JP3392589B2 - 写真感光材料処理装置 - Google Patents

写真感光材料処理装置

Info

Publication number
JP3392589B2
JP3392589B2 JP14663895A JP14663895A JP3392589B2 JP 3392589 B2 JP3392589 B2 JP 3392589B2 JP 14663895 A JP14663895 A JP 14663895A JP 14663895 A JP14663895 A JP 14663895A JP 3392589 B2 JP3392589 B2 JP 3392589B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
processing
amount
density
solution
sensitive material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP14663895A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08339070A (ja
Inventor
文雄 茂木
隆利 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP14663895A priority Critical patent/JP3392589B2/ja
Publication of JPH08339070A publication Critical patent/JPH08339070A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3392589B2 publication Critical patent/JP3392589B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photographic Processing Devices Using Wet Methods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真感光材料処理装置
に係り、より詳しくは、処理液内に写真感光材料を通過
させて処理する写真感光材料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、写真感光材料処理装置におけ
る処理液状態の管理は、コントロールストップス処理に
よって行われるのが一般的である。このコントロールス
トップス処理は、予め一定の光強度、一定の露光時間、
及び一定の光質の基準露光条件で露光を行なった写真感
光材料(コントロールストリップス)を現像処理し、現
像されたコントロールストリップスの濃度を別途濃度計
で測定し、測定結果に基づいて処理液の状態をチェック
する作業である。斯かる作業は、ユーザーにとって面倒
な作業であり、濃度計を別途必要とするため経済的にも
負担が大きく改善が求められていた。
【0003】このような事実に鑑み、コントロールスト
リップスを作成するために上記基準露光条件で感光材料
を露光する基準露光部と、基準露光部で露光されかつ現
像部で現像された感光材料(コントロールストリップ
ス)の濃度を測定する濃度計とを設け、濃度計での測定
結果から処理液の状態を演算し、演算した処理液の状態
を表示部に表示するフィルム現像装置(特開平6−23
0543号公報)や、露光部で上記基準露光条件で光を
照射して感光材料を露光し、基準露光されかつ現像処理
部で現像処理された感光材料の濃度を濃度計で測定し、
測定結果から処理液の状態を演算し、演算した処理液の
状態を表示部に表示する写真焼付現像処理装置(特開平
6−236018号公報)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このフ
ィルム現像装置や写真焼付現像処理装置では、写真特性
の異常を検出するのみであり、異常時に異常の原因を突
き止めているわけではないために、誤ったプロセス制御
を行う可能性がある。
【0005】本発明は、上記事実に鑑み成されたもの
で、写真特性及び処理液の精度の高い品質管理が可能な
写真感光材料処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の発明は、処理液内を通過して処理された
処理済写真感光材料の特定の濃度を測定する濃度測定手
段と、前記処理済写真感光材料の写真特性に影響のある
各々異なった物理量を複数検出する物理量検出手段と、
前記濃度測定手段により測定された特定の濃度が予め定
められた濃度を含んだ所定範囲外の値になったか否かを
判断する判断手段と、前記測定された特定の濃度が前記
所定範囲外の値になった場合に、予め定められた順番に
前記物理量を判断して前記測定された特定の濃度が前記
所定範囲外の値になった原因を推定する原因推定手段と
を含んで構成されている。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記物理量検出手段は、前記物理量の1つ
として前記処理液の状態を検出するようにしている。
【0008】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記物理量検出手段は、前記物理量として
少なくとも単位時間当たりの写真感光材料の処理量及び
前記処理液に補充する補充液の補充精度を検出するよう
にしている。
【0009】請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求
項3のいずれか1項に記載の発明において、前記予め定
められた順番を、前記測定された特定の濃度が前記所定
範囲の上限値より大きい場合と前記所定範囲の下限値よ
り小さい場合とで異ならせている。
【0010】請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求
項4のいずれか1項に記載の発明において、前記物理量
に応じて定まりかつ前記処理液を適性状態に維持するた
めの制御条件に基づいて前記処理液を適性状態に維持す
る維持手段と、前記原因推定手段により推定された原因
に基づいて前記測定された特定の濃度が前記所定範囲内
の値となるように前記制御条件を変更する変更手段と、
を更に含んで構成されている。
【0011】請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求
項5のいずれか1項に記載の発明において、前記濃度測
定手段が、少なくとも前記処理済写真感光材料の未露光
部の濃度を測定するようにしたものである。
【0012】
【作用】請求項1記載の発明の濃度測定手段で測定する
特定の濃度としては、処理済写真感光材料の予め定めら
れた部位の濃度、標準濃度、最大濃度、及び最小濃度の
いずれかを使用することができる。
【0013】予め定められた部位の濃度としては、一定
の再現特性を有しかつ所定の露光条件(所定の光強度、
所定の露光時間等)で予め定められた1または複数点の
部位を露光した未現像の写真感光材料〔コントロールス
トリップ(以下、コンストという。)〕を、処理液で処
理した後の、コンストの露光された部位の濃度を用いる
ことができる。なお、本発明の写真感光材料処理装置
に、上記所定の露光条件で未露光の写真感光材料の予め
定められた1または複数点の部位を露光する露光手段を
設け、この露光手段により必要時に露光してコンストを
作成するようにしてもよい。
【0014】最大濃度としては、写真感光材料の曝光部
の濃度やピクトリアルな画像の最大濃度を用いることが
できる。
【0015】最小濃度としては、処理済写真感光材料の
未露光部の濃度を用いることができ、処理液で処理され
かつピクトリアルな画像が露光された処理済写真感光材
料の未露光部(例えば、コマ画像間の部分)の濃度や処
理液で処理されかつコマ画像が露光されていない処理済
写真感光材料の濃度を用いることができる。また、ピク
トリアルな画像の最低濃度を最小濃度として用いてもよ
い。
【0016】標準濃度は、写真感光材料を標準濃度とな
るように露光することにより得られる。
【0017】物理量検出手段で検出する処理済写真感光
材料の写真特性に影響のある各々異なった物理量として
は、写真感光材料の処理量、各処理液の補充精度、処理
済写真感光材料に残留している残留銀量、処理液の状
態、及び露光時間(または露光量)の平均値がある。こ
の各処理液の状態には、各処理液の温度、各処理液の水
素イオン指数pH(または水素イオン濃度)、各処理液
の比重、各処理液の電気伝導度(電気伝導率)、及び各
処理液の蒸発補正量がある。
【0018】なお、物理量検出手段は、処理済写真感光
材料の写真特性に影響のある物理量として少なくとも単
位時間当たりの処理量及び処理液に補充する補充液の補
充精度を検出するのが好ましい。
【0019】判断手段は、濃度測定手段により測定され
た特定の濃度が予め定められた濃度を含んだ所定範囲外
の値になったか否かを判断し、原因推定手段は、濃度測
定手段により測定された特定の濃度が所定範囲外の値に
なった場合に、予め定められた順番に物理量を判断して
特定の濃度が所定範囲外の値となった原因を推定する。
【0020】以下に上記順番を説明する。この順番は、
上記特定の濃度の各々(最小濃度、標準濃度、及び最大
濃度の各々)について行った多数の実験で得られた、各
濃度が各濃度に応じて定めた所定範囲外の値になった原
因と物理量との関連度を考慮して定めたものである。す
なわち、ある原因に対して所定範囲外になった物理量の
発生頻度を求め、この発生頻度が高い物理量をこの原因
に対して高い関連性で関連ずけて順番を定めたものであ
る。
【0021】最小濃度が、適性性能の処理液で処理され
たときの処理済写真感光材料の最小濃度を含むように予
め定められた所定範囲の上限値を越える場合には次のス
テップ1〜ステップ4の順番に各物理量を判定する。な
お、最小濃度がこの許容範囲の下限値を下回ることはな
い。 ステップ1:感光材料の処理量 ステップ2:水洗水及び安定液の少なくとも一方の補充
精度 ステップ3:他の処理液の補充精度 ステップ4:他の物理量 標準濃度が、適性性能の処理液で処理されたときの処理
済写真感光材料の標準濃度を含むように予め定められた
所定範囲の下限値を下回る場合には次のステップ1〜ス
テップ4の順番に各物理量を判定する。 ステップ1:現像液の補充精度 ステップ2:感光材料の処理量 ステップ3:現像液のpH及び比重の少なくとも一方 ステップ4:他の物理量 標準濃度が、適性性能の処理液で処理されたときの処理
済写真感光材料の標準濃度を含むように予め定められた
所定範囲の上限値を越える場合には、次のステップ1〜
ステップ4の順番に各物理量を判定する。 ステップ1:感光材料の処理量 ステップ2:現像液の補充精度 ステップ3:現像液のpH及び比重の少なくとも一方 ステップ4:他の物理量 最大濃度が、適性性能の処理液で処理されたときの処理
済写真感光材料の最大濃度を含むように予め定められた
所定範囲の下限値を下回る場合には次のステップ1〜ス
テップ6の順番に各物理量を判定する。 ステップ1:現像液の補充精度 ステップ2:感光材料の処理量 ステップ3:現像液のpH及び比重の少なくとも一方 ステップ4:漂白液及び漂白定着液の少なくとも一方の
補充精度 ステップ5:漂白液及び漂白定着液の少なくとも一方の
pH及び比重の少なくとも一方 ステップ6:他の物理量 最大濃度が、適性性能の処理液で処理されたときの処理
済写真感光材料の最大濃度を含むように予め定められた
所定範囲の上限値を越える場合には次のステップ1〜ス
テップ6の順番に各物理量を判定する。 ステップ1:漂白液の補充精度 ステップ2:残留銀量 ステップ3:各処理液のpH ステップ4:水洗水及び安定液の少なくとも一方の電気
伝導度 ステップ5:各処理液の温度 ステップ6:他の物理量 なお、原因と物理量との関連度は、感光材料の種類及び
処理液の種類の少なくとも一方に応じて変化するので、
これらに応じて変更するのが好ましい。また、多数の実
験から全ての原因に対して感光材料の処理量及び処理液
の補充精度の少なくとも一方が関連度が高いことが確認
できたので、処理量及び補充精度の少なくとも一方を他
の物理量よりも優先して判断するのが好ましい。また、
原因と物理量との関連度は所定範囲の上限を越える領域
と所定範囲の下限未満の領域とで異なるので、この順番
は、特定の濃度が所定範囲の上限値より大きい場合と所
定範囲の下限値より小さい場合とで異なるようにすると
効率的である。
【0022】上記写真感光材料の処理量は、単位時間
(期間)毎、例えば、1日、1週間、及び1ヶ月毎に測
定すればよい。1日または2日程度の短い期間では処理
量の変動は少なく、ある程度の長い期間が経過すると処
理量の変動が表れるので、1週間〜1ヶ月間の所定期間
毎に測定するのが好ましい。すなわち、1週間の処理量
〜1ヶ月間の処理量、1日の処理量の複数日分の積算値
における1週間当たりの処理量(平均値)〜1ヶ月当た
りの処理量(平均値)を用いることが好ましい。
【0023】そして、処理液の状態を理想状態(写真感
光材料を適性に処理できる状態)に維持できる理想的な
処理量(理想処理量)を基準にした1または複数段階の
処理量の範囲を設定しておき、単位時間当たりの写真感
光材料の処理量がこの設定した1または複数の範囲のい
ずれに該当するかを判断するようにする。
【0024】一般的には、指定標準処理量の1/2〜2
倍の範囲を許容処理量と定めるのが好ましい。
【0025】上記各処理液の補充精度は、現像液、漂白
液、定着液、漂白定着液、リンス液、安定液等の補充精
度の値を用いることができ、この補充精度は、上記写真
感光材料の処理量に基づいて定まる理論補充量と実際に
補充された補充量から求めることができる。例えば、写
真感光材料の単位処理量に対する補充液の単位補充量が
設定され補充タイミングで補充液を補充する場合には、
補充精度は、補充タイミングまでの処理量の積算値に基
づいて算出された理想補充量(処理量の積算値を単位処
理量で除算した値に単位補充量を乗じた値)に対する、
理想補充量と実際に補充された実補充量(補充液を貯留
する補充タンクの液レベルに基づいて算出することがで
きるし、また、補充液の流量を積算する積算流量計にて
求めてもよい)との差の割合で求めることができる。な
お、補充精度に代えてこの差を用いるようにしてもよ
く、理想補充量に対する実補充量の割合を用いるように
してもよい。
【0026】そして、予め設定された正常値である第1
の範囲(例えば、±5%以内の範囲)、危険領域である
第2の範囲(例えば、±5%より大きくかつ±10%以
下の範囲)、及び異常領域である第3の範囲(例えば、
±10%より大きい範囲)等の複数の範囲を設定してお
き、所定範囲のいずれに補充精度が該当するかを判断す
るようにする。
【0027】各処理液の補充精度は、単位時間毎、例え
ば、1週間好ましくは1日毎に記録すればよいが、過去
1週間以上好ましくは1か月以上に渡った時系列データ
で記憶するのが好ましい。
【0028】上記残留銀量は、処理済写真感光材料のピ
クトリアルな画像の最大濃度部または曝光部に、例えば
処理部出口において赤外線を照射し、処理済写真感光材
料を透過した赤外線または処理済写真感光材料から反射
した赤外線を検出し、この赤外線の検出量から測定する
ことができる。残留銀量は、単位時間毎、例えば、1週
間好ましくは1日毎に検出すればよいが、過去1週間以
上好ましくは1か月以上に渡った時系列データで記憶す
るのが好ましい。
【0029】そして、上記処理液の処理性能が良好な場
合(規格範囲内)、やや良好な場合(規格限界範囲)、
及び不良な場合(規格限界外)の複数の範囲を設定し、
残留銀量がこの設定した複数の範囲のいずれに該当する
かを判断するようにする。例えば、規格範囲としては5
〔μg/cm2 〕以下の範囲、規格限界範囲としては5
〔μg/cm2 〕より大きく10〔μg/cm2 〕以下
の範囲、規格限界範囲外としては10〔μg/cm2
より大きい範囲を設定することができる。
【0030】上記各処理液の温度としては、現像液、漂
白液、定着液、漂白定着液、リンス液(水洗水)、安定
液等の複数の処理液毎の各温度を用いることができる。
そして、上記処理液を理想状態に維持できる理想的な温
度(理想温度)を基準にした1または複数の段階の温度
の範囲を設定しておき、各処理液の温度がこの設定した
1または複数の範囲のいずれに該当するかを判断するよ
うにする。
【0031】上記各処理液のpH、比重、及び電気伝導
度としては、現像液、漂白液、定着液、漂白定着液、リ
ンス液、安定液等の各処理液のpH、比重、及び電気伝
導度の測定値を用いることができるが、特に、測定精度
が優れる点からpH及び比重については漂白液、定着
液、漂白定着液の各pH及び各比重を用いるのが好まし
く、電気伝導度についてはリンス液、安定液の各電気伝
導度を用いるのが好ましい。各処理液のpH、比重、及
び電気伝導度は、単位時間毎、例えば、1週間好ましく
は1日毎に検出すればよいが、過去1週間以上好ましく
は1か月以上に渡った時系列データで記憶するのが好ま
しい。
【0032】そして、上記処理液を理想状態に維持でき
る標準的なpH、比重、及び電気伝導度を基準にした1
または複数の段階のpH、比重、及び電気伝導度の範囲
を各々設定しておき、上記検出したpH、比重、及び電
気伝導度の各々がこの設定した1または複数の範囲のい
ずれに該当するかを判断するようにする。
【0033】上記各処理液の蒸発補正量は、現像液、漂
白液、定着液、漂白定着液、リンス液、安定液等の各処
理液の蒸発量を補正するために加えられる加水量を用い
ることができる。この加水量は、環境温度、環境湿度及
び写真感光材料処理装置の運転状態等から得られる処理
液の蒸発量に基づいて演算され、かつ処理液に供給され
る水の量であるので、この環境温度、環境湿度及び写真
感光材料処理装置の運転状態等も同時に記憶するように
してもよい。この蒸発補正量は、毎日記録するのが好ま
しいが、過去1週間以上好ましくは1ヶ月以上の時系列
データで記録してもよい。
【0034】そして、露光時間(または露光量)の平均
値は、焼付時における写真感光材料が受光する光量(露
光量)や、写真感光材料の画像濃度を用いることができ
る。すなわち、複数の画像コマの上記露光量や画像濃度
の積算値の1画像コマ当たりの値(平均値)を用いるこ
とができる。そして、上記処理液を理想状態に維持でき
る理想的な理想露光量や理想画像濃度を基準にした1ま
たは複数の段階の露光量や画像濃度の範囲を設定してお
き、上記平均値がこの設定した1または複数の範囲のい
ずれに該当するかを判断するようにする。なお、上記複
数の画像コマのコマ数としては、最低でも100コマ、
好ましくは500〜5000コマ程度である。また、写
真感光材料の画像濃度は、画像面平均濃度から求める。
この画像面平均濃度には、大面積透過濃度〔LATD
(Large Area Transmittance
Demsity)〕と画像面濃度平均がある。また、
焼付時における写真感光材料が受ける露光量や写真感光
材料の画像は、予め定められた特定のプリントサイズに
対するものであるのが好ましい。この予め定められた特
定のプリントサイズは汎用サイズ(例えば、Eサイズま
たはLサイズ)であることが特に好ましい。
【0035】維持手段は、上記物理量に応じて定まりか
つ処理液を適性状態に維持するための制御条件に基づい
て、処理液を適性状態に維持する。斯かる制御条件に
は、補充タイミングで補充される補充量や処理液の温度
を標準状態に温調制御するための設定温度がある。
【0036】変更手段は、原因推定手段により推定され
た原因に基づいて特定の濃度が所定範囲内の値となるよ
うに制御条件を変更する。
【0037】なお、本発明の写真感光材料処理装置は、
例えば、写真フィルムを処理する写真フィルム処理装
置、印画紙(カラーペーパ等のペーパ)を処理する印画
紙処理装置、または写真フィルムを処理する写真フィル
ム処理部及び印画紙を処理する印画紙処理部を同一ケー
シング内に備えた写真処理装置のいずれであってもよ
い。このように、写真フィルム処理部及び印画紙処理部
を同一ケーシング内に備えた写真処理装置であれば、よ
り多くの情報を得ることができ、濃度測定手段により測
定された特定の濃度が所定範囲外となった原因を精度よ
く推定することができるため、好ましい態様である。
【0038】このように、濃度測定手段により測定され
た特定の濃度が予め決められた濃度を含んだ所定範囲外
の値になった場合に、予め定められた順番に物理量を判
断し、濃度測定手段により測定された特定の濃度が所定
範囲外となった原因を推定し、推定された原因に基づい
て特定の濃度が所定範囲内の値となるように制御条件を
変更するようにすれば、制御条件を、処理液を適性状態
に維持するための適性な制御条件に短時間で変更でき、
これにより、処理液の処理性能を許容範囲に制御するこ
とができ、写真特性及び処理液の精度の高い品質管理が
可能となる。
【0039】また、濃度測定手段により測定された特定
の濃度が予め決められた濃度を含んだ所定範囲外の場合
に、予め定めた順番に物理量を判断し、濃度測定手段に
より測定された特定の濃度が所定範囲外となった原因を
推定することから、迅速かつ効率的に原因を特定するこ
とができる。従って、特定できた原因に基づいて特定の
濃度が所定範囲内の値となるように制御条件を変更する
ようにすれば、処理液の処理性能が許容範囲外となった
としても迅速に許容範囲内に制御することができ、感光
材料の優れた写真特性を維持することができる。
【0040】ここで、前述した処理液には、カラー現像
液、黒白現像液、漂白液、調整液、反転液、定着液、漂
白定着液、安定液、リンス液等を挙げることができる。
【0041】カラー現像液としては、好ましくは芳香族
第一級アミン系発色現像主薬を主成分とするアルカリ性
水溶液である。この発色現像主薬としては、アミノフェ
ノール系化合物も有用であるが、p−フェニレンジアミ
ン系化合物が好ましく使用され、その代表例としては3
−メチル−4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン、4
−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニ
リン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−
ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−
N−エチル−N−β−メタンスルホンアミドエチルアニ
リン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−
メトキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N
−エチル−N−δ−ヒドロキシブチルアニリン及びこれ
らの硫酸塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩
が挙げられる。これらの化合物は目的に応じ2種類以上
併用することもできる。
【0042】カラー現像液は、アルカリ金属の炭酸塩、
ホウ酸塩もしくはリン酸塩のようなpH緩衡剤、臭化物
塩、沃化物塩、ベンズイミダゾール類、ベンゾチアゾー
ル類もしくはメルカプト化合物のような現像制御剤また
はカブリ防止剤などを含むのが一般的である。また必要
に応じて、ヒドロキシルアミン、N,N−ジ(スルホエ
チル)ヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミ
ン、亜硫酸塩、ヒドラジン類、フェニルセミカルバジド
類、トリエタノールアミン、カテコールジスルホン酸類
の如き各種保恒剤、エチレングリコール、ジエチレング
リコールのような有機溶剤、ベンジルアルコール、ポリ
エチレングリコール、四級アンモニウム塩、アミン類の
ような現像促進剤、色素形成カプラー、競争カプラー、
ナトリウムボロンハイドライドのようなカブラセ剤、1
−フェニル−3−ピラゾリドンのような補助現像主薬、
粘性付与剤、アミノポリカルボン酸、アミノポリホスホ
ン酸、アルキルホスホン酸、ホスホノカルボン酸に代表
されるような各種キレート剤、例えば、エチレンジアミ
ン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢
酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチル
イミノジ酢酸、カルボキシエチルイミノジ酢酸、1−ヒ
ドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸、ニトリロ
−N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジア
ミン−N,N,N´,N´−テトラメチレンホスホン
酸、エチレンジアミンージ(o−ヒドロキシフェニル酢
酸)及びそれらの塩を代表例として上げることができ
る。
【0043】これらのカラー現像液のpHは9〜12で
あることが一般的である。またこれらの現像液の補充量
は、処理するカラー写真感光材料にもよるが、一般に感
光材料1平方メートル当たり1リットル以下であり、補
充液中の臭化物イオン濃度を低減させておくことにより
400ml以下にすることもできる。好ましくは30ml〜
300ml/m2 である。補充量を低減する場合には処理
槽の空気との接触面積を小さくすることによって液の蒸
発、空気酸化を防止することが好ましい。また現像液中
の臭化物イオンの蓄積を抑える手段を用いることにより
補充量を低減することもできる。
【0044】カラー現像後の写真乳剤層は通常漂白処理
される。漂白処理は定着処理と同時に行われてもよいし
(漂白定着処理)、個別に行われてもよい。更に処理の
迅速化を図るため、漂白処理後漂白定着処理する処理方
法でもよい。さらに二槽の連続した漂白定着浴で処理す
ること、漂白定着処理の前に定着処理すること、または
漂白定着処理後漂白処理することも目的に応じ任意に実
施できる。漂白剤としては、例えば鉄(III)、コバルト
(III)、クロム(VI)、銅(II)などの多価金属の化合物、
過酸類、キノン類、ニトロ化合物等が用いられる。代表
的漂白剤としてはフェリシアン化物:重クロム酸塩:鉄
(III)もしくはコバルト(III)の有機錯塩、例えばエチレ
ンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチ
レンジアミンジコハク酸、シクロヘキサンジアミン四酢
酸、メチルイミノ二酢酸、1,3−ジアミノプロパン四
酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、カルボキシ
エチルイミノジ酢酸などのアミノポリカルボン酸類もし
くはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの錯塩:過硫酸
塩:臭素酸塩:過マンガン酸塩:ニトロベンゼン類など
を用いることができる。これらのうちエチレンジアミン
四酢酸鉄(III)錯酸を始めとするアミノポリカルボン酸
鉄(III)錯塩及び過硫酸塩は迅速処理と環境汚染防止の
観点から好ましい。さらにアミノポリカルボン酸鉄(II
I)錯塩は漂白液においても、漂白定着液においても特に
有用である。これらのアミノポリカルボン酸鉄(III)錯
塩を用いた漂白液または漂白定着液のpHは通常4.5
〜8であるが、処理の迅速化のために、さらに低いpH
で処理することもできる。
【0045】漂白液、漂白定着液及びそれらの前浴に
は、必要に応じて漂白促進剤を使用することができる。
有用な漂白促進剤の具体例は、次の明細書に記載されて
いる:米国特許第3,893,858号、西独特許第
1,290,812号、特開昭53−95630号、リ
サーチ・ディスクロージャーNo.17129号(19
78年7月)などに記載のメルカプト基またはジスルフ
ィド結合を有する化合物;特開昭50−140129号
に記載のチアゾリジン誘導体;米国特許第3,706,
561号に記載のチオ尿素誘導体;特開昭58−162
35号に記載の沃化物塩;西独特許第2,748,43
0号に記載のポリオキシエチレン化合物類;特公昭45
−8836号記載のポリアミン化合物;臭化物イオン等
が使用できる。なかでもメルカプト基またはジスルフイ
ド基を有する化合物が促進効果が大きい観点で好まし
く、特に米国特許第3,893,858号、西独特許第
1,290,812号、特開昭53−95630号に記
載の化合物が好ましい。更に、米国特許第4,552,
834号に記載の化合物も好ましい。これらの漂白促進
剤は感材中に添加してもよい。撮影用のカラー感光材料
を漂白定着するときにこれらの漂白促進剤は特に有効で
ある。
【0046】定着剤としてはチオ硫酸塩、チオシアン酸
塩、チオエーテル系化合物、チオ尿素類、多量の沃化物
塩等をあげることができるが、チオ硫酸塩の使用が一般
的であり、特にチオ硫酸アンモニウムが最も広範に使用
できる。漂白定着液の保恒剤としては、亜硫酸塩や重亜
硫酸塩、ベンゼンスルフィン酸類あるいはカルボニル重
亜硫酸付加物が好ましい。
【0047】更に脱銀処理後、水洗及び/または安定工
程を経るのが一般的である。水洗工程での水洗水量は、
感光材料の特性(例えばカプラー等使用素材による)、
用途、更には水洗水温、水洗タンクの数(段数)、向
流、順流等の補充方式、その他種々の条件によって広範
囲に設定し得る。このうち、多段向流方式における水洗
タンク数と水量の関係は、Journal of the Society of
Motion Picture and Television Engineers 第64巻、
P248〜253(1955年5月号)に記載の方法
で、求めることができる。
【0048】前記文献に記載の多段向流方式によれば、
水洗水量を大幅に減少し得るが、タンク内における水の
滞留時間の増加により、バクテリアが繁殖し、生成した
浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じる。本発明
のカラー感光材料の処理において、このような問題の解
決策として、特開昭62−288838号に記載のカル
シウムイオン、マグネシウムイオンを低減させる方法を
極めて有効に用いることができる。また、特開昭57−
8542号に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベン
ダゾール類、塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩
素系殺菌剤、その他ベンゾトリアゾール等、堀口博著
「防菌防黴剤の化学」、衛生技術会編「微生物の滅菌、
殺菌、防黴技術」、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事
典」に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0049】本発明の感光材料の処理における水洗水の
pHは、4〜9であり、好ましくは5〜8である。水洗
水温、水洗時間も、感光材料の特性、用途等で種々設定
し得るが、一般には、15〜45℃で20秒〜10分、
好ましくは25〜40℃で30秒〜5分の範囲が選択さ
れる。更に、本発明の写真感光材料処理装置は、上記水
洗に代り、直接安定液によって処理することもできる。
このような安定化処理においては、特開昭57−854
3号、特開昭58−14834号、特開昭60−220
345号に記載の公知の方法は全て用いることができ
る。
【0050】この安定浴にも各種キレート剤や防黴剤を
加えることもできる。上記水洗及び/または安定液の補
充に伴うオーバーフロー液は脱銀工程等の他の工程にお
いて再利用することもできる。
【0051】次に本発明に用いることができる写真感光
材料について説明する。本発明は如何なる感光材料にも
適用することができるがカラーネガフィルム及びカラー
ペーパーに適用するのが好ましい。
【0052】本発明において適用されるハロゲン化銀乳
剤やその他の素材(添加剤など)および写真構成層(層
配置など)、並びにこの感材を処理するために適用され
る処理法や処理用添加剤としては、下記の特許公報、特
に欧州特許EPO,355,660A2号(特願平1−
107011号)に記載されているものが好ましく用い
られる。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、
沃臭化銀、沃塩化銀、沃塩臭化銀、塩臭化銀、臭化銀、
塩化銀等の各種ハロゲン組成の乳剤を用いることができ
る。とりわけ、カラーネガフィルムの場合には、沃臭化
銀乳剤を含有する層を有する事が好ましく、ヨード含量
が0.1〜10モル%程度含有する乳剤の使用が好まし
い。また、カラーペーパーの場合には、90モル%以上
が塩化銀からなるハロゲン化銀粒子を含有する乳剤層を
少なくとも一層有することが好ましい。より好ましくは
95〜99.9モル%以上、更に好ましくは98〜9
9.9モル%以上が塩化銀からなる乳剤であり、全層が
98〜99.9モル%以上の塩化銀からなる塩臭化銀乳
剤であることが特に好ましい。また、塗布銀量として
は、特に制限はないが、カラーネガフィルムの場合には
2g〜10g/m2 程度、カラーペーパーの場合には
0.2〜0.9g/m2 程度含有する場合が好ましい。
【0059】また、本発明に用いられる感光材料には各
種カプラーを含有することができるが詳細は表2に記載
した通りである。
【0060】更に、シアンカプラーとして、特開平2−
33144号に記載のジフェニルイミダゾール系シアン
カプラーの他に、欧州特許EPO,333,185A2
号に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー
(なかでも具体例として列挙されたカプラー(42)の
4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したも
のや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開
昭64−32260号に記載された環状活性メチレン系
シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプ
ラー例3、8、34が特に好ましい)の使用も好まし
い。
【0061】また、本発明に係わる感光材料には、画像
のシャープネス等を向上させる目的で親水性コロイド層
に、欧州特許EPO,337,490A2号の第27〜
76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(なかでも
オキソノール系染料)を感光材料の680nmに於ける
光学反射濃度が0.70以上になるように添加したり、
支持体の耐水性樹脂層中に2〜4価のアルコール類(例
えばトリメチロールエタン)等で表面処理された酸化チ
タンを12重量%以上(より好ましくは14重量%以
上)含有させるのが好ましい。
【0062】また、本発明に係わるカラー写真感光材料
には、カプラーと共に欧州特許EPO,277,589
A2号に記載のような色像保存性改良化合物を使用する
のが好ましい。特にピラゾロアゾールカプラーとの併用
が好ましい。
【0063】即ち、発色現像処理後に残存する芳香族ア
ミン系現像主薬と化学結合して、化学的に不活性でかつ
実質的に無色の化合物を生成する化合物(F)および/
または発色現像処理後に残存する芳香族アミン系発色現
像主薬の酸化体と化学結合して、化学的に不活性でかつ
実質的に無色の化合物を生成する化合物(G)を同時ま
たは単独に用いることが、例えば処理後の保存における
膜中残存発色現像主薬ないしその酸化体とカプラーの反
応による発色色素生成によるステイン発生その他の副作
用を防止する上で好ましい。
【0064】また、本発明に係わる感光材料には、親水
性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や
細菌を防ぐために、特開昭63−271247号に記載
のような防黴剤を添加するのが好ましい。
【0065】本発明において、ハロゲン化銀カラー写真
感光材料の支持体を除いた乾燥膜厚が25μm以下であ
る場合が、キャリーオーバー量を少なくし、銀回収率を
高めるという意味で好ましい。とりわけ、カラーネガフ
ィルムの場合には13〜23μm程度、カーペーパーの
場合には7〜12μm程度が好ましい。
【0066】これらの膜厚の低減はゼラチン量、銀量、
オイル量、カプラー量等を減少させることで達成できる
が、ゼラチン量の低減して達成するのが最も好ましい。
ここで、膜厚は、試料を25°C60RH%2週間放置
後、常法により測定することができる。
【0067】本発明に用いられるハロゲン化銀カラー写
真感光材料においては、写真層の膜膨潤度が、1.5〜
4.0であることが、ステインの改良や画像保存性の改
良の点で好ましい。特に、1.5〜3.0において、よ
り一層の効果を得ることができる。本発明の膨潤度と
は、カラー感光材料を33°Cの蒸留水に2分間浸潰し
た後の写真層の膜厚を乾いた写真層の膜厚で割った値を
言う。
【0068】また、ここで写真層とは、少なくとも1層
の感光性ハロゲン化銀乳剤層を含み、この層と相互に水
浸透性の関係にある積層された親水性コロイド群層をい
う。支持体を隔てて写真感光層と反対側に設けられたバ
ック層は含まない。写真層は写真画像形成に関与する通
常は複数の層から形成され、ハロゲン化銀乳剤層の外に
中間層、フィルター層、ハレーション防止層、保護層な
どが含まれる。
【0069】上記の膨潤度に調節するためにはいかなる
方法を用いても良いが、例えば写真膜に使用するゼラチ
ンの量及び種類、硬膜剤の量及び種類、または写真層塗
布後の乾燥条件や経時条件を変えることにより調節する
ことができる。写真層にはゼラチンを用いるのが有利で
あるが、それ以上の親水性コロイドも用いることができ
る。たとえばゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子と
のグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋白
質、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース、セルローズ硫酸エステル類等の如きセルロー
ス誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体等の糖誘導
体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分
アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリ
ル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビ
ニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一ある
いは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用い
ることができる。
【0070】ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほ
か、酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチン加水分解
物、ゼラチン酵素分解物も用いることができる。ゼラチ
ン誘導体としては、ゼラチンにたとえば酸ハライド、酸
無水物、イソシアナート類、ブロモ酢酸、アルカンサル
トン類、ビニルスルホンアミド類、マレインイミド化合
物類、ポリアルキレンオキシド類、エポキシ化合物類等
種々の化合物を反応させて得られるものが用いられる。
【0071】前記ゼラチン・グラフトポリマーとして
は、ゼラチンにアクリル酸、メタアクリク酸、それらの
エステル、アミドなどの誘導体、アクリロニトリル、ス
チレンなどの如き、ビニル系モノマーの単一(ホモ)ま
たは共重合体をグラフトさせたものを用いることができ
る。ことに、ゼラチンとある程度相溶性のあるポリマー
たとえばアクリル酸、メタアクリル酸、アクリルアミ
ド、メタアクリルアミド、ヒドロキシアクキルメタアク
リレート等の重合体とのグラフトポリマーが好ましい。
これらの例は米国特許2,763,625号、同2,8
31,767号、同2,956,884号などに記載が
ある。代表的な合成親水性高分子物質はたとえば西独特
許出願(OLS)2,312,708号、米国特許3,
620,751号、同3,879,205号、特公昭4
3−7561号に記載されている。
【0072】硬膜剤としては、例えばクロム塩(クロム
明ばん、酢酸クロムなど)、アルデヒド類(ホルムアル
デヒド、グリオキサール、グリタールアルデヒドな
ど)、N−メチロール化合物(ジメチロール尿素、メチ
ロールジメチルヒダントインなど)、ジオキサン誘導体
(2,3−ジヒドロキシジオキサンなど)、活性ビニル
化合物(1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ
−s−トリアジン、ビス(ビニルスルホニル)メチルエ
ーテル、N,N’−メチレンビス−〔β−(ビニルスル
ホニル)プロピオンアミド〕など)、活性ハロゲン化合
物(2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−s−トリアジ
ンなど)、ムコハロゲン酸類(ムコクロル酸、ムコフェ
ノキシクロル酸など)、イソオキサゾール類、ジアルデ
ヒドでん粉、2−クロル−6−ヒドロキシトリアジニル
化ゼラチンなどを、単独または組合わせて用いることが
できる。
【0073】特に好ましい硬膜剤としては、アルデヒド
類、活性ビニル化合物及び活性ハロゲン化合物である。
【0074】また、本発明に係わる感光材料に用いられ
る支持体としては、デイスプレイ用に白色ポリエステル
系支持体または白色顔料を含む層がハロゲン化銀乳剤層
を有する側の支持体上に設けられた支持体を用いてもよ
い。更に鮮鋭性を改良するために、アンチハレーション
層を支持体のハロゲン化銀乳剤層塗布側または裏面に塗
設するのが好ましい。特に反射光でも透過光でもデイス
プレイが観賞できるように、支持体の透過濃度を0.3
5〜0.8の範囲に設定するのが好ましい。
【0075】本発明に係わる感光材料は可視光で露光さ
れても赤外光で露光されてもよい。露光方法としては低
照度露光でも高照度短時間露光でもよく、特に後者の場
合には一画素当りの露光時間が10-4秒より短いレーザ
ー走査露光方式が好ましい。
【0076】また、露光に際して、米国特許第4,880,72
6 号に記載のバンド・ストップフイルターを用いるのが
好ましい。これによって光混色が取り除かれ、色再現性
が著しく向上する。
【0077】本発明は各種感光材料、すなわちカラーネ
ガフルム、カラーネガペーパー、カラー反転ペーパー、
オートポジペーパー、カラー反転フィルム、映画用ネガ
フィルム、映画用ポジフィルム、レントゲンフィルム、
リスフィルムなどの製版用フィルム、黒白ネガフィルム
等を挙げることができるが、とりわけ、カラーネガフィ
ルムやカラーネガペーパーへの適用が好ましい。
【0078】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例を図面を参照し
て詳細に説明する。本発明の写真感光材料処理装置とし
てのプリンタープロセッサー10は、図1に示すよう
に、C、M、Yフィルターからなる調光フィルター、反
射ミラー及びハロゲンランプを備えた光源部12、写真
感光材料としてのカラーペーパー16Pを収納したペー
パーマガジン部16及びカラーペーパー16Pとはサイ
ズの異なるカラーペーパー16pを収納したペーパーマ
ガジン部17を備えている。
【0079】光源部12から照射された光は、ネガキャ
リア18に装填されたネガフィルムNを介して露光部1
4に照射される。また、ペーパーマガジン部16から引
き出されたカラーペーパー16P(カラーペーパー16
pの場合もある。なお、以下、カラーペーパー16Pの
みを例にとり説明する。)は、露光部14においてネガ
フィルムNの画像が焼き付けられ、プロセッサ部10N
内に搬送される。
【0080】このプロセッサ部10Nは、発色現像処理
槽10N1、漂白定着処理槽10N2、リンス処理槽1
0N3〜10N6の各処理槽及び乾燥部10N7から構
成されている。なお、発色現像処理槽10N1には発色
現像処理液、漂白定着処理槽10N2には漂白定着処理
液、リンス処理槽10N3〜10N6の各々には水洗処
理液が貯留されている。これによって、発色現像処理槽
10N1で現像されたカラーペーパー16Pは、漂白定
着処理槽10N2で定着処理された後リンス処理槽10
N3〜10N6で水洗処理され、乾燥部10N7で乾燥
処理されてカラープリントが作成される。このカラープ
リントはソーター部10N8に載置される。
【0081】このプリンタープロセッサ10には、プリ
ンタープロセッサ10の上部(図1の紙面上側)に表示
パネル72、ネガキャリア18にネガフィルムNに記録
されたバーコード及びDXコードを読み取るコード読み
取りセンサ55、及び露光部14の反射ミラー14N1
の反射側にネガフィルムNの画像を透過した光をレンズ
14N2を介して検出することにより露光量(ネガ濃度
に対応する)を検出するためのスキャナ14N3が各々
設置されている。また、このプリンタープロセッサ10
には、濃度測定部22N内に搬送されたカラーペーパー
16Pの画像の濃度を測定する濃度計22が設置されて
いる。さらに、乾燥部10N7及び露光部14の熱の影
響を受けない箇所には、環境温度を検出する環境温度セ
ンサ54、環境湿度を検出する環境湿度センサ56が設
置されている。
【0082】なお、プリンタープロセッサ10が、環境
温度センサ、コード読み取りセンサ及び環境湿度センサ
を備えた他のフィルムプロセッサ等と通信線で接続され
ている場合には、フィルムプロセッサで検出された環境
温度、環境湿度、バーコード及びDXコードの情報を取
り込むようにしてもよい。この場合には、プリンタープ
ロセッサ10のコード読み取りセンサ55、環境温度セ
ンサ54及び環境湿度センサ56を省略することができ
る。そして、このプリンタープロセッサ10には、各種
制御を行う制御部60が設けられている。
【0083】発色現像処理槽10N1よりカラーペーパ
ー16Pの搬送方向上流側には、図2(b)にも示すよ
うに、赤外線放射部32Nと検出部34Nとを所定間隔
隔てて対向配置して構成したフォトセンサが設けられて
いる。図2(a)に示すように、赤外線放射部32N
は、複数(本実施例では6個(なお、6個に限定されな
い。))の赤外線放射素子(赤外線放射ダイオード)3
2N1〜32N6をカラーペーパー16Pの搬送方向X
と交差する方向(カラーペーパーの幅方向)に配置して
構成され、また、検出部34Nは、赤外線放射素子32
N1〜32N6から放射された赤外線をそれぞれ検出す
る検出素子(ホトダイオード)34N1〜34N6がカ
ラーペーパー16Pの搬送方向Xと交差する方向に配置
して構成されている。なお、赤外線放射素子32N1〜
32N6及び検出素子34N1〜34N6は制御部60
(図7参照)に接続されている。
【0084】次に、上記各処理槽10N1〜10N6の
各々について説明する。発色現像処理槽10N1及び漂
白定着処理槽10N2は同一の構成であるので、発色現
像処理槽10N1のみを説明し、漂白定着処理槽10N
2の説明は省略する。発色現像処理槽10N1は、図3
に示すように、発色現像処理液を貯留する処理タンク1
0M、処理タンク10Mと連通されたサブタンク10M
S、サブタンク10MS内に補充する補充液を貯留する
補充タンク44M、及びサブタンク10MS内に補充す
る水を貯留する水補充タンク45Mを備えている。
【0085】サブタンク10MSは、補充ノズル42及
び補充ポンプ44Nを介して、補充液が補充されるよう
に補充タンク44Mに接続されると共に、補充ノズル4
2及び補充ポンプ48Lを介して水が補充されるように
水補充タンク45Mに接続されている。
【0086】補充タンク44Mには、補充タンク44M
の補充液のレベルを検出する超音波レベル計46Nが設
けられている。水補充タンク45Mに接続された水供給
配管には、補充ポンプ48Lを介して供給した水の量を
検出する水流量計48Nが設けられている。
【0087】また、サブタンク10MSには、サブタン
ク10MS内の発色現像処理液の温度を検出する温度セ
ンサ40N、発色現像処理液のpHを検出するpHセン
サ38N、発色現像処理液の比重を検出する比重計36
N、及び発色現像処理液のレベルを検出するレベル検出
器34が設けられている。
【0088】なお、32は発色現像処理液をオーバーフ
ローさせるための排出口である。また、発色現像処理槽
10N1には、処理タンク10M及びサブタンク10M
S内に貯留された発色現像処理液を破線で示した方向に
循環する循環装置30が設けられている。この循環装置
30は、循環ポンプ30N1、冷却ファン30N2、ヒ
ーター30N3、循環流量計51、フィルター取付棒3
0N5、及び循環フィルター30N4から構成されてい
る。この循環装置30により、発色現像処理液の温度が
設定温度(カラーペーパー16Pを適性に処理するため
の温度(例えば、35〔℃〕))となるように温調制御
(フィードバック制御)をしている。
【0089】次に、リンス処理槽10N3〜10N5を
説明するが、これらは各々同一の構成であるため、リン
ス処理槽10N3を説明し、他のリンス処理槽10N
4、10N5の説明は省略する。リンス処理槽10N3
は、図4に示すように、図3に示した発色現像処理槽1
0N1と略同様の構成であるため、図3と対応する部分
には同一の符号を付して説明を省略するが、発色現像処
理槽10N1のサブタンク10MSに備えられたpHセ
ンサ38N、比重計36Nに相当するセンサを備えてい
ない点で発色現像処理槽10N1と相違している。
【0090】最終のリンス処理槽10N6は、図5に示
すように、図4に示したリンス処理槽10N3と略同様
の構成となっているが、循環フィルター30N4から循
環ポンプ30N1の入口までの配管にコイル式の電気伝
導度計50を備えている点がリンス処理槽10N3と相
違している。
【0091】図6(a)、(b)に示すように、比重計
36Nは、計測部62と検出部68とによって構成さ
れ、検出部68には、超音波を発振する発振器64Hと
超音波を受信する受信器66Hとが対で設けられてい
る。発振器64H及び受信器66Hは処理液を介して対
向配置するように支持部材52に支持されている。検出
部68の発振器64Hは、例えば圧電セラミックス等の
圧電素子で構成され、測定部62の発振回路72から所
定の電圧が印加されることにより、所定の超音波を発振
する。また、受信器66は発振器64Hから発振された
超音波を受信した場合所定の信号を出力する。
【0092】計測部62は、発振器64Hに接続された
発振回路72、受信器66Hに接続された受信回路7
4、発振回路72と受信回路74とに接続された時間計
測回路76、及び時間計測回路76に接続された演算回
路78によって構成されている。この計測部62では、
発振回路72によって発振器64Hから超音波を発生さ
せ、受信器66Hが超音波を受信すると受信回路74か
ら受信信号が出力される。時間計測回路76は、発振器
64Hから発振した超音波が受信器66Hに受信される
までの時間を計測し、計測した時間を演算回路78へ出
力する。演算回路78では、予め記憶されている超音波
が支持部材52を伝搬するのに要する時間(発振器64
Hと受信器66Hとの間隔D1 から支持部材52の内径
2 を減算した距離だけ超音波が支持部材52中を伝搬
するのに要する時間)を、時間計測回路76から入力し
た時間から減算して、超音波が発色現像処理液中(距離
2)を伝搬するのに要する時間を求め、求めた時間及
び距離D2 から発色現像処理液を超音波が伝搬する伝搬
速度を算出し、伝搬速度に比例した出力値〔mV〕を制
御部60に出力する。
【0093】制御部60では、後述するカラーペーパ1
6Pの処理量に対応するマップ(図17参照)を選択
し、選択したマップと入力した伝搬速度に比例した出力
値〔mV〕とに基づいて比重を演算する。
【0094】次に、制御部60を説明する。この制御部
60は、図7に示すように、CPU62、ROM64、
RAM66、入出力ポート68及びこれらを相互に接続
するバス70を備えたマイクロコンピュータで構成され
ている。なお、図7において符号に附した添字1〜6
は、順に、発色現像槽10N1、漂白定着処理槽10N
2、リンス処理槽10N3〜リンス処理槽10N6に設
けられた要素を表現している。すなわち、この入出力ポ
ート68には、環境温度センサ54、環境湿度センサ5
6、赤外線放射素子32N1〜32N6、検出素子34
N1〜34N6、温度センサ40N1 〜40N6 、超音
波レベル計46N1 〜46N6 、電気伝導度計506
pHセンサ38N1 ,38N2 、比重計36N1 ,36
2 、補充流量計48N1 〜48N6 、濃度計22、及
びコード読み取りセンサ55が接続されている。また、
入出力ポート68は、表示パネル72、補充ポンプ44
1〜44N6 、補充ポンプ48L1 〜48L6 、及び
循環ポンプ30N11 〜30N16 に接続されている。
なお、この入出力ポート68には、図示していないが、
光源部12、露光部14及びカラーペーパー16Pを搬
送する搬送系も接続されている。
【0095】次に、本実施例の作用を説明する。ここ
で、電源がオンされると、プリンタープロセッサ10
は、各処理液の温調制御を行う。この後、ネガフィルム
Nが装填されると、ネガフィルムNに記録された画像コ
マをカラーペーパー16Pに焼付露光を行うと共に焼付
露光されたカラーペーパー16Pを現像・定着・水洗処
理する。このように、電源がオンされてかつカラーペー
パー16Pを処理していない状態をスタンバイ状態とい
い、電源がオンされてかつカラーペーパー16Pを処理
している状態をドライブ状態という。そして、運転休止
日や夜間時等では電源がオフされて温調制御が停止され
る。この状態を停止状態という。なお、本実施例では、
毎日少なくともスタンバイ状態及び停止状態がある場合
を例にとり説明する。
【0096】まず、本実施例の処理液の処理性能を管理
する処理性能管理処理ルーチンを、図8を参照して説明
する。
【0097】プリンタープロセッサ10が停止状態から
スタンバイ状態になり、処理液の温度が設定温度となっ
たと判断されると、プリンタープロセッサ10に内蔵さ
れたNDフイルターを用いて、感材マガジン16から引
き出されて露光部14に到達したカラーペーパー16P
が標準濃度に露光され、この露光されたカラーペーパー
16Pは搬送ローラによって搬送され、各処理槽10N
1〜10N6を通過して各処理液に浸漬して処理され、
乾燥部10N7を通過する。そして、乾燥部10N7を
通過し、図示しない切り換え手段により搬送経路が濃度
測定部22Nに切り換えられてカラーペーパー16Pが
濃度計22の設置位置に到達すると、図示しないペーパ
ー検出センサが該カラーペーパー16Pを検出する。こ
の検出により、図8のルーチンのステップ102で、濃
度計22から濃度を取り込む。この濃度の取込み処理を
図9を参照して説明する。
【0098】まず、ステップ132で露光部(標準濃度
となるように露光された部位)を測光し、ステップ13
4で測光により得られたR、G、Bの3原色信号を取り
込み、ステップ136で、取り込んだ3原色信号をR、
G、Bの各色の濃度に変換して記憶する。
【0099】ステップ138で未露光部(標準濃度とな
るように露光された部位以外の部位)を測光し、ステッ
プ140で測光により得られたR、G、Bの3原色信号
を取り込み、ステップ142で、取り込んだ3原色信号
をR、G、Bの各色の濃度に変換して記憶し、ステップ
104(図8参照)に進む。
【0100】以上の処理により、カラーペーパー16P
の露光部及び未露光部のR、G、Bの3原色の濃度(標
準濃度及び最小濃度Dmin )が取り込まれることにな
る。
【0101】ステップ104では、取り込んだ露光部及
び未露光部のR、G、Bの3原色の濃度に異常があるか
否かを判断する。なお、この判断は、取り込んだ露光部
及び未露光部のR、G、Bの3原色の濃度の各々と、
R、G、Bの3原色の標準濃度を含んだ許容範囲及び
R、G、Bの3原色の最小濃度を含んだ許容範囲とを比
較することにより行われ、取り込んだ露光部及び未露光
部のR、G、Bの3原色の濃度が許容範囲外の値である
場合に異常があると判断する。なお、露光部及び未露光
部のいずれか一方の濃度に異常があるか否かを判断する
ようにしてもよい。
【0102】ステップ104の判断が否定された場合に
は処理液が適性性能であることから本処理を終了し、ス
テップ104の判断が肯定された場合には、処理液の処
理性能に異常があると判断し、異常原因を推定するた
め、ステップ106で、カラーペーパー16Pの写真特
性に影響のある物理量を判定する。
【0103】この判定処理を、図10を参照して詳細に
説明する。ステップ146で、変数iを0に初期化し、
ステップ148で、変数iを1インクリメントする。
【0104】ステップ150で、チェック項目iが異常
であるか否かをチェック(判断)する。チェック項目
は、カラーペーパー16Pの写真特性に影響のある物理
量であり、この物理量は変数iで識別される。また、図
8のステップ104の判断が肯定されれば、取り込んだ
露光部及び未露光部の少なくとも一方のR、G、Bの3
原色の濃度に異常があることになる。なお、濃度の異常
は、未露光部の濃度(最小濃度)が許容範囲の上限値を
越えた場合、露光部の濃度(標準濃度)が許容範囲の下
限値を下回った場合、及び標準濃度が許容範囲の上限値
を越えた場合の3態様があり、各態様毎にチェック項目
iの順番が定まっている。この順番は、多数の実験から
得られ、濃度が異常となった原因に関連性が高い順に定
められている。なお、このチェックの順番とチェック処
理の詳細は後述する。
【0105】ステップ150の判断が否定された場合に
は、ステップ148に戻って以上の処理(ステップ14
8及びステップ150)を繰り返す。一方、ステップ1
50の判断が肯定された場合には、ステップ152で、
異常内容(異常であるチェック項目及びその内容)を記
憶し、ステップ154で、記憶した異常内容から、濃度
が異常となった原因を特定することができたか否かを判
断する。すなわち、チェックしたチェック項目が異常で
あれば、異常であるチェック項目に基づいて直接濃度が
異常となった原因を特定できる場合と、異常である複数
のチェック項目の組み合わせに基づいて濃度が異常とな
った原因を特定できる場合とがあり、本実施例では、異
常であるチェック項目のパターンと濃度が異常となった
原因とを対応して記憶するようにてしている。そこで、
ステップ154では、記憶した異常内容と異常であるチ
ェック項目のパターンとを比較して、濃度が異常となっ
た原因を特定することができたか否かを判断する。
【0106】ステップ154の判断が否定された場合に
は、ステップ156で、変数iが各態様毎に定められた
チェック項目iの総数i0 を越えたか否かを判断するこ
とにより、全てのチェック項目を判断したか否かを判断
する。
【0107】ステップ156の判断か否定された場合に
は、未だチェックしていない項目が存在するので、ステ
ップ148に戻って、上述した処理(ステップ148〜
ステップ156)を繰り返す。
【0108】ステップ156の判断が否定された場合に
は、全てのチェック項目をチェックしたが原因を特定す
ることができなかったので、ステップ158で判定不能
と記憶して、図8のステップ108に進む。
【0109】一方、ステップ152に記憶された異常内
容から、濃度が異常となった原因を特定することができ
た場合には、ステップ154の判断が肯定され、図8の
ステップ108に進む。
【0110】次に、上記チェック項目iの順番を各態様
毎に説明する。未露光部の濃度(最小濃度)が許容範囲
の上限値を超えた場合には、カラーペーパー16Pの処
理量、リンス槽の補充精度、他の処理槽の補充精度及び
他の物理量の順に異常であるか否かをチェックする。な
お、他の物理量には、チェック順に、水洗水の電気伝導
度、各処理液の温度、発色現像処理液及び漂白定着処理
液のpH、発色現像処理液及び漂白定着処理液の比重、
各処理液の加水量がある。
【0111】露光部の濃度(標準濃度)が許容範囲の下
限値を下回った場合には、発色現像槽の補充精度、カラ
ーペーパー16Pの処理量、発色現像処理液のpH及び
比重の少なくとも一方及び他の物理量の順に異常である
か否かをチェックする。なお、この他の物理量の順番は
上記と同様に定めることができる。
【0112】露光部の濃度(標準濃度)が許容範囲の上
限値を超えた場合には、カラーペーパー16Pの処理
量、発色現像槽の補充精度、発色現像液のpH及び比重
の少なくとも一方及び他の物理量の順に異常であるか否
かをチェックする。なお、この他の物理量の順番も上記
と同様に定めることができる。
【0113】なお、ステップ104において濃度の異常
態様が複数あると判断された場合には、各態様毎に、上
記の順番でチェック項目をチェックする。そして、各態
様毎に、濃度が異常となった原因を推定し、推定した原
因が一致しているか否かを判断する。なお、異常態様の
判断順は任意でよい。
【0114】次の表6及び表7にチェック項目のパター
ンと原因との関係の一例を示す。
【0115】未露光部の濃度(最小濃度)が許容範囲の
上限値を超えた場合
【0116】
【表6】
【0117】
【0118】露光部の濃度(標準濃度)が許容範囲の下
限値を下回った場合
【0119】
【表7】
【0120】なお、露光部の濃度(標準濃度)が許容範
囲の上限値を超えた場合におけるチェック項目のパター
ンと原因との関係も上記と同様に定めることができる。
【0121】次に、各チェック項目のチェック処理を説
明する。カラーペーパー16Pの処理量のチェックは、
後述するように、本実施例では、カラーペーパー16P
の処理量が1週間及び1ヶ月毎に時系列で記憶されてい
るので、この時系列で記憶されている1週間及び1ヶ月
毎のカラーペーパー16Pの最新の処理量を取込み、取
り込んだ1週間及び1ヶ月毎の処理量が、許容範囲(カ
ラーペーパー16Pの写真特性を許容範囲内に維持する
ためにカラーペーパー16Pを処理すべき量の範囲)内
か否かを判断することにより行う。
【0122】各処理槽の補充精度のチェックは、後述す
るように、1週間のカラーペーパー16Pの処理量に基
づく補充精度が記憶されているので、日付データを参照
して記憶されている1週間のカラーペーパー16Pの処
理量に基づく最新の補充精度を取込み、取り込んだ補充
精度が、許容範囲(補充精度が良好な範囲)か否かを判
断することにより行う。
【0123】なお、本実施例では、各処理槽の補充精度
が、±5%以内の範囲外であれば、その旨を記憶するよ
うにしているが、各処理槽の補充精度が±5%以内の範
囲(第1の許容範囲)及び±10%以内でかつ±5%を
越える範囲(第2の許容範囲)の2つの範囲外であるか
否かを判断するようにしてもよい。
【0124】電気伝導度のチェックは、後述するよう
に、最終のリンス処理槽10N6のリンス液の電気伝導
度が時系列に記憶されているので、この時系列で記憶さ
れているリンス液の電気伝導度を取込み、取り込んだ電
気伝導度が、許容範囲(カラーペーパー16Pの写真特
性が許容範囲内に維持されるための最終のリンス処理槽
10N6のリンス液の理想的な電気伝導度を基準にした
許容範囲)内か否かを判断することにより行う。
【0125】各処理液の温度のチェックは、後述するよ
うに、各処理液の温度は時系列で記憶されているので、
この時系列で記憶されている各処理液の温度を取込み、
取り込んだ各処理液の温度が、設定温度を基準とした許
容範囲内の値か否かを判断することにより行う。
【0126】pHのチェックは、後述するように、現像
処理液及び漂白定着処理液のpHが時系列に記憶されて
いるので、この時系列で記憶されている現像処理液及び
漂白定着処理液のpHを取込み、取り込んだ現像処理液
及び漂白定着処理液のpHが、許容範囲(カラーペーパ
ー16Pの写真特性が許容範囲内に維持されるための現
像処理液及び漂白定着処理液の理想的なpHを基準にし
た許容範囲)内か否かを判断することにより行う。
【0127】比重のチェックは、後述するように、現像
処理液及び漂白定着処理液の比重が時系列に記憶されて
いるので、この時系列で記憶されている現像処理液及び
漂白定着処理液の比重を取込み、取り込んだ現像処理液
及び漂白定着処理液の比重が、許容範囲(カラーペーパ
ー16Pの写真特性が許容範囲内に維持されるための現
像処理液及び漂白定着処理液の理想的な比重を基準にし
た許容範囲)内か否かを判断することにより行う。
【0128】加水量のチェックは、後述するように、各
処理液における実加水量及び理論加水量を時系列で記憶
しているので、日付データを参照して記憶している最新
の実加水量及び理論加水量を取込み、取り込んだ実加水
量が、許容範囲(カラーペーパー16Pの写真特性が許
容範囲内に維持されるための理論加水量からの許容範
囲)内か否かを判断することにより行う。
【0129】次に上記の処理量、処理液の温度、補充精
度等の検出ルーチンについて詳細に説明する。
【0130】カラーペーパー16Pの処理量を検出する
処理量検出ルーチンを図11を参照して説明する。
【0131】前述したように、露光部14においてネガ
フィルムNの画像が焼き付けられたカラーペーパー16
Pはプロセッサ部10N内に搬送される。このとき、カ
ラーペーパー16Pは、赤外線放射部32Nと検出部3
4Nとの間を通過する(図2(b)参照)。一方、赤外
線放射素子32N1〜32N6は常時赤外線を放射して
いるため、カラーペーパー16Pが赤外線放射部32N
と検出部34Nとの間を通過すると、カラーペーパー1
6Pによって赤外線が遮断される。
【0132】赤外線放射素子32N1〜32N6のいず
れかからの赤外線が遮断されると検出素子34N1〜3
4N6から遮断信号が制御部60に入力される。検出素
子34N1〜34N6のいずれかからこの遮断信号を入
力した場合には、ステップ162の判断が肯定され、す
なわち、カラーペーパー16Pの先端が通過したと判断
され、ステップ164で計時を開始し、ステップ166
で、遮断信号を出力した検出素子の個数からカラーペー
パー16Pの幅を検出する。すなわち、赤外線放射素子
32N1〜32N6及び検出素子34N1〜34N6
は、前述したように、カラーペーパー16Pの搬送方向
Xと交差する方向に配置されているので、カラーペーパ
ー16Pが赤外線放射部32Nと検出部34Nとの間を
通過すると、カラーペーパー16Pの幅に対応する検出
素子34N2〜34N5から遮断信号が出力され、遮断
信号を出力した検出素子の個数からカラーペーパー16
Pの幅を検出することができる。
【0133】次のステップ168で、カラーペーパー1
6Pによる赤外線の遮断が解除されたか否かを判断する
ことにより、カラーペーパー16Pの後端が通過したか
否かを判断する。カラーペーパー16Pの後端の通過が
検出されるとステップ168の判断が肯定され、ステッ
プ170で、計時を終了する。以上によりカラーペーパ
ー16Pが赤外線放射部32Nと検出部34Nとの間を
通過するのに要した時間が計時される。
【0134】次のステップ172では、カラーペーパー
16Pの処理量として、連続して処理したカラーペーパ
ー16Pの総面積を演算する。すなわち、カラーペーパ
ー16Pの搬送速度は予め決定されているので、この搬
送速度と計時された時間とからカラーペーパー16Pの
長さが検出でき、この長さとステップ146で検出した
カラーペーパー16Pの幅とからカラーペーパー16P
の総面積を演算することができる。
【0135】このように、カラーペーパー16Pを処理
する毎に、処理したカラーペーパー16Pの総面積(処
理量)を積算して、1日、1週間、1ヶ月及び処理液が
フレッシュ状態(カラーペーパー16Pを処理していな
い状態)からのカラーペーパー16Pの各々の処理量を
時系列に日付データ(年、月、日)と共に記憶する。
【0136】各処理液の温度を検出する温度検出ルーチ
ンを図12を参照して説明する。本ルーチンは、プリン
タープロセッサ10が停止状態からスタンバイ状態にな
り、処理液の温度が設定温度となったと判断されたとき
割り込み処理により実行され、ステップ176で、各処
理液の温度を温度センサ40N1 〜40N6 から取込
み、取り込んだ温度を日付データと共に記憶する。
【0137】処理槽の補充精度を検出する補充精度検出
ルーチンを図13を参照して説明する。なお、本ルーチ
ンは、1週間毎、例えば、日曜日にプリンタープロセッ
サ10が停止状態になったと判断されたとき実行され、
ステップ182で、各処理槽の超音波レベル計46N1
〜46N6 から各補充液のレベル(今回のレベル)を取
込み、ステップ184で、前回レベル、すなわち、本ル
ーチンが実行される一回前(1週間前)の各補充液のレ
ベルを取込む。ステップ186で、今回のレベル、前回
のレベル及び各補充タンク44Mの補充液の貯留部の形
状データ(例えば、底面積等)から、実際に補充液を補
充した量(実補充量)を演算する。
【0138】ステップ188で、今回のレベル(ステッ
プ182で取り込んだレベル)及び演算した実補充量を
日付データと共に記憶する。
【0139】ステップ190で、日付データを参照して
前回本ルーチンが実行されてから今回本ルーチンが実行
されまでの間の1週間のカラーペーパー16Pの処理量
を取込み、ステップ192で、理想補充量を演算する。
すなわち、本実施例では、カラーペーパー16Pの処理
量が所定値S1になる毎に、補充液をV(例えば、50
〔ml〕)補充するようにしている。従って、過去1週
間以内にカラーペーパー16Pを処理した総処理量S0
に対する理想補充量Hは次式(1)から得られる。
【0140】
【数1】H=(S0/S1)×V・・・(1) ステップ194で、各処理槽の補充精度、すなわち、実
補充量の理想補充量に対する誤差を演算し、ステップ1
96で、演算した各処理槽の補充精度を日付データと共
に記憶する。
【0141】最終のリンス処理槽10N6のリンス液の
電気伝導度を時系列に記憶する処理は、温度検出ルーチ
ンと同様であるのでその説明を省略するが、本処理は、
温度検出ルーチンが終了したとき割り込み処理により実
行される。なお、最終のリンス処理槽10N6のリンス
液の電気伝導度のみを検出するのは、処理液の濃度が小
さい程精度よく電気伝導度を検出することができるため
である。なお、最終リンス処理槽以外のリンス液の電気
伝導度を検出するようにしてもよい。
【0142】現像処理液及び漂白定着処理液のpHを時
系列に記憶する処理は、上記温度検出ルーチンと同様で
あるのでその説明を省略するが、本処理は、電気伝導度
を検出する処理が終了したき割り込み処理により実行さ
れる。なお、現像処理液及び漂白定着処理液のpHのみ
を検出するのは、処理液の濃度が高い程精度よくpHを
検出することができるためである。なお、現像処理液及
び漂白定着処理液以外の処理液のpHを検出するように
してもよい。
【0143】現像処理液の比重を検出する比重検出ルー
チンを図14を参照して説明する。まず、本実施例にお
ける比重検出の原理を説明する。例えば、苛性ソーダ
(NaOH)のように溶液の組成が1成分のときの密度
は溶液中の超音波の伝搬速度が検出できれば決定でき
る。すなわち、溶液中の超音波の伝搬速度をV、この溶
液の体積弾性率をEとすると、溶液の密度ρは、次式
(2)から得られる。
【0144】
【数2】ρ=E/V2 ・・・(2) このように、溶液の密度が求まれば、この密度からこの
溶液の比重も求めることができる。
【0145】しかしながら、前述したように処理液は多
成分で構成されているので、薬品成分の種類及びその成
分比率によって処理液の体積弾性率Eが変化するため、
処理液中の超音波の伝搬速度及び処理液を検出しても、
正確にその比重を求めることができない。
【0146】一方、本発明者等は、同一タイプの複数
(なお、説明の便宜上3台を例にして説明する。)のフ
ィルムプロセッサの処理液をサンプリングし、それぞれ
の処理液を水で希釈しながら、そのときの処理液中を伝
搬する超音波の伝搬速度を測定し、同時に基準となる比
重計で比重の測定を行った。その結果を図15及び図1
6に示す。なお、図15は、それぞれのフィルムプロセ
ッサの漂白液中を伝搬する超音波の伝搬速度に比例する
出力値〔mV〕と測定された比重との関係を示し、図1
6は、それぞれのフィルムプロセッサの定着液中を伝搬
する超音波の伝搬速度に比例する出力値〔mV〕と測定
された比重との関係を示す。これらの図から理解される
ように、処理機が異なれば、同一の伝搬速度であっても
比重が異なっている。なお、これらの比重は、浮子式や
振り子式等の比重計を用いて求めた。
【0147】このように同一の伝搬速度であっても処理
機が異なれば比重が異なるのは、それぞれのフィルムプ
ロセッサにより処理したネガフィルムNの処理量が異な
るからである、と考えられる。なぜなら、ネガフィルム
Nを処理液で処理すればネガフィルムNから処理液に所
定成分が溶出し、溶出量も処理量が多ければ多い程多く
なり、これに従って処理液の組成が変化するからであ
る。すなわち、処理液の組成の変化量は処理量に応じて
定まるからである。逆に、同じ比重でも、処理量が異な
ると、溶液の組成に違いが生じ、これにより超音波の伝
搬速度が異なってくる。
【0148】そこで、多数のフィルムプロセッサの処理
液中を伝搬する超音波の伝搬速度と測定された比重との
関係をネガフィルムNの処理量と共に処理液を水で希釈
しながら調査してみると、図17に示す関係が得られ
た。すなわち、図17(a)には、漂白液がフレッシュ
の状態(未だネガフィルムNを処理していない状態)の
ときの伝搬速度と測定された比重との関係が示されてい
る。図17(b)には、ネガフィルムNの処理量がある
処理量Kのときの漂白液中を超音波が伝搬する伝搬速度
と測定された比重との関係が示されている。図17
(c)には、定着液がフレッシュの状態のときの伝搬速
度と測定された比重との関係が示されている。図17
(d)には、ネガフィルムNの処理量がある処理量Kの
ときの定着液中を超音波が伝搬する伝搬速度と測定され
た比重との関係が示されている。なお、この処理液は、
富士フィルム株式会社のカラーネガフィルム用の処理液
『CN−16X』(商品名)を用いた。
【0149】以上説明したように、同一のタイプのフィ
ルムプロセッサの処理液でもネガフィルムNの処理量が
異なると伝搬速度と処理液の比重との関係が異なるが、
処理量が同一の場合には伝搬速度と比重との関係は同一
となる。
【0150】ところで、以上は、フィルムプロセッセに
ついて説明したが、これは、プリンタープロセッサでも
同様のことが言える。
【0151】そこで、本実施例では、処理液中の超音波
の伝搬速度と比重との関係を所定の処理量毎に図17と
同様のマップを記憶するようにしている。図17では、
各処理液についてフレッシュの状態のときの関係と処理
量がKのときの関係とを示したが、処理量が0〜Kの間
及びKを越える範囲に定められた複数の処理量について
各マップが定められている。また、この伝搬速度と比重
との関係は、処理量が多くなるに従って伝搬速度と比重
との関係を示す直線の傾きが大きくなる傾向にある。
【0152】なお、処理液中の超音波の伝搬速度と比重
との関係を示したマップを記憶せず、同様のデータテー
ブルを記憶するようにしてもよく、また、処理量に応じ
た処理液中の超音波の伝搬速度と比重との関係を示す演
算式を記憶するようにしてもよい。なお、更に温度に応
じたマップ等を記憶するようにしてもよい。すなわち、
前述したように本実施例では、処理液の温度を設定温度
に制御するものであるが、処理液の設定温度を複数用意
し、所定条件のときに設定温度を選択し、処理液の温度
を選択した設定温度となるように制御する場合には、こ
の温度に応じた処理液中の超音波の伝搬速度と比重との
関係を示したマップ(所定の処理量の範囲毎のマップ)
を記憶するようにする。これにより、比重の温度補正が
行われる。
【0153】本ルーチン(図14参照)は、現像処理液
及び漂白定着処理液のpHを時系列に記憶する処理が終
了したときスタートする。
【0154】まず、ステップ202で、フレッシュ状態
からのカラーペーパー16Pの総処理量を取込み、ステ
ップ204で、取り込んだ総処理量に処理量が最も近い
マップ(図17と同様のマップ)を選択する。
【0155】ステップ206では、上記のように超音波
が発色現像処理液中(距離D2 )を伝搬するのに要する
時間及び距離D2 から演算された発色現像処理液中を超
音波が伝搬する伝搬速度に比例する出力値〔mV〕を取
り込み、ステップ208で、選択したマップに基づいて
出力値〔mV〕から比重を演算し、ステップ210で、
演算した比重を日付データと共に記憶する。
【0156】各処理液への加水量を検出するルーチンを
図18を参照して説明する。本ルーチンは、プリンター
プロセッサ10が停止状態からスタンバイ状態となった
ときに実行される。
【0157】すなわち、プリンタープロセッサ10は、
所定時間毎に、環境温度センサ54から環境温度及び環
境湿度センサ56から環境湿度を取込み、これを記憶す
ると共にプリンタープロセッサ10が停止状態、スタン
バイ状態、及びドライブ状態の各運転状態のときの時間
を記憶している。
【0158】そこで、ステップ212では、このように
記憶した環境温度、環境湿度及び運転状態のときの各時
間から、本ルーチンを前回実行したときから今回実行す
るまでの間(1日)に各処理液からの水の蒸発量(理論
加水量)を演算し、ステップ214で、補充ポンプ48
1 〜48L6 を駆動させてこの理論加水量だけ水を供
給し、ステップ216で、補充流量計48N1 〜48N
6 から実際に各処理液に供給した加水量(実加水量)を
取込み、ステップ218で、理論加水量及び実加水量を
日付データと共に記憶する。
【0159】なお、上記のように記憶された物理量のデ
ータが、所定期限(例えば、1ヵ月)以上経過している
古いデータから消去するようにすれば、効果的にデータ
を記憶することができる。
【0160】上記のようにして物理量の判定を行った
後、ステップ108(図8参照)では、異常項目を表示
パネル72に表示する。例えば、カラーペーパー16P
の1週間の処理量が許容範囲外であれば、カラーペーパ
ー16Pの1週間の処理量が許容範囲外であることを表
示する。
【0161】ステップ110で、図10のステップ15
4で特定された原因を表示する。また、原因が特定でき
ず判定不能と記憶した場合には、判定不能であることを
表示する。
【0162】次のステップ112では、推定された異常
原因に基づいて対策案(取り込んだ露光部及び未露光部
のR、G、Bの3原色の濃度を許容範囲内の値とするた
めの対策案)を推定し、ステップ114で、推定した対
策案を表示し、ステップ116で、推定した対策案を実
行する。
【0163】なお、このように、異常原因が特定される
と、対策案も特定されるで、本実施例では異常原因と、
この異常原因に対応して対策案も記憶している。
【0164】ここで、補充液の補充不足の場合、例え
ば、リンス槽10N3〜10N6への補充液の補充精度
が許容範囲を下回った、すなわち、補充ポンプ44N3
〜44N6 を駆動して補充した補充液の量が設定値から
所定量下回った量しか補充されていない場合には、対策
としてこの設定値を所定量、例えば、5〔ml〕上昇さ
せる。また、リンス槽10N3〜10N6の補充ポンプ
44N3 〜44N6 の故障や、リンス槽10N3〜10
N6の循環フイルター30N43 〜30N46 のめずま
り等が判断された場合(補充量を補正したにもかかわら
ず異常項目が正常にならない場合等)には、対策として
補充ポンプ44N3 〜44N6 の交換、循環フイルター
30N43 〜30N46 のめずまり除去の指示情報を表
示パネル72に表示すと共に、さらに、このプリンター
プロセッサが通信線で本部のホストコンピュータに接続
されている場合には、本部のモニターにこのプリンター
プロセッサ10の補充ポンプ44N3 〜44N6 の交換
を指示する情報を表示する等がある。なお、判定不能の
場合には、濃度異常の態様及び異常であるチェック項目
の各データを本部のホストコンピュータに送信するよう
にしもよい。
【0165】ステップ118では、一定時間経過した後
に、前述したカラーペーパー16Pの露光部及び未露光
部の濃度が許容範囲内となっているか否かを再確認すべ
き旨を表示し、ステップ120で、一定時間が経過した
か否かを判断し、ステップ122で、再度、前述したカ
ラーペーパー16Pの露光部及び未露光部の濃度が許容
範囲内となっているか否かを判断する。許容範囲内とな
っていないと判断された場合には、ステップ124で、
原因解析を指示すべき旨の情報を表示パネル72に表示
して、本処理を終了し、ステップ126の判断が肯定さ
れた場合、すなわち、前述したカラーペーパー16Pの
露光部及び未露光部の濃度が許容範囲内となっている場
合には、ステップ126で、カラーペーパー16Pの露
光部及び未露光部の濃度が許容範囲内となっているか否
かを判断すべき旨の表示を停止させて、本処理を終了す
る。
【0166】このように、処理液の処理性能が異常な場
合に、その原因を特定することかでき、かつ、特定した
原因に基づいて、取り込んだ露光部及び未露光部のR、
G、Bの3原色の濃度を許容範囲内の値とするための対
策を実行することから、対策が実行された場合には、カ
ラーペーパーの濃度を所定範囲内の値にすることがで
き、処理液の処理性能を許容範囲にすることができる。
【0167】また、未露光部及び露光部の少なくとも一
方の濃度が異常な場合に、その態様に応じて予め定めら
れた順番に物理量を判定して、未露光部及び露光部の少
なくとも一方の濃度が異常となった原因を特定すること
から、原因を迅速かつ効率的に特定することができ、か
つ、特定した原因に基づいて、取り込んだ露光部及び未
露光部の濃度を許容範囲内の値とするための対策を実行
することから、カラーペーパーの濃度が異常となっても
迅速に許容範囲内の値にすることができる。
【0168】本発明者等は、上記実施例のプリンタープ
ロセッサとして、富士写真フィルム株式会社製の小型現
像所(ミニラボ)用のプリンタープロセッサPP125
5V(商品名)を使用し、処理液に同社製のCP−47
L(商品名)を使用した。なお、このプリンタープロセ
ッサ『P1255V』の処理工程は、現像処理(45
秒)、漂白定着処理(45秒)、リンス処理(90
秒)、乾燥処理(60秒)である。
【0169】また、このプリンタープロセッサ『PP1
255V』にカラーペーパー16Pの所定部位が標準濃
度となるように露光するためのフイルター及びこのフイ
ルターを用いて標準濃度となるように露光したカラーペ
ーパー16Pの露光部及び未露光部の濃度(青色
(B)、緑色(G)及び赤色(R)の3色の最小濃度)
を検出する濃度計及び前述した各種センサを内蔵した。
【0170】さらに、このプリンタープロセッサ『PP
1255V』に、本実施例が適用できるように、過去1
週間と過去1ヶ月の処理量を記録すると共に記録した過
去1週間と過去1ヶ月の処理量と許容処理量とを比較す
る機能を設けた。また、各処理液の温度を記録すると共
に記録した各処理液の温度と許容温度とを比較する機
能、及び各処理液の補充精度を記録する機能を設けた。
この補充精度は、過去1週間の処理量に基づく補充精度
を記録するようにした。また、最終のリンス槽の水洗水
の電気伝導度を測定すると共に測定した電気伝導度と許
容範囲と比較する機能、及び現像液及び漂白定着液のp
H及び比重を測定すると共に測定したpH及び比重と、
各々の許容範囲と比較する機能、及び各処理液の加水量
を記録すると共に記録した加水量と許容範囲とを比較す
る機能を設けた。
【0171】そして、プリンタープロセッサ『PP12
55V』が停止状態からスタンバイ状態になり、各処理
液の温度が設定温度となったと判断されたとき、上記フ
イルターを用いて標準濃度となるように露光されたカラ
ーペーパー16Pを上記処理工程で処理し、上記濃度計
によりカラーペーパー16Pの未露光部及び露光部を測
光してイエロー、シアン、マゼンタ濃度に変換してサン
プリングしたところ、未露光部のイエローの濃度(BL
min )のサンプリング値が、図19に示すようにな
った。すなわち、上記処理工程で処理さたカラーペーパ
ー16Pの未露光部のイエローの濃度の5日前〜3日前
までのサンプリング値SP5〜SP3は、標準濃度gy10
に近い値となっていたが、2日前から除々に上昇し(サ
ンプリング値SP2 、SP1 参照)、今回のサンプリン
グ値SP0 が、許容範囲の上限値gy11 (+0.03)
を越えた。
【0172】このようなサンプル値SP0 があったの
で、未露光部のイエローの濃度(BLDmin )が上限値
を超えることになった原因を関連が高い順番、すなわち
カラーペーパーの処理量、リンス槽の補充精度、最終の
リンス槽の水洗水の電気伝導度、各処理液の温度、発色
現像液及び漂白定着液のpH及び比重、各処理液への加
水量の順番に各物理量を判定した。
【0173】この結果、カラーペーパー16Pの1週間
の総処理量の各サンプル値は、図20に示すように、理
想処理量k10を含んだ許容範囲内の値であった。なお、
11は上限値、k12は下限値である。
【0174】このようにカラーペーパー16Pの1週間
の総処理量が許容範囲内であったため、次にリンス処理
槽の水洗処理水への1週間の処理量に基づく補充精度を
前述した方法で検出した。このサンプリグ結果は、図2
1に示すように、4週間前のサンプリング値SP13から
理想補充精度h10を下回り始め、今回のサンプリング値
SP10が許容範囲の下限値h12(−10%)を下回っ
た。なお、この段階では原因を特定することができなか
った。
【0175】さらに、次に最終のリンス処理槽の水洗水
の電気伝導度を上記方法で検出した。このサンプリング
結果は、図22に示すように、4日前のサンプリング値
SP 24から理想電気伝導度n10を越え始め、前日及び今
回のサンプリング値SP21、SP20が、許容範囲の上限
値n11(×1.5倍)をオーバーした。
【0176】ここまでチェックしたところリンス処理槽
の水洗水の補充量が低下していることが異常の原因と推
定できたので、後に予定されている物理量のチェックを
省略した。なお、本処理が終了したとき、後に予定され
ている他の物理量をチェックしてみたところ、発色現像
処理槽、漂白定着処理槽、リンス処理槽の各処理液の温
度、発色現像処理液及び漂白定着処理液のpH及び比
重、及び各処理液への加水量は許容範囲内であった。
【0177】このようにリンス処理槽の水洗処理水への
補充精度が許容範囲の下限値を下回り、最終のリンス処
理槽10N6の電気伝導度が許容範囲の上限値をオーバ
ーしたので、『水洗処理水補充精度低減』及び『最終の
リンス処理槽10N6の水洗水電気伝導度上昇』と表示
パネル72に表示した。
【0178】そして、リンス処理槽の補充量を所定量上
昇させた。その後、一週間後に標準濃度が露光されたカ
ラーペーパー16Pの未露光部の濃度を測定してみた結
果、許容範囲になっていた。
【0179】さらに、本発明者等は、前述したプリンタ
ープロセッサPP1255V(処理液CP−47L、現
像処理(45秒)、漂白定着処理(45秒)、リンス処
理(90秒)、乾燥処理(60秒)の処理工程)におい
て、過去1週間と過去1ヶ月の処理量を記録すると共に
記録した過去1週間と過去1ヶ月の処理量と許容範囲と
を比較する機能、及び各処理液の補充精度を記録する機
能を設けた。この補充精度は、3日間の処理量に基づく
補充精度を記録するようにした。
【0180】その結果、プリンター内蔵フイルターを用
いて標準濃度となるように露光されたカラーペーパー1
6Pが上記処理工程で処理され、未露光部及び標準露光
部を濃度計により測光してサンプリングしてみたとこ
ろ、標準露光部のマゼンタ及びシアンの濃度のサンプリ
ング値がそれぞれ図23、図24に示すようになった。
【0181】すなわち、上記処理工程で処理さたカラー
ペーパー16Pの露光部のマゼンタの濃度は5日前のサ
ンプリング値SP35からマゼンタの標準濃度gm10 を除
々に下回り始め、今回のサンプリング値SP30は、許容
範囲の下限値gm12 (−0.10)近くの値になった。
また、上記処理工程で処理さたカラーペーパー16Pの
露光部のシアンの濃度は3日前のサンプリング値SP43
からシアンの標準濃度gc10 を除々に大きく下回り始
め、今回のサンプリング値SP40が、許容範囲の下限g
c12 (−0.10)となった。
【0182】このように、カラーペーパー16Pの露光
部のマゼンタ及びシアンのサンプリング値が許容範囲の
下限となったので、単位時間当たりのカラーペーパーの
処理量及び各処理液に補充された補充液の補充量のみを
検出してサンプリングしたところ、各処理液に補充され
た補充液の補充量は許容範囲内であったが、図25に示
すように、過去1週間、過去2週間から過去1週間まで
の1週間、過去3週間から過去2週間までの1週間、過
去4週間から過去3週間までの1週間のそれぞれのカラ
ーペーパー16Pの処理量のサンプリング値SP50、S
51、SP52、SP53、は、許容範囲内であるが、全て
許容範囲の下限値Kw 12(1/2)に近い値であった。
このように、過去4週間について各々の1週間の処理量
が少なかったため、図26に示すように、過去1ヶ月間
の処理量のサンプリング値SP60が許容範囲の下限値K
m12 (1/2)を下回っていた。
【0183】このように1ヶ月間のカラーペーパー16
Pの処理量が許容範囲の下限値Km1 2 を下回っていたの
で、『処理量下限』と表示した。
【0184】そして、処理量が下限値となったため現像
活性が低下していると原因が推定される。そこで、発色
現像処理液の補充量を所定量上昇させた。その後、一週
間後にカラーペーパー16Pの標準濃度となるように露
光された部位の濃度を測定した結果、許容範囲になって
いた。
【0185】次に、本発明の第2の実施例を説明する。
本実施例の写真感光材料処理装置としてのフィルムプロ
セッサは、図27に示すように、ネガフィルムNを装填
する装填部11を備えている。この装填部11は、図示
しない蓋を開けることにより露出され、撮影によって画
像が露光されたネガフィルムNが装填され、その後、装
填されたネガフィルムNをプロセッサ部10P内へ搬送
する。この装填部11には、前述した第1の実施例と同
様の、コード読み取りセンサ55、赤外線放射部32N
及び検出部34Nにより構成されたフォトセンサが設け
られている。装填部11の上側には、前述した第1の実
施例と同様の表示パネル72、装填部11の下側には、
前述した環境温度センサ54、環境湿度センサ56が設
けられている。
【0186】プロセッサ部10Pには、発色現像処理槽
10A、漂白槽10B、漂白定着槽10C、定着槽10
D、スーパーリンス槽10E、安定槽10F、10Gが
順に配置されており、各処理槽内にはそれぞれ発色現像
処理液、漂白処理液、漂白定着処理液、定着処理液、水
洗処理水、安定処理液が貯留されている。また、各処理
槽には上部ローラ及び下部ローラが設けられ、各処理槽
間及び処理槽内の搬送経路を構成しており、ネガフィル
ムNは、上部ローラ及び下部ローラにより各処理槽を通
過すると共に各処理液に浸漬されて処理される。
【0187】また、プロセッサ部10Pの隣には乾燥部
10Hが配置されている。乾燥部10Hは、ネガフィル
ムNを鉛直方向に往復搬送しながら図示しないヒータに
より温められた空気をファンによって送風することによ
り、ネガフィルムNを乾燥する。そして、ネガフィルム
Nは、乾燥部10Hの出口10HEよりも下流側に配置
されたフィルムリーダ集積部10I内を搬送され、ネガ
フィルムNの先端に接着されたリーダが図示しないハン
ガーに掛けられ、さらにネガフィルムNが搬送されるこ
とにより、ネガフィルムNの後端部分が収容ボックス2
2Nに収容される。そして、フィルムプロセッサには、
各種制御を行う制御部60が設けられている。
【0188】なお、発色現像槽10Aは前述した第1の
実施例における発色現像槽10N1と、また、漂白槽1
0B、漂白定着処理槽10Cは前述した第1の実施例に
おける漂白定着槽10N2と、スーパーリンス槽10E
及び安定槽10Fは第1の実施例におけるリンス槽10
N3と、安定槽10Gは、第1の実施例における最終の
リンス槽10N6と、同一の構成となっている。
【0189】なお、フィルムリーダ集積部10Iには、
赤外線センサユニット120V及び濃度計22が設けら
れている。
【0190】次に、赤外線センサーユニット120V
を、図28を参照して詳細に説明する。この赤外線セン
サーユニット120Vは、赤外線放射ダイオード(以
下、放射ダイオードと称する。)12A、12B、12
Cを備えている。この放射ダイオード12A、12B、
12Cには、ガリウム砒素(GaAs)を用いた液相エ
ピタキシャル型の放射ダイオードを用いることができ
る。なお、放射ダイオードに代えて、炭酸ガス(C
2 )レーザ、一酸化炭素(CO)レーザ等を用いるこ
ともできる。
【0191】この放射ダイオード12A、12B、12
Cに対向するように、光起電力型光電変換素子としての
ホトダイオード14A、14B、14Cが配置されてい
る。この光起電力型光電変換素子には、ホトダイオード
の他ホトトランジスタを用いることができる。
【0192】放射ダイオード12A及びホトダイオード
14Aで構成されたセンサ124A、放射ダイオード1
2B及びホトダイオード14Bで構成されたセンサ12
4B、放射ダイオード12C及びホトダイオード14C
で構成されたセンサ124Cは、それぞれ遮光箱20
A、遮光箱20B、遮光箱20Cにより遮光されてい
る。
【0193】センサ124AのネガフィルムN搬送方向
上流側、センサ124A及びセンサ124Bの間、セン
サ124B及びセンサ124Cの間、及びセンサ124
CのネガフィルムN搬送方向下流側には、それぞれ一対
のローラからなる搬送ローラ対16A、16B、16
C、16Dが設けられ、ネガフィルムNが、放射ダイオ
ード12A及びホトダイオード14Aと間、放射ダイオ
ード12B及びホトダイオード14Bと間、放射ダイオ
ード12C及びホトダイオード14Cと間を通過するよ
うに構成されている。なお、センサ124A、センサ1
24B、及びセンサ124Cは、等しい間隔で配置され
ている。
【0194】また、ホトダイオード14A、14B、1
4Cには、それぞれ、アンプ18A、18B、18Cが
接続されている。なお、このアンプ18A、18B、1
8Cは、それぞれ、抵抗、コンデンサおよびオペアンプ
から構成されている。
【0195】本実施例の制御部60は、図29に示すよ
うに、前述した第1の実施例の制御部と同様の構成であ
る。この制御部60の入出力ポート68には、前述した
第1の実施例の入出力ポート68に接続された各構成要
素以外に、放射ダイオード12A、12B、12C、ア
ンプ18A、18B、18Cを介してホトダイオード1
4A、14B、14Cが接続されている。
【0196】ここで、放射ダイオード12A、12B、
12Cから放射される赤外線について説明する。放射ダ
イオード12A、12B、12Cから放射される赤外線
は、放射されるエネルギーのスペクトル分布が略同一で
放射エネルギーが各々異なっている。すなわち、各放射
ダイオードのスペクトル分布は、図30に示すように、
ピークの部分が0.95〔μm〕となっている。また、
赤外線の放射エネルギー(以下、放射量という)は、図
32に示すように、放射ダイオード12Aは放射量W1
であり、放射ダイオード12Bは放射量W2(W1より
小さな値)であり、放射ダイオード12Cは放射量W3
(W2より小さな値)である。
【0197】この放射量W1は、各処理液で処理された
ネガフィルムNに残留する銀量が10〔μg/cm2
より多くてもこのネガフィルムNを透過する量であり、
放射量W2は、各処理液で処理されたネガフィルムNに
残留する銀量が10〔μg/cm2 〕以下の場合にこの
ネガフィルムNを透過する量であり、放射量W3は、各
処理液で処理されたネガフィルムNに残留する銀量が5
〔μg/cm2 〕以下の場合にこのネガフィルムNを透
過する量である。
【0198】なお、各処理液で処理されたネガフィルム
Nに残留する銀量が10〔μg/cm2 〕より多い場合
には、処理液の脱銀性能が不良と判断することができ
る。また、各処理液で処理されたネガフィルムNに残留
する銀量が5〔μg/cm2 〕以下の場合には、処理液
の脱銀性能が良好と判断することができる。そして、各
処理液で処理されたネガフィルムNに残留する銀量が5
〔μg/cm2 〕より多く、かつ、10〔μg/c
2 〕より小さい場合には、処理液の脱銀性能がやや不
良と判断することができる。
【0199】ホトダイオード14A、14B、14Cの
分光感度特性は、図31に示すように、0.85〔μ
m〕がピークとなっている。
【0200】本実施例の処理性能管理処理ルーチンは、
前述した第1の実施例と略同様であるので図示を省略す
るが、本実施例の処理性能管理処理ルーチンは、前述し
た第1の実施例における処理性能管理処理ルーチン(図
8参照)とは、ステップ102及びステップ106が相
違している。
【0201】また、本実施例における処理性能管理処理
ルーチンは、コンストの搬送が開始されときスタートす
る。このコンストは、異なる基準露光条件で露光がされ
て、未露光部(Dmin 部)、標準濃度部(LD部)、高
濃度部(HD部)の領域が形成されている。
【0202】ステップ102の濃度取り込み処理では、
図33に示すように、ステップ222で、Dmin 部を測
光し、ステップ224で、測光により得られたR、G、
Bの3原色信号を取り込み、ステップ226で、取り込
んだ3原色信号をR、G、Bの各色の濃度に変換する。
【0203】同様に、ステップ228〜ステップ232
において、LD部を測光し、R、G、Bの各色の濃度に
変換し、ステップ234〜ステップ238において、H
D部を測光し、R、G、Bの各色の濃度に変換して、本
ルーチンを終了する。
【0204】以上の処理により、コントロールストリッ
プのDmin 部、LD部及びHD部のR、G、Bの3原色
の濃度が取り込まれる。
【0205】本実施例では、前述した第1の実施例のス
テップ106(図8参照)における、ステップ146〜
ステップ158(図10参照)と同様な処理を行うと共
にD min 部及びLD部の異常態様に応じたチェック項目
の順番が第1の実施例と同様になっている。
【0206】本実施例では、さらに、HD部の異常態様
に応じてチェックするチェック項目の順番が次のように
予め定まっている。
【0207】HD部の濃度が許容範囲の下限値を下回っ
た場合には、発色現像槽の補充精度、ネガフィルムNの
処理量、発色現像液のpH及び比重の少なくとも一方、
漂白槽及び漂白定着槽の少なくとも一方の補充精度、漂
白液及び漂白定着液の少なくとも一方のpH及び比重の
少なくとも一方、及び他の物理量の順番にチェックす
る。
【0208】HD部の濃度が許容範囲の上限値を超えた
場合には、漂白槽の補充精度、ネガフィルムNに残留す
る残留銀量、各処理液のpH、リンス液及び安定液の少
なくとも一方の電気伝導度、各処理液の温度、及び他の
物理量の順番にチェックする。なお、他の物理量には、
順に、各処理液の比重、各処理液への加水量、ネガフィ
ルムNの処理量及び漂白槽以外の他の処理槽の補充精度
がある。
【0209】上記第1実施例と同様のチェック項目のパ
ターンと原因との関係の一例を次の表8及び表9に示
す。
【0210】HD部の濃度(最大濃度)が許容範囲の下
限値を下回った場合
【0211】
【表8】
【0212】
【0213】HD部の濃度(最大濃度)が許容範囲の上
限値を超えた場合
【0214】
【表9】
【0215】なお、Dmin 部及びLD部については第1
実施例と同様である。
【0216】ネガフィルムNに残留する銀量のチェック
は、後述するように、処理済のネガフィルムNに残留す
る銀量を時系列に記憶しているので、この時系列で記憶
したネガフィルムNに残留する最新の銀量を取込み、取
り込んだ銀量が許容範囲か否かを判断することにより行
う。
【0217】ここで、ネガフィルムNに残留する銀量を
検出する銀量検出ルーチンを図34を参照して説明す
る。ネガフィルムNが装填されると装填部11は、装填
されたネガフィルムNをプロセッサ部10P内へ搬送
し、プロセッサ部10P内に搬送されたネガフィルムN
は、上部ローラ及び下部ローラによって、発色現像処理
槽10A、漂白槽10B、漂白定着槽10C、定着槽1
0D4、スーパーリンス槽10E、安定槽10F、10
Gを順に通過して、各処理槽内の現像液、漂白液、漂白
定着液、水洗水、安定液の各処理液に浸漬されて処理さ
れる。各処理液で処理されたネガフィルムNは乾燥部1
0Hに案内され、乾燥部10H内を鉛直方向に往復した
後、ネガフィルムの先端部(図35参照)が常時赤外線
を放射している赤外線センサーユニット120Vに到達
する。
【0218】従って、ネガフィルムNの先端部が放射ダ
イオード12Aとホトダイオード14Aとの間を通過す
ると、放射ダイオード12Aから放射された赤外線を受
光するホトダイオード14Aの赤外線の検出量が変化す
る。
【0219】検出量が変化したことを検知すると、この
銀量検出ルーチンがスタートし、ステップ252で、所
定時間経過したか否かを判断する。この所定時間は、ネ
ガフィルムNの先端部NBが放射ダイオード12Bとホ
トダイオード14Bとの間に到達する時間に相当する。
この所定時間経過した場合には、先端部NBが、放射ダ
イオード12Bから放射された赤外線が照射可能な領域
に到達したことになるので、ステップ254で、放射ダ
イオード12Bから赤外線を放射させる。
【0220】ステップ256で、検出信号Bを入力した
か否かを判断する。すなわち、処理液の脱銀性能がやや
不良または良好の場合には、放射ダイオード12Bから
放射された赤外線はネガフィルムNの先端部NBを透過
して、ホトダイオード14Bによって検出される。この
場合には、ホトダイオード14Bから信号が出力され、
アンプ18Bによって増幅され検出信号Bとして入力さ
れる。従って、ステップ256の判断が肯定され、ステ
ップ260に進む。
【0221】一方、処理液の脱銀性能が不良の場合に
は、放射ダイオード12Bから放射された赤外線はネガ
フィルムNに存在する銀により略全量反射され、赤外線
がネガフィルムNを透過しなくなる。従って、ホトダイ
オード14Bの放射ダイオード12Bから放射された赤
外線の検出量が極めて小さくなり、検出信号Bも出力さ
れないことになる。
【0222】従って、この場合には、ステップ256の
判断が否定され、ステップ258で、検出信号Bを入力
しなかったこと記憶してステップ260に進む。
【0223】ステップ260で、所定時間が経過したか
否かを判断してネガフィルムNの先端部NBが放射ダイ
オード12Cとホトダイオード14Cとの間に到達した
か否かを判断する。この所定時間が経過した場合には、
先端部NBが、放射ダイオード12Cから放射された赤
外線が照射可能な領域に到達したことになるので、ステ
ップ262で、放射ダイオード12Cから赤外線を放射
する。
【0224】処理液の脱銀性能が良好な場合には、放射
ダイオード12Cから放射された赤外線は、ネガフィル
ムNを透過してホトダイオード14Cにより検出される
ので、ホトダイオード14Cから検出信号Cが出力され
て、ステップ264の判断が肯定され、ステップ268
に進む。
【0225】一方、処理液の脱銀性能が良好でない場合
には、放射ダイオード12Cから放射された赤外線は、
ネガフィルムNを透過せず、ホトダイオード14Cから
検出信号Cが出力されないので、ステップ264の判断
が否定され、ステップ266で、検出信号Cを入力して
いないことを記憶して、ステップ268に進む。
【0226】ステップ268では、図36に示すよう
に、検出信号Bと検出信号Cの入力の有無の組合せに対
応して残留銀量を記憶したマップに基づいて残留銀量を
推定する。検出信号B及び検出信号Cが入力した場合に
は、ネガフィルムに残留する銀量が1〔cm2 〕当たり
5〔μg〕以下であると推定される。また、検出信号B
は入力したが検出信号Cを入力しなかった場合には、ネ
ガフィルムに残留する銀量が1〔cm2 〕当たり5〔μ
g〕より大きく10〔μg〕以下であると推定され、検
出信号B及び検出信号Cを入力しなかった場合には、ネ
ガフィルムに残留する銀量が1〔cm2 〕当たり10
〔μg〕より多いと推定される。
【0227】このように、放射量が異なる赤外線がネガ
フィルムNを透過したか否かを判断することにより処理
液状態を判定していることから、簡易な構成でネガフィ
ルムに残留する銀量の検出を行うことができる。
【0228】ステップ270では、推定した残留銀量を
記憶する。ここで、上記処理では、放射ダイオードから
放射されるエネルギーのスペクトル分布のピークの部分
を0.95〔μm〕としているが、本発明はこれ限定す
るものではなく、略0.75〔μm〕〜略2.5〔μ
m〕とすることができる。すなわち、赤外線のピーク部
分は通常0.75〔μm〕〜25〔μm〕であるが、ネ
ガフィルムNのフィルムベース樹脂の赤外線の吸収率が
高い部分を除外した略0.75〔μm〕〜略2.5〔μ
m〕とすることができる。
【0229】また、前述した実施例では、センサ124
Aを放射ダイオード及びホトダイオードにより構成して
いるが、本発明はこれに限定されるものではなく、赤外
線を用いないフィルム検出センサ(ネガフィルムNの接
触により該ネガフィルムNを検出する構成等)であって
もよい。
【0230】また、前述した実施例では、放射ダイオー
ド12A、12B、12Cのそれぞれの放射量は放射量
W1、W2、W3のようにそれぞれ異なるようにしてい
るが、本発明はこれに限定されるものではなく、例え
ば、放射ダイオード12A、12B、12Cのそれぞれ
から放射量(例えば放射量W1)が略同一で放射される
エネルギーのスペクトル分布が各々異なる赤外線を放射
するようにしもよい。
【0231】すなわち、例えば、放射されるエネルギー
のスペクトル分布のピークの部分が、図37示すよう
に、0.80〔μm〕、0.95〔μm〕、1.00
〔μm〕とすることができる。なお、この場合、ホトダ
イオードの各々の分光感度特性は略同一(例えば、0.
85〔μm〕)とする。これにより、放射ダイオードと
ホトダイオードとの組合せにより、センサを高感度、中
感度、低感度とすることができる。よって、処理液状態
を3段階で判定することができる。
【0232】さらに、前述した実施例では、処理液状態
を3段階で判定しているが、本発明はこれに限定される
ものではなく、他の複数の段階で判定するようにしても
よい。
【0233】また、前述した実施例では、ネガフィルム
Nの赤外線の透過量からネガフィルムNに残留する銀量
を判定するようにしているが、本発明はこれ限定するも
のでなく、ネガフィルムNの赤外線の反射量からネガフ
ィルムNに残留する銀量を判定するようにしてもよい。
また、上記ではネガフィルム先端部の曝光部で残留銀量
を検出したが、曝光部が存在しないフィルムについては
予め露光して曝光部と同様の部分を形成すればよく、曝
光部以外の部位の残留銀量を検出するようにしてもよ
い。
【0234】以上説明したように本実施例は、第1の実
施例と同様に、処理液の処理性能が異常な場合に、その
原因を特定することかでき、かつ、特定された原因に基
づいてコンストの露光部の濃度が許容範囲内の値となる
ための対策を実行することから、この対策が実行された
場合には、コンストの露光部の濃度を許容範囲内の値と
することができ、処理液の処理性能を許容範囲にするこ
とができる。
【0235】また、コンストのDmin 部、LD部及びH
D部の少なくともいずれかの濃度が異常な場合に、その
態様に応じて予め定められた順番に物理量を判定して、
コンストのDmin 部、LD部及びHD部の少なくともい
ずれかの濃度が異常となった原因を特定することから、
原因を迅速かつ効率的に特定することができ、かつ、特
定した原因に基づいて、取り込んだコンストの未露光
部、LD部及びHD部の少なくともいずれかの濃度を許
容範囲内の値とするための対策を実行することから、ネ
ガフィルムの濃度が異常となっても迅速に許容範囲内の
値にすることができる。
【0236】本発明者等は、前述したフィルムプロセッ
サとして、富士写真フィルム株式会社製の小型現像所
(ミニラボ)用のフィルムプロセッサFP360B(商
品名)を使用し、処理液に同社製のCN−16L(商品
名)を使用した。なお、このフィルムプロセッサFP3
60Bの処理工程は、現像、漂白、定着1、定着2、リ
ンス、安定1、安定2、乾燥の順である。
【0237】また、このフィルムプロセッサFP360
Bを使用する際、富士写真フィルム株式会社製のコンス
トを上記処理工程で処理するようにした。なお、このコ
ンストには、予め所定の基準露光条件により、標準濃度
及びこの標準濃度より高い高濃度となるように露光し
た。この結果、コンストには、露光がされていない未露
光部(Dmin )、標準濃度が露光された標準濃度部(L
D部)及び高濃度部(HD部)が形成された。
【0238】さらに、このフィルムプロセッサFP36
0Bには、本実施例が適用できるように、上記処理工程
を経て処理された処理済コントロルストリップスのD
min 部、LD部及びHD部の濃度を測定することができ
るように、乾燥部出口に濃度計を設置した。また、この
フィルムプロセッサFP360Bに、本実施例が適用で
きるように、次の各種の機能を設けた。すなわち、過去
1週間と過去1ヶ月のネガフィルムNの処理量を記録す
ると共に記録した過去1週間と過去1ヶ月の処理量と許
容範囲とを比較する機能、各処理液の温度を記録すると
共に記録した各処理液の温度と許容範囲とを比較する機
能、及び各処理液の補充精度を記録する機能を設けた。
この補充精度は、過去1週間の処理量に基づく補充精度
を記録するようにした。また、最終の安定槽の水洗水の
電気伝導度を測定すると共に測定した電気伝導度と許容
範囲と比較する機能、現像液、漂白液及び定着液のpH
及び比重を測定すると共に測定したpH及び比重と、各
々の許容範囲とを比較する機能、各処理液の加水量を記
録すると共に記録した加水量と許容範囲とを比較する機
能、及び乾燥後に赤外線を照射すると共にコントロール
ストリプスのLD部を透過又はこのLD部から反射した
赤外線の量を検出し、検出量からネガフィルムNに残留
する銀量を測定する装置を設けた。
【0239】その結果、コンストのHD部のイエローの
濃度(サンプリングした結果)が、図38に示すよう
に、2日前のコンストのHD部のイエローの濃度のサン
プリング値SP72から、高濃度値HDy10をオーバーし
始め、今回のサンプリング値SP70が許容範囲の上限値
HDy11(+0.08)を越えた。なお、コンストのH
D部のマゼンタ及びシアンの濃度(サンプリングした結
果)は、それぞれ図39、図40に示すように、それぞ
れ高濃度のセンター値HDm10 、HDc10 付近の値であ
った。
【0240】このように、コンストのHD部のイエロー
の濃度が許容範囲の上限値を越えたので、コンストのH
D部のイエローの濃度が許容範囲の上限値を越えた原因
に対して関連が高い順番に上記と同様の方法で、漂白槽
の補充精度、残留銀量、各処理液のpH、最終の安定槽
の電気伝導度、各処理液の温度及び比重、各処理液への
加水量、ネガフィルムNの処理量、及び漂白槽以外の槽
の補充精度の順に各物理量が異常であか否かをチェック
した。
【0241】この結果、図41に示すように、漂白処理
液の1週間の処理量に基づく補充精度が3週間前からの
1週間の処理量に基づくサンプリング値SP82から理想
補充精度h20を下回り始め、今回のサンプリング値SP
80が許容範囲の下限値h22(−10%)となた。この段
階では、原因を特定することができなかった。
【0242】図42に示すように、処理されたネガフィ
ルムNに残留する銀量の3日前のサンプリング値SP93
が増加し始め、今回のサンプリング値SP90が許容範囲
の上限値X21(10〔μg/cm2 〕)をオーバーし
た。更に、図43に示すように、漂白処理液のpHの3
日前のサンプリング値SP103 から理想pHをオーバー
し始め、今回のサンプリング値SP100 が許容範囲の上
限値P21(+0.30)をオーバーしていた。
【0243】ここまでチェックしたところで、脱銀性能
が不良となった原因として漂白処理液への補充精度の低
下と推定できたので、後に予定されている物理量のチェ
ックを省略した。なお、本処理が終了したとき、後に予
定されている他の物理量をチェックしてみたところ、安
定処理液の電気伝導度、各処理液の温度、各処理液の比
重、各処理液への加水量、ネガフィルムNの処理量及び
漂白処理液以外の他の処理液への補充精度は全て許容範
囲内であった。
【0244】このように、漂白処理液の補充精度が許容
範囲の下限値となり、漂白処理液のpHが許容範囲の上
限値をオーバーし、そして、処理されたネガフィルムN
に残留するハロゲン化銀の量が許容範囲をオーバーした
ので、『漂白処理液の補充精度下限』、『漂白処理液の
pH上限』及び『脱銀不良』と表示した。
【0245】また、漂白処理槽10Bの補充量を、所定
量上昇させた。その後、一週間後にコンストの濃度を測
定したみた結果、許容範囲になっていた。
【0246】また、前述した実施例では、フィルムプロ
セッサまたはプリンタープロセッサを例にとり説明した
が、本発明はこれに限定されるものでなく、フィルムプ
ロセッサ及びプリンタープロセッサを一体型にした図4
4に示す写真処理装置に適用可能である。すなわち、こ
の写真処理装置10Lでは、ネガフィルム12Lをパト
ローネ14Kから引き出して現像処理するフィルム処理
部16L、マガジン18Lにロール状に巻き取られて収
容されているカラーペーパ20Lを引出して、現像処理
したネガフィルム12Lに記録された画像に応じて露光
する画像露光部22L、及び画像露光の終了したカラー
ペーパ20Lを現像処理するペーパ処理部24Lが図示
しないケーシングに一体に収容されている。
【0247】フィルム処理部16Lには、現像液を貯留
する現像槽26L、漂白液を貯留する漂白槽28L、そ
れぞれに定着液を貯留する第1定着槽30L、第2定着
槽32L、水洗水を貯留する水洗槽34L、それぞれに
安定液を貯留する第1安定浴槽36L、第2安定浴槽3
8Lが連続して配置され、第2安定浴槽38Lの下流側
に乾燥室42L及びリザーバ部44Lが設けられてい
る。
【0248】パトローネ14Lから引き出されたネガフ
ィルム12Lは、図示しない搬送手段によって現像槽2
6L、漂白槽28L、第1定着槽30L、第2定着槽3
2L、水洗槽34L、第1安定浴槽36L、第2安定浴
槽38L内を順次搬送され、現像液、漂白液、定着液、
水洗水及び安定液による処理液処理が施される。処理液
処理の終了したネガフィルム12Lは、乾燥室42L内
で、図示しないヒータと乾燥ファンによって発生された
乾燥風が吹き付けられて乾燥処理され、リザーバ部44
Lへ送り出される。
【0249】一方、画像露光部22Lでは、リザーバ部
44Lから現像処理の終了したネガフィルム12Lを引
き入れると共に、マガジン18Lからカラーペーパ20
Lを引出して、カラーペーパ20Lにネガフィルム12
Lに記録されている画像を順次露光する。なお、この画
像露光部22Lの構成としては、ネガフィルム12Lと
カラーペーパ20Lをそれぞれ所定の速度で搬送しなが
らネガフィルム12Lに記録された画像をカラーペーパ
20Lへ露光するスリット露光や、ネガフィルム12L
に記録されている画像を画像読取手段によって読み取っ
た後、この読み取った画像をカラーペーパ20Lへレー
ザ光等によって走査露光する等の種々の露光方式を用い
ることができる。このようにして画像露光されたカラー
ペーパ20Lは、画像露光部22Lとペーパ処理部24
Lの間に設けられたリザーバ部46Lへ送り出される。
【0250】ペーパ処理部24Lには、カラーペーパ2
0Lの現像用の現像液を貯留する現像槽48L、漂白定
着液を貯留する漂白定着槽50L、それぞれにリンス液
を貯留する第1リンス槽52L、第2リンス槽54L、
第3リンス槽56Lが設けられ、第3リンス槽56Lの
カラーペーパ搬送方向の下流側には、乾燥室58Lが設
けられている。リザーバ部46Lに送り出され手画像露
光されたカラーペーパ20Lは、図示しない搬送手段に
よってペーパ処理部24Lへ引き入れら、現像槽48
L、漂白定着槽50L、第1リンス槽52L、第2リン
ス槽56L、第3リンス槽56L内を順次搬送され、現
像液、漂白定着液、リンス液によって処理される。処理
の終了したカラーペーパ20Lは、乾燥室58L内を搬
送され、図示しないヒータと乾燥ファン等によって発生
された乾燥風が吹き付けられて乾燥処理される。
【0251】乾燥処理の終了したカラーペーパ20L
は、例えば画像コマ毎に切断されて写真プリントとして
排出される。
【0252】そして、フィルム処理部16L、ペーパ処
理部24Lに対してそれぞれ、前述した第1の実施例、
第2の実施例と同様の処理を行うようにすればよい。
【0253】このように、フィルム処理部16L、ペー
パ処理部24Lを備えた写真処理装置では、より多くの
情報を得ることができ、異常原因を精度よく推定するこ
とができる。
【0254】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、濃度測定
手段により測定された特定の濃度が、予め決められた濃
度を含んだ所定範囲外の場合に、予め定められた順に物
理量を判断して、濃度測定手段により測定された特定の
濃度が所定範囲外となった異常原因を推定しているの
で、全ての物理量を判断することなく効率良く異常原因
を推定することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例にかかるプリンタープロ
セッサを示す概略図である。
【図2】フォトセンサの概略図である。
【図3】発色現像槽の構成を示す断面図である。
【図4】リンス槽の構成を示す断面図である。
【図5】最終のリンス槽の構成を示す断面図である。
【図6】比重計の断面図及び電気回路を示す図である。
【図7】本実施例の制御系のブロック図である。
【図8】処理性能管理ルーチンを示すフローチャートで
ある。
【図9】図8のステップ102の濃度取り込みルーチン
の詳細を示すフローチャートである。
【図10】図8のステップ106の物理量判定ルーチン
の詳細を示すフローチャートである。
【図11】処理量検出処理ルーチンを示すフローチャー
トである。
【図12】処理液温度検出処理ルーチンを示すフローチ
ャートである。
【図13】補充精度演算ルーチンを示すフローチャート
である。
【図14】比重検出処理ルーチンを示すフローチャート
である。
【図15】複数の処理機の漂白液における伝搬速度に比
例する出力値と処理液の比重との関係を示す線図であ
る。
【図16】複数の処理機の定着液における伝搬速度に比
例する出力値と処理液の密度との関係を示す図15と同
様の線図である。
【図17】検出した伝搬速度から比重を演算するための
マップを示す図である。
【図18】加水量検出処理ルーチンを示すフローチャー
トである。
【図19】濃度データを示す線図である。
【図20】処理量データを示す線図である。
【図21】補充精度データを示す線図である。
【図22】電気伝導度データを示す線図である。
【図23】濃度データを示す線図である。
【図24】濃度データを示す線図である。
【図25】過去1週間毎の処理量データを示す線図であ
る。
【図26】過去1ヶ月毎の処理量データを示す線図であ
る。
【図27】本発明の第2実施例のフィルムプロセッサの
概略図である。
【図28】赤外線センサーユニットの概略図である。
【図29】第2実施例の制御部のブロック図である。
【図30】放射ダイオードのスペクトル分布を示す線図
である。
【図31】ホトダイオードの分光感度特性を示す線図で
ある。
【図32】各放射ダイオードの放射量を示す図である。
【図33】第2実施例における濃度取込み処理ルーチン
を示すフローチャートである。
【図34】残留銀量を求めるルーチンを示すフローチャ
ートである。
【図35】フィルムの先端部を示す平面図である。
【図36】残留銀量のマップを示す線図である。
【図37】放射されるエネルギーのスペクトル分布のピ
ークの部分の他の例を示す図である。
【図38】濃度データを示す線図である。
【図39】濃度データを示す線図である。
【図40】濃度データを示す線図である。
【図41】補充精度データを示す線図である。
【図42】1日の残留銀量データを示す線図である。
【図43】1日のpHデータを示す線図である。
【図44】フィルムプロセッサ及びプリンタープロセッ
サを一体型にした写真処理装置の概略図である。
【符号の説明】
22 濃度計 32N 赤外線放射部 34N 検出部 36N1 、36N2 比重計 38N1 、38N2 pHセンサ 40N1 〜40N6 温度センサ 44N1 〜44N6 補充ポンプ 46N1 〜46N6 超音波レベル計 48N1 〜48N6 補充流量計 50 伝導度計 54 環境温度センサ 56 環境湿度センサ 60 制御部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−241349(JP,A) 特開 平5−257256(JP,A) 特開 平2−162348(JP,A) 特開 昭55−46757(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03D 3/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 処理液内を通過して処理された処理済写
    真感光材料の特定の濃度を測定する濃度測定手段と、 前記処理済写真感光材料の写真特性に影響のある各々異
    なった物理量を複数検出する物理量検出手段と、 前記濃度測定手段により測定された特定の濃度が予め定
    められた濃度を含んだ所定範囲外の値になったか否かを
    判断する判断手段と、 前記測定された特定の濃度が前記所定範囲外の値になっ
    た場合に、予め定められた順番に前記物理量を判断して
    前記測定された特定の濃度が前記所定範囲外の値になっ
    た原因を推定する原因推定手段と、 を含む写真感光材料処理装置。
  2. 【請求項2】 前記物理量検出手段は、前記物理量の1
    つとして前記処理液の状態を検出する請求項1記載の写
    真感光材料処理装置。
  3. 【請求項3】 前記物理量検出手段は、前記物理量とし
    て少なくとも単位時間当たりの写真感光材料の処理量及
    び前記処理液に補充する補充液の補充精度を検出する請
    求項1記載の写真感光材料処理装置。
  4. 【請求項4】 前記予め定められた順番を、前記測定さ
    れた特定の濃度が前記所定範囲の上限値より大きい場合
    と前記所定範囲の下限値より小さい場合とで異ならせた
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の写真感光
    材料処理装置。
  5. 【請求項5】 前記物理量に応じて定まりかつ前記処理
    液を適性状態に維持するための制御条件に基づいて前記
    処理液を適性状態に維持する維持手段と、 前記原因推定手段により推定された原因に基づいて前記
    測定された特定の濃度が前記所定範囲内の値となるよう
    に前記制御条件を変更する変更手段と、 を更に含む請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載
    の写真感光材料処理装置。
  6. 【請求項6】 前記濃度測定手段は、少なくとも前記処
    理済写真感光材料の未露光部の濃度を測定する請求項1
    乃至請求項5のいずれか1項に記載の写真感光材料処理
    装置。
JP14663895A 1995-06-13 1995-06-13 写真感光材料処理装置 Expired - Fee Related JP3392589B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14663895A JP3392589B2 (ja) 1995-06-13 1995-06-13 写真感光材料処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14663895A JP3392589B2 (ja) 1995-06-13 1995-06-13 写真感光材料処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08339070A JPH08339070A (ja) 1996-12-24
JP3392589B2 true JP3392589B2 (ja) 2003-03-31

Family

ID=15412259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14663895A Expired - Fee Related JP3392589B2 (ja) 1995-06-13 1995-06-13 写真感光材料処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3392589B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3839603B2 (ja) * 1998-12-09 2006-11-01 富士写真フイルム株式会社 感光材料の処理状態の判定方法及び補正方法
JP4701020B2 (ja) * 2005-06-23 2011-06-15 東亜ディーケーケー株式会社 温湿度データを付与できる水質計

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08339070A (ja) 1996-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH06214369A (ja) 写真感光材料処理装置
JP3034644B2 (ja) 撮影用写真カラーネガフィルム処理方法
US5669031A (en) Apparatus for processing photographic sensitive material
JP3392589B2 (ja) 写真感光材料処理装置
JP3436439B2 (ja) 写真感光材料処理装置
JP3436440B2 (ja) 感光材料処理装置
JP3436438B2 (ja) 写真感光材料処理装置
JPH03233452A (ja) 感光材料処理装置
JPH08339069A (ja) 写真感光材料処理装置
JP3527319B2 (ja) 感光材料処理装置及び感光材料処理装置の処理液測定方法
JP3604774B2 (ja) 処理液性能判定装置及び処理液性能判定方法
JPH07261361A (ja) カラー写真用現像処理装置および現像処理方法
JP2700716B2 (ja) 画像形成方法及び装置
JP3679181B2 (ja) 補充キット、補充マガジン及びプリンタプロセッサ
JPH07333802A (ja) 写真感光材料の処理方法及び写真処理装置
JP2692018B2 (ja) カラー画像形成方法
JP2645617B2 (ja) 感光材料処理装置
JP2897822B2 (ja) 撮影用写真フィルムの自動現像処理装置
JP2799440B2 (ja) カラー写真感光材料の処理方法
JPH06214368A (ja) 感光材料処理装置
JPH04274237A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理方法
JP2005122160A (ja) 写真処理装置
JPH0267556A (ja) ハロゲン化銀感光材料の処理方法
JP2005099342A (ja) ハロゲン化銀カラー写真感光材料用自動現像処理装置及び処理方法
JPH0654374B2 (ja) ハロゲン化銀感光材料の処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090124

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees