JP3436440B2 - 感光材料処理装置 - Google Patents

感光材料処理装置

Info

Publication number
JP3436440B2
JP3436440B2 JP14663695A JP14663695A JP3436440B2 JP 3436440 B2 JP3436440 B2 JP 3436440B2 JP 14663695 A JP14663695 A JP 14663695A JP 14663695 A JP14663695 A JP 14663695A JP 3436440 B2 JP3436440 B2 JP 3436440B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photosensitive material
processing
state
amount
material processing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP14663695A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08339068A (ja
Inventor
文雄 茂木
隆利 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP14663695A priority Critical patent/JP3436440B2/ja
Publication of JPH08339068A publication Critical patent/JPH08339068A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3436440B2 publication Critical patent/JP3436440B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photographic Processing Devices Using Wet Methods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感光材料処理装置に係
り、より詳しくは、感光材料処理部により処理された感
光材料の単位時間当たりの処理量を少なくとも用いて感
光材料処理部を管理する機能を備えた感光材料処理装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、感光材料処理装置における処
理液の管理には、多種の方式が提案されている(特開平
4−260087号、特開平6−236018号、特開
平6−230543号、特表平6−509660号、特
表平6−509661号、特開平6−282049号、
特開平6−289563号等)。
【0003】例えば、特開平6−289563号公報に
は、自動現像機への処理剤投入情報(投入量、投入処理
剤の種類、投入時期)、処理履歴(処理した感光材料の
総面積等)及び環境履歴(環境温度、環境湿度や各運転
状態の運転時間)を記憶し、これらの情報から現在の処
理液の処理能力を算出し、予め記憶した当該自動現像機
の標準の処理能力及び許容範囲と算出した処理能力とを
比較して、そのずれ量を表示すると共に補充すべき処理
剤の量、種類及び時期を表示する自動現像機の処理剤補
給方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、処理剤
投入情報、処理履歴及び環境履歴の各情報から算出した
現在の処理液の処理能力は予測値であり、実際の処理液
状態からずれている場合があるので、得られた補充すべ
き処理剤の量等は信頼性が低いものになる。
【0005】本発明は、上記事実に鑑み成されたもの
で、感光材料処理部の管理の信頼性を向上させた感光材
料処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため請求
項1記載の発明は、感光材料処理部により処理された感
光材料の単位時間当たりの処理量を少なくとも用いて前
記感光材料処理部の状態を予測する予測手段と、前記予
測手段で予測された前記感光材料処理部の状態と比較可
能な前記感光材料処理部の実際の状態を検出する検出手
段と、前記予測手段により予測された前記感光材料処理
部の状態と前記検出手段により検出された前記感光材料
処理部の実際の状態とを比較する比較手段とを備えてい
る。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記比較手段による比較結果に基づいて対
処が必要か否かを判断する判断手段を更に備えている。
【0008】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発
明において、前記判断手段による判断結果が肯定の場合
に前記判断手段により必要と判断された対処を行う対処
手段を更に備えている。
【0009】請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記
載の発明では、前記予測手段で予測された感光材料処理
部の状態と前記検出手段により検出された感光材料処理
部の実際の状態とを直接比較することができない場合に
は、前記予測手段で予測された前記感光材料処理部の状
態及び前記検出手段により検出された前記感光材料処理
部の実際の状態の少なくとも一方を直接比較可能な状態
に変換する変換手段を更に備えるようにしてもよい。
【0010】また、前記検出手段は、前記感光材料処理
部の実際の状態として、前記感光材料処理部内に貯留さ
れていると共に前記感光材料を処理する処理液に補充す
る補充量を少なくとも検出するのが好ましい。
【0011】請求項4記載の発明は、感光材料処理部に
より処理された感光材料の単位時間当たりの処理量を少
なくとも用いて前記感光材料処理部の状態を予測する予
測手段と、前記予測手段で予測された前記感光材料処理
部の状態と比較可能な前記感光材料処理部の実際の状態
を検出する検出手段と、前記予測手段により予測された
前記感光材料処理部の状態及び前記検出手段により検出
された前記感光材料処理部の実際の状態の少なくとも一
方を出力する出力手段とを備えている。
【0012】請求項5記載の発明は、感光材料処理部に
より処理された感光材料の単位時間当たりの処理量を少
なくとも用いて前記感光材料処理部の状態を予測する予
測手段と、前記予測手段で予測された前記感光材料処理
部の状態と比較可能な前記感光材料処理部の実際の状態
を検出する検出手段と、前記予測手段により予測された
前記感光材料処理部の状態及び前記検出手段により検出
された前記感光材料処理部の実際の状態の少なくとも一
方をホストコンピュータに送信すると共に該ホストコン
ピュータから対処内容に関するデータを受信する双方向
通信手段とを備えている。
【0013】
【作用】請求項1記載の発明に係る感光材料処理装置で
は、予測手段は、感光材料処理部により処理された感光
材料の単位時間当たりの処理量を少なくとも用いて感光
材料処理部の状態を予測する。
【0014】ここで、感光材料処理部の状態には、処理
液の状態、処理後の感光材料の仕上がり状態、感光材料
処理部の機械的または電気的な動作状態があり、また、
感光材料処理部の状態は、感光材料処理部を制御すると
きに使用されるデータ(ソフトデータ)で表すことがで
きる。
【0015】上記処理液の状態には、各処理槽に貯留さ
れている各処理液の化学的性質や物理的性質がある。化
学的性質には、処理液のpH、処理液の特定成分濃度等
があり、物理的性質には、処理液の液量(母液、補充
液、または廃液の量)、処理液の比重、処理液の密度、
処理液の濃度、処理液の電気伝導度(電気伝導率)等が
ある。この処理液の特定成分の濃度は、単位時間当たり
の処理量と実際の補充量との関係を用いて求めることが
でき、比重、電気伝導度等は処理液の濃度を用いて求め
ることができる。
【0016】上記処理後の感光材料の仕上がり状態は、
感光材料の画像濃度に関する物理量であり、これには、
発色量、黒化部面積、カラーバランス、コントラスト及
びベース濃度等がある。
【0017】上記感光材料処理部の機械的または電気的
な動作状態には、各補充タンクや各処理槽の液レベルの
状態や廃液タンクの液レベル状態等がある。
【0018】そして、上記感光材料処理部のソフトデー
タには、前述の各種状態の検出結果の履歴データや変化
状況を表すデータがある。
【0019】また、感光材料処理部の状態は、この感光
材料処理部に備えた実際の情報センサから得た情報と感
光材料処理部固有のデータファイルの情報とに基づいて
シミュレーションすると共に、このシミュレーション結
果及び既に情報センサから得ているデータ(履歴デー
タ)を基に演算を行って予測することができる。
【0020】検出手段は、予測手段で予測された感光材
料処理部の状態と比較可能な感光材料処理部の実際の状
態を検出する。
【0021】ここで、予測手段で予測された感光材料処
理部の状態と検出手段により検出された感光材料処理部
の実際の状態とを直接比較することができない場合に
は、予測手段で予測された感光材料処理部の状態及び検
出手段により検出された感光材料処理部の実際の状態の
少なくとも一方を直接比較可能な状態に変換すればよ
い。
【0022】比較手段は、予測手段により予測された感
光材料処理部の状態と検出手段により検出された感光材
料処理部の実際の状態とを比較する。この比較手段は、
予測された感光材料処理部の状態を検証する手段であ
り、予測された感光材料処理部の状態と上記検出された
感光材料処理部の実際の状態とにずれや誤差が生じてい
るか否かを確認して検証するものである。
【0023】そして、請求項2記載の発明のように、判
断手段を設け、比較手段による比較結果に基づいて、予
測された感光材料処理部の状態と上記検出された感光材
料処理部の実際の状態との間に生じたずれや誤差が許容
範囲内か否かを判断したり、ずれや誤差が許容範囲外の
場合には各種のデータファイルや処理情報蓄積データを
検索して演算し、対処が必要かどうかを判断したりする
ことができる。
【0024】さらに、請求項3記載の発明のように、対
処手段を設け、判断手段による判断結果が肯定の場合
に、感光材料処理部の状態を直接補正する他に、上記予
測された状態及び上記検出された実際の状態の少なくと
も一方を、外部のホストコンピュータに送信したり、表
示手段に表示したり、さらには、アラームで報知するよ
うな対処を行うことができる。
【0025】ここで、感光材料処理部の状態を直接補正
する方法としては、補充補正、温調補正及び管理情報の
補正がある。補充補正は、補充液を補充する補充ポンプ
の吐出量、吐出時間、補充タイミング、またはインター
バルを調整するものである。温調補正は、処理液の設定
温度、予熱(プレヒート)温度または予熱時間等を各処
理槽毎に調整するものである。管理情報の補正は、感光
材料処理部の処理に必要な管理データを修正するもので
あり、補充ポンプ吐出量校正値、温度センサの校正値、
蒸発補正システムの環境データ、及び感光材料処理部に
よる処理を管理する各種のカウンタ値等を調整するもの
である。また、表示手段に表示するメッセージやデータ
の補正を行うようにしてもよい。
【0026】また、請求項4記載の発明の出力手段は、
請求項1乃至請求項3記載の発明の比較を行わず、予測
手段により予測された感光材料処理部の状態及び検出手
段により検出された感光材料処理部の実際の状態の少な
くとも一方を出力する。なお、この出力により、予測さ
れた状態及び実際の状態の少なくとも一方を表示手段に
表示したりホストコンピュータに送信したりすることが
できる。
【0027】さらに、請求項5記載の発明の双方向通信
手段は、予測された状態及び検出された実際の状態の少
なくとも一方をホストコンピュータに送信すると共にホ
ストコンピュータから対処内容に関するデータを受信す
る。なお、ホストコンピュータから対処内容に関するデ
ータを受信した場合には、受信した内容に基づいて対処
を実行するようにしてもよい。
【0028】以上説明したように、請求項1乃至請求項
5記載の発明では、少なくとも感光材料処理部により処
理された感光材料の単位時間当たりの処理量を用いて感
光材料処理部の状態を予測することから、感光材料処理
部の状態を精度よく予測することができる。また、予測
された感光材料処理部の状態と比較可能な感光材料処理
部の実際の状態を検出して、予測された状態と検出され
た実際の状態とを比較して検証することから、単に予測
した感光材料処理部の処理機の状態に基づいて対処する
場合と比較すると、対処する必要がないのに対処する等
の誤差動を防止でき、これにより、感光材料を適性に処
理することが可能となる。
【0029】ここで、上記各発明に係る感光材料処理装
置には、カラー現像液、黒白現像液、漂白液、調整液、
反転液、定着液、漂白定着液、安定液、リンス液等の各
種処理液を使用することができる。
【0030】カラー現像液としては、好ましくは芳香族
第一級アミン系発色現像主薬を主成分とするアルカリ性
水溶液である。この発色現像主薬としては、アミノフェ
ノール系化合物も有用であるが、p−フェニレンジアミ
ン系化合物が好ましく使用され、その代表例としては3
−メチル−4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン、4
−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニ
リン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−
ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−
N−エチル−N−β−メタンスルホンアミドエチルアニ
リン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−
メトキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N
−エチル−N−δ−ヒドロキシブチルアニリン及びこれ
らの硫酸塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩
が挙げられる。これらの化合物は目的に応じ2種類以上
併用することもできる。
【0031】カラー現像液は、アルカリ金属の炭酸塩、
ホウ酸塩もしくはリン酸塩のようなpH緩衡剤、臭化物
塩、沃化物塩、ベンズイミダゾール類、ベンゾチアゾー
ル類もしくはメルカプト化合物のような現像制御剤また
はカブリ防止剤などを含むのが一般的である。また必要
に応じて、ヒドロキシルアミン、N,N−ジ(スルホエ
チル)ヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミ
ン、亜硫酸塩、ヒドラジン類、フェニルセミカルバジド
類、トリエタノールアミン、カテコールジスルホン酸類
の如き各種保恒剤、エチレングリコール、ジエチレング
リコールのような有機溶剤、ベンジルアルコール、ポリ
エチレングリコール、四級アンモニウム塩、アミン類の
ような現像促進剤、色素形成カプラー、競争カプラー、
ナトリウムボロンハイドライドのようなカブラセ剤、1
−フェニル−3−ピラゾリドンのような補助現像主薬、
粘性付与剤、アミノポリカルボン酸、アミノポリホスホ
ン酸、アルキルホスホン酸、ホスホノカルボン酸に代表
されるような各種キレート剤、例えば、エチレンジアミ
ン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢
酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチル
イミノジ酢酸、カルボキシエチルイミノジ酢酸、1−ヒ
ドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸、ニトリロ
−N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジア
ミン−N,N,N´,N´−テトラメチレンホスホン
酸、エチレンジアミンージ(o−ヒドロキシフェニル酢
酸)及びそれらの塩を代表例として上げることができ
る。
【0032】これらのカラー現像液のpHは9〜12で
あるのが一般的である。また現像液への補充液の補充量
は、処理するカラー写真感光材料にもよるが、一般に感
光材料1平方メートル当たり1リットル以下であり、補
充液中の臭化物イオン濃度を低減させておくことにより
400ml以下にすることもできる。好ましくは30ml〜
300ml/m2 である。補充量を低減する場合には処理
槽の空気との接触面積を小さくすることによって現像液
の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。また現像
液中の臭化物イオンの蓄積を抑える手段を用いることに
より補充量を低減することもできる。
【0033】カラー現像後の写真乳剤層は通常漂白処理
される。漂白処理は定着処理と同時に行われてもよいし
(漂白定着処理)、個別に行われてもよい。更に処理の
迅速化を図るため、漂白処理後漂白定着処理する処理方
法でもよい。さらに二処理槽の連続した漂白定着浴で処
理すること、漂白定着処理の前に定着処理すること、ま
たは漂白定着処理後漂白処理することも目的に応じ任意
に実施できる。漂白剤としては、例えば鉄(III)、コバ
ルト(III)、クロム(VI)、銅(II)などの多価金属の化合
物、過酸類、キノン類、ニトロ化合物等が用いられる。
代表的漂白剤としてはフェリシアン化物:重クロム酸
塩:鉄(III)もしくはコバルト(III)の有機錯塩、例えば
エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢
酸、エチレンジアミンジコハク酸、シクロヘキサンジア
ミン四酢酸、メチルイミノ二酢酸、1,3−ジアミノプ
ロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、カ
ルボキシエチルイミノジ酢酸などのアミノポリカルボン
酸類もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの錯塩:
過硫酸塩:臭素酸塩:過マンガン酸塩:ニトロベンゼン
類などを用いることができる。これらのうちエチレンジ
アミン四酢酸鉄(III)錯酸を始めとするアミノポリカル
ボン酸鉄(III)錯塩及び過硫酸塩は迅速処理と環境汚染
防止の観点から好ましい。さらにアミノポリカルボン酸
鉄(III)錯塩は漂白液においても、漂白定着液において
も特に有用である。これらのアミノポリカルボン酸鉄(I
II)錯塩を用いた漂白液または漂白定着液のpHは通常
4.5〜8であるが、処理の迅速化のために、さらに低
いpHで処理することもできる。
【0034】漂白液、漂白定着液及びそれらの前浴に
は、必要に応じて漂白促進剤を使用することができる。
有用な漂白促進剤の具体例は、次の明細書に記載されて
いる:米国特許第3,893,858号、西独特許第
1,290,812号、特開昭53−95630号、リ
サーチ・ディスクロージャーNo.17129号(19
78年7月)などに記載のメルカプト基またはジスルフ
ィド結合を有する化合物;特開昭50−140129号
に記載のチアゾリジン誘導体;米国特許第3,706,
561号に記載のチオ尿素誘導体;特開昭58−162
35号に記載の沃化物塩;西独特許第2,748,43
0号に記載のポリオキシエチレン化合物類;特公昭45
−8836号記載のポリアミン化合物;臭化物イオン等
が使用できる。なかでもメルカプト基またはジスルフイ
ド基を有する化合物が促進効果が大きい観点で好まし
く、特に米国特許第3,893,858号、西独特許第
1,290,812号、特開昭53−95630号に記
載の化合物が好ましい。更に、米国特許第4,552,
834号に記載の化合物も好ましい。これらの漂白促進
剤は感材中に添加してもよい。撮影用のカラー感光材料
を漂白定着するときにこれらの漂白促進剤は特に有効で
ある。
【0035】定着剤としてはチオ硫酸塩、チオシアン酸
塩、チオエーテル系化合物、チオ尿素類、多量の沃化物
塩等をあげることができるが、チオ硫酸塩の使用が一般
的であり、特にチオ硫酸アンモニウムが最も広範に使用
できる。漂白定着液の保恒剤としては、亜硫酸塩や重亜
硫酸塩、ベンゼンスルフィン酸類あるいはカルボニル重
亜硫酸付加物が好ましい。
【0036】更に脱銀処理後、水洗及び/または安定工
程を経るのが一般的である。水洗工程での水洗水量は、
感光材料の特性(例えばカプラー等使用素材による)、
用途、更には水洗水温、水洗タンクの数(段数)、向
流、順流等の補充方式、その他種々の条件によって広範
囲に設定し得る。このうち、多段向流方式における水洗
タンク数と水量の関係は、Journal of the Society of
Motion Picture and Television Engineers 第64巻、
P248〜253(1955年5月号)に記載の方法
で、求めることができる。
【0037】前記文献に記載の多段向流方式によれば、
水洗水量を大幅に減少し得るが、タンク内における水の
滞留時間の増加により、バクテリアが繁殖し、生成した
浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じる。本発明
のカラー感光材料の処理において、このような問題の解
決策として、特開昭62−288838号に記載のカル
シウムイオン、マグネシウムイオンを低減させる方法を
極めて有効に用いることができる。また、特開昭57−
8542号に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベン
ダゾール類、塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩
素系殺菌剤、その他ベンゾトリアゾール等、堀口博著
「防菌防黴剤の化学」、衛生技術会編「微生物の滅菌、
殺菌、防黴技術」、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事
典」に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0038】本発明の感光材料の処理における水洗水の
pHは、4〜3であり、好ましくは5〜8である。水洗
水温、水洗時間も、感光材料の特性、用途等で種々設定
し得るが、一般には、15〜45℃で20秒〜10分、
好ましくは25〜40℃で30秒〜5分の範囲が選択さ
れる。更に、本発明の感光材料処理装置は、上記水洗に
代り、直接安定液によって処理することもできる。この
ような安定化処理においては、特開昭57−8543
号、特開昭58−14834号、特開昭60−2203
45号に記載の公知の方法は全て用いることができる。
【0039】この安定浴にも各種キレート剤や防黴剤を
加えることもできる。上記水洗及び/または安定液の補
充に伴うオーバーフロー液は脱銀工程等の他の工程にお
いて再利用することもできる。
【0040】次に本発明に用いることができる感光材料
について説明する。本発明は如何なる感光材料にも適用
することができるがカラーネガフィルム及びカラーペー
パに適用するのが好ましい。
【0041】本発明において適用されるハロゲン化銀乳
剤やその他の素材(添加剤など)および写真構成層(層
配置など)、並びにこの感材を処理するために適用され
る処理法や処理用添加剤としては、下記の特許公報、特
に欧州特許EPO,355,660A2号(特願平1−
107011号)に記載されているものが好ましく用い
られる。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、
沃臭化銀、沃塩化銀、沃塩臭化銀、塩臭化銀、臭化銀、
塩化銀等の各種ハロゲン組成の乳剤を用いることができ
る。とりわけ、カラーネガフィルムの場合には、沃臭化
銀乳剤を含有する層を有する事が好ましく、ヨード含量
が0.1〜10モル%程度含有する乳剤の使用が好まし
い。また、カラーペーパの場合には、90モル%以上が
塩化銀からなるハロゲン化銀粒子を含有する乳剤層を少
なくとも一層有することが好ましい。より好ましくは9
5〜99.9モル%以上、更に好ましくは98〜99.
9モル%以上が塩化銀からなる乳剤であり、全層が98
〜99.9モル%以上の塩化銀からなる塩臭化銀乳剤で
あることが特に好ましい。また、塗布銀量としては、特
に制限はないが、カラーネガフィルムの場合には2g〜
10g/m2 程度、カラーペーパの場合には0.2〜
0.9g/m2 程度含有する場合が好ましい。
【0048】また、本発明に用いられる感光材料には各
種カプラーを含有することができるが詳細は表2に記載
した通りである。
【0049】更に、シアンカプラーとして、特開平2−
33144号に記載のジフェニルイミダゾール系シアン
カプラーの他に、欧州特許EPO,333,185A2
号に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー
(なかでも具体例として列挙されたカプラー(42)の
4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したも
のや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開
昭64−32260号に記載された環状活性メチレン系
シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプ
ラー例3、8、34が特に好ましい)に使用も好まし
い。
【0050】また、本発明に係わる感光材料には、画像
のシャープネス等を向上させる目的で親水性コロイド層
に、欧州特許EPO,337,490A2号の第27〜
76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(なかでも
オキソノール系染料)を感光材料の680nmに於ける
光学反射濃度が0.70以上になるように添加したり、
支持体の耐水性樹脂層中に2〜4価のアルコール類(例
えばトリメチロールエタン)等で表面処理された酸化チ
タンを12重量%以上(より好ましくは14重量%以
上)含有させるのが好ましい。
【0051】また、本発明に係わるカラー写真感光材料
には、カプラーと共に欧州特許EPO,277,589
A2号に記載のような色像保存性改良化合物を使用する
のが好ましい。特にピラゾロアゾールカプラーとの併用
が好ましい。
【0052】即ち、発色現像処理後に残存する芳香族ア
ミン系現像主薬と化学結合して、化学的に不活性でかつ
実質的に無色の化合物を生成する化合物(F)および/
または発色現像処理後に残存する芳香族アミン系発色現
像主薬の酸化体と化学結合して、化学的に不活性でかつ
実質的に無色の化合物を生成する化合物(G)を同時ま
たは単独に用いることが、例えば処理後の保存における
膜中残存発色現像主薬ないしその酸化体とカプラーの反
応による発色色素生成によるステイン発生その他の副作
用を防止する上で好ましい。
【0053】また、本発明に係わる感光材料には、親水
性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や
細菌を防ぐために、特開昭63−271247号に記載
のような防黴剤を添加するのが好ましい。
【0054】本発明において、ハロゲン化銀カラー写真
感光材料の支持体を除いた乾燥膜厚が25μm以下であ
る場合が、キャリーオーバー量を少なくし、銀回収率を
高めるという意味で好ましい。とりわけ、カラーネガフ
ィルムの場合には13〜23μm程度、カーペーパの場
合には7〜12μm程度が好ましい。
【0055】これらの膜厚の低減はゼラチン量、銀量、
オイル量、カプラー量等を減少させることで達成できる
が、ゼラチン量の低減して達成するのが最も好ましい。
ここで、膜厚は、試料を25°C60RH%2週間放置
後、常法により測定することができる。
【0056】本発明に用いられるハロゲン化銀カラー写
真感光材料においては、写真層の膜潤度が、1.5〜
4.0であることが、ステインの改良や画像保存性の改
良の点で好ましい。特に、1.5〜3.0において、よ
り一層の効果を得ることができる。本発明の膨潤度と
は、カラー感光材料を33°Cの蒸留水に2分間浸潰し
た後の写真層の膜厚を乾いた写真層の膜厚で割った値を
言う。
【0057】また、ここで写真層とは、少なくとも1層
の感光性ハロゲン化銀乳剤層を含み、この層と相互に水
浸透性の関係にある積層された親水性コロイド郡層をい
う。支持体を隔てて写真感光層と反対側に設けられたバ
ック層は含まない。写真層は写真画像形成に関与する通
常は複数の層から形成され、ハロゲン化銀乳剤層の外に
中間層、フィルター層、ハレーション防止層、保護層な
どが含まれる。
【0058】上記の膨潤度に調整するためにはいかなる
方法を用いても良いが、例えば写真膜に使用するゼラチ
ンの量及び種類、硬膜剤の量及び種類、または写真層塗
布後の乾燥条件や経時条件を変えることにより調整する
ことができる。写真層にはゼラチンを用いるのが有利で
あるが、それ以上の親水性コロイドも用いることができ
る。たとえばゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子と
のグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋白
質、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース、セルローズ硫酸エステル類等の如きセルロー
ス誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体等の糖誘導
体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分
アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリ
ル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビ
ニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一ある
いは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用い
ることができる。
【0059】ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほ
か、酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチン加水分解
物、ゼラチン酵素分解物も用いることができる。ゼラチ
ン誘導体としては、ゼラチンにたとえば酸ハライド、酸
無水物、イソシアナート類、ブロモ酢酸、アルカンサル
トン類、ビニルスルホンアミド類、マレインイミド化合
物類、ポリアルキレンオキシド類、エポキシ化合物類等
種々の化合物を反応させて得られるものが用いられる。
【0060】前記ゼラチン・グラフトポリマーとして
は、ゼラチンにアクリル酸、メタアクリク酸、それらの
エステル、アミドなどの誘導体、アクリロニトリル、ス
チレンなどの如き、ビニル系モノマーの単一(ホモ)ま
たは共重合体をグラフトさせたものを用いることができ
る。ことに、ゼラチンとある程度相溶性のあるポリマー
たとえばアクリル酸、メタアクリル酸、アクリルアミ
ド、メタアクリルアミド、ヒドロキシアクキルメタアク
リレート等の重合体とのグラフトポリマーが好ましい。
これらの例は米国特許2,763,625号、同2,8
31,767号、同2,956,884号などに記載が
ある。代表的な合成親水性高分子物質はたとえば西独特
許出願(OLS)2,312,708号、米国特許3,
620,751号、同3,879,205号、特公昭4
3−7561号に記載されている。
【0061】硬膜剤としては、例えばクロム塩(クロム
明ばん、酢酸クロムなど)、アルデヒド類(ホルムアル
デヒド、グリオキサール、グリタールアルデヒドな
ど)、N−メチロール化合物(ジメチロール尿素、メチ
ロールジメチルヒダントインなど)、ジオキサン誘導体
(2,3−ジヒドロキシジオキサンなど)、活性ビニル
化合物(1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ
−s−トリアジン、ビス(ビニルスルホニル)メチルエ
ーテル、N,N’−メチレンビス−〔β−(ビニルスル
ホニル)プロピオンアミド〕など)、活性ハロゲン化合
物(2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−s−トリアジ
ンなど)、ムコハロゲン酸類(ムコクロル酸、ムコフェ
ノキシクロル酸など)、イソオキサゾール類、ジアルデ
ヒドでん粉、2−クロル−6−ヒドロキシトリアジニル
化ゼラチンなどを、単独または組合わせて用いることが
できる。
【0062】特に好ましい硬膜剤としては、アルデヒド
類、活性ビニル化合物及び活性ハロゲン化合物である。
【0063】また、本発明に係わる感光材料に用いられ
る支持体としては、デイスプレイ用に白色ポリエステル
系支持体または白色顔料を含む層がハロゲン化銀乳剤層
を有する側の支持体上に設けられた支持体を用いてもよ
い。更に鮮鋭性を改良するために、アンチハレーション
層を支持体のハロゲン化銀乳剤層塗布側または裏面に塗
設するのが好ましい。特に反射光でも透過光でもデイス
プレイが観賞できるように、支持体の透過濃度を0.3
5〜0.8の範囲に設定するのが好ましい。
【0064】本発明に係わる感光材料は可視光で露光さ
れても赤外光で露光されてもよい。露光方法としては低
照度露光でも高照度短時間露光でもよく、特に後者の場
合には一画素当りの露光時間が10-4秒より短いレーザ
ー走査露光方式が好ましい。
【0065】また、露光に際して、米国特許第4,880,72
6 号に記載のバンド・ストップフイルターを用いるのが
好ましい。これによって光混色が取り除かれ、色再現性
が著しく向上する。
【0066】本発明は各種感光材料、すなわち、カラー
ネガフルム、カラーネガペーパ、カラー反転ペーパ、オ
ートポジペーパ、カラー反転フィルム、映画用ネガフィ
ルム、映画用ポジフィルム、レントゲンフィルム、リス
フィルムなどの製版用フィルム、黒白ネガフィルム等を
挙げることができるが、とりわけ、カラーネガフィルム
やカラーネガペーパへの適用が好ましい。
【0067】
【実施例】
[第1実施例]以下、本発明の第1の実施例を図面を参
照して詳細に説明する。
【0068】図1に示すように、フィルムプロセッサ1
1は、ネガフィルムNを装填する装填部11N0を備え
ている。この装填部11N0は、図示しない蓋を開ける
ことにより露出され、撮影されて画像が露光されたネガ
フィルムNが装填され、装填されたネガフィルムNをプ
ロセッサ部11N内へ搬送する。プロセッサ部11Nに
は、発色現像処理槽11N1、漂白処理槽11N2、漂
白定着処理槽11N3、定着処理槽11N4、スーパー
リンス処理槽11N5、11N6、安定処理槽11N7
の各々の処理槽が順に配置されており、各処理槽内には
それぞれ順に発色現像処理液、漂白液、漂白定着液、定
着液、スーパーリンス液(水洗水)、安定液が貯留され
ている。また、各処理槽には上部ローラ及び下部ローラ
が設けられ、各処理槽間及び処理槽内の搬送経路を構成
しており、ネガフィルムNは、上部ローラ及び下部ロー
ラにより各処理槽を通過するように搬送されると共に各
処理液に浸漬されて処理される。
【0069】また、プロセッサ部11Nに隣接して乾燥
部11N8が配置されている。乾燥部11N8は、ネガ
フィルムNを鉛直方向に往復搬送してネガフィルムNを
乾燥する。そして、ネガフィルムNは、ネガフィルムN
の先端に接着されたリーダがフィルムリーダ集積部11
N9内の図示しないハンガーに掛けられ、後端部側が収
容ボックス22N内に収容される(図1破線参照)。
【0070】装填部11N0には、図2(b)にも示す
ように、赤外線放射部32Nと検出部34Nとから構成
されたフォトセンサが設けられている。図2(a)に示
すように、赤外線放射部32Nは複数(本実施例では6
個(なお、6個に限定されない。))の赤外線放射素子
32N1〜32N6をネガフィルムNの搬送方向Xと交
差する方向(ネガフィルムNの幅方向)に配置して構成
され、また、検出部34Nは赤外線放射素子32N1〜
32N6から放射された赤外線をそれぞれ検出する検出
素子34N1〜34N6をネガフィルムNの搬送方向X
と交差する方向に配置して構成されている。また、図2
(b)に示すように、赤外線放射部32Nと検出部34
Nとの間には、ネガフィルムNが通過可能な間隙が設け
られている。なお、装填部11N0の上部には液晶表示
装置で構成された表示パネル24、フィルムリーダ集積
部11N9内にはネガフィルムNに残留する銀量を検出
する赤外線センサユニット120がそれぞれ設けられて
いる。
【0071】上記処理槽11N1〜11N7は略同一の
構成であるため、発色現像処理槽11N1を説明し、他
の処理槽11N2〜11N7についてはその説明を省略
する。
【0072】発色現像処理槽11N1は、図3に示すよ
うに、発色現像処理液を貯留する処理タンク11M、処
理タンク11Mと連通されたサブタンク11MS、サブ
タンク11MS内に補充する補充液を貯留する補充タン
ク44M、及びサブタンク11MS内に補充する水を貯
留する水補充タンク45Mを備えている。
【0073】サブタンク11MSは、補充ノズル42及
び補充ポンプ44Nを介して、補充液が補充されるよう
に補充タンク44Mに接続されると共に、補充ルズル4
2及び補充ポンプ48Lを介して水が補充されるように
水補充タンク45Mに接続されている。
【0074】補充タンク44Mには、補充タンク44M
の補充液のレベルを検出する超音波レベル計46Nが設
けられている。水補充タンク45Mに接続された水供給
配管には補充ポンプ48Lを介して供給した水の量を検
出する水流量計48Nが設けられている。
【0075】また、サブタンク11MSには、サブタン
ク11MS内の発色現像処理液の温度を検出する温度セ
ンサ40N、発色現像処理液のpHを検出するpHセン
サ38N、発色現像処理液の比重を検出する比重計36
N、及び発色現像処理液のレベルを検出するレベル検出
器34が設けられている。なお、32は、不要な発色現
像処理液を廃液としてオーバーフローさせるための搬出
口である。この廃液は、図示しない廃液タンクに貯留さ
れる。
【0076】また、発色現像処理槽11N1には、処理
タンク11M及びサブタンク11MS内に貯留された発
色現像処理液を破線で示した方向に循環する循環装置3
0が設けられている。この循環装置30は、循環ポンプ
30N1、冷却ファン30N2、ヒーター30N3、循
環流量計51、フィルター取付棒30N5、及び循環フ
ィルター30N4から構成されている。この循環装置3
0により、発色現像処理液の温度が設定温度(ネガフィ
ルムNを適性に処理するための温度(例えば、38
〔℃〕))となるように温調制御(フィードバック制
御)をしている。
【0077】循環フィルター30N4から循環ポンプ3
0N1の入口までの配管には、コイル式の電気導電率計
50が設けられている。なお、複数の電極間に電圧を印
加して電気伝導度を測定する電気伝導度計を用いてもよ
い。
【0078】比重計36Nは、図4(a)、(b)に示
すように、計測部62と検出部68とによって構成さ
れ、検出部68には、超音波を発振する発振器64Hと
超音波を受信する受信器66Hとが対で設けられてい
る。発振器64H及び受信器66Hは処理液を介して対
向配置するように支持部材52に支持されている。検出
部68の発振器64Hは、例えば圧電セラミックス等の
圧電素子で構成され、測定部62の発振回路72から所
定の電圧が印加されることにより、所定の超音波を発振
する。また、受信器66は発振器64Hから発振された
超音波を受信した場合所定の信号を出力する。
【0079】計測部62は、発振器64Hに接続された
発振回路72、受信器66Hに接続された受信回路7
4、発振回路72と受信回路74とに接続された時間計
測回路76、及び時間計測回路76に接続された演算回
路78によって構成されている。この計測部62では、
発振回路72によって発振器64Hから超音波を発生さ
せ、受信器66Hが超音波を受信すると受信回路74か
ら受信信号が出力される。時間計測回路76は、発振器
64Hから発振した超音波が受信器66Hに受信される
までの時間を計測し、計測した時間を演算回路78へ出
力する。演算回路78では、予め記憶されている超音波
が支持部材52を伝搬するのに要する時間(発振器64
Hと受信器66Hとの間隔D1 から支持部材52の内径
2 を減算した距離だけ超音波が支持部材52中を伝搬
するのに要する時間)を、時間計測回路76から入力し
た時間から減算して、超音波が発色現像処理液中(距離
2)を伝搬するのに要する時間を求め、求めた時間及
び距離D2 から発色現像処理液を超音波が伝搬する伝搬
速度を算出し、伝搬速度に比例した出力値〔mV〕を制
御部26(図6参照)に出力する。
【0080】制御部26では、後述するネガフィルムN
の処理量に対応して定められた比重と出力値との関係を
示すマップ(図13参照)を選択し、選択したマップと
入力した伝搬速度に比例した出力値〔mV〕とに基づい
て比重を演算する。
【0081】赤外線センサユニット120は、図5に示
すように、赤外線放射ダイオード(以下、放射ダイオー
ドと称する。)12A、12B、12Cを備えている。
この放射ダイオード12A、12B、12Cには、ガリ
ウム砒素(GaAs)を用いた液相エピタキシャル型の
放射ダイオードを用いることができる。なお、放射ダイ
オードに代えて、炭酸ガス(CO2 )レーザ、一酸化炭
素(CO)レーザ等を用いることもできる。
【0082】この放射ダイオード12A、12B、12
Cから照射され、かつネガフィルムNを透過した赤外線
を受光可能な位置には、光起電力型光電変換素子として
のホトダイオード14A、14B、14Cが配置されて
いる。この光起電力型光電変換素子には、ホトダイオー
ドの他、ホトトランジスタを用いることができる。
【0083】放射ダイオード12A及びホトダイオード
14Aで構成されたセンサ124A、放射ダイオード1
2B及びホトダイオード14Bで構成されたセンサ12
4B、放射ダイオード12C及びホトダイオード14C
で構成されたセンサ124Cは、それぞれ遮光箱20
A、遮光箱20B、遮光箱20Cにより遮光されてい
る。
【0084】センサ124Aのカラーペーパ16P搬送
方向上流側、センサ124A及びセンサ124Bの間、
センサ124B及びセンサ124Cの間、及びセンサ1
24Cのカラーペーパ16P搬送方向下流側には、それ
ぞれ一対のローラからなる搬送ローラ対16A、16
B、16C、16Dが設けられ、カラーペーパ16P
が、放射ダイオード12A及びホトダイオード14Aと
間、放射ダイオード12B及びホトダイオード14Bと
間、放射ダイオード12C及びホトダイオード14Cと
間を通過するように構成されている。なお、センサ12
4A、センサ124B、及びセンサ124Cは、等しい
間隔で配置されている。
【0085】また、ホトダイオード14A、14B、1
4Cには、それぞれ、アンプ18A、18B、18Cが
接続されている。なお、このアンプ18A、18B、1
8Cは、それぞれ、抵抗、コンデンサ及びオペアンプか
ら構成されている。
【0086】この赤外線センサユニット120によれ
ば、残留する銀量によってネガフィルムNを透過した赤
外線の透過量が異なるため、アンプ出力から残留する銀
量を検出することができる。
【0087】制御部26は、図6に示すように、CPU
26N1、RAM26N2、ROM26N3、及びこれ
らを相互に接続するバスBを備えている。バスBには、
フィルムプロセッサ11の固有のデータファイルを記憶
したメモリ26N4、情報センサ群26N5、フィルム
プロセッサ11の運転状態等を各処理槽毎に記憶する記
憶装置26N6、検証センサ群26N7、及びネガフィ
ルムNの現像処理に必要な各種制御を行うプロセッサ部
26N8が接続されている。
【0088】なお、プロセッサ部26N8には、処理液
に補充液及び水を補充する補充部(各処理槽の補充ポン
プ44Nや補充ポンプ48L)、処理液を温調制御する
温調部(各処理槽の循環装置30)、固有のデーファイ
ルのデータやフィルムプロセッサ11の運転状態のデー
タ以外のデータを記憶する記憶部、及び処理液の状態等
を表示する表示部(表示パネル24)等がある。
【0089】また、バスBには、通信制御装置26N
9、双方向通信回線を介してホストコンピュータHO及
び次工程のプリンタプロセッサ10(後述する第2の実
施例)が接続されている。このホストコンピュータHO
には、フィルムプロセッサの異常現象及び原因等の大量
なデータを蓄積する蓄積データファイルHO1及び部品
の交換等の指示データをサービスマンに知らせるための
指示装置HO2が接続されている。なお、上記メモリ2
6N4及び記憶装置26N6の記憶容量を越えて、それ
ぞれの固有のデータファイル及び運転状態のデータの少
なくとも一方を記憶しなければならなくなった場合に備
えてこれらのデータを記憶するためのパソコンを接続し
てもよい。
【0090】固有データファイルには、処理機データフ
ァイル、補充系データファイル、スクイズ系データファ
イル、蒸発補正データファイル、処理感材データファイ
ル、処理液諸性能データファイル、処理液熱特性データ
ファイル、処理液空気酸化データファイル、部品故障デ
ータファイル及び仕上がり特性データファイルがある。
【0091】ここで、処理機データファイルには、フィ
ルムプロセッサのスクイズ性能に関するデータ、ネガフ
ィルムの搬送速度データ、処理液、補充液及び廃液を各
々貯留する各タンクの容量データ、及びフィルムプロセ
ッサのその他の設計データ等がある。
【0092】補充系データファイルには、各処理槽の補
充ポンプ44N、48Lの吐出量の個体差データ、補充
ポンプ吐出量の経時変化データ、ポンプ弁のリークに関
するデータ、吐出量校正誤差データ、補充タンクの揚程
差と吐出量とのデータ、及び補充制御の誤差データ等が
ある。
【0093】スクイズ系データファイルには、フィルム
の処理量とキャリーオーバー量とのデータ、スクイズロ
ーラの耐久性データ、及び搬送速度とキャリーオーバー
量とのデータ等がある。
【0094】蒸発補正データファイルには、環境条件
(環境温度、環境湿度)と蒸発量との関係データ及びフ
ィルムプロセッサの状態と蒸発量との関係データがあ
る。
【0095】処理感材データファイルには、フィルムの
種類とフィルムに含まれる銀量や主薬の化学当量のデー
タ、センシトメトリーやコンストのデータ及びネガフィ
ルムの乳剤の厚さのデータ等がある。
【0096】処理液諸性能データファイルには、処理液
の物理的・化学的性質データ、処理液の組成データ、及
び処理液の伝導度、比重、及びpHのデータ等がある。
【0097】処理液熱特性データファイルには、処理液
成分の活性化エネルギーと頻度因子のデータ及び熱劣化
の実験データ(温度、循環量、滞留時間)等ある。
【0098】処理液空気酸化データファイルには、処理
液の酸素及び二酸化炭素の反応性データ及びフィルムプ
ロセッサの各処理槽の開口面積データ等がある。
【0099】部品故障データファイルには、フィルムプ
ロセッサの異常現象と故障箇所との関係データ及び故障
状態継続時の状態変化のデータ等がある。
【0100】仕上がり特性データファイルには、フィル
ム種毎の仕上がり傾向のデータ及び画像濃度測定結果と
処理液状態との関係データ等がある。
【0101】なお、これらのデータファイルの各データ
を全て使用してもよいが、必ずしも各データの全てを必
要とするものではない。
【0102】情報センサ群26N5には、図1、図3に
示した、環境温度を検出する環境温度計54、環境湿度
を検出する環境湿度計56、処理液の温度を検出する温
度センサ、ネガフィルムNに残留する銀量を検出する赤
外線センサユニット120、ネガフィルムNに記録され
たバーコードやDXコード等を読取るコード読み取りセ
ンサ37、図2に示したフォトセンサ(赤外線放射ダイ
オード32N1〜32N6及び検出素子34N1〜34
N6)、タイマー、各処理槽に設けられている補充ポン
プの回転量を検出する図示しないポンプ回転センサ、各
処理液の循環量を測定する循環流量計51、各処理槽へ
の加水量を測定する補充流量計48N等がある。
【0103】なお、これら全ての情報センサを使用して
もよいが、必ずしも全ての情報センサを必要とするもの
ではなく、必要に応じて必要な処理槽へ必要な情報セン
サを取り付けるようにすればよい。
【0104】情報センサとしては富士写真フィルム社製
のミニラボ FP360B、PP720WR、及びPP
1252WRに搭載されているセンサを用いるのが、こ
れらのセンサは既に使用実績があり信頼性が高いので、
好ましい。
【0105】記憶装置26N6には、各運転状態の時
間、及び運転状態における環境温度、湿度、処理液温度
等の情報が記憶される。ここで、運転状態には、停止状
態、スタンバイ状態、ドライブ状態がある。スタンバイ
状態とは、フィルムプロセッサに電源が投入され、処理
液の温調制御が行われている状態で、ネガフィルムNが
処理されていない状態をいう。この状態では、各循環ポ
ンプが動作し、温調されているため、各処理液の温度が
高く熱劣化や空気酸化が進行し易い状態になってる。ド
ライブ状態は、スタンバイ状態に加えて、乾燥ヒーター
と乾燥ファンが動作し、ネガフィルムNが現像、定着、
水洗処理されている状態、及びこの状態に等しい状態で
ある。この状態では、各処理液は乾燥風の影響を受けて
蒸発し易い状態になっている。実際にネガフィルムNが
処理され、ネガフィルムNの処理量が所定値に到達する
とネガフィルムNの種類に応じた量の補充液が補充さ
れ、これにより、オーバーフローにより廃液が排出され
たり、ネガフィルムNの搬送により処理液のキャリーオ
ーバーが発生する。さらに、リンス液(水洗水)につい
ては処理性能の効率のためカスケード処理が行われる。
【0106】そして、停止状態は、運転休止日や夜間等
の状態で、温調が停止し、処理液温度が低下している状
態である。この状態では処理液は最も劣化しにくい状態
になっている。
【0107】また、記憶装置26N6には、ネガフィル
ムNの処理量、処理時間、処理履歴、ネガフィルムNの
露光量(画像濃度データによりフィードバックさせ
る)、ネガフィルムNの種類、補充液補充の動作履歴
(補充量、補充時間)等の情報が記憶されている。
【0108】なお、記憶装置26N6のデータは、各処
理槽毎に記憶されている。記憶装置26N6には、これ
らの情報の全てを記憶して使用してもよいが、これらの
情報全ての記憶または使用を必要とするものではない。
【0109】検証センサ群には、ネガフィルムNに残留
する銀量を検出する赤外線センサユニット、比重計、p
Hセンサ、電気伝導度計、超音波レベル計及び処理タン
クレベル計があるが、これらの全てのセンサを必要とす
るものではなく、また各処理槽全てについてこれらの検
証センサ群を必要とするものではない。
【0110】検証センサは前述した現行市販のミニラボ
FP360B等に備えられているセンサ以外に次のセン
サが特に有効である。すなわち、発色現像槽では比重
計、漂白槽及び漂白定着槽では比重計及びpHセンサ、
スーパーリンス処理槽では電気伝導度計、及び乾燥部で
はネガフィルムN搬送方向下流側に設けられる赤外線セ
ンサユニットである。
【0111】本実施例の上記フィルムプロセッサは、富
士写真フィルム社製フィルム処理機FP360B(商品
名)を改造して構成することが好ましい。すなわち、実
際の補充精度を精度よく検出できるように、補充液を貯
留する補充タンクの上部に、補充液のレベルを検出する
レベル計である超音波レベル計を装着し、超音波レベル
計の信号を制御基板に取り込むための基板改造を行い、
フィルム処理機FP360Bに各種センサ類を増設及び
追加して改造を行う。その他、本実施例が実施できるよ
うに改善したプログラムを記憶したメモリを設ける。な
お、処理液は、CN−16FAが使用できる。
【0112】フィルム処理機FP360Bの場合、処理
機自体に内蔵しているメモリの記憶容量が、本実施例で
必要とする固有のデータファイルのデータやフィルムプ
ロセッサの運転状態のデータを記憶するためには十分で
ないため、同機に装備されているミニラボ通信用の通信
端子(RS−232C)を使用して、パソコンに接続し
て不足する記憶容量や予測演算を代行するようにする。
【0113】上記で説明した実施例では、制御部26を
双方向通信回線で本部のホストコンピュータHOに接続
しているが、前述したパソコンを通信回線で本部のホス
トコンピュータHOに接続するようにしてもよい。本部
のホストコンピュータには、「FUJI FILM T
S network」(商品名)によって全国からの故
障情報データが、蓄積データファイルHO1に蓄積され
ている。
【0114】新規の機種では、パソコン部分の機能を処
理機本体に内蔵するのが好ましい。現在市販されている
処理機ではフィルム処理機FP360Bの例のようにパ
ソコンを接続するか、新たに制御、記憶補助基板を現行
の制御基板に追加する改造を行うことによって実施でき
る。
【0115】次に、本実施例の作用を説明する。フィル
ムプロセッサは、常に運転状態(ドライブ状態、スタン
バイ状態、停止状態)を監視して、記憶装置26N6
に、環境温度、環境湿度、及び処理液温度の各々のデー
タを各運転状態毎に時系列に記憶し、蒸発補正のために
各運転状態の時間を各運転状態毎に積算して記憶し、ま
た、ネガフィルムNに記録されたバーコードやDXコー
ド読み取りセンサ37によって読み取って、処理された
ネガフィルムNの種類を記憶する。
【0116】また、後述する処理量検出ルーチン(図1
0参照)によって、単位時間当たりのネガフィルムNの
処理量を計算すると共に所定期間内の総処理量を積算し
て、単位時間当たりのネガフィルムNの処理量、総処理
量、処理時間及び処理履歴を記憶装置26N6に記憶す
る。なお、単位時間当たりの処理量を記憶するのは、閑
散処理(単位時間当たりの処理量が許容範囲の下限値を
下回る場合)されたか、多量処理(単位時間当たりの処
理量が許容範囲の上限値を上回る場合)されたかを判別
するためである。そして、ネガフィルムNの処理量の積
算値が所定値、例えば、ネガフィルムNを10本処理し
た量に到達する毎に、ネガフィルムNの種類、処理量及
び各処理槽に応じて定まる量の補充液の補充を行う(ま
とめ補充)。そして、所定期間(例えば、1週間)毎
に、この期間の処理量に基づいて補充すべき理想補充量
を演算すると共に超音波レベル計46Nから取り込んだ
レベルからこの所定期間に実際に補充した実補充量を演
算し、理想補充量から実補充量を減算した差の理想補充
量に対する割合(補充精度)を演算して、補充精度、実
補充量及び補充時間を記憶装置26N6に記憶する。な
お、補充は、あらかじめ記憶されている補充ポンプの吐
出能力(単位時間当たりの吐出量)に応じて必要な動作
時間補充ポンプを動作させることにより行う。
【0117】前述したように本実施例では、次工程のプ
リンタープロセッサと双方向通信線で接続しているの
で、このプリンタープロセッサ10のネガキャリアにて
スキャナー(図21の符号14N3)で濃度測定を行っ
て、測定結果を受信して記憶装置26N6に記憶する。
これにより、ネガフィルムNに記録されたコマ濃度を記
憶することができる。
【0118】本実施例では、さらに、図7に示す処理液
の処理性能管理ルーチンを実行し、まず、ステップ10
2で、各処理液の濃度を予測する。すなわち、各処理槽
毎に処理液の濃度(活物質の濃度と量に関するマテリア
ルバランス)を、予め記憶装置26N6に記憶されたデ
ータと情報センサ群の検出値とによって計算を行って予
測する。なお、処理したネガフィルムNの画像の濃度を
検出できれば処理液の濃度を予測する必要がないが、フ
ィルム処理機FP360Bのように1日当たりのネガフ
ィルムNを処理した処理量が少ないと種々の原因で生ず
る異常を正確に特定するためのデータ量が少なく、処理
液の処理性能を正確に管理することが困難になる場合が
ある。そこで、最終的なネガフィルムNの写真特性に影
響の大きい要因(後述する処理液のpH、電気伝導度)
を予測して実際のpH、電気伝導度を比較するようにし
ている。従って、ステップ102ではpH、電気伝導度
を予測するための処理液の濃度を予測する。
【0119】処理液の濃度は、情報センサ群から得られ
るネガフィルムNの処理量、及び補充精度に基づいて、
個々の処理槽における活物質の収支を計算して求める。
すなわち、処理機の状態や処理の進行に伴って連続的に
変化する活物質の収支を実際の状態と平行してシミュレ
ーションして予測する。フィルムプロセッサ11が設置
された環境データ(温度及び湿度)を取込みながら、処
理液中の水分の蒸発や、処理液の劣化(酸化や二酸化炭
素の吸収によるpH変化)を予測する。予測のための演
算は、情報センサと必要なデータファイルの情報に基づ
いて、ミュレーションプログラムに組み込まれた実験式
を使って行う。なお、このシミュレーションプログラム
は、所定の処理量毎、例えば、ネガフィルムNを1本処
理する毎に実行される。
【0120】FP360Bの場合、各処理槽には図8に
示すような液の流入・流出がある。図8において、Rは
補充量、Jは蒸発量、Cはキャリーオーバ量(流出する
場合)またはキャリーイン量(流入する場合)、Vはタ
ンク容量、Wは廃液量、Kはカスケード量、RXは補充
液濃度、VXは処理液濃度を示し、数字1〜7は各々発
色現像処理槽11N1、漂白処理槽11N2、漂白定着
処理槽11N3、定着処理槽11N4、スーパーリンス
処理槽11N5、11N6、安定処理槽11N7を示し
ている。
【0121】溶液の濃度(%)は、(溶質の量/溶液の
量)×100で表され、発色現像処理槽11N1〜安定
処理槽11N7には、前処理槽からの液の流入、次処理
槽への流出等があるので、各処理液の濃度は、(処理槽
内の溶質の量+流入した溶質の量−流出した溶質の量)
/処理液の量で求めることができる。なお、オーバーフ
ローにより処理液の量は一定に保持されるので、標準状
態であれば(溶媒の蒸発を考慮しなければ)、処理液の
量は一定とみなすことができる。
【0122】例えば、発色現像液の濃度VX1は、次の
(1)式から得られる。なお、発色現像処理槽11N1
に流入する液は補充液であり、発色現像処理槽11N1
からから流出する処理液の量は漂白処理槽11N2への
キャリーオーバー量及び発色現像処理槽11N1からの
オーバーフロー量(廃液量)である。
【0123】
【数1】
【0124】但し、V1は発色現像処理槽11N1の処
理タンク11M及びサブタンク11MS内の発色現像処
理液の量、VX10 は発色現像液の前回(ネガフィルム
が1本処理される前)の濃度、R1は発色現像処理液へ
の補充量、RX1は補充液の濃度、W1は発色現像処理
槽11N1からの廃液量、C1は発色現像処理槽11N
1からのキャリーオーバー量である。
【0125】なお、他の処理液の濃度の液は流入・流出
を考慮して同様に求めることができるが、スーパーリン
ス処理槽のようにカスケードを行っている処理槽につい
ては、流入する溶質としてカスケードによる量を加味す
る必要がある。
【0126】上記(1)式はフィルムプロセッサが標準
条件で稼働している場合の処理液濃度であるが、各処理
液の処理槽内の滞留時間、熱劣化、酸化、及び二酸化炭
素の吸収等による各処理液の経時変化によって処理液濃
度が変化する。
【0127】例えば、1日にスタンバイ状態6時間、ド
ライブ状態3時間、停止状態15時間が設計時に想定し
た標準運転状態とすると、電源を9時間を越えて投入し
た場合は、処理液の劣化は標準条件より進行し、かつ蒸
発量は運転状態と設定環境状態によって変化するので、
処理液濃度が変化する。
【0128】また、適性に処理が行われて補充液が供給
されていれば、一定の蒸発があっても処理液濃度は大き
く変化せず、処理液は大きく濃縮されない。しかし、閑
散処理されると、補充される間隔が長くなり、蒸発によ
り処理液濃度が高くなる。特に、単位処理量当たりの補
充量の少ない処理槽(漂白定着処理槽)ほど濃縮率は高
くなる。
【0129】また、蒸発による影響以外にも処理液は、
ネガフィルムの処理に拘らず処理液が温調状態にある
と、熱劣化や空気酸化や炭酸ガス吸収の影響を受けるた
めに、処理液内の実質的な活物質の量は変化する。
【0130】さらに、ネガフィルムNの露光量(ネガフ
ィルムNの画像濃度に対応する)が多いと処理液の消耗
が多くなるので、処理液濃度が変化する。
【0131】このため、本実施例では、記憶装置26N
6に記憶されたフィルムプロセッサ11の運転状態、メ
モリ26N4に記憶された固有のデータファイル及び次
の(2)、(4)、(5)式を用いて、補正された処理
液濃度を求めている。なお、本実施例では次の(2)、
(4)、(5)式を全て用いて補正された処理液濃度を
求めているが、処理機の構成によって次の(2)、
(4)、(5)式のいずれかまたは全部を省略してもよ
い。
【0132】まず、環境温度、環境湿度、及び所定の環
境温度と環境湿度とに基づいて定まる蒸気圧のマップか
ら演算された蒸発量が標準状態と異なる場合、すなわ
ち、予め定められた標準環境条件(環境温度及び環境湿
度)よりも、例えば、高温高湿または低温低湿等の場合
には、次の(2)式で処理液の濃度を求める。
【0133】
【数2】
【0134】ここで、J1は、蒸発量であり、次式
(3)から得られる。
【0135】
【数3】
【0136】但し、TS はスタンバイ状態の時間〔h
r〕、Td はドライブ状態の時間〔hr〕、To は停止
状態の時間〔hr〕、bS はスタンバイ状態における蒸
発速度切片〔ml/hr〕、bd はドライブ状態におけ
る蒸発速度切片〔ml/hr〕、bo は停止状態におけ
る蒸発速度切片〔ml/hr〕、as はスタンバイ状態
における蒸発速度傾き〔ml/hr・mmHg〕、ad
はドライブ状態における蒸発速度傾き〔ml/hr・m
mHg〕、ao は停止状態における蒸発速度傾き〔ml
/hr・mmHg〕、Pは環境の温度、湿度マップから
得られる蒸気圧〔mmHg〕、αは定数である。なお、
蒸発速度は蒸気圧に応じて定まる。
【0137】なお、前述したように、フィルムプロセッ
サ11は、常時運転状態を監視して、各状態の時間をタ
イマーを用いて計算しており、bS 、bd 、bo
s 、a d 、ao 、P、αはデータとして記憶されてい
る。
【0138】なお、蒸発量J1は、加水制御に従って正
確に加水が行われれば、キャンセルされる(蒸発量J1
に相当する量だけ加水されるので、(2)式で得られた
VX1は式(1)で得られたVX1と同じになる。)。
しかし、加水量の計算、加水ポンプ系の異常、及び所定
時間経過する毎に所定量の水を補充するまとめ加水等が
あるとキャンセルされず、実際の濃度がずれる。この加
水制御には、蒸発濃縮補正システム(特開平4−175
6号、特開平5−181250号等)を利用することが
できる。
【0139】また、前述したように閑散処理の場合に
は、次の(4)式で濃度を求めることができる。なお、
1タンク当たりの処理液容量が多い処理機の場合には、
単位時間当たりの処理量の多少の変動があっても処理液
の処理性能が変化することはなく、平均的に処理されれ
ば問題はないが、前述したフィルム処理機FP360B
のように小型処理器においては、1タンク当たりの処理
液容量が極めて少なく、単位時間当たりの処理量も少な
いため、僅かでも処理量が許容範囲外となると処理液の
処理性能が変化し、写真特性に悪影響を及ぼす。よっ
て、次の(4)式で濃度を求めることが重要となる。
【0140】
【数4】
【0141】但し、AK1、AK1m 、AK1n は、処
理液酸化反応速度であり、それぞれ停止状態、スタンバ
イ状態、ドライブ状態のときの処理液の温度T1l 、T
m、T1n 及び蒸気圧Pに応じて定まる値(AK1=
f(T1l ,P)、AK1m=f(T1m ,P)、AK
n =f(T1n ,p))である。
【0142】また、AK2、AK2m 、AK2n は、処
理液劣化反応速度であり、それぞれ停止状態、スタンバ
イ状態、ドライブ状態のときの処理液の温度T1l 、T
m、T1n に応じて定まる値(AK2=f(T
l )、AK2m =f(T1m )、AK2n =f(T1
n ))である。
【0143】さらに、ネガフィルムNの露光量に偏りが
あった場合、すなわち、暴光部または素抜け部分が多い
ネガフィルムNを多量に処理した場合に、上記(1)、
(2)(4)式のいずれかで得られた濃度を次式(5)
の右辺のVX1に代入して、濃度の補正を行う。
【0144】
【数5】VX=VX1・Q・・・(5) 但し、Qは、標準条件で設定したネガフィルムNの露光
量と実際に検出したネガフィルムNの露光量との比率に
関係する値であり、VXは補正後の濃度ある。
【0145】このようにして、処理液の濃度を、運転状
態、環境状態、補充量、及びネガフィルムNの露光量を
考慮して予測する。なお、上述したように、補充量は単
位時間当たりの処理量に基づいて定まる。
【0146】なお、その他にも、処理機に応じて、イン
ライン銀回収装置を装備しているものは、その銀回収に
よる処理液状態の変化を考慮した処理液濃度の演算式
や、リンス液再生装置(RO(逆浸透膜処理)、蒸留処
理、イオン交換膜処理、活性炭処理等)を装備している
処理機では、そのリンス液再生装置による処理液状態変
化を考慮した処理液濃度の演算式が必要になる。
【0147】予測した処理液濃度と検証センサで検出さ
れた値とを直接比較できないので、次のステップ104
では予め定められた実験式を用いて処理液濃度を変換す
ることにより、検証センサで検出された値と直接比較可
能な比重を予測する。
【0148】この実験式について説明すると、フィルム
処理機FP360Bの発色現像処理槽11N1における
ランニング液の比重の管理幅は、表6に示すように、
1.043±0.003である。この管理幅は、過去の
実験から、処理液濃度に換算すると、約7%(±0.0
7)の濃縮率に相当する。
【0149】
【表6】
【0150】濃縮率は次式で与えられ、 濃縮率(%)=((測定比重値−照準比重値)/(1−
標準比重値))×100 この濃縮率が現像液においては、標準濃度に対して±
0.1の範囲以外の場合には異常があると判断すること
ができる。そして、標準濃度を1としたとき、濃度1.
1は比重に換算すると、約1.047(1.043+
0.004)であることが予測できる。すなわち、上記
表6において、発色現像処理液の比重値1.047は、
規格外となっていることでも分かる。
【0151】同様に、漂白処理槽11N2におけるラン
ニング液の比重の管理幅は、表6に示すように、1.1
40±0.020である。この管理幅は、過去の実験か
ら、濃度に換算すると約15%(0.15)の濃縮率に
相当する。
【0152】また、漂白定着処理槽11N3におけるラ
ンニング液の比重の管理幅は、表6に示すように、1.
120±0.020であり、この管理幅は過去の実験か
ら、濃度に換算すると約17%(0.17)の濃縮率に
相当する。
【0153】他の処理槽のランニング液についても上記
と同様である。このように、処理液濃度と比重との間に
は一義的な関係があり、この関係はネガフィルムNの種
類によって、すなわちネガフィルムNから溶出する活物
質の影響等によって多少変化するが、比重の管理幅を考
慮して経験的に求めた実験式を用いることによって処理
液濃度を比重に変換して、処理液濃度から比重を予測す
ることができる。
【0154】ステップ106では、スーパーリンス処理
槽11N5、11N6、及び安定処理槽11N7の各処
理液の濃度を電気伝導度に変換することにより、処理液
の濃度から電気伝導度を予測する。すなわち、図9に示
すように、処理液の濃度と電気伝導度との関係を示す検
量線を事前に求めてデータファイルに記憶しておき、ス
テップ102において予測した各処理液の濃度とこの検
量線とに基づいて、予測した処理液の濃度に対応する電
気伝導度を予測する。なお、図9に示した検量線は、リ
ンス液の濃度と電気伝導度との関係を示すものである
が、安定液の濃度と電気伝導度との関係を示す検量線も
同様に事前に求めてデータファイルに記憶してあり、こ
の検量線から安定液の電気伝導度も予測する。
【0155】ステップ108では、各処理槽に設置され
た比重計34を用いて実際の比重を検出する。なお、こ
の比重を検出する比重検出ルーチンは後述する。
【0156】ステップ110では、スーパーリンス処理
槽11N5、11N6、及び安定処理槽11N7に設置
された電気伝導度計52から処理液の電気伝導度を検出
する。なお、リンス液及び安定液においては、比較的濃
度の高い液程電気伝導度を精度よく検出することができ
る。
【0157】次に、上記ステップ102で使用するネガ
フィルムの処理量を検出する処理量検出ルーチンを図1
0を参照して説明する。
【0158】前述したように、装填部11N0に装填さ
れたネガフィルムNはプロセッサ部11N内に搬送され
る。この際、ネガフィルムNは、赤外線放射部32Nと
検出部34Nとの間を通過する(図2(b)参照)。一
方、赤外線放射素子32N1〜32N6は常時赤外線を
放射しているため、ネガフィルムNが赤外線放射部32
Nと検出部34Nとの間を通過すると、ネガフィルムN
によって赤外線が遮断される。
【0159】赤外線放射素子32N1〜32N6のいず
れかからの赤外線が遮断されると検出素子34N1〜3
4N6から遮断信号が制御部60に入力される。検出素
子34N1〜34N6のいずれかからこの遮断信号が入
力された場合には、ステップ128の判断が肯定され、
すなわち、ネガフィルムNの先端が通過したと判断さ
れ、ステップ130で計時を開始し、ステップ132
で、遮断信号を出力した検出素子の個数からネガフィル
ムNの幅を検出する。すなわち、赤外線放射素子32N
1〜32N6及び検出素子34N1〜34N6は、ネガ
フィルムNの搬送方向Xと交差する方向に配置されてい
るので、ネガフィルムNが赤外線放射部32Nと検出部
34Nとの間を通過すると、ネガフィルムNの幅に対応
する検出素子34N2〜34N5から遮断信号が出力さ
れ、遮断信号を出力した検出素子の個数からネガフィル
ムNの幅を検出することができる。
【0160】次のステップ134で、ネガフィルムNに
よる赤外線の遮断が解除されたか否かを判断することに
より、ネガフィルムNの後端が通過したか否かを判断す
る。ネガフィルムNの後端の通過が検出されるとステッ
プ134の判断が肯定され、ステップ136で、計時を
終了する。以上によりネガフィルムNが赤外線放射部3
2Nと検出部34Nとの間を通過するのに要した時間が
計時される。
【0161】次のステップ138では、ネガフィルムN
の処理量として、連続して処理したネガフィルムNの総
面積を演算する。すなわち、ネガフィルムNの搬送速度
は予め決定されているので、この搬送速度と計時された
時間とからネガフィルムNの長さが検出でき、この長さ
とステップ132で検出したネガフィルムNの幅とから
ネガフィルムNの総面積を演算することができる。
【0162】このように、ネガフィルムNを処理する毎
に、処理したネガフィルムNの総面積(処理量)を積算
して、1日、1週間、1ヶ月及び処理液がフレッシュ状
態(ネガフィルムNを処理していない状態)からのネガ
フィルムNの各処理量を日付データ(年、月、日)と共
に時系列で記憶する。
【0163】次に、上記ステップ108の比重検出処理
の詳細について図14を参照して説明する。
【0164】まず、本実施例における比重検出の原理を
説明する。例えば、苛性ソーダ(NaOH)のように溶
液の組成が1成分のときの密度は、溶液中の超音波の伝
搬速度が検出できれば決定できる。すなわち、溶液中の
超音波の伝搬速度をV、この溶液の体積弾性率をEとす
ると、溶液の密度ρは、次式(6)から得られる。
【0165】
【数6】ρ=E/V2 ・・・(6) 溶液の密度が求まれば、この密度から溶液の比重も求め
ることができる。
【0166】しかしながら、前述したように処理液は多
成分で構成されているので、薬品成分の種類及びその成
分比率によって処理液の体積弾性率Eが変化するため、
処理液中の超音波の伝搬速度及び処理液を検出しても、
正確にその比重を求めることができない。
【0167】一方、本発明者等は、同一タイプの複数
(なお、説明の便宜上3台を例にして説明する)のフィ
ルムプロセッサの処理液をサンプリングし、それぞれの
処理液を水で希釈しながら、そのときの処理液中を伝搬
する超音波の伝搬速度を測定し、同時に基準となる比重
計で比重の測定を行った。その結果を図11及び図12
に示す。なお、図11は、それぞれのフィルムプロセッ
サの漂白液中を伝搬する超音波の伝搬速度に比例する出
力値〔mV〕と測定された比重との関係を示し、図12
は、それぞれのフィルムプロセッサの定着液中を伝搬す
る超音波の伝搬速度に比例する出力値〔mV〕と測定さ
れた比重との関係を示す。これらの図から理解されるよ
うに、処理機が異なれば、同一の伝搬速度であっても比
重が異なっている。なお、これらの比重は、浮子式や振
り子式等の比重計を用いて求めた。
【0168】このように同一の伝搬速度であっても処理
機が異なれば比重が異なるのは、それぞれのフィルムプ
ロセッサにより処理したネガフィルムNの処理量が異な
るからである、と考えられる。なぜなら、ネガフィルム
Nを処理液で処理すればネガフィルムNから処理液に所
定成分が溶出し、溶出量も処理量が多ければ多い程多く
なり、これに従って処理液の組成が変化するからであ
る。すなわち、処理液の組成の変化量は処理量に応じて
定まる。逆に、同じ比重でも、処理量が異なると、溶液
の組成に違いが生じ、これにより超音波の伝搬速度が異
なってくる。
【0169】そこで、多数のフィルムプロセッサの処理
液中を伝搬する超音波の伝搬速度と測定された比重との
関係をネガフィルムNの処理量と共に処理液を水で希釈
しながら調査してみると、図13に示す関係が得られ
た。すなわち、図13(a)には、漂白液がフレッシュ
の状態(未だネガフィルムNを処理していない状態)の
ときの伝搬速度と測定された比重との関係が示されてい
る。図13(b)には、ネガフィルムNの処理量がある
処理量Kのときの漂白液中を超音波が伝搬する伝搬速度
と測定された比重との関係が示されている。図13
(c)には、定着液がフレッシュの状態のときの伝搬速
度と測定された比重との関係が示されている。図13
(d)は、ネガフィルムNの処理量がある処理量Kのと
きの定着液中を超音波が伝搬する伝搬速度と測定された
比重との関係が示されている。なお、この処理液は、富
士フィルム社製のカラーネガフィルム用の処理液『CN
−16X』(商品名)を用いた。
【0170】以上説明したように、同一のタイプのフィ
ルムプロセッサの処理液でもネガフィルムNの処理量が
異なると伝搬速度と処理液の比重との関係が異なるが、
処理量が同一の場合には伝搬速度と比重との関係は同一
となる。
【0171】そこで、本実施例では、処理液中の超音波
の伝搬速度と比重との関係を処理量の所定範囲毎にマッ
プ(図13と同様のマップ)として記憶するようにして
いる。なお、図13では、各処理液についてフレッシュ
の状態のときの関係と処理量がKのときの関係とを示し
たが、処理量が0〜Kの間に定められた複数の処理量に
ついて各々マップが定められている。また、この伝搬速
度と比重との関係は、処理量が多くなるに従って伝搬速
度と比重との関係を示す直線の傾きが大きくなる傾向に
ある。
【0172】なお、処理液中の超音波の伝搬速度と比重
との関係を示したマップを記憶せず、同様のデータテー
ブルを記憶するようにしてもよく、また、処理量に応じ
た処理液中の超音波の伝搬速度と比重との関係を示す演
算式を記憶するようにしてもよい。なお、更に温度に応
じたマップ等を記憶するようにしてもよい。すなわち、
前述したように本実施例では、処理液の温度を設定温度
に制御するものであるが、処理液の設定温度を複数用意
し、所定条件のときに設定温度を選択し、処理液の温度
を選択した設定温度となるように制御する場合には、こ
の温度に応じた処理液中の超音波の伝搬速度と比重との
関係を示したマップ(処理量の所定範囲毎のマップ)を
記憶するようにする。これにより、比重の温度補正が行
われる。
【0173】図14のステップ142で、フレッシュ状
態からのネガフィルムNの総処理量を取込み、ステップ
144で、取り込んだ総処理量に応じたマップ(図13
と同様のマップ)を選択する。
【0174】ステップ146では、上記のように超音波
が発色現像処理液中(距離D2 )を伝搬するのに要する
時間及び距離D2 から演算された発色現像処理液中を超
音波が伝搬する伝搬速度に比例する出力値〔mV〕を取
込み、ステップ148で、選択したマップに基づいて出
力値〔mV〕から比重を演算し、演算した比重を日付デ
ータと共に記憶する。
【0175】上記のように比重及び電気伝導度の予測値
と検出値とを求めた後、ステップ112では、予測した
比重と実際の比重、予測した電気伝導度と実際の電気伝
導度を各々比較し、ステップ114で実際の状態が予め
定められた管理幅(予測値を含むように予め設定された
所定範囲)から大きく相違しているか否かを判断する。
この管理幅は、予測値と検出値との差を用いて定めるよ
うにしてもよい。なお、前述したように、本実施例で
は、運転状態、環境状態、補充量、及びネガフィルムN
の露光量等を考慮することにより正確に処理液の濃度を
予測して、予測した処理液の濃度から変換した比重及び
電気伝導度を正確に求めるようにして、実際に測定した
比重及び電気伝導度との比較精度を向上させている。
【0176】上記のFP360Bの例では、発色現像処
理槽11Nの実際の比重が1.046程度、漂白処理槽
11N2の実際の比重が1.160程度、漂白定着処理
槽11N3の実際の比重が1.140程度であれば、各
々予測結果と一致する。このような場合には、正常な状
態であるので、ステップ114の判断が否定され、この
ルーチンを終了する。
【0177】一方、実際の状態が予め定められた管理幅
よりも大きく相違していれば、例えば、スーパーリンス
処理槽11N6のスーパーリンス処理液(水洗水)の電
気伝導度が標準条件から定まる値(例えば、2.5〔m
S/cm〕)より大きければ、実際に異常な状態(標準
条件でない)が生じているので、ステップ114の判断
が肯定され、ステップ116で原因を解析して特定す
る。
【0178】すなわち、予測した比重、予測した電気伝
導度、実際の比重及び実際の電気伝導度の4つの関係を
解析し、予測した比重と電気伝導度の基になった物質濃
度の関係を各種のデータベースを検索して比較結果に差
を生じた原因を解析する。なお、必要に応じてプリンタ
プロセッサからのネガフィルムNの露光量のデータを受
信し、記憶装置26N6に記憶した実際の画像濃度から
画像濃度の変化傾向を参照して判断してもよい。
【0179】以下、原因解析の例を説明する。漂白処理
槽で予測した比重と実際の比重とに差がなく、スーパー
リンス処理槽で予測した電気伝導度と実際の電気伝導度
とのみに大きな差を生じた場合は、スクイズ系データフ
ァイルや補充系データファイル、部品故障系データファ
イルを検索し、スクイズ系の部品故障、スーパーリンス
処理槽の補充ポンプの不良が発生したか否かを判断す
る。
【0180】例えば、スーパーリンス処理槽のリンス液
の電気伝導度の実測値が予測値より上昇している場合
は、補充液の補充不足、閑散処理によりリンス液が濃縮
して電気伝導度が上昇した、または定着処理槽からスー
パーリンス処理槽へのキャリーイン量が過多となって電
気伝導度が上昇したと予測できる。
【0181】補充不足が生じているか否かは、前述した
ように記憶装置26N6に記憶された補充精度が、例え
ば、+5%を越えているか否かを判断することにより判
断することができる。
【0182】閑散処理が生じているか否かは、記憶装置
26N6に記憶された単位時間当たりの処理量が、許容
範囲の下限値を下回ったか否かを判断することにより判
断できる。
【0183】キャリーイン量の過多現象が生じているか
否は、スーパーリンス処理槽に設けられている比重計、
pHセンサで検出されたリンス液の比重、pH、または
比重及びpHの両方に基づいて判断することにより判断
することができ、また、リンス液のレベルを検出するレ
ベル検出器の検出値、電気伝導度計で検出した電気伝導
度から判断できる。
【0184】ここで、補充液の補充不足及び閑散処理が
検証されなければ、キャリーイン量過多とし、スクイズ
ラックが異常であるとしてもよい。また、閑散処理の現
象及びキャリーイン量の過多現象が生じておらず、補充
不足の現象が生じていると判断された場合には、未露光
部の画像濃度(イエローの最小濃度BLDmin)に上
昇傾向があるか否かを記憶装置26N6に記憶されたフ
ィルムプロセッサ11の固有のデータファイル内のデー
タを検索して原因を解析する。
【0185】そして、未露光部画像濃度(BLDmi
n)に上昇傾向があると判断した場合は、この現象は現
像処理槽11N1の補充量過多の現象によっても生じる
ので、発色現像処理液の比重を検証して、発色現像処理
槽の異常に起因しているかどうかの判定を行う。発色現
像処理液の異常がなければ、画像濃度の上昇傾向は、ス
ーパーリンス処理槽の異常に原因があると特定される。
【0186】逆に、スーパーリンス処理槽の電気伝導度
が予測演算結果より低下している場合には、補充過多及
び閑散処理による硫化沈殿の少なくとも1つの現象が生
じていると予測できる。この現象を前記と同様に検証す
る。
【0187】また、漂白処理槽の比重が予測演算結果よ
り低下している場合には、漂白処理槽への補充不足及び
発色現像液のキャリーイン量過多の少なくとも1つの現
象が生じていると予測できる。漂白処理槽への発色現像
液のキャリーイン量の過多はネガフィルムNの脱銀不良
を生ずるようになるため、ネガフィルムNに残留する銀
量を検出する赤外線センサユニット120におけるデー
タ(残留銀量)を検出し、検証することができる。な
お、残留銀量を検出するルーチンは後述する。
【0188】逆に、漂白処理槽の比重が予測演算結果よ
り上昇している場合には、漂白処理槽への補充過多及び
閑散処理の少なくとも1つの現象が生じていると予測で
きる。
【0189】閑散処理は上記同様に検証でき、補充過多
の現象が生じているか否かは、前述したように記憶装置
26N6に記憶された補充精度が、例えば、−5%を下
回っているか否かを判断することにより行うことができ
る。
【0190】また、他の処理槽についても、予測した比
重及び電気伝導度と実際の比重及び電気伝導度の4つの
関係から予測される現象を検証する。
【0191】これらの検証の結果、原因が判明した場合
には、ステップ120で、フィルムプロセッサに対して
直接対処するか否かを判断する。直接対処しない場合や
原因が判明できなかった場合には、ステップ122で、
通信回線を使用して本部のホストコンピュータHOに処
理機の状態と推定故障原因を通信して本ルーチンを終了
する。
【0192】一方、ステップ120の判断が肯定された
場合には、ステップ124で、直接対処して、本ルーチ
ンを終了する。直接対処する場合としては、例えば、ス
ーパーリンス処理槽の補充ポンプの不良、例えば、吐出
量低下(弁のリークなどによる能力低下)が原因と推定
できた場合には、補充ポンプ44Nを制御する吐出量校
正データを自動的に校正する。なお、直接対処する場合
には、吐出量校正データの自動校正と通信の連絡との両
方を行うようにしてもよい。この場合、通信を受けたホ
ストコンピュータHOは、アフターパーツとしてスーパ
ーリンス処理槽11N6の補充ポンプが必要になること
をサービスマンに指示する。また、補充ポンプの交換が
できるまで、ホストコンピュータHOから受信した仮の
吐出量校正データを使用して補充してもよい。制御部2
6は、その後もシュミレーション動作を継続し、予測し
検証を続けるため、この対処方法が正しかったかどうか
を自身で確認することができる。確認の結果、予測した
状態と実際に検出した状態が改善していない場合は、再
度、通信手段で予測した状態と実際の状態をホストコン
ピュータHOに送信する。
【0193】一方、ホストコンピュータはこのデータに
基づいて、これまで蓄積された全国のデータやインプッ
トされたサービスマンの知見や設計データを検索して原
因の解析を行う。この結果をホストコンピュータはサー
ビスマンに指示するとともに、必要があれば、フィルム
プロセッサに通信で必要なデータや対処方法を送信し改
善できるようにしている。なお、前述した例では、リン
ス液の異常であるためスーパーリンス処理槽の補充ポン
プデータの補正をフィルムプロセッサ自体が行ったが、
例えば、現像処理槽が異常のケースで、かつ少ない情報
のために判断できない場合や誤った対処方法になる可能
性がある時は、その旨をホストコンピュータに送信する
他、表示パネル24に異常表示や送信したことの表示の
みにするようにしてもよく、ホストコンピュータにてデ
ータを検索してフィードバックしてもよい。ホストコン
ピュータにはTS networkの最適対処検索シス
テムがあり、故障や不良状態等、症状を入力すると、全
国の同種処理機の故障や不良箇所の最多順位を検索でき
るようになっている(FUJI FILM TSnet
work 機器販売店向け取扱説明書第四版記載)。
【0194】次に、ネガフィルムNに残留する銀量を検
出するルーチンを図15を参照して説明する。
【0195】ここで、放射ダイオード12A、12B、
12Cから放射される赤外線について説明する。放射ダ
イオード12A、12B、12Cから放射される赤外線
は、放射されるエネルギーのスペクトル分布が略同一で
放射エネルギーが各々異なっている。すなわち、各放射
ダイオードのスペクトル分布は、図16に示すように、
ピークの部分が0.95〔μm〕となっている。また、
赤外線の放射エネルギー(以下、放射量という)は、図
18に示すように、放射ダイオード12Aは放射量W1
であり、放射ダイオード12Bは放射量W2(W1より
小さな値)であり、放射ダイオード12Cは放射量W3
(W2より小さな値)である。
【0196】この放射量W1は、各処理液で処理された
ネガフィルムNに残留する銀量が10〔μg/cm2
より多くてもこのネガフィルムNを透過する量であり、
放射量W2は、各処理液で処理されたネガフィルムNに
残留する銀量が10〔μg/cm2 〕以下の場合にこの
ネガフィルムNを透過する量であり、放射量W3は、各
処理液で処理されたネガフィルムNに残留する銀量が5
〔μg/cm2 〕以下の場合にこのネガフィルムNを透
過する量である。
【0197】なお、各処理液で処理されたネガフィルム
Nに残留する銀量が10〔μg/cm2 〕より多い場合
には、処理液の脱銀性能が不良と判断することができ
る。また、各処理液で処理されたネガフィルムNに残留
する銀量が5〔μg/cm2 〕以下の場合には、処理液
の脱銀性能が良好と判断することができる。そして、各
処理液で処理されたネガフィルムNに残留する銀量が5
〔μg/cm2 〕より多く、かつ、10〔μg/c
2 〕より小さい場合には、処理液の脱銀性能がやや不
良と判断することができる。
【0198】ホトダイオード14A、14B、14Cの
分光感度特性は、図17に示すように、0.85〔μ
m〕がピークとなっている。
【0199】前述したようにプロセッサ部11N内に搬
送されたネガフィルムNは、上部ローラ及び下部ローラ
によって、各処理槽11N1〜11N8を順に通過し
て、各処理液に浸漬されて処理される。各処理液で処理
されたネガフィルムNは乾燥部11N8で乾燥され、常
時放射ダイオード12Aから赤外線を放射している赤外
線センサーユニット120Vに到達する。
【0200】従って、ネガフィルムNの先端部が放射ダ
イオード12Aとホトダイオード14Aとの間を通過す
ると、放射ダイオード12Aから放射された赤外線がネ
ガフィルムNの先端部で反射され、ホトダイオード14
Aで受光されて赤外線の検出量が変化する。
【0201】検出量が変化したことを検知すると、この
銀量検出ルーチンがスタートし、ステップ252で、所
定時間経過したか否かを判断する。この所定時間は、ネ
ガフィルムNの先端部が放射ダイオード12Bとホトダ
イオード14Bとの間に到達する時間に相当する。この
所定時間経過した場合には、先端部が、放射ダイオード
12Bから放射された赤外線が照射可能な領域に到達し
たことになるので、ステップ254で、放射ダイオード
12Bから赤外線を照射させる。
【0202】ステップ256で、検出信号Bを入力した
か否かを判断する。すなわち、処理液の脱銀性能がやや
不良または良好の場合には、放射ダイオード12Bから
放射された赤外線はネガフィルムNの先端部で反射さ
れ、ホトダイオード14Bによって検出される。この場
合には、ホトダイオード14Bから信号が出力され、ア
ンプ18Bによって増幅され検出信号Bとして入力され
る。従って、ステップ256の判断が肯定され、ステッ
プ260に進む。
【0203】一方、処理液の脱銀性能が不良の場合に
は、放射ダイオード12Bから放射された赤外線のネガ
フィルムNを透過した透過量は少なくなる。従って、ホ
トダイオード14Bの放射ダイオード12Bから放射さ
れた赤外線の検出量が極めて小さくなり、検出信号Bも
出力されないことになる。
【0204】従って、この場合には、ステップ256の
判断が否定され、ステップ258で、検出信号Bを入力
しなかったこと記憶してステップ260に進む。
【0205】ステップ260で、所定時間が経過したか
否かを判断してネガフィルムNの先端部が放射ダイオー
ド12Cとホトダイオード14Cとの間に到達したか否
かを判断する。この所定時間が経過した場合には、先端
部が、放射ダイオード12Cから放射された赤外線が照
射可能な領域に到達したことになるので、ステップ26
2で、放射ダイオード12Cから赤外線を放射する。
【0206】処理液の脱銀性能が良好な場合には、放射
ダイオード12Cから放射された赤外線は、略ホトダイ
オード14Cにより検出されるので、ホトダイオード1
4Cから検出信号Cが出力されて、ステップ264の判
断が肯定され、ステップ268に進む。
【0207】一方、処理液の脱銀性能が良好でない場合
には、放射ダイオード12Cから放射された赤外線のネ
ガフィルムNを透過した透過量は少なくなり、ホトダイ
オード14Cから検出信号Cが出力されないので、ステ
ップ264のの判断が否定され、ステップ266で、検
出信号Cを入力していないことを記憶して、ステップ2
68に進む。
【0208】ステップ268では、図19に示すよう
に、検出信号Bと検出信号Cの入力の有無の組合せに対
応して残留銀量を記憶したマップに基づいて残留銀量を
推定する。検出信号B及び検出信号Cが入力した場合に
は、ネガフィルムに残留するハロゲン化銀の銀量が1
〔cm2 〕当たり5〔μg〕以下であると推定される。
また、検出信号Bは入力したが検出信号Cを入力しなか
った場合には、ネガフィルムに残留するハロゲン化銀の
銀量が1〔cm2 〕当たり5〔μg〕より大きく10
〔μg〕以下であると推定され、検出信号B及び検出信
号Cを入力しなかった場合には、ネガフィルムに残留す
るハロゲン化銀の銀量が1〔cm2 〕当たり10〔μ
g〕より多いと推定される。
【0209】このように、放射量が異なる赤外線がネガ
フィルムから反射したか否かを判断することにより処理
液状態を判定していることから、簡易な構成でネガフィ
ルムに残留する銀量の検出を行うことができる。
【0210】ステップ270では、推定した残留銀量を
記憶する。ここで、上記処理では、放射ダイオードから
放射されるエネルギーのスペクトル分布のピークの部分
を0.95〔μm〕としているが、本発明はこれ限定す
るものではなく、略0.75〔μm〕〜略2.5〔μ
m〕とすることができる。すなわち、赤外線のピーク部
分は通常0.75〔μm〕〜25〔μm〕であるが、カ
ラーネガの支持体の赤外線の吸収率が高い部分を除外し
た略0.75〔μm〕〜略2.5〔μm〕とすることが
できる。
【0211】また、前述した実施例では、センサ124
Aを放射ダイオード及びホトダイオードにより構成して
いるが、本発明はこれに限定されるものではなく、赤外
線を用いないフィルム検出センサ(ネガフィルムの接触
によりネガフィルムを検出する構成等)であってもよ
い。
【0212】また、前述した実施例では、放射ダイオー
ド12A、12B、12Cのそれぞれの放射量は放射量
W1、W2、W3のようにそれぞれ異なるようにしてい
るが、本発明はこれに限定されるものではなく、例え
ば、放射ダイオード12A、12B、12Cのそれぞれ
から放射量(例えば放射量W1)が略同一で放射される
エネルギーのスペクトル分布が各々異なる赤外線を放射
するようにしもよい。
【0213】すなわち、例えば、図20に示すように、
放射されるエネルギーのスペクトル分布のピークの部分
が、0.80〔μm〕、0.95〔μm〕、1.00
〔μm〕とすることができる。なお、この場合、ホトダ
イオードの各々の分光感度特性は略同一(例えば、0.
85〔μm〕)とする。これにより、放射ダイオードと
ホトダイオードとの組合せにより、センサを高感度、中
感度、低感度とすることができる。よって、処理液状態
を3段階で判定することができる。
【0214】さらに、前述した実施例では、処理液状態
を3段階で判定しているが、本発明はこれに限定される
ものではなく、他の複数の段階で判定するようにしても
よい。
【0215】また、前述した実施例では、ネガフィルム
Nの先端部(曝光部)の赤外線の透過量からネガフィル
ムNに残留する銀量を検出するようにしているが、本発
明はこれ限定するものでなく、ネガフィルムNの先端部
以外の部位から透過した赤外線の透過量からネガフィル
ムNに残留する銀量を検出するようにしてもよい。な
お、曝光部が存在しない場合には、処理装置等で予め所
定部位を露光して曝光部に相当する部分を形成するよう
にしてもよい。
【0216】また、前述した実施例では、赤外線の透過
量からネガフィルムNに残留する銀量を検出するように
しているが、本発明はこれ限定するものでなく、赤外線
の反射量からネガフィルムNに残留する銀量を検出する
ようにしてもよい。
【0217】前述したように、本実施例では、オペレー
タが素人であっても適切な運転状態を維持することがで
き、オペレータ自身に処理品質管理に必要な判断を要求
しなくとも対処できるという特徴がある。万一、この処
理機を離島や海外で使用するためで、通信回線を利用で
きない場合には、処理機の固有データベースをポストコ
ンピュータレベルまで充実することによって自己判断と
自己対処が可能になる。この場合は、現有の固有データ
ベースの他に、データを追加できるメモリーの増設やI
Cカードやフロッピーディスクや、ハードディスク、オ
プティカルディスクを内蔵してもよい。
【0218】前述したように、検証センサを複数用いて
検証を行うことによって確実に原因を特定していくこと
ができる。また、予測演算を標準条件と実際の条件で個
々に行っていくことで検証が容易になる。
【0219】前述した第1の実施例では、少なくともネ
ガフィルムNの単位時間当たりの処理を用いて処理液の
濃度を予測し、予測した処理液の濃度から比重、電気伝
導度を計算(予測)し、実際の比重、電気伝導度を検出
し、そして、予測した比重、電気伝導度及び実際の比
重、電気伝導度を比較するようにしているが、本発明は
これに限定されるものでなく、例えば、処理液の濃度を
予測した後、予測した濃度から処理液のpHを計算(予
測)すると共に、実際に処理液のpHを検出し、予測し
たpHと実際のpHとを比較して、前述した処理と同様
の処理を行うようにしてもよい。
【0220】この場合、発色現像処理槽の実際のpHが
予測したpHから低下している場合には、発色現像処理
槽への補充不足、閑散処理、オーバー露光されたネガフ
ィルムNの多量処理、及び発色現像液の劣化の少なくと
も1つの現象が生じていることが予測できるので、これ
を検証する。
【0221】また、発色現像処理槽11N1の実際のp
Hが予測したpHから上昇している場合には、発色現像
処理槽11N1への補充過多、多量処理、標準値より少
ない数しか画像が記録されていないネガフィルムNの多
量処理、の少なくとも1つの現象が生じていることが予
測できるので、この予測が正しいかを検証する。
【0222】また、前述した実施例では、固有データフ
ァイルの各データファイルには種々のデータを記憶する
ようにしているが、本発明はこれに限定されるものでな
く、前述したデータファイルの各データを全て使用して
もよいが、必ずしも各データの全てを必要とするもので
はない。また、情報センサとしては前述した全ての情報
センサを必要とするものではない。さらに、処理機記憶
装置に記憶する情報は、必ずしも前述した情報の全てを
必要とするものではない。加えて検証センサ群としては
前述した全ての検出センサを必要とするものではない。 [第2実施例]次に、本発明の第2の実施例を図面を参
照して詳細に説明する。本実施例のプリンタープロセッ
サ10は、図21に示すように、C、M、Yフィルター
からなる調光フィルター、反射ミラー及びハロゲンラン
プを備えた光源部12と、感光材料としてのカラーペー
パ16Pを収納したペーパマガジン部16及びカラーペ
ーパ16Pとはサイズの異なるカラーペーパ16pを収
納したペーパマガジン部17を備えている。
【0223】光源部12から発光された光は、ネガキャ
リア18装填されたネガフィルムNを介して露光部14
に照射される。また、ペーパマガジン部16から引き出
されたカラーペーパ16P(カラーペーパ16pの場合
もある。なお、以下カラーペーパ16Pのみを例にとり
説明する)は、露光部14においてネガフィルムNの画
像が焼き付けられ、プロセッサ部10N内に搬送され
る。
【0224】このプロセッサ部10Nは、発色現像処理
槽10N1、漂白定着処理槽10N2、リンス処理槽1
0N3〜10N6の各処理槽及び乾燥部10N7から構
成されている。なお、発色現像処理槽10N1には発色
現像液、漂白定着処理槽10N2には漂白定着液、リン
ス処理槽10N3〜10N6の各々にはリンス液が貯留
されている。これによって、発色現像処理槽10N1で
現像されたカラーペーパ16Pは、漂白定着処理槽10
N2で定着処理された後リンス処理槽10N3〜10N
6で水洗され、乾燥部10N7で乾燥処理されて、カラ
ープリントが作成される。このカラープリントはソータ
ー部10N8に載置される。
【0225】このプリンタープロセッサには、プリンタ
ープロセッサの上部(図21の紙面上側)に表示パネル
72、ネガキャリア18にネガフィルムNに記録された
バーコード及びDXコードを読み取るコード読み取りセ
ンサ55及び露光部14の反射ミラー14N1の反射側
にネガフィルムNの画像を透過した光をレンズ14N2
を介して検出することにより露光量(ネガフィルムの濃
度に対応する)を検出するためのスキャナ14N3が各
々設置されている。また、このプリンタープロセッサに
は、発色現像処理槽10N1のカラーペーパ16Pの搬
送方向上流側近傍に赤外線放射部32Nと検出部34N
とで構成されたフォトセンサ、及び濃度測定部22N内
に搬送されたカラーペーパ16Pに露光された画像の濃
度を測定する濃度計22が設置されている。さらに、乾
燥部10N7及び露光部14の熱の影響を受けない箇所
には、環境温度を検出する環境温度計54、環境湿度を
検出する環境湿度計56が設置されている。
【0226】なお、プリンタープロセッサが、環境温度
計、環境湿度計、及びコード読み取りセンサを備えた他
のフィルムプロセッサと通信線で接続されている場合に
は、フィルムプロセッサで検出された環境温度、環境湿
度、バーコード及びDXコードの情報を取り込むように
してもよい。この場合には、プリンタープロセッサの環
境温度計54、環境湿度計56及びコード読み取りセン
サ55を省略することができる。
【0227】上記処理槽10N1〜10N6は、前述し
た第1の実施例と同様であるので、その説明を省略す
る。
【0228】なお、制御部60は第1の実施例と同様で
あるので、その説明を省略する。次に、本実施例の作用
を説明する。なお、本実施例は、前述した第1の実施例
と同様に、常に運転状態を監視して、環境温度、環境湿
度、及び処理液温度のデータを各運転状態毎に時系列に
記憶する。また、蒸発補正のために各運転状態の時間を
各運転状態毎に積算し、前述した処理量積算処理ルーチ
ン(図10参照)と同様のルーチンを実行し、更に、単
位時間当たりのカラーペーパ16Pの処理量を積算して
記憶すると共にフレッシュ状態から総処理量を積算して
記憶する。そして、カラーペーパ16Pの処理量が所定
値に到達する毎に所定量、例えば、50〔ml〕の補充
液の補充を行う。なお、本実施例では、処理したコント
ロールストリップスの高濃度部Dmax 及び未露光部D
min の濃度(シアン(C)、イエロー(Y)及びマゼン
タ(M))の各々を濃度計22で測定して、得られた濃
度を日付データと共に記憶するようにしている。
【0229】本実施例では、さらに、図22に示す処理
液管理ルーチンを実行し、まず、ステップ152で、前
述した第1の実施例の処理液管理ルーチン(図7参照)
のステップ102と同様に各処理液の濃度を予測する。
次のステップ154で、予測した各処理液の濃度が許容
範囲外であるか否かを判断することにより、異常の有無
を判断する。
【0230】ステップ154の判断が否定された場合に
は、異常がないので、本ルーチンを終了する。一方、ス
テップ154の判断が肯定された場合にはステップ15
6において、検証センサ群26N7から検出データを取
り込んで、予測される現象(表7〜表9参照)が実際に
生じているか否かを検証及び判定する検証及び判定処理
を実行する。なお、この検証及び判定処理の詳細は後述
する。
【0231】ステップ158で、上記検証及び判定によ
り異常現象が特定できたか否かを判断し、異常現象が特
定できなかった(判定不能)場合には、ステップ166
に進んでホストコンピュータに異常現象を特定するため
のデータを送信する。
【0232】一方、異常現象が特定できた場合には、ス
テップ160で、異常現象に基づいて対策案を推定し、
ステップ162で、対策案が直接対応する対処か、ホス
トコンピュータデータに送信する対策案、例えば、補充
ポンプ44Nの交換等であるかを判断する。本部のホス
トコンピュータへの所定のデータの送信と判断された場
合は、ステップ162の判断が否定され、後述するステ
ップ166に進む。一方、ステップ162の判断が肯定
された場合には、後述するステップ164む。
【0233】次に、上記ステップ156の検証及び判定
処理の詳細を説明する。ステップ154では予測した各
処理液の濃度が許容範囲外であるか否かを各々判断して
いるので、いずれの処理液の濃度が異常であるかを判定
することができる。そこで、この検証及び判定処理で
は、各処理液毎に図23の処理を実行して検証する。
【0234】ステップ172で、変数iを0に初期化
し、ステップ174で、変数iを1インクリメントす
る。
【0235】ステップ176で、記憶装置に記憶されて
いるデータに基づいて変数iで識別される現象項目iが
異常であるか否かを判断する。なお、現象項目iは後述
する。
【0236】ステップ176の判断が肯定された場合に
は、ステップ178で、異常内容(現象項目i及びその
内容)を記憶し、ステップ176の判断が否定された場
合には、ステップ180に進む。
【0237】ステップ180では、変数iがi0 以上で
あるか否かを判断することにより、現象項目の全てを判
定したか否かを判断する。ステップ180の判断が否定
された場合には、未だ判定していない現象項目があるの
で、ステップ174に戻って以上の処理(ステップ17
4〜ステップ180)を繰り返す。一方、ステップ18
0の判断が肯定された場合には、全ての現象項目を判定
したので、このルーチンを終了する。
【0238】次に、各処理液の予測濃度が異常の場合の
現象項目iを説明する。 (1)発色現像液 多数の実験から、発色現像液の予測濃度が、許容範囲の
上限値を上回っている場合(予測濃度上昇)及び許容範
囲の下限値を下回っている場合(予測濃度低下)には、
それぞれ表7に示す現象(現象項目i)のうち、少なく
とも1つが生じていると予測できる。
【0239】なお、表7に記載した画像濃度低下とは、
処理されたコントールストリップス(所定の露光条件で
予め露光された高濃度部Dmax の濃度が潜像で形成され
たカラーペーパ)の高濃度Dmax 部のイエロー(Y)の
画像濃度が許容範囲の下限値を下回ることをいう。ま
た、画像濃度上昇とは、処理されたコントロールストリ
ップスの未露光部Dmin の画像濃度(シアン(C)、イ
エロー(Y)及びマゼンタ(M))が許容範囲の上限値
を上回ることをいう。
【0240】
【表7】
【0241】表7に示すように、予測濃度上昇の場合に
は、変数iで識別される現象iは、変数iが1から順に
1インクリメントされる毎に、発色現像槽の補充不足、
蒸発補正量の不足、閑散処理、画像濃度低下、及び発色
現像液のpH低下である。なお、これらの異常現象が生
じなかったと判定された場合には、補充液の調液ミスと
判定する。
【0242】また、予測濃度低下の場合には、変数iで
識別される現象iは、変数iが1から順に1インクリメ
ントされる毎に、発色現像槽の過度の蒸発補正が考えら
れる。なお、この異常現象が生じなかったと判定された
場合には、補充液の調液ミスと判定する。 (2)漂白定着液 また、多数の実験から、漂白定着液の予測濃度が許容範
囲の上限値を上回っている場合(予測濃度上昇)及び許
容範囲の下限値を下回っている場合(予測濃度低下)に
は、それぞれ表8に示す現象(現象項目i)のうち、少
なくとも1つが生じていると予測できる。
【0243】なお、表8に記載した画像濃度低下とは、
最大露光部Dmax のシアン(C)の画像濃度が許容範囲
の下限値を下回ることをいう。
【0244】
【表8】
【0245】表8に示すように、変数iで識別される現
象iは、変数iが1から順に1インクリメントされる毎
に、予測濃度上昇の場合には、漂白定着槽の補充過多、
閑散処理、比重上昇、画像濃度低下、及び漂白定着液の
pH低下であり、予測濃度低下の場合には、漂白定着槽
の補充不足、キャリーオーバー量過多、比重低下、脱銀
不良、漂白定着液のpH上昇、及び蒸発補正量過多であ
る。 (3)リンス液 また、多数の実験から、リンス処理槽のリンス液の予測
濃度が許容範囲の上限値を上回っている場合(予測濃度
上昇)及び許容範囲の下限値を下回っている場合(予測
濃度低下)には、表9に示す現象のうち、少なくとも1
つが生じていると予測できる。
【0246】なお、表9に記載したステイン濃度上昇と
は、未露光部Dmin のイエロー(Y)の画像濃度が許容
範囲の上限値を上回ることをいう。
【0247】
【表9】
【0248】表9に示すように、変数iで識別される現
象iは、変数iが1から順に1インクリメントされる毎
に、予測濃度上昇の場合には、リンス槽の補充不足、閑
散処理、リンス液の電気伝導度上昇、キャリーオーバー
量過多、及びステイン濃度上昇であり、予測濃度低下の
場合には、リンス槽の補充過多、リンス液の電気伝導度
低下、及びキャリーオーバー量過多である。
【0249】次に、上記オーバー露光されたカラーペー
パの多量処理、露光不足のカラーペーパの多量処理の判
定を説明する。ネガフィルムの画像をカラーペーパ16
Pに焼き付ける場合、この画像が露光不足であれば、カ
ラーペーパ16Pへの露光量が多くなり、この画像が露
光過多であれば、カラーペーパ16Pへの露光量が少な
くなる。このように、カラーペーパ16Pへの露光量が
多くなれば、露光されたカラーペーパ16Pの画像の濃
度が高くなり(オーバー露光)、カラーペーパ16Pへ
の露光量が少なくなれば、露光されたカラーペーパ16
Pの画像の濃度が低くなる(露光不足)。このようにオ
ーバー露光のカラーペーパ16Pを多量に処理すれば、
カラーペーパ16Pから発色現像液への所定成分の溶出
量も多くなり、発色現像液の活性が低下する。一方、露
光不足のカラーペーパ16Pを多量に処理すれば、カラ
ーペーパ16Pから発色現像液への所定成分の溶出量が
少なくなり、発色現像液の活性が上昇する。これを検証
するのがオーバー露光されたカラーペーパの多量処理、
露光不足のカラーペーパの多量処理の検証である。な
お、本実施例では、ネガフィルム1本分の画像の濃度を
スキャナー14N3で取り込み、取り込んだ画像の濃度
の平均値を求めて日付データと共に記憶している。そこ
で、日付データを参照して、最近のネガフィルムの画像
の平均値と前述した処理量を取込み、ネガフィルムが露
光不足か露光過多か及び多量処理か否かを判断すること
により、オーバー露光されたカラーペーパの多量処理、
露光不足のカラーペーパの多量処理か否かを判断する。
【0250】次に、温度低下、温度上昇の検証を説明す
る。前述したように、循環装置30は、処理液を循環す
ると共に処理液の温度を設定温度となるように温調制御
している。なお、処理液の温度が設定温度になったか否
かは、循環装置30内の図示しない温度センサから取り
込んだ処理液の温度に基づいて判断するようにしてい
る。
【0251】そこで、温度センサ40Nから処理液の温
度を取込み、取り込んだ温度が、設定温度より許容範囲
以上上回ったか下回ったか否かを判断することにより、
温度低下、温度上昇を検証する。
【0252】次のステップ164では、上記で補充不足
または補充過多と判定された場合には、補充ポンプ44
Nの吐出不良が発生していると判断することができるの
で、設定値を所定量上昇または下降させる。また、閑散
処理または多量処理と判定された場合には、補充液の設
定値を上昇または下降させる。なお、閑散処理と判断さ
れた場合には、通常の補充処理とは別にステップ164
で、補充液を所定量補充するようにしてもよい。オーバ
ー露光されたカラーペーパの多量処理または露光不足の
カラーペーパの多量処理と判定された場合には、補充液
の設定値を上昇または下降させる。なお、オーバー露光
されたカラーペーパの多量処理と判断された場合には、
通常の補充処理とは別にステップ164で、補充液を所
定量補充するようにしてもよい。
【0253】また、ステップ166では、例えば、補充
精度が−10%を下回ったのように、極端に補充不足と
判断された場合には、補充部の故障(例えば、補充ポン
プ44Nからサブタンク11MSまでの配管の故障、補
充ポンプの故障等)が発生していると判定することがで
きるので、実補充量、補充精度等、及び補充部の故障で
ある旨のデータを本部のホストコンピュータに送信す
る。 [第3実施例]次に、本発明の第3の実施例を図面を参
照して説明する。
【0254】本実施例のフィルムプロセッサは、前述し
た第1の実施例と同様であるので説明そ省略する。
【0255】次に、本実施例の作用を図24に示したフ
ローチャートを参照して説明する。まず、ステップ30
2で、前述した第1の実施例のステップ102(図7参
照)の各処理液の濃度の予測と同様に、各処理液の濃度
を予測する。
【0256】ステップ304では、単位時間当たりの適
切な処理状態が保持できる理想補充量を予測する。この
理想補充量は、ネガフィルムNの処理量に応じて定まる
補充量にネガフィルムNの処理量が許容範囲外の場合に
新たに補充される補充液の補充量を加算した補充量であ
り、この補充量は予測された処理液の濃度から予測する
ことができる。すなわち、通常の環境状態で平均的な処
理量で処理を行っている場合は、処理液性能保持に必要
な補充量は、処理量に応じて定まる補充量である。しか
しながら、実際は、単位時間当たりの処理量が許容範囲
外の場合(処理液劣化)には、前述したように、処理液
の濃度が許容範囲外になり、ネガフィルムNの写真特性
に悪影響を及ぼすことになる。そこで、本実施例では、
単位時間当たりの処理量が許容範囲外の場合の処理液劣
化を是正するための量の補充液を補充するようにしてい
る。従って、予測された処理液の濃度から理想補充量を
予測することができる。なお、単に、ネガフィルムNの
処理量が所定値に達する毎に所定量の補充液を補充する
のみであれば、処理液の濃度を予測する必要がなく、所
定期間内の処理量からこの間に補充すべき理想補充量を
演算するようにしてもよい。
【0257】ステップ306では、実際に補充した補充
液の実補充量を検出する。検出方法は、前述したよう
に、超音波レベル計46Nを使用して補充タンクのレベ
ルを測定し、変化量から実補充量を演算する。
【0258】ステップ308では、実補充量が理想補充
量を含んだ許容範囲外の値であるか否かを判断する。処
理されたフィルムの品質が標準の品質に対して許容でき
る範囲の補充量差であれば、問題が無く、処理液状態は
良好であると判断できるので、ステップ308の判断が
否定されて、本ルーチンを終了する。
【0259】一方、実補充量が理想補充量より許容範囲
以上に多ければ補充過多であり、実補充量が理想補充量
より許容範囲以上に少なければ補充不足と判断する。こ
の各々の場合、ステップ308の判断が肯定され、前述
した第2の実施例と同様にステップ156〜ステップ1
66の処理を実行する。なお、上記表7〜9に示すよう
に、補充不足または補充過多の場合には、同欄に示す他
の現象を検証する。 [その他]以上説明した実施例では、フィルムプロセッ
サの故障の発生頻度の高い補充部の不良か否か、すなわ
ち、補充不足または補充過多を検証しているので、いず
れかが検証されれば、処理液がフィルムの写真特性に悪
影響を及ぼす前に直ちに補充部の故障等が検出でき、フ
ィルムの現像処理を中断することなく運転を継続するこ
とができる。
【0260】前述した実施例では、補充不足または補充
過多を検証しているので、仮に閑散処理されたと判定さ
れ、処理液の劣化が予想される分の補充量を増加した場
合には、実際にどのくらい増加したのか確認することが
できるので、処理液を許容範囲に維持することができ
る。
【0261】なお、前述した第1の実施例乃至第3の実
施例から理解されるように、実補充量と理想補充量とに
差が生じた場合、フィルムプロセッサの実際の状態を検
出できる他の検出手段が多いほど、原因の特定が容易か
つ確実になる。
【0262】前述した第1の実施例乃至第3の実施例で
は、フィルムプロセッサまたはプリンタープロセッサを
例にとり説明したが、本発明はこれに限定されるもので
なく、フィルムプロセッサ及びプリンタープロセッサを
一体型にした図25に示す写真処理装置にも適用可能で
ある。すなわち、この写真処理装置10Lでは、ネガフ
ィルム12Lをパトローネ14Kから引き出して現像処
理するフィルム処理部16L、マガジン18Lにロール
状に巻き取られて収容されているカラーペーパ20Lを
引出して、現像処理したネガフィルム12Lに記録され
た画像に応じて露光する画像露光部22L、及び画像露
光の終了したカラーペーパ20Lを現像処理するペーパ
処理部24Lが図示しないケーシングに一体に収容され
ている。
【0263】フィルム処理部16Lには、現像液を貯留
する現像処理槽26L、漂白液を貯留する漂白処理槽2
8L、それぞれに定着液を貯留する第1定着処理槽30
L、第2定着処理槽32L、水洗水を貯留する水洗処理
槽34L、それぞれに安定液を貯留する第1安定浴処理
槽36L、第2安定浴処理槽38Lが連続して配置さ
れ、第2安定浴処理槽38Lの下流側に乾燥室42L及
びリザーバ部44Lが設けられている。
【0264】パトローネ14Lから引き出されたネガフ
ィルム12Lは、図示しない搬送手段によって現像処理
槽26L、漂白処理槽28L、第1定着処理槽30L、
第2定着処理槽32L、水洗処理槽34L、第1安定浴
処理槽36L、第2安定浴処理槽38L内を順次搬送さ
れ、現像液、漂白液、定着液、水洗水及び安定液による
処理液処理が施される。処理液処理の終了したネガフィ
ルム12Lは、乾燥室42L内で、図示しないヒータと
乾燥ファンによって発生された乾燥風が吹き付けられて
乾燥処理され、リザーバ部44Lへ送り出される。
【0265】一方、画像露光部22Lでは、リザーバ部
44Lから現像処理の終了したネガフィルム12Lを引
き入れると共に、マガジン18Lからカラーペーパ20
Lを引出して、カラーペーパ20Lにネガフィルム12
Lに記録されている画像を順次露光する。なお、この画
像露光部22Lの構成としては、ネガフィルム12Lと
カラーペーパ20Lをそれぞれ所定の速度で搬送しなが
らネガフィルム12Lに記録された画像をカラーペーパ
20Lへ露光するスリット露光や、ネガフィルム12L
に記録されている画像を画像読取手段によって読み取っ
た後、この読み取った画像をカラーペーパ20Lへレー
ザ光等によって走査露光する等の種々の露光方式を用い
ることができる。このようにして画像露光されたカラー
ペーパ20Lは、画像露光部22Lとペーパ処理部24
Lの間に設けられたリザーバ部46Lへ送り出される。
【0266】ペーパ処理部24Lには、カラーペーパ2
0Lの現像用の現像液を貯留する現像処理槽48L、漂
白定着液を貯留する漂白定着処理槽50L、それぞれに
リンス液を貯留する第1リンス処理槽52L、第2リン
ス処理槽54L、第3リンス処理槽56Lが設けられ、
第3リンス処理槽56Lのカラーペーパ搬送方向の下流
側には、乾燥室58Lが設けられている。リザーバ部4
6Lに送り出され手画像露光されたカラーペーパ20L
は、図示しない搬送手段によってペーパ処理部24Lへ
引き入れら、現像処理槽48L、漂白定着処理槽50
L、第1リンス処理槽52L、第2リンス処理槽54
L、第3リンス処理槽56L内を順次搬送され、現像
液、漂白定着液、リンス液によって処理される。処理の
終了したカラーペーパ20Lは、乾燥室58L内を搬送
され、図示しないヒータと乾燥ファン等によって発生さ
れた乾燥風が吹き付けられて乾燥処理される。
【0267】乾燥処理の終了したカラーペーパ20L
は、例えば画像コマ毎に切断されて写真プリントとして
排出される。
【0268】そして、フィルム処理部16L、ペーパ処
理部24Lに対してそれぞれ、前述した第1の実施例な
いし第3の実施例と同様の処理を行うようにすればよ
い。
【0269】このように、フィルム処理部16L、ペー
パ処理部24Lを備えた写真処理装置では、より多くの
情報を得ることができ、異常原因を精度よく推定するこ
とができる。
【0270】前述した実施例では、処理液濃度を予測
し、予測した処理液濃度を処理機の実際の状態を検出す
ることができるパラメータ(例えば、比重(比重から密
度を求めてもよい)、電気伝導度、pH、理想補充量、
なお、その他画像濃度を求めてもよい。)に変換し、変
化したパラメータと処理機の実際の状態(実測値)とを
比較するようにしているが、本発明はこれ限定するもの
でなく、予測された処理機の状態と処理機の実際の状態
とを直接比較することができるパラメータを用いてもよ
く、また、処理機の実際の状態から所定のパラメータに
変換し、予測した処理機の状態と変換したパラメータと
を比較するようにしてもよい。
【0271】前述した実施例では、実補充量を求めるた
め超音波レベル計46Nを用いているが、本発明はこれ
に限定されるものでなく、補充タンク44M内の基準位
置に配置した平版とこの平版に対向するように補充液の
液面上に配置された平版との間の静電容量の変位から両
平版間距離を求めて、補充液の液面のレベルを検出する
静電容量式変位センサや、補充タンク44Mの底面に配
置し補充液の圧力から補充液のレベルを検出する圧力式
センサを使用してもよい。また、フロートスイッチを多
数配置して精度よく補充液のレベルを検出するフロート
スイッチセンサを用いてもよい。
【0272】これらのセンサより精度よく補充液のレベ
ルを測定するには、高価ではあるが、補充タンク44M
内の基準位置でレーザを発光すると共に補充液の液面で
反射したレーザを受光し、その往復時間から基準位置か
ら補充液の液面までの距離を求めて補充液のレベルを検
出するレーザ式センサを用いてもよい。例えば、キーエ
ンス社のレーザ式変位センサLBシリーズ(商品名)が
ある。
【0273】一方、実補充量を求めるためには、補充液
のレベルを検出する手段以外に、例えば、補充液の流量
を検出して、実補充量を求める流量計を使用するように
してもよい。例えば、愛知時計電機株式会社の流量セン
サや、株式会社サヤマトレーディングのIR−OPFL
OW流量センサ等を用いることができる。
【0274】また、前述した実施例においては、超音波
を利用した比重計を例にとり説明したが、本発明はこれ
限定するものでなく、処理槽の循環配管の1部に一定の
容積(例えば、4〔ml〕)のセルを設けて、これを圧
電素子で振動させるとセルの自由振動数が内部に満たさ
れた液の密度の関数になることを利用した振動密度計を
用いてもよい。
【0275】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、感光材料
処理装置により処理された感光材料の単位時間当たりの
処理量を少なくとも用いて感光材料処理装置の状態を予
測することから、感光材料処理装置の状態を精度よく予
測することができる。また、予測された感光材料処理装
置の状態と比較可能な感光材料処理装置の実際の状態を
検出して、予測された状態と検出された実際の状態とを
比較することにより検証することから、単に予測した感
光材料処理装置の処理機の状態に基づいて対処する場合
と比較すると、対処する必要がないのに対処する等誤差
動を防止でき、これにより、感光材料を適性に処理する
ことができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例におけるフィルムプロセ
ッサの概略図である。
【図2】フォトセンサの概略図である。
【図3】発色現像処理槽の構成を示す断面図である。
【図4】(a)は比重計の概略図、(b)は(a)のI
1 −I2 線断面と電気回路を示す図である。
【図5】赤外線センサユニットの電気回路の概略図であ
る。
【図6】本実施例の制御計のブロック図である。
【図7】処理液管理ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図8】各処理槽の断面図である。
【図9】リンス液の濃度と電気伝導度との関係を示す線
図である。
【図10】処理量検出ルーチンを示すフローチャートで
ある。
【図11】複数の処理機の漂白液における伝搬速度に比
例する出力値と処理液の比重との関係を示す線図であ
る。
【図12】複数の処理機の定着液における伝搬速度に比
例する出力値と処理液の比重との関係を示す線図であ
る。
【図13】検出した伝搬速度から比重を演算するための
マップを示す図である。
【図14】比重検出ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図15】残留銀量検出ルーチンを示すフローチャート
である。
【図16】放射ダイオードのスペクトル分布を示す線図
である。
【図17】ホトダイオードの分光感度特性を示す線図で
ある。
【図18】各放射ダイオードの放射量を示した表であ
る。
【図19】残留銀量のマップを示す線図である。
【図20】放射されるエネルギーのスペクトル分布のピ
ークの部分の他の例を示す図である。
【図21】本発明の第2の実施例におけるプリンタープ
ロセッサの概略図である。
【図22】第2の実施例の処理液管理ルーチンを示すフ
ローチャートである。
【図23】図22のステップ156の詳細を示すフロー
チャートである。
【図24】本発明の第3の実施例の処理液管理ルーチン
を示すフローチャートである。
【図25】フィルムプロセッサ及びプリンタープロセッ
サを一体型にした写真処理装置の概略図である。
【符号の説明】
11 フィルムプロセッサ N ネガフィルム 24 表示パネル 26,60 制御部 10 プリンタープロセッサ 16P カラーペーパ 72 表示パネル
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−46757(JP,A) 特開 平3−241350(JP,A) 特開 昭57−195245(JP,A) 特開 平6−289563(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03D 3/00 G03D 3/13

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光材料処理部により処理された感光材
    料の単位時間当たりの処理量を少なくとも用いて前記感
    光材料処理部の状態を予測する予測手段と、 前記予測手段で予測された前記感光材料処理部の状態と
    比較可能な前記感光材料処理部の実際の状態を検出する
    検出手段と、 前記予測手段により予測された前記感光材料処理部の状
    態と前記検出手段により検出された前記感光材料処理部
    の実際の状態とを比較する比較手段と、 を備えた感光材料処理装置。
  2. 【請求項2】 前記比較手段による比較結果に基づいて
    対処が必要か否かを判断する判断手段を更に備えた請求
    項1記載の感光材料処理装置。
  3. 【請求項3】 前記判断手段による判断結果が肯定の場
    合に前記判断手段により必要と判断された対処を行う対
    処手段を更に備えた請求項2記載の感光材料処理装置。
  4. 【請求項4】 感光材料処理部により処理された感光材
    料の単位時間当たりの処理量を少なくとも用いて前記感
    光材料処理部の状態を予測する予測手段と、 前記予測手段で予測された前記感光材料処理部の状態と
    比較可能な前記感光材料処理部の実際の状態を検出する
    検出手段と、 前記予測手段により予測された前記感光材料処理部の状
    態及び前記検出手段により検出された前記感光材料処理
    部の実際の状態の少なくとも一方を出力する出力手段
    と、 を備えた感光材料処理装置。
  5. 【請求項5】 感光材料処理部により処理された感光材
    料の単位時間当たりの処理量を少なくとも用いて前記感
    光材料処理部の状態を予測する予測手段と、 前記予測手段で予測された前記感光材料処理部の状態と
    比較可能な前記感光材料処理部の実際の状態を検出する
    検出手段と、 前記予測手段により予測された前記感光材料処理部の状
    態及び前記検出手段により検出された前記感光材料処理
    部の実際の状態の少なくとも一方をホストコンピュータ
    に送信すると共に該ホストコンピュータから対処内容に
    関するデータを受信する双方向通信手段と、 を備えた感光材料処理装置。
  6. 【請求項6】 前記感光材料処理部の状態は、処理液の
    状態であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何
    れか1項に記載の感光材料処理装置。
  7. 【請求項7】 前記処理液の状態は、処理液の化学的性
    質又は物理的性質であることを特徴とする請求項6記載
    の感光材料処理装置。
  8. 【請求項8】 前記感光材料処理部の状態は、処理後の
    感光材料の仕上がり状態であることを特徴とする請求項
    1乃至請求項5の何れか1項に記載の感光材料処理装
    置。
  9. 【請求項9】 前記処理後の感光材料の仕上がり状態
    は、感光材料の画像濃度に関する物理量であることを特
    徴とする請求項8記載の感光材料処理装置。
  10. 【請求項10】 前記感光材料処理部の状態は、感光材
    料処理部の機械的または電気的な動作状態であることを
    特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の
    感光材料処理装置。
  11. 【請求項11】 前記感光材料処理部の機械的または電
    気的な動作状態は、処理液のレベルの状態、又は、前記
    感光材料処理部には、廃液タンクが設けられ、前記感光
    材料処理部の機械的または電気的な動作状態は、該廃液
    タンクの液レベル状態であることを特徴とする請求項1
    0記載の感光材料処理装置。
  12. 【請求項12】 前記予測手段は、前記感光材料処理部
    の状態を、該感光材料処理部に備えられた実際の情報セ
    ンサから得た情報と、感光材料処理部固有のデータファ
    イルの情報と、に基づいてシミュレーションすると共
    に、該シミュレーション結果及び該情報センサから既に
    得ているデータを基に演算を行って予測することを特徴
    とする請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の感
    光材料処理装置。
  13. 【請求項13】 前記予測手段で予測された感光材料処
    理部の状態と前記検出手段により検出された感光材料処
    理部の実際の状態とを直接比較することができない場合
    には、前記予測手段で予測された前記感光材料処理部の
    状態及び前記検出手段により検出された前記感光材料処
    理部の実際の状態の少なくとも一方を直接比較可能な状
    態に変換する変換手段を更に備えることを特徴とする請
    求項1乃至請求項12の何れか1項に記載の感光材料処
    理装置。
JP14663695A 1995-06-13 1995-06-13 感光材料処理装置 Expired - Fee Related JP3436440B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14663695A JP3436440B2 (ja) 1995-06-13 1995-06-13 感光材料処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14663695A JP3436440B2 (ja) 1995-06-13 1995-06-13 感光材料処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08339068A JPH08339068A (ja) 1996-12-24
JP3436440B2 true JP3436440B2 (ja) 2003-08-11

Family

ID=15412216

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14663695A Expired - Fee Related JP3436440B2 (ja) 1995-06-13 1995-06-13 感光材料処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3436440B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5983310B2 (ja) * 2012-10-26 2016-08-31 新日鐵住金株式会社 ボイラ水の水質管理方法および水質管理装置
JP7332512B2 (ja) * 2020-03-24 2023-08-23 株式会社奥村組 時間管理装置、時間管理装置の時間管理方法、時間管理装置の時間管理プログラムおよび時間管理システム

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08339068A (ja) 1996-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH06214369A (ja) 写真感光材料処理装置
JP3034644B2 (ja) 撮影用写真カラーネガフィルム処理方法
JP3436440B2 (ja) 感光材料処理装置
US5669031A (en) Apparatus for processing photographic sensitive material
JP3392589B2 (ja) 写真感光材料処理装置
JP3436439B2 (ja) 写真感光材料処理装置
JP3436438B2 (ja) 写真感光材料処理装置
JPH08339069A (ja) 写真感光材料処理装置
JP3527319B2 (ja) 感光材料処理装置及び感光材料処理装置の処理液測定方法
JPH07261361A (ja) カラー写真用現像処理装置および現像処理方法
JP3604774B2 (ja) 処理液性能判定装置及び処理液性能判定方法
JP2767435B2 (ja) 写真感光材料の処理液供給装置
JP3679181B2 (ja) 補充キット、補充マガジン及びプリンタプロセッサ
EP0741323B1 (en) Photographic processing
JPH07333802A (ja) 写真感光材料の処理方法及び写真処理装置
JP2767433B2 (ja) 写真感光材料の処理方法及びその装置
US6443640B1 (en) Processing photographic material
JP2897822B2 (ja) 撮影用写真フィルムの自動現像処理装置
US5683839A (en) Method of processing black and white photographic silver halide materials
JP2000194107A (ja) 感光材料の処理状態の判定方法及び補正方法
JP2692018B2 (ja) カラー画像形成方法
JP2005122160A (ja) 写真処理装置
JPH06214368A (ja) 感光材料処理装置
JPH04260037A (ja) 写真感光材料の処理装置
JPH0654374B2 (ja) ハロゲン化銀感光材料の処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080606

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090606

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees