JP5132429B2 - ブラシ付モータ - Google Patents

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本発明は、ブラシ付モータに関する。
一般に、筒状のステータを備えたモータにあっては、筒状のステータを同じく筒状のケース内に圧入することで、上記ステータをケースに一体化している(たとえば、特許文献1参照)。
ところで、ブラシ付モータは、通常、ケースをヨークとして機能させるので、当該ケースの内周に等間隔を持って円弧状の永久磁石を接着するようにしているが、筒状のステータコアに設けた孔に界磁用の永久磁石を埋め込むようにしてステータを構成することを考えた場合、ケースにステータを一体化するには、やはり、一般的なモータと同様に、圧入といった方法を採用することが想定される。
特開2006−333657号公報(図1)
上述のように、ステータのケースへの固定に際しては圧入を採用すればよいが、ステータコアの孔に永久磁石を単に挿入して嵌合させるだけでは、永久磁石が軸方向にずれを生じる虞があり、永久磁石が軸方向にずれると、ブラシ付モータのコギングトルクが大きくなる問題がある。
したがって、ステータコアの孔に永久磁石を移動不能に固定する必要があり、ステータコアの孔に永久磁石を固定する方法として、永久磁石を孔に挿入した後に接着剤を流し込んで接着する固定方法が考えられる。しかしながら、接着固定は、手間がかかるため、コギングトルクを小さくすることができても、ブラシ付モータの製造コストが高くなってしまうという新たな問題が生じる。
また、接着固定に代えて、ケース内でステータコアの孔の両端をケース内周に固定されるプレート等で閉塞して、永久磁石を孔からの脱落を阻止する提案もなしうるが、この場合には、永久磁石に大きな圧縮力を作用させると永久磁石の損傷に繋がるため、ステータコアの両端を押さえるプレートによって永久磁石に大きな圧縮力が作用することが無いように、永久磁石の軸方向長さをステータコアの軸方向長さより短く設定するしかなく、すると、ステータコアの孔の中で丈の短い永久磁石が遊んでしまい、永久磁石が軸方向にずれてブラシ付モータのコギングトルクが大きくなる問題を解消することができない。
そこで、本発明は上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、低コストでステータコアに永久磁石を固定することが可能なブラシ付モータを提供することである。
上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段は、永久磁石と、筒状に形成されるとともに内周側が膨出される複数の磁極部と前記磁極部に前記永久磁石を収容する孔とを有するステータコアと、で構成される筒状のステータと、前記ステータを収容する筒状のケースと、前記ケース内周に固定されて、前記ステータコアの孔の一端を閉塞するプレートと、前記ケース内周に固定されて、前記ステータコアの他端に当接するカバーとを備え、前記カバーは、前記ステータコアの孔に他端から挿入されて前記永久磁石をプレートへ向けて附勢する附勢部を有することを特徴とする
本発明によれば、永久磁石がステータコアの孔内でプレートとカバーに設けた附勢部によって軸方向にずれなく位置決められて固定されるため、コギングトルクが大きくなってしまうことがなく、永久磁石を接着固定する手間もかからないので、ブラシ付モータの製造コストが高くなってしまうという問題も生じない。したがって、このブラシ付モータによれば、低コストでステータコアに永久磁石を固定することが可能である。
さらに、ケースの内周に固定したカバーがステータコアの他端に当接して、カバーとプレートとでステータをケースに固定するようにしているので、ステータがケースから脱落することが阻止され、ケースやステータコアの寸法精度が高くなくとも、確実にステータをケース内に固定することができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。図1は、本発明の一実施の形態におけるブラシ付モータの横断面図である。図2は、本発明の一実施の形態におけるブラシ付モータのAA断面図である。図3は、本発明の一実施の形態におけるモータのステータの一部拡大断面図である。図4は、本発明の一実施の形態におけるモータのカバーの平面図である。図5は、本発明の一実施の形態におけるモータのカバーの側面図である。図6は、本発明の一実施の形態の一変形例におけるモータのカバーの平面図である。
一実施の形態におけるブラシ付モータ1は、図1および図2に示すように、有底筒状のケース2と、当該ケース2の内周に固定される筒状のステータ3と、ケース2の内周に固定される環状のプレート16と、同じく、ケース2の内周に固定される環状のカバー12と、ケース2の開口部に取付けられるキャップ6と、ケース2の頂部に固定されるボールベアリング7とキャップ6の内周に固定されるボールベアリング8とで両端側が支持されてステータ3の内周側に回転自在に挿通されるロータ9と、ロータ9の下端側に設けられた整流子10と、整流子10の外周に摺接するブラシ11とを備えて構成されている。
以下、詳細に説明すると、ステータ3は、筒状に形成されるとともに内周側が膨出されて肉厚を厚くして形成される複数の磁極部4aを有するステータコア4と、ステータコア4の各磁極部4a内に二つずつ埋設される希土類の永久磁石5とを備えて構成されている。
なお、この実施の形態の場合、ステータコア4における磁極部4aは、磁極部4aは四つ設けられており、ブラシ付モータ1は4磁極のモータとして構成されている。
さらに詳しくは、各磁極部4aの内周側のロータ9と対向する面の円弧方向の両端部は、図1に示すように、ロータ9の外周から遠ざかるように傾斜されてテーパ面4bが形成され、また、各磁極部4aの肉厚内には、二つの板状の永久磁石5,5がハの字に配置されて埋め込まれて設けられている。具体的には、各磁極部4aには永久磁石5,5が固定される孔4cが設けられており、この孔4c内に永久磁石5,5が挿入され、後述するプレート16とカバー12によって永久磁石5は孔4c内で固定されるようになっている。なお、永久磁石5の軸方向長さは、ステータコア4の軸方向長さより短く設定されている。
そして、同じ磁極部4aに埋設される各永久磁石5,5は、磁極部4aが一つの磁極として機能するよう、たとえば、その磁極部4aがN極として機能する場合には、N極側をロータ9側に向けて配置され、磁極部4aがS極として機能する場合には、S極側をロータ9側に向けて配置される。
このように、円弧状の磁極部4aに上記配置で永久磁石5が埋設されるので、図3に示すように、各永久磁石5における磁極部4aの円弧方向端側の端部5aが磁極部4aの内周側に接近するよう傾斜させられて磁極部4a内に配置されることになり、永久磁石5の端部5aの外方を向く背面側における磁極部4aの肉厚が厚く確保されることになる。
ここで、永久磁石5の端部5aの背面側は磁束が集中するが、この端部5aの背面側の磁極部4aの肉厚が厚く確保されることにより磁束集中部Bにおける磁路断面積が大きく確保されることになり、磁束の飽和が抑制されることになる。このように、二つの永久磁石5を一つの磁極部4a内にハの字型に配置すれば上記磁束集中部Bにおける磁路断面積を大きく確保することができるのである。なお、この実施の形態にあっては、磁路断面積を確保しやすくするために、二つの永久磁石5,5を一つの磁極部4a内に設けるようにしているが、一つの磁極部4a内に設けられる永久磁石の数はこれに限定されるものではない。
また、ステータコア4は、複数の鋼板を積層することによって上記した形状を実現するようにしているが、このように鋼板の積層による以外にも焼結成形によって上記形状を実現するようにしてもよい。
つづいて、ロータ9は、図1に示したところでは、シャフト13と、シャフト13の外周に固定される22個のスロットを備えたロータコア14と、ロータコア14に巻回される巻線15とを備えた周知の構成とされている。
そして、図1に示すように、ステータコア4の磁極部4aは、そのテーパ面4bの形成によって、その円弧方向端部がロータコア14の外周から徐々に遠ざかるようになっている。
したがって、磁極部4aの周方向の両端部側では中央部に比較してロータコア14との間の空隙が大きくなるので、コギングトルクを軽減することが可能となる。つまり、このステータ3によれば、永久磁石5の形状を特に円弧状とし、かつ、周方向両端側の肉厚を薄くする加工を施すことなく、コギングトルクを軽減することが可能となり、ブラシ付モータ1にむらのないトルクを発生させることが可能となる。なお、この実施の形態の場合、コギングトルクの軽減のために磁極部4aの両端にテーパ面4bを設けているが、これを設けなくともよい。
そして、上述のように、二つの板状の永久磁石5をステータコア4の一つの磁極部4a内に配置するようにして、各磁極部4aのそれぞれが一つの磁極を構成するようにしていることから、永久磁石5を円弧状に形成する必要が無くなり、永久磁石5を希土類磁石としてもコスト高とならず、強度上の問題が招来されることが無い。さらに、永久磁石5を希土類磁石としても、使用される永久磁石5の形状は全て板状で同一形状とすることができるので、製造工程が複雑化してしまう恐れも無く、両端を薄くする必要が無いので減磁の恐れも低減できる。
このように、複数の板状の永久磁石5をステータコア4の一つの磁極部4a内に配置するようにして、各磁極部4aのそれぞれが一つの磁極を構成するようにしていることから、永久磁石5を希土類磁石としても、モータ1の製造コストが悪化する恐れが無く、強度上の問題が生じず、磁路断面積も確保されるので磁束飽和が抑制されてブラシ付モータ1は充分なトルクを発生することが可能となるので、希土類磁石の大きな磁力によって永久磁石5の図2中上下方向となる軸方向長さを短くすることができ、モータ1にとって好ましくない弊害が招来される事なくブラシ付モータ1の軸方向長さを小型化することが可能となる。
他方、ステータ3が収容固定されるケース2は、底部2aと筒部2bとを備えて有底筒状とされ、筒部2bの内径がステータ3の外径より若干小径となるように設定されるとともに、筒部2bの内周には、同一円周上の複数箇所を外周側からポンチ加締めによって内方へ突出せしめて凸部2cが形成されている。
そして、ケース2内には、環状のプレート16が挿入され、このプレート16は、ケース2内の凸部2cに当接して、それ以上の侵入を阻まれてケース2内に軸方向に位置決めされるようになっている。プレート16は、薄肉の板状とされずに、ステータ3の端面とケース2の底部2aに当接して両者に挟み込まれる厚みを備えていてもよい。
また、ケース2内に上述のステータ3を内部に侵入させるとステータ3はケース2に締付けられるとともに、プレート16に当接して、ステータコア4の孔4cの一端となる図2中上端が閉塞されるとともに、それ以上の侵入を阻まれてケース2内に軸方向に位置決めされて固定されるようになっている。すなわち、ステータ3は、ケース2内に圧入されて固定されるようになっている。
そして、本発明では、ステータ3をケース2に圧入したのち、カバー12をケース2内に圧入させており、このカバー12によって永久磁石5を孔4cに対して位置決めるとともに、ステータ3のケース2からの抜けを防止している。
このカバー12は、図4および図5に示すように、環状本体12aと、環状本体12aの外周に設けられた爪部12bと、環状本体12aから立ち上がってステータコア4の孔4c内に挿入されて永久磁石5を附勢する附勢部としての板バネ12cとを備えて構成されており、爪部12bをケース2に圧入することでケース2内に固定され、環状本体12aをステータコア4の一端となる図2中下端に当接させて、ステータ3を下方から支持し、ステータ3のケース2からの脱落を阻止している。
さらに詳しくは、環状本体12aは、ケース2に固定された状態でステータコア4の下端に当接して少なくともステータコア4の孔4cの図2中下端を閉塞することができるようになっており、孔4cを閉塞して永久磁石5のステータコア4からの脱落を防止している。
また、爪部12bは、この実施の形態の場合、ケース2の内周に対向する外周形状がケース2の内周と同じ曲率の円弧状に設定され、環状本体12aの外周全周に亘って放射状に8個設けられており、図5に示すように、カバー12のケース2への装着が容易で抜けにくくなるように、環状本体12aに対して反ステータコア側へ傾斜している。
そして、このカバー12は、ケース2内に圧入させると、爪部12bの先端となる外周がケース2の内周に接触して、爪部12bが撓んでケース2を拡径する方向へ附勢力を生じて、爪部12bが自身の附勢力によってケース2の内周に押付けられ、ケース2に強固に固定される。このようにカバー12がケース2に強固に固定されると、環状本体12aがステータコア4の図2中下端に当接してステータ3のケース2からの脱落が阻止される。
また、カバー12は、図4および図5に示すように、カバー12を母材のうち環状本体12aに相当する部位の一部をU字上に打ち抜くとともに、当該打ち抜き部分をステータコア4側へ折り曲げ成形することにより、環状本体12aに板バネ12cを設けている。
当該板バネ12cは、環状本体12a上であって、ステータコア4の孔4cに符合する位置に孔4cと同じ数だけ設けられており、カバー12をケース2に圧入して環状本体12aをステータコア4の図2中下端に当接させると、孔4c内に図2中下方から侵入して、永久磁石5の下端を図2中上方へ附勢してプレート16へ押付ける。
かくして、永久磁石5は、図2中上端がプレート16に当接し、図2中下端が孔4c内に挿入される板バネ12cに当接して、板バネ12cの附勢力によって永久磁石5が図2中上方へ附勢され、ステータコア4の各孔4c内に挿入された各永久磁石5は、軸方向にずれなく位置決められて固定される。
よって、各永久磁石5がステータコア4の孔4c内で接着によって固定されるのではなく、プレート16とカバー12に設けた附勢部としての板バネ12cによって軸方向にずれなく位置決められて固定されるため、コギングトルクが大きくなってしまうことがなく、ブラシ付モータ1の製造コストが高くなってしまうという問題も生じない。
すなわち、低コストで、かつ、ステータコア4に永久磁石5を固定することが可能となるのである。
また、この場合、環状本体12aがステータコア4の他端たる図2中下端に当接して、カバー12とプレート16とでステータ3をケース2に固定するようにしているので、ケース2やステータコア4の寸法公差や、線膨張係数の違いで温度変化によって生じる締付力の変化によって、ケース2のステータ3を締付ける締付力が不足する事態となっても、カバー12によって、ステータ3がケース2から脱落することが阻止され、ケース2やステータコア4の寸法精度が高くなくとも、確実にステータ3をケース2内に固定する事ができる。
そして、ケース2とステータ3の双方において高精度な寸法管理を強いられる事がなく、ケース2やステータ3に寸法を出すための後加工を施す必要が無いから、圧入性も改善され、ブラシ付モータ1の生産性の向上と低コスト生産を両立する事ができる。
また、永久磁石5は、ステータコア4の磁極部4a内に埋設されることになるので、プロテクタやホルダといった永久磁石5の保護および飛散防止のためだけに使用される部材をブラシ付モータ1に設ける無駄を省くことが可能となる。
さらに、爪部12bの数は、ステータ3をケース2に固定し抜け止めとして機能できれば、二個以上設ければよいが、ケース2に対して偏心させることがないよう、3個以上設置することが好ましく、また、各爪部12bの円周方向幅は、全て同じに設定せずともよく、さらには、爪部12bの外周の形状は、上記した円弧状以外に、たとえば、鋸歯状や波型に設定されてもよい。
また、附勢部としての板バネ17bは、図6に示した一実施の形態の一変形例におけるブラシ付モータのカバー17のように、環状本体17aの内周に連なる破線で示した腕aを外周側へ向けて折りたたんで、形成してもよい。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
本発明の一実施の形態におけるブラシ付モータの横断面図である。 本発明の一実施の形態におけるブラシ付モータのAA断面図である。 本発明の一実施の形態におけるステータ構造が具現化されたモータの一部拡大横断面図である。 本発明の一実施の形態におけるモータのカバーの平面図である。 本発明の一実施の形態におけるモータのカバーの側面図である。 本発明の一実施の形態の一変形例におけるモータのカバーの平面図である。
符号の説明
1 ブラシ付モータ
2 ケース
2a ケースにおける底部
2b ケースにおける筒部
2c ケースにおける凸部
3 ステータ
4 ステータコア
4a ステータコアにおける磁極部
4b ステータコアにおけるテーパ面
4c ステータコアにおける孔
5 永久磁石
5a 永久磁石の端部
6 キャップ
7,8 ボールベアリング
9 ロータ
10 整流子
11 ブラシ
12,17 カバー
12a カバーにおける環状本体
12b カバーにおける爪部
13 シャフト
14 ロータコア
15 巻線
16 プレート
B ステータコアにおける磁束集中部
M ステータコアにおける磁路

Claims (3)

  1. 永久磁石と、筒状に形成されるとともに内周側が膨出される複数の磁極部と前記磁極部に前記永久磁石を収容する孔とを有するステータコアと、で構成される筒状のステータと、
    前記ステータを収容する筒状のケースと、
    前記ケース内周に固定されて、前記ステータコアの孔の一端を閉塞するプレートと、
    前記ケース内周に固定されて、前記ステータコアの他端に当接するカバーとを備え、
    前記カバーは、前記ステータコアの孔に他端から挿入されて前記永久磁石をプレートへ向けて附勢する附勢部を有することを特徴とするブラシ付きモータ。
  2. 前記カバーは、前記ステータコアの他端に当接して前記ステータのケースからの抜け止めとして機能することを特徴とする請求項1に記載のブラシ付モータ。
  3. 前記カバーは、前記ステータコアの他端に当接する環状本体と、前記環状本体の外周に設けられて反ステータコア側へ傾斜する複数の爪部と、前記環状本体から立ち上がって前記ステータコアの孔内に挿入されて前記永久磁石を附勢する板バネとを備え、前記爪部を前記ケース内周に圧入することを特徴とする請求項1に記載のブラシ付モータ。
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