JP3429936B2 - 永久磁石式回転子 - Google Patents

永久磁石式回転子

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JP3429936B2 JP00117696A JP117696A JP3429936B2 JP 3429936 B2 JP3429936 B2 JP 3429936B2 JP 00117696 A JP00117696 A JP 00117696A JP 117696 A JP117696 A JP 117696A JP 3429936 B2 JP3429936 B2 JP 3429936B2
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公平 石井
昌行 積山
一夫 柳谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石を用いた
永久磁石式回転子の永久磁石の固定方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】永久磁石を用いた回転子は、該永久磁石
の固定、回転強度の確保を目的として、該永久磁石の外
周に金属製、非金属製のカバ−材が具備されている。非
金属カバ−に関しては、例えばガラスバインド等はバイ
ンド材の接着工程に時間がかかる等の問題があり、一
方、金属カバ−は、材質が導電性であるため、渦電流に
よる損失を発生して電動機の効率を低下させるという問
題があった。
【0003】このため、実用昭60−86043のよう
に複数個の永久磁石挿入用開口部を設けた抜板を積層し
た固定子鉄心によりカバ−材を兼ねた鉄心構造として、
開口部に装着する永久磁石は、アルミダイカスト等によ
り固定した構造が提案されている。しかし、この様な構
成によっても、ダイカスト材が回転子の積層方向に貫通
しバ−を形成するために、新たな損失が発生して電動機
の効率を低下させるという問題があった。
【0004】一方、前記構成でダイカストを行わない永
久磁石の固定については、一般的にこの種の回転子には
フェライト磁石が多用されているが、フェライト磁石が
硬くて、脆いという特性を有することもあり加工性が悪
く、従って、寸法バラツキも大きく精度的には大きな期
待ができないといった実情があり、例えば、永久磁石を
圧入固定する場合は、該永久磁石の割れ、欠け或いは回
転子鉄心の破損を考慮する必要があった。
【0005】以上の問題に鑑みて、特開平5−2196
68のように永久磁石挿入用開口部の内方に抜板成形時
に一体成形した突出部を構成し、該突出部が永久磁石と
当接し押圧する弾性力を利用して永久磁石の圧入力を軽
減し永久磁石の割れ、欠け或いは回転子鉄心の破損を軽
減する永久磁石の圧入固定方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】永久磁石の固定につい
ては、前記したように様々な方法が提案されているが、
カバ−材の採用、加工工数の増加によるコストアップ、
損失の増加による電動機の効率低下及び永久磁石の割
れ、欠け或いは回転子鉄心の破損また、永久磁石を一方
向に押圧することによる回転子外径の精度の問題があっ
た。
【0007】このため、本発明では、永久磁石を抜板の
開口部に装着する回転子において、永久磁石の割れ、欠
け或いは回転子鉄心の破損を極力防止し、該回転子の外
径精度も良好な永久磁石式回転子を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】複数個の永久磁石挿入用
開口部を設けた抜板を積層してなる回転子鉄心に前記開
口部に永久磁石を挿入装着した永久磁石式回転子におい
て、前記開口部の外方に開孔部を設け、該開孔部の近傍
に小開孔を設けた構成として、永久磁石を挿入装着後、
前記開孔部に開孔部と干渉する別部材を圧入して、干渉
部が永久磁石と当接するように変形させて永久磁石を固
定する構成とする。また、永久磁石の寸法バラツキによ
る別部材圧入時の変形応力のバラツキを開孔部と小開孔
の間のブリッジで緩衝することにより、外径部に対する
変形応力を緩和して、外径寸法も良好な永久磁石式回転
子の構成とする。
【0009】この様な構成によれば、永久磁石は予め開
口部の寸法より小さく設定できるので開口部に容易に挿
入でき、また、開口部に挿入した後に固定されるので、
例えば、永久磁石の割れ、欠け或は回転子鉄心の破損も
なく、外径寸法も良好で、しかも永久磁石も容易に固定
できる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を図面により説明
する。
【0011】本発明に係わる永久磁石式回転子の第1の
実施例を図1〜図4に示す。図1は、抜板の平面図を示
したものであり、永久磁石挿入用開口部1を有する抜板
は、開口部1の外周の外周リング2と、開口部1の内周
のヨ−ク3と、外周リング2とヨ−ク3を連結する連結
部4及びヨ−ク部に設ける開孔部5と、開孔部の近傍に
設けた小開孔6と、回転子軸用軸穴7で構成されてい
る。図2は、前記抜板の開孔部5の付近の部分拡大図を
示したものであり、開孔部5は、後に圧入される別部材
(締結ピン9)と図示斜線部が干渉する形状としてい
る。図3は、前記抜板を多数枚積層した永久磁石式回転
子を上方より見た斜視図を示したものであり、永久磁石
挿入用開口部1に永久磁石8を挿入装着し、開孔部5に
鉄心の軸方向締結ピン9を圧入して軸方向を強固に締結
する(締結ピン9で積層されたヨ−ク3を両端方向から
リベット締めする)と共に、開口部1と開孔部5の間の
ブリッジ10を開口部1の内方へ永久磁石8に当接し押
圧するように変形させるので永久磁石8を容易に固定す
ることができる。また、回転子には必要に応じて回転子
鉄心の軸方向両端面とコア締結ピン9の間に端板11が
具備されている。図4に示す部分拡大図を用いて永久磁
石8の固定方法の詳細を説明する。永久磁石8の寸法
は、永久磁石挿入用開口部1に干渉しない寸法に設定さ
れているので、永久磁石8の挿入装着は容易に行うこと
ができる。また、永久磁石8を挿入装着した後、開孔部
5に圧入される別部材は図2で示した斜線部に干渉して
開口部1と開孔部5の間のブリッジ10が開口部1の内
方に永久磁石2に当接し押圧するように変形、突出する
ので永久磁石2を容易に固定することができる。また、
この時、永久磁石2の寸法バラツキ(外径半径−内径半
径)により発生する押圧力のバラツキはブリッジ10の
変形が永久磁石8を介して外周リング2の変形となるの
で寸法バラツキは回転子外径の寸法精度に変換される。
このため、開孔部5と小開孔6の間のブリッジ12の作
用で開口部1の内方へ働く変形力を矢印の方向、つま
り、開口部1の外方へ分散させ緩衝して寸法精度を良好
なものとするものである。以上の構成によれば、永久磁
石の固定が確実に行えると共に、永久磁石は、開口部に
挿入装着した後に固定されるので、永久磁石の割れ、欠
け或は回転子鉄心の破損もなく、外径寸法も良好な永久
磁石式回転子を提供できる。
【0012】図5は、本発明に係わる永久磁石式回転子
の第2の実施例を示す部分拡大図である。永久磁石挿入
用開口部1の外方に開孔部5と、前記開口部1と開孔部
5の間のブリッジ10に小穴13と、開孔部5の近傍に
小開孔6を設けた構成とする。本構成が目的とするとこ
ろは、第1の実施例と同様に開孔部5に圧入する別部材
がブリッジ10と干渉する構造で、ブリッジ10に小穴
13を設けて剛性を低下させることでブリッジ10を容
易に変形させられるので別部材圧入時の圧入力を軽減で
きる。また、小穴13はブリッジ10及びその近傍に設
ければ同様の効果が得られると共に、小穴13を複数個
設ければ、より一層その効果は高いものとなる。
【0013】図6は、本発明に係わる永久磁石式回転子
の第3の実施例を示す部分拡大図をである。永久磁石挿
入用開口部1の外方に開孔部5と、前記開口部1と開孔
部5の間のブリッジ10に凹溝14と、開孔部5の近傍
に小開孔6を設けた構成とする。本構成が目的とすると
ころは、第1、第2の実施例と同様に開孔部5に圧入す
る別部材がブリッジ10と干渉する構造で、ブリッジ1
0に凹溝14を設けて剛性を低下させることでブリッジ
10を容易に変形させられるので別部材圧入時の圧入力
を軽減でき、更には凹溝14は永久磁石8に2点接触し
て押圧するので、更に確実に永久磁石8を固定すること
ができる。また、凹溝14はブリッジ10及びその近傍
に設ければ同様の効果が得られると共に、凹溝14を複
数個設ければ、より一層その効果は高いものとなる。ま
た、凹溝14は、図示上の開口部1に連結して設けた
が、開孔部5に連結する様に設けてもその目的とすると
ころが同様に達成できることは明白である。
【0014】図7は、本発明に係わる永久磁石式回転子
の第4の実施例を示す部分拡大図である。永久磁石挿入
用開口部1の外方に開孔部5と、前記開口部1と開孔部
5の間のブリッジにスリット15を配して、ブリッジを
ひれ形状部16の形状として開口部1と開孔部5を連結
させて、更に、開孔部5の近傍に小開孔6を設けた構成
とする。本構成が目的とするところは、第1から第3の
実施例と同様に開孔部5に圧入する別部材がひれ形状部
16と干渉する構造で、スリット15によってひれ形状
部16を更に容易に変形させられるので別部材圧入時の
圧入力を更に軽減でき、また、スリット15の介在によ
ってひれ形状部16は永久磁石8に2点接触して押圧す
るので、更に確実に永久磁石8を固定することができ
る。
【0015】図8は、本発明に係わる永久磁石式回転子
の第5の実施例を示す部分拡大図である。この実施例で
は図7のひれ形状部16に溝18を設けてひれ形状部1
7の形状としたもので、別部材を開口部5に挿入すると
きに、第4の実施例より圧入力を更に軽減できる効果が
ある。
【0016】また、図9は、回転子が回転することによ
って別部材又は別部材を介して発生する遠心力が多大と
なった場合に第1から第5の実施例の抜板の強度を補う
ため、前記抜板との組合せで使用される抜板の平面図を
示したものであり、開孔部5は別部材と干渉しない形状
として開孔部5の近傍に小開孔6を設けた構成とするも
ので、必要に応じて第1から第5の実施例の抜板と併用
することによっ子鉄心の耐遠心力強度を向上することが
できる。この実施例における小開孔6も、第1から第4
の実施例の抜板の小開孔6と同様に開口部1の内方へ働
く変形力を開口部5と小開孔6の間のブリッジ12の作
用で開口部1の外方へ分散させ緩衝して寸法精度を良好
とするものである。
【0017】以上の構成で形成される永久磁石式回転子
に於いて、図示しないが開孔部と小開孔の間のブリッジ
に第2から第5の実施例と同様にブリッジの剛性緩和の
措置を講じることによって別部材圧入時の変形力に対す
る緩衝機能を更に向上することが可能であることは明白
である。更には、開口部と開孔部及び開孔部と小開孔の
間の鉄心には第2から第5の実施例を複合的に組合せて
実施することももちろん可能である。また、本発明では
別部材に鉄心の軸方向締結ピンを引例に用いたが、本発
明で開示した構成においては、開孔部は永久磁石を固定
することを目的としてヨ−ク上のいずれの位置に配して
も問題はなく、また、圧入する別部材の寸法、形状も目
的とする所を完遂すればよく、例えば回転子の軸方向全
長より短いピン等を圧入して永久磁石軸方向を部分的に
固定しても良いものである。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、永久磁石は予め開口部
の寸法より小さく設定できるので開口部に容易に挿入で
き、また、開口部に挿入した後に固定されるので、例え
、永久磁石の割れ、欠け或は回転子鉄心の破損もな
く、回転子の外径寸法も良好で、しかも永久磁石も容
固定できる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による回転子抜板の平面図
【図2】本発明の第1実施例による回転子抜板の部分拡
大図
【図3】本発明の第1実施例による回転子を上方より見
た斜視図
【図4】本発明の第1実施例による永久磁石固定の部分
拡大図
【図5】〜
【図8】本発明の第2〜第5実施例による回転子抜板の
部分拡大図
【図9】本発明の第1〜第5実施例による回転子抜板と
組合わせて使用される回転子抜板の平面図
【符号の説明】
1…永久磁石挿入用開口部、 2…外周リング、 3…
ヨ−ク、 4…連結部、5…開孔部、 6…小開孔、
7…回転子軸用軸穴、 8…永久磁石、 9…締結ピ
ン、 10…ブリッジ、 11…端板、 12…ブリッ
ジ、 13…小穴、 14…凹溝、 15…スリット、
16、17…ひれ形状部、 18…溝。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 積山 昌行 千葉県習志野市東習志野7丁目1番1号 株式会社 日立製作所 産業機器事業 部内 (72)発明者 柳谷 一夫 千葉県習志野市東習志野7丁目1番1号 株式会社 日立製作所 産業機器事業 部内 (72)発明者 酒井 亨 千葉県習志野市東習志野7丁目1番1号 株式会社 日立製作所 産業機器事業 部内 (56)参考文献 特開 平6−178475(JP,A) 特開 平5−260686(JP,A) 特開 平4−178131(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 1/27 501 H02K 21/14 H02K 29/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】久磁石挿入用開口部を複数個設けた抜板
    を積層してなる回転子鉄心を有する永久磁石式回転子に
    おいて、 前記開口部の外方に別部材を挿入する開孔部を設け、 該開孔部は該開孔部に挿入する別部材と干渉する形状
    なる干渉部を有し、 前記開孔部に別部材を圧入して、前記干渉部を押して、
    前記開口部と前記開孔部の間の鉄心を前記開口部内方へ
    変形させ、前記開口部内の永久磁石を押圧するようにす
    ことを特徴とする永久磁石式回転子。
  2. 【請求項2】永久磁石挿入用開口部を複数個設けた抜板
    を積層してなる回転子鉄心を有する永久磁石式回転子に
    おいて、 前記開口部の外方に別部材を挿入する開孔部を設け、 該開孔部は該開孔部に挿入する別部材と干渉する形状と
    なる干渉部を有し、 前記開孔部に別部材を圧入して、前記干渉部を押して、
    前記開口部と前記開孔部の間の鉄心を前記開口部内方へ
    変形させ、前記開口部内の永久磁石を押圧する永久磁石
    式回転子であって、 前記開口部と前記開孔部の間の鉄心に小穴を設けたこと
    を特徴とする永久磁石式回転子。
  3. 【請求項3】永久磁石挿入用開口部を複数個設けた抜板
    を積層してなる回転子鉄心を有する永久磁石式回転子に
    おいて、 前記開口部の外方に別部材を挿入する開孔部を設け、 該開孔部は該開孔部に挿入する別部材と干渉する形状と
    なる干渉部を有し、 前記開孔部に別部材を圧入して、前記干渉部を押して、
    前記開口部と前記開孔部の間の鉄心を前記開口部内方へ
    変形させ、前記開口部内の永久磁石を押圧する永久磁石
    式回転子であって、 前記開口部と前記開孔部の間の鉄心に凹状の切欠溝を設
    けたことを特徴とする永久磁石式回転子。
  4. 【請求項4】永久磁石挿入用開口部を複数個設けた抜板
    を積層してなる回転子鉄心を有する永久磁石式回転子に
    おいて、 前記開口部の外方に別部材を挿入する開孔部を設け、 該開孔部は該開孔部に挿入する別部材と干渉する形状と
    なる干渉部を有し、 前記開孔部に別部材を圧入して、前記干渉部を押して、
    前記開口部と前記開孔部の間の鉄心を前記開口部内方へ
    変形させ、前記開口部内の永久磁石を押圧する永久磁石
    式回転子であって、 前記開口部と前記開孔部の間の鉄心にスリットを設けて
    開口部と開孔部を連結したことを特徴とする永久磁石式
    回転子。
  5. 【請求項5】前記開孔部の近傍に開口部の内方への変形
    力を緩衝するための小開孔を設けたことを特徴とする請
    求項第1項乃至第4項いずれかに記載の永久磁石式回転
    子。
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