JP3426134B2 - 防湿加工紙 - Google Patents

防湿加工紙

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達巳 三輪
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大昭和紙工産業株式会社
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコピー用紙(PPC
用紙)等の紙を包装するのに好適な防湿加工紙に関す
る。
【0002】
【従来の技術とその問題点】コピー用紙等の包装に用い
られる防湿加工紙には原紙たるクラフト紙にポリエチレ
ン等の高分子化合物を塗工あるいは貼り合わせて防湿層
を形成したものがあり、この防湿層によって充分な防湿
性を得ることができるが、古紙を再生しようとすると防
湿層の高分子化合物が離解せずに残るので、再生紙とし
て用いることができない。
【0003】再生可能な防湿加工紙としては、原紙たる
クラフト紙の片面または両面にパラフィンワックスを含
むエマルジョンを塗工したり、あるいは合成ゴム系ラテ
ックスとワックス系エマルジョンを混合した塗工液を塗
工して防湿層を形成したものがあり、ワックス成分によ
って充分な防湿性を得ているが、これらの防湿加工紙を
例えばコピー用紙の包装紙として使用すると、防湿層が
コピー用紙に直接触れて、防湿層に含まれるワックス成
分がコピー用紙に転移し、その結果コピー用紙表面の摩
擦係数が小となってコピー機での紙送りの際に複数枚の
コピー用紙が重ね送りされることがあった。
【0004】また、従来の防湿加工紙は前記ワックス成
分によって表面の摩擦係数が小であることから、例えば
ロール状に巻取った紙を従来の防湿加工紙で包装する
と、輸送時にロール状の巻取り紙と防湿加工紙との間に
すべりが生じ、包装紙たる防湿加工紙がずれて体裁が悪
くなったり、あるいは防湿加工紙が破れて巻取り紙が抜
け落ちたりすることがあった。
【0005】
【本発明の目的】本発明の目的とするところは、充分な
防湿性を有するとともに、古紙等を再生紙化することが
でき、しかも表面の摩擦係数が従来のものに比べて充分
に大でコピー用紙等の紙の包装に好適な防湿加工紙を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る防湿加工紙は、合成樹脂ラテックスた
るスチレンブタジエンラテックスよりなる主材の重合時
において末端基にパラフィン炭化水素を付加させた防湿
剤100重量部に対して水酸化アルミニウム細粉を2〜
30重量部添加した塗工液を原紙の少なくとも片面に塗
工して防湿層を形成し、前記水酸化アルミニウム細粉の
粒径を前記防湿層の厚さよりも大なるものとして、水酸
化アルミニウム細粉の粒子の一部を防湿層の表面に突出
せしめて表面の摩擦係数が防湿層のワックス成分によっ
て小となるのが防止されるように構成したものとしてあ
る。
【0007】また、前記防湿層の厚さが20μm以下で
あり、しかも水酸化アルミニウム細粉は粒径が10〜5
0μmの範囲内であって、防湿層の厚さよりも大である
構成のものとしてある。
【0008】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。本実施例の
防湿加工紙は、防湿剤100重量部に対して水酸化アル
ミニウム細粉を2〜30重量部添加した塗工液を原紙た
るクラフト紙の表面に塗工して防湿層を形成し、前記水
酸化アルミニウム細粉の粒径を前記防湿層の厚さよりも
大なるものとして、水酸化アルミニウム細粉の粒子の一
部を防湿層の表面に突出せしめたものとしてあり、前記
防湿剤は合成樹脂ラテックスたるスチレンブタジエンラ
テックス(SBR)を主材とし、同スチレンブタジエン
ラテックスの重合時において末端基にパラフィン炭化水
素(ワックス成分)を付加させたものとしてある。
【0009】また、前記防湿層の厚さは20μm以下と
し、しかも水酸化アルミニウム細粉は粒径が10〜50
μmの範囲内であって、防湿層の厚さよりも大なるもの
としてある。
【0010】前記防湿層の厚さを20μm以下とするの
は、防湿層が厚過ぎると塗工作業が煩雑であるととも
に、防湿加工紙に折目などを付した場合に折目部分の防
湿層が損傷して防湿性が低下するおそれがあるからであ
る。
【0011】また、前記水酸化アルミニウム細粉の粒径
を10〜50μmとするのは、同粒径が10μmよりも
小であると、表面の摩擦係数が小となるとともに、ワッ
クス成分の転移も防止することができなくなり、一方、
水酸化アルミニウム細粉の粒径が50μmよりも大であ
ると防湿加工紙の表面の平滑性が悪化して商品価値が著
しく低下するとともに防湿性が低下するからである。
【0012】さらに、水酸化アルミニウム細粉の添加量
を防湿剤100重量部に対して2〜30重量部とするの
は、水酸化アルミニウム細粉の添加量が2重量部よりも
小であると、表面の摩擦係数が小となるとともに、ワッ
クス成分の転移も防止することができなくなり、また添
加量が50重量部よりも大であると防湿性が低下するか
らである。
【0013】本実施例に係る防湿加工紙の具体的な製造
方法は次ぎのとおりである。防湿剤としての大日本イン
キ化学工業(株)製の商品名パテラコールSW−10(ス
チレンブタジエンラテックスを主材とし、その末端基に
パラフィン炭化水素を付加させた防湿剤)100重量部
に対して、水酸化アルミニウム細粉として日本軽金属
(株)製の商品名B−303(粒子径30μmの水酸化ア
ルミニウム細粉)を16重量部添加し、原紙たる両更ク
ラフト紙70g/m2 に25g/m2 ドライ塗工し、乾
燥する。
【0014】上述のように構成した防湿加工紙は、図1
に示すように原紙1の表面に20μmよりも若干薄い防
湿層2が形成され、防湿剤に添加された水酸化アルミニ
ウム細粉の粒子3(直径約30μm)の一部(上部)が
防湿層2の表面から突出する。
【0015】本実施例の防湿加工紙をコピー用紙4等の
包装紙として使用すると、防湿層2により充分な防湿性
が得られ、また、水酸化アルミニウム細粉の粒子3が防
湿層2の表面よりも上方へ突出しているので、コピー用
紙4は水酸化アルミニウム細粉の粒子3に接触するが、
防湿層2には殆ど接触しない。
【0016】したがって、防湿加工紙表面の摩擦係数は
防湿剤中のワックス成分によって小となることはなく、
しかもコピー用紙4等の被包装紙へのワックス成分の転
移も防止される。
【0017】また、本実施例の防湿加工紙では特にパラ
フィン炭化水素(ワックス成分)がスチレンブタジエン
ラテックス(ポリマー)に取り込まれているので、ワッ
クス成分が防湿剤中から離脱しにくく、このことからも
被包装紙へのワックス成分の転移が充分に防止される。
【0018】 上記実施例で得られた防湿加工紙のサンプ
ルについて透湿度、動摩擦係数、離解性およびコピー適
性について評価試験を行った。この評価試験を行うにあ
たり、次ぎの比較例1〜3で得られた防湿加工紙のサン
プルについても同様の評価試験を行った。
【0019】 <比較例1> 原紙たる両更クラフト紙70g/m2 に、厚さ20μm
のポリエチレン樹脂を押し出しラミネートした。
【0020】 <比較例2> 防湿剤としての大日本インキ化学工業(株)製の商品名パ
テラコールSW−10、100重量部に対して、本発明
における水酸化アルミニウム細粉に代えて白石カルシウ
ム(株)製の沈降性炭酸カルシウムPC(粒子径4μm)
を16重量部添加し、原紙たる両更クラフト紙70g/
2 に25g/m2 ドライ塗工し、乾燥した。
【0021】 <比較例3> スチレンブタジエンラテックスとしてのジェイエスアー
ル(株)製SBRラテックスAE872と、低融点ワック
スとしての中京油脂(株)製の商品名セロゾール428と
を7:3の割合で混合した液を、原紙たる両更クラフト
紙70g/m2に25g/m2 ドライ塗工し、乾燥し
た。
【0022】 <試験方法> 透湿度については、JIS−Z−2080に準拠して測
定した。透湿度の値は50g/m2・24hr以下であ
れば充分な防湿を有するものと評価することができる。
【0023】 動摩擦係数については、サンプルの塗工層
面とコピー用紙間についてJIS−P−8147水平法
に基づいて試験を行った。動摩擦係数が0.40以上で
あればコピー用紙の包装紙として使用した場合に滑りに
よる包装紙のずれなどが生じにくくなると評価すること
ができる。
【0024】離解性については、JIS−P−8209
に準拠した標準離解機を使用し、1cm角に切った試料
を冷水で20分間離解して未離解物の有無を目視し、未
離解物を含む場合には不良、未離解物を含まない場合に
は良好とした。
【0025】 コピー適性については、500枚/冊とな
るようコピー用紙をサンプルにて予め包装しておき、同
コピー用紙を(株)リコー製のPPCコピー機FT−70
00にセットし、重ね送りされたコピー用紙の枚数を調
べた。
【0026】 <評価結果> 図2に示す表のように、本発明の実施例で得られた防湿
加工紙は、ともに透湿度、動摩擦係数および離解性にお
いて充分な実用性があると評価できる結果となり、また
コピー適性においても冊間、冊内ともに重ね送りが発生
しなかったことがわかる。
【0027】
【発明の作用、効果】本発明に係る防湿加工紙において
は、防湿剤に添加された水酸化アルミニウム細粉の粒子
が防湿層から表面に突出しているので、例えばコピー用
紙の包装紙として使用した場合には、コピー用紙は水酸
化アルミニウムの粒子とは接触するが、ワックス成分を
含む防湿層とは殆ど接触しない。
【0028】 したがって、ワックス成分によって防湿加
工紙表面の摩擦係数が小となるのが防止され、被包装紙
たるコピー用紙の輸送時においてはコピー用紙との間の
すべりが生じにくく、従来の防湿加工紙のようにすべり
によって包装紙たる防湿加工紙がずれたり、破れたりと
いうおそれを軽減することができる。
【0029】 また、上述のようにワックス成分を含む防
湿層と被包装紙たるコピー用紙との接触が防止されるの
で、コピー用紙へのワックス成分の転移は殆どなく、コ
ピー機での紙送りの際にコピー用紙が重ね送りされるな
どのトラブルが生じにくい。
【0030】 しかも、本発明のものは防湿剤中のワック
ス成分たるパラフィン炭化水素がポリマーたるスチレン
ブタジエンラテックスに取り込まれているので、ワック
ス成分が防湿剤中から離脱しにくく、このことからも被
包装紙へのワックス成分の転移を充分に防止することが
できる。
【0031】 さらに、防湿層内に水酸化アルミニウム細
粉を含有しているので、ワックス成分が防湿層の表面に
現れる従来の防湿加工紙に比べて表面の光沢が抑えら
れ、普通紙に近い表面状態の防湿加工紙とすることがで
きる。また、本発明に係る防湿加工紙は離解性を有して
いるので、古紙等を回収して再生紙化することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る防湿加工紙の拡大縦断面
図。
【図2】本発明の実施例による防湿加工紙のサンプルに
ついて透湿度、動摩擦係数、離解性およびコピー適性に
ついての評価試験を行った結果を示す表。
【符号の説明】 1 原紙 2 防湿層 3 水酸化アルミニウム細粉の粒子 4 コピー用紙

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂ラテックスたるスチレンブタジエ
    ンラテックスよりなる主材の重合時において末端基にパ
    ラフィン炭化水素を付加させた防湿剤に水酸化アルミニ
    ウム細粉を添加した塗工液を原紙の少なくとも片面に塗
    工して防湿層を形成し、前記水酸化アルミニウム細粉の
    粒径を前記防湿層の厚さよりも大なるものとして、水酸
    化アルミニウム細粉の粒子の一部を防湿層の表面に突出
    せしめて表面の摩擦係数が防湿層のワックス成分によっ
    て小となるのが防止されるように構成してなる防湿加工
    紙。
  2. 【請求項2】合成樹脂ラテックスたるスチレンブタジエ
    ンラテックスよりなる主材の重合時において末端基にパ
    ラフィン炭化水素を付加させた防湿剤100重量部に対
    して水酸化アルミニウム細粉を2〜30重量部添加した
    塗工液を原紙の少なくとも片面に塗工して防湿層を形成
    し、前記水酸化アルミニウム細粉の粒径を前記防湿層の
    厚さよりも大なるものとして、水酸化アルミニウム細粉
    の粒子の一部を防湿層の表面に突出せしめて表面の摩擦
    係数が防湿層のワックス成分によって小となるのが防止
    されるように構成してなる防湿加工紙。
  3. 【請求項3】 前記防湿層の厚さが20μm以下であり、
    しかも水酸化アルミニウム細粉は粒径が10〜50μm
    の範囲内であって、防湿層の厚さよりも大である請求項
    1または2に記載の防湿加工紙。
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