JP2003329859A - プラスチック光学部材の製造方法 - Google Patents

プラスチック光学部材の製造方法

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JP2003329859A
JP2003329859A JP2002141491A JP2002141491A JP2003329859A JP 2003329859 A JP2003329859 A JP 2003329859A JP 2002141491 A JP2002141491 A JP 2002141491A JP 2002141491 A JP2002141491 A JP 2002141491A JP 2003329859 A JP2003329859 A JP 2003329859A
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plastic optical
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Masataka Sato
真隆 佐藤
Takahito Miyoshi
孝仁 三好
Toru Ogura
徹 小倉
Yukio Shirokura
幸夫 白倉
Yasuyuki Mizushima
康之 水嶋
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な性能を有するプラスチック光学部材を
安定的に高い生産性で作製すること。 【解決手段】 コア部およびクラッド部からなり、前記
クラッド部分となる中空管を形成後に該中空管に重合性
モノマーを注入重合させて前記コア部を形成するプラス
チック光学部材の製造方法であって、コア部の形成工程
における重合反応を圧力制御下で行い、かつ、圧力を変
化させることを特徴とするプラスチック光学部材の製造
方法。好ましくは、重合反応を少なくとも2段の圧力制
御下で行い、重合初期における加圧量Pが0.01〜
0.2MPa、2段目の加圧量Pは少なくともP
上であり、重合温度Tが前記重合性モノマーの沸点を超
える場合は少なくとも前記重合性モノマーの沸点がT以
上となる加圧量で加熱重合を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラスチック光学部
材の製造方法に関し、特に、屈折率分布型プラスチック
光伝送体の製造に好ましく用いられるプラスチック光学
部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック光学部材は、同一の構造を
有する石英系の光学部材と比較して、製造および加工が
容易であること、および低価格であること等の利点があ
り、近年、光ファイバおよび光レンズなど種々の応用が
試みられている。プラスチック光ファイバは、素線が全
てプラスチックで構成されているため、伝送損失が石英
系と比較してやや大きいという短所を有するものの、良
好な可撓性を有し、軽量で、加工性がよく、石英系光フ
ァイバと比較して口径の大きいファイバとして製造し易
く、さらに低コストに製造可能であるという長所を有す
る。従って、伝送損失の大きさが問題とならいない程度
の短距離用の光通信伝送媒体として種々検討されてい
る。
【0003】プラスチック光ファイバは、一般的には、
重合体をマトリックスとする有機化合物からなる芯(本
発明において「コア部」と称する。)とコア部と屈折率
が異なる(一般的には低屈折率の)有機化合物からなる
外殻(本発明において「クラッド部」と称する。)とか
ら構成される。特に、中心から外側に向かって屈折率の
分布を有するコア部を備えた屈折率分布型プラスチック
光ファイバは、伝送する光信号の帯域を大きくすること
が可能なため、高い伝送容量を有する光ファイバとして
最近注目されている。この屈折率分布型プラスチック光
ファイバの製法の一つに、界面ゲル重合法を利用して、
光ファイバ母材(本発明において、「プリフォーム」と
称する。)を作製し、その後、前記プリフォームを延伸
する方法がある。この製造方法では、まず、クラッド部
となるポリメタクリレート(PMMA)等の重合体から
なる円筒管を作製する。円筒管の形成方法としては、例
えば、樹脂を溶融して押し出す方法や、メチルメタクリ
レート(MMA)等のモノマーを、充分な剛性のある容
器に入れて、該容器を回転させつつ、モノマーを重合さ
せる方法などが挙げられる。
【0004】次に、該円筒管の中空部に屈折率分布を有
するコア部を形成する。コア部に屈折率分布を付与する
方法としては、例えば、特開平2−16504号公報に
は、屈折率分布の異なる2種以上の重合性混合物の積層
状物を同心円状に押出して形成する方法が開示されてい
る。また、プリフォームを重合により得る方法として
は、特開平5−181023号公報および特開平6−1
94530号公報に、重合体からなるクラッド部の内部
に、該クラッド部を形成する重合体と異なる屈折率を有
するコア部を形成可能なモノマー及び重合開始剤等を含
む混合物を滴下しながら加熱重合する方法が開示されて
いる。国際公開WO93/08488号明細書には、重
合体からなる円筒管内にモノマー、重合性の屈折率上昇
剤、および重合開始剤からなる混合物を充填後、加熱重
合してコア部を形成して、コア部に含有される屈折率調
整剤等の濃度分布によって屈折率の分布を生じされる方
法が開示されている。又、特開平4−9730号公報に
は、屈折率の異なる重合体の配合比を連続的に変化させ
る方法が開示されている。このようにして得られたプリ
フォームを、180℃〜250℃程度の雰囲気中で熱延
伸することにより、屈折率分布型プラスチック光ファイ
バが得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ポリマーから
なるコア部を重合により形成する過程で屈折率分布をコ
ア構造内に導入する場合、屈折率の異なる領域はその熱
特性も異なるため、重合条件によっては所望の屈折率分
布をコア構造内に導入できないことがある。また、重合
条件によっては、プリフォーム内部に気泡が混入した
り、もしくはミクロな空隙(void)が発生する場合があ
る。また、密度揺らぎによって得られるプラスチック光
学部材(ファイバ)の光透過性が著しく低下する場合もあ
る。その結果、光ファイバとしての光伝送性能の低下を
もたらすことになる。また、重合条件によっては、プラ
スチック光学部材(ファイバ)の生産性を著しく低下させ
る場合がある。
【0006】本発明は前記諸問題に鑑みなされたもので
あって、プラスチック光学部材を製造する際に加工時の
部材からの発泡を抑制し、生産性に優れたプラスチック
光学部材の製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討を図
った結果、クラッド部の形成時やコア部の重合時に重合
性モノマーに含まれる溶存気体成分が、重合温度や加圧
量により閉じ込められる結果、プラスチック光学部材を
熱加工した際に(熱延伸などによりファイバー化した際
に)コア部となる領域において特にプラスチック光学部
材の上部に気泡およびミクロ空隔が発生するとの知見を
得、この知見に基づいてさらに検討を重ねた結果、重合
前に重合性モノマーから十分に溶存気体を取り除くこと
に加え、加圧量を制御することにより前記課題を解決し
得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】前記の課題を解決するための手段は以下の
通りである。 (1)コア部およびクラッド部からなり、前記クラッド
部分となる中空管を形成後に該中空管に重合性モノマー
を注入重合させて前記コア部を作成するプラスチック光
学部材の製造方法であって、コア部の形成工程における
重合反応を圧力制御下で行い、かつ、圧力を変化させる
ことを特徴とするプラスチック光学部材の製造方法、
(2) 前記クラッド部又はコア部の形成方法であっ
て、前記クラッド部又はコア部を形成する組成物を形成
前に減圧脱気する工程を含む(1)に記載のプラスチッ
ク光学部材の製造方法、(3) 前記コア部となる領域
が、中心から外側に向かって屈折率の分布を有する
(1)または(2)いずれかに記載のプラスチック光学
部材の製造方法、(なお、屈折率の分布は、中心から外
側に向かって、連続的に変化する屈折率分布であること
が好ましい。)(4)前記クラッド部の形成において、
組成物を含む容器を回転させながら前記クラッド部を重
合形成する工程を含み、前記クラッド部を形成する組成
物を含む容器を回転させる前に減圧脱気する工程を含む
(3)に記載のプラスチック光学部材の製造方法、
(5)前記コア部の作成方法であって、前記コア部を形
成する重合性モノマーを前記クラッド内に注入後減圧脱
気する工程を含む(1)〜(4)いずれかに記載のプラ
スチック光学部材の製造方法、(6)コア部重合時にお
いて、十時間半減期温度Th(℃)が下記式1)を満た
す重合開始剤を用い、且つ下記式2)または3)を満た
す初期重合温度T(℃)において前記重合開始剤の半
減期の10%以上の時間重合する工程を含み且、 (Tb−20)≦Th 1) (Tb−10)≦T≦Tg (Tb−10)≦Tgのとき 2) Tg<T<(Tb−10) Tg<(Tb−10)のとき 3) (式1)〜3)中、Tbは前記重合性モノマーの沸点
(℃)を示し、Tgは前記重合性モノマーの重合体のガ
ラス転移点(℃)を示す。) 上記初期重合温度T(℃)で重合した後、下記式4)
及び5)を満たす温度T(℃)に昇温し、さらに重合
する工程を含み、 Tg≦T 4) T<T 5) (式4)中、Tgは前記重合性モノマーの重合体のガラ
ス転移点(℃)を示す。)Tでの加圧量Pは少なく
ともP以上であり、初期重合温度Tが前記重合性モ
ノマーの沸点を超える場合は少なくとも前記重合性モノ
マーの沸点がT以上となる加圧下に加熱重合を行う
(1)〜(5)いずれかに記載のプラスチック光学部材
の製造方法、(7)初期重合温度Tにおける加圧量P
が0.01〜0.2MPaである(6)に記載のプラ
スチック光学部材の製造方法、(8)前記加熱重合工程
において、温度T(℃)で、前記加熱重合工程に用い
る重合開始剤の半減期時間以上重合する(6)又は
(7)に記載のプラスチック光学部材の製造方法、
(9)前記コア部となる領域が、中心から外側に向かっ
て屈折率の分布を有する(1)〜(8)いずれかに記載
のプラスチック光学部材の製造方法。なお、屈折率の分
布は、中心から外側に向かって、連続的に変化する屈折
率分布であることが好ましい。
【0009】なお、本発明において、「中心から外側に
向かって屈折率の分布を有する」とは、中心から外側に
向かう特定の方向において屈折率の分布があればよく、
例えば、前記コア部となる領域が円柱形状の場合は、該
円柱の断面の中心から半径方向外側に向かって屈折率の
分布があれば足りるものであり、円柱の長尺方向にも屈
折率の分布があることを必要とするものではない。
【0010】なお、本発明において、「プラスチック光
学部材」という用語は最も広義に解釈する必要があり、
延伸処理工程によって得られるプラスチック光ファイバ
のほか、光学レンズ、光導波路等、プラスチック光学部
材の全般を含む概念として用いる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の光学部材はプリフォームをまず作成し、
そのプリフォームを用途に応じて加工することにより様
々な部材を得ることができる。例えば、プリフォームを
延伸すれば光ファイバが得られ、プリフォームを断面方
向にスライスすることにより導光材を、さらに屈折率分
布を持ったプリフォームである場合はレンズを得ること
ができる。
【0012】まず本発明の製造方法に用いられるプラス
チック光学部材の種々の原材料について説明する。本発
明において、プラスチック光学部材のクラッド部は重合
体からなる。クラッド部は、伝送される光信号をコア部
に留めるため、コア部の屈折率より低い屈折率を有して
いるのが好ましく、また、伝送される光に対して透過性
であるのが好ましい。例えば、国際公開WO93/08
488号公報に記載されているようなポリメチルメタク
リレート(PMMA)、重水素化ポリメチルメタクリレ
ート(PMMA−d8)、ポリトリフルオロエチルメタ
クリレート(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプ
ロピル2−フルオロアクリレート(HFIP 2−F
A)などのホモポリマー、これらモノマーの2種以上か
らなる共重合体、およびそれらの混合物が挙げられる。
コア部を構成する重合体と同一の原料を用いるのが、コ
ア/クラッド界面の透明性が保持できる点で好ましい。
【0013】本発明において、プラスチック光学部材の
コア部は重合体からなる。コア部は、伝送される光に対
して光透過性である限り特に制約はないが、伝送される
光信号の伝送損失が少ない材料を用いるのが好ましい。
例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)をはじ
めとする(メタ)アクリル酸系樹脂やその共重合体をあげ
ることができる。また、光学部材を近赤外光用途に用い
る場合は、構成するC−H結合の振動モードに起因した
吸収損失が起こるために、国際公開WO93/0848
8号公報に記載されているようにC−H結合の水素原子
を重水素原子で置換した重合体を用いることができる。
その他にも、フッ素置換したモノマーの重合体、例え
ば、重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d
8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレート(P3F
MA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル2−フルオロ
アクリレート(HFIP 2−FA)などのホモポリマ
ー、これらモノマーの2種以上からなる共重合体、およ
びそれらの混合物が挙げられる。塊状重合が容易である
原料を選択し、単一ポリマーにてコア部を形成するのが
好ましい。また、これらのモノマーが有する水素原子を
重水素原子(D)またはハロゲン原子(X)で置換した
モノマーからなるホモポリマー、共重合体またはこれら
の混合物を適用することもできる。特定の波長領域にお
いて、C−H結合に起因する光伝送損失が生じるが、H
をDまたはXで置き換えることにより、この伝送損失を
生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の
損失を軽減することができる。これらはクラッド部と同
様に、重合後の透明性を損なわないためにも、不純物や
散乱源となる異物は低減させることが望ましい。
【0014】コア部およびクラッド部の原料であるモノ
マーを重合する際に、重合状態や重合速度を制御した
り、熱延伸工程に適する分子量に制御することを目的と
して、重合開始剤および連鎖移動剤を添加することがで
きる。重合開始剤としては、用いるモノマーに応じて適
宜選択することができる。例えば、国際公開WO93/
08488号公報に記載されているような、過酸化ベン
ゾイル(BPO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド
(PBD)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボ
ネート(PBI)、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)バラレート(PHV)などが挙げられ
る。更に、ジメチルアゾビスイソブチレートなどのアゾ
系開始剤も好適に用いることが出来る。なお、これら重
合開始剤は、2種類以上を併用して使用してもよい。
【0015】連鎖移動剤は、主に重合体の分子量の調整
のために用いられ、モノマーに応じて適宜選択すること
ができる。モノマーとしてメチルメタクリレート系モノ
マーを用いた場合は、連鎖移動剤としては、例えば国際
公開WO93/08488号公報に記載のような、アル
キルメルカプタン類(n−ブチルメルカプタン、n−ペ
ンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−
ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン
等)、チオフェノール類(チオフェノール、m−ブロモ
チオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トル
エンチオール、p−トルエンチオール等)などを用いる
のが好ましく、中でも、n−オクチルメルカプタン、n
−ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンの
アルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C
−H結合の水素原子が重水素原子で置換された連鎖移動
剤を用いることもできる。なお、前記連鎖移動剤は、2
種類以上を併用してもよい。
【0016】コア部が、中心から外側に向かって屈折率
の分布を有している(以下、「屈折率分布型コア部」と
称する)と、高い伝送容量を有する屈折率分布型プラス
チック光ファイバとなるので好ましい。屈折率分布型コ
ア部は、屈折率調整剤を用いることにより形成できる。
屈折率調整剤は、コア部の原料となるモノマーに添加し
た後、重合することにより、コア部に含有させることが
できる。屈折率調整剤は、国際公開WO93/0848
8号公報や特開平5−173026号公報に記載されて
いるような、モノマーの合成によって生成される重合体
との比較において溶解性パラメータとの差が7(cal
/cm1/2以内であると共に、屈折率の差が0.
001以上であり、これを含有する重合体が無添加の重
合体と比較して、屈折率が高くなる性質を有するものを
いう。この性質を有し、重合体と安定して共存可能で、
且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱
および加圧等の重合条件)下において安定であるもの
を、いずれも用いることができる。例えば、安息香酸ベ
ンジル(BEN)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸
トリフェニル(TPP)、フタル酸ベンジルnブチル
(BBP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ビフェニ
ル(DP)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリ
クレジル(TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPS
O)、および特開平8−110421号公報に記載され
ているものなどが挙げられる。なお、これらの化合物中
に存在する水素原子を重水素やフッ素などに置換した化
合物も広い波長域での透明性を向上させる目的で用いる
ことができる。中でも、BEN、DPS、TPP、DP
SOが好ましい。また、特開平08−110420号公
報に記載されているように、この屈折率調整剤が、70
℃以下で固体である材料を用いると、屈折率調整剤のモ
ビリティーを抑えて延伸加工することができ、延伸時に
拡散し難くなるので好ましい。
【0017】屈折率調整剤の、コア部における濃度およ
び分布を調整することによって、プラスチック光ファイ
バの屈折率を所望の値に変化させることができる。その
添加量は、用途および組み合わされるコア部原料などに
応じて適宜選ばれる。なお、屈折率調整剤を用いなくと
も、コア部の形成に2種以上の重合性モノマーを用い、
コア部内に共重合比の分布を持たせることによって、屈
折率分布構造を導入することもできる。
【0018】その他、コア部およびクラッド部には、光
伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加
することができる。例えば、クラッド部およびコア部の
耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加
することができる。また、光伝送性能の向上を目的とし
て、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加すること
もできる。該化合物を添加することにより、減衰した信
号光を励起光により増幅することができ、伝送距離が向
上するので、例えば、光伝送リンクの一部にファイバ増
幅器として使用することができる。これらの添加剤も、
前記原料モノマーに添加した後、重合することによっ
て、コア部およびクラッド部に含有させることができ
る。
【0019】以下、本発明の実施の形態を詳細に説明す
る。本発明の一実施形態は、クラッド部となる中空管を
作製する第1の工程と、前記中空管の中空部で重合を行
うことによりコア部となる領域を形成し、コア部および
クラッド部に各々対応する領域からなるプリフォームを
作製する第2の工程(加熱重合工程)と、得られたプリ
フォームを種々の形態に加工する第3の工程とを有す
る。本発明はこの第2工程において、重合反応を制御し
た圧力下で行うことを特徴とするプラスチック光学部材
の製造方法である。本発明の重合時の圧力制御によっ
て、重合時に発生する気泡を抑制することができる。
【0020】加圧する場合は窒素等の不活性ガスで重合
容器内を加圧し、不活性ガス雰囲気の下に制御された圧
力下で重合を進行させるのが好ましい。この時の加圧の
好ましい範囲については、用いるモノマーによって異な
るが、初期重合時の加圧量は、0.01〜0.2MPa
程度が好ましく、重合時にモノマーや中空管に存在する
気体成分を効果的に除去する観点では0.05〜0.1
MPaがより好ましい。また、重合前のモノマーに溶存
している気体が重合時に閉じ込められ、重合完了時に気
泡が残存したり、熱延伸時にプリフォームが発泡するこ
とを防ぐため、重合前に重合性モノマーの脱気およびク
ラッドへ重合性モノマーを注入した後に脱気することに
より溶存気体を除去しておくことが好ましい。さらに、
コア部の重合が界面ゲル重合で進む場合はクラッド部の
内壁を溶解しながらコア部の重合が進むため、結果的に
コア部へクラッド部に内在する気体成分が溶解し発泡の
原因となるため、クラッド部にも溶存する気体成分はな
いことが好ましい。そのため、クラッド部の製造時にも
気泡抑制のため予め原料モノマーの脱気を行うことが好
ましく、さらに重合容器へ原料モノマーを注入した後に
も脱気を行っておくことが好ましい。重合時における圧
力制御はその重合反応の進行に応じて、2段以上で行う
ことが好ましく、重合初期における加圧量Pが0.0
1〜0.2MPaで行うことにより、コア重合に用いる
重合性モノマーに存在しうる気体成分を効果的に除去で
きるという点で好ましく、2段目の加圧量Pは少なく
ともP以上にすることで、重合後期に生じるポリマー
転化に伴う体積収縮の応答に追随させることでボイドの
形成や気泡核の発生を抑制できる点で好ましく、更に重
合温度Tが前記重合性モノマーの沸点を超える場合は少
なくとも前記重合性モノマーの沸点がT以上となる加圧
量で加熱重合を行うことで、モノマーの沸騰による重合
時の発泡を抑制できるという点で好ましい。加圧量P
は加圧量Pの20%以上であることが好ましく、50
%以上であることがより好ましい。なお、この値は加圧
量を連続で変化させた場合はその差の最大値をいう。上
限としては重合体に変形、変質等の悪影響が起こらない
程度まで上げることが可能である。なお、本発明おいて
「加圧量」とは、大気圧を基準にして加える圧力をい
う。
【0021】また、前記第2の工程(加熱重合工程)に
おいては、重合状態は重合温度に影響を受けるため、重
合温度を制御することが好ましい。例えば、(Tb−1
0)≦Tgの場合を例にとると、初期温度を下記式7)
を満たすT℃に維持した後、下記式8)を満たすT
℃に昇温することが好ましい。前記第2の工程におい
て、十時間半減期温度Th(℃)が下記式6)を満たす
重合開始剤を用い、且つ下記式7)を満たす初期重合温
度T(℃)において前記重合開始剤の半減期の10%
以上の時間重合した後Tより高い温度T(式9))
でさらに重合することが好ましい。 (Tb−20)≦Th 6) (Tb−10)≦T≦Tg 7) Tg≦T≦(Tg+40) 8) T<T 9) 式6)〜8)中、Tbは前記重合性モノマーの沸点
(℃)を示し、Tgは前記重合性モノマーの重合体のガ
ラス転移点(℃)を示す。
【0022】本発明の実施の形態において、前記第1の
工程では、クラッド部となる円筒管を作製する。例え
ば、国際公開WO93/08488号公報に記載されて
いるように、円筒形状の重合容器に、前述のクラッド部
の原料となるモノマーを注入し、該重合容器を回転(好
ましくは、円筒の軸を水平に維持した状態で回転)させ
つつ、前記モノマーを重合させることにより、重合体か
らなる円筒管を作製することができる。この時に、特開
平8−110419号公報に記載されている様に、原料
をプレ重合して原料の粘度を上昇させてから、重合を行
ってもよい。なお、一旦重合した重合体を押し出し成型
する方法により円筒管を作製する場合においては前述の
ように溶融した重合体を脱気して溶存している気体を除
去することが好ましい。
【0023】重合容器内には、モノマーとともに、重合
開始剤、連鎖移動剤、および所望により添加される安定
剤などを注入することができる。その添加量について
は、用いるモノマーの種類等に応じて好ましい範囲を適
宜決定することができるが、重合開始剤は、一般的には
モノマーに対して、0.10〜1.00質量%添加する
ことが好ましく、0.40〜0.60質量%添加するこ
とがより好ましい。前記連鎖移動剤は、一般的にはモノ
マーに対して、0.10〜0.90質量%添加すること
が好ましく、0.15〜0.70質量%添加することが
より好ましい。重合温度および重合時間は、前述の通り
で、重合時間は5〜100時間であるのが一般的であ
る。
【0024】前記回転重合後に、残存するモノマーや重
合開始剤を完全に反応させることを目的として、該回転
重合の重合温度より高い温度において加熱処理を施して
もよい。
【0025】また、前記第1の工程では、一旦、重合体
を作製した後、押し出し成形等の成形技術を利用して、
所望の形状(本実施の形態では円筒形状)の構造体を得
ることもできる。なお、溶融押出の場合は前述のように
溶融した重合体を脱気して巻き込んでいる気体を除去す
ることが好ましい。
【0026】前記第2の工程では、前記第1の工程で作
製したクラッド部となる円筒管の中空部に前述の原料で
あるモノマーを注入し、該モノマーを加熱重合する。前
記モノマーとともに、重合開始剤、連鎖移動剤および所
望により添加される屈折率調整剤などを注入することが
できる。その添加量については、用いるモノマーの種類
等に応じて好ましい範囲を適宜決定することができる
が、重合開始剤は、一般的にはモノマーに対して、0.
005〜0.050質量%添加するのが好ましく、0.
010〜0.020質量%添加するのがより好ましい。
前記連鎖移動剤は、一般的にはモノマーに対して、0.
10〜0.40質量%添加するのが好ましく、0.15
〜0.30質量%添加するのがより好ましい。なお、重
合前の原料の調整においては前述のように重合性組成物
を脱気して溶存している気体を除去することが好まし
い。
【0027】前記第2の工程では、前記クラッド部とな
る円筒管内に充填された重合性モノマーが、いわゆる界
面ゲル重合法により重合する。界面ゲル重合法では、前
記重合性モノマーの重合は、前記クラッド部となる円筒
管の内壁面から断面の半径方向、中心に向かって進行す
る。2種以上の重合性モノマーを用いた場合は、前記円
筒管を構成している重合体に対して親和性の高いモノマ
ーが前記円筒管の内壁面に偏在して主に重合し、該モノ
マーの比率の高い重合体が形成される。中心に向かうに
従って、形成された重合体中の前記親和性の高いモノマ
ーの比率は低下し、他のモノマーの比率が増加する。こ
のようにして、コア部となる領域内にモノマー組成の分
布が生じ、その結果、屈折率の分布が導入される。ま
た、重合性モノマーに屈折率調整剤を添加して重合する
と、国際公開WO93/08488号公報に記載されて
いるように、コア液がクラッド内壁を溶解しクラッドを
構成している重合体が膨潤してゲルを構成しながら、重
合が進む。この時、前記円筒管を構成している重合体に
対して親和性の高いモノマーが前記円筒管表面に偏在し
て重合し、外側には屈折率調整剤濃度が低い重合体が形
成される。中心に向かうに従って、形成された重合体中
の該屈折率調整剤の比率は増加する。このようにして、
コア部となる領域内に屈折率調整剤の濃度分布が生じ、
その結果、屈折率の分布が導入される。
【0028】上記説明したように、第2の工程におい
て、形成されるコア部となる領域に屈折率の分布が導入
されるが、屈折率が互いに異なる部分間は熱挙動も互い
に異なるので、重合を一定温度で行うと、その熱挙動の
違いからコア部となる領域には、重合反応に対して発生
する体積収縮の応答性が変化し、プリフォーム内部に気
泡が混入する、もしくはミクロな空隙が発生し、得られ
たプリフォームを加熱延伸した際に多数の気泡が発生す
る現象が生じる可能性がある。重合温度が低過ぎると、
重合効率が低下し、生産性を著しく損ない、重合が不完
全となって光透過性が低下し、作製される光学部材の光
伝送能を損なう。一方、初期の重合温度が高過ぎると、
初期の重合速度が著しく上昇し、コア部となる領域の収
縮に対して応答緩和できず、気泡発生の傾向が著しい。
【0029】本発明の一実施態様では、初期の重合温度
を下記式を満たす温度T℃に維持し、重合速度を減少
させて初期重合における体積収縮性の緩和応答性を改善
している。なお、下記式中、Tbは前記重合性モノマー
の沸点(℃)を示し、Tgは前記重合性モノマーの重合
体のガラス転移点(℃)を示す。以下、同様である。 (Tb−10)≦T≦Tg (Tb−10)≦Tgのとき) 10) (Tg−10)<T<Tg Tg<(Tg−10)のとき 11)
【0030】さらに、本発明の一実施態様では、所定の
時間T℃に維持して重合した後、下記式12)及び1
3)を共に満たす温度T℃まで昇温して、さらに重合
する。 Tg ≦T≦(Tg+40) 12) T<T 13) 温度をT℃まで昇温して重合を完結すると、光透過性
が低下するのを防止でき、光伝送能の良好な光学部材が
得られる。また、プリフォーム熱劣化や解重合の影響を
抑制しつつ、内部に存在するポリマー密度の揺らぎを解
消し、プリフォームの透明性を向上させることができ
る。ここで、T(℃)は、Tg(℃)以上(Tg+3
0)℃以下であるのが好ましく、(Tg+10)℃近傍
の温度で行うことが特に好ましい。TがTg未満であ
ると、この効果を得ることはできず、(Tg+40)を
越えてしまうと、熱劣化や解重合により、プリフォーム
の透明性が低下する傾向がある。さらに屈折率分布型の
コア部を形成する場合は、屈折率分布が崩れてしまい、
光学部材としての性能が顕著に低下する。
【0031】温度T℃での重合は、重合開始剤が残留
しないように、重合が完結するまで行うことが好まし
い。プリフォーム内に未反応の重合開始剤が残っている
と、プリフォーム加工時、特に溶融延伸において、加熱
された未反応の重合開始剤が分解して気泡などを発生す
るおそれがあるため、重合開始剤の反応を終了させてお
くのが好ましい。温度T℃の保持時間は、用いる重合
開始剤の種類によって好ましい範囲が異なり、温度T
℃での重合開始剤の半減期時間以上とするのが好まし
い。
【0032】また、本発明の一実施態様においては、重
合性モノマーの沸点をTb℃とした場合に、重合開始剤
として、十時間半減期温度Thが(Tb−20)℃以上
である化合物を用い、前記式7)を満たすT℃で該重
合開始剤の半減期の10%以上の時間(好ましくは25
%の時間)重合することも、同様な観点から好ましい。
十時間半減期温度が(Tb−20)℃以上である化合物
を重合開始剤として用い、前記初期重合温度T℃で重
合すると、初期の重合速度を減少させることができる。
また、前記初期温度で、前記重合開始剤の半減期時間の
10%以上の時間まで重合することにより、初期重合に
おける体積収縮応答に対し圧力により速やかに追随させ
ることができる。即ち、前記条件とすることで、初期重
合速度を減少させ、初期重合における体積収縮応答性を
向上させることができ、その結果、プリフォーム中の体
積収縮による気泡混入を軽減することができ、生産性を
向上することができる。なお、重合開始剤の十時間半減
期温度とは、重合開始剤が分解して、十時間でその数が
1/2になる温度をいう。
【0033】前記式6)の条件を満たす重合開始剤を用
いて、初期重合温度T℃で前記開始剤の半減期時間の
10%以上の時間重合する場合、重合を完結するまで温
度T ℃に維持してもよいが、光透過性の高い光学部材
を得るには、T℃より高い温度に昇温して、重合を完
結するのが好ましい。昇温時の温度は前記式8)を満た
すT℃であるのが好ましく、より好ましい温度範囲も
前述の通りであり、温度T℃の保持時間の好ましい範
囲も前述の通りである。
【0034】本実施の形態において、重合性モノマーと
して、沸点Tb=100℃のメチルメタクリレート(M
MA)を用いた場合、十時間半減期温度が(Tb−2
0)=80℃以上の重合開始剤としては、前述の例示し
た重合開始剤のうち、PBDおよびPHVが該当する。
例えば、重合性モノマーとしてMMAを用い、重合開始
剤としてPBDを用いた場合は、初期重合温度を100
〜110℃に48〜72時間維持し、その後、120〜
140℃まで昇温して24〜48時間重合するのが好ま
しく、重合開始剤としてPHVを用いた場合は、初期重
合温度を100〜110℃に4〜24時間維持し、12
0〜140℃まで昇温して24〜48時間重合するのが
好ましい。なお、昇温は段階的に行っても、連続的に行
ってもよいが、昇温にかける時間は短いほうがよい。
【0035】前記第2の工程においては、特開平9−2
69424記載のように加圧するもしくは国際公開WO
93/08488に記載されているように減圧して重合
を行っても良い。これら操作により、重合性モノマーの
沸点近傍の温度である前記式7)を満たすTおよびT
℃での重合の重合効率を向上させることができる。加
圧状態で重合を行う(以下、加圧状態で行う重合を「加
圧重合」という)場合は、前記モノマーを注入したクラ
ッド部となる円筒管を、治具の中空部に挿入して、治具
に支持された状態で重合を行うのが好ましい。前記治具
は、前記円筒管を挿入可能な中空を有する形状であり、
該中空部は前記円筒管と類似の形状を有しているのが好
ましい。本実施の形態では、クラッド部は円筒管である
ので、前記治具も円筒形状であるのが好ましい。治具
は、加圧重合中に前記円筒管が変形するのを抑制すると
ともに、加圧重合が進むに従ってコア部となる領域が収
縮するのを緩和可能に支持する。従って、治具の中空部
は、前記クラッド部となる円筒管の外径より大きい径を
有し、前記クラッド部となる円筒管を非密着状態で支持
するのが好ましい。前記治具の中空部は、前記クラッド
部となる円筒管の外径に対して0.1%〜40%だけ大
きい径を有しているのが好ましく、10〜20%だけ大
きい径を有しているのがより好ましい。
【0036】前記クラッド部となる円筒管を治具の中空
部に挿入した状態で、重合容器内に配置することができ
る。重合容器内において、前記クラッド部となる円筒管
は、円筒の高さ方向を垂直にして配置されるのが好まし
い。前記治具に支持された状態で前記クラッド部となる
円筒管を、重合容器内に配置した後、前述のように圧力
の制御下でコア部作成のための重合反応を進める。
【0037】以上の工程によって得られたプリフォーム
は、前記第2の工程で重合温度を制御することにより、
均一な屈折率の分布および充分な光透過性を有するとと
もに、気泡およびマクロ空隔等の発生は抑制されてい
る。従って、高い利用効率で前記プリフォームからプラ
スチック光伝送体が安定的に得られる。
【0038】第3の工程では、第2の工程で作製された
プリフォームを加工することで所望の光伝送体を得るこ
とができる。例えば、プリフォームをスライスすること
で平板上のレンズを得たり、溶融延伸してプラスチック
光ファイバを得ることができる。特に、プリフォームの
コア部となる領域が屈折率分布を有する場合は、均一な
光伝送能を有するプラスチック光ファイバを生産性高く
しかも安定的に製造することができる。
【0039】延伸は、例えば、プリフォームを加熱炉
(例えば円筒状の加熱炉)等の内部を通過させることに
よって加熱し、溶融させた後、引き続き連続して延伸紡
糸するのが好ましい。加熱温度は、プリフォームの材質
等に応じて適宜決定することができるが、一般的には、
180〜250℃が好ましい。延伸条件(延伸温度等)
は、得られたプリフォームの径、所望のプラスチック光
ファイバの径および用いた材料等を考慮して、適宜決定
することができる。特に、屈折率分布型光ファイバにお
いては、その断面の中心方向から円周に向け屈折率が変
化する構造を有するため、この分布を破壊しないよう
に、均一に加熱且つ延伸紡糸する必要がある。従って、
プリフォームの加熱には、プリフォームを断面方向にお
いて均一に加熱可能である円筒形状の加熱炉等を用い、
且つ延伸紡糸は、中心位置を一定に保つ調芯機構を有す
る延伸紡糸装置を用いて行うのが好ましい。また、線引
張力は、特開平7−234322号公報に記載されてい
るように、溶融したプラスチックを配向させるために
0.1N(10g重)以上とすることができ、もしくは
特開平7−234324号公報に記載されているよう
に、溶融延伸後に歪みを残さないようにするために1N
(100g重)以下とすることが好ましい。また、特開
平8−106015号公報に記載されているように、延
伸の際に予備加熱工程を実施する方法などを採用するこ
ともできる。
【0040】以上の方法によって得られたファイバにつ
いては、得られる素線の破断伸びや硬度を、特開平7−
244220号公報に記載されている様に規定すること
で、ファイバの曲げや側圧特性を改善することができ
る。
【0041】第3の工程を経て製造されたプラスチック
光ファイバは、そのままの形態で種々の用途に供するこ
とができる。また、保護や補強を目的として、その外側
に被覆層を有する形態、繊維層を有する形態、および/
または複数のファイバを束ねた形態で、種々の用途に供
することができる。被覆工程は、例えばファイバ素線に
被覆を設ける場合では、ファイバ素線の通る穴を有する
対向したダイスにファイバ素線を通し、対向したダイス
間に溶融した被覆用の樹脂を満たし、ファイバ素線をダ
イス間を移動させることで実施することができる。被覆
層は、可撓時に内部のファイバへの応力から保護するた
め、ファイバ素線と融着していないことが望ましい。さ
らに、被覆工程において、ファイバ素線は、溶融した樹
脂と接すること等により、熱的ダメージを受ける。この
熱的ダメージが最小限となるように、ファイバ素線の移
動速度に設定し、且つ被覆層として低温で溶融できる樹
脂を選ぶことが好ましい。なお、被覆層の厚みは、被覆
層用樹脂の溶融温度や、ファイバ素線の引き抜き速度、
被覆層の冷却温度によって調整することができる。
【0042】その他、ファイバに被覆層を形成する方法
としては、光学部材に塗布したモノマーを重合させる方
法、シートを巻き付ける方法、押し出し成形した中空管
に光学部材を通す方法などが知られている。
【0043】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更する
ことができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体
例に制限されるものではない。 (実施例1) (クラッド部作成)予定するプリフォームの外径に対応
する内径を有する十分な剛性を持った内径22mmおよ
び長さ600mmの円筒状の重合容器に、水分を100
ppm以下に除去したメチルメタクリレート(MMA)
の液体を所定量注入した。重合開始剤として脱水精製し
た過酸化ベンゾイルをMMAに対して0.5質量%、連
鎖移動剤(分子量調整剤)としてn−ドデシルメルカプ
タンをMMAに対して0.62質量%配合した。その
後、MMA溶液が注入された重合容器を減圧下において
5分間超音波脱気を行った後密封し、MMA溶液の注入
された重合容器を70℃湯浴中に入れ、震盪を加えなが
ら2時間予備重合を行った。その後、該重合容器を70
℃にて水平状態(円筒の高さ方向が水平となる状態)に
保持し、3000rpmにて回転させながら3時間加熱
重合した。その後、90℃で24時間の熱処理し、ポリ
メチルメタクリレート(PMMA)からなる円筒管を得
た。
【0044】(コア部作成)次に、PMMAからなる円
筒管の中空部に、コア部の原料であるMMA(水分を1
00ppm以下に除去したもの)と、屈折率調整剤とし
て硫化ジフェニルをMMAに対して12.5質量%混合
した溶液を、精度0.2μmの四フッ化エチレン製メン
ブランフィルターで濾過しつつ、濾液を直接注入した。
開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド(十時間半
減期温度は123.7℃)をMMAに対し0.016質
量%、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタンをMMA
に対し0.27重量%配合した。このMMA等を注入し
たPMMAからなる円筒管は減圧下にて5分間超音波脱
気を行った後に、該PMMA円筒管外径に対し9%だけ
広い内径を持つガラス管内に挿入した状態で、加圧重合
容器に垂直に静置した。その後、加圧重合容器内を窒素
雰囲気に置換した後、0.1MPaまで加圧し、以下の
図1に示す様に、MMAの沸点Tb(100℃)に対し
て(Tb−10)℃以上で、且つPMMAのガラス転移
温度(Tg:110℃)以下である100℃で、48時
間加熱重合した。その後、加圧量を0.6MPaに増加
させPMMAのTg℃以上で且つ(Tg+40)℃以下
である120℃で、24時間加熱重合および熱処理を行
い、重合完了後、加圧量を0.6Mpaに保持したまま
0.01℃/minの冷却速度にてプリフォームのコア部T
g以下となる80℃まで降温した後にプリフォームを得
た。なお、100℃におけるジ−t−ブチルパーオキサ
イドの半減期は180時間で、120℃における半減期
は15時間である。
【0045】得られたプリフォームには、重合完了時に
体積収縮による気泡の混入はなかった。このプリフォー
ムを230℃の熱延伸により線引きを行い、直径約70
0〜800μmのプラスチック光ファイバを製造した。
延伸工程において、プリフォームには気泡の発生は観察
されず、安定して300mのファイバを得ることができ
た。得られたファイバの伝送損失値を測定したところ、
波長650nmにて165dB/kmであった。また、
得られたファイバ100mの伝送帯域を測定したとこ
ろ、1.5GHzであった。
【0046】(比較例1)温度120℃で48時間重合
し且、重合時の加圧量を0.8Mpaとした以外は、例
1と同様の方法で光ファイバを作製した。得られたプリ
フォームは、初期の重合速度の上昇と重合時におけるコ
ア部気体の閉じ込めにより、延伸時に特にプリフォーム
上部より気泡が生じた。
【発明の効果】本発明によれば、良好な性能を有するプ
ラスチック光ファイバを安定的に高い生産性で作製する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例における加熱重合の昇温パターン例を
示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三好 孝仁 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 小倉 徹 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 白倉 幸夫 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 水嶋 康之 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H050 AA17 AB43X AB43Y AB44X AB44Y AB50X AB50Y AC05 4J011 AB04 AB05 GA05 GB04 GB07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コア部およびクラッド部からなり、前記
    クラッド部分となる中空管を形成後に該中空管に重合性
    モノマーを注入重合させて前記コア部を形成するプラス
    チック光学部材の製造方法であって、コア部の形成工程
    における重合反応を圧力制御下で行い、かつ、圧力を変
    化させることを特徴とするプラスチック光学部材の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記クラッド部又はコア部の形成方法で
    あって、前記クラッド部又はコア部を形成する組成物を
    形成前に減圧脱気する工程を含む請求項1に記載のプラ
    スチック光学部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記コア部となる領域が、中心から外側
    に向かって屈折率の分布を有する請求項1または2いず
    れかに記載のプラスチック光学部材の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006033251A1 (en) * 2004-09-22 2006-03-30 Fujifilm Corporation Plastic optical fiber preform and method for manufacturing the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006033251A1 (en) * 2004-09-22 2006-03-30 Fujifilm Corporation Plastic optical fiber preform and method for manufacturing the same

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