JP3439713B2 - ブロック敷設工法 - Google Patents

ブロック敷設工法

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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、下水道工事などに
用いられるアーチカルバートやボックスカルバートなど
のブロックを施工現場に敷設する工法に関する。 【0002】 【従来の技術】暗渠などとして使用されているアーチカ
ルバートやボックスカルバートなどのブロックを施工現
場に敷設する場合、オープンカットした空間内にクレー
ンを用いてブロックを吊り込む工法が従来より広く採用
されている。しかし、この工法は、クレーンが入り込め
ない狭い場所での工事や橋梁下での工事などには採用す
ることができない。 【0003】このような問題を解決するため、本出願人
は、実公平1−11825号公報、特公平2−3509
5号公報、特開平9−60601号公報などにおいて、
搬送台車を用いた敷設技術を開示している。 【0004】これらの公報において開示されているブロ
ック敷設技術は、ブロックを敷設するために形成された
コンクリート路床を搬送路として利用しながら敷設工事
を行うものであり、コンクリート路床の両側に敷設され
たレールに沿って搬送台車を往復走行させることによっ
て、ブロックを設置予定場所まで順次搬送して、据え付
けていくという工法である。このような敷設技術を採用
することにより、狭い場所や橋梁下におけるブロック敷
設工事を効率的かつ安全に施工することが可能となる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従来のブロック敷設技
術の場合、ブロックを積載した搬送台車を搬送路に沿っ
て走行させることによりブロックの搬送作業を行うが、
ブロックは搬送台車に載置されただけの状態であるた
め、搬送路に勾配がついていると、搬送台車が傾斜し
て、積載したブロックが転倒したり、脱落するおそれが
ある。したがって、ブロックを敷設するために形成され
たコンクリート路床に勾配がついている施工現場におい
ては、従来の敷設工法では施工が困難である。 【0006】本発明が解決しようとする課題は、勾配の
ついた搬送路に沿ってブロックを設置予定場所まで搬送
して、敷設する工事を安全かつ効率的に施工することの
できるブロック敷設工法を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明のブロック敷設工
法は、昇降可能なブロック積載部を有する搬送台車にブ
ロックを積載し、勾配のついた搬送路に沿って搬送台車
を移動させることによりブロックを設置予定場所まで搬
送して敷設する工法であって、搬送台車のブロック積載
部をブロックに形成された高さの異なる複数の係止手段
に着脱可能に係合させた後、前記ブロック積載部を上昇
させ、ブロックを搬送路の勾配より緩い角度に保持した
状態で積載するブロック積載工程と、搬送台車を搬送路
に沿って移動させ、ブロックを設置予定場所まで搬送す
るブロック搬送工程と、ブロックの設置予定場所におい
て前記ブロック積載部を下降させ、ブロックを設置予定
面に載置するブロック据え付け工程と、前記ブロック積
載部を前記ブロックの係止手段から離脱させた後、搬送
台車を搬送路に沿って後退させる搬送台車復帰工程とを
含むことを特徴とする。 【0008】このような工程をとることにより、搬送台
車のブロック積載部でブロックを搬送路の勾配より緩い
角度に保持した状態で設置予定面まで搬送、載置するこ
とが可能となるので、ブロックの安定性が高まり、勾配
のついた搬送路の搬送中にブロックが転倒したり、脱落
するおそれがなく、ブロック敷設工事を安全かつ効率的
に施工することができる。 【0009】ここで前記のブロック据え付け工程を、ブ
ロックの設置予定面上に収縮可能な支持部材を載置する
工程と、ブロックの少なくとも一部が前記支持部材に載
るまで前記ブロック積載部の少なくとも一部を下降させ
る工程と、ブロックを係止手段から離脱させた後、前記
支持部材を収縮させてブロックの傾斜角度を設置予定面
の勾配に合わせる工程と、前記ブロック積載部をブロッ
クの係止手段に係合させた後、前記支持部材をさらに収
縮させブロックと設置予定面との間から撤去する工程
と、前記ブロック積載部を下降させてブロックを設置予
定面に載置する工程とを含むものとすることができる。
このような据え付け工程とすることにより、搬送台車の
ブロック積載部で搬送路の勾配より緩い角度に傾斜した
状態に保持して搬送されてきたブロックを、一旦、設置
予定面の勾配と同等に傾斜させた後、設置予定面に載置
することが可能となるため、ブロック据え付け工程にお
いてブロックが揺動したり、転倒するおそれがなくな
り、施工中の安全性が向上する。 【0010】このブロック据え付け工程において使用す
る収縮可能な支持部材として、流体排出手段を備えた柔
軟な流体充填体を用いることにより、この上に載せられ
るブロックを安定的に支持することが可能となり、流体
排出手段から流体を排出するだけの簡単な操作で、ブロ
ックのバランスを失うことなく、その傾斜角度を設置予
定面の勾配に合わせることができる。なお、流体排出手
段を備えた柔軟な流体充填体としては、空気の充填、排
出によって膨張収縮するエアバッグや、水の充填、排出
によって膨張収縮するウォータバッグなどを好適に採用
することができる。 【0011】ブロックの係止手段としては、搬送台車の
ブロック積載部に挿通された係止ボルトが螺合可能なボ
ルト孔をブロックの側面に形成することにより、搬送台
車のブロック積載部との着脱を容易かつ確実に行うこと
が可能となり、搬送中のブロックの安定性も良好とな
る。 【0012】また、ブロックの設置予定場所の最下部分
に、ブロックの滑動を防止するためのブロック固定部を
設けることにより、勾配のついた設置予定場所の最下部
分に敷設したブロックなどが、その後に敷設したブロッ
クの重量などによって滑動するのを阻止することができ
るので、施工中の安全性が高まるとともに、施工後の耐
久性、安定性も向上する。 【0013】 【発明の実施の形態】図1は実施の形態であるブロック
敷設工法に用いる搬送台車およびアーチカルバートの側
面図、図2はアーチカルバートを搬送台車に積載した状
態を示す正面図である。 【0014】本実施形態のブロック敷設工法において使
用する搬送台車10は、図1に示すように、搬送路13
に敷設された2本のレール14に沿って走行可能な2つ
の走行部15と、それぞれの走行部15に設けられたブ
ロック積載部11と、走行部15同士を連結する固定部
材16とを備え、固定部材16上には、搬送台車10を
操作するための操作盤17が配置されている。走行部1
5には、モータ18で駆動された車輪19、ブロック積
載部11を昇降させるための油圧ジャッキ20などが内
蔵されている。ブロック積載部11にはそれぞれ2本の
係止ボルト24a,24bが水平方向に挿通されている 【0015】本実施形態のブロック敷設工法において敷
設するアーチカルバート(以下、ブロックという)12
の両側面にはそれぞれ、高さの異なる複数の傾斜手段と
して、ブロック積載部11に挿通された係止ボルト24
a,24bが螺合可能な3つのボルト孔21,22,2
3が形成されている。ボルト孔21,22は同じ高さに
位置し、ボルト孔23はボルト孔22より下に位置して
いる。 【0016】図2に示すように、搬送台車10の走行部
15をブロック12の両側に位置させ、ブロック積載部
11に挿通された2本の係止ボルト24a,24bをボ
ルト孔21,22またはボルト孔21,23に螺合させ
ることによって左右のブロック積載部11をそれぞれブ
ロック12の両側面に着脱可能に係合させることができ
る。 【0017】左右のブロック積載部11をそれぞれブロ
ック12の両側面に係合させた状態で油圧ジャッキ20
を作動させブロック積載部11を上昇させることによ
り、ブロック12を搬送路13から持ち上げ、この状態
で、搬送台車10をレール14に沿って走行させる。な
お、ブロック積載部11に挿通された2本の係止ボルト
24a,24bをボルト孔21,22に螺合させたとき
はブロック12が走行台車10の進行方向と平行状態に
保持され、2本の係止ボルト24a,24bをボルト孔
21,23に螺合させたときはブロック12が搬送台車
10の後方側へ傾斜した状態に保持される。 【0018】次に、図3〜7を参照して、搬送台車10
を用いたブロック敷設工法について詳しく説明する。本
実施形態のブロック敷設工法は、昇降可能なブロック積
載部11を有する搬送台車10に、ブロックの1種であ
るブロック12を傾斜状態にして積載し、下り勾配がつ
いた搬送路13に沿って搬送台車10を移動させること
により、ブロック12を設置予定場所まで搬送して敷設
する工法である。 【0019】ブロック12の設置予定場所である搬送路
13には、地盤上に基礎底面突起コンクリート25およ
び基礎コンクリート26が打設され、基礎コンクリート
26上に2本のレール14が敷設されている。搬送路1
3の最下部分には、敷設されたブロック12が下方に滑
動するのを防止するためのブロック固定部29が設けら
れている。 【0020】図5(a)に示すように、搬送台車10の
ブロック積載部11に挿通された2本の係止ボルト24
a,24bを、ブロック12に形成された高さの異なる
ボルト孔21,23に螺合させた後、ブロック積載部1
1を上昇させることにより、ブロック12を搬送路13
の勾配19.1%より緩い角度5.5%に傾斜させた状
態で積載する。この後、搬送台車10を搬送路13のレ
ール14に沿って移動させ、ブロック12を設置予定場
所まで搬送する。 【0021】ブロック12を積載した搬送台車10が設
置予定場所に到着したら、設置予定面上に収縮可能なエ
アバッグ30を載置し、図5(b)に示すように、ブロ
ック12下面の前方部がエアバッグ30に載るまでブロ
ック積載部11を下降させ、ボルト孔21に螺合されて
いる係止ボルト24aを緩めるとともにボルト孔23に
螺合されている係止ボルト24bを取り外した後、エア
バッグ30を収縮させてブロック12が設置予定面の勾
配19.1%に合うまで傾斜させる。 【0022】この後、図6(a)に示すように、ブロッ
ク積載部11の係止ボルト24bをボルト係止孔22に
螺合させ、係止ボルト24aを締め付けて、ブロック積
載部11をブロック12に係合させた後、エアバッグ3
0をさらに収縮させてブロック12と設置予定面との間
から撤去する。 【0023】そして、図6(b)に示すように、ブロッ
ク積載部11を下降させてブロック12を設置予定面に
載置した後、ブロック積載部11の係止ボルト24a,
24bをブロック12の係止孔21,22から離脱させ
る。この後、図7に示すように、搬送台車10を搬送路
13に沿って後退させ、元の位置まで復帰させた後、次
のブロック12の積載作業を開始する。この後、前述の
工程を繰り返すことにより、図7に示すように、順次、
ブロック12を設置予定面上に敷設していくことができ
る。なお、図3において、31はブロック12のずれ止
め接合コンクリート用の差し筋である。 【0024】このような工程をとることにより、搬送台
車10のブロック積載部11で搬送路13の勾配19.
1%より緩い角度5.5%に傾斜した状態に保持して搬
送されてきたブロック12をエアバッグ30を用いて、
一旦、設置予定面の勾配19.1%と同等に傾斜させた
後、設置予定面に載置することができるため、ブロック
据え付け工程においてブロック12が揺動したり、転
倒、脱落するおそれがなくなり、ブロック敷設工事を安
全かつ効率的に施工することができる。 【0025】ブロック12の据え付け工程において使用
する収縮可能な支持部材として、流体排出手段を備えた
柔軟なエアバッグ30を用いることにより、この上に載
せられるブロック12を安定的に支持することが可能と
なり、流体排出手段から空気を排出するだけの簡単な操
作で、ブロック12のバランスを失うことなく、その傾
斜角度5.5%を設置予定面の勾配19.1%に合わせ
ることができる。 【0026】係止手段として、ブロック12の側面に、
ブロック積載部11に挿通された係止ボルト24a,2
4bが螺合可能なボルト孔21,22,23を形成する
ことにより、搬送台車10のブロック積載部11との着
脱を容易かつ確実に行うことが可能であり、搬送中のブ
ロック12の安定性も良好となる。 【0027】設置予定場所の最下部分に、敷設後のブロ
ック12の滑動を防止するためのブロック固定部29を
設けることにより、勾配のついた設置予定場所の最下部
分に敷設したブロック12aなどが、その後に敷設した
ブロック12の重量などによって滑動するのを阻止する
ことができるので、施工中の安全性が高まるとともに、
施工後の耐久性、安定性も向上する。 【0028】 【発明の効果】本発明により、以下に示す効果を奏す
る。 【0029】(1)搬送台車のブロック積載部に搬送路
の勾配より緩い角度にブロックを保持した状態で積載し
て搬送台車を搬送路に沿って移動させ、ブロックの設置
予定場所においてブロック積載部を下降させてブロック
を設置予定面に載置し、ブロック積載部をブロックの係
止手段から離脱させた後、搬送台車を搬送路に沿って後
退させるブロック敷設工法とすることにより、搬送中の
ブロックの安定性が高まり、ブロックが転倒したり、脱
落するおそれがなく、ブロック敷設工事を安全かつ効率
的に施工することができる。 【0030】(2)ブロックを据え付ける際に、設置予
定面上に収縮可能な支持部材を載置し、ブロックの一部
を支持部材に載せてブロックを係止手段から離脱させた
後、支持部材を収縮させてブロックの傾斜角度を設置予
定面の勾配に合わせ、ブロックを再びブロック積載部に
係合させた状態で支持部材を撤去し、ブロック積載部を
下降させてブロックを設置予定面に載置することによ
り、ブロックを一旦設置予定面の勾配と同等に傾斜させ
た後、設置予定面に載置することが可能となるため、ブ
ロック据え付け工程においてブロックが揺動したり、転
倒するおそれがなくなり、施工中の安全性が向上する。 【0031】(3)ブロック据え付けの際に使用する収
縮可能な支持部材として、流体排出手段を備えた柔軟な
流体充填体を用いることにより、この上に載せられるブ
ロックを安定的に支持することが可能となり、流体排出
手段から流体を排出するだけの簡単な操作で、前記ブロ
ックのバランスを失うことなく、その傾斜角度を設置予
定面の勾配に合わせることができる。 【0032】(4)ブロックの係止手段として、ブロッ
クの側面に、ブロック積載部に挿通された係止ボルトが
螺合可能なボルト孔を形成することにより、搬送台車の
ブロック積載部との着脱を容易かつ確実に行うことが可
能となり、搬送中のブロックの安定性も良好となる。 【0033】(5)ブロックの設置予定場所の最下部分
に、ブロックの滑動を防止するためのブロック固定部を
設けることにより、勾配のついた設置予定場所の最下部
分に敷設したブロックなどが、その後に敷設したブロッ
クの重量などによって滑動するのを阻止することができ
るので、施工中の安全性が高まるとともに、施工後の耐
久性、安定性も向上する。
【図面の簡単な説明】 【図1】 実施の形態であるブロック敷設工法に用いる
搬送台車およびブロックの側面図である。 【図2】 図1に示すブロックを搬送台車に積載した状
態を示す正面図である。 【図3】 実施の形態であるブロック敷設工法を示す説
明図である。 【図4】 (a)は搬送路の下端部分を示す平面図であ
り、(b)は搬送路の下端部分を示す断面図である。 【図5】 図3に示すブロック敷設工法の工程説明図で
ある。 【図6】 図3に示すブロック敷設工法の工程説明図で
ある。 【図7】 図3に示すブロック敷設工法の工程説明図で
ある。 【符号の説明】 10 搬送台車 11 ブロック積載部 12,12a アーチカルバート(ブロック) 13 搬送路 14 レール 15 走行部 16 固定部材 17 操作盤 18 モータ 19 車輪 20 油圧ジャッキ 21,22,23 ボルト孔 24a,24b 係止ボルト 25 基礎底面突起コンクリート 26 基礎コンクリート 29 ブロック固定部 30 エアバッグ 31 差し筋

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 昇降可能なブロック積載部を有する搬送
    台車にブロックを積載し、勾配のついた搬送路に沿って
    搬送台車を移動させることによりブロックを設置予定場
    所まで搬送して敷設する方法であって、搬送台車のブロ
    ック積載部をブロックに形成された高さの異なる複数の
    係止手段に着脱可能に係合させた後、前記ブロック積載
    部を上昇させ、ブロックを搬送路の勾配より緩い角度に
    保持した状態で積載するブロック積載工程と、搬送台車
    を搬送路に沿って移動させ、ブロックを設置予定場所ま
    で搬送するブロック搬送工程と、ブロックの設置予定場
    所において前記ブロック積載部を下降させ、ブロックを
    設置予定面に載置するブロック据え付け工程と、前記ブ
    ロック積載部を前記ブロックの係止手段から離脱させた
    後、搬送台車を搬送路に沿って後退させる搬送台車復帰
    工程とを含み、前記ブロックの係止手段として、前記ブ
    ロック積載部に挿通された2本の係止ボルトが螺合可能
    な3つのボルト孔をブロックの両側面にそれぞれ形成
    し、前記ボルト孔のうちの2つを同じ高さに位置させ、
    他の1つのボルト孔を前記2つのボルト孔の一方より下
    に位置させたことを特徴とするブロック敷設工法。
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