JP4501184B2 - 防湿加工用樹脂組成物及び防湿材 - Google Patents

防湿加工用樹脂組成物及び防湿材 Download PDF

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Description

【0001】
【0002】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防湿加工用樹脂組成物及び防湿材に関するものであり、さらに詳しくは、紙ま たは不織布に塗工または含浸することによって、防湿性の層を形成させる防湿 加工用組成物に関するものであり、特に故紙や損紙の回収が容易な防湿、防水 組成物であり、特に包装紙の分野に適用されるものである。
【0003】
【従来の技術】
従来から防湿紙としては、原紙に塩化ビニリデン樹脂を塗工した防湿コ−ト紙や、ポリエチレンラミネ−ト紙などがある。
【0004】
これらの防湿紙は、防湿性能の面で良好であるため包装紙分野に適用されている。
【0005】
近年、資源の有効利用および公害対策の面から故紙や損紙の回収に際して、紙に再生することが容易か否かという問題がある。
この観点からポリエチレンラミネート紙の場合は、樹脂層と紙との解離が困難であり、故紙や損紙を回収しても再生し難いという問題がある。
【0006】
また、塩化ビニリデン樹脂を塗工した場合は、塗工紙の焼却廃棄処理するときハロゲンの有毒ガス発生が、最近環境上問題となっている。
【0007】
このように、いずれの防湿紙も問題点があり、代替防湿紙の開発が強く要求されている。
【0008】
この代替技術として、ブタジエン系ラテックス100重量部にワックス5〜200重量部を配合し塗工することにより防湿紙を得る技術が、特公昭55−2259号公報の中に提案されている。
【0009】
しかし、この技術は、ワックスを使用しているため塗工面が滑りやすく、防滑剤などを用いても、耐スベリ性を満足するものではない。また、塗工面の磨耗によるワックスの脱落によってかえって防湿性能の低下がみられる。さらに塗工紙の巻取り時の圧力によって塗工紙のブロッキングなどの問題が発生する。
【0010】
また、代替技術として、アクリル系エマルジョンにワックスをブレンドしてダンボ−ルへ塗工し、防湿紙を製造する技術も提案されている(特公平2−1671号公報)。
【0011】
しかし、この技術で得られる防湿紙は、耐スベリ性は満足するものであるが、防湿性は、上記塩化ビニリデン樹脂塗工紙や、ポレエチレンラミネート紙に較べて劣っている。
【0012】
また、パラフィンワックスと特定のマレイン化もしくはフマール化ロジンと多価アルコールとのエステル化物とポリブテン等を含有するワックスエマルジョンを防湿組成物として使用した技術がある(特公平3−10759号公報)。
しかし、この防湿組成物を基材に塗布して得られる防湿紙は、塗工面の摩耗によってワックスが脱落し防湿性が低下するという問題がある。
【0013】
また、紙支持体上の少なくとも片面にワックス及び合成樹脂ラテックスを含む防湿層を形成してなる防湿性紙において、該防湿層がアスペクト比5以上で粒子径が5〜50μmの平板状顔料を含有し、しかもn−パラフイン成分率が防湿層全体に対し0.5〜5.0重量%である防湿性紙(特開平9−111696号公報)に関する技術がある。
【0014】
しかし、この技術は組成物を製造するときの顔料分散性、顔料配合での増粘により、低粘度化が難しく低粘度を必要とする塗工機での塗工適性に問題がある。また、塗工紙の光沢性(白色度)と摩擦係数においても十分満足の行く性能が得られないという問題がある。
【0015】
そこで現在、紙業界、加工剤メ−カ−各社でポリエチレンラミネ−ト紙に匹敵する防湿性を付与できると共に、故紙と損紙の回収が可能なエマルジョン系の防湿加工用樹脂組成物の開発が望まれている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はポリエチレンラミネ−ト紙並みの高防湿性能(JIS Z−0208)を付与することができ、再生に際し樹脂層と紙との離解性がよく、耐スベリ性がよく、ワックスの脱落のない防湿加工用樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、脂肪酸エステルエマルジョンと水酸化アルミニウムを特定割合でブレンドした組成物を使用した樹脂組成物を紙に塗工することにより、ポリエチレンラミネ−ト並みの高い防湿性能を発揮し、且つ故紙と損紙の回収が容易で、また耐ブロッキング性に優れるものが得られることを発見し、本発明を完成させるに到った。
【0018】
すなわち[I]本発明は、合成樹脂エマルジョンまたは合成ゴムラテックス(1)と脂肪酸エステル(2)と平均粒子径が1〜50μmの水酸化アルミニウム(3)とを含んでなり、且つ該脂肪酸エステル(2)が、固形分換算で該合成樹脂エマルジョンまたは合成ゴムラテックス(1)100重量部に対し0.3〜150重量部であり、かつ前記脂肪酸エステル(2)の脂肪酸がステアリン酸であることを特徴とする防湿加工用樹脂組成物を提供するものである。
【0019】
また[II]本発明は、合成樹脂エマルジョンまたは合成ゴムラテツクスの樹脂(1)が、Tg5〜30℃の樹脂である上記[I]記載の組成物であり、
[III]本発明は、脂肪酸エステル(2)の脂肪酸が、ステアリン酸である上記[I]又 は[II]記載の組成物を提供するものであり、
【0020】
さらに[IV]本発明は、水酸化アルミニウム(3)が、固形分換算で合成樹脂エマルジョンまたは合成ゴムラテックス(1)100重量部に対し5〜250重量部である上記[II]又は[III]記載の組成物を提供するものであり、
本発明は、上記[I]〜[IV]のいずれか記載の防湿加工用樹脂組成物を基材に10〜50g/m2の厚さで塗布してなる防湿材を提供するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の脂肪酸エステルは、脂肪酸とアルコールとを反応させて得られるエステルである。本発明の脂肪酸エステルの脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸があるが、どちらでも構わない。飽和脂肪酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。また不飽和脂肪酸としては、クロトン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等がある。これらのうち、防湿性の点で、ステアリン酸が好ましい。
またアルコールとしては、低級アルコール、高級アルコール、多価アルコール等が挙げられる。低級アルコールとしては、メチルアルコ−ル、エチルアルコ−ル、プロピルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、ブチルアルコ−ル、イソブチルアルコ−ル、sec-ブチルアルコ−ル、tert-ブチルアルコ−ル等が挙げられる。
高級アルコールとしては、ヘキシルアルコ−ル、オクチルアルコ−ル、カプリルアルコ−ル、ノニルアルコ−ル、デシルアルコ−ル、ラウリルアルコ−ル、トリデシルアルコ−ル、ペンタデシルアルコ−ル、セチルアルコ−ル、ヘプタデシルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、ノナデシルアルコ−ル、エイコシルアルコ−ル、セリルアルコ−ル、メリシルアルコ−ル等が挙げられる。
【0022】
多価アルコールしては、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ペンタエリスリト−ル、等が挙げられる。
【0023】
これらの中、防湿性の点でステアリルアルコ−ルが好ましい。したがって本発明の脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸ステアリルが最も好ましい。
【0024】
ステアリン酸エステルの融点は、通常20〜86℃の範囲で変化するが、本発明の目的である防湿性を維持するには、45〜65℃であることが必要である。45℃に満たないと、本発明組成物を基材に塗布後乾燥工程において、基材にしみ込み防湿性を発揮せず、また65℃を越えると脂肪酸エステルが塗膜の表面にでないため防湿性を発揮せず、好ましくない。
【0025】
また脂肪酸エステルの使用量は、0.3〜150重量部であることが必要である。0.3重量%未満では所期の防湿性能を得ることができず、又150重量部を越えると耐スベリ性の面で好ましくない。
脂肪酸エステルの形態としては、固形状またはこの固形状のものを乳化分散したエマルジョン状のものが挙げられ、いずれの形態も使用することができるが、合成樹脂エマルジョン等との相溶性の点でエマルジョン状のものが好ましい。
【0026】
乳化分散の際、乳化剤を使用することができる。乳化剤としては、一般に市販されている陰イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両イオン界面活性剤などを使用することができる。
【0027】
脂肪酸エステルと併用する本発明の必須成分は水酸化アルミニウムである。
【0028】
水酸化アルミニウムの平均粒子径は1μmから50μmのものであり、好ましくは 粒子径が3μmから30μmのものである。粒子径が1μm未満の場合には、耐ブロッキング性の点で好ましくなく、又50μmを越えると造膜性、透湿性及び塗工表面状態の点において好ましくない。
【0029】
本発明は脂肪酸エステルと水酸化アルミニウムを併用することによって、これを基材に塗布し製造した防湿材において、透湿性、造膜性及び耐すべり性を同時に満足するものが得られる。
【0030】
また水酸化アルミニウムの使用量は、合成樹脂エマルジョンまたは合成ゴムラテックスの固形分換算で100重量部に対し5〜250重量部が好ましい。水酸化アルミニウムが5重量部未満では耐ブロッキング性の面で好ましくなく、又250重量部を越えると皮膜形成において好ましくない。より好ましくは10〜150重量部である。
【0031】
合成樹脂エマルジョンまたは合成ゴムラテックスは、その種類は特に限定されるものではないが、耐ブロッキング性、造膜性に起因する防湿性の点で、Tgが5〜30℃の合成樹脂エマルジョンまたは合成ゴムラテツクスが好ましい。
【0032】
合成ゴムラテックス、又は合成樹脂エマルジョンは、以下に示すエチレン性不飽和単量体をそれぞれ単量重合体又は複数組み合わせて共重合体として製造される。エチレン性不飽和単量体としては例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタルクル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタルリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、などで例示されるアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステル;1,2ブタジェン、1,3ブタジェン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン2、4―ジブロモスチレン等で示されるエチレン性不飽和芳香 族単量体;アクリロニトリル、メタクロニトリル等の不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸およびその無水物、フマル酸、イタコン酸並びに、不飽和ジカルボン酸モノアクキルエステル例えば、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノノルマルブチル等のエチレン性不飽和カルボン酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の如きビニルエステル;塩化ビニリデン臭化ビニリデン等の如き、ビニリデンハライド;アクリル酸−2−ヒドロキシエチレル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキルエチル等の如きエチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等の如きエチレン性不飽和カルボン酸のグリシジルエステルおよび、アクリルアミド、メタクリルアミド、Nーメチロールアクリルアミド、N−メチロ−ルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルミド等のラジカル重合可能な単量体が挙げられる。
【0033】
本発明で用いる合成ゴムラテックス、又は合成樹脂エマルジョンは、上記のエチレン性不飽和単量体を乳化重合することによって得られる。この際使用する乳化剤としては、一般に市販されている陰イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両イオン界面活性剤などを使用することができる。これらのうち、防湿性をより高めるためには反応性乳化剤を用いることが好ましい。この反応性乳化剤を用いることによりソープフリー型のエマルジョンが得られる。 反応性乳化剤としては、例えばスチレンスルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソ−ダ、各種エチレン性不飽和基を有する乳化剤などを挙げることができる。この中でも、特開昭58−203960号公報で示される下記の構造式を有する化合物が最も好ましい。
【0034】
【化1】
Figure 0004501184
【0035】
(式中、Rは炭素数12のアルキル基、又は水素原子の1つがフッ素原子で置換された炭素数18のアルキル基を表し、MはNa、又はNH4表す。)
また乳化剤を使用せず、合成ゴムラテックス、又は合成樹脂エマルジョンの樹脂にカルボキシル基等の陰イオン性基、第4級アンモニウム塩基等の陽イオン性基、エチレンオキサイド鎖等の非イオン性の官能基を含ませた自己乳化型のソープフリーのエマルジョンを使用することもできる。
また脂肪酸エステルエマルジョンとの相溶性の点から、乳化剤のイオン性、非イオン性を一致させることが好ましい。例えば脂肪酸エステルエマルジョンに陰イオン性界面活性剤を使用すれば合成樹脂エマルジョンも陰イオン性界面活性剤を使用したものが好ましい。
【0036】
乳化剤の使用量としては、合成ゴムラテックス、又は合成樹脂エマルジョンの固形分換算で100重量部に対して、0.1〜3重量部用いるのが好ましい。乳化剤を3重量部を越えて用いた合成ゴムラテックス又は合成樹脂エマルジョンを本発明の水酸化アルミニウムと組合せて用いても高い防湿性の発現は困難になる。
【0037】
本発明の合成ゴムラテックスは、高い防湿性能を得るためには、スチレンブタジエンゴム(SBR)、メチルメタクリレートブタジエンゴム(MBR)の水分散体が好ましい。
【0038】
また、本発明の合成樹脂エマルジョンは、上記エチレン性不飽和単量体を乳化重合したものであるが、高い防湿性能を得るためには、これらのエチレン性不飽和単量体の中でも2−エチルヘキシルアクリレ−トを使用することが好ましい。
【0039】
本発明の合成ゴムラテックス又は合成樹脂エマルジョンを製造するに際しては、前記した単量体混合物を、フリ−ラジカル発生触媒の存在下で、40℃〜80℃で重合を行なえばよい。フリ−ラジカル発生触媒としては、例えば過硫酸カリウム(K2S2O8)、過硫酸アンモニウム[(NH4)2S2O8]、過酸化水素等の水性触媒、tert−ブチルハイドパ−オキサイド、クメンハイドロパ−オキサイド等の油性触媒が挙げられる。
【0040】
またラジカル重合に通常用いられる添加剤、例えば連鎖移動剤、エチレンジアミン四酢酸、pH調整のためのアルカリ物質を必要に応じて使用することができる。
【0041】
本発明の合成ゴムラテッス又は合成樹脂エマルジョンは、未反応モノマーの臭気を低減する等のため、例えばストリッピング等の方法によって必要とされる固形分含量に濃縮されて使用することが好ましい。
【0042】
合成ゴムラテックス又は合成樹脂エマルジョンの最低造膜温度(MFT)としては、特に制限はないが、皮膜形成性を考慮すれば50℃以下が好ましい。
【0043】
脂肪酸エステルと水酸化アルミニウムとの混合物、合成ゴムラテックス又は合成樹脂エマルジョンとの組み合わせ方法としては、この混合物を該合成ゴムラテックス又は合成樹脂エマルジョンに混合してもよいし、該混合物の存在下で合成ゴムラテックス又は合成樹脂エマルジョン用単量体混合物を乳化重合してもよい。
【0044】
本発明の防湿加工用樹脂組成物は、必要に応じて、上記本発明組成物の成分の他に、界面活性剤、多価アルコ−ル、水酸化アルミニウム以外の無機系物質、増粘剤等を添加することができる。
【0045】
界面活性剤及び多価アルコールは、塗工紙を再生する場合の離解性を向上させるために使用するものである。
【0046】
この界面活性剤としては、例えば市販品として、エマルゲン105、108、109P、120、123P、705、707、709、エマ−ル、エマ−ル2F、ネオペレックスF25[花王(株)製]、ノイゲンEA−80、120、140、142、160、170、190D、ネオコ−ルYSK、P[第一工業製薬(株)]等が挙げられる。
【0047】
また多価アルコ−ルとしては、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0048】
水酸化アルミニウム以外の無機系物質としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、カオリン、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ等が挙げられる。
【0049】
増粘剤としては、例えばポリビニ−ルアルコ−ル、ポリアクリル酸ソ−ダ塩、及びアンモニウム塩、ポリエチレン系増粘剤等が挙げられる。
【0050】
本発明の防湿加工用樹脂組成物を、基材に塗布又は含浸させることにより、防湿紙等の防湿材が得られる。
【0051】
基材としては、紙、板紙、不織布、繊維基材、木材などが挙げられる。
【0052】
基材に塗布し又は含浸する方法としては、各種コ−タ−による塗工、含浸機による含浸加工、又はサイズプレスによる加工等多種多様な加工方法を用いることができる。
【0053】
基材への塗工量としては、できるだけ低塗工量がコスト面や故紙や損紙の回収面から、10〜50g/m2となるよう塗工するのが好ましい。10g/m2未満では高防湿性発現が困難であり、50g/m2を越えると乾燥性が遅くなる。より好ましい塗工量は20〜30g/m2である。
【0054】
【実施例】
以下に合成例及び実施例をあげて本発明を説明する。なお、例中の部および%はすべて重量基準とする。
【0055】
合成例1
撹拌装置を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、反応性乳化剤S−180[不飽和アルキル硫酸塩、花王(株)製]を0.5部、エチレンジアミン四酢酸0.1部、スチレン30部、ブタジエン25部、メチルメタクリレ−ト40部、アクリル酸5.0、t−ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み、撹拌を開始し、反応温度60℃に昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.1部を添加し、反応を開始させた。7時間後、重合率が98%に達したとき冷却を行なった。得られたラテックスは、重合率98.6%であった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留によって乳化剤の含有量が1%以下の固形分50.1%のSBRラテックス(以下LX−Aという)を得た。
【0056】
合成例2
撹拌装置を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤ネオペレックスF−25[アルキルベンゼンスルホン酸ソ−ダ塩、花王(株)製]を0.5部、エチレンジアミン四酢酸0.1部、スチレン30部、ブタジエン25部、メチルメタクリレ−ト40部、アクリル酸5.0、t−ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み、撹拌を開始し、反応温度60℃に昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.1部を添加し、反応を開始させた。7時間後、重合率が98%に達したとき冷却を行なった。得られたラテックスは、重合率98.6%であった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留によって乳化剤の含有量が1%以下の固形分50.1%のSBRラテックス(以下LX−Bという)を得た。
【0057】
合成例3
撹拌装置を備えた重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、反応性乳化剤S−180[不飽和アルキル硫酸塩、花王(株)製]を0.5部、エチレンジアミン四酢酸0.1部、スチレン30部、2エチルヘキシルアクリレート25部、メチルメタクリレート40部、アクリル酸5.0、t−ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み、撹拌を開始し、反応温度70℃に昇温し、重合容器内温度が70℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.1部を添加し、反応を開始させた。7時間後、重合率が98%に達したとき、冷却を行なった。得られたエマルジョンは、重合率98.6%であった。次いで、25%アンモニア水でエマルジョンのpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留によって乳化剤の含有量が1%以下の固形分50.5%の共重合体合成樹脂エマルジョン(以下EM−Aという)を得た。
【0058】
実施例1〜8
撹拌装置を備えた耐圧重合容器に、ステアリン酸ステアリル(軟化点58℃)と水酸化アルミニウム(平均粒子径1μmから50μm)と、LX−A、LX−B及びEM−Aをそれぞれ表1に示すとおり配合した。
合成例4
撹拌装置を備えた耐圧重合容器に水120部、ステアリン酸ステアリル(軟化点58℃)を表1に示す量で、水酸化ナトリウムを0.1部、反応性乳化剤S−180[不飽和アルキル硫酸塩、花王(株)製]を0.5部、エチレンジアミン四酢酸を0.1部、スチレンを30部、ブタジエンを25部、メチルメタクリレートを40部、アクリル酸を5・0部、t−ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み撹拌を開始し、反応温度を60℃に昇温した重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.1部を添加し、反応を開始させた。7時間後、重合率が98%に達したとき冷却を行なった。得られたラテックスは重合率98.6%であった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留し、乳化剤の含有量が1%以下で、該エステル化合物の配合された固形物がそれぞれ49.9%と50.1%のSBRラテックス(以下LX−1という)を得た。
【0059】
実施例9
ステアリン酸ステアリル、水酸化アルミニウムを表1のとおり、配合し、本発明の防湿加工用組成物を得た。
比較例1〜6
脂肪酸エステル、水酸化アルミニウム、雲母等を表2のとおり、配合し、防湿加工用組成物を得た。
【0060】
応用例1〜9
合成例で得られたSBRラテックスと合成樹脂エマルジョンを用いて、実施例1〜9の防湿加工用組成物を市販の上質紙(坪量70m2)に対して、マイヤ−ロットにより塗工量約25g/m2を塗工し、熱風乾燥機にて120℃、1分間乾燥し、防湿塗工紙を加工した。
【0061】
比較応用例1〜6
合成例で得られたラテックスと及びステアリン酸ステアリルを用いて、比較例1〜6の組成物を市販の上質紙(坪量70g/m2)に対してマイヤ−ロットにより塗工量約15g/m2を塗工して熱風乾燥機中120℃、1分間乾燥した。又比較例6として、比較用に市販ポリエチレンラミネ−ト紙を測定に入れた。
【0062】
このようにして得られた加工紙について、下記の試験方法により塗工量とJISZ0208に準じた透湿度(恒温恒湿条件下、40℃、90%湿度でのカップ法)等を測定した。表3と表4に測定の結果を示す。
【0063】
この表4から比較例1〜5のラテックスの防湿値は実施例1〜9で得られた値よりいずれも高く、防湿性の点でポリエチレンラミネ−ト紙の代替防湿紙にはなり得ないことがわかる。
【0064】
表3、4の各物性は以下の試験方法により測定し評価した。
<測定方法及び評価基準>
透湿度(g/m2、24hr);
JIS 0208に準じた恒温恒湿条件下、40℃、90%RHでのカップ法で測定した。
【0065】
磨耗後の透湿度(g/m2、24hr);
防湿塗工紙の塗工面と非塗工面を合わせ、荷重10Kgをかけ、振盪機を用いて2分間左右に振とうを行い、塗工面を磨耗した後、透湿度をJIS0208に準じて測定した。
【0066】
摩擦係数;
摩擦係数試験法 JIS−P8147 ( 水平法)に準じて測定した。
【0067】
離解性;
家庭用ミキサ−ポット中に535mlの温水40℃に25%水酸化ナトリウム0.8ml加え、3cm角にカットした塗工紙1gを入れ、3分間離解を行い、樹脂と紙の離解性を目視で判定した。
○: 離解性あり、 △: 離解性一部なし、 ×: 離解性なし
ブロッキング性;
小型プレス機のプレス温度40℃に塗工紙10×10cmの塗工面と黒画用紙を合わせ、プレス圧10kg/cm2にて15分間プレスを行い、黒画用紙塗工面に転写した状態を目視で判定した。
○:ブロッキングなし、 △:ブロッキングややあり、 ×:ブロッキング あり
光沢性(白色度);
JIS−P8138(紙の不透明度試験方法)に準じ測定した。
顔料分散性;
防湿加工組成物をアプリケーター(バーコーター)にてガラス板上に塗工し、 顔料の分散状態を目視で判定した。
○:均一に分散 △:均一だが、分散不十分 ×:塊があり分散していない
表面状態;
塗工紙の塗工面に着色した溶剤を塗り、溶剤が塗工紙の裏面に浸透していないか、指触と目視で判定した。
○:浸透しない △:少し滲みあり ×:完全に浸透
【0068】
【表1】
Figure 0004501184
【0069】
Figure 0004501184
【0070】
【表2】
Figure 0004501184
【0071】
Figure 0004501184
【0072】
【表3】
Figure 0004501184
【0073】
【0074】
【表4】
Figure 0004501184
【0075】
【0076】
【発明の効果】
本発明の防湿加工用組成物を用いてなる防湿材、特に防湿紙は、従来のポリマ−を用いた防湿塗工紙に比べて防湿性能に優れているとともに摩耗後ワックスの脱落が少なく、防湿性能の低下が極めて少ない。また塗工紙の再パルプ化が容易である。更に、摩擦係数と耐ブロキング性においても極めて優れており防湿加工紙として大変有用である。

Claims (4)

  1. 合成樹脂エマルジョンまたは合成ゴムラテックス(1)と脂肪酸エステル(2)と平均粒子径が1〜50μmの水酸化アルミニウム(3)とを含んでなり、且つ該脂肪酸エステル(2)が、固形分換算で該合成樹脂エマルジョンまたは合成ゴムラテックス(1)100重量部に対し0.3〜150重量部であり、かつ前記脂肪酸エステル(2)の脂肪酸がステアリン酸であることを特徴とする防湿加工用樹脂組成物。
  2. 合成樹脂エマルジョンまたは合成ゴムラテクスの樹脂(1)のTgが5〜30℃である請求項1記載の組成物。
  3. 水酸化アルミニウム(3)が、固形分換算で合成樹脂エマルジョンまたは合成ゴムラテックス(1)100重量部に対し5〜250重量部である請求項1または2に記載の組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項記載の防湿加工用樹脂組成物を基材に10〜50g/m2の厚さで塗布してなる防湿材。
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