JP4192417B2 - チーズ様食品およびその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はチーズを主原料とすることなく、チーズに似た風味、食感を有し、且つ良好な焼き残り性を有するチーズ様食品を簡便に製造する方法、及び、その製法による製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、製菓製パン、デザート、調理用に様々なチーズ類が利用されるようになっているが、チーズは比較的高価であるため、チーズに似た風味、食感を有する安価なチーズ様食品が求められるようになっている。また、チーズ様食品には、パンに乗せて焼かれたり、チーズケーキ様の菓子に他の材料と混合した後焼かれたりする際の保形成、油分離の防止といった焼き残り性も要求されている。これらの要求に応えるため、従来より様々なチーズ様食品が開発されてきた。
【0003】
例えば、発酵やレンネットによるカード形成を経ていないものとして、ナトリウムカゼイネート、カルシウムカゼイネート等の各種カゼイネートを使用するもの(特開昭52−28971号公報など)、酸カゼイン、レンネットカゼイン等の各種カゼインを使うもの(特開昭62−83846号公報など)などが提案されているが、レンネットカゼインを利用したものが風味の点で幾分すぐれているとはいえ、これらはいわゆる膠臭があり風味が悪い。カゼイネートを利用したものはとくに独特の石鹸のような薬品臭さがある。また、これらのカゼイン類、カゼイネート類を用いたチーズ様食品は、ホエー蛋白を含まずカゼイン蛋白質のみで形成されているため、酸性領域でざらつくことがあり、また、乳化安定性に欠けるため、特にベーカリー用途などで焼成された場合に焼き残り性が悪くなるという問題がある。
【0004】
原料乳をUF濃縮し、pHを1以上変化させずに分離した乳蛋白高含有粉末を使用するもの(特開平9−172965号公報など)も提案されている。これは風味の点では良いが、乳蛋白高含有粉末が舞い上がりやすい軽い粉末であるため計量や混合作業の際扱いにくく、また、溶解性も、カゼイン蛋白がNa化していないため悪く、扱いにくいという問題がある。これらの特許にはWPCなどのホエー蛋白質と併用するものもあるが、特にカゼイン蛋白/ホエー蛋白質の比率に言及していない。
【0005】
大豆タンパク等の植物蛋白質を使うもの(特開昭55−88653号公報など)も提案されている。これらは大豆臭さや青臭さがあり、風味が悪い。また、上述の原料などを用いて発酵やレンネット等によるカード形成を経るものがある。この方法によれば発酵によりある程度風味は改善される。また徐々にpHを下げることでpHの変化による乳化破壊がおこりにくいが、発酵やホエーオフが必要であるため、工程、装置が複雑であり簡便ではない。
【0006】
蛋白質として脱脂粉乳やミルクパウダー等を主原料として使うもの(特開平3−87140号公報など)がある。これらは風味の点では優れているが、乳糖が含まれるため甘味があるため、各種製品に対応できるわけではない。また、共沈カゼインを使用したものもあるが、これは水に溶けにくく膠臭が強いため適さない。以上のように、チーズ様食品として、簡便に製造できて、良好な風味を有し、且つパン等のフィリングとして用いたときに焼き残り性がよいというチーズ様食品は得られていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、昨今、製菓製パン、デザート、調理用に様々なチーズ類が利用されるようになり、安価なチーズ様食品が求められるようになり、またパンに乗せて焼かれたり、チーズケーキ様の菓子に他の材料と混合した後焼かれたりする際に、保形成、油分離の防止といった焼き残り性が要求されるなどの現状に鑑みてなされたものである。即ち、これらの欠点を改善し、風味、作業性が良く、発酵工程や、ホエーオフ工程などの設備を必要としない、加えて乳化安定で焼き残り性もあるチーズ様食品とその製造法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
様々な方法を検討した結果、酸性原料を用いるチーズ様食品中のカゼイン蛋白質とホエー蛋白質を特定の割合で配合し、かつ酸性原料を他の原料の攪拌乳化後に加えることにより、これまで酸性原料を用いるチーズ様食品の、ざらつき、乳化の不安定、それに伴う焼き残り性の悪さを克服出来ることがわかった。加えて、望ましくは使用する乳蛋白質を選択することによって、それらの欠点を改善したチーズ様食品が簡便に得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明の第1は、カゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比が0.6〜3.2である蛋白質、油脂、酸性原料、溶融塩を使用し、加熱溶融するチーズ様食品の製造法であって、有機酸及び無機酸から選ばれる一種または2種以上の酸からなる酸性原料を除くすべての原料を撹拌乳化後、前記の酸性原料を加えることを特徴としたチーズ様食品の製造法に関する。好ましい実施態様としては、高速剪断乳化釜に前記酸性原料を除くすべての原料を投入し、真空下にて撹拌しながら加温し、撹拌乳化後、酸性原料を加える上記に記載の製造法に関する。また、好ましい実施態様としては、使用するカゼイン蛋白質が、レンネットカゼインであることを特徴とする上記に記載の製造法に関する。別の好ましい実施態様としては、使用するホエー蛋白質が、噴霧乾燥されたホエー蛋白濃縮物であることを特徴とする上記に記載の製造法に関する。更に別の好ましい実施態様としては、使用する蛋白質が、脱脂乳のpHを調整することによりカゼイン蛋白及びホエー蛋白質を分離し、pHを中性に調整し、噴霧乾燥することによって得られる乳蛋白濃縮物粉末であることを特徴とする上記に記載の製造法に関する。
【0010】
本発明の第2は、上記記載の製造法によるチーズ様食品に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のチーズ様食品とその製造法について、詳細について説明する。
【0012】
本発明のチーズ様食品の製造方法は、カゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比を0.6〜3.2に調整し、油脂、酸性原料、溶融塩、水を加え、加熱溶解することよりなる。
【0013】
本発明で使用するカゼイン蛋白質、及び、ホエー蛋白質は乳中に存在する天然の蛋白質である。一般的な乳製品で、カゼイン蛋白質、及び/またはホエー蛋白質の供給源となるものとして、牛乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、クリーム、チーズ、ヨーグルト、練乳、加糖練乳、チーズ類、脱脂粉乳、全脂粉乳、バターミルクパウダー等がある。これらの1種または2種以上をそのまま或いは必要に応じて、濃縮等の加工を行い、カゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比が、0.6〜3.2になるように調整して用いる。好ましくは、1.0〜2.6である。この比率が3.2を越えると焼き残り性が悪くなるなど充分な効果が得られない。また、この比率が0.6を下回ると、ホエー蛋白質特有の風味が強くなり、風味が悪くなる。
【0014】
本発明で使用するカゼイン蛋白質とは、乳中の蛋白質の中でも、pH 4.6にしたときに沈殿する蛋白画分で、例えば、酸カゼイン、カゼイネートやレンネットカゼインが例示できるが、本発明においては、レンネットカゼインを用いることが風味が良好である為、好ましい。レンネットカゼインとは、未殺菌の脱脂乳にレンネットを加え、カードを形成させたあと、ホエーを排除し、乾燥したものである。
【0015】
本発明で使用するホエー蛋白質とは、乳を20℃でpH 4.6にした際の乳清中に存在する蛋白画分であり、例えば、チーズホエー、カゼインホエー等が例示できるが、中でも噴霧乾燥されたホエー蛋白濃縮物を用いることがホエー含量が高く、使用しやすい為好ましい。ホエー蛋白質濃縮物とは、牛乳から、クリーム、カゼインが分画された残り、またはチーズカードを絞った残りを脱塩、濃縮、乾燥した粉末で、具体的には、一般にWPC、WPIと呼ばれるもの等が挙げられる。
【0016】
本発明においては、カゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比が、0.6〜3.2になることが必要であり、そのために上述のように別個に用意したカゼイン蛋白質とホエー蛋白質を上記比率になるように配合して使用してもよいが、一定の比率で既に混合されている乳蛋白濃縮物粉末を用いることが好ましい。一定の比率の乳蛋白濃縮物粉末については、既に、カゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比が、0.6〜3.2になるように製造された乳蛋白質を用いてもよいし、一定比率が上記範囲に満たない乳蛋白濃縮物粉末を用いることもできる。但しこの場合には、カゼイン蛋白質或いはホエー蛋白質の不足分を補い、カゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比を、0.6〜3.2にする必要がある。
【0017】
乳蛋白濃縮物粉末とは、例えば、硫酸などで脱脂乳のpHを2〜4に下げ、カゼイン蛋白質、及びホエー蛋白質の双方を含んだカードを形成させ、蛋白質を分画したのち、水酸化ナトリウムなどでpH7程度の中性にしたものを噴霧乾燥して得られるカゼイン蛋白質、及びホエー蛋白質の双方を含んだ高蛋白質粉末であり、一般にトータルミルクプロテイン、あるいは共沈によるトータルミルクプロテインと呼ばれ、市販されているものである。蛋白質が60%以上、乳糖は25%以下であることが好ましい。当該乳蛋白濃縮物粉末は他のカゼイン蛋白質含有粉末に比較して風味が良く、かつ溶解性が良いため本発明に好適である。当該乳蛋白濃縮物粉末は、組成的には共沈カゼインと呼ばれるもの及び前述の原料乳をUF濃縮し、pHを1以上変化させずに分離した乳蛋白高含有粉末と似ている。しかし共沈カゼインは酸及び加熱によって蛋白質を沈殿させるために、蛋白質の変性が進んでいるのに対し、噴霧乾燥することによって得られた乳蛋白濃縮物粉末は、酸や熱で処理する時間が少ないため蛋白質の変性が少ない点が良いと考えられる。噴霧乾燥することによって得られた乳蛋白濃縮物粉末は、カゼイン蛋白質、及びホエー蛋白質の双方を含んだ状態で速やかにpH調整され、しかもナトリウムと結合しているため、風味及び溶解性が良い為、作業性が良好である。
【0018】
本チーズ様食品に、風味付けの目的で、牛乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、クリーム、チーズ、ヨーグルト、練乳、加糖練乳、チーズ類、脱脂粉乳、全脂粉乳、バターミルクパウダー等の乳製品を一種または2種以上使用することが出来る。これらを用いるときも、カゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比が0.6〜3.2になるように調整する。以上挙げたこれらの乳蛋白質には、カゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比以外には、特に使用量の制限はなく、目的とするチーズ様食品の物性や食感に合わせて任意に調整すればよい。
【0019】
本発明において用いられる油脂の種類は特に限定されず、コーン油、菜種油、大豆油、ヤシ油、パーム油等の植物油、乳脂、ラード、牛脂、魚油等の動物油、及びそれらの硬化・分別・エステル交換油等を、単独もしくは2種以上を合わせて任意に用いることができる。使用する油脂の上昇融点にもとくに制限はないが、融点が40℃以下であると製品の口溶けが良好になるため好ましい。
【0020】
油脂の添加率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜決めることが出来るが、油脂の添加率が多すぎると乳化が不安定になり、少なすぎるとチーズ様の食感が出ないため、チーズ様食品の5〜45重量%の範囲とするのが望ましい。
【0021】
本発明において使用する酸性原料の種類と添加量及びに制限は無く、目的とする食品に応じて調整することが出来る。最終製品のpHは、低すぎると酸味が強すぎ風味が悪くなり、高すぎるとチーズ特有の風味に欠けるため、4.0〜6.8に調整するのが望ましい。酸性原料としては、有機酸、無機酸、乳酸菌発酵物から選ばれる一種または2種以上が使用される。具体的には、乳酸、アジピン酸、クエン酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、フィチン酸、リンゴ酸、リン酸等の酸や乳酸発酵物としては、ヨーグルト、サワークリーム等を用いることが出来る。また、クリームチーズ、クアルク、カッテージチーズ等のチーズも酸性原料として使用することが出来る。
【0022】
本発明においては、蛋白質の溶解や乳化の調整のために、溶融塩を使用する。種類や添加率に特に制限はなく、目的や用途に応じて、クエン酸塩、各種リン酸塩等を単独又は組み合わせて用いることが出来る。
【0023】
又、本発明によるチーズ様食品にはテクスチュア調整や、離水防止等の目的で、必要に応じて安定剤を用いることが出来る。具体的には、カラギナン、ファーセレラン、アルギン酸等の海草抽出物、ローカストビーンガム、タラガム、グアーガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ペクチン、澱粉、化工澱粉、デキストリン、大豆多糖類等の植物系天然高分子物質、キサンタンガム、デキストラン、プルラン、カードラン、ジェランガム等の微生物産生天然高分子物質、ゼラチン、卵白アルブミン、ホエー蛋白等の動物系天然高分子物質、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海草抽出物加工品、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の合成高分子物質等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上組み合わせて用いることが出来る。
【0024】
又、必要に応じてレシチン、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤、着色料、香料、糖質、香辛料、牛乳、粉乳、クリーム等の風味素材、食塩、日持ち向上剤等を1種又は2種以上組み合わせて加えることも可能である。
【0025】
本発明のチーズ様食品の製造は、上述のカゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比が0.6〜3.2である蛋白質、油脂、酸性原料、溶融塩、必要に応じて各種安定剤、乳化剤等の添加剤を、加熱溶融することによって行う。加熱溶融の条件は、特に限定はなく、定法に従って行うことが出来る。その際、本発明において使用する装置には特に制限はなく、ケトル型チーズ乳化釜、高速剪断乳化釜、乳化機付きの連続加熱殺菌機などが使用できる。本発明によるチーズ様食品は例えば次のような方法で製造することができる。ケトル型チーズ乳化釜、高速剪断乳化釜のようなものを使用する場合は、概ね60℃〜95℃に加熱溶融、攪拌することが好ましい。60℃に満たない場合には、原料の溶融と殺菌が不十分であるため好ましくなく、95℃を超えての加熱は蛋白質のコゲが発生する場合がある。乳化機付きの連続加熱殺菌機のようなものを使用する場合はあらかじめ乳化機で概ね50℃〜65℃に加熱溶融、攪拌した後、更に熱交換機などで90〜125℃で短時間、加熱溶融することが好ましい。熱交換機などでの加熱が、90℃に満たない場合には、原料の溶融と殺菌が不十分となる可能性があり、125℃を超えての加熱は蛋白質のコゲが発生する場合があるため好ましくない。
【0026】
本発明によるチーズ様食品は例えば次のような方法で製造することができる。
【0027】
高速剪断乳化釜にすべての原料を投入し、真空下にて約1500〜3000rpmで撹拌しながら80〜90℃まで加温する。この際、望ましくは酸性原料は最初に加えず、撹拌乳化後に加えることで、よりざらつきが減り、乳化安定性等が向上する。
【0028】
この様にして本発明の製造方法によりチーズ様食品を得ることが出来る。本発明によるチーズ様食品とは非熟成チーズ、熟成チーズ、プロセスチーズ、チーズスプレッドなど、各種のチーズやその加工品に類似した食品を指す。非熟成チーズとは、一般に熟成工程を経ないで製造されるナチュラルチーズであり、クアルク、マスカルポーネ、クリーム、ヌシャーテル、リコッタ、モザレラ等が挙げられる。熟成チーズとは、一般に熟成工程を経て製造されるナチュラルチーズであり、チェダー、ゴーダ、エダム、エメンタール、カマンベール等が挙げられる。プロセスチーズとは、一般に一種又はそれ以上のナチュラルチーズに溶融塩などの添加物、香辛料、調味料、食品を添加するか又は添加せずに混合、加熱、溶解、混合して製造され、日本では一般的に食されてきたものである。チーズスプレッドとは、一般に一種又はそれ以上のナチュラルチーズに、水、油脂、味付け素材、溶融塩などの添加物を添加するか又は添加せずに混合、加熱、溶解、混合して製造されるものであり、パン等に塗り易いような硬さに調整されたものである。本発明のチーズ様食品は、これらのチーズに類似した風味・食感を有するものである。
【0029】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。本発明中の%はとくにことわりのないかぎり、重量%である。
【0030】
各種チーズ様食品を、出来上がりの製品が10kgになるように配合し、水分を調整した。作成したチーズ様食品は、表1の評価基準に従って10名のパネラーによって行った。ザラツキと焼き残り性は市販のクリームチーズを対照として官能により比較、評価した。ザラツキは試食により比較した。
【0031】
【表1】
Figure 0004192417
焼き残り性は濾紙上に口金で絞ったものを200℃のオーブンで10分間焼成し、油分離と保形成を外観によりそれぞれ比較、評価した。評価結果は表2に示した。
【0032】
【表2】
Figure 0004192417
(実施例1)
レンネットカゼイン(カゼイン蛋白質80%)800g、WPC(ホエー蛋白質80%)250g、菜種油2800g、脱脂粉乳(カゼイン蛋白質28%、ホエー蛋白質7%)200g、ポリリン酸Na50g、ローカストビーンガム30g、HMペクチン50g、クアルク香料2g、できあがりの製品の水分が5668gになるように調整した水を、高速剪断乳化釜に投入し、1500rpmで攪拌しながら90℃まで加熱した。その後、第一乳酸(濃度50%)を150g加え、加熱せずに1500rpmで1分攪拌し、容器に充填し冷却固化させた。製品のカゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比は3.2であった。冷却して得られた製品はクアルクに似た良好な風味、食感であった。また、焼き残り性も良好であった。
(実施例2)
トータルミルクプロテイン(カゼイン蛋白質75%、ホエー蛋白質19%)800g、実施例1のWPC100g、パーム油3300g、食塩50g、ポリリン酸Na50g、HMペクチン30g、グアーガム30g、酵素処理によるチーズ風味香料(EMC)20g、β−カロチン製剤1g、できあがりの製品の水分が5519gになるように調整した水を高速剪断乳化釜に投入し、1500rpmで攪拌しながら90℃まで加熱した。その後、実施例1の第一乳酸を100g加え、加熱せずに1500rpmで1分攪拌し、容器に充填し冷却固化させた。製品のカゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比は2.6であった。冷却した製品はプロセスチーズに似た良好な風味、食感であった。また焼き残り性も良好であった。
(実施例3)
実施例1のレンネットカゼイン500g、実施例1のWPC500g、パーム油1500g、菜種油1500g、食塩50g、ヘキサメタリン酸Na50g、ローカストビーンガム20g、HMペクチン30g、チーズ香料15g、β−カロチン製剤1g、できあがりの製品の水分が5784gになるように調整した水からクエン酸溶解用に200g除いたものを高速剪断乳化釜に投入し、1500rpmで攪拌しながら90℃まで加熱した。その後、クエン酸(結晶)50gを200gの水で溶解させたもの加え、加熱せずに1500rpmで1分攪拌し、容器に充填し冷却固化させた。製品のカゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比は1.0であった。冷却した製品はチーズスプレッドに似た良好な風味、食感であった。また、焼き残り性も良好であった。
(実施例4)
実施例1のレンネットカゼイン400g、実施例1のWPC700g、菜種油3000g、クリーム(カゼイン蛋白質1.4%、ホエー蛋白質0.3%)1000g、ポリリン酸Na50g、実施例1の第一乳酸50g、ローカストビーンガム20g、HMペクチン30g、マスカポーネ香料1g、できあがりの製品の水分が4749gになるように調整した水を高速剪断乳化釜に投入し、1500rpmで攪拌しながら90℃まで加熱し、容器に充填し冷却固化させた。製品のカゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比は0.6であった。冷却した製品はマスカルポーネに似た良好な風味、食感であった。また焼き残り性も良好であった。
(比較例1)
実施例1の配合のWPCを200gとして、全体が10Kgになるように水で調整したものを、実施例1と同様の方法で作成した。製品のカゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比は4.0であった。製品は焼き残り性の悪いものであった。
(比較例2)
実施例4の配合のWPCを1000gとして、全体が10Kgになるように水で調整したものを、実施例4と同様の方法で作成した。製品のカゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比は0.4であった。製品は焼き残り性は良好であったが、ホエー蛋白質の風味が強い、風味の悪いものであった。
(比較例3)
実施例1の配合からのレンネットカゼインを除き、カゼインナトリウム(カゼイン蛋白質90%)を800gとし、WPCを285gとし、全体が10Kgになるように水で調整して、カゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の比率を実施例1と同様にしたものを、実施例1と同様の方法で作成した。冷却した製品は焼き残り性は良好であったが、膠臭のある、風味の悪いものであった。
【0033】
【発明の効果】
以上の結果が示すとおり、本発明で得られるチーズ様食品は、簡便な方法で製造でき、風味、食感が良く、加えて焼き残り性にも優れているため、とくに製菓・製パン、調理用途に好適である。

Claims (6)

  1. カゼイン蛋白質/ホエー蛋白質の重量比が0.6〜3.2である蛋白質、油脂、酸性原料、溶融塩を使用し、加熱溶融するチーズ様食品の製造法であって、有機酸及び無機酸から選ばれる一種または2種以上の酸からなる酸性原料を除くすべての原料を撹拌乳化後、前記の酸性原料を加えることを特徴としたチーズ様食品の製造法。
  2. 高速剪断乳化釜に前記の酸性原料を除くすべての原料を投入し、真空下にて撹拌しながら加温し、撹拌乳化後、前記の酸性原料を加える請求項1記載のチーズ様食品の製造法。
  3. 使用するカゼイン蛋白質が、レンネットカゼインであることを特徴とする請求項1または2に記載の製造法。
  4. 使用するホエー蛋白質が、噴霧乾燥されたホエー蛋白濃縮物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造法。
  5. 使用する蛋白質が、脱脂乳のpHを調整することによりカゼイン蛋白及びホエー蛋白質を分離し、pHを中性に調整した後、噴霧乾燥することによって得られる乳蛋白濃縮物粉末であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造法によるチーズ様食品。
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