JP3449602B2 - 6−クロロ−α−メチル−カルバゾール−2−酢酸のカルバゾールエステル前駆体の精製法 - Google Patents

6−クロロ−α−メチル−カルバゾール−2−酢酸のカルバゾールエステル前駆体の精製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は有機化合物精製法の分野で
あって、有機化学における合成法により製造される最終
産物および中間体、とりわけ、後者、有機化合物の精製
法に関するが、これら化合物に限定されるものではな
い。特に、本方法はカルボン酸である有機化合物のアル
キルエステルを精製するためのものである。本発明は
(6−クロロ−2−カルバゾリル)メチルマロン酸ジ
(C1〜C4アルキル)エステル、とりわけ、ジエチルエス
テルを相分離により精製する改良法に関し、該エステル
は今後ある場合には「カルバゾールエステル」と呼称す
るが、この用語は本発明方法に関わるジ(C1〜C4アルキ
ル)エステルのすべてについて一般に参照する場合にも
用いる。
【0002】該カルバゾールエステルはカルプロフェン
(Carprofen)一製造法のための出発物質であるが、カ
ルプロフェンは効力の強いCOX−2選択抗炎症剤であ
り、米国では食品医薬品局の動物薬委員会(FDA/CVM)
によりイヌ用医薬品として承認されている。カルバゾー
ルエステルの出発物質は、関連する製造法の1工程にお
いて副生する少なくとも一種の不純物を潜在的に含有し
ていることが知られており、この不純物はカルバゾール
エステル出発物質の0.9%(重量)にも達する。この不
純物成分については更に以下で詳細に検討するが、本発
明の精製方法は該不純物のみならず他の不純物も同様に
その範囲内に包含していると考える。動物医薬用として
十分に精製した形状でカルプロフェン最終産物を得るた
めには、かかる不純物はすべて最小限まで減少させなけ
ればならない。
【0003】
【従来の技術】ツワーレン(Zwahlen)の米国特許第4,2
64,500号は6−クロロ−α−メチル−カルバゾール−2
−酢酸の製造法を開示している。この最終産物の最終中
間体は(6−クロロ−2−カルバゾリル)メチルマロン
酸ジエチルエステルであり、ツワーレンの記載によると
この化合物は加水分解と脱炭酸により該化合物に変換さ
れる。該変換工程は別法としてはin situ(そのまま)
で、あるいは既知法、例えば、結晶化による当該一段階
前の中間体の単離に続いて実施されると言われる。しか
し、ツワーレン特許には本発明により提供されるような
中間体の精製法について、あるいは本発明法に従い製造
される驚くほどの高収率については何らの示唆もない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の最も広範な局
面によると、式(I):
【0005】
【化3】
【0006】(ただし、式中RaおよびRbは同一であっ
て、C1〜C4アルキルから成る群より選択される)で示さ
れる(6−クロロ−2−カルバゾリル)メチルマロン酸
ジ(C1〜C4アルキル)エステルを精製する方法を提供
し、該方法は当該エステルから1以上の不純物を少なく
とも1度相分離することを含み、その際、当該相分離を
実施するために使用する溶媒が酢酸である。
【0007】本発明によると、当該上記式(I)のエス
テルを精製する方法が更に提供されるが、その際、当該
エステルが少なくとも99.8%(重量)の純度で得られ、
その結果、そこに存在する不純物が0.20%以下となるこ
と、また更に、当該酢酸が氷酢酸であり、約30℃ない
し約110℃の温度に維持されること、また更に、当該
相分離を要すれば2度以上実施することを特徴とする。
【0008】また、本発明によると、当該上記式(I)
のエステルを精製する方法が更に提供されるが、その
際、当該エステルがジエチルエステルであること、また
更に、当該式(I)のエステルが少なくとも99.90%(重
量)の純度で得られ、その結果、そこに存在する不純物
が0.10%以下となること、また更に、当該酢酸が氷酢酸
であり、それが約40℃ないし約90℃、より好ましく
は約45℃ないし約75℃、最も好ましくは約50℃な
いし70℃の温度に維持されること、また更に、当該相
分離が1度のみ実施されることを特徴とする。
【0009】本発明のより狭いが同様に好ましい態様に
よると、当該式(I)で示される精製すべき(6−クロ
ロ−2−カルバゾリル)メチルマロン酸(C1〜Cアル
キル)エステルは分散固形物の形状で存在し、無定型で
あろうと結晶形であろうと、その氷酢酸溶液中では主に
スラリーの形態をとる。
【0010】更に提供されることは、当該不純物が該エ
ステルの製造法の途上で直接または間接的に産生される
ものであり、それは出発物質、合成中間体、反応剤、反
応副生物、分解産物、該製造法の種々の反応工程をその
中で実施した溶媒、または該式(I)で示されるエステ
ルに密接に関連する化学構造の不所望類似体などの1種
以上を含む。特に提供されることは、当該不純物が該方
法を不適切にまたは準至適条件で実施した結果として該
製造法から間接的に生じるものであってもよいことであ
る。
【0011】また、更に提供されることは、当該不純物
が該式(I)で示されるエステルの製造法に際し直接ま
たは間接的に産生されるものではない起源から偶然に誘
導されるものであってもよいこと、例えば、該製造法を
実施する装置の汚染から、該製造法に使用する出発物
質、溶媒または合成試剤の汚染から、周辺大気の汚染、
すなわち、該方法中に吸収されることになる該製造法を
取巻く環境の汚染から、あるいはその製造後の貯蔵また
は取り扱い中に該式(I)で示されるエステルが汚染さ
れたことから偶然に誘導されたものであってもよいこと
である。
【0012】本発明精製法の特に好ましい態様におい
て、精製すべき中間体はカルバゾール(ジエチル)エス
テルであり、除去すべき不純物は式(IV):
【0013】
【化4】
【0014】で示される二量体である。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明方法に従い精製す
べき上記式(I):
【0016】
【化5】
【0017】(ただし、式中RaおよびRbは同一であっ
て、C1〜C4アルキルから成る群より選択される)で示さ
れる(6−クロロ−2−カルバゾリル)メチルマロン酸
ジ(C1〜Cアルキル)エステルはカルプロフェン合成
における最終中間体である。カルプロフェンは既に記載
のとおり、イヌの疼痛および炎症の治療にとりわけ有用
な承認された抗炎症剤である。
【0018】RaおよびRbは同一であって、C1〜C4アルキ
ルから成る群より選択されることが必要である。もしRa
およびRbが異なるアルキル基、例えば、メチルおよびエ
チルを表し得るならば、それによってジエステルが混合
物となり、該マロン酸炭素がキラル中心となって、式
(I)で示されるエステルの(S)および(R)鏡像異性
体を生じることとなろう。その結果は更に複雑となり、
恐らく式(I)のエステル前駆体の満足な精製を全く損
なうこととなろう。そのような場合、例えば、ラセミ混
合物から形成されるジアステレオ異性体を光学的に純粋
な分子、例えば、酒石酸およびその誘導体と結合させて
相分離するための既知方法を利用する必要があるだろ
う。
【0019】RaおよびRbは、それらが表す部分が両方同
一でなければならないにかかわらず、本明細書では異な
る置換基の同定表示として用いている。この異なる同定
記号を用いる目的は、式(I)で示されるエステルから
分離しなければならない潜在的不純物が、製造法を不適
切に実施することによって、あるいはある種の他の未知
もしくは予期せざる原因により産生される可能性のある
混合エステルを含むということを強調するためである。
RaおよびRbはC1〜C4アルキルから選択され、直鎖または
分枝であってもよく、メチル、エチル、n−プロピル、
イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、およびtert
−ブチルを包含する。これら代表的なものの内、メチル
およびエチルが、特に、エチルが好ましい。
【0020】カルプロフェン、6−クロロ−α−メチル
−9H−カルバゾール−2−酢酸は式(I)のエステル前
駆体から製造され、式(II):
【0021】
【化6】
【0022】で表すことができる。活性薬である式(I
I)のカルプロフェンは、水解されモノ脱炭酸されてい
る点で、式(I)のエステル前駆体と異なっていること
が認められる。カルプロフェンの好ましい製造法におい
て、式(I)のカルバゾールエステル前駆体は、更に下
記式(III)で示されるそれ自体の中間体をもつ。式
(I)のカルバゾールエステル前駆体は、翻って、それ
に先行する式(III)の中間体とは、そのα−メチル酢
酸部分が結合するフェニル環に2つの二重結合を導入す
ることによって芳香化するという点で異なっている。こ
の事実は下記式(III)の中間体の描写から容易に識別
される。
【0023】
【化7】
【0024】式(I)で示されるカルバゾールエステル
前駆体およびその先行する式(III)の中間体の上記修
飾は、好ましいカルプロフェン製造法において行われ、
その方法は上記ツワーレンの米国特許第4,264,500号に
記載の合成工程に従って実施される。
【0025】ツワーレン合成法における第1工程は式
(III)の中間体を塩素で処理して芳香化することであ
る。この工程は、好ましくはトルエン、塩化メチレンま
たは塩化エチレンなどの非プロトン性溶媒中、反応混合
物の還流温度などの上昇温度で、当該混合物に塩素をゆ
っくり添加しながら実施する。該塩素の添加は、好まし
くは、2〜8時間にわたって行われる。この工程を実施
する一般的方法においては、溶媒としてトルエンを用
い、75℃で4時間反応を行う。得られる芳香化化合物
は式(I):
【0026】
【化8】
【0027】で表されるカルバゾールエステル前駆体で
ある。
【0028】式(III)で示されるエステルの芳香化
は、上記式(I)で表されるカルバゾールエステル前駆
体を生じ、このものは更にカルプロフェン最終産物を産
生させるために加水分解および脱炭酸反応に付す。この
最終の合成工程を実施する好ましい方法において、式
(I)で示される中間体は酸での処理を含む既知法、例
えば、氷酢酸と塩酸の組合わせによる加水分解および脱
炭酸反応に付す。
【0029】上記の合成変換反応は以下の反応工程に従
いまとめて表すことができる。
【0030】
【化9】
【0031】本発明によると、式(I)のエステル前駆
体から分離される1種または複数種の不純物はその特性
が有意に変化し、異なる起源から由来することもあると
いうことが広く予測される。本来、本発明において実施
される精製は一般に精製工程の基本的性質に依存してい
るが、好ましい態様としては、相分離手法である。かか
る既知工程は非常に高レベルの分離を可能とするが、構
造的に非常に密接に関連する化合物についても、以下に
詳細に説明するように、実施することができる。本発明
精製工程のパラメーターは、当該工程がその操作性およ
び優れた選択性について分離しようとする不純物の構造
に依存しないような方法で選択する。それ故、本発明は
かかる不純物の特性によって制限されるということは予
測されない。
【0032】式(I)のカルバゾールエステル前駆体に
関して遭遇するより厄介な不純物の1つについて研究が
なされている。この不純物は該エステル前駆体溶液中
に、また、式(II)のカルプロフェン最終産物の溶液中
に沈殿物として徐々に現われる。該不純物は、上記合成
経路図に示す式(III)の中間体を塩素化する芳香化反
応に際して産生されるカルバゾールエステル前駆体のス
ピロ−オキシインドール二量体としてX−線結晶学およ
び他の分析データにより同定されている。スピロ−オキ
シインドール二量体不純物の構造は式(IV)により表さ
れる。
【0033】
【化10】
【0034】該二量体不純物は結晶化する性質を有し、
通常の精製手法を試行しようとの意欲を掻き立てるが、
共沈がそれを否定する。通常の溶媒系を用い、本発明の
精製法により得られた精製の必要レベルを達成する当初
の試みは不成功であった。アセトン、アセトニトリル、
エタノール、プロパノール、ブタノール、酢酸エチル、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトア
ミド、メチルイソブチルケトン、およびこれら溶媒系の
組合わせは、これら溶媒系の上記速度論的結晶化効果に
より二量体不純物レベルの増大に至った。より許容可能
な結果はトルエン/メタンスルホン酸、およびトルエン
/ブタノール溶媒系を用い達成された。トルエン/メタ
ンスルホン酸系で得られた収率(75〜85%)および
生成物の品質(<0.1%の二量体不純物)は満足できる
ものであったが、トルエン/ブタノール系での収率は低
かった。次いで、実生産に際して遭遇すると思われる条
件を模擬試験することを企図して、ストレス条件下に該
トルエン/メタンスルホン酸系を試行した。精製は60
〜65℃の上昇温度で>2時間の延長時間実施した。こ
れらのストレス条件は分解産物を生じ、単離も除去もで
きなかった。
【0035】満足すべき結果はエタノール/イソプロピ
ルエーテル再結晶によっても当初には得られ、収率も高
く、不純物の除去も適切であった。しかし、この精製系
は造粒時間を延ばすストレス実験に付した場合、その生
産結果は受け入れ不能のものであった。結晶化は本来速
度論的であって、先ず生産物が析出し、続いて1時間以
内に二量体不純物が析出する。この二量体不純物が析出
するまでの時間間隔は工業規模での生産にはあまりに短
すぎる。
【0036】成功した溶媒系、また、本発明が基礎を置
いた溶媒系は加温酢酸を含むものであった。加温酢酸系
リパルプ、すなわち、相分離スラリーを、造粒時間の延
長(>36時間)、加熱時間延長(>12時間)、およ
び過剰加熱(>70℃)から成るストレス実験条件下に
置いた。この酢酸溶媒系は次いで40kg量の生産に規模
拡大したが、そこでの変更は循環時間ならびに装置につ
いてであった。生産試行は非常に上手くいき、HPLCアッ
セイでは二量体不純物の産生は僅か0.02%であった。
【0037】特定の上記スピロ−オキシインドール二量
体不純物に加えて、多くの他の潜在的不純物が存在す
る。これらの不純物は式(I)で示される該カルバゾー
ルエステル前駆体の製造法途上、直接または間接的に産
生され、出発物質、合成中間体、反応剤、反応副生物、
分解産物、該製造法の種々の反応工程を実施した溶媒、
または該式(I)で示される該カルバゾールエステルに
密接に関連する化学構造の不所望類似体などの1種以上
から構成される。当該不純物は最も典型的には採用した
特定製造法に伴う通常手法において生じるものであり、
従って、本明細書では当該製造法に「直接的に」関係し
たものとして言及する。
【0038】しかし、製造法がその基本的化学工学に関
して不適切に設計される場合がしばしばあるが、そのよ
うな場合とは不適当な出発物質、反応剤または溶媒を採
用すること、あるいは反応を実施するための時間および
温度などの工程パラメーターを不適切なものとすること
である。一方、製造法は完全に適切な化学工学に基づい
ているが、その実施の途上、ある種の不注意による誤り
を冒してしまうことがある。例えば、間違った出発原料
または不適当な量の反応剤を用いること、または反応を
実施する温度が高すぎたり低すぎたりすることである。
かかる実施の誤りが所望の最終産物と共に不純物をも産
生する。この種の不純物は採用した製造法に伴う手法の
範囲外から生じるものであり、従って、本明細書では当
該製造法に「間接的に」関係したものとして言及する。
【0039】不純物が製造法に直接的にも間接的にも関
係しないということもまた可能である。代りに、かかる
不純物は異なる起源から意図せず誘導されることがあ
る。例えば、製造法を実施する装置の汚染から、該製造
法に使用される出発物質、溶媒または合成剤の汚染か
ら、周辺大気の汚染、すなわち、該製造法を取巻く環境
の汚染からの不純物である。これらの起源の不純物は該
製造法の手法に取込まれることになる。該製造法終了
後、最終産物を分離し、次いで、既知手法に従い、薬剤
組成物に製剤化するためのある方式で処理または保管す
る必要がある。このように、不純物は、該式 (I)のエス
テルがその製造に続いての貯蔵または取り扱いの間に当
該不純物の起源と接触することにより汚染されてその結
果生じる場合もある。
【0040】本発明の精製法は、当該カルバゾールエス
テル前駆体最終産物の純度が少なくとも99.80%(重
量)である程に十分に高い式(I)のカルバゾールエス
テル前駆体を産生させ、その結果、その不純物重量は0.
20%(重量)以下となる。重量で示した百分比は最終産
物中のエステル前駆体の重量を当該最終産物重量で割っ
て100倍した値に基づく。しかし、しばしばより簡便
には、存在する不純物量を決定する最終産物の定量分析
の結果から百分比純度を計算し、そこから百分比純度を
計算する。かかる定量分析手法は周知であり、そのいず
れかを本明細書に記載の方法のニーズに適合させること
ができる。
【0041】本発明の好ましい態様において、式(I)
で示される該カルバゾールエステル前駆体はジエチルエ
ステルであり、該カルバゾールエステル前駆体は少なく
とも99.90%(重量)の純度で得られ、その結果、そこ
に存在する不純物量は0.10%(重量)以下である。本発
明の更に好ましい態様において、式(I)で示される該
カルバゾールエステル前駆体はジエチルエステルであ
り、該カルバゾールエステル前駆体は少なくとも99.95
%(重量)の純度で得られ、その結果、そこに存在する
不純物量は0.05%(重量)以下である。
【0042】採用する酢酸は高濃度の非水溶液の形態で
あって、そこにおける酢酸は有意に優先的な成分であ
る。しかし、かかる酢酸の非水溶液は通常式(I)のカ
ルバゾールエステル前駆体最終産物の純度レベルを低く
することと関係する。従って、本発明の好ましい態様に
おいて、当該酢酸は氷酢酸である。
【0043】その好ましい態様における本発明の精製方
法では溶媒として加熱酢酸を用い、それを式(I)のカ
ルバゾールエステル前駆体とそこに含まれる不純物から
成る固形産物に加える。除去すべき不純物はこの加熱酢
酸溶媒に非常によく溶けるが、最終産物であるカルバゾ
ールエステル前駆体は該加熱酢酸溶媒に対し溶解性が非
常に低い。加熱酢酸溶媒に対する式(I)のカルバゾー
ルエステル前駆体の溶解性レベルは約85%(重量)の
順位にあり、すなわち、カルバゾールエステル前駆体の
約15%のみが該加熱酢酸に溶解する。残余のカルバゾ
ールエステル前駆体は固形物として存在し、加熱酢酸溶
媒に分散していて、従って正確にはスラリーまたはパル
プと記載してもよい。できるだけ多量のカルバゾールエ
ステル前駆体を加熱酢酸溶媒から沈殿させた後、それと
該溶媒に溶解していない既に分散したカルバゾールエス
テル前駆体を溶媒から分離する。この分離が相分離を構
成し、そこで固相のカルバゾールエステル前駆体が不純
物を溶解している液相から分離される。
【0044】酢酸溶媒は約30℃ないし約110℃の温
度、好ましくは約35℃ないし約90℃、より好ましく
は約40℃ないし約75℃、最も好ましくは約45℃な
いし約75℃の温度に維持する。沈殿工程、すなわち、
相分離工程はカルバゾールエステル前駆体のバルクをス
ラリーの形態で含み、必要な回数実施する。相分離を繰
り返すごとにより純粋な産物を生じるが、これを実施す
るにはさらに費やされるエネルギーコストとそれによる
効率の低下を伴う。しかし、単回の相分離により少なく
とも99.90%(重量)もの高い純度、更に99.98%(重
量)にも達する99.95%(重量)以上の純度が達成され
得ることも本発明の驚くべき利点の一つである。相分離
工程を2度実施するのは、動物用健康薬として市販頒布
するために必要な高い純度の最終製品を得るために要求
される場合である。
【0045】更に期待されることは、本発明の精製法が
精製すべき該式(I)のカルバゾールエステル前駆体の
特性および工程歴に関して多くの異なる態様に従って実
施し得ることである。例えば、当該カルバゾールエステ
ル前駆体物質は上に詳細に記載したような製造工程の中
間体として固形物の形状で単離されることが期待され
る。当該カルバゾールエステル前駆体物質は同じ製造現
場での後の加工処理用に貯蔵するために、あるいは別の
製造工場での仕上げ処理に向けて移送するために固形物
として単離されている。かかる単離固形中間体は、存在
する不純物を簡単に取り除く好機を与える。何故なら、
該カルバゾールエステル前駆体を本発明に従い加工処理
することは、利用される製造規模の合成連続工程と完全
に両立するからである。単離した当該カルバゾールエス
テル前駆中間体は、本発明方法の加熱酢酸相分離溶媒で
直ちに処理することができる。あまり好ましい態様では
ないが、該固形中間体カルバゾールエステル前駆体は、
次いで添加する酢酸と両立し得る非水系溶媒に先ず溶解
してもよい。
【0046】本発明の精製法は本明細書の開示に従って
のみならず、精製手法の原理、とりわけ、技術上周知の
相分離手法に従っても実施されるべきものである。以下
にこれらの原理を簡単に記載し、当業者が本発明の精製
法を改変する際に大いに役割を果たすであろう考慮すべ
き事項を要約する。これらの原則を要約することは、一
般に相分離工程の結果の予想し得ない性質、および特に
本発明方法の予期せざる成功を強調する役割をも果た
す。
【0047】このように、例えば、本発明に従う相分離
による精製は、分散スラリー形態のエステル前駆体の存
在のみならず、同様に該エステル前駆体のある種沈殿形
成をも包含するものであり、該沈殿形成は不純物が酢酸
溶媒中に溶解した状態で維持されている間に起こる。沈
殿形成は通常、それまで澄明であった溶液からそこでの
物理的もしくは化学的変化により固形粒子を分離させる
工程から実質的に成り立つとみなされる。従って、この
ことは本発明精製方法の最初から該エステル前駆体が分
散状態で存在することとは区別すべきである。相分離の
最も重要な用途の一つは固形物の精製にあり、その場合
それは一般に沈殿形成とみなすことができる。
【0048】その最も単純な局面において、相分離は上
昇温度で適当な溶媒に溶ける不純な固形物が関わり、不
純物の大部分は冷却しても溶解したままであり、一方、
沈殿した生成物はそこから分離され、それによって精製
される。式(I)で示されるエステル前駆体の場合に
は、生成物の溶解性が酢酸溶媒の存在下高温でも低く、
最初のスラリー形成に至る。本発明の相分離方法は、要
すれば数回繰返し、酢酸溶媒は様々な温度で用いてもよ
い。
【0049】本発明の相分離方法により精製された産物
である式(I)の固形エステル前駆体は、無定型である
か、または結晶の形状、あるいはその双方である。無定
型の場合には、固形の最終産物は多くの異なる形状およ
びサイズから成り、これらの無定型粒子が一緒になって
固まるか、または凝集してより大きな塊を形成する。結
晶形である場合には、固形の最終産物が1種以上の結晶
形から成り、これらが組み合わさっても見える。結晶粒
子の大きさは広い範囲で変化する。
【0050】より特定した用語では、相分離または結晶
化は固形の単一成分無定型もしくは結晶相を多成分液相
から生成させることをいい、本発明の場合、該液相は酢
酸溶液であって、そこに不所望の不純物が溶解してい
る。相分離または結晶化の目的が精製乾燥固形物を調製
することにある場合、本発明態様の場合には、固形物を
該液相から分離する必要があり、この調製は通常遠心分
離または濾過、および引き続いての乾燥により達成され
る。かかる乾燥固形の無定型もしくは結晶性産物の有利
な性質は、取り扱いの容易さ、安定性、優れた流動性お
よび興味深い外観にある。一般に、相分離または結晶化
はカバーした容器もしくは攪拌容器中で実施し、適切な
純度、収量および相応しい結晶形を得るために必要な条
件を実験により決定しなければならない。
【0051】相分離が分散結晶粒子または溶液からの結
晶化に関わる場合には、3つの基本的段階でそれが生起
する。すなわち、過飽和の誘導、核の形成、および結晶
成長である。所定の温度および濃度で、溶液を冷却する
ことにより、あるいは溶媒を除去することにより飽和状
態とする。また、溶質の溶解度を減ずる第三の成分を添
加するか、あるいは生成する産物が溶解性の低い溶媒中
で化学反応を行うことも可能である。更に冷却または濃
縮すると、過飽和の準安定領域に入る。過飽和の程度が
低い場合、結晶の核を自然に形成させるのは覚束ない
が、種を加えることによって結晶の成長を開始させ得
る。準安定領域を制限する曲線上にある低温度または高
濃度では、自然発生的核生成が実質的に確実となり、結
晶の成長もこれらの条件下同様に起こる。
【0052】準安定領域の境界を越えると、核生成速度
が急速に増大し、結晶化工程が制御し得ないものとな
る。従って、溶液の状態を準安定領域内に維持すること
が望ましい。準安定ゾーン曲線下の領域の幅は、最も重
要なことであるが、攪拌、冷却速度、溶解性添加物の存
在、溶媒、および特定溶液の熱履歴により影響される。
【0053】核生成は小さな核の形成を必然的に伴い、
その周りから結晶が成長する。従って、核生成なくして
結晶の成長は起こり得ない。ある物質が溶液から結晶化
するとき、核生成と結晶成長は広い中間温度範囲で同時
に起こる。核生成は過冷却の程度に依存し、過冷却の度
合いが低い場合は核生成が不十分であるか起こらない。
しかし、核生成の速度は最大限まで上昇し、次いで低下
するので、過剰な冷却は形成される核数を制限して結晶
化の速度を下落させる。自然発生的核生成は低い運動エ
ネルギーの分子が十分量集まったときに起こり、その前
後関係で相互吸引力が十分となり、個々の運動を克服す
る。一旦ある大きさに達したとき、核は既に有る条件下
で安定になり、温度が低下するにつれ、より低いエネル
ギーの分子が参入して核生成速度を上昇させる。これら
の状況は上に理論づけた二量体不純物の形成を部分的に
特徴づけるものであり、この不純物は上記のように式
(I)のエステル前駆体の溶液中でとりわけやっかいな
ものである。
【0054】結晶核の形成または核生成は産生物結晶の
サイズを決定する工程であり、更に、当該結晶の多くの
物性、特に、本件の場合により重要なのは、その純度を
決定する際に本質的な役割を演じる工程でもある。
【0055】結晶成長について言えば、高温度において
は該分子が結晶格子中に取込まれたままでいるにはエネ
ルギー過剰となり、一方、低温度ではより多くの分子が
保持され、成長速度が増大する。しかし、最終的には結
晶表面での拡散と配向が更に低温度で抑制されたものと
なる。結晶表面上での析出は隣接位の分子の枯渇をもた
らす。従って、結晶成長の駆動力は結晶面での溶液の過
飽和から低濃度までの濃度勾配の構成により与えられ
る。従って、高い過飽和レベルが結晶成長の高速化を助
長する。
【0056】結晶格子に関しての正しい位置付けと適切
な配向は、関連する分子による運動エネルギーの低下と
なる。結晶化熱と見なされる凝集は連続して行わねばな
らず、すなわち、全溶液から表面に移行させねばならな
い。そして、結晶成長速度は熱移動速度と該表面で起こ
っている変化の両方に影響される。例えば、周知ではあ
るが、系の攪拌は結晶面での変化が制御効果に適するま
で結晶に隣接する液層の熱抵抗を減少させ、熱移動を増
大させる。最初、攪拌はこの境界層の厚さと拡散抵抗を
減少させ、成長速度を急速に増大させる。しかし、攪拌
が激しくなるにつれて、限界値は表面反応の動力学によ
り決まる値に到達する。
【0057】成長単位または前駆体が結晶成長に際して
通過する幾つかの段階は、更なる臨界因子、例えば、バ
ルク溶液を通して結晶の必ずしも成長部位ではない衝突
部位に移動すること、前駆体が溶媒分子を放出し、溶媒
が該溶液中に送り戻される衝突部位で吸着されること、
衝突部位から成長部位に前駆体が拡散すること、および
溶媒が溶液中に逃げ出す前に吸着されることが可能な間
に脱溶媒和前の結晶格子中に取込まれることを明らかに
する。これら工程のすべては界面領域の形態学に依存す
る。
【0058】結晶成長の種々のモデルが結晶表面の成長
メカニズムおよびその結果としての界面過程を同様に確
認するために当該技術において使用されている。例え
ば、容積拡散および表面拡散モデル、ならびに、二次元
核生成およびラセン成長モデルが用いられている。ま
た、総括成長速度は技術上異なる方法に従い測定される
が、結晶成長の理論的観点から、結晶平面の直線的成長
速度が最も頻繁に用いられる。更に、核生成速度および
核生成動力学の測定は異なる方法により達成される。そ
れらの一つは誘導期を測定することであり、誘導期とは
過飽和の達成と研究対象である系での固相の出現との間
の経過時間である。誘導期は核生成速度に逆比例すると
考えられる。結晶化容器中では核生成と結晶成長の双方
が過飽和に対し競合し、双方が最終産物のサイズ分布に
寄与する。
【0059】組成が高い均一性であり、また、それ故純
度の高い結晶を得るためには、直線的成長速度が全体と
して進行する界面上で一定であること、すなわち、結晶
形が成長する間不変であることが重要である。
【0060】最終産物の沈殿は可溶性不純物から結晶化
により分離してくるが、可溶性不純物は、核生成速度を
加速もするし、減速もする。例えば、不溶性物質は核と
して作用し、それによって結晶化を促進する。不純物は
また結晶形にも影響する。これら不純物の故に、固形沈
殿の組成は結晶化に際し共存する液体の組成とは異なっ
ている。この現象は偏析と見なされ、様々な理由により
結晶成長にとって重要である。それぞれ場合で中心とな
る問題は、どの程度まで結晶組成が結晶を成長させる栄
養物の組成に反映するかでる。
【0061】不純物は、結晶のギッブス(Gibbs)自由
エネルギーに対する不純物の寄与に依存して、成長する
界面によりある程度拒否されるか、あるいは優先的に取
込まれる。このように、偏析係数は不純物の界面移動に
基づき定義される。更に、不純物−溶媒相互作用および
複合体形成は偏析係数を複雑な濃度依存性に導くことが
知られている。不純物は成長動力学に強く影響するの
で、偏析は結晶成長動力学それ自体に関してもまた重要
である。結晶が不純溶液から成長するとき、もし不純物
が溶液よりも結晶に溶け難いのであれば、結晶は一般に
不純物を拒否する。界面が動くと、不純物は拡散により
運び去られるよりもより迅速に溶液中に除かれる。結果
として、固形物中の不純物濃度は、該溶液中の平均濃度
によってではなく、濃縮拡散層中の不純物濃度により決
定される。従って、制御しながら実施する偏析は、物質
の精製に有利に採用することができる。
【0062】達成し得る最大過飽和と結晶の核形成速度
における大きな差は、溶媒−溶質系の適切な選択から得
ることができるということは技術上周知である。更に、
溶媒を極性のもから非極性のものに変えたとき、達成し
得る最大過飽和ΔCmaxに有意な差があり、ΔCmaxと溶解
性との間には明瞭な相関関係がある。溶解性が高けれ
ば、核生成が起こる過飽和度は低い。このように、核生
成は溶液がより高濃度であるとき容易である。溶媒の選
定も結晶成長上有意な影響力をもつ。溶液から成長して
くる結晶の成長動力学は成長する界面の性質に関係する
2つの因子、すなわち、分子の粗さの程度および表面に
吸着した溶媒の性質により決定される。
【0063】相分離手法に対する所望のパラメーターを
上に検討した原則に従い、また本明細書に記載のように
選択し、本発明の方法に適用する場合、該精製方法につ
いて得られる特定態様を所望の結果を得るための適当な
装置により実施する。相分離または結晶化方法それ自体
の目的は、所望の形状、サイズ分布、純度および収率
の、無定型もしくは結晶粒子を最適基準に基づいて製造
することである。結晶化が関与する場合、それは核生成
と結晶成長が適正な速度で進行する一定の過飽和を維持
することにより達成される。溶質の溶解性と温度に加え
て、他の重要な因子は、溶質の熱安定性、当該不純物の
性質、および必要とされる水和の程度を含む。
【0064】本発明方法におけるエステル前駆体は本方
法の開始時から加熱酢酸溶媒に殆ど不溶である。しか
し、この段階で溶解しているエステル前駆体は温度上昇
と共に実質的に増加するが、適当な結晶化装置中で加熱
濃縮溶液を冷却することにより、通常、過飽和と大部分
の溶質の析出がもたらされる。蒸発結晶化後の母液は冷
却し、更に生成する結晶を取得する。あるいは、フラッ
シュ蒸発器を備える結晶化装置を用いてもよい。かかる
装置において、加熱溶液を減圧チャンバーに通し、そこ
で蒸発と冷却とを行う。最適には、利用する結晶化装置
は一様な大きさの結晶を産生するものであって、それが
母液の除去と洗浄を容易にする。もし大量の溶液が結晶
塊に吸蔵されているならば、乾燥により不純な製品が生
じ、本発明では受け入れられない。更なる利点は一様な
大きさの結晶が貯蔵中に固まり難いことである。
【0065】大きな均一結晶のバッチ生産は攪拌装置付
き反応容器を用いて達成できるが、該装置ではゆっくり
と制御した、あるいは自然にまかせた冷却が起こる。結
晶化が起こるにつれ、過飽和度と溶質濃度が低下し、最
終的には飽和に達して成長が止まる。この工程のより綿
密な制御は自然の核生成がなくても過飽和溶液に人工的
に播種することにより得られる。大型で一様な結晶の連
続生産はオスロまたはクリスタル結晶化装置を用いて達
成し得るが、そこでは成長する結晶塊の底部に準安定過
飽和溶液を流し込み、溶質を析出させる。結晶は溶液を
循環させることにより流動化し、分別、すなわち、その
ゾーンでの成層化が十分に大きな結晶を結晶化装置の底
部から抜き出すことを可能にする。
【0066】結晶化装置は通常溶液を過飽和化する方式
により分類されるが、それらは、例えば、冷却型結晶化
装置または蒸発型結晶化装置である。減圧型結晶化装置
は必然的に両方の工程を伴う。冷却型結晶化装置でのバ
ッチ結晶化は閉鎖したタンク中攪拌機でかき混ぜながら
実施するが、そこでは溶液の比熱と結晶化熱の双方が再
循環冷却水を通したジャケットまたはコイルにより除か
れる。かき混ぜはかかるタンク中での温度勾配、タンク
底部での逆沈降と異常結晶成長を防止するために、ま
た、結晶成長を容易にするために重要である。
【0067】結晶化工程を連続的に実施することが望ま
しい場合には、結晶化装置はタンクについて上に記載し
たと同様の方法で冷却した槽の形態を採るのがよい。溶
液は一方の端から入り、結晶と液体は他端から放出され
る。かかる装置での攪拌は緩やかに駆動するウォームを
用いて達成するが、該ウォームは溶液中で作動し、結晶
を冷却表面に持ち上げ、溶液を介して分散し、それを徐
々に槽を通して搬送する。槽全体の揺動も隔壁と組合わ
せて用い得るが、隔壁は溶液が槽中に滞留する時間を延
長する。この型の結晶化装置は両方とも低い熱転換係数
により特徴づけられ、そしてより迅速な熱交換が二重の
パイプ配置を用いることにより達成されるが、ここでは
結晶化液が中央のパイプに搬送され、パイプ間のリング
には冷媒を向流させる。この型の装置での攪拌は、中心
のパイプ中で回転する熱転換表面を擦り取る羽根のつい
たシャフトを用いてしばしば実施されるが、これにより
高い熱転換係数が得られる。
【0068】蒸発型結晶化装置は簡単なパン様配置のも
のまたは攪拌機付き反応容器である。大掛かりな生産レ
ベルでは、カランドリヤを加熱および下降管のために採
用するが、これは懸濁液の流路を収容するのに十分な大
きさでなければならず、一般に羽根車を収容しており、
強制循環させて沸騰液に対しての熱転換を増大させる。
結晶産物サイズを精密に制御することが重要な連続工程
では、オスロ結晶化装置を使用して実施するが、この装
置では溶液を蒸発により飽和とする。減圧型結晶化装置
では、一般に加熱した濃縮溶液を低圧に維持した攪拌機
付き結晶化チャンバーに送り込む。溶液は沸騰し、結晶
化装置の操作圧に対応して断熱的に沸騰点まで冷える。
濃縮に続いて結晶化が起こり、生成物が容器の底部から
除かれる。
【0069】
【発明の実施の形態】以下に本発明実施の態様を実施例
により述べるが、これは本発明を更に説明するためのも
のであって、特許請求の範囲に示した本発明の範囲をこ
れによて限定するものではない。
【0070】
【実施例1】カルバゾールエステル前駆体の精製 特別の生産ロットであるカルバゾールエステル前駆体、
すなわち、(6−クロロ−2−カルバゾリル)メチルマ
ロン酸ジエチルエステル30.0gを反応容器に入れた。こ
のものは予め定量した結果、下記構造を有するスピロ−
オキシインドール二量体を0.6%(重量)含有してい
た。
【0071】
【化11】
【0072】カルバゾールエステル前駆体物質を氷酢酸
90mlと混合し、攪拌しながら50〜55℃に加熱し
た。薄いスラリーが生成し、これを同温度で約2.5時間
攪拌した。次いで、このスラリーを徐々に20〜25℃
まで冷却し、更に2時間攪拌し、濾過、乾燥した。得ら
れたカルバゾールエステル最終産物の収量は23.14g
(77%)であり、スピロ−オキシインドール二量体不
純物を0.028%(重量)含んでいた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 タッカー,ジョン エル. アメリカ合衆国 コネチカット州 ナイ アンティック市 ブロック・ロード 20 (72)発明者 デブライアス,キース エム. アメリカ合衆国 コネチカット州 チェ スター市 ウォーターハウス・レーン 4 (72)発明者 レセック,ダイアン エム. アメリカ合衆国 コネチカット州 オー クデール市 フォーサイス・ロード 80 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 209/88 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I): 【化1】 (ただし、式中RaおよびRbは同一であって、C1〜C
    ルキルから成る群より選択される)で示される(6−ク
    ロロ−2−カルバゾリル)メチルマロン酸ジ(C1〜C
    アルキル)エステルを精製する方法であって、当該カル
    バゾールエステルから1またはそれ以上の不純物を少な
    くとも1度相分離することから成り、その際、当該相分
    離を実施するために使用する溶媒が酢酸であることを特
    徴とする精製方法。
  2. 【請求項2】 該酢酸が氷酢酸であり、これを30℃な
    いし110℃の温度に維持することを特徴とする請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】 該温度が50℃ないし70℃であり、該
    相分離を1度のみ実施することを特徴とする請求項2記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 該式(I)で示されるカルバゾールエス
    テルがジエチルエステルであることを特徴とする請求項
    1記載の方法。
  5. 【請求項5】 該カルバゾールエステルが少なくとも9
    9.95%(重量)の純度で得られ、その結果、そこに存在
    する不純物量が0.05%(重量)以下であることを特徴と
    する請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 精製すべき式(I)で示される該カルバ
    ゾールエステルが単離された結晶性固形物の形状で存在
    することを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 1またはそれ以上の該不純物が、該エス
    テルの製造法の途上で直接または間接的に産生されるも
    のであり、出発物質、合成中間体、反応剤、反応副生
    物、分解産物、該製造法の種々の反応工程をその中で実
    施した溶媒、または該式(I)で示されるカルバゾール
    エステルに密接に関連する化学構造の不所望類似体1種
    またはそれ以上から構成されることを特徴とする請求項
    1記載の方法。
  8. 【請求項8】 1またはそれ以上の該不純物が、該方法
    を不適切にまたは準至適条件で実施した結果として該製
    造法から間接的に生じるものであることを特徴とする請
    求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 1またはそれ以上の該不純物が、該式
    (I)で示されるエステルの製造法を実施する装置の汚
    染から、該製造法に使用する出発物質、溶媒または合成
    試剤の汚染から、該製造法中に吸収されることになる該
    方法を取巻く環境の汚染から、あるいは該製造法による
    その製造後の貯蔵または取り扱い中の該式(I)で示さ
    れるエステルの汚染から偶然に誘導されたものであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 1またはそれ以上の該不純物が、式
    (IV): 【化2】 で示されるスピロ−オキシインドール二量体から成るこ
    とを特徴とする請求項1記載の方法。
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