JP3803780B2 - 防湿加工用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防湿加工用樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは、紙または不織布に塗工または含浸することによって、防湿性の層を形成させる防湿加工用組成物に関するものであり、特に故紙や損紙の回収再生が容易な防湿、防水組成物であり、包装紙の分野に適用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から防湿紙としては、原紙に塩化ビニリデン樹脂を塗工した防湿コ−ト紙や、ポリエチレンラミネ−ト紙などがある。
【0003】
これらの防湿紙は、防湿性能の面で良好であるため包装紙分野に適用されている。近年、資源の有効利用および公害対策の面から故紙や損紙の回収に際して、紙に再生することが容易か否かという問題がある。
【0004】
この観点からポリエチレンラミネート紙の場合は、樹脂層と紙との離解が困難であり、故紙や損紙を回収しても再生が難しいという問題がある。また、塩化ビニリデン樹脂を塗工した場合は、塗工紙を焼却廃棄処理するときハロゲンの有毒ガスの発生が最近環境上問題となっている。
【0005】
このように、いずれの防湿紙も問題点があり、代替防湿紙の開発が強く要求されている。この代替技術として、共重合体樹脂エマルジョン100重量部にワックス5〜200重量部を配合した組成物を塗工することにより防湿紙を得る技術が、特公昭55−2259号公報の中で提案されている。
【0006】
しかし、この技術はワックスを使用しているため塗工面が滑りやすく、防滑剤などが用いられているが耐スベリ性を満足する状態のものではない。また、塗工面の磨耗によるワックスの脱落によって防湿性能の低下がみられる。さらに、塗工紙の巻取り時の圧力によって塗工紙のブロッキングなどの問題が発生する。
【0007】
また、代替技術として、アクリル系エマルジョンにワックスをブレンドしてダンボ−ルへ塗工し、防湿紙を製造する技術も提案されている(特公平2−1671号公報)。
【0008】
しかし、この技術で得られる防湿紙の防湿性は、塩化ビニリデン樹脂塗工紙やポリエチレンラミネート紙に較べて劣っている。
【0009】
そこで現在、紙業界、加工剤メ−カ−各社でポリエチレンラミネ−ト紙に匹敵する防湿性を付与できると共に、故紙と損紙の回収が可能なエマルジョン系の防湿加工用樹脂の開発が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリエチレンラミネ−ト紙並みの高防湿性能(JIS Z−0208)を付与することのできるとともに、故紙と損紙の回収が可能な防湿加工用組成物を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、共重合体樹脂エマルジョンと脂肪酸エステル化合物とロジン酸エステル化合物と多価アルコ−ルとを特定割合でブレンドした樹脂エマルジョン組成物を紙に塗工することにより、ポリエチレンラミネ−ト並みの高い防湿性能を発揮し、且つ故紙と損紙の回収が容易で、耐ブロッキング性にも優れている防湿紙が得られることを発見し本発明を完成させるに到った。
【0012】
すなわち本発明は、乳化剤を使用して得られるブタジエン系ラテックス(A)と、脂肪酸とアルコ−ルとを反応させて得られる脂肪酸エステル(B)とマレイン化又はフマ−ル化ロジンとアルコ−ルとを反応させて得られる酸価35以上のロジン酸エステル化合物(C)及び多価アルコ−ル(D)とを後述する割合で含有する防湿加工用樹脂組成物を提供するものである。
【0013】
前記ブタジエン系ラテックス(A)と、脂肪酸エステル(B)とロジン酸エステル化合物(C)、多価アルコ−ル(D)との重量割合が、ブタジエン系ラテックス(A)100重量部あたり、それぞれ、前記脂肪酸エステル化合物(B)が3〜100重量部、前記ロジン酸エステル化合物(C)が1〜100重量部、多価アルコ−ル(D)が5〜30重量部である。
【0014】
また好ましくは脂肪酸エステル(B)の脂肪酸がステアリン酸であり、好ましくは乳化剤が反応性乳化剤である。好ましくはブタジエン系ラテックス(A)が、乳化剤の存在下にブタジエンとこれと共重合可能なエチレン性不飽和単量体と、脂肪酸エステルとを水性媒体中で乳化重合してなるブタジエン系ラテックスであり、より好ましくはこのブタジエン系ラテックス(A)の酸価が30〜100であり、好ましくはロジン酸エステル化合物(C)が、軟化点80℃〜140℃、酸価35以上である防湿加工用樹脂組成物を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
【0016】
ブタジエン系ラテックス(A)は、下記に示すエチレン性不飽和単量体のうち2種以上の単量体の共重合によって得られる共重合体からなるエマルジョンである。
【0017】
エチレン性不飽和単量体としては、共役ジエン単量体とこれと共重合可能なエチレン性不飽和単量体が挙げられる。共役ジエン単量体としては、例えば1.3−ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。これらのうち、1,3−ブタジエンが好ましい。
【0018】
この共役ジェン単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタルクル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタルリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、メタアクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシルなどで例示されるアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステル;スチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、2、4―ジブロモスチレン等で示されるエチレン性不飽和芳香族単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸およびその無水物、フマル酸、イタコン酸並びに、不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル例えば、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノノルマルブチル等のエチレン性不飽和カルボン酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の如きビニルエステル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等の如きビニリデンハライド;アクリル酸―2―ヒドロキルエチル、アクリル酸―2―ヒドロキシプロピル、メタクリル酸―2―ヒドロキルエチル等の如きエチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;アクリル酸グリルジル、メタクリル酸グリルジル等の如きエチレン性不飽和カルボン酸のグリルジルエステル、および、アクリルアミド、メタクリルアミド、Nーメチロールアクリルアミド、N−メチロ−ルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のラジカル重合
【0019】
この共役ジェン単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体として、エチレン性不飽和カルボン酸を使用した場合、ブタジエン系ラテックス(A)の酸価が30〜100であることが好ましい。
【0020】
これら化合物は、一般にはエマルジョン皮膜に適度な硬さを与えたり、密着性、分散性、機械的安定性、凍結安定性の向上を目的に使用される重要な化合物である。ラテックスの最低造膜温度(MFT)としては、皮膜形成性を考慮すれば50℃以下が好ましいが、これらの条件に制約されるものでない。
【0021】
上記のとおり、本発明では、ブタジエン系ラテックスを使用することが必須であるが、例えばSBR、MBR、NBR等ブタジエンを含有するすべての高分子水分散体が挙げられる。この中でも高い防湿性能を得るためには、SBR、MBRが好ましい。
【0022】
本発明で用いるブタジエン系ラテックスを製造する際乳化剤を使用する。かかる乳化剤としては、一般に市販されている陰イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両イオン界面活性剤などを使用できるが、防湿性をより高めるためには反応性乳化剤を用いることが好ましい。反応性乳化剤としては、市販のスチレンスルホン酸ソ−ダ、ビニルスルホン酸ソ−ダ、各種エチレン性不飽和基を有する乳化剤などを挙げることができる。この中でも、特開昭58−203960号公報で示される下記の構造式を有する化合物が最も好ましい。(式中、Rは炭素数12のアルキル基、又は水素原子の1つがフッ素原子で置換された炭素数18のアルキル基を表し、MはNa、又はNH4表す。)
【0023】
【化1】
【0024】
乳化剤の使用量としては、特に制限はないが、ブタジエン系ラテックス100重量部に対して、0.1〜3重量部用いるのが好ましい。乳化剤が3重量部を越えると、共重合体エマルジョンとしてブタジエン系ラテックスを用い、これと脂肪酸エステル化合物とを組合せても高い防湿性の発現は困難になる。
【0025】
本発明に用いるブタジエン系ラテックスを製造するに際しては、前記したエチレン性不飽和単量体混合物に乳化剤を用いる条件の下で、フリ−ラジカル発生触媒を添加し、40℃〜80℃で重合を行なえばよい。フリ−ラジカル発生触媒としては、例えば過硫酸カリウム(K2S2O)、過硫酸アンモニウム[(NH4)2S2O9]、過酸化水素等の水性触媒、tert−ブチルハイドパ−オキサイド、クメンハイドロパ−オキサイド等の油性触媒が挙げられる。
【0026】
またラジカル重合に通常用いられる添加剤、例えば連鎖移動剤、エチレンジアミン四酢酸、pH調整のためのアルカリ物質を必要に応じて使用することができる。得られた共重合体エマルジョンは、例えばストリッピング等の方法によって必要とされる固形分含量に濃縮されて使用する。
【0027】
本発明で用いる脂肪酸エステル(B)を構成する脂肪酸としては、炭素数が6以上の高級脂肪酸が好ましく、またアルコールとしては、高級アルコ−ルが好ましく、耐水性を考慮すると炭素数16以上のもの、特にステアリン酸がより好ましい。
【0028】
脂肪酸エステルの形態としては、粉末、水分散化されたタイプ等の形態のものが挙げられるが、配合作業性を考えると水分散化されたタイプが好ましい。
【0029】
脂肪酸エステル化合物の使用量としては、特に制限されないが、ブタジエン系ラテックス100重量部に対して、3〜100重量部使用することが必要である。脂肪酸エステルが、3重量部未満では防湿性能を得ることが困難であり、100重量部を越えると塗工面の耐久性が不良となる。脂肪酸エステル化合物の使用量は5〜50重量部がより好ましい。
【0030】
本発明で用いるロジン酸エステル化合物(C)は、マレイン化またはフマ−ル化ロジンとアルコ−ルとを反応させて得られるものである。ロジン酸エステル化合物の軟化点、酸価は、軟化点80℃〜140℃で酸価35以上であることが必要であり、離解性の点から酸価は、150〜250がより好ましい。
【0031】
ロジン酸エステル化合物を使用するに際しては、メチルアルコ−ル、エチルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、イソブチルアルコ−ル、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ルなどに溶かして使用する。またはアンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノ−ルアミン、メチルジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミンなどのアルカリを加え、水溶液化して使用することもできる。また予め水分散化されたものを使用しても良い。ロジン酸エステルの使用量は特に制限されないが、共重合体エマルジョン100重量部に対して1〜100重量部使用することが必要である。ロジン酸エステルの添加量が、1重量部未満では、塗工紙の離解性が困難であり、又100重量部を越えると高防湿性能を得ることが困難である。
【0032】
本発明に用いる多価アルコ−ルとしては、例えばエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ネオベンチルグリコ−ル、グリセリン、ポリエチレングリコ−ル(分子量:200〜1500)、ポリプロピレングリコ−ル(分子量:400〜3000)などが挙げられる。この多価アルコールの使用量は、ブタジエン系ラテックス100重量部に対して、5〜30重量部使用することが必要である。5重量部以下では離解性が不十分であり30重量部以上では防湿性が低下する。
【0033】
脂肪酸エステル化合物、ロジン酸エステル化合物及び共重合体エマルジョンの組み合わせ方法としては、(1)脂肪酸エステル化合物及び/またはロジン酸エステル化合物をブタジエン系ラテックスにブレンドしてもよいし、(2)脂肪酸エステル化合物及び/またはロジン酸エステルの存在下でブタジエンと共重合可能なエチレン性単量体混合物を乳化重合してもよい。
【0034】
上記(2)の方法で得られるブタジエン系ラテックスは、同一防湿性を得るのに脂肪酸エステル化合物及びロジン酸エステル化合物の使用量を低減でき、さらに得られる防湿紙のブリ−ドの発生が少ないので印刷適性を落とすことがないというメリットを有する。
【0035】
本発明の防湿加工用樹脂組成物は、そのまま直接、あるいはこの組成物に各種のフィラ−を配合して基材に塗布、あるいは、含浸機で基材への含浸、サイズプレス加工による紙への付着等、多種多様な加工方法を適用することができる。
【0036】
また本発明の防湿加工用組成物を紙または不織布に加工する方法としては、各種コーターによる塗工、含浸機による含浸加工、またはサイズプレスによる加工など、多種多様な方法を用いることができる、なお該防湿加工用組成物をそのまま用いてもよいし、また必要により各種のフィラ−を配合してもよい。
【0037】
本発明の防湿加工用樹脂組成物の塗工量としては、コスト面や故紙、損紙の回収面から、基材に対し、20g/m2以下となるよう塗工するが好ましい。5g/m2以下では高防湿性発現が困難である。塗工量としては10〜15g/m2であるのが好ましい。
【0038】
また、基材としては、紙、板紙、不織布、繊維基材などに使用することができる。
【0039】
【実施例】
以下に合成例及び実施例をあげて本発明を説明する。なお、例中の部および%はすべて重量基準とする。
【0040】
合成例1〜7
攪拌装置を備えた高圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、反応性乳化剤S−180[不飽和アルキル硫酸塩、花王(株)製]を0.5部、エチレンジアミン四酢酸0.1部、スチレン45部、ブタジェン52部、アクリル酸3.0、t−ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み、攪拌を開始し、反応温度60℃に昇温した重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.1部を添加し、反応を開始させた。7時間後、重合率が98%に達したとき冷却を行なった。得られたブタジエン系ラテックスは、重合率98.6%であった。次いで、25%アンモニア水で該エマルジョンのpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留によって乳化剤の含有量が1%以下の固形分50.1%のブタジエン系ラテックスを得た。
【0041】
合成例8〜9
攪拌装置を備えた高圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウムを0.1部、反応性乳化剤S−180[不飽和アルキル硫酸塩、花王(株)製]を0.5部、エチレンジアミン四酢酸を0.1部、スチレンを45部、ブタジェンを52部、アクリル酸を3部、t−ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み攪拌を開始し、反応温度を60℃に昇温した重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.1部を添加し、反応を開始させた。7時間後、重合率が98%に達したとき冷却を行なった。得られた共重合体樹脂エマルジョンは重合率98.6%であった。次いで、25%アンモニア水でエマルジョンのpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留し、乳化剤の含有量が1%以下で脂肪酸エステル化合物及びロジン酸エステル化合物の配合された固形分がそれぞれ49.9%と50.1%のブタジエン系ラテックスを得た。
【0042】
実施例1〜9合成例1〜9で得られた共重合体樹脂エマルジョンを用いて、表1に示す配合の防湿加工用樹脂組成物を得た。この組成物を市販の上質紙(坪量70m2)に対して、ワイヤ−ロットにより塗工量約12g/m2を塗工し、熱風乾燥機にて120℃、1分間乾燥し、防湿塗工紙を加工した。
【0043】
合成例10〜12
攪拌装置を備えた高圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤ネオペレックスF−25[アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ塩、花王(株)製]を0.5部、エチレンジアミン四酢酸0.1部、スチレン45部、ブタジエン52部、アクリル酸3.0、t−ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み、攪拌を開始し、反応温度60℃に昇温した重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.1部を添加し、反応を開始させた。7時間後、重合率が98%に達したとき冷却を行なった。得られた共重合体樹脂エマルジョンは、重合率98.6%であった。次いで、25%アンモニア水でエマルジョンのpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留によって乳化剤の含有量が1%以下の固形分50.1%の共重合体樹脂エマルジョンを得た。
【0044】
合成例10〜14
攪拌装置を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウムを0.1部、乳化剤ネオペレックスF−25[アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ塩、花王(株)製]、を0.5部、エチレンジアミン四酢酸を0.1部、スチレンを45部、ブタジェンを52部、アクリル酸を3部、t−ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み攪拌を開始し、反応温度を60℃に昇温した。重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.1部を添加し、反応を開始させた。7時間後、重合率が98%に達したとき冷却を行なった。得られたエマルジョンは重合率98.6%であった。次いで、25%アンモニア水でエマルジョンのpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留し、乳化剤の含有量が1%以下で脂肪酸エステル化合物の配合された固形物がそれぞれ49.9%と50.1%の共重合体樹脂エマルジョンを得た。
【0045】
比較例1〜10
合成例10〜14で得られた共重合体樹脂エマルジョン及び比較用にそれぞれ市販SBR(固形分50.0%、乳化剤量1重量部以上)、市販アクリルエマルジョン(固形分45.1%、乳化剤量1重量部以上)を表2に示す組成物を市販の上質紙(坪量70g/m2)に対してワイヤ−ロットにより塗工量約12g/m2を塗工して熱風乾燥機中120℃、1分間乾燥した。このようにして得られた加工紙について塗工量とJISZ0208に準じた透湿度(恒温恒湿条件下、40℃、90%湿度でのカップ法)を測定した。又比較例10として市販ポリエチレンラミネ−ト紙を用いた。表4及び表5に結果を示す。
【0046】
この表4及び表5から脂肪酸エステル化合物が配合されていないエマルジョンの透湿度は実施例1〜9で得られた値より高く、防湿性の点でポリエチレンラミネ−ト紙の代替防湿紙にはなり得ないことがわかる。又脂肪酸エステル化合物の防湿性に及ぼす効果はエマルジョンの方が優れていることがわかる。多価アルコールが配合されていない組成物の防湿紙は離解性が悪く、ロジン酸エステルが配合されていない組成物の防湿紙は、離解性及びブロッキング性が悪いことがわかる。
【0047】
防湿塗工紙の物性を測定した結果を表3、4及び表5に示す。なお表中の各物性は以下の方法により測定し評価した。
1.透湿度(g/m2、24hr)
JIS 0208に準じた恒温恒湿条件下、20℃、90%RHでのカップ法で測定した。
【0048】
2.離解性家庭用ミキサ−ポット中に535mlの温水40℃に25%水酸化ナトリウム0.8ml加え、3cm角にカットした塗工紙1gを入れ、3分間離解を行い、樹脂と紙の離解性を目視で判定する。
【0049】
3.ブロッキング小型プレス機のプレス温度40℃に塗工紙10×10cmの塗工面と黒画用紙を合わせ、プレス圧10kg/cm2にて15分間プレスを行い、黒画用紙塗工面に転写した状態を目視で判定する。
【0050】
【表1】
【0051】
表中、ロジン酸エステルは、ベッカサイトP−896[軟化点100〜115、酸価185〜205 大日本インキ化学工業(株)製]を使用した。脂肪酸エステルは、ノプコLB−550[ステアリン酸エステル サンノプコ(株)製]を使用した。
【0052】
PEG600;ポリエチレングリコール 数平均分子量600[日曹油化(株)製]
PPG400;ポリプロピレングリコール 〃 400[日曹油化(株)製]
PPG700; 〃 〃 700[日曹油化(株)製]
PPG1000; 〃 〃 1000[日曹油化(株)製]
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【発明の効果】
本発明の防湿加工用樹脂組成物を用いてなる塗工紙は、従来のポリマ−を用いた防湿塗工紙に比べて防湿性能に優れている。また塗工紙の再パルプ化が容易であると共に耐ブロキング性においても極めて優れており防湿加工紙として大変有用である。
Claims (5)
- 乳化剤を使用して得られるブタジエン系ラテックス(A)と、脂肪酸とアルコ−ルとを反応させて得られる脂肪酸エステル(B)とマレイン化又はフマ−ル化ロジンとアルコ−ルとを反応させて得られる、軟化点80℃〜140℃且つ酸価35以上のロジン酸エステル化合物(C)及び多価アルコ−ル(D)とを含んでなる防湿加工用組成物であり、前記ブタジエン系ラテックス(A)と、脂肪酸エステル(B)とロジン酸エステル化合物(C)、多価アルコ−ル(D)との重量割合が、ブタジエン系ラテックス(A)100重量部あたり、それぞれ、前記脂肪酸エステル化合物(B)が3〜100重量部、前記ロジン酸エステル化合物(C)が1〜100重量部、多価アルコ−ル(D)が5〜30重量部であることを特徴とする防湿加工用組成物。
- 脂肪酸エステル(B)の脂肪酸が、ステアリン酸であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
- 乳化剤が、反応性乳化剤であることを特徴とする請求項1又は2記載の組成物。
- 乳化剤を使用して得られるブタジエン系ラテックス(A)が、乳化剤の存在下にブタジエンとこれと共重合可能なエチレン性不飽和単量体と、脂肪酸エステルとを水性媒体中で乳化重合してなるブタジエン系ラテックスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
- ロジン酸エステル化合物(C)が、酸価150〜250であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
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JPH1095893A (ja) | 1998-04-14 |
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