JP4171971B2 - 防湿加工用合成樹脂エマルジョン、防湿加工用樹脂組成物および防湿材 - Google Patents

防湿加工用合成樹脂エマルジョン、防湿加工用樹脂組成物および防湿材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防湿加工用合成樹脂エマルジョン、このエマルジョンを含有してなる防湿加工用樹脂組成物、および、この防湿加工用樹脂組成物を基材上に塗布してなる防湿材に関するものである。さらに詳しくは、紙、不織布、繊維基材、木材等に塗工または含浸することによって、防湿性の層を形成させる防湿加工用樹脂組成物、特に故紙や損紙の回収が容易な防湿加工用樹脂組成物と、これに用いる防湿加工用合成樹脂エマルジョンに関し、特に包装紙の分野に適用されるものであり、防湿材としては、特に防湿紙が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
従来から防湿紙としては、ポリエチレンラミネ−ト紙や原紙に塩化ビニリデン樹脂を塗工した防湿コ−ト紙などがあり、防湿性能の面で良好であるため包装紙分野に適用されている。
【0003】
しかしながら、近年、資源の有効利用および公害対策の面から故紙や損紙の回収に際して、紙に再生することが容易か否かという問題がある。この観点からポリエチレンラミネート紙の場合は、樹脂層と紙との解離が困難であり、故紙や損紙を回収しても再生し難いという問題があり、代替防湿紙の開発が強く要求されている。
【0004】
この代替技術として、アクリル系エマルジョンにワックスをブレンドしてダンボ−ルに塗工する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、アクリル系エマルジョンにワックス系エマルジョンおよび無機系顔料を含有する塗被層が紙基材表面に設けることで、耐ブロッキング性、防滑性を改良しているものもがある(例えば、特許文献2参照。)。また、ガラス転移温度が−70〜10℃の共重合体ラテックスの存在下で、ガラス転移温度が0〜50℃の範囲にあり、上記共重合体よりも高いガラス転移温度の共重合体を生成する単量体を乳化共重合させてなる異相構造ラテックスとワックスを含む防湿性ラテックス系塗工組成物も開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特公平2−1671号公報(3−4頁)
【特許文献2】
特開平8−226096号公報(2−7頁)
【特許文献3】
特開2002−60675号公報(2−5頁)
【0006】
しかし、特許文献1に記載の技術で得られる防湿紙は、耐スベリ性は満足するものであるが、防湿性は、上記塩化ビニリデン樹脂塗工紙や、ポレエチレンラミネート紙に較べて劣っている。また、特許文献2に記載の技術で得られる防湿紙は離解性に優れるが、防湿性、とくに磨耗後の防湿性において十分満足のいく性能が得られない。また、特許文献3に記載の技術は、防湿性、耐ブロッキング性、離解性に一応のバランスはとれているものの、特に耐ブロッキング性においては不十分である。そのため、ポリエチレンラミネ−ト紙以上の防湿性を付与できると共に、故紙と損紙の回収再生が容易な、即ち、再生に際し樹脂層と紙との離解性に優れるエマルジョン系の防湿加工用樹脂組成物の開発が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ポリエチレンラミネ−ト紙以上の高防湿性能(JIS Z−0208)を付与することができ、再生に際し樹脂層と紙との離解性に優れ、耐ブロッキング性、耐スベリ性がよく、ワックスの脱落のない防湿材が得られる塗工安定性に優れる防湿加工用樹脂組成物、この防湿加工用樹脂組成物に含有させる防湿加工用合成樹脂エマルジョン、この防湿加工用樹脂組成物を基材上に塗布してなる防湿材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討の結果、次の知見を得た。
▲1▼合成樹脂エマルジョンのエマルジョン粒子の外殻が硬質であると耐ブロッキング性に優れる。▲2▼アルキル基の炭素原子数が3〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を含む重合体が、軟質で、樹脂層と紙との離解性に優れる。▲3▼エマルジョン粒子が硬質の外殻と軟質の内核を有していることが、耐ブロッキング性と離解性に加えて、防湿性も向上する。▲4▼内核/外殻が化学的に結合している高分子量エマルジョンは、磨耗後の防湿性に優れる。▲5▼前記▲1▼〜▲4▼の性能を有する合成樹脂エマルジョンにワックスと疎水性粉末とを配合した樹脂組成物の保存安定性が良好である。▲6▼前記樹脂組成物を基材に塗工した際に、ワックスの脱落がない。
【0009】
本発明は、これらの知見を基になされたものである。すなわち、本発明は、脂肪族共役ジエン系単量体(a1)とエチレン系不飽和芳香族単量体および/または(メタ)アクリル酸メチル(a2)と、前記(a2)以外のカルボキシル基含有ビニル系単量体(a3)とを含む重合性単量体類(x1)、及び、アルキル基の炭素原子数が3〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(a4)を含む重合性単量体類(x2)を重合して得られる酸価が25〜180mgKOH/gの重合体(A)を含有する防湿加工用合成樹脂エマルジョンであって、重合体(A)が、前記重合性単量体類(x1)を乳化重合して重合体(A1)を得た後、該重合体(A1)の存在下で、前記重合性単量体類(x2)を重合してなるものである防湿加工用合成樹脂エマルジョンであって、前記重合体(A1)のガラス転移温度が15〜100℃であり、前記重合性単量体類(x2)を重合して得られる重合体のガラス転移温度が−55℃〜−2℃であり、且つ、前記重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が−10〜30℃であることを特徴とする防湿加工用合成樹脂エマルジョンを提供する。
【0010】
また、本発明は、前記防湿加工用合成樹脂エマルジョンと、ワックス(B)と、疎水性粉末(C)を含有することを特徴とする防湿加工用樹脂組成物をも提供する。
【0011】
また、本発明は、前記防湿加工用樹脂組成物が、固形分換算で10〜50g/m2 となる塗布量で基材上に塗布されていることを特徴とする防湿材をも提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
前記脂肪族共役ジエン系単量体(a1)の含有率は、最終的に得られる合成樹脂エマルジョンが高分子量化し防湿性が良好となることから、0.5重量%以上が好ましい。また、離解性が良好となることから20重量%以下が好ましい。これらの中でも、分子量を増大させ、耐ブロキッング性、防湿性を向上させると共に離解性を良好に維持できる点から脂肪族共役ジエン系単量体(a1)の含有率が2〜15重量%となることが特に好ましい。
【0013】
エチレン系不飽和芳香族単量体および/または(メタ)アクリル酸メチル(a2)の含有率は、耐ブロッキング性が良好となることから10重量%以上が好ましく、また、防湿性が良好となることから60重量%以下が好ましい。
【0014】
前記重合体(A)は、酸価が25〜180mgKOH/gであることが必須であり、酸価が25mgKOH/g未満の場合では成膜性および離解性が、また180mgKOH/gを越える場合では防湿性が、それぞれ低下するため好ましくない。上記の酸価の範囲の中でも、成膜性、離解性と防湿性のバランスに優れるものとなる点から酸価が30〜170mgKOH/gであることが特に好ましい。従って、カルボキシル基含有ビニル系単量体(a3)は、前記重合体の酸価が上記の範囲となるように調整して添加することが必要である。
【0015】
前記アルキル基の炭素原子数が3〜10の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(a4)の含有率は、成膜性、離解性が良好となることから30重量%以上が好ましく、耐ブロッキング性が良好なことから80重量%以下が好ましい。
【0016】
更に、耐ブロッキング性、造膜性に起因する防湿性に優れる点で、脂肪族共役ジエン系単量体(a1)と、エチレン系不飽和芳香族単量体および/または(メタ)アクリル酸メチル(a2)と、前記(a2)以外のカルボキシル基含有ビニル系単量体(a3)とを含む重合性単量体類(x1)を乳化重合して得られる重合体(A1)のガラス転移温度が15〜100℃であり、さらに該重合体(A1)の存在下でアルキル基の炭素原子数が3〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(a4)を含む重合性単量体類(x2)を重合して得られる重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が−10〜30℃であり、アルキル基の炭素原子数が3〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(a4)を含む重合性単量体類(x2)を重合して得られる重合体のガラス転移温度が−55℃〜−2℃である合成樹脂エマルジョンが特に好ましい。なお、ここでいうガラス転移温度とは、下記の式で計算されるガラス転移温度である。なお、下記式のガラス転移温度は絶対温度(°K)である。
Tg−1=ΣXi・Tgi−1
ここで重合体は、i=1〜nまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率で、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度である。モノマーの単独重合体のガラス転移温度は、Polymer Handbook(4th Edition)J.Brandrup,E.H.Immergut,E.A.Grulke著(Wiley Interscience)記載の値を使用した。
【0017】
前記重合体(A1)の重合率は、特に限定されないが、重合率80重量%以上であることが好ましい。
【0018】
得られた重合体(A1)を、例えば、後述の塩基性化合物を用いてpHを6.0〜8.0に中和した後、該重合体(A1)の存在下でのアルキル基の炭素原子数が3〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(a4)を含む重合性単量体類(x2)の重合率は、脂肪族共役ジエン系単量体(a1)の残存する二重結合を主体とした架橋反応により、先述の内核−外殻の化学的結合ができ、高分子量になることから、通常98重量%以上となるようにおこなうことが好ましい。
【0019】
脂肪族共役ジエン系単量体(a1)、エチレン系不飽和芳香族単量体および/または(メタ)アクリル酸メチル(a2)、前記(a2)以外のカルボキシル基含有ビニル系単量体(a3)とを含む重合性単量体類(x1)の重合においては、さらに、後述の共重合可能な他のビニル系単量体(a5)を共重合させることができる。また、重合性単量体類(x1)の重合においては、カルボキシル基含有ビニル系単量体(a3)が存在しないと乳化重合が不安定であり、このような重合方法では安定な重合体が得られにくく、塗工安定性の良くない防湿加工用樹脂組成物となる。
【0020】
また、重合体(A1)存在下での(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(a4)を含む単量体類(x2)の重合において、共重合可能な他のビニル系単量体(a5)を共重合させることもできる。また、前記(A1)存在下で、単量体類(x2)を重合する際に、カルボキシル基含有ビニル系単量体(a3)を共重合するのは、重合系を不安定化するので好ましくない。なお、1段目反応と2段目反応において、必要に応じ用いる共重合可能な他のビニル系単量体(a5)は、同一でも、異なっていてもよく、また、1段目反応と2段目反応のどちらか一方のみで、用いてもよい。
【0021】
前記脂肪族共役ジエン系単量体(a1)としては、例えば、1,2−ブタジェン、1,3−ブタジェン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられ、なかでも1,2−ブタジェン、1,3−ブタジェンが好ましい。
【0022】
前記エチレン系不飽和芳香族単量体および/または(メタ)アクリル酸メチル(a2)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、2,4−ジブロモスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等が挙げられ、これらの中でもスチレン、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
【0023】
また、前記(a2)以外のカルボキシル基含有ビニル系単量体(a3)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸およびその無水物、フマル酸、イタコン酸、不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル(例えば、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノノルマルブチル)等が挙げられる。
【0024】
更に、アルキル基の炭素原子数が3〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(a4)としては、例えば、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アルリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられ、なかでもアルキル基の炭素原子数が4〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体が好ましく、高い防湿性能と離解性が得られる点から、アクリル酸−2−エチルヘキシルが特に好ましい。
【0025】
更にまた、必要に応じて併用する共重合可能な他のビニル系単量体(a5)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の如きビニルエステル;塩化ビニリデン臭化ビニリデン等のビニリデンハライド;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチレル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等のエチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエチレン性不飽和カルボン酸のグリシジルエステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルミド等が挙げられる。
【0026】
上記乳化重合をおこなう際に使用する乳化剤としては、各種の陰イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両イオン界面活性剤などを使用することができるが、これらのうちでも、防湿性をより高めるためには反応性乳化剤を用いることが好ましい。この反応性乳化剤を用いることによりソープフリー型の合成樹脂エマルジョンが得られる。
【0027】
上記反応性乳化剤としては、例えば、スチレンスルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソ−ダ、各種エチレン性不飽和基を有する乳化剤などを挙げることができる。
【0028】
また、本発明の防湿加工用合成樹脂エマルジョンとしては、後記するワックス(B)のエマルジョンとの相溶性が良好な点から、乳化剤のイオン性、非イオン性を該ワックス(B)のエマルジョンと一致させることが好ましい。例えば、ワックス(B)のエマルジョンに陰イオン性界面活性剤を使用すれば合成樹脂エマルジョンも陰イオン性界面活性剤を使用したものが好ましい。
【0029】
乳化剤の使用量としては、高い防湿性を発現させることができる点から、合成樹脂エマルジョンの固形分換算で100重量部に対して、乳化剤の有効成分が0.1〜3重量部の範囲が好ましい。
【0030】
本発明の防湿加工用合成樹脂エマルジョンを製造するに際しては、前記した単量体混合物、あるいは前記した重合体および単量体混合物を、フリ−ラジカル発生触媒、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水性触媒、tert−ブチルハイドロパ−オキサイド、クメンハイドロパ−オキサイド等の油性触媒の存在下で乳化重合を行なえばよい。
【0031】
また、ラジカル重合に通常用いられる添加剤、例えば、連鎖移動剤、エチレンジアミン四酢酸(塩)、pH調整のためのアルカリ物質等を必要に応じて使用することができる。
【0032】
合成樹脂エマルジョンの最低造膜温度(MFT)としては、特に制限はないが、皮膜形成性を考慮すれば50℃以下が好ましい。
【0033】
本発明の重合体(A1)および合成樹脂エマルジョン(A)の重合反応は、重合性単量体を、それぞれの反応段階で反応容器に全量仕込んで行ってもよく、また滴下してもよい。さらに一部を仕込んだ後、残量を滴下してもよい。本発明の防湿加工用合成樹脂エマルジョンは、重合反応終了後に未中和の酸基を塩基性化合物により中和して、pHを6.0〜9.0に調整することにより安定化することができる。中和に用いる塩基性化合物は、例えば、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン類;ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、アミノメチプロパノール等のアルコールアミン類;モルホリン、またエチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の多価アミン類、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基性化合物が使用できる。本発明の合成樹脂エマルジョンは、未反応モノマーの臭気を低減する等のため、例えば、ストリッピング等の方法によって、必要とされる固形分含量に濃縮されて使用することが好ましい。
【0034】
また、重合にあたって、シード重合法をとることもでき、シード用エマルジョンの組成等は限定されるものではない。
【0035】
本発明の防湿加工用樹脂組成物は、前記防湿加工用合成樹脂エマルジョンと、ワックス(B)と、疎水性粉末(C)とを含有する樹脂組成物である。
【0036】
ここで用いるワックス(B)としては、各種のワックスが使用でき、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス等が挙げられるが、なかでもパラフィンワックスが好ましい。
【0037】
上記パラフィンワックスは、石油から分離され、精製された結晶性パラフィンであり、主としてノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン等の構造のものがあるが、これらのなかでもノルマルパラフィンを90重量%以上含むもの、例えば、ノルマルパラフィンを90重量%以上含み、イソパラフィンとシクロパラフィンは10重量%未満となっているものが、防湿性に優れる点で好ましい。また、パラフィンワックスの炭素原子数は、特に制限はないが、20〜35のものが好ましい。パラフィンワックスの融点は、通常40〜70℃の範囲で変化するが、本発明の防湿加工用樹脂組成物を基材に塗布した後の乾燥工程において基材にしみ込まず、ワックスが塗膜の表面にブリードし高い防湿性を発揮するためには、融点が45〜65℃であることが好ましい。さらに、パラフィンワックスの分子量は、特に制限がないが、数平均分子量で330〜480あることが防湿性を発揮する上で好ましい。
【0038】
パラフィンワックスの形態としては、固形状またはこの固形状のものを乳化分散したエマルジョン状のものが挙げられ、いずれの形態も使用することができるが、合成樹脂エマルジョン等との相溶性の点でエマルジョン状のものが好ましい。
【0039】
パラフィンワックスの市販品としては、例えば、115、120、125、130、135、140、150〔以上、日本精蝋(株)製〕等の固形状パラフィンワックス;EMUSTER 0135、0136、0384〔以上、日本精蝋(株)製〕、ハリックス WE200〔ハリマ化成(株)製〕、セロゾール 428、B−460、B−608、B−982、686〔以上、中京油脂(株)製〕等のエマルジョン状パラフィンワックスなどが挙げられる。
【0040】
上記パラフィンワックスの使用量は、合成樹脂エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して0.3〜10重量部の範囲が好ましいが、なかでも、融点が45〜65℃のパラフィンワックスを、合成樹脂エマルジョン(A)の樹脂固形分100重量部に対して0.3〜10重量部の範囲で用いることが、防湿性、耐スベリ性に優れる点で好ましい。
【0041】
本発明の防湿加工用樹脂組成物で用いる疎水性粉末(C)としては、各種の疎水性粉末が使用でき、例えば、無機系物質としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、カオリン、雲母、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ等の無機粉末が、有機系物質としては、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、石油系ロジン、ロジンエステル等の無機粉末が、それぞれ挙げられる。なかでも、耐ブロッキング性、造膜性、防湿性に優れ、表面状態の良好な防湿材が得られる点から、平均粒子径が0.5〜50μmであるものが好ましい。これらの中でも、炭酸カルシウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、前記有機系粉末がとくに好ましい。また、これらは互いに併用してもよい。
【0042】
また、疎水性粉末(C)の使用量は、耐ブロッキング性、皮膜形成性に優れる点から合成樹脂エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して5〜100重量部の範囲が好ましい。
【0043】
防湿加工用合成樹脂エマルジョンと、ワックス(B)と、疎水性粉末(C)とを組み合わせて本発明の防湿加工用樹脂組成物を得る方法としては、特に限定はなく、例えば、合成樹脂エマルジョンにワックス(B)と疎水性粉末(C)とを混合してもよいし、ワックス(B)および/または疎水性粉末(C)の存在下で防湿加工用合成樹脂エマルジョンを乳化重合してもよい。
【0044】
本発明の防湿加工用樹脂組成物は、必要に応じて、上記各成分の他に、界面活性剤、多価アルコ−ル、増粘剤等を添加することができる。
【0045】
界面活性剤および多価アルコールは、防湿紙を再生する場合の離解性を向上させるために使用するものである。
【0046】
前記界面活性剤としては、例えば、市販品として、エマルゲン105、108、109P、120、123P、705、707、709、エマ−ル、エマ−ル2F、ネオペレックスF25〔以上、花王(株)製〕、ノイゲンEA−80、120、140、142、160、170、190D、ネオコ−ルYSK、P〔以上、第一工業製薬(株)製〕等が挙げられる。
【0047】
また、多価アルコ−ルとしては、例えば、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0048】
増粘剤としては、例えば、ポリビニ−ルアルコ−ル、ポリアクリル酸ソ−ダ塩、及びアンモニウム塩、ポリエチレンオキサイド系増粘剤等が挙げられる。
【0049】
本発明の防湿加工用樹脂組成物を、基材に塗布又は含浸させることにより、防湿材が得られる。
【0050】
基材としては、紙、不織布、繊維基材、木材などが挙げられる。
基材に塗布し又は含浸する方法としては、各種コ−タ−による塗工、含浸機による含浸加工、サイズプレスによる加工等、多種多様な加工方法を用いることができる。
【0051】
基材への塗工量としては、乾燥性や高い防湿性を得る点で、固形分換算で10〜50g/m2となるよう塗工するのが好ましく、より好ましい塗工量は20〜30g/m2である。
【0052】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、例中の部および%はすべて重量基準である。
【0053】
実施例1
攪拌装置を備えた耐圧重合容器に、水90部、反応性乳化剤S−180〔花王(株)製不飽和アルキル硫酸塩〕0.7部、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム塩0.05部、ブタジエン5部、スチレン10部およびメタアクリル酸15部を仕込み、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が70℃に達したとき、過硫酸カリウム0.06部を添加して反応を開始させた。8時間後に80℃に昇温し、5時間後冷却を行なった。この時点での重合率は91.6%であった。この重合体のガラス転移温度は、87℃である。ついで、水56部を加え、25%アンモニア水でpHを7.7に調整した後、S−180を0.8部、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム塩0.11部、スチレン17部およびアクリル酸2−エチルヘキシル53部を仕込み、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が70℃に達したとき、過硫酸カリウム0.14部を添加して反応を開始させた。8時間後に80℃に昇温し、5時間後冷却を行なって合成樹脂エマルジョンを得た。得られた合成樹脂エマルジョンは、重合率99.2%であった。次いで、25%アンモニア水でpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留によって固形分44.5%の合成樹脂エマルジョン(以下、Em−Aという)を得た。Em−Aのガラス転移温度は、0℃、酸価は100mgKOH/gであり、スチレン17部およびアクリル酸2−エチルヘキシル53部の重合体のガラス転移温度は、−26℃である。
【0054】
実施例2
攪拌装置を備えた耐圧重合容器に、水84部、S−180を1部、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム塩0.06部、ブタジエン5部、スチレン30部およびメタクリル酸7部を仕込み、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が70℃に達したとき、過硫酸カリウム0.08部を添加して反応を開始させた。8時間後に80℃に昇温し、5時間後冷却を行なった。この時点での重合率は94.1%であった。この重合体のガラス転移温度は74℃である。ついで、水47部を加え、25%アンモニア水でpHを8.0に調整した後、ニューコール271Aを0.7部、エチレンジアミン四酢酸0.09部、スチレン23部およびアクリル酸2−エチルヘキシル35部を仕込み、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が70℃に達したとき、過硫酸カリウム0.12部を添加して反応を開始させた。8時間後に80℃に昇温し、5時間後冷却を行なって合成樹脂エマルジョンを得た。得られた合成樹脂エマルジョンは、重合率95.4%であった。次いで、25%アンモニア水でpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留によって固形分44.7%の合成樹脂エマルジョン(以下、Em−Bという)を得た。Em−Bのガラス転移温度は22℃、酸価は47mgKOH/gであり、スチレン17部およびアクリル酸2−エチルヘキシル53部の重合体のガラス転移温度は、−8℃である。
【0055】
実施例3
攪拌装置を備えた耐圧重合容器に、水105部、S−180を1部、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム塩0.06部、ブタジエン12部、メタアクリル酸メチル20部およびアクリル酸10部を仕込み、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が70℃に達したとき、過硫酸カリウム0.08部を添加して反応を開始させた。8時間後に80℃に昇温し、5時間後冷却を行なった。この時点での重合率は94.8%であった。この重合体のガラス転移温度は18℃である。ついで、水41部を加え、25%アンモニアでpHを7.8に調整した後、ニューコール271A0.7部、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム塩0.09部、メタアクリル酸メチル24部およびアクリル酸−2−エチルヘキシル34部を仕込み、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が70℃に達したとき、過硫酸カリウム0.12部を添加して反応を開始させた。8時間後に80℃に昇温し、5時間後冷却を行なって合成樹脂エマルジョンを得た。得られた合成樹脂エマルジョンは、重合率99.1%であった。次いで、25%アンモニア水でpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留によって固形分44.3%の合成樹脂エマルジョン(以下、Em−Cという)を得た。Em−Cのガラス転移温度は6℃、酸価は78mgKOH/gであり、メタアクリル酸メチル24部およびアクリル酸−2−エチルヘキシル34部の重合体のガラス転移温度は、−4℃である。
【0056】
実施例4
攪拌装置を備えた耐圧重合容器に、水140部、S−180を1.2部、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム塩0.08部、ブタジエン7部、メタアクリル酸メチル23部およびメタアクリル酸20部を仕込み、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が70℃に達したとき、過硫酸カリウム0.1部を添加して反応を開始させた。8時間後に80℃に昇温し、5時間後冷却を行なった。この時点での重合率は93.7%であった。この重合体のガラス転移温度は89℃である。ついで、水27部を加え、25%アンモニアでpHを7.7に調整した後、ニューコール271Aを0.6部、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム塩0.0.08部、アクリル酸2−エチルヘキシル50部を仕込み、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が70℃に達したとき、過硫酸カリウム0.1部を添加して反応を開始させた。8時間後に80℃に昇温し、5時間後冷却を行なって合成樹脂エマルジョンを得た。得られた合成樹脂エマルジョンは、重合率99.1%であった。次いで、25%アンモニア水でpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留によって固形分44.3%の合成樹脂エマルジョン(以下、Em−Dという)を得た。Em−Dのガラス転移温度は3℃、酸価は134mgKOH/gであり、アクリル酸−2−エチルヘキシル50部の重合体のガラス転移温度は、−50℃である。
【0057】
比較例1
実施例1と同じ組成で、1段で反応をおこなった。すなわち、攪拌装置を備えた耐圧重合容器に、水146部、反応性乳化剤S−180〔花王(株)製不飽和アルキル硫酸塩〕1.5部、エチレンジアミン四酢酸0.17部、ブタジエン5部、スチレン27部、アクリル酸−2−エチルヘキシル53部、およびメタアクリル酸15部を仕込み、攪拌を開始、反応温度を70℃に昇温し、重合容器内温度が70℃に達したとき、過硫酸カリウム0.18部を添加して反応を開始させた。8時間後80℃に昇温し、5時間後、冷却を行なって合成樹脂エマルジョンを得た。得られた合成樹脂エマルジョンは、重合率98.6%であった。次いで、25%アンモニア水でpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留によって固形分50.1%の合成樹脂エマルジョン(以下、Em−eという)を得た。Em−eのガラス転移温度は0℃、酸価は100mgKOH/gである。
【0058】
比較例2
攪拌装置を備えた耐圧重合容器に、水180部、S−180を1.7部、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム塩0.11部、ブタジエン12部、スチレン29部およびメタアクリル酸30部を仕込み、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が70℃に達したとき、過硫酸カリウム0.14部を添加して反応を開始させた。8時間後に80℃に昇温し、5時間後冷却を行なった。この時点での重合率は97.1%であった。この重合体のガラス転移温度は48℃である。ついで、水41部を加え、25%アンモニアでpHを7.8に調整した後、ニューコール271A0.3部、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム塩0.04部、アクリル酸−2−エチルヘキシル29部を仕込み、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が70℃に達したとき、過硫酸カリウム0.06部を添加して反応を開始させた。8時間後に80℃に昇温し、5時間後冷却を行なって合成樹脂エマルジョンを得た。得られた合成樹脂エマルジョンは、重合率99.1%であった。次いで、25%アンモニア水でpHを9.0に調整し、その後水蒸気蒸留によって固形分44.3%の合成樹脂エマルジョン(以下、Em−fという)を得た。Em−fのガラス転移温度は12℃、酸価は200mgKOH/gであり、アクリル酸−2−エチルヘキシル29部の重合体のガラス転移温度は、−50℃である。
【0059】
比較例3
攪拌装置を備えた耐圧重合容器に、水72部、シード粒子の水分散体(固形分)0.45部、乳化剤エマール2Fペースト〔花王(株)製ラウリル硫酸ソ−ダ塩〕1部を仕込み、80℃に昇温し、t−ドデシルメルカプタン0.2部、α―メチルスチレンダイマー0.1部、ブタジエン29部、スチレン11部の混合物を2時間で添加し、同時に水21部、エマール2Fペースト1部、水酸化ナトリウム0.1部、過硫酸カリウム0.7部の混合物を6時間で添加し、さらに1時間反応を継続した。この重合体のガラス転移温度は−55℃である。ついで、スチレン35部、アクリル酸2−エチルヘキシル23部およびアクリル酸2部の混合物を2時間かけて添加し、さらに2時間反応を継続した。ついで、水酸化ナトリウム5%でpHを8.0に調整し、その後水蒸気蒸留によって固形分48%の合成樹脂エマルジョン(以下、Em−gという)を得た。Em−gのガラス転移温度は、−14℃、酸価は16であり。スチレン35部、アクリル酸2−エチルヘキシル23部およびアクリル酸2部の重合体のガラス転移温度は、24℃である。
【0060】
実施例5〜15および比較例4〜7
攪拌装置を備えた容器に、合成樹脂エマルジョンEm−A、Em−B、Em−C、Em−D、Em−e、Em−fまたはEm−g、パラフィンワックスエマルジョン、水酸化アルミニウムB103、B153、B303またはB53、炭酸カルシウムSS30を、それぞれが第1表〜第3表に示す固形分重量になるように配合して、本発明と比較対照用の防湿加工用組成物を得た。但し比較例7は、ポリエチレンラミネ−ト紙を用いた。
【0061】
【表1】
Figure 0004171971
【0062】
【表2】
Figure 0004171971
【0063】
(第1表〜第2表の脚注)
・パラフィンワックスエマルジョン;日本精蝋(株)製E−0136(軟化点61℃のパラフィンワックス含有、固形分含有率40%)
・水酸化アルミニウムB103;日本軽金属(株)製水酸化アルミニウム粉末、平均粒子径8μm。
・水酸化アルミニウムB153;日本軽金属(株)製水酸化アルミニウム粉末、平均粒子径15μm。
・水酸化アルミニウムB303;日本軽金属(株)製水酸化アルミニウム粉末、平均粒子径30μm。
・水酸化アルミニウムB53 ;日本軽金属(株)製水酸化アルミニウム粉末、平均粒子径50μm。
・炭酸カルシウムSS30;日東粉化(株)製炭酸カルシウム粉末、平均粒子径7.4μm。
【0064】
得られた本発明と比較対照用の防湿加工用樹脂組成物を、それぞれ市販の上質紙(坪量70g/m2 )に対して、マイヤ−ロットにより固形分の塗工量が25g/m2 程度となるように塗工し、熱風乾燥機にて120℃、1分間乾燥し、本発明と比較対照用の防湿塗工紙を得た。
【0065】
このようにして得られた本発明と比較対照用の防湿塗工紙と、市販ポリエチレンラミネ−ト紙について、下記の方法により、塗工量、透湿度、磨耗後の透湿度、摩擦係数、離解性、ブロッキング性を評価した。その結果を第3表〜第5表に測定の結果を示す。
【0066】
この第3表〜第4表の結果から、比較例6の防湿加工紙は、透湿度が低く、実施例5〜12の防湿加工紙の透湿度に近いが、特に耐ブロッキング性に劣る。また、比較例4および5の防湿加工紙は、透湿度が実施例5〜12の防湿加工紙の値よりいずれも高く、防湿性の点でポリエチレンラミネ−ト紙(以下、「ポリラミ紙」と略記する。)の代替防湿紙にはなり得ないことがわかる。
【0067】
第3表〜第4表の各物性は、以下の試験方法により測定して評価した。
<評価方法>
・塗工量;防湿加工紙と防湿加工用樹脂組成物の塗工前の上質紙の、1m2 当たりの重量差を求め、塗工量とした。
【0068】
・透湿度(g/m2・24hr);JIS Z−0208に準じた恒温恒湿条件下、40℃、90%RHでのカップ法で測定した。
・磨耗後の透湿度(g/m2・24hr);防湿塗工紙の塗工面と非塗工面を合わせ、荷重10kgをかけ、振盪機を用いて2分間左右に振盪を行って塗工面を磨耗した後、透湿度を上記と同じくJIS Z−0208に準じて測定した。
【0069】
・摩擦係数;摩擦係数試験法 JIS P−8147(水平法)に準じて測定した。
・離解性;50℃の温水500mlと3cm角にカットした塗工紙10gを家庭用ミキサ−ポット中に入れ、5分間攪拌して、樹脂と紙の離解性を下記の基準で目視により判定した。
○:離解性あり、 △:離解性一部なし、 ×:離解性なし。
【0070】
・ブロッキング性;防湿塗工紙の塗工面とA2コート紙を合わせ、温度35℃、湿度60%RHで1時間、40kg/cm2 にてプレスを行い、状態を下記の基準で目視により判定した。
○:ブロッキングなし、 △:ブロッキングややあり、 ×:ブロッキングあり。
【0071】
【表3】
Figure 0004171971
【0072】
【表4】
Figure 0004171971
【0073】
【発明の効果】
本発明の防湿加工用合成樹脂エマルジョンをワックスおよび疎水性粉末と共に含有してなる防湿加工用樹脂組成物を用いて得られる防湿材、特に防湿紙は、ポリエチレンラミネ−ト紙以上の高防湿性能(JIS Z−0208)を付与することができ、従来のポリマ−を用いた防湿塗工紙に比べて、防湿性、耐ブロキング性、耐スベリ性に優れ、摩耗後ワックスの脱落が少なく、また、樹脂と紙との離解性が良好で再パルプ化が容易である。

Claims (12)

  1. 脂肪族共役ジエン系単量体(a1)とエチレン系不飽和芳香族単量体および/または(メタ)アクリル酸メチル(a2)と、前記(a2)以外のカルボキシル基含有ビニル系単量体(a3)とを含む重合性単量体類(x1)、及び、アルキル基の炭素原子数が3〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(a4)を含む重合性単量体類(x2)を重合して得られる酸価が25〜180mgKOH/gの重合体(A)を含有する防湿加工用合成樹脂エマルジョンであって、重合体(A)が、前記重合性単量体類(x1)を乳化重合して重合体(A1)を得た後、該重合体(A1)の存在下で、前記重合性単量体類(x2)を重合してなるものである防湿加工用合成樹脂エマルジョンであって、前記重合体(A1)のガラス転移温度が15〜100℃であり、前記重合性単量体類(x2)を重合して得られる重合体のガラス転移温度が−55℃〜−2℃であり、且つ、前記重合体(A)のガラス転移温度(Tg)が−10〜30℃であることを特徴とする防湿加工用合成樹脂エマルジョン。
  2. 前記重合体(A)が、重合性単量体類(x1)を重合率が80重量%以上となるまで乳化重合して重合体(A1)を得た後、重合性単量体類(x2)を加えて乳化重合したものである請求項1記載の防湿加工用合成樹脂エマルジョン。
  3. 重合性単量体類(x1)と重合性単量体類(x2)の合計重量に対して、前記脂肪族共役ジエン系単量体(a1)の含有量率が、0.5〜20重量%、エチレン系不飽和芳香族単量体および/または(メタ)アクリル酸メチル(a2)の含有量率が10〜60重量%である請求項1記載の防湿加工被覆用合成樹脂エマルジョン。
  4. 重合性単量体混合物(x1)と重合性単量体類(x2)の合計重量に対して、アルキル基の炭素原子数が3〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(a4)の含有率が30〜80重量%である請求項1記載の防湿加工用合成樹脂エマルジョン。
  5. 脂肪族共役ジエン系単量体(a1)2〜15重量%と、エチレン系不飽和芳香族単量体および/または(メタ)アクリル酸メチル(a2)10〜60重量%と、前記(a2)以外のカルボキシル基含有ビニル系単量体(a3)と、アルキル基の炭素原子数が3〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(a4)を30〜80重量%とを重合して得られる酸価が30〜170mgKOH/gの重合体(A)よりなる請求項1記載の防湿加工用合成樹脂エマルジョン。
  6. 請求項1記載の防湿加工用合成樹脂エマルジョンと、ワックス(B)と、疎水性粉末(C)を含有することを特徴とする防湿加工用樹脂組成物。
  7. ワックス(B)として、融点が45〜65℃のパラフィンワックスを、固形分換算で防湿加工用合成樹脂エマルジョン(A)の樹脂固形分100重量部に対して0.3〜10重量部含有する請求項6記載の防湿加工用樹脂組成物。
  8. パラフィンワックスがノルマルパラフィンワックスを90重量%以上含有するものである請求項6または7記載の防湿加工用樹脂組成物。
  9. 疎水性粉末(C)を、固形分換算で防湿加工用合成樹脂エマルジョン(A)の樹脂固形分100重量部に対して5〜100重量部含有する請求項6、7または8記載の防湿加工用樹脂組成物。
  10. 疎水性粉末(C)が、無機粉末および/または有機粉末である請求項6、7または8記載の防湿加工用樹脂組成物。
  11. 疎水性粉末(C)の平均粒子径0.5〜50μmである請求項10記載の防湿加工用樹脂組成物。
  12. 請求項6〜11のいずれかひとつに記載の防湿加工用樹脂組成物が、固形分換算で10〜50g/m2となる塗布量で基材上に塗布されていることを特徴とする防湿材。
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