JP3462462B2 - 放電プラズマ焼結法により製造した酸化物熱電素子 - Google Patents

放電プラズマ焼結法により製造した酸化物熱電素子

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JP3462462B2 JP2000310272A JP2000310272A JP3462462B2 JP 3462462 B2 JP3462462 B2 JP 3462462B2 JP 2000310272 A JP2000310272 A JP 2000310272A JP 2000310272 A JP2000310272 A JP 2000310272A JP 3462462 B2 JP3462462 B2 JP 3462462B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2種類以上の材料
が接合した接合型酸化物熱電素子に関するものであり、
さらに詳しくは、放電プラズマ焼結法により、p型半導
体材料とn型半導体材料が接合した多結晶焼結体の複合
酸化物熱電変換素子を製造する方法及びそれにより得ら
れる酸化物熱電素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2種類以上の酸化物半導体が接合するセ
ラミックス素子は、センサー素子や電子部品等への応用
において重要な材料である。高温でのセンサーや電極材
料等への利用においては、耐酸化性に優れる酸化物系半
導体材料を用いた素子の利用が期待されている。例え
ば、p−n接合を形成した半導体に温度差を付加するこ
とにより、ゼーベック効果により生じる電位差を利用す
る熱電変換材料へのセラミックス素子の利用は、廃熱エ
ネルギーの有効利用において重要である。特に、酸化物
半導体を接合した素子は、廃棄物焼却炉や自動車排ガス
等の700℃以上の温度で使用できるため、その開発が
望まれている。本発明は、このような2種類以上の半導
体酸化物が接合した多結晶焼結体の複合素子を容易に形
成する技術とそれにより得られる接合型酸化物熱電材料
に関する。
【0003】従来、p−n接合型熱電変換素子として実
用化されているものは、主にビスマスーテルル合金系や
鉄シリサイド合金系等の金属系のものであり、常圧焼結
やホットプレス焼結が主に利用されている。一方、研究
段階であるが、強相関電子系酸化物(NaCo2 4
等)や固溶制御型ZnO系等の金属熱電材料に匹敵する
熱電材料特性(熱電効率10%以上)を持つような酸化
物半導体が報告され始めている。それらの酸化物半導体
からなるp−n接合型熱電変換素子の作成において、p
型及びn型のそれぞれの酸化物半導体材料を組合せる場
合、ビスマスーテルル等の金属合金系と異なり、必ずし
も組成や結晶構造が類似する材料の組合せでは同等の起
電力や導電性を示さないので、熱電素子性能を向上させ
るには異種材料の接合を行わなくてはならない。
【0004】しかしながら、異種材料では、組成や結晶
構造に起因して、熱膨張係数や反応による界面相形成に
よる亀裂形成や接触抵抗の向上等の材料間のマッチング
に問題があるため、直接、常圧焼結やホットプレス焼結
により熱電素子を製造することは難しい。また、押出し
成形による2種類の材料の積層化も、燃料電池酸化物電
極や触媒層の製造において試みられており、その応用が
期待できるが、焼成後の収縮による層剥離等の問題があ
るため、容易ではない。そのため、各々の酸化物半導体
を常圧焼結やホットプレス焼結した調製した多結晶材料
を白金や金等の金属ペースト又は薄板をバインダーとし
て利用し接合する、多段のプロセスを用いる場合が多
い。また、小型化や他の部品とのシステム化等を考慮す
ると、低コストで一つのプロセスにより、容易に、直
接、異種材料を接合する素子調製技術の開発が望まれて
いる。
【0005】2種類以上の酸化物半導体材料を2層以上
に多層化する接合型酸化物熱電素子を容易なプロセスで
調製する技術は、直列型電池による起電力の制御におい
て重要である。さらに、プロセスの簡素化によるコスト
ダウン、センサー材料等の他部品としての集積化及び小
型化も重要となるため、その手法の開発が望まれる。従
来行われているような常圧焼結やホットプレス焼結によ
り製造した各材料を、目的とする形状に加工後、金属ペ
ースト等のバインダーにより数層張合わせる場合、加工
及び接合プロセスが複雑になる。そのため、少ないプロ
セスでより簡単に製造する方法が必要であり、材料強度
等の製品性能向上やコスト低下を試みる必要がある。ま
た、各々焼結した材料をバインダーにより接合した場
合、バインダー層と酸化物半導体とのショットキー障壁
による電気抵抗や材料自身との反応等、様々な問題があ
るため、できるだけバインダーを使用せず、より短時間
で2種類以上の材料が接合した接合型酸化物熱電素子を
製造する技術が必要とされる。
【0006】一方、金属系の熱電素子や金属傾斜機能材
料の接合方法として、放電プラズマ焼結を利用する方法
が知られる。これは、真空下で導電性粒子に直流パルス
電流を流し、粒子間で生じるプラズマ放電により粒子を
活性化させて焼結を行うプロセスである。この方法で
は、局部的な粒子界面反応により焼結が進むため、短時
間で焼結が進み、粒子成長が進まないので、微細な粒子
からなる組織が形成できる。これらの焼結法を用いる各
種酸化物セラミックスの焼結がいろいろと試みられてい
るが、2種類以上の材料が接合した酸化物熱電素子製造
への利用は試みられていない。また、導電性の熱電半導
体酸化物を用いる多結晶体の製造において、その電気特
性と熱伝導特性の双方の制御が重要であり、焼結法等の
製造プロセスの違いによる多結晶体中の微細組織による
特性制御が期待できる。
【0007】このように、2種類以上の2層以上の酸化
物半導体の接合による多結晶酸化物熱電素子を、短時間
で一段のプロセスで製造する方法は重要であるが、常圧
焼結やホットプレス焼結では、異種材料の接合による界
面反応や残留歪みによる亀裂形成等、接合型熱電素子と
しての性能低下の問題がある。また、各多結晶材料を金
属ペースト等のバインダーを用いて接合する場合でも、
バインダーと酸化物半導体間の接触抵抗の発生や強度低
下、さらには、多段プロセスによる工程の複雑化や高コ
スト化が考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来法
のような問題がなく、2種以上の半導体酸化物が接合し
た多結晶焼結体の複合素子を容易に形成することが可能
な新しい方法を開発することを目標として鋭意研究を積
み重ねた結果、特定の導電性酸化物の粉末を2層以上重
ね、加圧下で放電プラズマ焼結することにより所期の目
的を達成し得ることを見出し、かかる知見に基づいて、
本発明を完成するに至った。本発明は、接合と焼結を一
度で行い、2種以上の半導体酸化物が多層に接合した多
結晶焼結体の複合素子を容易に形成する方法を提供する
ことを目的とするものである。また、本発明は、放電プ
ラズマ焼結法により製造した接合型酸化物熱電材料を提
供することを目的とするものである。また、本発明は、
例えば、NaCo24 とアルミ固溶型酸化亜鉛からな
るπ型の多結晶酸化物熱電素子等の、p−n接合型酸化
物熱電素子を放電プラズマ焼結により一段階で製造する
方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)2種以上の半導体酸化物が接合した多結晶酸化物
焼結体を一段階プロセスで製造する方法であって、(a) 2種以上の異種組成の導電性酸化物の原料粉末を
2層以上重ね(b) 加圧下でパルス通電による放電プラズマ焼結をす
ることにより原料粉末の接合及び焼結を一段階で行う、 (c)上記(a)〜(b)により、焼結時の粒子成長を
抑え、数マイクロメータ以下の微細な粒子からなる組織
を形成して熱電性能を制御し、かつ物質中のキャリア濃
度を促し導電性を向上させ、2種類以上の材料が数ナノ
〜マイクロメータサイズの粒子間で直接接合した 複合素
子材料を製造することを特徴とする接合型酸化物熱電
素子材料の製造方法。 (2)p型半導体特性を有するアルカリ金属及び遷移金
属を含む導電性金属酸化物化合物とn型半導体特性を有
するペロブスカイト化合物ないしウルツ鉱型構造の酸化
亜鉛を含む導電性酸化物の粉末を2層以上重ね、パルス
通電による放電プラズマ焼結法により2種類以上の材料
が数ナノ〜マイクロメータサイズの粒子間で直接接合し
た接合型酸化物熱電素子材料を製造する前記(1)に
記載の方法。(3)NaCo 2 4 、又はNa,Li固溶型正方晶酸
化ニッケルと、アルミ固溶型酸化亜鉛の粉末を2層以上
重ね、加圧下でパルス通電による放電プラズマ焼結をす
る、前記(2)に記載の方法。 )前記(2)に記載の方法で製造してなる複合素子
材料であって、p型半導体特性を有するアルカリ金属及
び遷移金属を含む導電性金属酸化物とn型半導体特性を
有するペロブスカイト化合物ないしウルツ鉱型構造の酸
化亜鉛を含む導電性酸化物の粉末を2層以上重ね、加圧
下でパルス通電による放電プラズマ焼結をすることによ
り得られる、p型半導体材料とn型半導体材料が数ナノ
〜マイクロメータサイズの粒子間で直接接合したことを
特徴とする複合酸化物熱電変換素子材料。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明は、上記の課題を解決するために、次
の技術的手段を採用する。 1.酸化物熱電素子の放電プラズマ法による焼結 多結晶酸化物熱電材料の熱電性能を向上させる上で、多
結晶バルク体中の粒子径の大きさ等の組織制御が重要で
ある。その一つとして、焼結時の粒子成長を抑え、数マ
イクロメータ以下の微細な粒子からなる組織を形成する
ことは熱伝導性の制御等が可能となる。また、真空中で
電気を導通しながら焼結することにより物質中の電子キ
ャリア濃度の向上を促し導電性の向上につながる。そこ
で、金属系の熱電材料素子としての利用が検討されてい
るp型半導体特性を有するアルカリ金属及び遷移金属を
含む導電性金属酸化物化合物、例えば、NaCo2 O4
又はNa,Li固溶型正方晶酸化ニッケル等と、n型半
導体特性を有するウルツ鉱型構造の酸化亜鉛等の導電性
酸化物のそれぞれの出発粉体を加圧下、真空中で放電プ
ラズマ焼結することを検討した。その結果、結晶粒子径
が小さい多結晶組織からなるバルク体が900℃付近の
低温で3〜5分程の短時間で製造できた。熱電性能はp
型のNaCo24 多結晶体及びn型の酸化亜鉛多結晶
体にて1℃の温度差で、200μVほどの熱起電力が得
られた。
【0011】 2.酸化物熱電素子の放電プラズマによる直接接合 上記1と同様に、加圧下の通電による焼結過程におい
て、p型及びn型の酸化物半導体を焼結と接合を同時に
行えれば、各酸化物半導体バルクの組織制御による電気
的・熱的特性の向上とともに、p型及びn型の両酸化物
半導体間の機械的な接合と電気的な接合を一度に形成で
きる。そこで、放電プラズマ焼結法を用い、p型半導体
特性を有するアルカリ金属及び遷移金属を含む導電性金
属酸化物化合物、例えば、NaCo2 4 又はNa,L
i固溶型正方晶酸化ニッケル等と、n型半導体特性を有
するウルツ鉱型構造の酸化亜鉛等の導電性酸化物のそれ
ぞれの出発粉体を交互に積層させ、加圧下、真空中で放
電プラズマ焼結することを検討した。その結果、p−n
接合型酸化物熱電素子を一段階で製造できた。また、そ
れら素子の抵抗は常圧焼結に比べて低くなることが分か
った。さらに、NaCo24 と2mol%アルミ固溶
型酸化亜鉛からなるπ型の多結晶酸化物熱電素子での熱
起電力は約400℃の温度差で約80mVの起電力が得
られた。
【0012】本発明は、2種類以上の酸化物半導体をそ
れぞれの原料粉体を2層以上に積層して、加圧下、真空
中での放電プラズマにより直接、低温及び短時間で、一
段階プロセスによりp型及びn型の酸化物半導体が接合
した酸化物熱電素子を製造する方法と、得られる素子材
料を提供するものである。出発原料としては、常圧焼結
やホットプレス焼結等で用いられる、混合及び固体反応
後ボールミルにより得られたp型半導体特性を有するア
ルカリ金属及び遷移金属を含む導電性金属酸化物化合
物、例えば、NaCo24 、Na、Li固溶型正方晶
酸化ニッケル、ビスマスやストロンチウムが固溶した超
格子構造を有するCa2 Co25 のような層状化合
物、及び過剰酸素の生成による正孔キャリアによるホッ
ピング電子伝導が見られる遷移金属を含む酸化物等と、
n型半導体特性を有するウルツ鉱型構造の酸化亜鉛、ペ
ロブスカイト構造のチタン酸塩、ニオブ酸塩、ルチル型
構造の酸化スズや酸化チタン、及び電子キャリアの移動
が可能なバンド形成による電子伝導が見られる遷移金属
や希土類金属を含む酸化物等の導電性酸化物のそれぞれ
の粉体原料が用いられる。粉体の粒度は、1ナノメート
ルより小さな超微小粉体から数〜数十マイクロメートル
の微小粉体で、これらの出発粉体原料を放電プラズマ焼
結装置のカーボンダイス中で粉体として積み重ね、真空
中で両試料間に両方向から荷重をかけ加圧し、カーボン
ダイス及び試料へ直流パルス通電し、生成する放電プラ
ズマによる発熱を利用し、焼結を行う。上記焼結方法に
おいて、圧力は、10MPa〜47MPa、時間は、1
分から5分、温度は、600℃〜900℃、印加電流電
圧は、1〜3KA、1〜10Vで温度により自動的に制
御されることが好ましい。
【0013】これにより、接合と焼結を一段階で行っ
て、p型半導体特性を有するアルカリ金属及び遷移金属
を含む導電性金属酸化物化合物、例えば、NaCo2
4 又はNa,Li固溶型正方晶酸化ニッケル等と、n型
半導体特性を有するウルツ鉱型構造の酸化亜鉛等の導電
性酸化物が微粒子として接合した多結晶体の酸化物半導
体素子を容易に製造することができる。さらに、製造温
度及び時間は、通常の常圧焼結やホットプレス焼結に比
べ小さくすることができる。また、生成するそれぞれの
多結晶バルク体は、数マイクロメータの微細な粒子から
なる組織を形成し、電気的な導電性も常圧焼結法に比べ
向上する。
【0014】本発明の方法は、次のような利点を有す
る。 (1)焼結と異種組成の酸化物の接合が容易にできる。 (2)数種の酸化物半導体粒子が多層に接合した材料の
製造が容易にできる。 (3)数ナノ〜マイクロメータサイズの微小な粒子界面
間での半導体酸化物の結合が容易に行える。 (4)他方法に比べて短時間で焼結及び接合が行える。 (5)雰囲気制御によるキャリア濃度制御が行える。
【0015】また、上記方法で得られた複合素子材料は
次のような特性を有する。 (1)数マイクロメータの微細な粒子からなる組織を有
する。 (2)多層に接合した接合型多結晶バルク体が生成す
る。 (3)導電性は、通常の固相反応による製造法に比べ
て、同等もしくは一桁ほど高い特性を有する。そのた
め、作製素子の抵抗値も低下する。 (4)熱起電力は導電性の向上にともない若干低い値と
なるが、通常の固相反応による製造法と同じオーダーの
起電力特性を有する。 (5)粒子成長が進まず粒子界面が増加するため多結晶
体の熱伝導性は低下する。 (6)加圧下での焼結のため緻密な焼結体が生成しやす
い。 (7)n型/p型半導体粒子間界面での接合により材料
間の接着性が良い。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定
されるものではない。 実施例 (1)前駆体粉末の調製 図1及び表1に示すように、市販の酸化亜鉛及びアルミ
ナ粉末を所定比でボールミルにて24時間混合し、n型
のアルミ固溶型酸化亜鉛の前駆体粉末を調製した(ZA
01及びZA02)。また、炭酸ナトリウム及び四酸化
三コバルトをボールミルで乾式混合後、880℃、20
時間のフラックス反応によりNaCo2 4 を合成した
(NC880)。さらに、炭酸ナトリウムと酸化ニッケ
ルを所定比でボールミルにより24時間混合し、850
℃、80時間フラックス反応によりNa0.05Ni0.95
を合成し、さらに、Li2 Oを所定量混合しボールミル
にて6時間混合した後、ペレット成形し1250℃、4
時間反応させナトリウムーリチウム固溶型正方晶酸化ニ
ッケル(NN05)を調製した。それぞれの出発原料
は、再度ボールミルにて粉砕後、網目250マイクロメ
ータの篩いで分級し、図2に示すように、ZA01−N
C880、ZA02−NC880、ZA01−NN05
及びZA02−NN05の組合せで各粉末(図2では、
SampleA、Bとして示した)を約6gづづ内径3
0mmのグラファイトカーボンダイス(グラファイト
型:φ30mm×60mm)中に交互に積み重ねた。
【0017】
【表1】
【0018】(2)放電プラズマ焼結 実施例2 試料を入れたグラファイトカーボンダイスを、10-2
orr程の真空にし、30〜40MPaの加圧下、直流
パルス印加により900〜1150℃で、3〜5分間、
放電プラズマ装置(住友石炭鉱業社製Dr.Sinte
r)により放電プラズマ焼結を行った。焼結中、印可荷
重は一定に調節した。図3に、30MPaの加圧下、9
00℃、3分の焼結により得られたZA02−NC88
0の接合型酸化物熱電素子、さらに接合部破断面の及び
各領域のEDX分析結果を示す。また、図4〜7には、
ZA01−NC880、ZA02−NC880、ZA0
1−NN05及びZA02−NN05の接合部のSEM
写真を示す。
【0019】上記により、放電プラズマ焼結により各酸
化物半導体間の接合と焼結が一度で行えた。また、実験
を行ったアルミ固溶型酸化亜鉛及びNaCo24 の組
成も焼結前後で変化がなく、放電プラズマ焼結によるナ
トリウムの蒸発もほとんど見られなかった。EDX分析
では接合部での反応相の形成は確認されなかった。同様
に、ZA01−NC880、ZA01−NN05及びZ
A02−NN05でも多結晶酸化物半導体の短時間での
焼結と接合が同時にできた。
【0020】放電プラズマ焼結後のNaCo24 多結
晶体では5μm程の繊維状粒子が絡まったような組織が
見られ、粒子間には隙間が見られた。一方、アルミ固溶
型酸化亜鉛では2μm以下の微細な粒子からなる多結晶
体組織が確認できた。また、EDXではアルミナ単独組
成の粒子は観察できなかったことから、混合したアルミ
ナは酸化亜鉛に固溶したと考えられる。さらに、酸化ニ
ッケルでは10μmほどの比較的大きな粒子からなる多
結晶焼結体組織が見られた。また、同様に焼結温度を1
000及び1150℃に上げた場合、アルミ固溶型酸化
亜鉛は焼結されたが、NC880及びNNは溶融蒸発し
たため、遷移金属系の酸化物半導体との焼結と接合の同
時形成では900℃付近の放電プラズマ焼結がもっとも
良かった。上記により、通常の常圧焼結やホットプレス
焼結に比べて低温で焼成と接合が同時にできた。
【0021】(3)酸化物半導体素子の特性 900℃、3分の放電プラズマ焼結法により製造した代
表的なZA02−NC880酸化物半導体素子のそれぞ
れの酸化物半導体の電気抵抗、熱起電力(ゼーベック係
数)の温度変化を図8に示す。また、図2のような5x
5x15mmのπ型素子を用い、各温度差でのZA02
−NC880酸化物半導体素子の熱起電力とセル抵抗の
温度変化を図9に示す。ZA02及びNC880の電気
抵抗は常圧焼結により製造したものに比べて低下した。
また、放電プラズマ焼結により製造したZA02及びN
C880多結晶体の熱起電力は常圧焼結のものより若干
低下した。これは、真空下での直流パルス放電により部
分的な酸化還元によりキャリアとなる酸素欠陥等が生成
しやすくなるため、キャリア濃度が増加し、それにとも
ない、抵抗が低下したと考えられる。一方、それらのキ
ャリア濃度の増加は、材料の伝導度を同時に向上させる
ため、ゼーベック係数は減少すると考えられる。それぞ
れの酸化物半導体の熱起電力は200μV/Kほどと高
い値であった。さらに、試作したZA02−NC880
酸化物半導体π型素子では、出力抵抗1〜10 K o
hmで、800℃(温度差約400℃)において約83
mVの起電力を示した。
【0022】以上の実施例により、p型及びn型の酸化
物半導体粒子を交互に積み重ね、加圧下900℃付近で
3〜5分間、放電プラズマ焼結を行うことにより、焼結
と異種組成の酸化物の接合が容易にできることが分かっ
た。また、試料量の調製と積層数により、数種の酸化物
半導体粒子が多層に接合する材料の製造も簡単に行える
ことが分かった。
【0023】
【発明の効果】本発明により、1)2種以上の半導体酸
化物の接合と焼結を一度で行うことができる、2)焼結
と異種組成の酸化物の接合が容易にできる、3)数種の
酸化物半導体粒子が多層に接合する材料の製造を簡単に
行うことができる、4)2種以上の半導体酸化物が接合
した多結晶焼結体の複合素子を容易に形成することがで
きる、p−n接合型熱電変換素子を簡便に製造すること
ができる、5)ナノ〜ミクロサイズの粒子界面での直接
的な接合が可能であり、それにより半導体接合による特
性が利用できる、6)焼結時間が短いため微細粒子から
なる緻密な組織をもつ多結晶材料が合成できる、という
格別の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料の調製法を示す。
【図2】放電プラズマ焼結法の略図を示す。
【図3】放電プラズマ焼結により製造したZA02−N
C880接合型酸化物熱電素子とその接合部及び各組織
のEDX分析結果を示す。
【図4】ZA01−NC880接合型酸化物熱電素子の
破断面のSEM像を示す。
【図5】ZA02−NC880接合型酸化物熱電素子の
破断面のSEM像を示す。
【図6】ZA01−NN05接合型酸化物熱電素子の破
断面のSEM像を示す。
【図7】ZA02−NN05接合型酸化物熱電素子の破
断面のSEM像を示す。
【図8】放電プラズマ焼結により製造したZA01焼結
体の電気抵抗及びゼーベック係数の温度変化を示す。
【図9】放電プラズマ焼結により製造したNC880焼
結体の電気抵抗及びゼーベック係数の温度変化を示す。
【図10】ZA01−NC880接合型π型酸化物熱電
素子(図3)の熱起電力の温度変化を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 淡野 正信 愛知県名古屋市名東区平和が丘1丁目70 番地 猪子石住宅9棟306号 (72)発明者 高木 弘義 愛知県春日井市上条町1−5−2、藤和 シティーコープ春日井駅前 (72)発明者 前田 邦裕 茨城県日立市台原町2−14−16 (72)発明者 宮田 素之 愛知県名古屋市中村区鈍池2丁目53番地 ライオンズマンション岩塚A205 (56)参考文献 特開2000−252526(JP,A) 特開2000−34173(JP,A) 特開2000−226215(JP,A) 特開 平1−231383(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 35/34 H01L 35/32 C04B 35/64 C04B 37/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種以上の半導体酸化物が接合した多結
    晶酸化物焼結体を一段階プロセスで製造する方法であっ
    て、(1) 2種以上の異種組成の導電性酸化物の原料粉末を
    2層以上重ね(2) 加圧下でパルス通電による放電プラズマ焼結をす
    ることにより原料粉末の接合及び焼結を一段階で行う、 (3)上記(1)〜(2)により、焼結時の粒子成長を
    抑え、数マイクロメータ以下の微細な粒子からなる組織
    を形成して熱電性能を制御し、かつ物質中のキャリア濃
    度を促し導電性を向上させ、2種類以上の材料が数ナノ
    〜マイクロメータサイズの粒子間で直接接合した 複合素
    子材料を製造する ことを特徴とする接合型酸化物熱電素子材料の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 p型半導体特性を有するアルカリ金属及
    び遷移金属を含む導電性金属酸化物化合物とn型半導体
    特性を有するペロブスカイト化合物ないしウルツ鉱型構
    造の酸化亜鉛を含む導電性酸化物の粉末を2層以上重
    ね、パルス通電による放電プラズマ焼結法により2種類
    以上の材料が数ナノ〜マイクロメータサイズの粒子間で
    直接接合した接合型酸化物熱電素子材料を製造する
    求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 NaCo 2 4 、又はNa,Li固溶型
    正方晶酸化ニッケルと、アルミ固溶型酸化亜鉛の粉末を
    2層以上重ね、加圧下でパルス通電による放電プラズマ
    焼結をする、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の方法で製造してなる複
    合素子材料であって、p型半導体特性を有するアルカリ
    金属及び遷移金属を含む導電性金属酸化物とn型半導体
    特性を有するペロブスカイト化合物ないしウルツ鉱型構
    造の酸化亜鉛を含む導電性酸化物の粉末を2層以上重
    ね、加圧下でパルス通電による放電プラズマ焼結をする
    ことにより得られる、p型半導体材料とn型半導体材料
    数ナノ〜マイクロメータサイズの粒子間で直接接合し
    ことを特徴とする複合酸化物熱電変換素子材料。
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