JP3425029B2 - プロセスチーズの製造方法 - Google Patents

プロセスチーズの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱溶融させた後
に品温が低下しても固化しにくく、溶融状態を長時間維
持することができ、表面に皮膜を形成することのない再
加熱可能な加熱調理用プロセスチーズの製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】チーズは加熱により溶融し、チーズ独特
の風味、糸引き性などの特性が引き出され、これが多く
の人に好まれている。このため、加熱したチーズに対す
る嗜好性は高く、外食産業、家庭内ともにチーズを加熱
調理に用いる頻度は増えており、近年では、加熱調理向
けのチーズの需要はナチュラルチーズ、プロセスチーズ
共に増加傾向にある。一般に、加熱溶融させたチーズ
は、冷めて固化すると同時に透明になり、食感もゴム状
を呈するようになる。外観に加えて食感も悪く、嗜好性
が著しく低下する。したがって、加熱調理により引き出
されるチーズ独特の風味、糸引き性などの食感は、冷め
て固化することにより失われる。このため、加熱調理し
たチーズは、加熱直後の溶融状態で食べることが好まし
いとされている。チーズの加熱調理とは主に、ピザやグ
ラタンのトッピング、パンに乗せてトーストするなど
“簡単にできて、作ったらすぐに食べる”ものが多い。
すぐ食べなくてはチーズが固化してしまい加熱溶融チー
ズ独自の風味及び食感が失われてしまうからである。こ
のため、加熱調理用チーズを用いる料理やその頻度も限
られたものになってしまうのが現状である。さらに、従
来の加熱調理用チーズは加熱した際の溶け方、溶けた状
態での風味、糸引き性、歯触りなどの食感が重視されて
おり、加熱溶融した後のチーズの物性の変化については
検討がなされていない。
【0003】
【発明を解決するための課題】本発明は、加熱調理用チ
ーズの機能特性の内、特に加熱溶融後に品温が低下して
も固化しにくく、長時間溶融状態を維持し、皮膜形成を
起こさないプロセスチーズの製造方法を提供することを
課題とする。
【0004】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意研究を行った結果、プロセスチーズ製造にお
いて原料チーズを加熱乳化する際に、溶融塩及び乳化剤
とともに2価の無機塩類を添加してチーズを製造する
と、特に、これらの添加物を特定量使用してチーズを製
造すると、得られるプロセスチーズは加熱溶融した後、
品温が低下してもチーズの固化が遅く、長時間溶融状態
を維持することができ、しかも皮膜形成のない加熱調理
用プロセスチーズとして望ましい機能特性が得られるこ
とを見出し本発明を完成するに至った。ここでいう溶融
状態とは、上記のように溶融塩、乳化剤及び2価の無機
塩類を加えて加熱乳化させたチーズを容器に充填し、冷
却固化させて得られたプロセスチーズを再度加熱 (加熱
調理) したときに、ナチュラルチーズを加熱した時と同
様に溶融し、これをスパーテルやガラス棒を用いて撹拌
した際に、組織が切れずにスパテールやガラス棒にから
まる状態が維持されている状態をいう。
【0005】以下、本発明の加熱調理用チーズの製造方
法についてさらに詳細に説明する。本発明は、原料チー
ズの加熱乳化時に溶融塩及び乳化剤とともに2価の無機
塩類を添加することを特徴とする加熱調理用プロセスチ
ーズの製造方法に関する。本発明において溶融塩の使用
量は、通常プロセスチーズに用いられる量と同様の量使
用し、乳化剤は原料チーズに対し 0.1〜0.6 重量%及び
2価無機塩は 0.2〜4.0 重量%使用する。通常、ナチュ
ラルチーズ中でタンパク質は、カルシウムパラカゼイネ
ートと呼ばれる水に溶けない状態にあり、カゼインが凝
集し、互いに絡み合って網状構造を形成していると考え
られる。プロセスチーズ製造において加熱乳化時に添加
する溶融塩は、このカルシウムパラカゼイネートからカ
ルシウムを取り去ってタンパク質の結合を不活性化す
る。カルシウムが除かれたタンパク質は、溶融塩のナト
リウムイオンと水素イオンを交換し、可溶性のナトリウ
ムカゼイネートとなる。次に、可溶化しはじめたカゼイ
ン分子の間に水が浸透し、カゼインは膨潤する。これら
の反応は加熱乳化の際の加熱と撹拌によって促進され、
やがてチーズのタンパク質はコロイド状に分散しゾル状
となる。可溶化したカゼインタンパク質は界面活性剤と
して優れた乳化力を有し、撹拌によって生ずる脂肪の乳
化を安定化させる。ゾル状のチーズは品温が低下すると
ともにタンパク質が重合し、ゲル化して安定な組織とな
る。プロセスチーズでは、このカゼインの乳化力によっ
てカゼインタンパク質、水及び脂肪の3者が相互に結合
してチーズの組織を形成する。
【0006】一般に、プロセスチーズ中のカゼインタン
パク質は、周囲に存在する水を取り込むことで一定の膨
潤状態にある。この膨潤が進むほどカゼインタンパク質
の乳化力は強くなる。その結果、チーズ中のカゼインタ
ンパク質、水及び脂肪の3者の相互作用は強固なものに
なると考えられる。このようにカゼインタンパク質、水
及び脂肪の相互作用が強固な状態のプロセスチーズを加
熱溶融した後、そのまま放置しておくとプロセスチーズ
の品温は低下して固化しはじめ、溶融状態を保持するこ
とが出来ないばかりかチーズ表面に皮膜が形成される。
ところが、プロセスチーズの製造時にナチュラルチーズ
に溶融塩とともに乳化剤及び2価の無機塩類を添加して
加熱乳化すると、チーズの塩濃度が高まりカゼインタン
パク質の周囲の水の浸透圧が高くなるため、水がカゼイ
ンに取り込まれにくくなる。その結果、カゼインの膨潤
は抑制され、乳化力は低下し、チーズ中のカゼインタン
パク質、水及び脂肪の3者の相互作用が弱くなる。この
ようにチーズ中のカゼインタンパク質、水及び脂肪の相
互作用が弱くなったプロセスチーズを加熱して溶融させ
た場合、冷却してもカゼインタンパク質、水及び脂肪の
相互作用が弱いため、チーズの組織は再形成しにくい。
このため、加熱溶融したチーズの溶融性は品温が低下し
ても長時間維持され、表面に皮膜が形成されにくくな
る。そして、この作用は、乳化剤及び2価の無機塩類を
前記した一定量添加することにより更に促進される。本
発明によって得られるプロセスチーズは、加熱調理して
これを溶融させた後、品温が低下しても固化が遅く、溶
融状態を長時間維持することができ、また皮膜形成のな
い加熱調理用のプロセスチーズとなる。
【0007】
【発明の実施の形態】ここで、本発明の製造方法とその
原料について説明する。原料チーズには、あらゆる種類
のナチュラルチーズを使用することができる。例えば、
ゴーダチーズやチェダーチーズなどの硬質チーズ、ある
いはクリームチーズやカマンベールチーズのような軟質
チーズを用いることもできる。これらの原料チーズは単
独で用いてもよいが、嗜好に応じて数種のチーズをを混
合してもよく、使用する原料チーズによって目的とする
チーズの風味、口溶けや硬さなどを調整することもでき
る。
【0008】乳化剤は、レシチンをはじめシュガーエス
テル、脂肪酸モノグリセリドなど食品製造で使用するこ
とのできる乳化剤であればどのようなものでも使用する
ことができる。乳化剤の添加量は、原料チーズに対し
0.1重量%以上添加することが必要であるが原料チーズ
に対して、0.6 重量%以上添加すると風味を損なうこと
があるので0.6 重量%以下、すなわち、0.1 〜0.6 重量
%の範囲が好ましい。2価の無機塩類は食品に添加する
ことが認められているものであれば何でも使用すること
ができる。例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシ
ウム等があげられる。その添加量は、原料チーズに対し
て 0.2〜4.0 重量%が好ましい。0.2 重量%以下では、
チーズを加熱溶融した後、溶融状態を長時間維持したり
被膜形成を防止するといった機能を付与することができ
ない。4.0 重量%以上添加するとチーズを加熱溶融した
後、溶融状態を長時間維持したり被膜形成防止には効果
があるものの、できあがったチーズの色が白くなり、チ
ーズに粘着性が生じ、歯にくっついたり、口溶けも悪い
など、外観上あるいは嗜好上好ましくない。
【0009】溶融塩は酒石酸塩、リン酸塩、クエン酸塩
など通常プロセスチーズ製造に用いられる全てのものが
使用できる。溶融塩の添加量は通常プロセスチーズ製造
のさいに添加される量を用いることが望ましい。特に、
1.0〜 5.0重量%が好ましく、1.0 重量%以下では乳化
が完全にできず、離水や脂肪の分離が起こることがあ
る。5.0 重量%以上では風味が損なわれたり、付着性が
生じるなど食感が悪くなるので好ましくない。また溶融
塩の種類によって加熱溶融時の食感や風味、物性を調整
することもできる。酒石酸塩、クエン酸塩を用いると、
加熱溶融しやすい滑らかなチーズができる。また、ジリ
ン酸塩を添加すると保形性が強くなり、やや滑らかさに
欠けるチーズとなり、ポリリン酸塩を添加すると粘着性
のある組織となる。したがって、溶融塩の添加率や配合
については、目的に応じて適宜選択することができる
し、あるいは溶融塩を混合して用いることができる。
【0010】脂肪分は、目的とする製品の物性に合わせ
て調整することができる。脂肪分は加熱溶融後の流動
性、風味、保存性に影響を与えるので、その点に留意す
る必要がある。脂肪分の調整には動物性脂肪、植物性油
脂など、あらゆる種類の食用油脂を添加することもでき
る。脂肪分と同様に、水分も目的とする製品の物性にあ
わせて適宜調整できる。この他、必要に応じてグルタミ
ン酸ソーダ、イノシン酸等の調味料、蔗糖、ソルビトー
ル、アスパルテーム等の甘味剤、キサンタンガム、ロー
カストビーンガム、ペクチン、カラギーナン等の安定
剤、さらに重曹、乳酸等のpH調整剤を添加することが
可能である。本発明では、前述した材料を乳化機に一括
投入し、直接蒸気吹き込み、あるいは間接蒸気加熱によ
り、70〜100 ℃前後まで加熱しながら、30〜1500回転で
10分程度混練することで流動性のある均質な乳化物を得
ることができる。この過程は公知の方法に従って行えば
よい。この際、乳化のシェアを強くするとチーズが硬く
なり、加熱調理に用いる際に溶けにくくなるので注意を
要する。好ましくは60〜200 回転が適当である。そし
て、このようにして得られる乳化物を適当な容器や包材
に充填し、冷却成形することで加熱調理して溶融させた
ときに、溶融状態を長時間保持することができ、皮膜形
成のない加熱調理用プロセスチーズを得ることができ
る。
【0011】本発明による加熱調理用プロセスチーズの
加熱調理は、オーブン、電子レンジなど食品用の加熱調
理器であればどの様なものを用いても行なうことができ
る。特に、電子レンジは短時間で加熱溶融することが可
能である。さらに、溶融したものが凝固しても再加熱す
ることにより再度溶融させることができる。このよう
に、加熱溶融させたものをパンに塗ってスプレッドとし
て、あるいはクラッカー等につけてディップとして食す
ることもでき、さらにピザ、グラタンなどのトッピング
としても用いることができる。ピザやグラタンなどに用
いる場合は、キシロース、グルコースなどの還元糖を0.
1 〜1重量%の範囲で適宜添加することによって、好ま
しい焦げ目を与えることもできる。また、小さく切って
他の食品に添加したり、パンなどに練り込んだりして調
理素材として利用することもできる。
【0012】以下、本発明の実施例をあげて詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、実施例で示されるパーセントは、全て重量%として
示されている。
【実施例1】国産ゴーダチーズと外国産チェダーチーズ
を6:4の割合で混合し、これを細かく粉砕して、これ
に、脂肪分83%の無塩バターを原料ナチュラルチーズに
対して15%加え共にバッチ式乳化釜にいれた。これに原
料ナチュラルチーズに対して溶融塩としてクエン酸ナト
リウム 1.0%、ポリリン酸ナトリウム 0.7%及び2リン
酸ナトリウム 0.3%を添加し、さらに、重曹を添加し
て、仕上がりのpHが5.7 程度になるように調整した。
また、仕上がりの水分含量が50%程度になるように加水
した。これに、2価の無機塩類として塩化カルシウムを
原料ナチュラルチーズに対して 0, 0.2,0.5, 1.0, 2.0,
4.0及び6.0 %の比率でそれぞれ添加した。更に、乳化
剤としてレシチン(日清製油(株)レシチン2070R)を原
料ナチュラルチーズに対して 0, 0.3, 0.6及び 0.9%の
添加率でそれぞれ添加した。乳化釜を作動させ、90℃で
10分間、200rpmの回転で加熱しながら攪拌して乳化させ
た。乳化後、釜内のチーズを口径80mmの耐熱性容器にチ
ーズの厚さが10〜20mmになるように充填し、冷却して加
熱調理用プロセスチーズを調製した。このようにして得
られたチーズを容器に入れたまま、電子レンジを用いて
全体が均一に溶けるまで加熱して、加熱後の風味、食
感、組織、皮膜形成及び溶融状態の持続時間について評
価した。なお、加熱後の風味、食感及び組織は下記に示
す官能評価で、皮膜形成については目視で、溶融状態の
維持時間については、下記に示す実験でそれぞれ評価を
おこなった。
【0013】官能評価は、熟練した15人のパネラー
が、加熱直後のサンプルを2cm×2cmに切った食パンに
つけて食し、風味、食感及び組織について、非常に良い
を5点、良いを4点、どちらともいえないを3点、悪い
を2点、非常に悪いを1点として採点し、その平均値で
表した。皮膜形成は目視で5分後に皮膜形成のないもの
を「無し」、皮膜が形成されたものを「有り」とした。
チーズの溶融性は加熱直後のチーズ5mlをシリンジで吸
い取り、50mlのポリプロピレンチューブ(ファルコン
2070、ファルコン社製)に充填したものを20本作
製した。これらのチューブをただちに60℃のウォータ
ーバスに入れ、静置し、このチーズの溶融状態の変化を
観察した。すなわち、チーズをウオーターバスよりとり
出し、流動状態を維持する時間を測定し、チーズが流動
性を失うまでの時間をチーズの溶融性持続時間とした。
評価の結果を表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】本発明では、乳化剤、2価の塩を添加する
ことにより、皮膜形成が防げ、溶融状態を長時間保持す
ることができ、しかも、乳化剤、2価の塩を添加したに
もかかわらず、風味も良好であった。本発明によるチー
ズは風味、食感及び組織が優れ、皮膜形成を生ずること
はなかった。しかも溶融状態を長時間に亘り良好に維持
することができた。
【0016】
【実施例2】国産ゴーダチーズと外国産チェダーチーズ
を6:4の割合で混合し、細かく粉砕してバッチ式乳化
釜に入れた。仕上がりのpHが5.7 程度になるように重
曹を添加した。また、仕上がりの水分含量が50%程度に
なるように加水した。これに、塩化マグネシウムを原料
ナチュラルチーズに対して0, 0.2, 0.5, 1.0, 2.0, 4.0
及び6.0 %の添加率でそれぞれ添加した。更に、乳化剤
としてシュガーエステル (第一工業製薬 (株) DKエステ
ル F/10)を原料ナチュラルチーズに対して 0, 0.3, 0.6
及び 0.9%の添加率でそれぞれ添加した。乳化釜を作動
させ、80℃で10分間、1000rpm の回転で加熱しながら攪
拌して乳化させた。このようにして得られた乳化物を口
径80mmの耐熱性容器にチーズの厚さが10〜20mmになるよ
うに充填し、冷却して加熱調理用プロセスチーズを調製
した。このようにして調製したチーズを容器に入れたま
ま、電子レンジを用いて全体が均一に溶けるまで加熱し
て、加熱後の風味、食感、組織、皮膜形成及び溶融状態
の保持時間について実施例1と同様にして評価した。結
果を表2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】本発明では、乳化剤、2価の塩を添加する
ことにより、皮膜形成が防げ、溶融状態を長時間保持す
ることができ、しかも、乳化剤、2価の塩を添加したに
もかかわらず、風味も良好であった。本発明によるチー
ズは風味、食感及び組織が優れ、皮膜形成を生ずること
はなかった。しかも溶融状態を長時間に亘り良好に維持
することができた。
【0019】
【実施例3】原料ナチュラルチーズを表3に示す配合と
し、混合し、細かく粉砕してバッチ式乳化釜に入れた。
なおカマンベールチーズは、マットごとマスコロイダー
で粉砕して使用した。この原料ナチュラルチーズに対し
て脂肪分83%の無塩バター15%、溶融塩としてクエン酸
ナトリウム 1.0%、ポリリン酸ナトリウム 0.7%、ジリ
ン酸ナトリウム 0.3%を添加した。また、仕上がりのp
Hが 5.7程度になるように重曹を添加し、仕上がりの水
分含有量が50%程度になるように加水した。これに2価
の塩類として炭酸カルシウム0.4 %及び乳化剤としてレ
シチン (日清製油 (株) レシチン2070R) 0.3%を添加し
た。乳化釜を作動させ、90℃で10分間、500 rpm の乳化
回転で加熱しながら攪拌して乳化させた。このようにし
て得られた乳化物を口径80mmの耐熱性容器にチーズの厚
さが10〜20mmになるように充填し、冷却して加熱調理用
プロセスチーズを調製した。このように調製したチーズ
を容器に入れたままオーブンを用いて全体が均一に溶け
るまで加熱して、加熱後の風味、食感、組織、皮膜形成
及び溶融状態の持続時間について実施例1と同様に評価
した。対照として市販されているプロセスチーズ (雪印
乳業 (株) 北海道チーズ) についても同様の評価を行な
った。その結果を表3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】本発明によるチーズでは、風味、食感及び
組織、皮膜形成状態ともに良好であり、さらに溶融状態
の持続性についても良好であった。溶融状態はいずれも
7分以上持続し最長は12分となった。また、本発明の方
法は原料チーズの種類に影響されずに実施できることが
確認できた。
【0022】
【発明の効果】本発明により得られるプロセスチーズ
は、電子レンジなどの加熱調理器により加熱溶融させる
ことができ、さらに溶融後品温が低下しても固化しにく
く、表面に皮膜が形成することなく、溶融状態を長時間
維持することができる。また、冷却後、再加熱が可能で
あり、風味の点においてもおいしさを有しており、加熱
調理用プロセスチーズとして好ましいものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川崎 功博 埼玉県川越市笠幡4881−21 (72)発明者 柴内 好人 埼玉県狭山市狭山台1−13 5−505 (72)発明者 近藤 浩 埼玉県川越市新宿町5−11−3 (56)参考文献 特開 昭56−131342(JP,A) 特開 昭56−131343(JP,A) 特開 平5−91834(JP,A) 特開 平1−179648(JP,A) 特開 平6−276936(JP,A) 特開 平5−76282(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23C 1/00 - 23/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料チーズに対して0.2 〜4.0 重量%の
    2価の無機塩類、0.1 〜0.6 重量%の乳化剤、及び溶融
    塩を原料チーズに添加して加熱乳化することを特徴とす
    る、加熱調理したに溶融状態を長時間維持することの
    できる加熱調理用プロセスチーズの製造方法。
  2. 【請求項2】 2価の無機塩類が塩化カルシウム、炭酸
    カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び
    硫酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも
    1種の無機塩類である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 乳化剤がレシチン、シュガーエステル及
    び脂肪酸モノグリセリドからなる群から選択される少な
    くとも1種の乳化剤である請求項1記載のプロセスチー
    ズの製造方法。
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