JP2004307530A - 光学部材用重合性組成物、化合物、ならびにそれを用いた光学部材およびその製造方法 - Google Patents

光学部材用重合性組成物、化合物、ならびにそれを用いた光学部材およびその製造方法 Download PDF

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Takahiro Ishizuka
孝宏 石塚
Hiroki Sasaki
広樹 佐々木
Osamu Uchida
内田  修
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Abstract

【課題】伝送損失が小さく、かつ耐熱性に優れた光学部材、および該光学部材を作製可能な重合性組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)(XおよびXは各々水素、重水素、フッ素または塩素を;Rmは炭素原子数が2〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアルキル基、炭素原子数が6〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアリール基、または炭素原子数が7〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアラルキル基を;表す)で表されるモノマーおよび重合開始剤を含有する光学部材用重合性組成物を重合してなる領域を導光部として有する光学部材、および該重合性組成物である。
一般式(1)
【化1】
Figure 2004307530

【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学部材の作製に用いられる化合物および重合性組成物、ならびにそれを用いて作製された光学部材およびその製造方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック光学部材は、同一の構造を有する石英系の光学部材と比較して、製造および加工が容易であること、および低価格であること等の利点があり、近年、光ファイバおよび光レンズ、光導波路など種々の応用が試みられている。特にこれら光学部材の中でも、プラスチック光ファイバは、素線が全てプラスチックで構成されているため、石英系ファイバと比較して伝送損失がやや大きいという短所を有するものの、良好な可撓性を有し、軽量で、加工性がよく、口径の大きいファイバとして製造し易く、さらに低コストに製造可能であるという長所を有する。従って、伝送損失の大きさが問題とならいない程度の短距離用の光通信伝送媒体として種々検討されている。
【0003】
プラスチック光ファイバは、一般的には、重合体をマトリックスとする有機化合物からなる芯(本明細書において「コア部」と称する)とコア部と屈折率が異なる(一般的には低屈折率の)有機化合物からなる外殻(本明細書において「クラッド部」と称する)とから構成される。
プラスチック光ファイバ、特に、コア部には、伝送損失が小さいことが要求される。伝送損失を小さくする手段として、フッ素の導入や重水素の導入が知られている。フッ素や重水素を有するエステル基を含有する(メタ)アクリレートの重合体が知られているが、アルキル鎖長が短いと吸湿性が高く、アルキル基を長くするとガラス転移点が低下し、耐熱性が劣る傾向にある。
光学部材用素材の高Tg化の手法として、クラッド部の素材にN−アルキルマレイミドの共重合体を用いる方法が知られているが、導光部すなわち光の伝送に関与する素材としては不十分である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、中心から外側に向かって屈折率の大きさに分布を有するコア部を備えた屈折率分布型プラスチック光ファイバは、伝送する光信号の帯域を大きくすることが可能なため、高い伝送容量を有する光ファイバとして最近注目されている。この様な屈折率分布型光学部材の製法の一つに、屈折率調整剤を利用して光学部材の母材(本明細書において、「プリフォーム」と称する)を作製し、その後、前記プリフォームを延伸する方法が提案されている。一般に、屈折率調整剤を添加すると耐熱性が劣る傾向にあるため、屈折率分布型光学部材においても伝送損失を低下させること無く、耐熱性を向上する手段が求められている。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−204909号公報(全頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、600〜779nmの波長の光のみならず、780nm以上の波長の光を用いた場合においても、伝送損失が小さく、かつ耐熱性に優れた光学部材を作製可能な重合性組成物および製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、高い光伝送能を有し、600〜779nmの波長の光のみならず、780nm以上の波長の光を用いた場合においても、伝送損失が小さい光学部材を提供することを課題とする。さらに、本発明は、光学部材の原料として有用な重合性モノマーを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 下記一般式(1)で表されるモノマーおよび重合開始剤を含有する光学部材用重合性組成物を重合してなる領域を導光部として有する光学部材。
【0008】
一般式(1)
【化4】
Figure 2004307530
【0009】
(一般式(1)中、XおよびXは各々独立に、水素、重水素、フッ素または塩素を表す。Rmは炭素原子数が2〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアルキル基、炭素原子数が6〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアリール基、または炭素原子数が7〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアラルキル基を表す。)
【0010】
[2] 前記一般式(1)で表されるモノマーの含有率が、組成物の全質量に対して5〜80質量%である[1]に記載の光学部材。
[3] 前記重合性モノマーと(メタ)アクリル酸及び/またはそのエステルをモノマーとする共重合体を含有する[1]または[2]に記載の光学部材。
[4] 前記(メタ)アクリル酸及び/またはそのエステルの水素が重水素またはフッ素で置換されている[3]に記載の光学部材。
[5] さらに、前記重合性モノマーと異なる屈折率を有する化合物を含有する[1]〜[4]のいずれかに記載の光学部材。
[6] 前記一般式(1)中のXおよびXの双方もしくは一方が水素である場合は、重合性組成物中の前記一般式(1)のモノマーの質量を100%としたとき、重合後の該モノマーの残存率が3%以下であり、XおよびXのいずれも水素でないない場合は、重合後の該モノマーの残存率が5%以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の光学部材。
[7] 屈折率の大きさに分布がある屈折率分布領域を少なくとも有する[1]〜[6]のいずれかに記載の光学部材。
[8] 光ファイバ、光学レンズまたは光導波路である[1]〜[7]いずれかに記載の光学部材。
[9] 下記一般式(1)で表されるモノマーおよび重合開始剤を含有する光学部材用重合性組成物。
【0011】
一般式(1)
【化5】
Figure 2004307530
【0012】
(一般式(1)中、XおよびXは各々独立に、水素、重水素、フッ素または塩素を表す。Rmは炭素原子数が2〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアルキル基、炭素原子数が6〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアリール基、または炭素原子数が7〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアラルキル基を表す。)
【0013】
[10] 重合開始温度において、光学部材用重合性組成物が液体である[9]に記載の光学部材用重合性組成物。
[11] [9]または[10]に記載の光学部材用重合性組成物を重合させる重合工程を含む光学部材の製造方法。
[12] 前記重合工程において、前記光学部材用重合性組成物を界面ゲル重合させる[11]に記載の光学部材の製造方法。
[13] 下記一般式(2)で表される化合物。
【0014】
一般式(2)
【化6】
Figure 2004307530
【0015】
(一般式(2)中、Rmは炭素原子数が2〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアルキル基、炭素原子数が6〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアリール基、または炭素原子数が7〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアラルキル基を表す。)
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の光学部材用重合性組成物について説明する。
[光学部材用重合性組成物]
本発明の重合性組成物は、下記一般式(1)で表されるモノマーと、前記モノマーの重合を開始させる重合開始剤を含有する。さらに、連鎖移動剤を含有するのが好ましい。本発明の重合性組成物は、光学部材、特に、屈折率の大きさに分布を有する屈折率分布型光学部材の製造に用いることができる。
以下、各々の材料について詳細に説明する。
【0017】
(重合性モノマー)
本発明の重合性組成物は、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。該化合物は、前記重合性組成物中に含まれる重合性モノマーの一種として含有される。
【0018】
一般式(1)
【化7】
Figure 2004307530
【0019】
一般式(1)中、XおよびXは各々独立に、水素、重水素、フッ素または塩素を表す。XおよびXは各々独立に、水素、重水素、フッ素または塩素であり、XおよびXの少なくとも一方は水素以外であるのが好ましく、Xが水素で且つXが重水素であるのがより好ましく、XおよびXの双方が重水素であるのが特に好ましい。
【0020】
Rmは炭素原子数が2〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアルキル基(直鎖状および分岐状のアルキル基、ならびに環構造を有するシクロアルキル基を含む。以下同様である。)、炭素原子数が6〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアリール基、または炭素原子数が7〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアラルキル基を表す。炭素原子数が2〜8のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアルキル基、炭素原子数が6〜8のフッ素および/または重水素で全部あるいは部分置換されたアリール基、または炭素原子数が7〜8のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアラルキル基が好ましく、炭素原子数が3〜8のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアルキル基、炭素原子数が6〜8のフッ素および/または重水素で全部あるいは部分置換されたアリール基、または炭素原子数が7〜8のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアラルキル基がより好ましく、炭素原子数が3〜6のフッ素および/または重水素で全部あるいは部分置換されたアルキル基がさらに好ましい。なお、アラルキル基のフッ素および/または重水素による置換は、アラルキル基のアリール部分であってもアルキル部分であってもよい。アリール部分が置換されているのが好ましく、アリール部分およびアルキル部分の双方がフッ素および/または重水素によって置換されているのが好ましい。
【0021】
Rmの炭素原子数が少ないと吸水性が大きく、赤外線に対しては光伝送損失が増えるために好ましくない。一方、Rmの炭素原子数が多いと重合性が劣ったり、併用する一般式(1)以外の素材との相溶性が悪くなるために好ましくない。前記フッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアルキル基は、−CFまたは−CDを1以上含む構造であるのが好ましい。
【0022】
前記一般式(1)で表される化合物群は、下記一般式(2)および下記一般式(3)で表される化合物群を含む。
【0023】
一般式(2)
【化8】
Figure 2004307530
【0024】
一般式(2)中、Rmは炭素原子数が2〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアルキル基、炭素原子数が6〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアリール基、または炭素原子数が7〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアラルキル基を表す。Rmの具体例および好ましい範囲については、前記一般式(1)中のRmと同様である。
【0025】
一般式(3)
【化9】
Figure 2004307530
【0026】
一般式(2)中、Rm’は炭素原子数が2〜10の重水素で全部もしくは部分置換されたアルキル基、炭素原子数が6〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアリール基、または炭素原子数が7〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアラルキル基を表す。Rm’の具体例および好ましい範囲については、前記一般式(1)中のRm(但し、フッ素原子で全部もしくは部分置換されたアルキル基は除く)と同様である。XおよびXは、前記一般式(1)と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0027】
前記一般式(1)で表される化合物の具体的な化合物例を以下に示すが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
【0028】
【表1】
Figure 2004307530
【0029】
【表2】
Figure 2004307530
【0030】
(その他のモノマー)
本発明の重合性組成物は、ポリマーの力学的特性や吸収特性などを制御するために、前記一般式(1)以外の重合性モノマー(以下、その他のモノマーと表す)を使用することができる。その他の重合性モノマーのC−H結合の一部あるいは全部が、C−Dあるいは、C−ハロゲンで置換されていると、C−H伸縮振動に起因する光伝送損失を軽減できるので好ましい。
以下に、その他のモノマーの具体例を列挙するが、以下の具体例に限定されるものではない。
(a) フッ素不含メタクリル酸エステルおよびフッ素不含アクリル酸エステル
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルメチル、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等;及びアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸フェニル等;
(b) 含フッ素アクリル酸エステルおよび含フッ素メタクリル酸エステル
2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート等;
(c) スチレン系化合物
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等;
(d) ビニルエステル類
ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテート等;
(e) ノルボルネン類
ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸=1H,1H,2H,2H−パーフルオロブチルエステル、2−トリフルオロメチル−2,3,3−テトラフルオロ−5−ノルボルネン等;が例示される。
【0031】
本発明の重合性組成物において、前記一般式(1)で表される化合物は、モノマーの全質量中5〜80質量%含有されるのが好ましく、5〜60質量%以上含有されるのがより好ましく、8〜50質量%以上含有されるのがさらに好ましく、10〜40質量%含有されるのが特に好ましい。
【0032】
また、前記一般式(1)中のXおよびXの双方もしくは一方が水素原子である化合物は、850nm付近に吸収を有する。そのため、前記化合物を用いて作製された光学部材を、850nm前後の波長の光を含む光の伝達に用いる場合には、モノマーの残存率が低いことが好ましい。重合性組成物中の前記一般式(1)のモノマーを100%としたとき、重合後の残存率が3%以下であることが好ましく、1%以下であるのがより好ましく、0.5%以下であるのが特に好ましい。XおよびXのいずれも水素でない場合には、重合後の残存率が5%以下であることが好ましく、3%以下であるのがより好ましく、1%以下であるのが特に好ましい。
【0033】
(重合開始剤)
本発明の重合性組成物は、前記重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤を含有する。重合開始剤としては、用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することができるが、例えば国際公開WO93/08488号公報に記載されている様な、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル4,4,ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物;または、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’―アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ系化合物;が挙げられる。
なお、重合開始剤は2種類以上併用してもよい。
【0034】
(連鎖移動剤)
本発明の重合性組成物は、連鎖移動剤を含有するのが好ましい。前記連鎖移動剤は、主に重合体の分子量を調整するために用いられる。前記連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択することができる。前記連鎖移動剤のC−H結合の一部もしくは全部が、C−Dあるいは、C−ハロゲンで置換されていると、C−H伸縮振動に起因する光伝送損失を軽減できるので好ましい。
前記連鎖移動剤は、2種類以上併用してもよい。
【0035】
(ドーパント)
本発明の重合性組成物は、前記重合性モノマーと異なる屈折率を有する化合物(以下、「ドーパント」という場合がある)を含有していてもよい。本発明の重合性組成物にドーパントを含有させることによって、光学部材に屈折率の分布を容易に導入することができる。ドーパントは、国際公開WO93/08488号公報や、特開平5−173026号公報に記載されているような、モノマーの合成によって生成される重合体との比較において溶解性パラメータの差が7(cal/cm1/2以内であると共に、これを含有する組成物が無添加の組成物と比較して、屈折率が異なる(好ましくは高くなる)性質を有するものをいい、その屈折率差が、0.001以上を示すことを特徴とする。この性質を有し、重合性モノマーの重合条件(加熱、光照射、および加圧等の重合条件)下において安定で、重合後の重合体と共存可能且つ重合体を構成するモノマーに対して非重合性である材料を用いることができる。例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸ベンジルnブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ビフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)などが挙げられ、中でも、BEN、DPS、TPP、DPSOが好ましい。なお、ドーパントは以上に挙げた低分子の有機化合物以外に、2〜10の多量体も含まれるものとする。なお、屈折率を調整する低分子有機化合物は2種類以上併用してもよい。
【0036】
光学部材において、ドーパントの濃度に傾斜を持たせることによって、屈折率分布型の光学部材が作製できる。ドーパントの濃度に傾斜を持たせる方法としては、後述する界面ゲル重合を利用する方法等がある。
【0037】
本発明の重合性組成物において、各成分の含有割合の好ましい範囲は、その種類に応じて異なり一概に規定することはできないが、一般的には、重合開始剤は、重合性モノマーに対して0.005〜0.5質量%であるのが好ましく、0.01〜0.5質量%であるのがより好ましい。前記連鎖移動剤は、重合性モノマーに対して0.10〜0.40質量%であるのが好ましく、0.15〜0.30質量%であるのがより好ましい。また、前記ドーパントを用いる場合は、ドーパントは重合性モノマーに対して1〜30質量%であるのが好ましく、1〜25質量%であるのがより好ましい。
【0038】
本発明の重合性組成物には、その他、重合時の反応性や重合体の光伝送性能を低下させない範囲で、その他のドーパントを添加することができる。例えば、耐候性や耐久性などを向上させる目的で、耐酸化剤や耐光剤などの安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することが可能となり、伝送距離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。
【0039】
本発明の重合性組成物に熱および/または光等が供与されると、重合開始剤からラジカル等が発生し、前記重合性モノマーの重合が開始される。本発明の重合性組成物は、重合性モノマーとして前記一般式(1)で表される化合物を用いているので、該組成物の重合により得られる重合体は、600〜779nmの波長の光のみならず、780nm以上の波長の光を用いた場合においても、伝送損失が小さく、かつ耐熱性に優れている。従って、600〜779nmの波長の光のみならず、780nm以上の波長の光を対象とする光伝送体等の光学部材の作製に有利である。特に、前記一般式(1)で表される化合物の重合後の残存率を、上述の範囲にすることで、より伝送損失が軽減された光学部材となる。また、重合性モノマーの重合速度および重合度は、前記重合開始剤および所望により添加される前記連鎖移動剤によって制御され、重合体の分子量を所望の分子量に調整することができるので、例えば、得られた重合体を延伸により線引きして、光ファイバとする場合は、分子量を調整することによって延伸時における機械的特性を所望の範囲とすることができ、生産性の向上にも寄与する。さらに、重合性組成物が、前記ドーパントを含む態様では、後述する界面ゲル重合法等を利用し、重合の進行を制御することによって、ドーパントの濃度分布に基づく屈折率分布構造を容易に形成することができ、広い伝送帯域を有する光学部材を提供することができる。
【0040】
本発明の重合性組成物を、屈折率の大きさに分布を有するコア部およびクラッド部からなる光学部材の製造に用いた態様についてその効果を説明すると、上記効果に加えて、例えば、クラッド部の製造に用いた場合は、クラッド部の屈折率をより低減することができるので、コア部との屈折率差を大きく確保することができ、光伝送体の光伝送能を向上させることができる。一方、コア部の形成に用いた場合は、屈折率分布を容易に形成することができ、光伝送体の光伝送能を向上させることができる。さらに、この組成物よりなる光伝送体は高いガラス転移温度を有しているため、従来の光学部材よりも比較的高温領域での使用が可能となる。この高温領域での使用については形態を選ばない。例えば光学部材が光ファイバである場合、コア断面の屈折率が均一なステップインデックス(SI)型、コア断面の屈折率が階段状に変化するマルチステップインデックス(MSI)型、コア断面の屈折率が徐々に変化するようなプロファイルを有するグレーデッドインデックス(GI)型、いずれの形態でも使用が可能である。
【0041】
以下、本発明の重合性組成物を利用した光学部材の製造方法の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の重合性組成物を、屈折率の大きさに分布を有するコア部およびクラッド部からなる屈折率分布型光学部材の製造に用いたものである。
まず、第一の実施形態は、クラッド部用の本発明の重合性組成物を重合、もしくは熱可塑性樹脂を溶融押し出し成形してクラッド部となる円筒管を作製する第1の工程と、前記円筒管の中空部でコア部用の本発明の重合性組成物を界面ゲル重合させることによりコア部となる領域を形成し、コア部およびクラッド部に各々対応する領域からなるプリフォームを作製する第2の工程と、得られたプリフォームを所望の形態に加工する第3の工程とを含むプラスチック光学部材の製造方法である。
次に、第二の実施形態は、第一の実施形態でクラッド部に相当する円筒管を形成後に内壁部にさらにアウターコア部という層を形成する工程を有する(なお、このアウターコアを有する形態においては中心のコア部はインナーコア部となるが、以下、態様によって「コア部」という場合は「インナーコア部」の意味も兼ねる)。具体的には、第二の実施の形態は、ポリフッ化ビニリデン樹脂のような含フッ素樹脂からなる円筒管の中空部で、アウターコア用の本発明の重合性組成物を回転重合法による重合などで、該円筒管の内壁面にアウターコア層を形成し、2層からなる円筒管を作製する第1の工程と、前記円筒管のさらに中空部でインナーコア部用の本発明の重合性組成物を界面ゲル重合させて、インナーコア部となる領域を形成し、クラッド部、アウターコア部およびインナーコア部に各々対応する領域からなるプリフォームを作製する第2の工程と、および得られたプリフォームを所望の形態に加工する第3の工程を含むプラスチック光学部材の製造方法である。
後者の実施形態においては、2層からなる同心円筒状パイプを作製する際、上記のように段階的ではなく、フッ素樹脂とアウターコア用重合組成物の重合体を溶融共押し出しの方法の一段階で作製する方法なども容易に適用できる。
【0042】
前記第一および第二の実施の形態では、コア部、アウターコア部およびクラッド部の形成に、本発明の重合性組成物を用いることができるが、クラッド部およびアウターコア部の形成には、ドーパントを含有しない重合性組成物を用いるのが好ましく、一方、コア部の形成にはドーパントを含有する重合性組成物を用いるのが好ましい。それぞれの形成に用いられる重合性組成物中に含まれる成分については、特に制限はないが、第一の実施の形態ではコア部用とクラッド部用、第二の実施の形態ではインナーコア部用とアウターコア部用の重合性組成物にそれぞれ含まれる重合性モノマーが、主成分においては等しい(但し、その組成比については同一でなくてもよく、副成分については同一でなくてもよい)のが、光伝送能の観点から好ましい。
【0043】
第二の実施形態では、クラッド部とコア部との間にアウターコア部を形成することによって、クラッド部とコア部との材質の違いによる接着性の低下および生産性の低下などを軽減させている。その結果、クラッド部およびコア部に用いる材料の選択の幅を広げることができる。クラッド部に相当する円筒形状の管は、例えば、市販されているフッ素樹脂を溶融押出しや重合性組成物の回転重合により、所望の径と厚みのパイプに成形することで作製することができる。さらに、得られたパイプの中空部で上記重合性組成物を回転重合させ、その内壁にアウターコア層を形成することができる。また、その他、前記フッ素樹脂と前記重合性組成物からなる重合体を共押し出しすることによっても同様の構造体を作製することもできる。なお、アウターコア層は、主にコア部製造のために設けられるものであり、その厚みはコア部の塊状重合に必要な程度厚みであればよく、塊状重合の進行によって屈折率を有するインナーコア部と合一となり単独の層として存在しない、単なるコア部となっていてもよい。そのため、コア部形成前に設けるアウターコアの厚みとしては、塊状重合を行うためにコア部重合前に0.5〜1mm以上あればよく、その上限は充分な屈折率分布が形成できる空間が残る程度まで厚くしても構わないのでプリフォームのサイズに応じて選択することができる。
【0044】
前記クラッド部、アウターコア部およびコア部形成用重合性組成物を重合することによって得られるポリマー成分の分子量は、プリフォームを延伸する関係から、重量平均分子量で1万〜100万の範囲であることが好ましく、3万〜50万であることがさらに好ましい。さらに延伸性の観点で分子量分布(MWD:重量平均分子量/数平均分子量)も影響する。MWDが大きくなると、極端に分子量の高い成分がわずかでもあると延伸性が悪くなり、場合によっては延伸できなくなることもある。したがって、好ましい範囲としては、MWDが4以下が好ましく、さらには3以下が好ましい。
【0045】
次に、前記第一および第二の形態(特に前記第一の実施形態)の各工程について詳細に説明する。
前記第1の工程では、クラッド部に相当する1層の、またはクラッド部およびアウターコア部に相当する2層の中空状(例えば円筒形状)の管を作製する。中空の円筒管の製法としては、例えば国際公開WO93/08488号公報に記載されている様な製造方法が挙げられる。具体的には、前記クラッド部形成用重合組成物を円筒形状の重合容器に、またはアウターコア部形成用重合性組成物をフッ素樹脂よりなるパイプ(さらに外側に円筒形状の容器に入れられたもの)に注入し、該重合容器を回転(好ましくは、円筒の軸を水平に維持した状態で回転)させつつ、前記重合性モノマーを重合させることにより、1層(一重)または2層(二重)円筒形状の重合体からなる構造体を作製することができる。重合容器に注入する前にフィルターにより濾過して、組成物中に含まれる塵埃を除去するのが好ましい。また、性能劣化や前工程および後工程における煩雑化などを起こさない限りにおいて、取り扱いやすい様に、特開平10−293215号公報に記載された原料の粘度調整方法等に従って、粘度などの調整やプレ重合を行い、重合時間を短縮することもできる。重合温度および重合時間は、用いるモノマーや重合開始剤によって異なるが、一般的には、重合温度は60〜150℃であるのが好ましく、重合時間は5〜24時間であるのが好ましい。この時に、特開平8−110419号公報に記載されている様に、原料をプレ重合して原料粘度を上昇させてから行い成形に要する重合時間を短縮してもよい。また、重合に使用する容器が回転によって変形してしまうと、得られる円筒管に歪みを生じさせることから、充分な剛性を持つ金属管・ガラス管を用いることが望ましい。
【0046】
また、ペレット状や粉末状の樹脂(好ましくはフッ素樹脂)を円筒形状の容器に入れ、両端を塞ぎ、該容器を回転(好ましくは、円筒の軸を水平に維持した状態で回転)させつつ該樹脂の融点以上に加熱し、前記樹脂を溶融させることにより、重合体からなる中空管を作製することができる。この時に、溶融による樹脂の熱または酸化、および熱酸化分解を防ぐために、該重合容器内を窒素やアルゴンなどの不活性気体雰囲気下で行うことや、樹脂を事前に充分乾燥させておくことが好ましい。
【0047】
前記一重または二重円筒形状の重合体からなる構造体は、コア部の原料となる重合性組成物を注入できるように、底部を有しているのが好ましい。底部は前記円筒管を構成している重合体と密着性および接着性に富む材質であるのが好ましい。また、底部を前記円筒管と同一の重合体で構成することもできる。重合体からなる底部は、例えば、重合容器を回転させて重合する前、もしくは、いずれかの方法による中空管形成後に、重合容器を垂直に静置した状態で、重合容器内に少量の重合性モノマーを注入し、重合することによって形成することができる。
【0048】
前記回転重合後に、残存するモノマーや重合開始剤を完全に反応させることを目的として、該回転重合の重合温度より高い温度で得られた中空管に加熱処理を施してもよく、所望の中空管が得られた後、未重合の組成物を取り除いてもよい。
【0049】
また、一旦重合体を作製した後、押出し成形等の成形技術を利用して、クラッド部に相当する1層の、またはクラッド部およびアウターコア部に相当する2層の中空管を作製することもできる。前記成形に利用可能な溶融押出装置としては、主として、インナーサイジングダイ方式とアウターダイ減圧吸引方式の2つのタイプがある。
【0050】
図1に、インナーサイジングダイ方式の溶融押出装置の断面図の一例を示して、インナーサイジングダイ方式の成形の概略を説明する。
装置本体11からベント付き1軸スクリュー押出機(不図示)により、クラッド部の原料ポリマー40がダイ本体14に押出される。ダイ本体14の内部には、原料ポリマー40を流路40a,40bに導くガイド30が挿入されている。原料ポリマー40は、このガイド30を経て、ダイ本体14とインナーロッド31との間の流路40a,40bを通り、ダイの出口14aから押出され、円筒中空管の形状のクラッド19が形成される。クラッド19の押出速度については特に制限されないが、形状を均一に保つとともに、生産性の点から、押出し速度は1cm/min〜100cm/minの範囲であることが好ましい。
【0051】
ダイ本体14には、原料ポリマー40を加熱するための加熱装置が設置されているのが好ましい。例えば、原料ポリマー40の進行方向に沿って、ダイ本体14を覆うように1つまたは2以上の加熱装置(例えば、蒸気、熱媒油、電気ヒータなど利用した装置)を設置してもよい。一方、ダイの出口14aでは、温度センサ41を取り付け、この温度センサ41によってダイの出口14aでのクラッド19の温度を測定して温度を調節するのが好ましい。温度は、原料ポリマー40のガラス転移温度以下であることが、クラッド19の形状を均一に保持することが可能となるために好ましい。また、クラッド19の温度が40℃以上であることが、急激な温度変化による形状の変化を抑制することが可能になり好ましい。このクラッド19の温度の制御は、例えば、冷却装置(例えば、水、不凍液、オイルなどの液体や、電子冷却などを使用した装置)をダイ本体14に取り付けてもよいし、ダイ本体14の自然空冷により冷却してもよい。ダイ本体に加熱装置が設置されている場合は、冷却装置は加熱装置の位置より下流に取り付けるのが好ましい。
【0052】
次に、アウターダイ減圧吸引方式の溶融押出し装置の製造ラインの一例を図2に、および成形ダイス53の斜視図の一例を図3に示して、アウターダイ減圧吸引方式の成形の概略を説明する。
図2に示す製造ライン50は、溶融押出装置51と、押出しダイス52と、成形ダイス53と、冷却装置54と、引取装置55とを備える。ペレット投入ホッパ(以下、ホッパと称する)56から投入された原料ポリマーは、溶融押出装置51内部で溶融され、押出しダイス52によって押出され、成形ダイス53に送り込まれる。押出速度Sは、0.1≦S(m/min)≦10の範囲が好ましく、より好ましくは0.3≦S(m/min)≦5.0であり、最も好ましくは0.4≦S(m/min)≦1.0である。しかしながら、本発明において押出速度Sは、前述した範囲に限定されるものではない。
【0053】
図3に示す様に、成形ダイス53は、成形管70を備えており、成形管70に溶融樹脂60を通すことにより、溶融樹脂60が成形され円筒形状のクラッド61が得られる。成形管70には、多数の吸引孔70aが設けられていて、成形管70の外側に設けられた減圧チャンバ71を真空ポンプ57(図2参照)により減圧にすることで、クラッド61の外壁面が、成形管70の成形面(内壁面)70bに密着するために、クラッド61の肉厚が一定になって成形される。なお、減圧チャンバ71内の圧力は、20kPa〜50kPaの範囲とすることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。なお、成形ダイス53の入口に、クラッド61の外径を規定するためのスロート(外径規定部材)58を取り付けるのが好ましい。
【0054】
成形ダイス53により形状が調整されたクラッド61は、冷却装置54に送られる。冷却装置54には、多数のノズル80が備えられており、それらのノズル80から冷却水81をクラッド61に向けて放水することで、クラッド61を冷却して、固化させる。冷却水81は、受け器82で回収して、排出口82aから排出することもできる。クラッド61は、冷却装置54から引取装置55により引き出される。引取装置55は、駆動ローラ85と加圧ローラ86とが備えられている。駆動ローラ85には、モータ87が取り付けられており、クラッド61の引取速度の調整が可能になっている。また、クラッド61を挟んで駆動ローラ85と対向して配置されている加圧ローラ86により、クラッド61の微小な位置のずれを修正することが可能となっている。この駆動ローラ85の引取速度と溶融押出装置51の押出速度とを調整したり、加圧ローラ86によるクラッド61の移動位置を微調整したりすることにより、クラッド61の形状、特に肉厚を均一にすることが可能となる。
【0055】
また、クラッド部は機械的強度向上や難燃性などの多種の機能性を付与させるために複層からなっていてもよく、内壁の算術平均粗さが特定の範囲の中空管を作製した後、その外壁面をフッ素樹脂等によって被覆することもできる。
【0056】
得られるクラッドの外径D1は光学特性や生産性の観点から、D1≦(mm)50の範囲であることが好ましく、より好ましくは2≦D1(mm)≦30の範囲である。さらに、クラッド部の肉厚tは、形状を保つことができる限りにおいて薄くすることが可能であるが、2≦t(mm)≦20の範囲であることが好ましい。しかしながら、本発明において、それらの範囲は、前述したものに限定されるものではない。
【0057】
前記第2の工程では、前記第1の工程で作製した一重または二重円筒形状の構造体の中空部に、前記コア部形成用重合性組成物を注入し、組成物中の重合性モノマーを重合する。フィルターにより濾過して、組成物に含まれる塵埃を除去するのが好ましい。重合法は重合後の残留物の観点から溶媒等を用いない界面ゲル重合法が特に好ましい。この界面ゲル重合法を用いることで、重合性モノマーの重合は、前記円筒管のゲル効果によって、粘度の高くなった内壁表面から断面の半径方向、中心に向かって進行する。重合性モノマーに前記屈折率調整成分を添加して重合すると、前記円筒管を構成している重合体に対して親和性の高いモノマーが前記円筒管の内壁面に偏在して重合し、外側には屈折率調整成分濃度が低い重合体が形成される。中心に向かうに従って、形成された重合体中の該屈折率調整成分の比率が増加する。このようにして、コア部となる領域内に屈折率調整成分の濃度分布が生じ、この濃度分布に基づいて、連続した屈折率の分布が導入される。
【0058】
上記説明したように、第2の工程において、形成されるコア部となる領域に屈折率の分布が導入されるが、屈折率が互いに異なる部分間は熱挙動も互いに異なるので、重合を一定温度で行うと、その熱挙動の違いからコア部となる領域は、重合反応に対して発生する体積収縮の応答性が変化し、プリフォーム内部に気泡が混入する、もしくはミクロな空隙が発生し、得られたプリフォームを加熱延伸した際に多数の気泡が発生する可能性がある。重合温度が低すぎると、重合効率が低下し、反応終了までに時間がかかってしまい、生産性を著しく損なう。また、重合が不完全となって光透過性が低下し、作製される光ファイバの光伝送能を損なう。一方、初期の重合温度が高すぎると、コア部となる領域の収縮に対して応答緩和できず、気泡発生の傾向が著しい。そのため、モノマーの沸点や生成するポリマーのガラス転移温度(Tg)を勘案しながら、重合温度と後処理温度を調整して行う。但し、後処理温度はポリマーのガラス転移温度以上となるように選択する。例えば、典型的なメタクリレート系のモノマーと、前記一般式(1)で表される化合物とを重合性モノマーとして使用した場合には、重合温度は好ましくは、60℃〜160℃、さらに好ましくは80℃〜140℃である。また、重合収縮に対する応答性を高めるために加圧した不活性ガス中で重合させることも好ましい。さらに、重合前のモノマーを減圧雰囲気で脱水・脱気する事でさらに気泡の発生を低減させることができる。
【0059】
重合温度および重合時間は、用いるモノマーによって異なるが、一般的には、重合温度は60〜90℃であるのが好ましく、重合時間は5〜24時間であるのが好ましい。また、十時間半減期温度が重合性モノマーの沸点以上である重合開始剤を用い、該重合開始剤の半減期の25%の時間まで重合すると、初期重合速度を減少させ、初期重合における体積収縮応答性を向上させることができ、その結果、プリフォーム中の体積収縮による気泡混入を軽減することができ、生産性を向上することができるので好ましい。ここで、重合開始剤の十時間半減期温度とは、開始剤が分解し十時間でその数が1/2になる温度をいう。
【0060】
重合は、加圧状態で行うのが好ましい(以下、加圧状態で行う重合を「加圧重合」という)。加圧重合を行う場合は、前記重合性組成物を注入した一重または二重円筒形状の構造体を、治具の中空部に挿入して、治具に支持された状態で重合を行うのが好ましい。前記治具は、前記構造体を挿入可能な中空を有する形状であり、該中空部は前記構造体と類似の形状を有しているのが好ましい。本実施の形態では、クラッド部となる構造体が円筒管であるので、前記治具も円筒形状であるのが好ましい。治具は、加圧重合中に前記円筒管が変形するのを抑制するとともに、加圧重合が進むに従ってコア部となる領域が収縮するのを緩和可能に支持する。従って、治具の中空部は、前記一重または二重円筒形状の構造体の外径より大きい径を有し、前記クラッド部となる円筒管を非密着状態で支持するのが好ましい。前記治具の中空部は、前記一重または二重円筒形状の構造体の外径に対して0.1%〜40%だけ大きい径を有しているのが好ましく、10〜20%だけ大きい径を有しているのがより好ましい。
【0061】
前記一重または二重円筒形状の構造体を治具の中空部に挿入した状態で、重合容器内に配置することができる。重合容器内において、前記一重または二重円筒形状の構造体は、円筒の高さ方向を垂直にして配置されるのが好ましい。前記治具に支持された状態で前記円筒管を、重合容器内に配置した後、前記重合容器内を加圧することができる。窒素等の不活性ガスで重合容器内を加圧し、不活性ガス雰囲気下で加圧重合を進行させるのが好ましい。重合時の加圧の好ましい範囲については、用いるモノマーによって異なるが、重合時の圧は、一般的には0.05〜1.0MPa程度が好ましい。
【0062】
以上の工程を経て、光学部材のプリフォームを得ることができる。
【0063】
第3の工程では、作製されたプリフォームを加工して所望の形態の光学部材を得る。例えば、プリフォームを軸方向に垂直にスライスすれば断面が凹凸を有しない円盤状もしくは円柱状のレンズを作成することが、プリフォームを溶融延伸することによりプラスチック光ファイバを作製することができる。(このとき、プリフォームのコア部となる領域が屈折率分布を有する場合は、均一な光伝送能を有するプラスチック光ファイバを生産性高くしかも安定的に製造することができる)。
【0064】
延伸は、例えば、プリフォームを加熱炉(例えば円筒状の加熱炉)等の内部を通過させることによって加熱し、溶融させた後、引き続き連続して延伸紡糸するのが好ましい。加熱温度は、プリフォームの材質等に応じて適宜決定することができるが、一般的には、180〜250℃が好ましい。延伸条件(延伸温度等)は、得られたプリフォームの径、所望のプラスチック光ファイバの径および用いた材料等を考慮して、適宜決定することができる。特に、屈折率分布型光ファイバにおいては、その断面の中心方向から円周に向け屈折率が変化する構造を有するため、この分布を破壊しないように、均一に加熱且つ延伸紡糸する必要がある。従って、プリフォームの加熱には、プリフォームを断面方向において均一に加熱可能である円筒形状の加熱炉等を用いことが好ましい。また、加熱炉は延伸軸方向に温度分布を持つことが好ましい。溶融部分が狭いほど屈折率分布の形状が歪みにくく収率があがるため好ましい。具体的には溶融部分の領域が狭くなるように溶融領域の前後では、予熱と徐冷を行うことが好ましい。さらに、溶融領域に用いる熱源としてはレーザーのようなせまい領域に対しても高出力のエネルギーを供給できるものがより好ましい。
【0065】
延伸は線形とその真円度を維持させるため、中心位置を一定に保つ調芯機構を有する延伸紡糸装置を用いて行うのが好ましい。延伸条件を選択することによりファイバの重合体の配向を制御することができ、線引きで得られるファイバの曲げ性能等の機械特性や熱収縮などを制御することもできる。
また、線引時の張力は、特開平7−234322号公報に記載されているように、溶融したプラスチックを配向させるために10g以上とすることができ、もしくは特開平7−234324号公報に記載されているように、溶融延伸後に歪みを残さないようにするために100g以下とすることが好ましい。また、特開平8−106015号公報に記載されているように、延伸の際に予備加熱工程を実施する方法などを採用することもできる。以上の方法によって得られるファイバについては、得られる素線の破断伸びや硬度について特開平7−244220号公報に記載の様に規定することでファイバの曲げや側圧特性を改善することができる。また、特開平8−54521号公報のように低屈折率の層を外周に設けて反射層として機能させてさらに伝送性能を向上させることもできる。
【0066】
前述した方法で製造されたプラスチック光ファイバは、そのままの形態で種々の用途に供することができる。また、保護や補強を目的として、その外側に被覆層を有する形態、繊維層を有する形態、および/または複数のファイバを束ねた状態で、種々の用途に供することができる。被覆工程は、例えばファイバ素線の通る穴を有する対向したダイスにファイバ素線を通し、対向したダイス間に溶融した被覆用の樹脂を満たし、ファイバ素線をダイス間に移動することで被覆されたファイバを得ることができる。被覆層は可撓時に内部のファイバへの応力から保護するため、ファイバ素線と融着していないことが望ましい。さらにこのとき、溶融した樹脂と接することでファイバ素線に熱的ダメージが加わるので、極力ダメージを押さえるような移動速度や低温で溶融できる樹脂を選ぶことも望ましい。このとき、被覆層の厚みは被覆材の溶融温度や素線の引き抜き速度、被覆層の冷却温度による。その他にも、光部材に塗布したモノマーを重合させる方法やシートを巻き付ける方法、押し出し成形した中空管に光部材を通す方法などが知られている。
【0067】
(被覆の構造)
素線を被覆することにより、プラスチック光ファイバケーブル製造が可能となる。その際にその被覆の形態として、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面が全周にわたって接して被覆されている密着型の被覆と、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面に空隙を有するルース型被覆がある。ルース型被覆では、たとえばコネクターとの接続部などにおいて被覆層を剥離した場合、その端面の空隙から水分が浸入して長手方向に拡散されるおそれがあるため、通常は密着型が好ましい。
しかし、ルース型の被覆の場合、被覆と素線が密着していないので、ケーブルにかかる応力や熱とはじめとするダメージの多くを被覆材層で緩和させることができ、素線にかかるダメージを軽減させることができるため、使用目的によっては好ましく用いることができる。水分の伝播については、空隙部に流動性を有するゲル状の半固体や粉粒体を充填することで、端面からの水分伝播を防止でき、かつ、これらの半固体や粉粒体に耐熱や機械的機能の向上などの水分伝播防止と異なる機能をあわせ持つようにすることでより高い性能の被覆を形成できる。
ルース型の被覆を製造するには、クロスヘッドダイの押出し口ニップルの位置を調整し減圧装置を加減することで空隙層を作ることができる。空隙層の厚みは前述のニップル厚みと空隙層を加圧/減圧することで調整が可能である。
【0068】
さらに、必要に応じて被覆層(1次被覆層)の外周にさらに被覆層(2次被覆層)を設けても良い。2次被覆層に難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、昇光剤、滑剤などを導入してもよく、耐透湿性能を満足する限りにおいては、1次被覆層にも導入は可能である。
なお、難燃剤については臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤や燐含有のものがあるが、毒性ガス低減などの安全性の観点で難燃剤として金属水酸化物を加える主流となりつつある。金属水酸化物はその内部に結晶水として水分を有しており、またその製法過程での付着水が完全に除去できないため、金属水酸化物による難燃性被覆は本発明の対透湿性被覆(1次被覆層)の外層被覆(2次被覆層)として設けることが望ましい。
また、複数の機能を付与させるために、様々な機能を有する被覆を積層させてもよい。例えば、本発明のような難燃化以外に、素線の吸湿を抑制するためのバリア層や水分を除去するための吸湿材料、例えば吸湿テープや吸湿ジェルを被覆層内や被覆層間に有することができ、また可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や発泡層等の緩衝材、剛性を挙げるための強化層など、用途に応じて選択して設けることができる。樹脂以外にも構造材として、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)および/または剛性の高い金属線等の線材を熱可塑性樹脂に含有すると、得られるケーブルの力学的強度を補強することができることから好ましい。
抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。また、金属線としてはステンレス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのものも前述したものに限定されるものではない。その他に保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配線時の作業性を向上させるための機構を組み込むことができる。
【0069】
また、ケーブルの形状は使用形態によって、素線を同心円上にまとめた集合ケーブルや、一列に並べたテープ心線と言われる態様、さらにそれらを押え巻やラップシースなどでまとめた集合ケーブルなど用途に応じてその形態を選ぶことができる。
【0070】
また、本発明の光ファイバを用いたケーブルは、軸ずれに対して従来の光ファイバに比べて許容度が高いため突き合せによる接合でも用いることができるが、端部に接続用光コネクタを用いて接続部を確実に固定することが好ましい。コネクタとしては一般に知られている、PN型、SMA型、SMI型、F05型、MU型、FC型、SC型などの市販の各種コネクタを利用することも可能である。
【0071】
本発明の光学部材としての光ファイバ、および光ファイバケーブルを用いて光信号を伝送するシステムには、種々の発光素子や受光素子、光スイッチ、光アイソレータ、光集積回路、光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置等で構成される。また、必要に応じて他の光ファイバなどと組合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線、車両や船舶などの内部配線、光端末とデジタル機器、デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LAN等をはじめとする、高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
【0072】
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON., VOL. E84−C, No.3, MARCH 2001, p.339−344「High−Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3, No.6, 2000 476頁〜480ページ「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号等の各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号等の各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号等の公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号等の各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号等に記載の光信号処理装置;特開2001−86537号等に記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号等に記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号等の各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用した、より高度な光伝送システムを構築することができる。以上の光伝送用途以外にも照明、エネルギー伝送、イルミネーション、センサ分野にも用いることができる。
【0073】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0074】
[化合物MAI−18の製造]
無水マレイン酸−d 9.9gを酢酸エチル40mLに溶解させ、氷冷しながら、1H,1H−パーフルオロブチルアミン 20gを加え、50℃で3時間反応させた後、無水酢酸50mL、酢酸ナトリウム3g加え、60℃で3時間反応させた。反応終了後、氷冷で水100mL、6NのNaOHを5mL加えて、1時間攪拌した。反応液から有機相を分離し、水相を酢酸エチルで洗浄し、有機相を合わせた後、水洗浄、脱水、および濃縮後、減圧蒸留で116℃(38mmHg)の成分を採取し、MAI−18を25g得た。得られた化合物はマススペクトルにてMAI−1に相当する分子量281のピークで確認した。
【0075】
[実施例1]
<試料1の作製>
予定するプリフォームの外径に対応する内径を有する十分な剛性を持った内径22mmおよび長さ600mmの円筒状の重合容器に、2種類のモノマー(MAI−3および1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタクリレート)の混合溶液を所定量注入した。重合開始剤として、ベンゾイルパーオキシドをモノマー混合溶液に対して0.4質量%、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタンをモノマー混合溶液に対して0.27質量%配合した。上記モノマー混合溶液の注入された重合容器を70℃湯浴中に入れ、震盪を加えながら2時間予備重合を行った。その後、該重合容器を70℃下にて水平状態(円筒の高さ方向が水平となる状態)に保持し、3000rpmにて回転させながら3時間加熱重合した。その後、90℃で24時間の熱処理し、上記共重合体からなる円筒管を得た。
【0076】
次に、コア部の原料である2種類のモノマー(MAI−3および1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタクリレート)の混合溶液と、ドーパントとしてジブチルフタレートを、モノマー混合溶液に対して10質量%混合した。この混合溶液を、精度0.2μmの四フッ化エチレン製メンブランフィルターで濾過しつつ、作製した円筒管の中空部に濾液を直接注入した。重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)をモノマー混合溶液に対し0.016質量%、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタンをモノマー混合溶液に対し0.27重量%配合した。この混合溶液等を注入した該円筒管を、該円筒管外径に対し9%だけ広い内径を持つガラス管内に挿入した状態で、加圧重合容器に垂直に静置した。その後、加圧重合容器内を窒素雰囲気に置換した後、0.6Mpaまで加圧し、100℃で、48時間加熱重合した。その後、加圧状態を維持しながら120℃で、24時間加熱重合および熱処理して、プリフォームを得た。
【0077】
得られたプリフォームには、重合完了時に体積収縮による気泡の混入はなかった。このプリフォームを230℃の熱延伸により線引きし、直径約700〜800μmのプラスチック光ファイバを製造した。延伸工程において、プリフォームには気泡の発生は観察されなかった。得られたファイバの伝送損失値を測定したところ、波長850nmにて1.2dB/mであった。
【0078】
<試料2〜4の作製>
クラッド、コアのモノマーの種類と量を表1のように変更し、それ以外は、試料1の作製と同様の方法で光ファイバを作製した。得られた光ファイバについて伝送損失を測定した。Tgは得られたポリマーをDSCで測定した。
【0079】
【表3】
Figure 2004307530
【0080】
本発明の組成物より作製された光学部材は、伝送損失が小さく耐熱性に優れていることが判る。
【0081】
[実施例2]
実施例1の試料1の作製において、コア部の加熱重合時間を変化させて、残存モノマーの多い試料10〜12を作製した。残存モノマーの量(マレイミド類残存率)は、得られたポリマーのプロトンNMRを測定し、残存した一般式(1)の化合物のXおよびXのピーク強度と、N−置換基のCHのピーク強度より算出した。
【0082】
【表4】
Figure 2004307530
【0083】
一般式(1)で表されるモノマーでXとXの両方あるいはどちらかが水素である場合、重合性組成物中の前記一般式(1)のモノマーを100%としたとき、重合後の残存率が3%以下であることが伝送損失の点から好ましい。
【0084】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、600〜779nmの波長の光のみならず、780nm以上の波長の光を用いた場合においても、伝送損失が小さく、かつ耐熱性に優れた光学部材を作製可能な重合性組成物および製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、高い光伝送能を有し、600〜779nmの波長の光のみならず、780nm以上の波長の光を用いた場合においても、伝送損失が小さい光学部材を提供することができる。さらに、本発明によれば、光学部材の原料として有用な重合性モノマーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学部材の作製に使用可能なインナーサイジングダイ方式の溶融押出装置の断面図の一例である。
【図2】本発明の光学部材の作製に使用可能なアウターダイ減圧吸引方式の溶融押出し装置の製造ラインの一例である。
【図3】本発明の光学部材の作製に使用可能な成形ダイスの斜視図の一例である。
【符号の説明】
11 装置本体
14 ダイ本体
14a 出口
19 クラッド
30 ガイド
31 インナーロッド
40 原料ポリマー
40a,40b 流路
41 温度センサ
50 製造ライン
51 溶融押出装置
52 ダイス
53 成形ダイス
54 冷却装置
55 引取装置
57 真空ポンプ
60 溶融樹脂
61 クラッド
70a 吸引孔
70 成形管
71 減圧チャンバ
80 ノズル
81 冷却水
82 器
82a 排出口
85 駆動ローラ
86 加圧ローラ
87 モータ

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で表されるモノマーおよび重合開始剤を含有する光学部材用重合性組成物を重合してなる領域を導光部として有する光学部材。
    一般式(1)
    Figure 2004307530
    (一般式(1)中、XおよびXは各々独立に、水素、重水素、フッ素または塩素を表す。Rmは炭素原子数が2〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアルキル基、炭素原子数が6〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアリール基、または炭素原子数が7〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアラルキル基を表す。)
  2. 前記一般式(1)で表されるモノマーの含有率が、組成物の全質量に対して5〜80質量%である請求項1に記載の光学部材。
  3. 前記重合性モノマーと(メタ)アクリル酸及び/またはそのエステルをモノマーとする共重合体を含有する請求項1または2に記載の光学部材。
  4. さらに、前記重合性モノマーと異なる屈折率を有する化合物を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学部材。
  5. 前記一般式(1)中のXおよびXの双方もしくは一方が水素である場合は、重合性組成物中の前記一般式(1)のモノマーの質量を100%としたとき、重合後の該モノマーの残存率が3%以下であり、XおよびXのいずれも水素でないない場合は、重合後の該モノマーの残存率が5%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部材。
  6. 屈折率の大きさに分布がある屈折率分布領域を少なくとも有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部材。
  7. 光ファイバ、光学レンズまたは光導波路である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学部材。
  8. 下記一般式(1)で表されるモノマーおよび重合開始剤を含有する光学部材用重合性組成物。
    一般式(1)
    Figure 2004307530
    (一般式(1)中、XおよびXは各々独立に、水素、重水素、フッ素または塩素を表す。Rmは炭素原子数が2〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアルキル基、炭素原子数が6〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアリール基、または炭素原子数が7〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアラルキル基を表す。)
  9. 重合開始温度において、光学部材用重合性組成物が液体である請求項8に記載の光学部材用重合性組成物。
  10. 請求項8または9に記載の光学部材用重合性組成物を重合させる重合工程を含む光学部材の製造方法。
  11. 前記重合工程において、前記光学部材用重合性組成物を界面ゲル重合させる請求項10に記載の光学部材の製造方法。
  12. 下記一般式(2)で表される化合物。
    一般式(2)
    Figure 2004307530
    (一般式(2)中、Rmは炭素原子数が2〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアルキル基、炭素原子数が6〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアリール基、または炭素原子数が7〜10のフッ素および/または重水素で全部もしくは部分置換されたアラルキル基を表す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006309198A (ja) * 2005-03-31 2006-11-09 Fuji Photo Film Co Ltd プラスチック光学母材の製造方法及びプラスチック光ファイバ

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