JP2003255154A - 光学部材 - Google Patents

光学部材

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JP2003255154A
JP2003255154A JP2002348130A JP2002348130A JP2003255154A JP 2003255154 A JP2003255154 A JP 2003255154A JP 2002348130 A JP2002348130 A JP 2002348130A JP 2002348130 A JP2002348130 A JP 2002348130A JP 2003255154 A JP2003255154 A JP 2003255154A
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atom
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Masaki Okazaki
正樹 岡崎
Hiroki Sasaki
広樹 佐々木
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 より低コストで作製可能であり、光伝送損失
が低減された、高い光伝送能を有する光学部材を提供す
る。 【解決手段】 ハロゲン原子で置換された炭素原子およ
び重水素原子で置換された炭素原子を含む、水素原子含
量が60mg/g以下の高分子からなり、且つ屈折率の
大きさに分布がある屈折率分布領域を少なくとも有する
光学部材である。好ましくは、前記ハロゲン原子がフッ
素原子である上記光学部材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラスチック光学部
材の技術分野に属し、特に、光ファイバ、光導波路およ
び光学レンズ等に好ましく用いられるプラスチック光学
部材の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック光学部材は、同一の構造を
有する石英系の光学部材と比較して、製造および加工が
容易であること、および低価格であること等の利点があ
り、近年、光ファイバおよび光レンズなど種々の応用が
試みられている。これら光学部材の中でもプラスチック
光ファイバは、素線が全てプラスチックで構成されてい
るため、伝送損失が石英系と比較してやや大きいという
短所を有するものの、良好な可撓性を有し、軽量で、加
工性がよく、石英系光ファイバと比較して口径の大きい
ファイバとして製造し易く、さらに低コストに製造可能
であるという長所を有する。従って、伝送損失の大きさ
が問題とならない程度の短距離用の光通信伝送媒体とし
て種々検討されている。
【0003】プラスチック光ファイバは、一般的には、
重合体をマトリックスとする有機化合物からなる芯(本
明細書において「コア部」と称する)と、コア部と屈折
率が異なる(一般的には低屈折率の)有機化合物からな
る外殻(本明細書において「クラッド部」と称する)と
から構成される。特に、中心から外側に向かって屈折率
の大きさに分布を有するコア部を備えた屈折率分布型プ
ラスチック光ファイバは、伝送する光信号の帯域を広く
することが可能なため、高い伝送容量を有する光ファイ
バとして最近注目されている。
【0004】この様な屈折率分布型プラスチック光学部
材の製法の一つに、屈折率調整剤を利用し、光学部材の
母材(本明細書において、「プリフォーム」と称する)
を作製し、その後、前記プリフォームを延伸する方法が
ある。この製造方法では、まず、メチルメタクリレート
(MMA)等のモノマーを、充分な剛性のある容器に入
れて、該容器を回転させつつ、モノマーを重合させて、
ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の重合体から
なる円筒管を作製する。該円筒管はクラッド部となる。
次に、該円筒管の中空部に屈折率分布を有するコア部を
形成する。コア部に屈折率分布を付与する方法として
は、例えば、プリフォームを重合により得る方法とし
て、WO93/08488号公報に、重合体からなる円
筒管内にモノマー、屈折率調整剤、および重合開始剤か
らなる混合物を充填後、加熱重合してコア部を形成し
て、コア部に含有される屈折率調整剤等の濃度分布によ
って屈折率の分布を生じさせる方法が開示されている。
このようにして得られたプリフォームを加熱雰囲気中で
溶融延伸することにより、屈折率分布型プラスチック光
ファイバが得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した様
に、プラスチック光ファイバには光伝送損失が大きいと
いう問題がある。プラスチック光ファイバの光伝送損失
は、主に材料中に存在する炭素−水素結合の伸縮振動に
起因する。この振動の吸収強度は大きく、高調波吸収も
生じやすい。近赤外領域などの光伝送では、それら高調
波による光吸収に起因して伝送損失が生じる。材料を重
水素化し、材料中の炭素−水素結合を炭素−重水素結合
とすることにより光伝送損失を低減できることがWO9
3/08488号公報等に開示されているが、光伝送損
失の低減効果が充分となる程度に重水素化された材料
は、きわめて高価であり、その使用は実用に沿わない。
さらに、重水素化した重合体では置換されていない物と
光学物性以外の特性については変化が少なく、光伝送体
としてアクリル系樹脂を用いた場合、その高い吸湿性は
重水素化に影響されず、吸湿による水分の酸素−水素の
振動が光伝送の妨げになる。一方で、特開昭60−26
0905号公報で開示されている様な重水素の代わりに
フッ素を導入して炭素−水素結合を排除する方法では、
屈折率や耐熱性、機械的特性などの低下が起きるため望
ましい材料とはいえない。また、屈折率分布型プラスチ
ック光ファイバでは、元々の素材の屈折率が高い(適切
な範囲にない)と、屈折率分布構造を形成するのが困難
となり、光伝送能が不充分となる場合があるなどの問題
もある。また、低屈折率化に有利なフッ素を導入した樹
脂は、屈折率分布構造の形成のために添加物を用いる場
合、その溶解性が低下し、充分な屈折率分布構造を形成
するのが困難にもなりかねない。
【0006】本発明は前記諸問題に鑑みなされたもので
あって、より低コストで製造可能であり、且つ光伝送損
失が低減された、高い光伝送能を有する光学部材を提供
することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下のとおりである。 <1> ハロゲン原子で置換された炭素原子および重水
素原子で置換された炭素原子を含む、水素原子含量が6
0mg/g以下の高分子からなり、且つ屈折率の大きさ
に分布がある屈折率分布領域を少なくとも有する光学部
材。 <2> 前記高分子のハロゲン原子数/(水素原子数+
重水素原子数)比が0.10〜0.90である<1>に
記載の光学部材。 <3> 前記屈折率分布領域は、前記高分子および該高
分子と異なる屈折率を有する低分子有機化合物を含有す
るとともに、前記低分子有機化合物の濃度分布に基づい
て屈折率の大きさが分布している<1>または<2>に
記載の光学部材。 <4> 前記ハロゲン原子がフッ素原子または塩素原子
である<1>〜<3>のいずれかに記載の光学部材。
【0008】<5> 前記屈折率の分布が断面の中央か
ら外側に向かって変化する<1>〜<4>のいずれかに
記載の光学部材。 <6> 屈折率が互いに異なるクラッド部およびコア部
を有し、前記コア部が前記高分子からなる前記屈折率分
布領域である<1>〜<5>のいずれかに記載の光学部
材。 <7> 前記クラッド部が、重水素原子および/または
ハロゲン原子で置換された炭素原子を含む高分子からな
る<6>に記載の光学部材。 <8> 前記コア部が、前記クラッド部の中空部で界面
ゲル重合法により形成されてなる<6>または<7>に
記載の光学部材。 <9> 光ファイバ、光導波路または光学レンズである
<1>〜<8>のいずれかに記載の光学部材。
【0009】本発明の光学部材では、重水素原子および
ハロゲン原子で置換され、水素原子量が低減された高分
子を用いて屈折率分布領域を形成している。高分子中の
炭素−水素結合の少なくとも一部が炭素−重水素結合お
よび炭素−ハロゲン結合に置き換えられ、水素原子含有
量が前記範囲に低減されているので、炭素−水素結合の
伸縮振動の光吸収に起因する光伝送損失を軽減すること
ができる。また、全てが炭素−重水素結合で置換された
高分子と比較して安価に製造可能であり、光伝送損失を
より低コストに低減することができる。さらに、水素原
子がハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換され
た高分子を用いると、ハロゲン置換されていない高分子
と比較して、耐湿性を改良できるとともに、屈折率分布
領域の元々の屈折率を低下させることができる。従っ
て、屈折率調整剤を添加して、該剤の濃度分布により屈
折率分布構造をより容易に形成することができる。ま
た、ハロゲン原子数/(水素原子数+重水素原子数)比
を前記範囲に調整することにより、屈折率調整剤の溶解
性を高めることができ、より安定的に充分な屈折率分布
構造を形成することができる。更に、Tgの低下を抑制
でき、耐湿性もより高く保つことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、本発明の光学部材に用いられる高分子につ
いて説明する。本発明の光学部材は、水素原子の含有量
が1g当たり60mg以下(より好ましくは50mg以
下、さらに好ましくは20mg以下)の高分子からなる
領域を少なくとも有する。前記高分子は、ハロゲン原子
で置換された炭素原子および重水素原子で置換された炭
素原子を含む。即ち、高分子中の炭素−水素結合が、炭
素−重水素結合および炭素−ハロゲン結合で置き換えら
れることによって、水素原子含量が前記範囲に低減され
た高分子である。
【0011】前記高分子は、水素含有量が前記範囲であ
る限り、ホモポリマーであってもコポリマーであっても
よい。例えば、重水素化およびハロゲン化された化合物
をモノマーとして単独で、または他のモノマーとともに
重合することによって製造できる。また、重水素化され
たモノマーと、ハロゲン化されたモノマーとを共重合す
ることによって製造することができる。さらに、重合後
に、高分子を重水素化および/またはハロゲン化するこ
とによって製造することができる。前記高分子は、アク
リル酸エステル系またはメタアクリル酸エステル系のモ
ノマーの重合体であるのが好ましい。
【0012】前記高分子に含まれる、ハロゲン原子数/
(水素原子数+重水素原子数)比は0.10〜0.90
であるのが好ましく、0.15〜0.60であるのがよ
り好ましく、0.20〜0.49であるのがさらに好ま
しい。重水素原子の数が多くなると吸湿性が高いままで
あるため、吸収した水分の酸素−水素振動によって伝送
損失が高くなる傾向や製造コストが高くなる傾向があ
り、一方、ハロゲン原子の数が多くなると、耐熱性など
の構造的物性や屈折率調整剤の溶解性の低下などに起因
して、光伝送損失の低減効果が損なわれる傾向がある。
ハロゲン原子数/(水素原子数+重水素原子数)比が前
記範囲であると、低コストで、耐湿性、耐熱性に優れ且
つ顕著な光伝送損失低減効果を奏する光学部材が得られ
る。
【0013】前記高分子を置換しているハロゲン原子
は、フッ素原子であるのが好ましい。また、前記高分子
は、ハロゲン原子以外にも、アルキルカルボニルオキシ
基、アルキルスルホニルオキシ基、アルキルオキシ基、
アリールカルボニルオキシ基、アリールスルホニルオキ
シ基、アリールオキシ基等の置換基を有していてもよ
い。
【0014】本発明に使用可能な高分子の具体例を以下
に挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限
されるものではない。なお、以下の具体例では、繰り返
し単位を例示するが、これらの繰り返し単位は、水素原
子含量が60mg/g以下となる範囲であれば、また好
ましくは、ハロゲン原子数/(水素原子数+重水素原子
数)比が0.10〜0.90の範囲であれば、その単位
のみを含むホモポリマーであっても、2以上の単位を任
意の比率で含むコポリマーであってもよい。例えば、重
水素原子のみを含む繰り返し単位(例えば単位11)に
ついては、ハロゲン原子を含む繰り返し単位(例えば単
位1)と任意の比率で共重合させたコポリマーが具体例
として挙げられ、ハロゲン原子のみを含む繰り返し単位
(例えば単位9)については、重水素原子を含む繰り返
し単位(例えば単位11)と任意の比率で共重合させた
コポリマーが具体例として挙げられる。また、ハロゲン
原子および重水素原子を含まない繰り返し単位について
は、重水素および/またはハロゲン原子をそれぞれ含む
繰り返し単位と任意の比率で共重合させたコポリマーが
具体例として挙げられる。
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】本発明の一実施形態としては、ハロゲン原
子で置換された炭素原子および重水素原子で置換された
炭素原子を含む、水素原子含量が60mg/g以下の高
分子からなるコア部、およびクラッド部を有し、前記コ
ア部が中心から外側に向かって屈折率の大きさに分布を
有する(以下、「屈折率分布型コア部」と称する)光フ
ァイバが挙げられる。前記クラッド部は、伝送される光
信号をコア部に留めるため、コア部の屈折率より低い屈
折率を有する。また該高分子におけるハロゲン原子数/
(水素原子数+重水素原子数)比が0.10〜0.90
であることが好ましい。一方、前記コア部は中心から外
側に向かって屈折率が低下する屈折率の分布を有する。
また、コア部およびクラッド部は、伝送される光に対し
て透過性であるのが好ましい。
【0019】本実施の形態の屈折率分布型の光学部材
は、光ファイバとして用いた場合に伝送する光信号の帯
域が広域であり、高い伝送容量を有する。加えて、本実
施の形態では、屈折率分布型コア部を、水素原子量が6
0mg/g以下の、重水素原子およびハロゲン原子で置
換された高分子を用いて形成しているので、炭素−水素
結合の伸縮振動の光吸収に起因する光伝送損失を低減す
ることができる。また、全てが炭素−重水素結合で置換
された高分子と比較して安価に製造可能であり、光伝送
損失をより低コストに低減することができる。さらに、
一部の水素原子がハロゲン原子(好ましくはフッ素原
子)で置換された高分子を用いているので、ハロゲン置
換されていない高分子と比較して、耐湿性を高めること
ができコア部の元々の屈折率を低下させることができ
る。従って、後述する屈折率調整剤を添加して該剤の濃
度分布により、屈折率分布構造をより容易に形成するこ
とができる。また、ハロゲン原子数/(水素原子数+重
水素原子数)比を0.10〜0.90に制御することに
より、耐熱性を保持できるとともに、屈折率調整剤の溶
解性を高めることができ、充分な屈折率分布の形成を可
能にすることができ、光伝送性能に有利である。
【0020】光ファイバなどとして用いる場合、コア部
外周に設けるクラッド部に用いられる高分子は、前記コ
ア部より低い屈折率を有する領域となる高分子で、且つ
光透過性であれば、特に制限されないが、少なくともハ
ロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)で置換された
炭素原子を含む高分子が好ましい。高分子1g中のハロ
ゲン原子(特にフッ素原子)の含有量が100mg以上
の高分子が好ましく、200mg以上の高分子がより好
ましく、300mg以上の高分子が特に好ましい。さら
に、高分子1g中の水素原子の含有量は、60mg以下
であるのが好ましく、50mg以下であるのがより好ま
しく、20mg以下であるのがさらに好ましい。クラッ
ド部を、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換
された炭素原子を有する高分子で形成すると、クラッド
部の屈折率を低下させることができ、コア部とクラッド
部の屈折率差を大きくすることができるので、コア部に
光をより効率的に留めることができ、より高い光伝送能
を有する光ファイバとすることができる。
【0021】また、クラッド部の高分子は、重水素原子
で置換された炭素原子を含んでいてもよい。クラッド部
を、重水素化された高分子で形成すると、クラッド部の
炭素−水素結合の量をより減少させることができ、光伝
送損失をより低減することができる。
【0022】コア部の高分子の具体例としては前述の具
体例と同様である。中でも、前述の繰り返し単位例のう
ち、繰り返し単位例1、2または3を含むホモポリマー
またはコポリマーが好ましい。クラッド部の高分子の具
体例についても前述と同様であるが、加えて、上記例示
した繰り返し単位例1〜30のうち、フッ素原子のみを
含む繰り返し単位(例えば、単位10)のホモポリマ
ー、およびフッ素原子のみを含む繰り返し単位(例え
ば、単位25)と重水素原子およびハロゲン原子の双方
を含まない繰り返し単位との任意の比率のコポリマーが
具体例として挙げられる。中でも、クラッド部として
は、前述の繰り返し単位例8、10または25を含むホ
モポリマーまたはコポリマーが好ましい。
【0023】屈折率分布型コア部は、屈折率調整剤を用
いることにより形成できる。即ち、前記高分子および屈
折率調整剤を含有する領域を形成することによって、前
記屈折率分布型コア部を形成することができる。「屈折
率調整剤」とは、WO93/08488号公報や特開平
5−173026号公報に記載されているような、モノ
マーの合成によって生成される重合体との比較において
溶解性パラメータとの差が7(cal/cm31/2以内
であると共に、これを含有する組成物が無添加の組成物
と比較して、屈折率が異なる(好ましくは高くなる)性
質を有する低分子有機化合物をいう。前記低分子有機化
合物は、前記高分子との屈折率差が0.001以上であ
るのが好ましい。この低分子有機化合物は重合体中の存
在比によって、構成素材の屈折率を変化させることがで
きる。前記屈折率調整剤は、コア部の原料となるモノマ
ーに添加した後、該モノマーを重合することにより、コ
ア部に含有させることができる。例えば、後述する界面
ゲル重合法を利用することにより、屈折率調整剤の濃度
に分布を有するコア部を形成することができ、この濃度
分布に基づいて屈折率分布構造を形成することができ
る。前記屈折率調整剤としては、前記性質を有し、重合
体と安定して共存可能で、且つ重合体を構成する単量体
に対して非重合性であり、さらに前述の原料であるモノ
マーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下にお
いて安定であるものを、いずれも用いることができる。
例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル
(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸
ベンジルnブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(D
PP)、ビフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DP
M)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニルスル
ホキシド(DPSO)などが挙げられ、中でも、BE
N、DPS、TPP、DPSOが好ましい。なお、本明
細書において「低分子有機化合物」とは重合体でない有
機化合物を意味するが、2〜10の多量体も含まれるも
のとする。なお、屈折率を調整する低分子有機化合物は
2種類以上併用してもよい。
【0024】前記屈折率調整剤の添加量は、屈折率上昇
の程度やポリマーマトリクスとの関係によって変化する
が、一般的に好ましい範囲としては重合性組成物の1〜
30質量%、より好ましくは3〜25質量%、特に好ま
しくは5〜20質量%である。
【0025】屈折率調整剤のコア部における濃度および
分布を調整することによって、プラスチック光ファイバ
の屈折率を所望の値に変化させることができる。その添
加量は、用途および組み合わされるコア部原料などに応
じて適宜選ばれる。
【0026】コア部およびクラッド部の原料であるモノ
マーを重合する際に、重合状態や重合速度を制御した
り、熱延伸工程に適する分子量に制御すること等を目的
として、重合開始剤および重合調整剤(例えば、連鎖移
動剤)を添加することができる。重合開始剤としては、
用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することが
できるが、それらのうちでも、ラジカル重合開始剤を好
ましく用いることができる。ラジカル重合開始剤として
は、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチル=パーオ
キシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブ
チルパーオキシド(PBD)、t−ブチル=パーオキシ
イソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル=
4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート(P
HV)などのパーオキサイド系化合物、または2,2’
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)、1,1’―アゾビス
(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ系
化合物が挙げられる。 なお、重合開始剤は2種類以上
併用してもよい。
【0027】重合調整剤は、主に、重合体の分子量によ
るガラス転移点などの重合体物性の不均一や変化を抑え
る目的で、重合体の分子量を調整するために用いられ
る。前記連鎖移動剤については、併用する重合性モノマ
ーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択する
ことができる。具体的には、アルキルメルカプタン類
(n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタ
ン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプ
タン、t−ドデシルメルカプタン等)、チオフェノール
類(チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−
ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−ト
ルエンチオール等)などを用いるのが好ましく、中で
も、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプ
タン、t−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタ
ンを用いるのが好ましい。なお、前記重合調整剤は2種
類以上を併用してもよい。
【0028】その他、コア部およびクラッド部には、光
伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加
することができる。例えば、クラッド部およびコア部の
耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加
することができる。また、光伝送性能の向上を目的とし
て、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加すること
もできる。該化合物を添加することにより、減衰した信
号光を励起光により増幅することが可能となり、伝送距
離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅
器として使用することができる。これらの添加剤も、前
記原料モノマーに添加した後、重合することによって、
コア部およびクラッド部に含有させることができる。
【0029】次に、本実施の形態の製造例について詳細
に説明する。本実施の形態の光学部材は、高分子からな
る中空状の管(例えば円筒管)を作製する第1の工程
と、前記中空管の中空部で重合性組成物の重合を行うこ
とによりコア部となる領域を形成し、コア部およびクラ
ッド部に各々対応する領域からなるプリフォームを作製
する第2の工程と、得られたプリフォームを所望の形態
に加工するする第3の工程を含む製造方法によって製造
することができる。第2の工程で用いられる重合性組成
物は、炭素−水素結合を低減させたモノマーと、該モノ
マーの重合を開始させる重合開始剤と、重合体の分子量
を調整する重合調整剤と、該モノマーの重合体の屈折率
と異なる屈折率を与える低分子有機化合物を少なくとも
含有する。
【0030】前記第1の工程では、中空状(例えば円筒
形状)の管を作製する。中空の円筒管の製法としては、
例えばWO93/08488号公報に記載のような製造
方法が挙げられる。中空管は円筒形状の容器に原料とな
るモノマーを含有する組成物が注入された容器を、回転
(好ましくは、円筒の軸を水平に維持した状態で回転)
させつつ、前記高分子となるモノマー(例えば、重水素
化およびハロゲン化(好ましくはフッ素化)(メタ)ア
クリル酸エステルまたはハロゲン化(好ましくはフッ素
化)(メタ)アクリル酸エステル)を重合させることに
より作製することができる。容器内には、モノマーとと
もに、所望により他の単量体、重合開始剤などを添加す
ることができる。また、連鎖移動剤を添加して、重合体
の分子量は4万〜12万程度にするのが好ましい。この
時に、特開平8−110419号公報に記載されている
様に、原料をプレ重合して原料粘度を上昇させてから行
ってもよい。
【0031】重合開始剤としては、前記モノマーの沸点
以下の十時間半減期温度(t1/2℃)を示す材料を用い
るのが好ましい。ここで、重合開始剤の十時間半減期温
度とは、開始剤が分解し十時間でその数が1/2になる
温度をいう。重合開始剤として、十時間半減期温度が原
料であるモノマーの沸点以下の材料を用いるとともに、
前記モノマーを{(t1/2)−20}℃以上t1/2℃以下
の温度で前記重合開始剤により重合させるのが好まし
い。例えば、モノマーとして2,2,2−トリフルオロ
エチル−ペンタジューテロメタクリレート(CD2=C
(CD3)CO2CH2CF3)を用い、重合開始剤として
PBDを用いた場合は、重合温度を100〜110℃で
48〜72時間重合するのが好ましい。なお、重合開始
剤の添加量は、用いるモノマーの種類等に応じて好まし
い範囲を適宜決定することができるが、一般的にはモノ
マーに対して、0.10〜1.00質量%添加するのが
好ましく、0.40〜0.60質量%添加するのがより
好ましい。
【0032】前記回転重合後に、残存するモノマーや重
合開始剤を完全に反応させることを目的として、得られ
た中空管に、回転重合時の重合温度より高い温度の加熱
処理を施してもよいし、所望の中空管が得られた後未重
合の組成物を取り除いてもよい。
【0033】前記第1の工程に用いられる容器の大き
さ、注入されるクラッド部の原料組成物の量、回転重合
時の単位時間当たりの回転数については、目的とするプ
ラスチック光学部材(またはプリフォーム)の大きさに
応じて、適宜決定することができるが、重合に使用する
容器が回転によって変形すると、得られる円筒管等の中
空管に歪みを生じさせることから、充分な剛性を持つ金
属管・ガラス管を用いることが望ましい。
【0034】また、前記第1の工程では、一旦、前記高
分子を重合により得た後、押し出し成形等の成形技術を
利用して、所望の形状(本実施の形態では円筒形状)の
構造体を得ることもできる。
【0035】前記第2の工程では、前記第1の工程で作
製した中空管の中空部にコア部の原料である前記高分子
のモノマー(例えば、重水素化およびハロゲン化(メ
タ)アクリル酸エステル)および屈折率調整剤を注入
し、前記中空部でモノマーを重合させる。所望により、
重合開始剤、重合調整剤、屈折率調整剤、他の添加剤な
どを含有させることができる。その添加量については、
用いるモノマーの種類等に応じて好ましい範囲を適宜決
定することができるが、重合開始剤は、一般的にはモノ
マーに対して、0.005〜0.050質量%添加する
のが好ましく、0.010〜0.020質量%添加する
のがより好ましい。前記連鎖移動剤は、一般的にはモノ
マーに対して、0.10〜0.40質量%添加するのが
好ましく、0.15〜0.30質量%添加するのがより
好ましい。屈折率調整剤は生じる屈折率変化と求める屈
折率分布形状とによってその添加量が適宜選択される。
【0036】前記第2の工程では、前記中空管の中空部
に充填されたコア部の原料であるモノマーを重合する。
重合法は重合後の残留物の観点から溶媒等を用いないW
O93/08488号公報に記載されているような界面
ゲル重合法が特に好ましい。この界面ゲル重合法を用い
ることで、モノマーの重合は、前記中空管でゲル効果に
よって、粘度の高くなった内壁表面から断面の半径方
向、中心に向かって進行する。モノマーに屈折率調整剤
を添加して重合すると、前記中空管を構成している重合
体に対して親和性の高いモノマーが前記中空管表面に偏
在して重合し、外側には屈折率調整剤濃度が低い重合体
が形成される。中心に向かうに従って、形成された重合
体中の該屈折率調整剤の比率は増加する。このようにし
て、コア部となる領域内に屈折率調整剤の濃度分布が生
じ、その結果、連続した屈折率の分布が導入される。
【0037】上記説明した様に、第2の工程において、
形成されるコア部となる領域に屈折率分布を導入するこ
とができるが、屈折率が互いに異なる部分間は熱挙動も
互いに異なるので、重合を一定温度で行うと、その熱挙
動の違いからコア部となる領域には、重合反応に対して
発生する体積収縮の応答性が変化し、プリフォーム内部
に気泡が混入する、もしくはミクロな空隙が発生し、得
られたプリフォームを加熱延伸した際に多数の気泡が発
生する現象が生じる可能性がある。重合温度が低すぎる
と、重合効率が低下し、生産性を著しく損ない、重合が
不完全となって光透過性が低下し、作製される光ファイ
バの光伝送能を損なう。一方、初期の重合温度が高すぎ
ると、初期の重合速度が著しく上昇し、コア部となる領
域の収縮に対して応答緩和できず、気泡発生の傾向が著
しい。従って、用いるモノマーに応じて、適切な重合温
度で重合することが望ましい。例えば、コア部の原料と
して2,2,2−トリフルオロエチル−ペンタジューテ
ロメタクリレート(CD2=C(CD3)CO2CH2CF
3)を用いた場合は、重合温度は50〜150℃である
のが好ましく、80〜120℃であるのがより好まし
い。なお、中空管の中空部にコア部の原料であるモノマ
ーを注入する前に、モノマーを減圧雰囲気で脱水および
/または脱気することにより、さらに気泡の発生を軽減
することもできる。
【0038】また、十時間半減期温度が前記モノマーの
沸点以上である重合開始剤を用い、該重合開始剤の半減
期の少なくとも10%の時間まで重合するのが好まし
い。この条件で重合すると、初期重合速度を減少させ、
初期重合における体積収縮応答性を向上させることがで
き、その結果、プリフォーム中の体積収縮による気泡混
入を軽減することができ、生産性を向上することができ
る。前記モノマーとして2,2,2−トリフルオロエチ
ル−ペンタジューテロメタクリレート(CD2=C(C
3)CO2CH2CF3)を用いた場合、十時間半減期温
度がMMAの沸点以上の重合開始剤としては、前述の例
示した重合開始剤のうち、PBDおよびPHVが該当す
る。例えば、モノマーとして2,2,2−トリフルオロ
エチル−ペンタジューテロメタクリレート(CD2=C
(CD3)CO2CH2CF3)を用い、重合開始剤として
PBDを用いた場合は、初期重合温度を100〜110
℃に48〜72時間維持し、その後、120〜140℃
まで昇温して24〜48時間重合するのが好ましく、重
合開始剤としてPHVを用いた場合は、初期重合温度を
100〜110℃に4〜24時間維持し、120〜14
0℃まで昇温して24〜48時間重合するのが好まし
い。なお、昇温は段階的に行っても、連続的に行っても
よいが、昇温にかける時間は短いほうがよい。
【0039】第2の工程においては、加圧状態で重合す
るのが好ましい(以下、加圧状態で行う重合を「加圧重
合」という)。加圧重合を行う場合は、前記モノマーを
注入した中空管を、治具の中空部に挿入して、治具に支
持された状態で重合を行うのが好ましい。前記治具は、
前記中空管を挿入可能な中空部を有する形状であり、前
記治具の中空部は前記中空管の外形と類似の形状を有し
ているのが好ましい。例えば、前記中空管が円筒形状の
場合は、前記治具の中空部も円筒形状であるのが好まし
い。治具は、加圧重合中に前記中空管が変形するのを抑
制するとともに、加圧重合が進むに従ってコア部となる
領域が収縮するのを緩和可能に支持する。従って、治具
の中空部は、前記中空管の外径より大きい径を有し、前
記中空管を非密着状態で支持するのが好ましい。前記治
具の中空部は、前記中空管の外径に対して0.1%〜4
0%だけ大きい径を有しているのが好ましく、10〜2
0%だけ大きい径を有しているのがより好ましい。本実
施の形態では、前記治具は円筒形状なので、前記治具の
内径が、前記中空管の外径に対して0.1%〜40%だ
け大きいのが好ましく、10〜20%だけ大きいのがよ
り好ましい。
【0040】前記中空管を治具の中空部に挿入した状態
で、重合容器内に配置することができる。重合容器内に
おいて、前記中空管は、円筒の高さ方向を垂直にして配
置されるのが好ましい。前記中空管を前記治具に支持さ
れた状態で重合容器内に配置した後、前記重合容器内を
加圧もしくは減圧することができる。加圧する場合は窒
素等の不活性ガスで重合容器内を加圧し、不活性ガス雰
囲気下で加圧重合を進行させるのが好ましい。重合時に
加圧する場合の好ましい範囲については、用いるモノマ
ーによって異なるが、重合時の圧は、一般的には0.0
5〜1.0MPa程度が好ましい。
【0041】第1および第2の工程を経て、プラスチッ
ク光ファイバのプリフォームが得られる。コア部を形成
している高分子のガラス転移点は60〜180℃である
のが好ましく、80〜180℃であるのがより好まし
い。また、前記コア部を形成している高分子の重量平均
分子量は4万〜30万であるのが好ましく、5万〜20
万であるのがより好ましい。コア部とクラッド部との屈
折率差の好ましい範囲は、光学部材の用途によっても異
なるが、0.001〜0.1であるのが好ましく、0.
005〜0.08であるのがより好ましい。
【0042】なお、本実施の形態では、第1および第2
の工程として、モノマーを加熱重合する工程を示した
が、紫外線等の光線を照射することによってモノマーを
重合することもできる。
【0043】第3の工程では、作製されたプリフォーム
を加工して所望の形態の光学部材を得る。例えば、プリ
フォームを軸方向に垂直にスライスすれば断面が凹凸を
有しない円板状もしくは円柱状のレンズを得ることがで
きる。また、延伸加工してプラスチック光ファイバを得
ることもできる。その他、例えば、前記第1および第2
の工程で得られたプリフォームから、光導波路等の光学
部材を作製することもできる。
【0044】光ファイバは、第3の工程において、プリ
フォームを加熱延伸することによって作製することがで
きる。延伸加工では、例えば、プリフォームを加熱炉
(例えば円筒状の加熱炉)等の内部を通過させることに
よって加熱し、溶融させた後、引き続き連続して延伸紡
糸するのが好ましい。加熱温度は、プリフォームの材質
等に応じて適宜決定することができるが、一般的には、
180〜250℃が好ましい。延伸条件(延伸温度等)
は、得られたプリフォームの径、所望のプラスチック光
ファイバの径および用いた材料等を考慮して、適宜決定
することができる。特に、屈折率分布型光ファイバにお
いては、その断面の中心方向から円周に向け屈折率が変
化する構造を有するため、この分布を破壊しないよう
に、均一に加熱且つ延伸紡糸する必要がある。従って、
プリフォームの加熱には、プリフォームを断面方向にお
いて均一に加熱可能である円筒形状の加熱炉等を用い、
且つ延伸紡糸は、中心位置を一定に保つ調芯機構を有す
る延伸紡糸装置を用いて行うのが好ましい。
【0045】前記第3の工程を経て製造されたプラスチ
ック光ファイバは、そのままの形態で種々の用途に供す
ることができる。また、保護や補強を目的として、その
外側に被覆層を有する形態、繊維層を有する形態、およ
び/または複数のファイバを束ねた形態で、種々の用途
に供することができる。被覆工程は、例えば、ファイバ
素線に被覆を設ける場合では、ファイバ素線の通る穴を
有する対向したダイスにファイバ素線を通し、対向した
ダイス間に溶融した被覆用の樹脂を満たし、ファイバ素
線をダイス間を移動させることで得ることができる。被
覆層は可撓時に内部のファイバへの応力から保護するた
め、ファイバ素線と融着していないことが望ましい。さ
らにこの時、溶融した樹脂と接することでファイバ素線
に熱的ダメージを加わるので、極力ダメージを押さえる
ような移動速度や低温で延伸できる樹脂を選ぶことも望
ましい。この時、被覆層の厚みは被覆材の物性値や素線
の引き抜き速度、被覆層の冷却温度による。その他に
も、被覆層を形成する方法としては、得られた光学部材
に塗布したモノマーを重合させる方法、シートを巻き付
ける方法、押し出し成形した中空管に得られた光学部材
を通す方法などが知られている。
【0046】素線を被覆することにより、プラスチック
光ファイバケーブルの製造が可能となる。その際にその
被覆の形態として、被覆材とプラスチック光ファイバ素
線の界面が全周にわたって接して被覆されている密着型
の被覆と、被覆材とプラスチック光ファイバ素線の界面
に空隙を有するルース型被覆がある。ルース型被覆で
は、例えば、コネクターとの接続部などにおいて被覆層
を剥離した場合、その端面の空隙から水分が浸入して長
手方向に拡散されるおそれがあるため、通常は密着型が
好ましい。しかし、ルース型被覆では、被覆と素線が密
着していないので、ケーブルにかかる応力や熱をはじめ
とするダメージの多くを被覆材層で緩和させることがで
き、素線にかかるダメージを軽減させることができるの
で、使用目的によっては好ましく用いることができる。
水分の伝播については、空隙部に流動性を有するゲル状
の半固体や粉粒体を充填することで、端面からの水分伝
播を防止できる。さらにこれらの半固体や粉粒体に耐熱
や機械的機能の向上などの水分伝播防止と異なる機能を
併せ持つようにすることで、より高い性能の被覆を形成
できる。ルース型被覆は、クロスヘッドダイの押出し口
ニップルの位置を調整し、減圧装置を加減して空隙層を
形成することで作製できる。空隙層の厚みは、前述のニ
ップル厚みと空隙層を加圧/減圧することで調整が可能
である。
【0047】さらに、必要に応じて被覆層(1次被覆
層)の外周にさらに被覆層(2次被覆層)を設けてもよ
い。2次被覆層に難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、
ラジカル捕獲剤、昇光剤、滑剤などを導入してもよく、
耐透湿性能を満足する限りにおいては、1次被覆層にも
導入は可能である。なお、難燃剤については臭素を始め
とするハロゲン含有の樹脂や添加剤や燐含有のものがあ
るが、毒性ガス低減などの安全性の観点で、難燃剤とし
て金属水酸化物を加えるのが主流となりつつある。金属
水酸化物はその内部に結晶水として水分を有しており、
またその製法過程での付着水が完全に除去できないた
め、金属水酸化物による難燃性被覆は本発明の対透湿性
被覆(1次被覆層)の外層被覆(2次被覆層)として設
けることが望ましい。
【0048】また、複数の機能を付与させるために、様
々な機能を有する被覆を積層させてもよい。例えば、難
燃化以外に、素線の吸湿を抑制するためのバリア層や水
分を除去するための吸湿材料、例えば吸湿テープや吸湿
ジェルを被覆層内や被覆層間に有することができ、また
可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や発泡層等の緩
衝材、剛性を挙げるための強化層など、用途に応じて選
択して設けることができる。樹脂以外にも構造材とし
て、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)お
よび/または剛性の高い金属線等の線材を熱可塑性樹脂
に含有すると、得られるケーブルの力学的強度を補強す
ることができることから好ましい。抗張力繊維として
は、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリア
ミド繊維が挙げられる。また、金属線としてはステンレ
ス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのも
のも前述したものに限定されるものではない。その他
に、保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配
線時の作業性を向上させるための機構を組み込むことが
できる。
【0049】また、ケーブルの形状は使用形態によっ
て、素線を同心円上にまとめた集合ケーブルや、一列に
並べたテープ心線と言われる態様、さらにそれらを押え
巻やラップシースなどでまとめた集合ケーブルなど、用
途に応じて選ぶことができる。
【0050】本発明の光学部材としての光ファイバ、お
よび光ファイバケーブルを用いて光信号を伝送するシス
テムには、種々の発光素子、受光素子、他の光ファイ
バ、光バス、光スターカプラ、光信号処理装置、接続用
光コネクター等で構成される。それらに関する技術とし
てはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラステ
ィックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティ
ー・エス社発行)等の他、特開平10−123350
号、特開2002−90571号、特開2001−29
0055号等の各公報に記載の光バス;特開2001−
74971号、特開2000−329962号、特開2
001−74966号、特開2001−74968号、
特開2001−318263号、特開2001−311
840号等の各公報に記載の光分岐結合装置;特開20
00−241655号等に記載の光スターカプラ;特開
2002−62457号、特開2002−101044
号、特開2001−305395号等の各公報に記載の
光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002
−23011号等の公報に記載の光信号処理装置;特開
2001−86537号公報等に記載の光信号クロスコ
ネクトシステム;特開2002−26815号等の公報
に記載の光伝送システム;特開2001−339554
号、特開2001−339555号等の各公報に記載の
マルチファンクションシステム;などを参考にすること
ができる。
【0051】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更する
ことができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体
例に制限されるものではない。 [光ファイバの作製] (クラッド部の作製)表1のクラッド部の欄の各々に示
すモノマーと、モノマーに対して0.5質量%の重合開
始剤と、モノマーに対して0.28質量%の連鎖移動剤
とを混合し、更に遮光した状態で攪拌した。その後、予
定するプリフォームの外径に対応する内径を有する十分
な剛性を持った内径50mm、長さ600mmの円筒状
の容器に、前記混合物を流し込み、70℃にて水平状態
に保持し3000rpmにて回転させながら3時間加熱
重合した。引き続き、90℃で24時間の熱処理し、表
1に示す高分子からなる中空部を有する円筒管を得た。
【0052】(コア部の作製)次に、表1のコア部の欄
の各々に示すモノマーと、モノマーに対して12質量%
の屈折率調整剤と、モノマーに対して0.013質量%
の重合開始剤と、モノマーに対して0.27質量%の連
鎖移動剤とを混合し、該混合液を精度0.2μmの四フ
ッ化エチレン製メンブランフィルターで濾過しつつ、得
られた円筒管の各々の中空部に濾液を直接注入した。こ
のモノマー等を注入した円筒管を、加圧重合容器に垂直
に静置する際に、該円筒管外径に対し2mmだけ大きい
径を持つガラス管内に挿入した。その後、加圧重合容器
内を窒素雰囲気に置換した後、0.6Mpaまで加圧
し、120℃にて48時間加熱重合して、表1のコア部
の欄に示す高分子をコア部とするプリフォームを各々得
た。
【0053】(延伸工程)このプリフォームを200℃
の熱延伸により線引きを行い、700〜800μm径の
プラスチック光ファイバを得た。
【0054】[光ファイバの特性]得られた各ファイバ
のコア部のガラス転移温度、コア部の分子量、コア部の
屈折率(平均)、クラッド部の屈折率、およびコア部と
クラッド部との屈折率差(Δn)を表2に示す。また、
得られたファイバの伝送損失を各々測定した。結果を、
伝送帯域とともに表3に示す。
【0055】
【表1】
【0056】表1中、ポリマーの欄の数字は以下のポリ
マーを各々示す。「単位」とは前述の繰り返し単位例の
ことをいい、「単位」の後に続く数字は各具体例の番号
を示す。また、プリフォームの作製に用いたモノマー
は、重合により各繰り返し単位を生じるアクリル酸エス
テル系またはメタアクリル酸エステル系のモノマーであ
る。 ポリマー1 単位1(70モル%)と単位11(30
モル%)とのコポリマー ポリマー2 単位1(60モル%)と単位11(30
モル%)と単位29(10モル%)とのコポリマー ポリマー3 単位4(55モル%)と単位11(25
モル%)と単位29(20モル%)とのコポリマー ポリマー4 単位2(50モル%)と単位11(50
モル%)とのコポリマー ポリマー5 単位14(90モル%)と単位23(1
0モル%)とのコポリマー ポリマー6 単位2(50モル%)と単位29(50
モル%)とのコポリマー ポリマー7 単位3(40モル%)と単位29(60
モル%)とのコポリマー ポリマー8 単位8(50モル%)と単位29(50
モル%)とのコポリマー ポリマー9 単位25(60モル%)と単位29(4
0モル%)とのコポリマー ポリマー10 単位10のホモポリマー ポリマー11 単位3(50モル%)と単位32(50
モル%)とのコポリマー
【0057】表1中、屈折率調整剤および重合開始剤の
欄の略号は以下の化合物を各々示す。 DPS:ジフェニルスルフィド BB−d5:ブロモベンゼン−d5 o−DCB:オルトジクロロベンゼン
【0058】化合物A
【化4】
【0059】BPO:ベンゾイルパーオキシド BME:ベンゾインメチルエーテル 表1中、連鎖移動剤の欄の略号は該炭素数のチオール化
合物を各々示す。また、比較例2および3においては、
屈折率調整剤が溶解せず評価できなかった。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、より低コストで作製可
能であり、光伝送損失が低減された、高い光伝送能を有
する光学部材を提供することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン原子で置換された炭素原子およ
    び重水素原子で置換された炭素原子を含む、水素原子含
    量が60mg/g以下の高分子からなり、且つ屈折率の
    大きさに分布がある屈折率分布領域を少なくとも有する
    光学部材。
  2. 【請求項2】 前記高分子のハロゲン原子数/(水素原
    子数+重水素原子数)比が0.10〜0.90である請
    求項1に記載の光学部材。
  3. 【請求項3】 前記屈折率分布領域が、前記高分子およ
    び該高分子と異なる屈折率を有する低分子有機化合物を
    含有するとともに、前記低分子有機化合物の濃度分布に
    基づいて屈折率の大きさが分布している請求項1または
    2に記載の光学部材。
  4. 【請求項4】 前記ハロゲン原子がフッ素原子または塩
    素原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学
    部材。
  5. 【請求項5】 屈折率が互いに異なるクラッド部および
    コア部を有し、前記コア部が前記高分子からなる前記屈
    折率分布領域である請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の光学部材。
  6. 【請求項6】 前記クラッド部が、重水素原子および/
    またはハロゲン原子で置換された炭素原子を含む高分子
    からなる請求項5に記載の光学部材。
  7. 【請求項7】 前記屈折率の分布が断面の中央から外側
    に向かって変化する請求項1〜6のいずれか1項に記載
    の光学部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006506502A (ja) * 2002-11-15 2006-02-23 富士写真フイルム株式会社 光学部材、その製造のための組成物

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