JP2003329857A - 光伝送体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

光伝送体の製造方法及び製造装置

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JP2003329857A
JP2003329857A JP2002141557A JP2002141557A JP2003329857A JP 2003329857 A JP2003329857 A JP 2003329857A JP 2002141557 A JP2002141557 A JP 2002141557A JP 2002141557 A JP2002141557 A JP 2002141557A JP 2003329857 A JP2003329857 A JP 2003329857A
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heating furnace
furnace
temperature
stretching
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JP2002141557A
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Toru Ogura
徹 小倉
Masataka Sato
真隆 佐藤
Takahito Miyoshi
孝仁 三好
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性が高く、良好な性質の光伝送体を安定
的に生産可能なプラスチック光伝送体の製造方法及びそ
の製造方法に使用する製造装置を提供すること。 【解決手段】 プリフォームを加熱溶融する延伸加熱炉
を通過させて光伝送体に延伸する延伸工程を含むプラス
チック光伝送体の製造方法であって、前記延伸加熱炉の
入口から延伸加熱炉の出口にかけて設けられた複数の炉
心管が異なる温度に制御され、延伸加熱炉入口から溶融
部位までに設けられた炉心管の制御温度が単調に増加
し、溶融部位から延伸加熱炉出口までに設けられた炉心
管の制御温度が単調に減少する延伸加熱炉を用いて延伸
を行うことを特徴とするプラスチック光学部材の製造方
法、および前記の製造装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック光伝
送体の製造に好ましく用いられるプラスチック光伝送体
の製造方法及びこの製造方法に用いる製造装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光伝送体には、従来、石英が広く用いら
れていたが、近年、プラスチック材料からなるものが注
目されている。プラスチック光伝送体は、同一の構造を
有する石英系のものと比較して、製造および加工が容易
であること、および低価格であること等の利点があり、
近年、光ファイバおよび光レンズなど種々の応用が試み
られている。中でもプラスチック光ファイバは、素線が
全てプラスチックで構成されているため、伝送損失が石
英系と比較してやや大きいという短所を有するものの、
良好な可撓性を有し、軽量で、加工性がよく、石英系光
ファイバと比較して口径の大きいファイバとして製造し
易く、さらに低コストに製造可能であるという長所を有
する。従って、伝送損失の大きさが問題とならいない程
度の短距離用の光通信伝送媒体として種々検討されてい
る。
【0003】光伝送体の中でもプラスチック光ファイバ
は、一般的には、重合体をマトリックスとする有機化合
物からなる芯(本発明において「コア部」と称する。)
とコア部と屈折率が異なる(一般的には低屈折率の)有
機化合物からなる外殻(本発明において「クラッド部」
と称する。)とから構成される。これらの製法は、プレ
ポリマーを引き出してコア部もしくはコア部クラッド部
同時に繊維状に成形する方法や光ファイバ母材(本発明
において、「プリフォーム」と称する。)を作製してか
ら、このプリフォームを溶融延伸する方法などがある。
このプリフォームを、180℃〜250℃程度の雰囲気
中で溶融延伸することにより、所定の径のプラスチック
光ファイバが得られる。溶融延伸工程では、通常、プリ
フォームは、電気ヒーター等によって内部が加熱された
円筒形状の加熱炉内で加熱されつつ延伸される。例え
ば、プリフォームの上部を懸架し、ゆっくり加熱炉中に
降ろし、プリフォームを加熱炉中で溶融させる。紡糸で
きる柔らかさになるまで加熱し、プリフォームの先端の
溶融している部分を加熱炉から下方に引き出して、引取
りローラーに掛けることにより、連続的な延伸を行うこ
とができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の円筒状
の加熱炉を用いた場合、加熱炉内においてプリフォーム
の表面温度は迅速に上昇するが、プラスチック製のプリ
フォームでは熱伝導率が低いため、プリフォーム内部の
温度は表面温度に遅れて上昇する。従って、プリフォー
ム全体が延伸可能な温度に到達するまでには、プリフォ
ームはかなりの時間加熱炉内に滞留しなければならな
い。このために、加熱炉に入ったプリフォームが必要以
上に熱履歴を受けてしまい、樹脂の分解等の熱劣化を起
こして光学的性能が低下するという問題がある。一方
で、生産性を向上させるためには、延伸速度を向上させ
ることが要求される。しかし、延伸速度を上げていく
と、プリフォームの加熱炉内滞留時間が短くなり、中心
部まで充分加熱溶融されないままプリフォームが加熱炉
内の延伸ゾーンまで達してしまい、延伸不良のトラブル
が発生する。プリフォームが、中心部まで充分加熱溶融
していないと、延伸張力が増加するとともに、径が太
く、屈曲しない延伸が不十分なファイバが引取られるこ
とになる。そのため、張力計が故障する、引取りロール
が損傷するといったトラブルや、プリフォームの懸架装
置に大きな張力が掛かり過ぎて、プリフォームホルダ
ー、ユニバーサルジョイント、調芯装置等、種々の部品
が破壊されるというトラブルが発生する場合があった。
【0005】本発明は前記諸問題に鑑みなされたもので
あって、生産性高く、しかも良好な性質の光伝送体を安
定的に生産可能なプラスチック光伝送体の製造方法及び
その製造方法に使用する製造装置を提供することを課題
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の光伝送体の製造方法は、延伸不良を防止し
つつ、延伸速度を向上さる方法として、加熱炉ユニット
を複数積み重ねて、炉芯管内のプリフォーム滞留時間を
長くし、プリフォームが内部まで充分加熱されるように
する方法であり、延伸が始まる位置から延伸が終了する
位置まで、徐々に減少するプリフォームの径に対して適
切な温度となるように制御する延伸加熱炉を用いるもの
である。詳しくは以下の通りである。
【0007】(1)プリフォームを加熱溶融する延伸加
熱炉を通過させて光伝送体に延伸する延伸工程を含むプ
ラスチック光伝送体の製造方法であって、前記延伸加熱
炉の入口から延伸加熱炉の出口にかけて設けられた複数
の炉心管が異なる温度に制御され、延伸加熱炉入口から
溶融部位までに設けられた炉心管の制御温度が単調に増
加し、溶融部位から延伸加熱炉出口までに設けられた炉
心管の制御温度が単調に減少する延伸加熱炉を用いて、
延伸を行うことを特徴とするプラスチック光学部材の製
造方法。 (2)前記延伸加熱炉が3段以上の炉芯管から構成さ
れ、炉心内温度が溶融開始点に対して下記式1)を充足
させるような温度勾配に設定されている(1)に記載の
光学部材の製造方法、 式1) (一段目炉芯管内温度)≦(クラッド部ガラス転移温度
Tk+70)[℃] (溶融開始点炉芯管[n段目:n>2]内温度)≦(クラ
ッド部ガラス転移温度Tk×2.4)[℃] (炉芯管の段数は入口側が1段目とする。) (3)前記延伸加熱炉が3段以上の炉芯管から構成さ
れ、炉心内温度が溶融開始点に対して下記式2)を充足
させるような温度勾配に設定されている(1)又は
(2)に記載の光学部材の製造方法、 式2) (最終段の炉芯管内温度)≦(クラッド部ガラス転移温
度Tk−50)[℃] (4)プリフォームを加熱溶融するための延伸加熱炉を
含むプラスチック光伝送体の製造装置であって、前記延
伸加熱炉が異なる温度に制御された複数の炉心管を有
し、延伸加熱炉入口から溶融部位までに設けられた炉心
管は制御温度が単調に上昇し、溶融部位から溶融炉出口
までに設けられた炉心管は制御温度が単調に降下する加
熱延伸炉よりなることを特徴とするプラスチック光学部
材の製造装置。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態のうち、加熱
源として炉芯管を多段に組んだものを用いた例を以下に
示すが、この例示はあくまで本発明を詳細に説明するた
めのものであり、本発明をなんら制限するものではな
い。本発明の光伝送体の製造方法は、プラスチック光フ
ァイバの製造方法に適用することができる。以下、図面
を用いて、本発明の一実施形態について説明する。図1
は、本発明の一実施態様として適用可能な延伸装置の概
略断面図である。延伸装置は、プリフォーム9を支持す
るアーム1と、プリフォーム9を加熱するための複数の
炉心管を有する円筒形の多段加熱炉10と、加熱炉10
によって加熱され軟化したプリフォーム9を、下方に引
取る一対の引取りロール15とを備える。アーム1はモ
ータ4によって駆動するスクリュー駆動装置3のスクリ
ュー2に取り付けられていて、上下に移動可能に構成さ
れている。また、調芯装置5により、プリフォーム9の
中心軸を水平方向に変位させ、延伸軸のズレが調整でき
るようになっている。アーム1の先端部には、ユニバー
サルジョイント7およびプリフォームフォルダ8が取り
付けられ、プリフォーム9を吊り下げた状態で支持可能
になっている。
【0009】加熱炉10からの加熱は、加熱炉の各段ご
とに取付けられた温度センサによって、各段が一定の範
囲に収まるように制御される。
【0010】この加熱炉10によりプリフォーム9は加
熱され、溶融される。加熱炉10は円筒形状を有し、通
常、上下方向に2つ以上のコンパートメントに分割さ
れ、それぞれのコンパートメントが単独に温度制御され
ている。ヒーター10の各々のコンパートメントには、
ドーナツ状のオリフィスが挿入されていて、プリフォー
ム9とオリフィスの距離は1mmから5mmに保たれて
いる。プリフォーム9とオリフィスの距離は1mm以下
でも良いが、プリフォーム9の径の変動や、調芯装置5
とのバランスもあるので、トラブルを防ぐ為に前記範囲
に維持するのが好ましい。ヒーター10の各コンパート
メント内部は、プリフォーム9の劣化が進まない程度の
温度、ポリマーであれば、通常、ポリマーのTg(ガラ
ス転移温度)以下の温度(通常、40℃〜70℃)の温
度範囲に制御されているのが好ましい。
【0011】ファイバ9’は、その後、加熱炉10の下
方に配置された、冷却ファン20から冷風が送りこまれ
ている冷却室21の内部を通過して、冷却される。この
冷風が加熱炉にはいると対流を起こして均熱分布が崩れ
るので、吹込みを防ぐように下部にも隙間を制御する事
が好ましい。
【0012】一対の引取りロール15は、ニップ部にプ
リフォーム9を挟み込んで、下方向に引取る。引取りロ
ール15は引取りモータ16によって駆動され、プリフ
ォーム9を下方向に引取る力を調節可能になっている。
また、モータ駆動されていないロールは、圧着装置18
によって、他方のロールに圧着され、他方のロールの回
転に追従するようになっている。プリフォーム9を下方
向に引取る引取り力は、例えば、プリフォーム9がヒー
ター10から引取りロール15に至る間で、プリフォー
ム9の張力を測定する張力測定器14a、プリフォーム
の径を測定するレーザー測定器14b、および/または
ファイバの延伸長さを測定する距離(積算)カウンタ14
cからの測定値に基づいてコンピュータ17が引取りモ
ータ16を制御することで、最適化することができる。
【0013】以下に、前記延伸装置による延伸工程の概
略を説明する。アーム1のプリフォームフォルダ8にプ
リフォーム9を取り付け、吊り下げた状態で支持する。
次に、スクリュー駆動装置3を駆動させると、スクリュ
ー2が一定の速度で回転し、アーム1が降下し、プリフ
ォーム9はヒーター10に挿入される。プリフォーム9
は、ヒーター10の各コンパートメント内で順次、Tg
未満の温度に加熱される。プリフォーム9が、さらに下
方まで達すると、加熱炉内の温度分布によって順次加熱
され、溶融したプリフォーム9の先端は、ヒーター10
の下方に設置された引取りロール15によって引出さ
れ、引取り延伸される。アーム1によってプリフォーム
9を一定速度で降下させるとともに、引取りロール15
により一定速度で引取ることにより、プリフォーム9は
連続的に引取り延伸され、ファイバ9’が連続的に製造
される。
【0014】本発明の延伸加熱炉はプリフォームに対し
て、少なくとも3段以上の温度分布を有していることが
好ましい。この温度分布は炉芯管を多段で組むことによ
って構成しても良いし、電熱線の粗密などで熱の分布を
制御する炉芯管を用いても良いし、これらを組み合わせ
ても良い。本発明の加熱炉は、加熱炉入口から溶融部位
までは制御温度が単調増加し、溶融部位から溶融炉出口
までは制御温度が単調減少する複数の温度分布を有す
る。なお、本発明においては複数の温度分布を多段の温
度分布として表現しているが、一つの炉芯管で滑らかな
温度勾配を持たせても良い。加熱炉入口から溶融部位ま
では制御温度が単調増加する事で、不要な熱履歴を加え
ずにファイバーを加熱することができ、溶融部位から溶
融炉出口までは制御温度が単調減少する事によって、急
激な冷却によるダメージを与えないようにする。具体的
には、プリフォーム径やプリフォームの材質によって異
なるが、少なくとも炉心内温度は溶融開始点に対して以
下の条件を充足させるような温度勾配に設定されている
ことが好ましい。
【0015】1)加熱炉入口 加熱炉入口は以下の温度であることが好ましい。 (一段目炉芯管内温度)≦(クラッド部ガラス転移温度
Tk+70)[℃] (炉芯管の段数は入口側が1段目とする。) 入口温度である一段目炉芯管内温度はクラッド部ガラス
転移温度Tkの40[℃]以下ではそれ以降の加熱が充分
に行われず、充分な溶融を行うことができない、もしく
は段数を不要に増やさなくてはならない。逆にTkの1
00[℃]以上では外周部の加熱が先行してしまいプリフ
ォームを均一に延伸することができない。
【0016】2)溶融部分 溶融部分は加熱炉の一方によることなく中央部分に位置
し、以下の温度であることが好ましい。 (溶融開始点炉芯管[n段目:n>2]内温度)≦(クラ
ッド部ガラス転移温度Tk×2.4)[℃] 1)同様にクラッド部ガラス転移温度Tkの1.5倍以
下では、延伸を行うための充分な加熱が行われず、3倍
以上では、プリフォームが完全に溶融して、溶断してし
まい延伸が行えない。
【0017】3)加熱炉出口 加熱炉出口は以下の温度であり、溶融部分から単調に減
少することが好ましい。 (最終段の炉芯管内温度)≦(クラッド部ガラス転移温
度Tk−50)[℃] ただし、溶融時に加えられた予熱があるため、加熱炉の
温度の分布や制御を緩やかにすることは必要ではなく、
延伸されたファイバが緩やかに降温する様に設定を行う
ことが好ましい。この設定は構成する材質や延伸された
際の径等によって変化する。
【0018】本実施の形態において、プリフォームの作
製方法については特に制限はないが、塊状重合法を利用
して作製すると、良質のプラスチックファイバを容易に
安定的に作製できるので好ましい。以下、塊状重合法を
利用したプリフォームの作製方法について説明する。塊
状重合法の1種の界面ゲル重合法を利用したプリフォー
ムの作製例として、クラッド部となる円筒管を作製する
第1の工程と、前記円筒管の中空部で重合を行うことに
よりコア部となる領域を形成する第2の工程とを有す
る、コア部およびクラッド部に各々対応する領域からな
るプリフォームを作製する方法が挙げられる。この方法
で好ましく作成できるプリフォームとしては、中心から
外側に向かって屈折率の分布を有するコア部を備えた屈
折率分布型のものがある。このプリフォームを延伸する
事により作られるプラスチック光ファイバは、伝送する
光信号の帯域を大きくすることが可能なため、高い伝送
容量を有する光ファイバとして最近注目されている。こ
の屈折率分布型の光ファイバは屈折率分布の形状が性能
に大きく影響するため、プリフォームの作成で与えた屈
折率分布の状態を維持したまま延伸できることが重要で
ある。本発明の加熱方法は、プリフォームを狭い範囲で
急速かつ均一に加熱することができるため、屈折率分布
を崩さずに高速に延伸できるために、好ましい加熱源と
なる。
【0019】このプリフォーム製造方法では、まず、メ
チルメタクリレート(MMA)等の重合性モノマーを、
充分な剛性のある容器に入れて、該容器を回転させつ
つ、モノマーを重合させて、ポリメタクリレート(PM
MA)等の重合体からなる円筒管を作製する。該円筒管
はクラッド部となる。次に、該円筒管の中空部に屈折率
分布を有するコア部を形成する。コア部に屈折率分布を
付与する方法としては、例えば、特開平2−16504
号公報には、屈折率分布の異なる2種以上の重合性混合
物の積層状物を同心円状に押出して形成する方法が開示
されている。また、プリフォームを重合により得る方法
としては、特開平5−181023号公報および特開平
6−194530号公報に、重合体からなるクラッド部
の内部に、該クラッド部を形成する重合体と異なる屈折
率を有するコア部を形成可能なモノマー及び重合開始剤
等を含む混合物を滴下しながら加熱重合する方法が;W
O93/08488号明細書には、重合体からなる円筒
管内にモノマー、重合性の屈折率上昇剤、および重合開
始剤からなる混合物を充填後、加熱重合しコア部を形成
して、コア部に含有される屈折率調整剤等の濃度分布に
よって屈折率の分布を生じされる方法が;および特開平
4−9730号公報には、屈折率の異なる重合体の配合
比を連続的に変化させる方法が開示されている。
【0020】前記第1の工程では、クラッド部となる円
筒管を作製する。例えば、円筒形状の重合容器に、クラ
ッド部の原料となるモノマーを注入し、該重合容器を回
転(好ましくは、円筒の軸を水平に維持した状態で回
転)させつつ、前記モノマーを重合させることにより、
重合体からなる円筒管を作製することができる。重合容
器内には、モノマーとともに、重合開始剤、連鎖移動
剤、および所望により添加される安定剤などを注入する
ことができる。その添加量については、用いるモノマー
の種類等に応じて好ましい範囲を適宜決定することがで
きるが、重合開始剤は、一般的にはモノマーに対して、
0.10〜1.00質量%添加するのが好ましく、0.
40〜0.60質量%添加するのがより好ましい。連鎖
移動剤は、一般的にはモノマーに対して、0.10〜
0.40質量%添加するのが好ましく、0.15〜0.
30質量%添加するのがより好ましい。重合温度および
重合時間は、用いるモノマーによって異なるが、一般的
には、重合温度は60〜90℃であるのが好ましく、重
合時間は5〜24時間であるのが好ましい。
【0021】クラッド部は、伝送される光信号をコア部
に留めるため、コア部の屈折率より低い屈折率を有して
いるのが好ましく、また、伝送される光に対して透過性
であるのが好ましい。例えば、クラッド部の原料である
モノマーとしては、ポリメチルメタクリレート(PMM
A)、重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−
d8,d5,d3)、ポリトリフルオロエチルメタクリ
レート(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプロピ
ル2−フルオロアクリレート(HFIP 2−FA)が
挙げられる。これらのモノマーを2種以上用いて、共重
合体からなるクラッド部を作製してもよい。後述のコア
部を構成する重合体と同一の原料を用いるのが、透明性
が保持できる点で好ましい。それぞれを2種類以上併用
してもよい。
【0022】前記モノマーを重合する際に、重合開始剤
および重合調整剤(例えば、連鎖移動剤等)を添加する
ことができる。重合開始剤としては、用いるモノマーや
重合方法に応じて適宜選択することができるが、それら
のうちでも、ラジカル重合開始剤を好ましく用いること
ができる。ラジカル重合開始剤としては、過酸化ベンゾ
イル(BPO)、t−ブチル=パーオキシ−2−エチル
ヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド
(PBD)、t−ブチル=パーオキシイソプロピルカー
ボネート(PBI)、n−ブチル=4,4−ビス(t−
ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオ
キサイド系化合物、または2,2′−アゾビスイソブチ
ロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニ
トリル)、1,1′―アゾビス(シクロヘキサン−1−
カルボニトリル)などのアゾ系化合物が挙げられる。な
お、重合開始剤は2種類以上併用してもよい。
【0023】重合調整剤は、主に重合体の分子量の調整
のために用いられ、モノマーに応じて適宜選択すること
ができるが、前記重合性組成物は、連鎖移動剤を含有し
ているのが好ましい。前記連鎖移動剤は、主に、重合体
の分子量によるガラス転移点などの重合体物性の不均一
や変化を抑える目的で、重合体の分子量を調整するため
に用いられる。前記連鎖移動剤については、併用する重
合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量
を選択することができる。具体的には、アルキルメルカ
プタン類(n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメル
カプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメ
ルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等)、チオフェ
ノール類(チオフェノール、m−ブロモチオフェノー
ル、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオー
ル、p−トルエンチオール等)などを用いるのが好まし
く、中でも、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシル
メルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのアルキルメ
ルカプタンを用いるのが好ましい。なお、前記連鎖移動
剤は、2種類以上を併用してもよい。それぞれを2種類
以上併用してもよい。
【0024】その他、クラッド部には、光伝送性能を低
下させない範囲で、その他の添加剤を添加することがで
き、添加剤は、前記原料モノマーに添加した後、モノマ
ーを重合することによってクラッド部に含有させること
ができる。前記添加剤としては、耐候性や耐久性などを
向上させる安定剤、光伝送性能を向上させる光信号増幅
用の誘導放出機能化合物等が挙げられる。誘導放出機能
化合物化合物を添加することにより、減衰した信号光を
励起光により増幅することが可能となり、伝送距離が向
上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器とし
て使用することができる。なお、これらの添加剤は、コ
ア部の形成時にモノマーに添加させて、コア部に含有さ
せることもできる。
【0025】前記クラッド部となる円筒管は、第2の工
程でコア部の原料となるモノマーを注入できるように、
底部を有しているのが好ましい。底部は前記円筒管を構
成している重合体と密着性および接着性に富む材質であ
るのが好ましい。また、底部を、前記円筒管と同一の重
合体で構成することもできる。重合体からなる底部は、
例えば、重合容器を回転させて重合する(以下、「回転
重合」という場合がある)前もしくは後に、重合容器を
垂直に静置した状態で、重合容器内に少量の重合性モノ
マーを注入し、重合することによって形成することがで
きる。
【0026】前記回転重合後に、残存するモノマーや開
始剤を完全に反応させることを目的として、該回転重合
の重合温度より高い温度で得られた構造体に加熱処理を
施してもよい。
【0027】また、前記第1の工程では、一旦、重合体
を作製した後、押し出し成形等の成形技術を利用して、
所望の形状(本実施の形態では円筒形状)の構造体を得
ることもできる。
【0028】前記第2の工程では、前記第1の工程で作
製したクラッド部となる円筒管の中空部に原料であるモ
ノマーを注入し、該モノマーを重合する。前記モノマー
とともに、重合開始剤、連鎖移動剤および所望により添
加される屈折率調整剤などを注入することができる。そ
の添加量については、用いるモノマーの種類等に応じて
好ましい範囲を適宜決定することができるが、重合開始
剤は、一般的にはモノマーに対して、0.005〜0.
050質量%添加するのが好ましく、0.010〜0.
020質量%添加するのがより好ましい。前記連鎖移動
剤は、一般的にはモノマーに対して、0.10〜0.9
0質量%添加するのが好ましく、0.15〜0.70質
量%添加するのがより好ましい。なお、本実施の形態で
は、屈折率調整剤を用いなくても、モノマーを2種以上
用いる等により、屈折率の分布をコア部となる領域に導
入することもできる。
【0029】前記第2の工程では、前記クラッド部とな
る円筒管内に充填された重合性モノマーが重合する。前
記重合性モノマーの重合は、前記円筒管の表面から断面
の半径方向、中心に向かって進行する。2種以上の重合
性モノマーを用いた場合は、前記円筒管を構成している
重合体に対して親和性の高いモノマーが前記円筒管の表
面に偏在して主に重合し、該モノマーの比率の高い重合
体が形成される。中心に向かうに従って、形成された重
合体中の前記親和性の高いモノマーの比率は低下し、他
のモノマーの比率が増加する。このようにして、コア部
となる領域内にモノマー組成の分布が生じ、その結果、
屈折率の分布が導入される。また、重合性モノマーに屈
折率調整剤を添加して重合すると、前記円筒管を構成し
ている重合体に対して親和性の高いモノマーが前記円筒
管表面に偏在して重合し、外側には屈折率調整剤濃度が
低い重合体が形成される。中心に向かうに従って、形成
された重合体中の該屈折率調整剤の比率は増加する。こ
のようにして、コア部となる領域内に屈折率調整剤の濃
度分布が生じ、その結果、屈折率の分布が導入される。
【0030】コア部の原料としては、その重合体が伝送
される光に対して光透過性である限り特に制約はない
が、伝送される光信号の伝送損失が少ない材料を用いる
のが好ましい。例えば、ポリメチルメタクリレート(P
MMA)、や重水素化ポリメチルメタクリレート(PM
MA−d8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレート
(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル2−
フルオロアクリレート(HFIP 2−FA)などが挙
げられる。これらモノマーを2種以上用いて、共重合体
からなるコア部を形成してもよい。塊状重合が容易であ
る原料を選択し、単一ポリマーにてコア部を形成するの
が好ましい。また、これらのモノマーが有する水素原子
を重水素原子(D)またはハロゲン原子(X)で置換し
たモノマーを用いることもできる。特定の波長領域にお
いて、C−H結合に起因する光伝送損失が生じるが、H
をDまたはXで置き換えることにより、この伝送損失を
生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の
損失を軽減することができる。
【0031】前記モノマーを重合する際に、重合開始剤
および重合調整剤を添加することができる。これらの具
体例については、クラッド部の形成に用いられるそれぞ
れの具体例と同様である。
【0032】コア部が、中心から外側に向かって屈折率
の分布を有している(以下、「屈折率分布型コア部」と
称する)と、高い伝送容量を有する屈折率分布型プラス
チック光ファイバとなるので好ましい。屈折率調整剤
は、これを含有する組成物が無添加の組成物と比較し
て、屈折率が異なる(好ましくは高くなる)性質を有す
るものをいい、添加した光学部材用樹脂との屈折率差
が、0.001以上を示すことを特徴とする。この屈折
率調整剤は重合体中の存在比によって、構成素材の屈折
率を変化させることができる。前記屈折率調整剤は、前
記性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ重合
体を構成する単量体に対して非重合性であり、さらに前
述の原料であるモノマーの重合条件(加熱および加圧等
の重合条件)下において安定であるものを、いずれも用
いることができる。例えば、安息香酸ベンジル(BE
N)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル
(TPP)、フタル酸ベンジルnブチル(BBP)、フ
タル酸ジフェニル(DPP)、ビフェニル(DP)、ジ
フェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジル(TC
P)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)などが挙げ
られ、中でも、BEN、DPS、TPP、DPSOが好
ましい。なお、2〜10の多量体も含まれるものとす
る。なお、屈折率調整剤は2種類以上併用してもよい。
また、屈折率調整剤を用いずに、中心から外周に向かっ
て異なる屈折率を有する重合体の配合比が変化するよう
にして、屈折率分布を形成しても良い。
【0033】前記モノマーを注入したクラッド部となる
円筒管を、治具の中空部に挿入して、治具に支持された
状態で且つ加圧下で重合を行うことが 。前記治具
は、前記構造体を挿入可能な中空部を有する形状であ
り、該中空部は前記構造体と類似の形状を有しているの
が好ましく、円筒形状であるのが好ましい。治具は、加
圧重合中に前記円筒管が変形するのを抑制するととも
に、加圧重合が進むに従ってコア部となる領域が収縮す
るのを緩和可能に支持する。前記円筒管が治具に密着状
態で支持されている場合は、前述した様に、コア部とな
る領域が収縮するのを円筒管によって緩和できず、中央
部にボイドが発生し易い。従って、治具は、前記クラッ
ド部となる円筒管の外径より大きい径の中空部を有し、
前記クラッド部となる円筒管を非密着状態で支持するの
が好ましい。前記治具の中空部は、前記クラッド部とな
る円筒管の外径に対して0.1%〜40%だけ大きい径
を有しているのが好ましく、10〜20%だけ大きい径
を有しているのがより好ましい。本実施の形態では、前
記治具は円筒形状なので、前記治具の内径が、前記クラ
ッド部となる円筒管の外径に対して0.1%〜40%だ
け大きいのが好ましく、10〜20%だけ大きいのがよ
り好ましい。
【0034】前記クラッド部となる円筒管を治具の中空
部に挿入した状態で、重合容器内に配置することができ
る。重合容器内において、前記クラッド部となる円筒管
は、円筒の高さ方向を垂直にして配置されるのが好まし
い。前記治具に支持された状態で前記クラッド部となる
円筒管を、重合容器内に配置した後、前記重合容器内を
加圧する。窒素等の不活性ガスで重合容器内を加圧し、
不活性ガス雰囲気下で加圧重合を進行させるのが好まし
い。重合時の加圧の好ましい範囲については、用いるモ
ノマーによって異なるが、重合時の圧は、一般的には
0.01〜0.2MPa程度が好ましい。また、重合時
間は、一般的には24〜96時間であるのが好ましい。
重合は加熱下で行ってもよく、一般的には重合温度は9
0〜140℃であるのが好ましい。
【0035】この様にして、コア部およびクラッド部が
プラスチックからなる円筒形状のプリフォームを作製す
ることができ、得られたプリフォームはそのまま、また
はコーティングなどの処理を施された後、前述の延伸工
程に供せられる。
【0036】延伸工程を経て製造されたプラスチック光
ファイバは、そのままの形態で種々の用途に供すること
ができる。また、保護や補強を目的として、その外側に
被覆層を有する形態、繊維層を有する形態、および/ま
たは複数のファイバを束ねた形態で、種々の用途に供す
ることができる。被覆工程は、例えばファイバ素線に被
覆を設ける場合では、ファイバ素線の通る穴を有する対
向したダイスにファイバ素線を通し、対向したダイス間
に溶融した被覆用の樹脂を満たし、ファイバ素線をダイ
ス間を移動させることで被覆されたファイバを得ること
ができる。被覆層は可撓時に内部のファイバへの応力か
ら保護するため、ファイバ素線と融着していないことが
望ましい。さらにこの時、溶融した樹脂と接することで
ファイバ素線に熱的ダメージを加わるので、極力ダメー
ジを押さえるような移動速度や低温で溶融できる樹脂を
選ぶことも望ましい。この時、被覆層の厚みは被覆材の
溶融温度や素線の引き抜き速度、被覆層の冷却温度によ
る。その他にも、光部材に塗布したモノマーを重合させ
る方法やシートを巻き付ける方法、押し出し成形した中
空管に光部材を通す方法などが知られている。
【0037】本実施の形態では、プラスチック材料から
なる光ファイバの製造を示したが、これに限定されず、
本発明の製造方法(延伸工程)は、ガラス材料からなる
光ファイバの製造方法にも適用することができる。
【0038】本発明の光学材料を光ファイバーとして用
いて光信号を伝送するシステムには、種々の発光素子、
受光素子、他の光ファイバー、光バス、光スターカプ
ラ、光信号処理装置、接続用光コネクター等で構成され
る。それらに関する技術としてはいかなる公知の技術も
適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイ
バの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)等の他、
特開平10−123350、特開2002−9057
1、特開2001−290055等の光バス、特開20
01−74971、特開2000−32996、特開2
001−74966、特開2001−74968、特開
2001−318263、特開2001−311840
等の光分岐結合装置、特開2000−241655等の
光スターカプラ、特開2002−62457、特開20
02−101044、特開2001−305395等の
光信号伝達装置や光データバスシステム、特開2002
−23011等の光信号処理装置、特開2001−86
537等の光信号クロスコネクトシステム、特開200
2−26815等の光伝送システム、特開2001−3
39554、特開2001−339555等のマルチフ
ァンクションシステムなどを参考にすることができる。
【0039】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更する
ことができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体
例に制限されるものではない。 (実施例1)蒸留精製して0.008%まで水分を除去
したメチルメタクリレートモノマー、重合開始剤として
脱水精製した過酸化ベンゾイルを0.5質量%、及び重
合調整剤(連鎖移動剤)としてn−ブチルメルカプタン
0.28質量%をそれぞれ別のガラス容器で計量後に配
合し、更に遮光した状態で攪拌しながら混合溶解して原
料溶液170gを得た。この原料溶液を、内径22m
m、長さ600mmのポリテトラフルオロエチレン製の
円筒状試験管に注入した。この試験管を密封し、70℃
の水槽中で超音波脱泡を行いながら震蕩して、2時間反
応させる事で予備重合を行った。次に、90℃の熱風恒
温槽内で水平状態に保持しつつ、保護管内で3000r
pmで回転させ、反応液を遠心力で試験管内壁に保持し
た状態で、2時間重合反応させる事によりクラッド管と
なるPMMAからなる円筒形状の中空管を作製した。こ
の時に得られたクラッド部となるPMMA中空管は長さ
600mm、外径22mm、厚み2.5mmであり、そ
の重量平均分子量は100,000で、Tgは107℃
であった。
【0040】試験管から作製したクラッド管を取り出
し、90℃で24時間維持し熱処理をした。蒸留精製し
て0.008%まで水分を除去したメチルメタクリレー
トモノマー、重合開始剤として脱水精製した過酸化ジ−
tert−ブチル0.016質量%、及び重合調整剤
(連鎖移動剤)としてラウリルメルカプタン0.27質
量%、コア部に屈折率分布を与えるための屈折率調整剤
として硫化ジフェニルをMMAに対して12.5質量%
混合した溶液をそれぞれ別のガラス容器で計量後に配合
し、更に遮光した状態で攪拌しながら混合溶解して原料
溶液60gを得た。この原料溶液を孔径0.2μmの四
フッ化エチレン製メンブランフィルターで濾過しつつ、
90℃に保ったクラッド管の中空部に注入した。窒素雰
囲気中で、前記混合物を0.2MPaの加圧状態で90
℃で48時間、その後120℃で24時間重合反応と加
熱処理を行ってコア部を形成した。得られたプリフォー
ムは、径22mm、長さ60mmで、重合完了時に体積
収縮による気泡の混入や発生はなかった。この時のPM
MAからなるコア部のその重量平均分子量は100,0
00であったが、Tgは90℃であった。
【0041】このようにして作製したプリフォームを、
図1と同様の構成を有する延伸装置を用いて、以下の様
に線引きを行った。ただし、加熱炉は各段が最大出力5
00Wの電気ヒーターからなる炉芯管を5段積み重ね内
径60mm、全長40cmのものを用いた。この加熱炉
はそれぞれの段が160℃、230℃、250℃、10
0℃、100℃となるように温度を制御した。また、加
熱炉上部の開口部は、開口直径35mmの絞りを設置し
て延伸時のヒートロスを抑制する様にした。さらに、加
熱炉から出てくる延伸されたファイバは、冷却装置を作
動させて15℃の空気を吹き付けて冷却を行った。プリ
フォームを延伸装置に備わるプリフォーム懸架金具に固
定し、この先端を円筒形の加熱炉内に導入する。プリフ
ォームが加熱によって溶融したところで、引取りを始め
た。ファイバの引取り開始と同時にプリフォームの懸架
金具を自動的に降下させ、プリフォームを少しずつヒー
ター内に供給する。下降速度は、予め延伸を行い決めて
おいた。延伸したファイバはレーザー計測器で直径を測
定し、直径が一定になるように条件を制御しながら延伸
した。この装置を用いて、引取り速度2m毎分からプリ
フォームの延伸開始点の状態を見ながら1m毎分ずつ、
徐々に引取り速度を上げていき、最終的に外径750μ
mの光ファイバを5m毎分の引取り速度で延伸した。延
伸工程において、プリフォームには気泡の発生は観察さ
れず、安定して300mのファイバを得ることができ
た。その際の線引き張力は40〜60g重(0.392
〜0.588N)であった。得られたファイバの伝送損
失値を測定したところ、波長650nmにて153dB
/kmであった。
【0042】(比較例1)実施例1で用いた最大出力5
00Wの円筒形電気ヒーターを5台の電気ヒーターはそ
れぞれ220℃に制御する以外は実施例1と同様にして
加熱を行った。引取り速度を5m毎分としたところで、
プリフォームの延伸開始点がゆっくり下降し始め、延伸
張力が上昇し始めたため、延伸を中止した。実施例と同
様に延伸した光ファイバは400mmφのリールに巻取
り24時間後に再度引き出したが、2m毎分で巻き取っ
た部分から4.5m毎分までの全長においてリールの巻
き癖とよじれが発生していた。得られた光ファイバの
4.5m毎分で巻き取った部分の650nmにおける伝
送損失は198dB/Kmであった。
【0043】本実施例では屈折率分布型プラスチック光
ファイバを用いたが、本発明をSI型プラスチック光フ
ァイバやマルチステップ型SI型プラスチック光ファイ
バの延伸に転用することは極めて容易である。
【0044】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、し
かも良好な性質の光伝送体を安定的に生産可能な光伝送
体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に用いられる製造装置例
の断面概略図である。
【符号の説明】
1 アーム 2 スクリュー 3 スクリュー駆動装置 4 スクリュー駆動装置用モータ 5 調芯装置 7 ユニバーサルジョイント 8 プリフォームフォルダ 9 プリフォーム 9’ ファイバ 10 加熱炉 14a 張力測定器 14b レーザー計測器 14c 距離カウンタ 15 引取りロール 16 引取りロール用モータ 17 コンピュータ 18 圧着装置 20 冷却ファン 21 冷却室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 真隆 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 三好 孝仁 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H050 AA16 AA20 AB42Z AB43Z

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プリフォームを加熱溶融する延伸加熱炉
    を通過させて光伝送体に延伸する延伸工程を含むプラス
    チック光伝送体の製造方法であって、前記延伸加熱炉の
    入口から延伸加熱炉の出口にかけて設けられた複数の炉
    心管が異なる温度に制御され、延伸加熱炉入口から溶融
    部位までに設けられた炉心管の制御温度が単調に増加
    し、溶融部位から延伸加熱炉出口までに設けられた炉心
    管の制御温度が単調に減少する延伸加熱炉を用いて延伸
    を行うことを特徴とするプラスチック光学部材の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 プリフォームを加熱溶融するための延伸
    加熱炉を含むプラスチック光伝送体の製造装置であっ
    て、前記延伸加熱炉が異なる温度に制御された複数の炉
    心管を有し、延伸加熱炉入口から溶融部位までの炉心管
    は制御温度が単調に上昇し、溶融部位から延伸加熱炉出
    口までの炉心管は制御温度が単調に降下する延伸加熱炉
    よりなることを特徴とするプラスチック光伝送体の製造
    装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005096043A1 (en) * 2004-04-02 2005-10-13 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method and apparatus for manufacturing plastic optical fiber
CN100405098C (zh) * 2004-04-02 2008-07-23 富士胶片株式会社 制造塑料光纤的方法和设备

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005096043A1 (en) * 2004-04-02 2005-10-13 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method and apparatus for manufacturing plastic optical fiber
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