JP2004099652A - 光学部材用重合性組成物、光学部材およびその製造方法 - Google Patents

光学部材用重合性組成物、光学部材およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004099652A
JP2004099652A JP2002259862A JP2002259862A JP2004099652A JP 2004099652 A JP2004099652 A JP 2004099652A JP 2002259862 A JP2002259862 A JP 2002259862A JP 2002259862 A JP2002259862 A JP 2002259862A JP 2004099652 A JP2004099652 A JP 2004099652A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymerization
optical member
refractive index
polymerizable
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002259862A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroki Sasaki
佐々木 広樹
Riyouichi Nemori
根守 良一
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2002259862A priority Critical patent/JP2004099652A/ja
Priority to AU2003259570A priority patent/AU2003259570A1/en
Priority to EP03794229A priority patent/EP1534762A2/en
Priority to KR1020057003893A priority patent/KR20050043932A/ko
Priority to CNB038212625A priority patent/CN100335516C/zh
Priority to US10/526,381 priority patent/US20060173148A1/en
Priority to PCT/JP2003/011301 priority patent/WO2004022614A2/en
Publication of JP2004099652A publication Critical patent/JP2004099652A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】伝送損失が低く、且つ湿熱による伝送損失の悪化が少ない光学部材用重合性組成物および製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物(A)および下記一般式(2)で表される化合物(B)を主成分とする重合性モノマーと、前記重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤と、前記重合性モノマーの連鎖移動剤とを含み、且つ前記化合物(A)と前記化合物(B)とのモル比が1/100以上4/1未満である光学部材用重合性組成物である。XおよびXは各々独立してHまたはDを;YおよびYは各々独立して、H、D、CH基、CD基またはFを;Rは炭素原子数3〜8個の分岐状のアルキル基を;Rは1〜15個のフッ素原子で置換された炭素原子数1〜7個のフッ化アルキル基を;表す。また、前記光学部材用重合性組成物を、重合させる、好ましくは界面ゲル重合させる工程を含む屈折率分布型光学部材の製造方法である。
【化1】
Figure 2004099652

【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック光学部材の技術分野に属し、特に、光ファイバ、光導波路および光学レンズ等に好ましく用いられる光学部材およびその製造に用いられる光学部材用重合性組成物およびその製造方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック光学部材は、同一の構造を有する石英系の光学部材と比較して、製造および加工が容易であること、および低価格であること等の利点があり、近年、光ファイバおよび光レンズ、光導波路等種々の応用が試みられている。特にこれら光学部材の中でも、プラスチック光ファイバ(POFと略記することがある)は、素線が全てプラスチックで構成されているため、伝送損失が石英系と比較してやや大きいという短所を有するものの、良好な可撓性を有し、軽量で、加工性がよく、石英系光ファイバと比較して口径の大きいファイバとして製造し易く、さらに低コストに製造可能であるという長所を有する。従って、伝送損失の大きさが問題とならいない程度の短距離用の光通信伝送媒体として種々検討されている。
【0003】
プラスチック光ファイバは、一般的には、重合体をマトリックスとする有機化合物からなる芯(本明細書において「コア部」と称する)と、コア部と屈折率が異なる(一般的には低屈折率の)有機化合物からなる外殻(本明細書において「クラッド部」と称する)とから構成される。特に、中心から外側に向かって屈折率の大きさに分布を有するコア部を備えた屈折率分布型プラスチック光ファイバは、伝送する光信号の帯域を大きくすることが可能なため、高い伝送容量を有する光ファイバとして最近注目されている(例えば、特許文献1および2参照)。この様な屈折率分布型光学部材の製法の一つに、界面ゲル重合を利用して、光学部材母材(本明細書において、「プリフォーム」と称する)を作製し、その後、前記プリフォームを延伸する方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭61−130904号公報
【特許文献2】
WO93/08488号公報
【特許文献3】
特開平8−220349号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光伝送体には、前述した様に、伝送損失が小さいことが要求される。光伝送体の材料として、伝送損失の低減化のために、プラスチック構造中の水素をフッ素等のハロゲンや重水素に置換することが提案されている。フッ素含有モノマーの単独重合体は材料安定性、密着性等に不都合が生じるため、特公平4−76367号公報に記載されているように(メタ)アクリレートーフッ化(メタ)アクリレート共重合体が提案されているが、未だ不十分である。
なお、素材の選択によって耐熱性を向上させるものとして、C−H結合のHをハロゲン原子で置換したモノマーからなる重合体が示されているが(特許文献3参照)、これらはC−H結合のHをClやBrという大きな原子で置換しており、この様な置換は反応性の低下を招くため好ましくない。
【0006】
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、良好な伝送能を有する、特に伝送損失および湿熱による伝送損失の悪化が低減された光学部材を、良好な生産性で作製可能な重合性組成物および製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、良好な光伝送能を有する、特に伝送損失および湿熱による伝送損失の悪化が低減された光学部材を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表される化合物(A)および下記一般式(2)で表される化合物(B)を主成分とする重合性モノマーと、前記重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤とを含み、前記化合物(A)と前記化合物(B)とのモル比が1/100以上4/1未満である光学部材用重合性組成物。
【0008】
【化3】
Figure 2004099652
【0009】
式中、XおよびXは各々独立して、水素原子(H)または重水素原子(D)を表し、YおよびYは各々独立して、H、D、CH基、CD基またはフッ素原子(F)を表し、Rは炭素原子数3〜8個の分岐状のアルキル基を表し、Rは1〜15個のフッ素原子で置換された炭素原子数1〜7個のフッ化アルキル基を表す。
【0010】
<2> さらに連鎖移動剤を含む<1>に記載の光学部材用重合性組成物。
<3> さらに、前記重合性モノマーと屈折率の大きさが異なる屈折率調整成分を含む<1>または<2>に記載の光学部材用重合性組成物。
<4> <1>〜<3>のいずれかに記載の光学部材用重合性組成物を重合して、屈折率の大きさに分布を有する屈折率分布領域を形成する工程を含む光学部材の製造方法。
<5> 前記光学部材用重合性組成物を界面ゲル重合法により重合する<4>に記載の光学部材の製造方法。
<6> <4>または<5>に記載の製造方法によって製造された光学部材。
<7> クラッド部と屈折率の大きさに分布を有するコア部とを有し、前記コア部が<1>〜<3>のいずれかに記載の光学部材用重合性組成物を重合してなることを特徴とする光学部材。
【0011】
<8> 下記一般式(X)で表される共重合体を主成分とする光学部材。
【0012】
【化4】
Figure 2004099652
【0013】
式中、XおよびXは各々独立して、水素原子(H)または重水素原子(D)を表し、YおよびYは各々独立して、H、D、CH基、CD基、またはフッ素原子(F)を表し、Rは炭素原子数3〜8個の分岐状のアルキル基を表し、Rは1〜15個のフッ素原子で置換された炭素原子数1〜7個のフッ化アルキル基を表す。mおよびnはそれぞれの単位の重合モル比を示し、m/nは1/100以上4/1未満である。
【0014】
<9> 重量平均分子量が1万〜100万である<8>に記載の光学部材。
<10> さらに前記共重合体と屈折率の異なる屈折率調整成分を含有し、前記屈折率調整成分の濃度分布に基づいて屈折率分布を示す領域を有する<9>に記載の光学部材。
<11> 光ファイバ、光導波路および光学レンズのいずれかである<6>〜<10>のいずれかに記載の光学部材。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の光学部材用重合性組成物について説明する。
本発明の光学部材用重合性組成物は、下記式(1)で表される重合性モノマー(A)および下記式(2)で表される重合性モノマー(B)を主成分とする重合性モノマーと、該重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤とを含有する。本発明の重合性組成物は、光学部材、特に、屈折率の大きさに分布を有する屈折率分布型光学部材の製造に用いられ、該屈折率分布領域を形成するために前記モノマーの屈折率と異なる屈折率を有する化合物(後述する屈折率調整成分)をさらに含有してもよい。
【0016】
【化5】
Figure 2004099652
【0017】
式中、XおよびXは各々独立して、水素原子(H)または重水素原子(D)を表し、YおよびYは各々独立して、H、D、CH基、CD基またはFを表し、Rは炭素原子数3〜8個の分岐状のアルキル基を表し、Rは1〜15個のフッ素原子で置換された炭素原子数1〜7個のフッ化アルキル基を表す。
【0018】
前記一般式(1)で表される重合性モノマー(A)は、メタクリル酸エステル系モノマーであり、エステル部のアルキル基Rが炭素原子数3〜8個の分岐状のアルキル基である。Rとしては、例えば、i−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、i−アミル、t−アミル、sec−iso−アミル、2−オクチル、3−オクチル、t−オクチル等が挙げられる。重合性モノマー(A)の具体例としては、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸i−アミル、メタクリル酸t−アミル、メタクリル酸sec−iso−アミル、メタクリル酸2−オクチル、メタクリル酸3−オクチル、メタクリル酸t−オクチル等が挙げられ、その中でも、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸i−アミル、メタクリル酸t−アミル、メタクリル酸sec−iso−アミル等が挙げられ、さらに好ましくは、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−アミル等である。
【0019】
また、重合性モノマー(A)のメタクリル基のC−H、即ち、前記一般式(1)中のXおよびYは重水素に置換されているほうが好ましく、その置換率は95%以上100%未満であるのがより好ましい。また、Yについては、重水素以外にフッ素で置換されていてもよく、その場合の置換率も同様である。さらにメタクリレート側鎖、即ち、前記一般式(1)中のRのC−Hも重水素に置換されていてもよい。
【0020】
前記一般式(2)で表される重合性モノマー(B)は、メタクリル酸エステル系の重合性モノマーであり、エステル部のアルキル基Rが、1〜11個のフッ素で置換された炭素原子数1〜7個のフッ化アルキル基である。Rとしては、モノフルオロメチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、1H、1H−ペンタフルオロプロピル、1H、1H、3H−テトラフルオロプロピル、2H−ヘキサフルオロ−2−プロピル、ヘプタフルオロ−2−プロピル、パーフルオロヘキシルメチル、パーフルオロ−t−ブチル等が挙げられる。重合性モノマー(B)の具体例としては、メタクリル酸モノフルオロメチル、メタクリル酸ジフルオロエチル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸1H、1H−ペンタフルオロプロピル、メタクリル酸1H、1H、3H−テトラフルオロプロピル、メタクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピル、メタクリル酸ヘプタフルオロ−2−プロピル、メタクリル酸パーフルオロヘキシルメチル、メタクリル酸パーフルオロ−t−ブチル等が挙げられ、その中でもメタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピル、メタクリル酸ヘプタフルオロ−2−プロピル、メタクリル酸パーフルオロヘキシルメチル、メタクリル酸パーフルオロ−t−ブチルが好ましく、さらにメタクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピル、メタクリル酸ヘプタフルオロ−2−プロピル、メタクリル酸パーフルオロ−t−ブチルが好ましい。
【0021】
また、重合性モノマー(B)のメタクリル基のC−H、即ち、前記一般式(2)中のXおよびYは重水素原子によって置換されているほうが好ましく、その置換率は95%以上100%未満であるのがより好ましい。また、Yについては、重水素以外にフッ素で置換されていてもよく、その場合の置換率も同様である。さらにメタクリレート側鎖、即ち前記一般式(2)中のRのC−Hも重水素に置換されていてもよい。
【0022】
本発明の光学部材用重合性組成物は、前記重合性モノマー(A)および(B)を主成分として含んでいればよい。本明細書において「主成分として含む」とは、その重合体の光学的性能を損なわない限りにおいて、他のモノマーを含んでいてもよいことを意味する。重合性モノマー中、前記重合性モノマー(A)および(B)が占める割合については、用いるモノマーの種類によってその範囲も異なるが、本発明の重合性組成物に含まれる全重合性モノマー中、重合性モノマー(A)および(B)は、50質量%以上含有されるのが好ましく、60質量%以上含有されるのがより好ましく、70質量%以上含有されるのがさらに好ましい。本発明に使用可能な前記重合性モノマー(A)および(B)以外の重合性モノマーの具体例としては、スチレン系化合物として、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等;ビニルエステル類として、ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテート等;マレイミド類として、N―n−ブチルマレイミド、N―tert−ブチルマレイミド、N―イソプロピルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミド等;が挙げられが、これらに限定されるものではない。これらのモノマーも重水素置換されているのが好ましい。
【0023】
重合性モノマー(A)と重合性モノマー(B)とのモル比(n/m)は、1/100以上4/1未満であり、好ましくは1/50以上3.5/1未満であり、さらに好ましくは1/25以上3/1未満である。重合性モノマー(A)のモル量nが、重合性モノマー(B)のモル量mの4倍以上になると、光伝送体の形態にした場合に、光伝送損失が顕著となり、特に吸湿による光伝送損失の増大が顕著になる。一方、重合性モノマー(B)のモル量mが、重合性モノマー(A)のモル量nの100倍を超えると、重合性モノマー(B)に低Tgのものを用いた場合に熱的物性が悪化して耐熱性が低下するなど、組み合わせる素材の性質によっては製品性能、機械的物性、耐熱性の悪化に対する懸念がある。
【0024】
本発明の重合性組成物は、前記重合性モノマー(A)および(B)の共重合を開始させる重合開始剤を含有する。重合開始剤としては、用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することができるが、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル4,4,ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)等のパーオキサイド系化合物、または2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’―アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジーt−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は2種類以上を併用してもよい。
【0025】
本発明の重合性組成物は、前記重合性モノマーの連鎖移動剤を含有するのが好ましい。前記連鎖移動剤は、主に重合体の分子量を調整するために用いられる。重合性組成物がそれぞれ連鎖移動剤を含有していると、重合性モノマーの重合速度および重合度を前記連鎖移動剤によってより制御することができ、重合体の分子量を所望の分子量に調整することができる。例えば、本発明の重合性組成物を重合した後、延伸により線引きして、光伝送体の形態にする場合は、分子量を調整することによって延伸時における機械的特性を所望の範囲とすることができ、生産性の向上にも寄与する。前記連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択することができる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
【0026】
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等)、チオフェノール類(チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール等)等を用いるのが好ましく、中でも、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子やフッ素原子で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、前記連鎖移動剤は、2種類以上を併用してもよい。
【0027】
本発明の重合性組成物は、屈折率調整成分を含有していてもよい。本発明の重合性組成物に屈折率調整成分を含有させ、重合の際に、重合の進行方向に沿って、屈折率調整成分の濃度に傾斜を持たせることによって、屈折率分布型の光学部材を作製することができる。屈折率調整成分は、併用する前記重合性モノマーの屈折率と異なる成分を意味し、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。その屈折率差は、0.005以上であるのが好ましい。屈折率調整成分は、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して、屈折率が高くなる性質を有するものを用いるのが好ましい。また、屈折率調整成分は重合性化合物であってもよく、屈折率調整成分が重合性化合物の場合は、これを共重合成分として含む共重合体がこれを含まない重合体と比較して、屈折率が上昇する性質を有するものを用いるのが好ましい。上記性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下において安定であるものを、屈折率調整成分として用いることができる。例えば、コア部形成用重合性組成物に屈折率調整成分を含有させ、コア部を形成する工程において、界面ゲル重合法により重合の進行方向を制御し、屈折率調整成分の濃度に傾斜を持たせ、コア部に屈折率調整成分の濃度分布に基づく屈折率分布構造を形成するのが好ましい(以下、屈折率の分布を有するコア部を「屈折率分布型コア部」という場合がある)。屈折率分布型コア部を形成することにより、得られる光学部材は広い伝送帯域を有する屈折率分布型プラスチック光学部材となる。
【0028】
前記屈折率調整成分としては、低分子量化合物として、例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸ベンジルnブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ビフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)等が挙げられ、中でも、BEN、DPS、TPP、DPSOが好ましい。また、重合性化合物として、例えば、トリブロモフェニルメタクリレート等が挙げられる。屈折率調整成分として重合性化合物を用いる場合は、重合性モノマーと重合性屈折率調整成分とを共重合させるので、種々の特性(特に光学特性)の制御がより困難となるが、耐熱性の面では有利となる可能性がある。
【0029】
本発明の重合性組成物に熱および/または光等が供与されると、例えば、重合開始剤からラジカル等が発生し、前記重合性モノマー(A)、(B)および所望により添加される他の重合性モノマーの共重合が開始される。本発明の重合性組成物が屈折率調整成分を含んでいる場合は、例えば、後述の界面ゲル重合法のように、重合の進行方向を制御して、屈折率調整成分の濃度に傾斜を持たせることによって、もしくは屈折率調整成分を含んでいない場合も、前記重合性モノマーの共重合比に傾斜を持たせることによって、屈折率分布構造を容易に形成することができる。特に、本発明では重合性モノマーとして、上記重合性モノマー(A)および(B)を主成分として、特定の割合で用いているので、作製される光学部材の光伝送損失を大きく軽減することができる。特に、吸湿による光伝送損失の増大を顕著に軽減することができる。また、重合性モノマーの重合速度および重合度を、前記重合開始剤および所望により添加される連鎖移動剤によって制御し、重合体の分子量を所望の分子量に調整することができる。例えば、得られた重合体を延伸により線引きして、光ファイバとする場合は、連鎖移動剤によって製造される重合体の分子量(好ましくは1万〜100万、より好ましくは3万〜50万)を調整すれば、延伸時における機械的特性を所望の範囲とすることができ、生産性の向上にも寄与する。
【0030】
本発明の重合性組成物を重合することによって、下記一般式(X)で表される共重合体を主成分とする光学部材を製造することができる。
【0031】
【化6】
Figure 2004099652
【0032】
式中、X、X、Y、RおよびRについては、前記一般式(1)および(2)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。mおよびnはそれぞれの単位の重合モル比を示し、m/nは1/100以上4/1未満である。m/nの好ましい範囲についても前述の通りである。
【0033】
前記共重合体の重量平均分子量は、1万〜100万であるのが好ましい。分子量が前記範囲より小さいと機械的強度などが低下し、一方、分子量が前記範囲より大きいと加工性が悪くなる。この適正な分子量範囲を選択することで、製品の熱的物性(Tg)と、加熱延伸時の加工性や、機械的強度のそれぞれを満たすことができる。
【0034】
以下、本発明の重合性組成物を利用した光学部材の製造方法の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の重合性組成物を、コア部とクラッド部とを有する屈折率分布型プラスチック光学部材のコア部の形成に適用したものである。
本実施形態は、本発明の重合性組成物を重合させることによってクラッド部となる円筒管を作製する第1の工程と、前記円筒管の中空部で本発明の重合性組成物を界面ゲル重合させることによりコア部となる領域を形成し、コア部およびクラッド部に各々対応する領域からなるプリフォームを作製する第2の工程と、得られたプリフォームを所望の形態に加工する第3の工程とを含むプラスチック光学部材の製造方法である。
【0035】
前記クラッド部形成用重合性組成物は、重合性モノマー(A)と(B)、該重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤、および連鎖移動剤を含有する。前記コア部形成用重合性組成物は、重合性モノマー(A)と(B)、該重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤、連鎖移動剤、および所望により前記モノマーの屈折率と異なる屈折率を有する化合物(屈折率調整成分)を含有する。前記クラッド部およびコア部形成用重合性組成物に用いられる重合性モノマーは、主成分(即ち重合性モノマー(A)および(B))が等しいのが好ましい(但し、その組成比については同一でなくてもよく、また副成分については等しくなくてもよい)。また、クラッド部形成用の重合性モノマーとして、モノマー(B)成分の比率をより多く含有させるとコア部との屈折率差を大きく持たせやすく、その結果屈折率分布構造を形成し易いので好ましい。
【0036】
本発明の重合性組成物を用いて光学部材を作製する際に、屈折率調整成分を用い、その濃度に傾斜を持たせることによっても、屈折率分布型の光学部材を作製することができる。屈折率調整成分の濃度に傾斜を持たせる方法としては、後述する界面ゲル重合を利用する方法等がある。
【0037】
前記クラッド部およびコア部形成用重合性組成物において、各成分の含有割合の好ましい範囲は、その種類に応じて異なり一概に定めることはできないが、一般的には、重合開始剤は、重合性モノマーに対して0.005〜0.5質量%であるのが好ましく、0.01〜0.5質量%であるのがより好ましい。前記連鎖移動剤は、重合性モノマーに対して0.10〜0.40質量%であるのが好ましく、0.15〜0.30質量%であるのがより好ましい。また、前記コア部形成用重合性組成物において、前記屈折率調整成分は、重合性モノマーに対して1〜30質量%であるのが好ましく、1〜25質量%であるのがより好ましい。
【0038】
前記クラッド部およびコア部形成用重合性組成物の重合して生成するポリマー成分の分子量は、プリフォームを延伸する関係から、重量平均分子量で1万〜100万の範囲であることが好ましく、3万〜50万であることがさらに好ましい。
【0039】
前記クラッド部およびコア部形成用重合性組成物にはそれぞれ、重合時の反応性や光伝送性能を低下させない範囲で、その他の屈折率調整成分を添加することができる。例えば、耐候性や耐久性等を向上させる目的で、耐酸化剤や耐光剤等の安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することが可能となり、伝送距離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。
【0040】
次に、本実施の形態の各工程について詳細に説明する。
前記第1の工程では、クラッド部となる中空状(例えば円筒形状)の管を作製する。中空の円筒管の製法としては、例えば国際公報WO93/08488号公報に記載されている様な製造方法が挙げられる。具体的には、前記クラッド部形成用重合組成物を、円筒形状の重合容器に注入し、該重合容器を回転(好ましくは、円筒の軸を水平に維持した状態で回転)させつつ、前記重合性モノマーを重合させることにより、重合体からなる円筒管を作製することができる。重合容器に注入する前にフィルターにより濾過して、組成物中に含まれる塵埃を除去するのが好ましい。重合温度および重合時間は、用いるモノマーや重合開始剤によって異なるが、一般的には、重合温度は60〜150℃であるのが好ましく、重合時間は5〜24時間であるのが好ましい。この時に、特開平8−110419号公報に記載されている様に、原料をプレ重合して原料粘度を上昇させてから行ってもよい。また、重合に使用する容器が回転によって変形してしまうと、得られる円筒管に歪みを生じさせることから、十分な剛性を持つ金属管・ガラス管を用いることが望ましい。
【0041】
前記クラッド部となる円筒管は、第2の工程でコア部の原料となる重合性組成物を注入できるように、底部を有しているのが好ましい。底部は前記円筒管を構成している重合体と密着性および接着性に富む材質であるのが好ましい。また、底部を前記円筒管と同一の重合体で構成することもできる。重合体からなる底部は、例えば、重合容器を回転させて重合する(以下、「回転重合」という場合がある)前もしくは後に、重合容器を垂直に静置した状態で、重合容器内に少量の重合性モノマーを注入し、重合することによって形成することができる。
【0042】
前記回転重合後に、残存するモノマーや重合開始剤を完全に反応させることを目的として、該回転重合の重合温度より高い温度で得られた構造体に加熱処理を施してもよく、所望の中空管が得られた後、未重合の組成物を取り除いてもよい。
【0043】
また、前記第1の工程では、一旦、前記重合性組成物を重合させて重合体を作製した後、押し出し成形等の成形技術を利用して、所望の形状(本実施の形態では円筒形状)の構造体を得ることもできる。
【0044】
前記第2の工程では、前記第1の工程で作製したクラッド部となる円筒管の中空部に、前記コア部形成用重合性組成物を注入し、組成物中の重合性モノマーを重合する。フィルターにより濾過して、組成物に含まれる塵埃を除去するのが好ましい。重合法は重合後の残留物の観点から溶媒等を用いない界面ゲル重合法が特に好ましい。この界面ゲル重合法を用いることで、重合性モノマーの重合は、前記円筒管のゲル効果によって、粘度の高くなった内壁表面から断面の半径方向、中心に向かって進行する。重合性モノマーに前記屈折率調整成分を添加して重合すると、前記円筒管を構成している重合体に対して親和性の高いモノマーが前記円筒管の内壁面に偏在して重合し、外側には屈折率調整成分濃度が低い重合体が形成される。中心に向かうに従って、形成された重合体中の該屈折率調整成分の比率が増加する。このようにして、コア部となる領域内に屈折率調整成分の濃度分布が生じ、この濃度分布に基づいて、連続した屈折率の分布が導入される。また、屈折率調整成分が重合性基を有する場合は、前記円筒管を構成している重合体に対して親和性の高い重合性モノマーが、前記円筒管の内壁表面に偏在して重合し、外側には屈折率調整成分の重合比率が低い重合体が形成される。中心に向かうに従って、形成された重合体中の該屈折率調整成分の重合比率は増加する。この様にして、コア部となる領域内に共重合比の分布が生じ、この共重合比の分布に基づいて、連続した屈折率の分布が導入される。
【0045】
上記説明したように、第2の工程において、形成されるコア部となる領域に屈折率の分布が導入されるが、屈折率が互いに異なる部分間は熱挙動も互いに異なるので、重合を一定温度で行うと、その熱挙動の違いからコア部となる領域は、重合反応に対して発生する体積収縮の応答性が変化し、プリフォーム内部に気泡が混入する、もしくはミクロな空隙が発生し、得られたプリフォームを加熱延伸した際に多数の気泡が発生する可能性がある。重合温度が低すぎると、重合効率が低下し、反応終了までに時間がかかってしまい、生産性を著しく損なう。また、重合が不完全となって光透過性が低下し、作製される光ファイバの光伝送能を損なう。一方、初期の重合温度が高すぎると、コア部となる領域の収縮に対して応答緩和できず、気泡発生の傾向が著しい。そのため、モノマーの沸点や生成するポリマーのガラス転移温度(Tg)を勘案しながら重合温度と後処理温度を調整して行う。ただし、後処理温度はポリマーのガラス転移温度以上となるように選択する。例えば、重合性モノマー(A)としてイソプロピルメタクリレート(i−PMA)を使用した場合には、重合温度は好ましくは、60℃〜150℃、さらに好ましくは80℃〜140℃である。また、重合収縮に対する応答性を高めるために加圧した不活性ガス中で重合させることも好ましい。さらに、重合前のモノマーを減圧雰囲気で脱水・脱気することでさらに気泡の発生を低減させることができる。
【0046】
重合温度および重合時間は、用いるモノマーによって異なるが、一般的には、重合温度は60〜150℃であるのが好ましく、重合時間は5〜72時間であるのが好ましい。例えば、重合性モノマーとしてi−PMAを用い、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)を用いた場合は、初期重合温度を100〜110℃に48〜72時間維持し、その後、120〜160℃まで昇温して24〜48時間重合するのが好ましく、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)を用いた場合は、初期重合温度を100〜110℃に4〜24時間維持し、120〜160℃まで昇温して24〜48時間重合するのが好ましい。なお、昇温は段階的に行っても、連続的に行ってもよいが、昇温にかける時間は短いほうがよい。
【0047】
重合は、加圧状態で行うのが好ましい(以下、加圧状態で行う重合を「加圧重合」という)。加圧重合を行う場合は、前記重合性組成物を注入したクラッド部となる円筒管を、治具の中空部に挿入して、治具に支持された状態で重合を行うのが好ましい。前記治具は、前記構造体を挿入可能な中空を有する形状であり、該中空部は前記構造体と類似の形状を有しているのが好ましい。本実施の形態では、クラッド部となる構造体が円筒管であるので、前記治具も円筒形状であるのが好ましい。治具は、加圧重合中に前記円筒管が変形するのを抑制するとともに、加圧重合が進むに従ってコア部となる領域が収縮するのを緩和可能に支持する。従って、治具の中空部は、前記クラッド部となる円筒管の外径より大きい径を有し、前記クラッド部となる円筒管を非密着状態で支持するのが好ましい。前記治具の中空部は、前記クラッド部となる円筒管の外径に対して0.1%〜40%だけ大きい径を有しているのが好ましく、10〜20%だけ大きい径を有しているのがより好ましい。
【0048】
前記クラッド部となる円筒管を治具の中空部に挿入した状態で、重合容器内に配置することができる。重合容器内において、前記クラッド部となる円筒管は、円筒の高さ方向を垂直にして配置されるのが好ましい。前記治具に支持された状態で前記クラッド部となる円筒管を、重合容器内に配置した後、前記重合容器内を加圧することができる。窒素等の不活性ガスで重合容器内を加圧し、不活性ガス雰囲気下で加圧重合を進行させるのが好ましい。重合時の加圧の好ましい範囲については、用いるモノマーによって異なるが、重合時の圧は、一般的には0.01〜1.0MPa程度が好ましい。
【0049】
以上の工程を経て、光学部材のプリフォームを得ることができる。
【0050】
第3の工程では、作製されたプリフォームを加工して所望の形態の光学部材を得る。例えば、プリフォームを軸方向に垂直にスライスすれば断面が凹凸を有しない円盤状もしくは円柱状のレンズを得ることができる。また、延伸してプラスチック光ファイバを得る。
【0051】
光ファイバは、第3の工程でプリフォームを加熱延伸して作製することができるが、その加熱温度はプリフォームの材質等に応じて、適宜決定することができる。一般的には、180〜250℃中の雰囲気で行われることが好ましい。延伸条件(延伸温度等)は、得られたプリフォームの径、所望のプラスチック光ファイバの径および用いた材料等を考慮して、適宜決定することができる。例えば、線引張力については、特開平7−234322号公報に記載されている様に、溶融したプラスチックを配向させるために10g以上としたり、特開平7−234324号公報に記載されている様に溶融延伸後に歪みを残さないようにするために100g以下とすることが好ましい。また、特開平8−106015号公報に記載されている様に、延伸の際に予備加熱を設ける方法等をとることもできる。以上の方法によって得られるファイバについては、得られる素線の破断伸びや硬度について特開平7−244220号公報に記載の様に規定することでファイバの曲げや側圧特性を改善することができる。
【0052】
第3の工程を経て製造されたプラスチック光ファイバは、そのままの形態で種々の用途に供することができる。また、保護や補強を目的として、その外側に被覆層を有する形態、繊維層を有する形態、および/または複数のファイバを束ねた形態で、種々の用途に供することができる。被覆工程は、例えばファイバ素線に被覆を設ける場合では、ファイバ素線の通る穴を有する対向したダイスにファイバ素線を通し、対向したダイス間に溶融した被覆用の樹脂を満たし、ファイバ素線をダイス間を移動させることで被覆されたファイバを得ることができる。被覆層は可撓時に内部のファイバへの応力から保護するため、ファイバ素線と融着していないことが望ましい。さらにこの時、溶融した樹脂と接することでファイバ素線に熱的ダメージを加わるので、極力ダメージを押さえるような移動速度や低温で延伸できる樹脂を選ぶことも望ましい。この時、被覆層の厚みは被覆材の物性値や素線の引き抜き速度、被覆層の冷却温度による。その他にも、光学部材に塗布したモノマーを重合させる方法やシートを巻き付ける方法、押し出し成形した中空管に光学部材を通す方法等が知られている。
【0053】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0054】
[実施例1]
予定するプリフォームの外径に対応する内径を有する充分な剛性を持った内径22mmおよび長さ600mmの円筒状の重合容器に、2種類のモノマー(t−ブチルメタクリレート(t−BMA)、メタクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピル(6FM)(両者とも禁止剤、水分を充分に除去したもの))の混合溶液(モル比:t−BMA/6FM=1.65/1)を所定量注入した。重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)をモノマー混合溶液に対して0.5質量%、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタンをモノマー混合溶液に対して0.05質量%配合した。上記モノマー混合溶液の注入された重合容器を65℃湯浴中に入れ、震盪を加えながら2時間予備重合を行った。その後、該重合容器を65℃下にて水平状態(円筒の高さ方向が水平となる状態)に保持し、3000rpmにて回転させながら3時間加熱重合した。その後、90℃で24時間の熱処理し、上記共重合体からなる円筒管を得た。
【0055】
次に、該円筒管の中空部に、コア部の原料である2種類のモノマー(t−ブチルメタクリレート(t−BMA)、メタクリル酸2H−ヘキサフルオロ−2−プロピル(6FM)(両者とも禁止剤、水分を充分に除去したもの))の混合溶液(モル比:t−BMA/6FM=1.65/1)、屈折率調整成分としてジブチルフタレートをモノマー混合溶液に対して15質量%混合した溶液を、精度0.2μmの四フッ化エチレン製メンブランフィルターで濾過しつつ、濾液を直接注入した。重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)をモノマー混合溶液に対し0.016質量%、連鎖移動剤としてn−ラウリルメルカプタンをモノマー混合溶液に対し0.05重量%配合した。この混合溶液等を注入した該円筒管を、該円筒管外径に対し9%だけ広い内径を持つガラス管内に挿入した状態で、加圧重合容器に垂直に静置した。その後、加圧重合容器内を窒素雰囲気に置換した後、0.2Mpaまで加圧し、65℃で、48時間加熱重合した。その後、加圧状態を維持しながら120℃で、24時間加熱重合および熱処理を行い、プリフォームを得た。
【0056】
得られたプリフォームには、重合完了時に体積収縮による気泡の混入はなかった。このプリフォームを230℃の熱延伸により線引きを行い、直径約700〜800μmのプラスチック光ファイバを製造した。延伸工程において、プリフォームには気泡の発生は観察されず、安定して300mのファイバを得ることができた。得られたファイバの伝送損失値を測定したところ、波長650nmで160dB/km、波長850nmで1250dB/kmであった。このファイバを75℃、90%の条件で1昼夜放置してから取り出し、光伝送特性を測定した。吸湿に基づく損失増は850nmで60dB/km以下であった。
【0057】
[実施例2〜9、比較例1〜3]
クラッド部用およびコア部用の重合組成物中に用いるモノマーおよび屈折率調整成分の種類、量(比)を表1のように変更し、それ以外は実施例1と同様な操作によってファイバを作製し、実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示した。なお、重合開始剤および連鎖移動剤の種類は変更せず、量だけをモノマーの種類および組成によって適宜変更し、各々生成するポリマーの重量平均分子量が10万前後になるようにした。
【0058】
【表1】
Figure 2004099652
【0059】
【化7】
Figure 2004099652
【0060】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、良好な光伝送能を有する、特に伝送損失および湿熱による伝送損失の悪化が軽減された光学部材、および該光学部材を良好な生産性で製造可能な重合性組成物および製造方法を提供することができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物(A)および下記一般式(2)で表される化合物(B)を主成分とする重合性モノマーと、前記重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤とを含み、且つ前記化合物(A)と前記化合物(B)とのモル比が1/100以上4/1未満である光学部材用重合性組成物。
    Figure 2004099652
    (式中、XおよびXは各々独立して、水素原子(H)または重水素原子(D)を表し、YおよびYは各々独立して、H、D、CH基、CD基、またはフッ素原子(F)を表し、Rは炭素原子数3〜8個の分岐状のアルキル基を表し、Rは1〜15個のフッ素原子で置換された炭素原子数1〜7個のフッ化アルキル基を表す。)
  2. 請求項1に記載の光学部材用重合性組成物を重合して、屈折率の大きさに分布を有する屈折率分布領域を形成する工程を含む光学部材の製造方法。
  3. 下記一般式(X)で表される共重合体を主成分とする光学部材。
    Figure 2004099652
    (式中、XおよびXは各々独立して、水素原子(H)または重水素原子(D)を表し、YおよびYは各々独立して、H、D、CH基、CD基、またはフッ素原子(F)を表し、Rは炭素原子数3〜8個の分岐状のアルキル基を表し、Rは1〜15個のフッ素原子で置換された炭素原子数1〜7個のフッ化アルキル基を表す。mおよびnはそれぞれの単位の重合モル比を示し、m/nは1/100以上4/1未満である。)
JP2002259862A 2002-09-05 2002-09-05 光学部材用重合性組成物、光学部材およびその製造方法 Pending JP2004099652A (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002259862A JP2004099652A (ja) 2002-09-05 2002-09-05 光学部材用重合性組成物、光学部材およびその製造方法
AU2003259570A AU2003259570A1 (en) 2002-09-05 2003-09-04 Optical members, and processes, compositions and polymers for preparing them
EP03794229A EP1534762A2 (en) 2002-09-05 2003-09-04 Optical members, and processes, compositions and polymers for preparing them
KR1020057003893A KR20050043932A (ko) 2002-09-05 2003-09-04 광학 부재, 및 이의 제조 방법, 이의 제조용 조성물 및 중합체
CNB038212625A CN100335516C (zh) 2002-09-05 2003-09-04 光学部件以及用于制造所述光学部件的方法、组合物和聚合物
US10/526,381 US20060173148A1 (en) 2002-09-05 2003-09-04 Optical members, and processes, compositions and polymers for preparing them
PCT/JP2003/011301 WO2004022614A2 (en) 2002-09-05 2003-09-04 Optical members, and processes, compositions and polymers for preparing them

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002259862A JP2004099652A (ja) 2002-09-05 2002-09-05 光学部材用重合性組成物、光学部材およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004099652A true JP2004099652A (ja) 2004-04-02

Family

ID=32260742

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002259862A Pending JP2004099652A (ja) 2002-09-05 2002-09-05 光学部材用重合性組成物、光学部材およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004099652A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7947792B2 (en) 2006-01-26 2011-05-24 Fujifilm Corporation Production method of optical transmission medium

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7947792B2 (en) 2006-01-26 2011-05-24 Fujifilm Corporation Production method of optical transmission medium

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5419815B2 (ja) 光ファイバー及びその製造方法
JP4057325B2 (ja) 光学部材用重合性組成物およびそれを用いた光学部材ならびにチオ化合物
JP2004099652A (ja) 光学部材用重合性組成物、光学部材およびその製造方法
JP4541895B2 (ja) 光学部材、その製造のための組成物
JP3981355B2 (ja) プラスチック光学部材の製造方法
JP4579228B2 (ja) 光学部材、重合性組成物及びチオ化合物
JP2003192714A (ja) 光学部材の製造方法および光学部材
JP3930421B2 (ja) プラスチック光ファイバおよびその製造方法
JP2004240122A (ja) プラスチック光ファイバケーブルおよび製造方法
JP2013023688A (ja) 含フッ素重合体及びその製造方法、樹脂組成物並びに光ファイバー
JP2005145861A (ja) ジフェニルスルフィド基を有する化合物、並びに、該化合物を利用した共重合体、光学部材、プラスチック光ファイバプリフォームの製造方法およびプラスチック光ファイバの製造方法
JP2003192708A (ja) 光学部材用重合性組成物、ならびにそれを用いた光学部材およびその製造方法
JP2003246813A (ja) 光学部材用重合性組成物、ならびに光学部材
KR20050071713A (ko) 플라스틱 광학 부품 생산용 예비성형품, 이 예비성형품의제조방법 및 플라스틱 광학 섬유
JP2004151661A (ja) 光学部材の製造方法および光学部材
JP2003329858A (ja) プラスチック光学部材の製造方法
JP2012140559A (ja) 樹脂組成物、成形体及び光ファイバー
JP2004212722A (ja) 光学部材、その製造に用いられる重合性組成物及び製造方法、並びにそれを用いた光通信システム
JP2003195065A (ja) プラスチック光学部材の製造方法
JP2003240977A (ja) プラスチック光部材の製造方法及びプラスチック光部材
JP2003329859A (ja) プラスチック光学部材の製造方法
US20040021236A1 (en) Process for producing plastic optical member and plastic optical member obtained by said process
JP2003329856A (ja) 光伝送体の製造方法
JP5638414B2 (ja) 新規含フッ素重合体及びその製造方法、該重合体を含む樹脂組成物並びに光ファイバー
JP2003149463A (ja) プラスチック光学部材の製造方法