、使用温度で屈折率差が変化して透光性に
影響を与えることや、コア部分とクラッド部分の重合体
の溶融粘度が異なるため複合紡糸が困難であったり、作
製後の機械強度が低下する問題もある。
【0011】以上のように、従来の方法では、85℃以
上という耐熱性水準を保ちながら透光性能が良く連続的
な屈折率分布を有するプラスチック光伝送体を作製する
ことは困難であった。
【0012】そこで、本発明は、上記のような従来技術
の欠点を解消し、ポリメタクリル酸メチル系のステップ
インデックス型光伝送体に匹敵する透光性能ばかりでな
く、85℃の耐熱性をも有する、屈折率が連続的に変化
する領域を有するプラスチック光伝送体およびその製造
方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は、透明な重合体内に該重合体とは屈折率が
異なる透明な非重合性化合物を含有し、該非重合性化合
物の濃度分布に応じて屈折率が連続的に変化する領域を
有するプラスチック光伝送体において、該重合体よりも
高屈折率の非重合性化合物および該重合体よりも低屈折
率の非重合性化合物が含まれることを特徴とするプラス
チック光伝送体からなる。
【0014】本発明に用いられる重合体は、透明性の高
いものであれば良く、無色であることが好ましい。例え
ば、メタクリル酸エステル(そのエステル置換基は例え
ば、メチル,エチル,イソプロピル,t−ブチル,シク
ロヘキシル,4-メチルシクロヘキシル,フェニル,1-フ
ェニルエチル,1-フェニルシクロヘキシル,ベンジル,
n−ボルニル、イソボルニル等),メタクリル酸フッ素
化アルキル(そのフッ素化アルキル基は例えば、2,2,2-
トリフルオロエチル,2,2,3,3-テトラフルオロプロピ
ル,2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロプロピル,2,2,3,
4,4,4-ヘキサフルオロプロピル等),α- フルオロアク
リル酸アルキル(そのアルキル基は例えば、メチル,エ
チル,イソプロピル等),α- フルオロアクリル酸フッ
素化アルキル(そのフッ素化アルキル基は例えば、2,2,
2-トリフルオロエチル,2,2,3,3-テトラフルオロプロピ
ル,2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロプロピル,2,2,3,
4,4,4-ヘキサフルオロプロピル等),スチレン,置換ス
チレン(その置換基は例えば、メチル,ジメチル,t−
ブチル,クロロ,ジクロロ,ブロモ,フルオロ,フェニ
ル等),フッ化ビニリデン,テトラフルオロエチレンな
どの単量体を重合した単独重合体や共重合体が挙げられ
る。
【0015】使用する重合体は、1種類に限らず、多数
使用しても構わない。
【0016】本発明に使用される2種類以上の非重合性
化合物は、少なくとも1種類が光伝送体を構成する重合
体よりも高い屈折率、例えば0.02以上高い屈折率を
有し、且つ少なくともさらに1種類が光伝送体を構成す
る重合体よりも低い屈折率、例えば0.02以上低い屈
折率を有すること、この重合体と相溶性があって該重合
体中に均一分散できること、透明であること、非重合性
であって、単独重合体も、ベースの重合体を生成する単
量体との共重合体も形成しないことが必要である。この
ような非重合性化合物を用いれば、重合体内に屈折率の
異なるミクロな相分離構造が形成されることがなく、透
光性能の低下を防止することができる。さらに、その沸
点は重合体の溶融成型温度よりも高い必要がある。
【0017】そして、使用する非重合性化合物の数は、
重合体との屈折率差にかかわらず多数使用しても構わな
い。
【0018】この非重合性化合物としては、例えば、フ
タル酸エステル系(そのエステル置換基は例えば、ベン
ジルn-ブチル,ジメチル,ジエチル,ジアリル,ジブチ
ル,ジイソブチル,ジシクロヘキシル,ジn-オクチル,
ジ2-エチルヘキシル等),安息香酸エステル系(そのエ
ステル置換基は例えば、ベンジル等),アジピン酸エス
テル系(そのエステル置換基は例えば、ジカプリル,ジ
イソオクチル等),セバシン酸エステル系(そのエステ
ル置換基は例えば、ジブチル,ジ2-エチルヘキシル
等),リン酸系化合物(例えば、リン酸トリブチル,リ
ン酸トリフェニル,リン酸ジフェニルクレジル,亜リン
酸トリフェニル等),ベンゼン系化合物(例えば、ブロ
モベンゼン,ジクロロベンゼン,ジフェニルエ−テル,
ブロモジフェニルエ−テル,ジフェニルスルフィド,フ
ェノキシトルエン等),ナフタレン系化合物(例えば、
ブロモナフタレン,ブロモメチルナフタレン,メチルナ
フタレン,ジメチルナフタレン,エチルナフタレン,イ
ソプロピルナフタレン等)などが挙げられる。また、重
合体の組成がフッ素化単量体主体の場合には、前記非重
合性化合物のフッ素化物など挙げられる。
【0019】本発明の実施に当たって、光伝送体に集光
性を持たせる為には、光伝送体の中心部の屈折率を周辺
部のそれよりも高くすれば良く、逆に光発散性を持たせ
る為には、中心部の屈折率を周辺部のそれよりも低くす
れば良い。この様な屈折率分布を連続した分布として形
成するには、特願平3−274354号,特願平4−2
38811号として、既に提案されているように、重合
体と屈折率の異なる非重合性化合物を重合体内部で拡散
させると良い。
【0020】ただし、従来の技術のように、非重合性化
合物を、非重合性化合物を含まない重合体内部に拡散さ
せたり、非重合性化合物の含有量が相対的にかなり少な
い(例えば、その差が10重量部以上)重合体内部に拡
散させて、連続的な屈折率分布を形成すると、光伝送体
を構成する重合体内部に非重合性化合物含有量の大きな
勾配が形成され、これによって、屈折率の温度依存性が
部分的に異なる構造となる。このため、温度変化に安定
な特性を示す光伝送体が得られない。
【0021】そこで本発明の光伝送体は、2種類以上の
屈折率の異なる非重合性化合物を2相間で相互に拡散す
る方法で得る。この相の数は多数でもよい。そして、2
相間あるいは多相間で拡散させる非重合性化合物の濃度
は、それぞれの相でほぼ同じで(好ましくは、その差が
5重量部以下)であることが好ましい。こうして得られ
た光伝送体は、温度変化に安定な光学的特性を示す。さ
らに、相間の相互拡散を促す面でも、各相の重合体粘度
がほぼ同じであるほうが有利である。
【0022】また、通信用途に使用するなど、85℃と
いった高い耐熱性が必要な場合には、重合体内部を拡散
させる2種類以上の屈折率の異なる非重合性化合物の中
に、この重合体よりも高屈折率および低屈折率の非重合
性化合物が含まれることが必要である。このような高屈
折率非重合性化合物と低屈折率非重合性化合物を対向す
る方位に拡散させることで、高屈折率非重合性化合物の
み又は低屈折率非重合性化合物のみを拡散させた場合と
比較して、これと同じ屈折率差を得るために重合体に含
有させる非重合性化合物の量が相対的に減る。このた
め、一般的に非重合性化合物を含有する量に応じて低下
する重合体のTgが、相対的に高くなり、これによって
得られる光伝送体の耐熱性も向上することになる。
【0023】例えば、プラスチック光伝送体に一般的に
使用されているメタクリル酸メチル単位を主体とした重
合体を用い、屈折率分布型光伝送体として有用なコア中
心部とクラッドの屈折率差0.015程度以上を得るた
めに、入手が容易で透明な非重合性化合物を使用する場
合でも15重量部未満とすることが可能となり、この結
果、重合体のTgを85℃以上にすることができる。
【0024】こうして得られた光伝送体は、重合体にポ
リメタクリル酸メチルなどを用いた場合でも、従来の技
術では困難であった85℃の耐熱性を有することが可能
となった。
【0025】本発明の光伝送体を作製する実施方法を、
例で説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0026】まず重合装置に、1種類または2種類以上
の単量体、重合開始剤、及び必要に応じて分子量調整剤
を混合した単量体混合物を供給し、これを熱重合または
光重合して重合体を得る。重合開始剤としては、例えば
アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過酸化ベ
ンゾイル等の過酸化物等の通常のラジカル重合開始剤
が、また、分子量調整剤としてはn−ブチルメルカプタ
ン等のメルカプタン類等の通常のラジカル連鎖移動剤が
用いられる。
【0027】こうして得られた重合体中に、均一な濃度
になるように非重合性化合物を混合して、透明な非重合
性化合物含有重合体を作製する。この作製には公知の可
塑剤入り重合体を作製する方法を用いればよい。また、
重合する前に、重合性単量体中に非重合性化合物を混合
しておいてから重合して、非重合性化合物含有重合体を
得ても構わない。
【0028】この非重合性化合物含有重合体は、含有す
る非重合性化合物の屈折率が異なるものを2種類以上作
製する。そして、非重合性化合物含有重合体が2種類の
場合には、例えば図1のような2重同心円状の吐出孔を
有する複合紡出口金の内側部(2)に非重合性化合物C
含有重合体Aを、外側部(3)に非重合性化合物D含有
重合体Bをギヤポンプで導く。非重合性化合物含有重合
体が3種類以上使用する場合には、多重同心円状の吐出
孔を有する複合紡出口金または、2重に複合後さらに順
次複合できるような多段式の複合紡出口金を用いて同様
に行う。ここまでの重合、非重合性化合物混合、紡出口
金の工程は、連続していることが好ましいが、別の工程
で行われても構わない。
【0029】この後、この非重合性化合物C含有重合体
Aと非重合性化合物D含有重合体Bとを同時にそれぞれ
複合紡出口金の内側吐出孔(2)、外側吐出孔(3)か
ら押し出して複合紡出口金内部で芯鞘状複合のロッド状
体とする。非重合性化合物含有重合体が3種類以上の場
合は、多層状複合のロッド状体となる。
【0030】次に、複合紡出口金内部(6)において、
この芯鞘状複合のロッド状体を口金から吐出する際に紡
糸可能な粘度(10,000〜150,000ポイズ)
且つ発泡しない温度で一定時間加熱する。非重合性化合
物C,Dは、重合体A,Bに相溶するものであるから、
重合体Aに含有されている非重合性化合物Cは非重合性
化合物D含有重合体B内に、重合体Bに含有されている
非重合性化合物Dは非重合性化合物C含有重合体A内に
拡散する。この結果、非重合性化合物C,Dは、それぞ
れ始めに含有していた相から隣接している他相へ対向す
る方位に連続的に減少する濃度分布で分散されて、ロッ
ド状体内部に連続的に変化する屈折率分布が形成され
る。また、多層状複合のロッド状体の場合も同様であ
る。
【0031】この複合紡出口金内部における加熱拡散処
理は、口金長さ方向に連続的に徐々に押し流しながら行
う。口金内部における保持(加熱)時間が長いほど非重
合性化合物の拡散領域は広がり、滑らかな屈折率分布の
形成領域が広がる。生産性の面で押し流し速度を高くす
る方が有利であるが、一定の加熱時間を保つためには、
その分口金を長くする必要もある。
【0032】この後、吐出孔(口金孔)(7)から外部
に吐出させて空冷する。
【0033】こうして得られた光伝送体を光ファイバと
する場合には、所望の線径となるように巻取りドラムの
前で、あるいは、巻取った後の別工程で、延伸すればよ
い。また、ロッドレンズを作製する場合には、巻取らず
に所定の長さに切断してロッドレンズとすればよい。
【0034】本発明によって得られるプラスチック光伝
送体は、光ファイバ、ロッドレンズなどに使用される
が、この他、光導波路などにも有効に使用される。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明す
る。
【0036】各実施例中の評価は、インタ−ファコ干渉
顕微鏡を用いて屈折率分布の測定を行うと共に、カット
バック法による光伝送損失測定を適宜行った。
【0037】ガラス転移温度は、光伝送体をそのまま試
料として、示差走査熱量計(DSC)を用いてDSC曲
線の変曲開始点を測定した。
【0038】実施例1 重合装置内でメタクリル酸メチル100重量部,アゾビ
スイソブチロニトリル0.015重量部,n−ブチルメ
ルカプタン0.2重量部を有する混合物を重合して得た
nD201.492のポリメタクリル酸メチル(PMM
A)93重量部とジフェニルスルフィド(nD201.6
3)7重量部の混合物を、2重同心円状の吐出孔を有す
る紡出口金の内側部に導き、さらに、同じ口金の外側部
に、PMMA93重量部とアジピン酸ジメチル(nD20
1.42)7重量部の混合物を導いて、口金内部に同時
に押し出して直径4mmの2重複合ロッド状とした。こ
の状態のまま190℃の口金内部(口金長80cm)で
連続的に押し流しながら非重合性化合物の相互拡散を促
した。その後口金外部へ吐出させながら5m/minで
巻取り、直径0.5mmの光ファイバを得た。得られた
光ファイバの屈折率分布を測定したところ、中心から周
辺部方向に向かって徐々に減少する分布が形成されてい
た。中心部と周辺部との屈折率差は、約0.015であ
った。室温で光伝送損失測定を行ったところ、波長65
0nmで150dB/kmと低い値を示した。また、光
伝送体のTgをDSCで測定したところ、90℃であっ
た。85℃の光伝送損失値もほとんど変化無かった。8
5℃で1000時間熱処理した後の光伝送損失値もほと
んど変化なく、屈折率分布の形状にも変化は見られなか
った。
【0039】実施例2 重合装置内でメタクリル酸メチル100重量部,アゾビ
スイソブチロニトリル0.015重量部,n−ブチルメ
ルカプタン0.2重量部を有する混合物を重合して得た
nD201.492のポリメタクリル酸メチル(PMM
A)92重量部とブロモナフタレン(nD201.66)
8重量部の混合物を、3重同心円状の吐出孔を有する紡
出口金の内側部に導き、さらに、同じ口金のこの隣りの
外側部に、PMMA93重量部とブロモジフェニルエ−
テル(nD201.61)7重量部の混合物を導き、さら
にこの隣りの外側部に、PMMA93重量部とリン酸ト
リブチル(nD201.42)7重量部の混合物を導い
た。そして口金内部に3重同時に押し出して直径4mm
の3重複合ロッド状とした。この状態のまま190℃の
口金内部(口金長80cm)で連続的に押し流しながら
非重合性化合物の相互拡散を促した。その後口金外部へ
吐出させながら5m/minで巻取り、直径0.5mm
の光ファイバを得た。
【0040】得られた光ファイバの屈折率分布を測定し
たところ、中心から周辺部方向に向かって徐々に減少す
る分布が形成されていた。この屈折率分布は実施例1の
2倍の領域で形成されていた。中心部と周辺部との屈折
率差は、約0.016であった。室温で光伝送損失測定
を行ったところ、波長650nmで140dB/kmと
低い値を示した。また、光伝送体のTgをDSCで測定
したところ、90℃であった。85℃の光伝送損失値も
ほとんど変化無かった。85℃で1000時間熱処理し
た後の光伝送損失値もほとんど変化なく、屈折率分布の
形状にも変化は見られなかった。
【0041】比較例1 メタクリル酸メチル100重量部、過酸化ベンゾイル
0.50重量部、及びn−ブチルメルカプタン0.15
重量部を混合して重合性溶液を調製した後、0.05μ
m孔のテフロン製フィルターで濾過してから水平に保持
したガラス管に入れた。そして両端をシールした後に高
速に回転させながら70℃で熱重合して重合体製中空管
を得た。そして、この中空管の内部にメタクリル酸メチ
ル80重量部、フタル酸ベンジルn−ブチル20重量
部、過酸化ベンゾイル0.50重量部、及びn−ブチル
メルカプタン0.15重量部、からなる混合物を充填し
た後70℃で熱重合し、直径20mmの無色透明なロッド
を得た。ガラス管は壊して取り去った。このロッドを円
筒型加熱器によって220℃で加熱延伸することにより
直径1mmの光ファイバを得た。
【0042】得られた光ファイバの屈折率分布を測定し
たところ、中心から周辺部に向かって徐々に減少する分
布が形成されていた。中心部と周辺部との屈折率差は、
約0.014であった。室温で光伝送損失測定を行った
ところ、波長650nmで130dB/kmと低い値を
示した。
【0043】しかし、TgをDSCで測定したところ、
最低部分(コア中心部に相当)は55℃であった。85
℃の光伝送損失値を測定したところ700dB/kmと
悪化し、さらに85℃で1000時間熱処理した後の光
伝送損失値を測定したところ1500dB/kmと著し
く悪化していた。さらに、屈折率分布の形状も著しく変
化していた。
【0044】比較例2 重合装置内でメタクリル酸メチル100重量部,アゾビ
スイソブチロニトリル0.015重量部,n−ブチルメ
ルカプタン0.2重量部を有する混合物を重合して得た
nD201.492のポリメタクリル酸メチル(PMM
A)80重量部とジフェニルスルフィド(nD201.6
3)15重量部の混合物を、2重同心円状の吐出孔を有
する紡出口金の内側部に導き、さらに、同じ口金の外側
部に、PMMA80重量部とフタル酸ジメチル(nD20
1.52)15重量部の混合物を導いて、口金内部で直
径2mmのロッド状とした。この状態のまま180℃の
口金内部で15分間保持して、非重合性化合物の相互拡
散を促した。その後口金外部へ吐出させながら巻取り、
直径1mmの光ファイバを得た。得られた光ファイバの
屈折率分布を測定したところ、中心から周辺部方向に向
かって徐々に減少する分布が形成されていた。中心部と
周辺部との屈折率差は、約0.015であった。室温で
光伝送損失測定を行ったところ、波長650nmで13
0dB/kmと低い値を示した。
【0045】しかし、TgをDSCで測定したところ、
65℃であった。85℃の光伝送損失値を測定したとこ
ろ500dB/kmと悪化し、さらに85℃で1000
時間熱処理した後の光伝送損失値を測定したところ15
00dB/kmと著しく悪化していた。さらに、屈折率
分布の形状も著しく変化していた。
【0046】
【発明の効果】本発明の連続的に変化する屈折率分布を
有するプラスチック光伝送体は、透明性が高く、拡散現
象を利用した局所的な揺らぎの少ない滑らかなプロファ
イル曲線の屈折率分布を有するだけではなく、85℃以
下での動作温度において、安定な透光性能および伝送帯
域などの光学特性を有し、さらに85℃以下での耐熱耐
久性にも優れ、長期に亘って使用できる実用信頼性を具
備している。
【0047】そして、本発明のプラスチック光伝送体
は、バッチ式に製造できるだけではなく、品質の安定し
たものを生産性良く連続的に製造することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法を実施するために用いる紡出口金の一
例を模式的に示すものであり、縦断面概略図である。
【符号の説明】
1:2重同心円状紡出口金複合部分 2:その内側吐出孔 3:その外側吐出孔 4:内側吐出孔へ導く非重合性化合物重合体混合物 5:外側吐出孔へ導く非重合性化合物重合体混合物 6:2重同心円状紡出口金の非重合性化合物の加熱拡散
部分 7:紡出吐出孔

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な重合体内に該重合体とは屈折率
    が異なる透明な非重合性化合物を含有し、該非重合性化
    合物の濃度分布に応じて屈折率が連続的に変化する領域
    を有するプラスチック光伝送体において、該重合体より
    も高屈折率の非重合性化合物および該重合体よりも低屈
    折率の非重合性化合物が含まれることを特徴とするプラ
    スチック光伝送体。
  2. 【請求項2】 重合体内の少なくとも一部の領域に、
    2種類以上の非重合性化合物が互いに対向する方位に拡
    散したことに基ずく濃度勾配を有し、これに応じた屈折
    率分布を形成していることを特徴とする請求項1に記載
    のプラスチック光伝送体。
  3. 【請求項3】 光伝送体を形成する非重合性化合物を
    含有した重合体のTgが85℃以上であることを特徴と
    する請求項1〜2のいずれかに記載のプラスチック光伝
    送体。
  4. 【請求項4】 互いに屈折率の異なる非重合性化合物
    を含有した2種類以上の重合体を複合紡糸口金に導入
    し、2層以上の同心円状に複合した状態で該複合紡糸口
    金孔内を押し出し中に該非重合性化合物を熱拡散させて
    屈折率分布を形成した後に、該複合紡糸口金孔から外部
    へ吐出して冷却することを連続的に行うことを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチック光伝送
    体の製造方法。
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