JP2003321514A - 光学部材用重合性組成物および光学部材 - Google Patents

光学部材用重合性組成物および光学部材

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JP2003321514A
JP2003321514A JP2002348131A JP2002348131A JP2003321514A JP 2003321514 A JP2003321514 A JP 2003321514A JP 2002348131 A JP2002348131 A JP 2002348131A JP 2002348131 A JP2002348131 A JP 2002348131A JP 2003321514 A JP2003321514 A JP 2003321514A
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Masaki Okazaki
正樹 岡崎
Hiroki Sasaki
広樹 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い光伝送能を有する光学部材および該光学
部材を低コストで製造可能な光学部材用重合性組成物を
提供する。 【解決手段】 それぞれの単独重合体における屈折率差
が0.005以上である複数の重合性モノマーと、前記
重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤とを含有
し、前記重合性モノマーのうち少なくとも1種がハロゲ
ン原子で置換された炭素原子および重水素原子で置換さ
れた炭素原子を含む光学部材用重合性組成物である。ま
た、屈折率の大きさに分布を有する屈折率分布領域を有
する光学部材であって、前記屈折率分布領域が前記光学
部材用重合性組成物を重合させてなる光学部材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラスチック光学部
材およびその製造に用いられる重合性組成物の技術分野
に属し、特に、光ファイバ、光導波路および光学レンズ
等に好ましく用いられるプラスチック光学部材およびそ
の製造に用いられる重合性組成物の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック光学部材は、同一の構造を
有する石英系の光学部材と比較して、製造および加工が
容易であること、および低価格であること等の利点があ
り、近年、光ファイバおよび光レンズなど種々の応用が
試みられている。これら光学部材の中でも、プラスチッ
ク光ファイバは、素線が全てプラスチックで構成されて
いるため、伝送損失が石英系と比較してやや大きいとい
う短所を有するものの、良好な可撓性を有し、軽量で、
加工性がよく、石英系光ファイバと比較して口径の大き
いファイバとして製造し易く、さらに低コストに製造可
能であるという長所を有する。従って、伝送損失の大き
さが問題とならいない程度の短距離用の光通信伝送媒体
として種々検討されている。
【0003】プラスチック光ファイバは、一般的には、
重合体をマトリックスとする有機化合物からなる芯(本
明細書において「コア部」と称する)とコア部と屈折率
が異なる(一般的には低屈折率の)有機化合物からなる
外殻(本明細書において「クラッド部」と称する)とか
ら構成される。特に、中心から外側に向かって屈折率の
大きさに分布を有するコア部を備えた屈折率分布型プラ
スチック光ファイバは、伝送する光信号の帯域を大きく
することが可能なため、高い伝送容量を有する光ファイ
バとして最近注目されている。
【0004】この様な屈折率分布型光学部材の製法の一
つに、重合体を形成するモノマーに対して非溶解性の屈
折率調整剤を利用して、光学部材母材(本明細書におい
て、「プリフォーム」と称する)を作製し、その後、所
望の形態に前記プリフォームを加工する方法がある。こ
の製造方法では、まず、メチルメタクリレート(MM
A)等のモノマーを、充分な剛性のある容器に入れて、
該容器を回転させつつ、モノマーを重合させて、ポリメ
チルメタクリレート(PMMA)等の重合体からなる円
筒管を作製する。該円筒管はクラッド部となる。次に、
該円筒管の中空部に屈折率分布を有するコア部を形成す
る。コア部に屈折率分布を付与する方法としては、例え
ば、平2−16504号公報には、屈折率分布の異なる
2種以上の重合性混合物の積層状物を同心円状に押出し
て形成する方法が開示されている。また、プリフォーム
を重合により得る方法としては、特開平5−18102
3号公報および特開平6−194530号公報に、重合
体からなるクラッド部の内部に、該クラッド部を形成す
る重合体と異なる屈折率を有するコア部を形成可能なモ
ノマーおよび重合開始剤等を含む混合物を滴下しながら
加熱重合する方法が;国際公開WO93/08488号
公報には、重合体からなる円筒管内にモノマー、重合性
の屈折率調整剤、および重合開始剤からなる混合物を充
填後、加熱重合してコア部を形成して、コア部に含有さ
れる屈折率調整剤等の濃度分布によって屈折率の分布を
生じさせる方法、および特開平4−9730号公報に
は、屈折率の異なる重合体の配合比を連続的に変化させ
る方法が開示されている。このようにして得られたプリ
フォームを溶融延伸することにより、屈折率分布型プラ
スチック光ファイバが得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した様
に、プラスチック光ファイバには光伝送損失が大きいと
いう問題がある。プラスチック光ファイバでは、光伝送
損失は主に、材料中に存在するC−H結合の伸縮振動に
よる光吸収に起因して生じる。材料を重水素化し、材料
中のC−H結合をC−D結合にすることにより光伝送損
失が低減できることが国際公開WO93/08488号
公報等に開示されているが、光伝送損失の低減効果が充
分となる程度に重水素化された材料は、きわめて高価で
あり、その使用は実用に沿わない。さらに、重水素化し
た重合体では置換されていない物と光吸収以外の特性に
対する変化は少なく、光伝送体としてアクリル系樹脂を
用いた場合、その高い吸湿性は重水素化に影響されず、
吸湿による水分の酸素−水素の振動の高調波が伝送損失
の妨げになる。一方で、特開昭60−260905号公
報で開示されている様な重水素の代わりにフッ素を導入
して炭素−水素結合を排除する方法では、屈折率、耐熱
性、機械的特性などの低下が起きるため望ましい組成物
とはいえない。また、屈折率分布型プラスチック光ファ
イバでは、用いる高分子の屈折率が適切な範囲にない
と、屈折率分布構造を形成するのが困難となり、光伝送
能が不十分となる場合があるなどの問題もある。また、
屈折率調整剤等の濃度分布によって屈折率の分布を生じ
させる方法においては、該屈折率調整剤が可塑剤と同様
に機能し、光ファイバのガラス転移点を低下せしめ耐熱
性を損なわせることも懸念されている。
【0006】本発明は前記諸問題に鑑みなされたもので
あって、低コストで製造可能であり、且つ光伝送損失が
低減された、高い光伝送能を有する光学部材およびその
製造に有用な光学部材用重合性組成物を提供することを
課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。 <1> それぞれの単独重合体における屈折率差が0.
005以上である複数の重合性モノマーと、前記重合性
モノマーの重合を開始させる重合開始剤とを含有し、前
記重合性モノマーのうち少なくとも1種がハロゲン原子
で置換された炭素原子および重水素原子で置換された炭
素原子を含む光学部材用重合性組成物。<2> 前記複
数の重合性モノマーが、ハロゲン原子で置換された炭素
原子を含むアルコールと重水素原子で置換された炭素原
子を含むプロペン酸またはその誘導体とのエステルであ
るプロペン酸エステル誘導体である<1>に記載の光学
部材用重合性組成物。 <3> 前記プロペン酸またはその誘導体が、(メタ)ア
クリル酸またはその誘導体である<2>に記載の光学部
材用重合性組成物。 <4> それぞれの単独重合体における屈折率差が0.
005以上である複数のプロペン酸エステル誘導体を主
成分とする重合性モノマーと、前記重合性モノマーの重
合を開始させる重合開始剤とを含有し、前記プロペン酸
エステル誘導体がハロゲン原子で置換された炭素原子を
含むアルコールと重水素原子で置換された炭素原子を含
むプロペン酸またはその誘導体とのエステルであること
を特徴とする光学部材用重合性組成物。 <5> 前記アルコールが下記一般式(1)で表される
化合物である<2>〜<4>のいずれかに記載の光学部
材用重合性組成物。
【0008】
【化1】
【0009】式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原
子で置換されたアルキル基を表し、R2およびR3は各々
独立して、水素原子、重水素原子またはアルキル基を表
す。
【0010】<6> 前記ハロゲン原子がフッ素原子で
ある<1>〜<5>のいずれかに記載の光学部材用重合
性組成物。 <7> <1>〜<6>のいずれかに記載の光学部材用
重合性組成物を重合させてなる光学部材。 <8> 屈折率の大きさに分布を有する屈折率分布領域
を有する光学部材であって、前記屈折率分布領域が<1
>〜<6>のいずれかに記載の光学部材用重合性組成物
を重合させてなる光学部材。 <9> 屈折率が互いに異なるクラッド部およびコア部
を有し、前記コア部が<1>〜<6>のいずれかに記載
の光学部材用重合性組成物を重合させてなる光学部材。 <10> 前記クラッド部が、ハロゲン原子で置換され
た炭素原子を含むアルコールと重水素原子で置換された
炭素原子を含むプロペン酸またはその誘導体とのエステ
ルの重合体からなる<9>に記載の光学部材。 <11> 前記コア部が、前記クラッド部の中空部で<
1>〜<6>のいずれかに記載の光学部材用重合性組成
物を界面ゲル重合法により重合させてなる<9>または
<10>に記載の光学部材。 <12> 重水素原子で置換された炭素原子とハロゲン
原子で置換された炭素原子とをそれぞれ含む複数のプロ
ペン酸エステル誘導体の共重合体からなり、前記複数の
プロペン酸エステル誘導体の共重合比の分布に基づいて
屈折率の大きさが分布している屈折率分布領域を有する
光学部材。 <13> 前記ハロゲン原子がフッ素原子である<12
>に記載の光学部材。 <14> 光ファイバー、光導波路および光学レンズの
いずれかである<7>〜<13>のいずれかに記載の光
学部材。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、本発明の光学部材用重合性組成物について
説明する。本発明の光学部材用重合性組成物は、それぞ
れの単独重合体における屈折率差が0.005以上であ
る複数の重合性モノマーと、前記重合性モノマーの重合
を開始させる重合開始剤とを含有し、前記重合性モノマ
ーのうち少なくとも1種がハロゲン原子で置換された炭
素原子および重水素原子で置換された炭素原子を含むこ
とを特徴とする。以下、各々の材料について詳細に説明
する。
【0012】本発明の重合性組成物には複数の重合性モ
ノマーを用い、少なくとも1種はハロゲン原子で置換さ
れた炭素原子および重水素原子で置換された炭素原子を
含む重合性モノマーである。その様な重合性モノマーと
しては、ハロゲン原子で置換された炭素原子を含むアル
コールと重水素原子で置換された炭素原子を含むプロペ
ン酸またはその誘導体とのエステル(以下、「重水素化
およびハロゲン化されたプロペン酸エステル誘導体」と
いう場合がある)を主成分として含む重合性モノマーが
挙げられる。前記重水素化およびハロゲン化されたプロ
ペン酸エステル誘導体としては、(メタ)アクリル酸ま
たはその誘導体のエステルが好ましい。
【0013】本発明の重合性組成物では、屈折率の異な
る2種以上のモノマーを主成分として用いる。プロペン
酸エステル誘導体は、重合性モノマーの全質量中50質
量%以上であるのが好ましく、60質量%以上であるの
がより好ましく、70質量%以上であるのがさらに好ま
しい。
【0014】前記プロペン酸エステル誘導体を構成する
アルコールの構造については特に制限はないが、ハロゲ
ン原子で置換されていない基本となるアルコール化合物
において、20%以上(より好ましくは30〜100
%、さらに好ましくは50〜100%)の水素原子がハ
ロゲン原子で置換されたアルコールを用いるのが好まし
い。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子が好ま
しく、フッ素原子がより好ましい。前記アルコールのア
ルキル部分は、直鎖状、分岐状、環状、またはこれらの
組み合わせの構造を有するアルキル基のいずれであって
もよい。また、ハロゲン原子以外の置換基、例えば、ア
ルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ
基、アルキルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、
アリールスルホニルオキシ基、アリールオキシ基等を有
していてもよく、また水素原子の一部が重水素原子で置
換されていてもよい。
【0015】前記アルコールとしては、下記一般式
(1)で表されるアルコールが好ましい。
【0016】
【化2】
【0017】式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原
子で置換されたアルキル基を表し、R2およびR3は各々
独立して、水素原子、重水素原子またはアルキル基を表
す。
【0018】また、前記プロペン酸エステル誘導体を構
成するプロペン酸またはその誘導体の構造についても特
に制限はないが、重水素原子で置換されていない基本と
なるプロペン酸またはその誘導体において、20%以上
(より好ましくは30〜100%、さらに好ましくは5
0〜100%)の水素原子が重水素原子に置換されたプ
ロペン酸誘導体を用いるのが好ましい。
【0019】以下に、本発明に使用可能なエステルの具
体例を挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら
制限されるものではない。
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】前記重水素化およびハロゲン化されたプロ
ペン酸エステル誘導体は、公知の重水素化およびエステ
ル化反応を組み合わせて合成することができる。例え
ば、Nagai et al, J. Poly. S
ci.,62,95〜98、ならびに特公昭57−51
645号および特公平6−80441号の各公報等に記
載の方法に準じて合成することができる。
【0023】本発明の重合性組成物は、前記重水素化お
よびハロゲン化されたプロペン酸エステル誘導体ととも
に、他のモノマーを含んでいてもよい。前記の他のモノ
マーとしては、重水素化およびハロゲン化されていない
プロペン酸エステル誘導体、および以下のモノマー等が
挙げられる。 (a) スチレン系化合物 スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロ
モスチレン等 (b) ビニルエステル類 ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニ
ルアセテート、ビニルクロロアセテート等
【0024】本発明の重合性組成物を重合させると、構
造中に重水素原子で置換された炭素原子とハロゲン原子
で置換された炭素原子とを有する共重合体が得られる。
共重合体中のハロゲン原子および重水素原子の含有割合
は、用いるモノマーの種類によって好ましい範囲も異な
るが、重水素化およびハロゲン化されていないモノマー
(前記モノマーの重水素およびハロゲン原子を水素原子
で置き換えたモノマー)の共重合体を標準とすると、標
準となる共重合体中の20%以上(より好ましくは30
〜100%、さらに好ましくは50〜100%)の水素
原子がハロゲン原子で置換され、且つ標準となる共重合
体中の20%以上(より好ましくは30〜100%、さ
らに好ましくは50〜100%)の水素原子が重水素原
子で置換されているのが好ましい。ハロゲン化および重
水素化されていない前述の他のモノマーを用いる場合
も、ハロゲン原子および重水素原子の含量は前記範囲と
なるように、他のモノマーを選択するのが好ましい。
【0025】本発明の重合性組成物は、前記重合性モノ
マーの重合を開始させる重合開始剤を含有する。用いる
モノマーや重合方法に応じて適宜選択することができる
が、それらのうちでも、ラジカル重合開始剤を好ましく
用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、過
酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチル=パーオキシ−
2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパ
ーオキシド(PBD)、t−ブチル=パーオキシイソプ
ロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル=4,4−
ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)な
どのパーオキサイド系化合物、または2,2′−アゾビ
スイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチ
ルブチロニトリル)、1,1′―アゾビス(シクロヘキ
サン−1−カルボニトリル)などのアゾ系化合物が挙げ
られる。なお、重合開始剤は2種類以上併用してもよ
い。
【0026】本発明の重合性組成物は、重合調整剤を含
有するのが好ましい。前記重合調整剤としては、連鎖移
動剤が挙げられる。連鎖移動剤は、主に、重合体の分子
量によるガラス転移点などの重合体物性の不均一や変化
を抑えることを目的として、また、熱延伸等の加工工程
に適する分子量に制御することを目的として、重合体の
分子量を調整するために用いられる。前記連鎖移動剤に
ついては、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適
宜、種類および添加量を選択することができる。具体的
には、アルキルメルカプタン類(n−ブチルメルカプタ
ン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプ
タン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカ
プタン等)、チオフェノール類(チオフェノール、m−
ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m
−トルエンチオール、p−トルエンチオール等)などを
用いるのが好ましく、中でも、n−オクチルメルカプタ
ン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプ
タンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。な
お、前記連鎖移動剤は、2種類以上を併用してもよい。
【0027】本発明の重合性組成物における、重合開始
剤、および所望により添加される重合調整剤などの添加
量については、用いるモノマーの種類等に応じて好まし
い範囲を適宜決定することができるが、重合開始剤は、
一般的にはモノマーに対して、0.005〜0.050
質量%添加するのが好ましく、0.010〜0.020
質量%添加するのがより好ましい。前記重合調整剤(特
に連鎖移動剤)は、一般的にはモノマーに対して、0.
10〜0.40質量%添加するのが好ましく、0.15
〜0.30質量%添加するのがより好ましい。
【0028】本発明の重合性組成物に熱および/または
光等が供与されると、重合開始剤からラジカル等が発生
し、前記重合性モノマーの重合が開始される。本発明の
重合性組成物はそれぞれの単独重合体における屈折率差
が0.005以上である重合性モノマーを含んでいるの
で、例えば、後述の界面ゲル重合法のように、重合の進
行方向を制御して、モノマーの濃度に傾斜を持たせ、共
重合比を分布させることによって、屈折率分布構造を形
成することができる。モノマーの濃度に傾斜を持たせる
方法としては、特公昭54−30301号公報および特
開昭61−130904号公報に記載されているように
モノマー反応性比の相違に着目した方法、特許第301
0369号公報に記載されているようにゲル中のモノマ
ーの拡散性(モノマーの固有体積や溶解性パラメータの
差)の相違に着目した方法とに大きく分けられる。後者
の方が伝送損失の点、およびより好ましい屈折率分布形
状を与える点で好ましい。
【0029】具体的には、該複数のモノマーの内の任意
の二つのモノマーMxおよびMx+1のそれぞれの固有体積
をVxおよびVx+1とした場合に、下記の式〔I〕を満足
するか、または前記モノマーMxおよびMx+1のそれぞれ
の溶解性パラメーターをδxおよびδx+1、ゲルを構成す
る重合体の溶解性パラメーターをδpとした場合に、下
記式〔II〕を満足する関係にあればよい。
【0030】
【数1】
【0031】さらに前記いずれかのラジカル共重合性モ
ノマーにおいても、モノマー反応性比rの値が0.2以
上であるのが好ましく、rの値が0.5以上であるのが
より好ましい。ここで、モノマー反応性比r1およびr2
は、それぞれ下記式で表わされる任意のモノマー2種
(M1、M2)の共重合反応における重合速度係数k11
12およびk22/k21の比を示す。 M1・+M1→M1・ 反応速度:k11[M1・][M1] M1・+M2→M2・ 反応速度:k12[M1・][M2] M2・+M1→M1・ 反応速度:k21[M2・][M1] M2・+M2→M2・ 反応速度:k22[M2・][M2] ここで[M1・]、[M2・]、[M1]および[M2
は、それぞれ、モノマーM1のポリマー成長ラジカルM1
・、モノマーM2のポリマー成長ラジカルM2・、モノマ
ーM1およびモノマーM2の濃度を示す。モノマーが2種
類の場合には、上記のようにモノマー反応性比はr1
よびr2の2種であるが、たとえば3種類に増えるとこ
れは6種となる。3種のモノマーの場合でも、好ましく
は6種の反応性比のいずれもが0.2以上、さらに好ま
しくは0.5以上である。
【0032】本発明の重合性組成物の重合性モノマーと
して、ホモポリマーのガラス転移温度の高いモノマー
(少なくとも90℃以上好ましくは100℃以上より好
ましくは110℃以上)を選び、添加量を適宜選択する
ことによって、耐熱性が向上した光学部材を作製するこ
とができる。重合性モノマーの重合速度および重合度
は、重合開始剤および所望により添加される連鎖移動剤
等の重合調整剤によって制御され、重合体の分子量を所
望の分子量に調整することができる。例えば、得られた
重合体を延伸により線引きして、光ファイバとする場合
は、分子量を調整することによって延伸時における機械
的特性を所望の範囲とすることができ、生産性の向上に
も寄与する。
【0033】次に、本発明の光学部材の実施の形態につ
いて説明する。本発明の一実施形態として、前記重水素
化およびハロゲン化プロペン酸エステル誘導体を単量体
とするコア部、およびクラッド部を有し、前記コア部が
中心から外側に向かって屈折率の大きさに分布を有する
(以下、「屈折率分布型コア部」と称する)光学部材が
挙げられる。前記クラッド部は、伝送される光信号をコ
ア部に留めるため、コア部の屈折率より低い屈折率を有
する。一方、前記コア部は中心から外側に向かって屈折
率が低下する屈折率の分布を有する。また、コア部およ
びクラッド部は、伝送される光に対して透過性であるの
が好ましい。
【0034】本実施の形態では、屈折率分布型コア部
を、一部の水素原子が重水素原子およびハロゲン原子で
それぞれ置換されたモノマーを用いて形成している。一
部の水素原子が重水素原子およびハロゲン原子で置換さ
れたモノマーを用いているので、C−H結合の伸縮振動
の光吸収に起因する光伝送損失を低減することができ
る。さらに、2種以上用いられるモノマーのうち少なく
とも1種のモノマーとして、一部の水素原子がハロゲン
原子好ましくはフッ素原子で置換されたモノマーを用い
ているので、フッ素置換されていないモノマーを用いな
い場合と比較して、重合により形成されるコア部の最小
屈折率を低下させることができる。従って、他のモノマ
ーとの共重合比率により屈折率に分布をもたせる場合、
屈折率分布構造をより容易に形成することができる。
【0035】前記クラッド部は、前記コア部より低い屈
折率を有する領域となる高分子材料を用いて形成されて
いれば、特に制限されないが、透明性を確保するために
は、コア部と同様の材料を用いるのが好ましい。即ち、
コア部と同様、前記重水素化およびハロゲン化されたプ
ロペン酸エステル誘導体、または非重水素化のハロゲン
化されたプロペン酸エステル誘導体を用いて形成するの
が好ましい。コア部を重水素化およびハロゲン化された
プロペン酸エステル誘導体により、およびクラッド部を
重水素化または非重水素化のフッ素化されたプロペン酸
エステル誘導体により形成すると、コア部とクラッド部
との屈折率差を大きくすることができ、コア部に光をよ
り確実に留めることができ、高性能な光学部材(特に光
ファイバ)となるので好ましい。さらに、クラッド部
を、前記重水素化およびハロゲン化されたプロペン酸エ
ステル誘導体を用いて形成すると、材料中に含まれるC
−H結合の量をさらに減少させることができるので、光
伝送損失をより低減することができる。一方、クラッド
部を、非重水素化のハロゲン化プロペン酸エステル誘導
体で形成すると、上記した様に高性能な光学部材とする
ことができるとともに、低コストで製造することができ
る。ここで、ハロゲン化プロペン酸エステル誘導体は、
少なくとも一部の水素原子がハロゲンで置換された前述
のアルコールの1種と、プロペン酸誘導体から選ばれる
酸の1種とからなるエステルである。
【0036】コア部の形成に使用可能なモノマーの具体
例としては前述の具体例と同様である。クラッド部の形
成に使用可能なモノマーの具体例についても前述と同様
であるが、加えて、下記に示すハロゲン化プロペン酸エ
ステル誘導体の具体例が挙げられる。
【0037】
【化5】
【0038】
【化6】
【0039】屈折率分布型コア部は、前記の如く、屈折
率の異なる2種以上のモノマーを用いて形成可能である
が、補助的手段として屈折率調整剤を用いることにより
形成することを妨げるものではない。即ち、前記高分子
および屈折率調整剤を含有する樹脂材料を用いて形成す
ることができる。「屈折率調整剤」とは、これを含有す
る組成物が無添加の組成物と比較して、屈折率が異なる
(好ましくは高くなる)性質を有するものをいう。ポリ
マーとの屈折率差が0.001以上であることが好まし
い。前記屈折率調整剤は、コア部の原料となる前記エス
テルに添加した後、該エステルを単独でまたは他のモノ
マーとともに重合することにより、コア部に含有させる
ことができる。屈折率調整剤として、前記性質を有し、
重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料であるモ
ノマーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下に
おいて安定であるものを、いずれも用いることができ
る。例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェ
ニル(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタ
ル酸ベンジルnブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル
(DPP)、ビフェニル(DP)、ジフェニルメタン
(DPM)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニ
ルスルホキシド(DPSO)などが挙げられ、中でも、
BEN、DPS、TPP、DPSOが好ましい。これら
は2種以上併用してもよい。
【0040】前記屈折率調整剤の添加量は、屈折率上昇
の程度やポリマーマトリクスとの関係によって変化する
が、一般的に好ましい範囲としては重合性組成物の1〜
30質量%、より好ましくは3〜25質量%、特に好ま
しくは5〜20質量%である。
【0041】屈折率調整剤のコア部における濃度および
分布を調整することによって、屈折率分布構造をより安
定的に形成することができる。屈折率調整剤の添加量
は、用途および組み合わされるコア部原料などに応じて
適宜選ばれる。
【0042】その他、コア部およびクラッド部には、光
伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加
することができる。例えば、クラッド部およびコア部の
耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加
することができる。また、光伝送性能の向上を目的とし
て、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加すること
もできる。該化合物を添加することにより、減衰した信
号光を励起光により増幅することが可能となり、伝送距
離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅
器として使用することができる。これらの添加剤も、モ
ノマーに添加した後、重合することによって、コア部お
よびクラッド部に含有させることができる。
【0043】次に、本実施の形態の製造例について詳細
に説明する。本実施の形態の光学部材は、前記樹脂材料
からなる中空状のクラッド管(例えば円筒管)を作製す
る第1の工程と、前記クラッド管の中空部で界面重合を
行うことによりコア部となる領域を形成し、コア部およ
びクラッド部に各々対応する領域からなるプリフォーム
を作製する第2の工程と、得られたプリフォームを種々
の形態に加工する第3の工程を含む製造方法によって製
造することができる。
【0044】前記第1の工程では、中空状(例えば円筒
形状)のクラッド部を作製する。クラッド部となる中空
管は、例えば、円筒形状の容器に原料となる重合性モノ
マー(好ましくは、重水素化およびハロゲン化(メタ)
プロペン酸エステルまたはハロゲン化(メタ)プロペン
酸エステル)を含有する組成物が注入された容器を、回
転(好ましくは、円筒の軸を水平に維持した状態で回
転)させつつ、前記重合性モノマーを重合させることに
より作製することができる。容器内には、前記重合性モ
ノマーとともに、所望により他の単量体、重合開始剤な
どを添加することができる。また、連鎖移動剤を添加し
て、重合体の分子量は40,000〜120,000程
度にするのが好ましい。
【0045】重合開始剤としては、前記重合性モノマー
の沸点以下の十時間半減期温度(t 1/2℃)を示す材料
を用いるのが好ましい。ここで、重合開始剤の十時間半
減期温度とは、開始剤が分解し十時間でその数が1/2
になる温度をいう。重合開始剤として、十時間半減期温
度が原料であるモノマーの沸点以下の材料を用いるとと
もに、前記モノマーを{(t1/2)−20}℃以上(t
1/2℃)以下の温度で前記重合開始剤により重合させる
のが好ましい。例えば、モノマーとして2,2,2−ト
リフルオロエチル−ペンタジューテロメタクリレート
(CD2=C(CD3)CO2CH2CF3)を用い、重合
開始剤としてPBDを用いた場合は、重合温度を100
〜110℃で48〜72時間重合するのが好ましい。な
お、重合開始剤の添加量は、用いるモノマーの種類等に
応じて好ましい範囲を適宜決定することができるが、一
般的にはモノマーに対して、0.10〜1.00質量%
添加するのが好ましく、0.40〜0.60質量%添加
するのがより好ましい。
【0046】前記クラッド部となる中空管は、第2の工
程でコア部の原料となるモノマーを注入できるように、
底部を有しているのが好ましい。底部は前記中空管を構
成している重合体と密着性および接着性に富む材質であ
るのが好ましい。また、底部を、前記中空管と同一の重
合体で構成することもできる。重合体からなる底部は、
例えば、回転重合前もしくは後に、容器を垂直に静置し
た状態で、容器内に少量のモノマーを注入し、重合する
ことによって形成することができる。
【0047】前記回転重合後に、残存するモノマーや重
合開始剤を完全に反応させることを目的として、得られ
た構造体に該回転重合の重合温度より高い温度の加熱処
理を施してもよい。
【0048】前記第1の工程に用いられる容器の大き
さ、注入されるクラッド部の原料組成物の量、回転重合
時の単位時間当たりの回転数については、目的とする光
学部材(またはプリフォーム)の大きさに応じて、適宜
決定することができる。
【0049】また、前記第1の工程では、一旦、前記重
合性モノマーの重合体を作製した後、押し出し成形等の
成形技術を利用して、所望の形状(本実施の形態では円
筒形状)の構造体を得ることもできる。
【0050】前記第2の工程では、前記第1の工程で作
製したクラッド部となる中空管の中空部に、本発明の重
合性組成物を注入し、組成物中の重合性モノマーを界面
ゲル重合法により重合する。前記重合性モノマーの重合
は、前記中空管の内壁表面から断面の半径方向、中心に
向かって進行する。前記組成物中に含有される複数のモ
ノマーは、それぞれ前記中空管を構成している重合体に
対して、モノマー反応性比、およびゲル中の拡散性(モ
ノマーの固有体積や溶解性パラメータの差)に差がある
ため、重合性にも差が生じ、その結果、モノマーの共重
合比が重合の進行方向(中空管の内壁界面から中心への
方向)に沿って分布する。それぞれのモノマーの単独重
合体が屈折率差(0.005以上)を有するので、界面
から中心に向かって屈折率分布が形成される。
【0051】上記説明した様に、第2の工程において、
形成されるコア部となる領域に屈折率分布を導入するこ
とができるが、屈折率が互いに異なる部分間は熱挙動も
互いに異なるので、重合を一定温度で行うと、その熱挙
動の違いからコア部となる領域には、重合反応に対して
発生する体積収縮の応答性が変化し、プリフォーム内部
に気泡が混入する、もしくはミクロな空隙が発生し、得
られたプリフォームを加熱延伸した際に多数の気泡が発
生する現象が生じる可能性がある。重合温度が低すぎる
と、重合効率が低下し、生産性を著しく損ない、重合が
不完全となって光透過性が低下し、作製される光ファイ
バの光伝送能を損なう。一方、初期の重合温度が高すぎ
ると、初期の重合速度が著しく上昇し、コア部となる領
域の収縮に対して応答緩和できず、気泡発生の傾向が著
しい。従って、用いるモノマーに応じて、適切な重合温
度で重合することが望ましい。例えば、コア部の原料と
して2,2,2−トリフルオロエチル−ペンタジューテ
ロメタクリレート(CD2=C(CD3)CO2CH2CF
3)と2,2,2−トリクロロエチル−ペンタジューテ
ロメタクリレート(CD2=C(CD3)CO2CH2CC
3)とを組み合わせて用いた場合は、重合温度は50
〜150℃であるのが好ましく、80〜120℃である
のがより好ましい。なお、クラッド部となる中空管の中
空部に、コア部の原料であるモノマーを注入する前に、
モノマーを減圧雰囲気で脱水および/または脱気するこ
とにより、さらに気泡の発生を軽減することもできる。
【0052】また、十時間半減期温度が前記モノマーの
沸点以上である重合開始剤を用い、該重合開始剤の半減
期の25%の時間まで重合するのが好ましい。この条件
で重合すると、初期重合速度を減少させ、初期重合にお
ける体積収縮応答性を向上させることができ、その結
果、プリフォーム中の体積収縮による気泡混入を軽減す
ることができ、生産性を向上することができる。前記モ
ノマーとして2,2,2−トリフルオロエチル−ペンタ
ジューテロメタクリレート(CD2=C(CD3)CO2
CH2CF3)と2,2,2−トリクロロエチル−ペンタ
ジューテロメタクリレート(CD2=C(CD3)CO2
CH2CCl3)とを組み合わせて用いた場合、十時間半
減期温度がモノマーの沸点以上の重合開始剤としては、
前述の例示した重合開始剤のうち、PBDおよびPHV
が該当する。例えば、モノマーとしてMMAを用い、重
合開始剤としてPBDを用いた場合は、初期重合温度を
100〜110℃に48〜72時間維持し、その後、1
20〜140℃まで昇温して24〜48時間重合するの
が好ましく、重合開始剤としてPHVを用いた場合は、
初期重合温度を100〜110℃に4〜24時間維持
し、120〜140℃まで昇温して24〜48時間重合
するのが好ましい。なお、昇温は段階的に行っても、連
続的に行ってもよいが、昇温にかける時間は短いほうが
よい。
【0053】第2の工程においては、加圧状態で重合す
るのが好ましい(以下、加圧状態で行う重合を「加圧重
合」という)。加圧重合を行う場合は、前記モノマーを
注入した前記中空管を、治具の中空部に挿入して、治具
に支持された状態で重合を行うのが好ましい。前記治具
は、前記中空管を挿入可能な中空部を有する形状であ
り、該中空部は前記クラッド部となる中空管と類似の形
状を有しているのが好ましい。例えば、中空管が円筒形
状である態様では、前記治具の中空部も円筒形状である
のが好ましい。治具は、加圧重合中に前記中空管が変形
するのを抑制するとともに、加圧重合が進むに従ってコ
ア部となる領域が収縮するのを緩和可能に支持する。従
って、治具の中空部は、前記クラッド管の外径より大き
い径を有し、前記クラッド管を非密着状態で支持するの
が好ましい。前記治具の中空部は、前記クラッド管の外
径に対して0.1%〜40%だけ大きい径を有している
のが好ましく、10〜20%だけ大きい径を有している
のがより好ましい。
【0054】前記クラッド部となる中空管は、治具の中
空部に挿入した状態で、重合容器内に配置することがで
きる。重合容器内において、前記中空管は、円筒の高さ
方向を垂直にして配置されるのが好ましい。前記治具に
支持された状態で前記クラッド管を、重合容器内に配置
した後、前記重合容器内を加圧または減圧することがで
きる。窒素等の不活性ガスで重合容器内を加圧し、不活
性ガス雰囲気下で加圧重合を進行させるのが好ましい。
重合時の加圧の好ましい範囲については、用いるモノマ
ーによって異なるが、重合時の圧は、一般的には0.0
5〜1.0MPa程度が好ましい。
【0055】第1および第2の工程を経て、光学部材の
プリフォームが得られる。コア部を形成している高分子
のガラス転移点は60〜180℃であるのが好ましく、
80〜180℃であるのがより好ましい。また、前記コ
ア部を形成している高分子の重量平均分子量は40,0
00〜300,000であるのが好ましく、50,00
0〜200,000であるのがより好ましい。コア部と
クラッド部との屈折率差の好ましい範囲は、光学部材の
用途によっても異なるが、0.001〜0.1であるの
が好ましく、0.005〜0.08であるのがより好ま
しい。
【0056】なお、本実施の形態では、第1および第2
の工程として、モノマーを加熱重合する工程を示した
が、紫外線等の光線を照射することによってモノマーを
重合することもできる。
【0057】第3の工程では、以上の工程によって作製
されたプリフォームを加工して所望の形態の光学部材を
得る。例えば、プリフォームを軸方向に垂直にスライス
して、断面が凹凸を有しない板状もしくは柱状のレンズ
を作製することができる。また、延伸加工することでプ
ラスチック光ファイバを得ることができる。その他、前
記第1および第2の工程で得られたプリフォームより、
例えば光導波路等の光学部材を作製することができる。
【0058】光ファイバは、第3の工程において、プリ
フォームを加熱延伸することによって作製することがで
きる。加熱温度は、プリフォームの材質等に応じて、適
宜決定することができるが、一般的には、180〜25
0℃中の雰囲気で行われる事が好ましい。延伸条件(延
伸温度等)は、得られたプリフォームの径、所望のプラ
スチック光ファイバの径および用いた材料等を考慮し
て、適宜決定することができる。例えば、線引張力につ
いては、特開平7−234322号公報に記載されてい
るように溶融したプラスチックを配向させるために10
g以上としたり、特開平7−234324号公報に記載
されている様に溶融延伸後に歪みを残さないようにする
ために100g以下とすることが好ましい。また、特開
平8−106015号公報に記載されている様に延伸の
際に予備加熱を設ける方法などをとることもできる。以
上の方法によって得られるファイバについては、得られ
る素線の破断伸びや硬度を、特開平7−244220号
公報に記載されている様に規定することで、ファイバの
曲げや側圧特性を改善することができる。
【0059】前記第3の工程を経て製造されたプラスチ
ック光ファイバは、そのままの形態で種々の用途に供す
ることができる。また、保護や補強を目的として、その
外側に被覆層を有する形態、繊維層を有する形態、およ
び/または複数のファイバを束ねた形態で、種々の用途
に供することができる。被覆工程は、例えば、ファイバ
素線に被覆を設ける場合では、ファイバ素線の通る穴を
有する対向したダイスにファイバ素線を通し、対向した
ダイス間に溶融した被覆用の樹脂を満たし、ファイバ素
線をダイス間を移動させることで得ることができる。被
覆層は可撓時に内部のファイバへの応力から保護するた
め、ファイバ素線と融着していないことが望ましい。さ
らにこの時、溶融した樹脂と接することでファイバ素線
に熱的ダメージを加わるので、極力ダメージを押さえる
ような移動速度や低温で延伸できる樹脂を選ぶことも望
ましい。この時、被覆層の厚みは被覆材の物性値や素線
の引き抜き速度、被覆層の冷却温度による。その他に
も、被覆層を形成する方法としては、得られた光学部材
に塗布したモノマーを重合させる方法、シートを巻き付
ける方法、押し出し成形した中空管に得られた光学部材
を通す方法などが知られている。
【0060】素線を被覆することにより、プラスチック
光ファイバケーブルの製造が可能となる。その際にその
被覆の形態として、被覆材とプラスチック光ファイバ素
線の界面が全周にわたって接して被覆されている密着型
の被覆と、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面
に空隙を有するルース型被覆がある。ルース型被覆で
は、例えば、コネクターとの接続部などにおいて被覆層
を剥離した場合、その端面の空隙から水分が浸入して長
手方向に拡散されるおそれがあるため、通常は密着型が
好ましい。しかし、ルース型被覆では、被覆と素線が密
着していないので、ケーブルにかかる応力や熱をはじめ
とするダメージの多くを被覆材層で緩和させることがで
き、素線にかかるダメージを軽減させることができるの
で、使用目的によっては好ましく用いることができる。
水分の伝播については、空隙部に流動性を有するゲル状
の半固体や粉粒体を充填することで、端面からの水分伝
播を防止できる。さらにこれらの半固体や粉粒体に耐熱
や機械的機能の向上などの水分伝播防止と異なる機能を
併せ持つようにすることで、より高い性能の被覆を形成
できる。ルース型被覆は、クロスヘッドダイの押出し口
ニップルの位置を調整し、減圧装置を加減して空隙層を
形成することで作製できる。空隙層の厚みは、前述のニ
ップル厚みと空隙層を加圧/減圧することで調整が可能
である。
【0061】さらに、必要に応じて被覆層(1次被覆
層)の外周にさらに被覆層(2次被覆層)を設けてもよ
い。2次被覆層に難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、
ラジカル捕獲剤、昇光剤、滑剤などを導入してもよく、
耐透湿性能を満足する限りにおいては、1次被覆層にも
導入は可能である。なお、難燃剤については臭素を始め
とするハロゲン含有の樹脂や添加剤や燐含有のものがあ
るが、毒性ガス低減などの安全性の観点で、難燃剤とし
て金属水酸化物を加えるのが主流となりつつある。金属
水酸化物はその内部に結晶水として水分を有しており、
またその製法過程での付着水が完全に除去できないた
め、金属水酸化物による難燃性被覆は本発明の対透湿性
被覆(1次被覆層)の外層被覆(2次被覆層)として設
けることが望ましい。
【0062】また、複数の機能を付与させるために、様
々な機能を有する被覆を積層させてもよい。例えば、難
燃化以外に、素線の吸湿を抑制するためのバリア層や水
分を除去するための吸湿材料、例えば吸湿テープや吸湿
ジェルを被覆層内や被覆層間に有することができ、また
可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や発泡層等の緩
衝材、剛性を挙げるための強化層など、用途に応じて選
択して設けることができる。樹脂以外にも構造材とし
て、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)お
よび/または剛性の高い金属線等の線材を熱可塑性樹脂
に含有すると、得られるケーブルの力学的強度を補強す
ることができることから好ましい。抗張力繊維として
は、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリア
ミド繊維が挙げられる。また、金属線としてはステンレ
ス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのも
のも前述したものに限定されるものではない。その他
に、保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配
線時の作業性を向上させるための機構を組み込むことが
できる。
【0063】また、ケーブルの形状は使用形態によっ
て、素線を同心円上にまとめた集合ケーブルや、一列に
並べたテープ心線と言われる態様、さらにそれらを押え
巻やラップシースなどでまとめた集合ケーブルなど、用
途に応じて選ぶことができる。
【0064】本発明の光学部材としての光ファイバ、お
よび光ファイバケーブルを用いて光信号を伝送するシス
テムには、種々の発光素子、受光素子、他の光ファイ
バ、光バス、光スターカプラ、光信号処理装置、接続用
光コネクター等で構成される。それらに関する技術とし
てはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラステ
ィックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティ
ー・エス社発行)等の他、特開平10−123350
号、特開2002−90571号、特開2001−29
0055号等の各公報に記載の光バス;特開2001−
74971号、特開2000−329962号、特開2
001−74966号、特開2001−74968号、
特開2001−318263号、特開2001−311
840号等の各公報に記載の光分岐結合装置;特開20
00−241655号等に記載の光スターカプラ;特開
2002−62457号、特開2002−101044
号、特開2001−305395号等の各公報に記載の
光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002
−23011号等の公報に記載の光信号処理装置;特開
2001−86537号公報等に記載の光信号クロスコ
ネクトシステム;特開2002−26815号等の公報
に記載の光伝送システム;特開2001−339554
号、特開2001−339555号等の各公報に記載の
マルチファンクションシステム;などを参考にすること
ができる。
【0065】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更する
ことができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体
例に制限されるものではない。 [光ファイバの作製] (クラッド部の作製)表1のクラッド部の欄に示す各々
のモノマーと、モノマーに対して0.5質量%の重合開
始剤と、モノマーに対して0.28質量%の連鎖移動剤
とを混合し、さらに遮光した状態で攪拌した。その後、
予定するプリフォームの外径に対応する内径を有する十
分な剛性を持った内径50mm、長さ600mmの円筒
状の容器に、前記混合物を流し込み、70℃にて水平状
態に保持し3000rpmにて回転させながら3時間加
熱重合した。引き続き、90℃で24時間熱処理し、各
々のモノマーのホモポリマーからなる中空状の円筒管を
得た。
【0066】(コア部の作製)次に、表1のコア部の欄
に示す各々のモノマーと、モノマー総量に対して0.0
13質量%の重合開始剤と、モノマー総量に対して0.
27質量%の連鎖移動剤とを混合し、該混合液を精度
0.2mmの四フッ化エチレン製メンブランフィルター
で濾過しつつ、得られた円筒管の各々の中空部に濾液を
直接注入した。このモノマー等を注入した円筒管を、加
圧重合容器に垂直に静置する際に、該円筒管外径に対し
2mmだけ大きい径を持つガラス管内に挿入した。その
後、加圧重合容器内を窒素雰囲気に置換した後、0.6
Mpaまで加圧し、120℃にて48時間加熱重合し、
プリフォームを各々得た。
【0067】(延伸工程)このプリフォームを200℃
の熱延伸により線引きを行い、700〜800μm径の
プラスチック光ファイバを得た。
【0068】[光ファイバの特性]得られた各ファイバ
のコア部のガラス転移温度、コア部の分子量、コア部の
屈折率(平均)、クラッド部の屈折率、およびコア部と
クラッド部との屈折率差(Δn)を表2に示す。また、
得られたファイバの650nmおよび850nmにおけ
る光伝送損失を各々測定した。結果を、伝送帯域ととも
に表3に示す。
【0069】
【表1】
【0070】なお、表1中、モノマーの欄の数字は以下
の化合物を各々示し、配合比は質量%である。
【0071】
【化7】
【0072】表1中、重合開始剤の欄の略号は以下の化
合物を各々示す。 BPO:ベンゾイルパーオキシド BME:ベンゾインメチルエーテル 表1中、連鎖移動剤の欄の略号は該炭素数のチオール化
合物を各々示す。
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、低コストで製造可能で
あり、且つ光伝送損失が低減された(特に、安価なLD
で得られる850nmで顕著な効果を示す)、高い光伝
送能を有する光学部材を提供することができる。また、
本発明によれば、光伝送損失が低減された、高い光伝送
能を有する光学部材を低コストで製造可能な光学部材用
重合性組成物を提供することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H050 AB42Z AB49Z 4J100 AB02Q AB03Q AB08Q AB09Q AG04Q AG08Q AL08P BA04P BA20P BA20Q BA58P BB01P BB01Q BB03P BB07P BB12P BB13P BB18P BC09P BC43P BC43Q CA04 DA63 DA65 FA03 JA33 JA35

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれの単独重合体における屈折率差
    が0.005以上である複数の重合性モノマーと、前記
    重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤とを含有
    し、前記重合性モノマーのうち少なくとも1種がハロゲ
    ン原子で置換された炭素原子および重水素原子で置換さ
    れた炭素原子を含む光学部材用重合性組成物。
  2. 【請求項2】 屈折率の大きさに分布がある屈折率分布
    領域を有する光学部材であって、前記屈折率分布領域が
    請求項1に記載の光学部材用重合性組成物を重合させて
    なる光学部材。
  3. 【請求項3】 重水素原子で置換された炭素原子とハロ
    ゲン原子で置換された炭素原子とをそれぞれ含む複数の
    プロペン酸エステル誘導体の共重合体からなり、前記複
    数のプロペン酸エステル誘導体の共重合比の分布に基づ
    いて屈折率の大きさが分布している屈折率分布領域を有
    する光学部材。
JP2002348131A 2002-02-27 2002-11-29 光学部材用重合性組成物および光学部材 Pending JP2003321514A (ja)

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