JP3999431B2 - プロセスチーズ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、良好な剥離性、糸曵き性及び風味を有するプロセスチーズ及びその製造方法に関し、特に、乳タンパク質濃縮物から調製されたグリーンチーズを用いて製造されるプロセスチーズに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にプロセスチーズは、原料ナチュラルチーズに、溶融塩、必要に応じて乳化剤、水等を加え、乳化機を用いて加熱乳化して得られる乳化物を容器に充填して冷却することにより製造され、ナチュラルチーズに比べ風味や食感に癖がなく、食べやすいことから多くの人に好まれ、その需要は年々増加している。
プロセスチーズは、形態としては、スライス状のもの、スティック状のもの、アルミホイールで個包装したもの、カートン充填したもの等がある。また、スライスタイプやプレカットタイプのものであれば、剥離性が良好であることが望まれ、加熱調理用のものであれば、熱溶融性、糸曵き性が良好であることが望まれるなど、用途に合わせた機能性が要求される。
【0003】
剥離性の良好なチーズとしては、熟成チーズと熟度1ヶ月未満のヤング又はグリーンチーズを含む原料チーズから調製されるプロセスチーズ(特開昭58-47432号公報)、熟成を抑制したナチュラルチーズ及び/又は熟度1ヶ月未満のナチュラルチーズを50重量%以上含む原料チーズから調製されるプロセスチーズ(特開平4-179442号公報、特開平5-76282号公報)、未熟成ナチュラルチーズを30重量%以上、増粘多糖類を0.05〜1重量%含有する原料チーズから調製されるプロセスチーズ(特開平5-146250号公報)、原料チーズにカルボン酸塩、ジリン酸塩、トリポリリン酸塩、ポリリン酸塩又はそれらの混合物からなる溶融塩を添加して調製されるプロセスチーズ(特開平8-196209号公報)、全タンパク質中、ホエータンパク質を0.15重量%以上含有するプロセスチーズ(特開平8-256686号公報)等が開示されている。
【0004】
また、糸曵き性の良好なチーズとしては、最終製品に対して少なくとも70重量%の量のモザレラチーズ、ステッペンチーズ、熟成期間3ヶ月未満のゴーダチーズ及びこれらの混合物からなる原料チーズ、最終製品に対し1.5〜33重量%の油脂、及び溶融塩を水の存在下で加熱撹拌して調製されるプロセスチーズ(特開平4-200348号公報)、W/O型の乳化に適した乳化剤を用いて調製されるプロセスチーズ(特開平5-91834号公報)、溶融塩とW/O型乳化剤を用いて調製される低脂肪プロセスチーズ(特開平6-276936号公報)、熟度25%以下の原料チーズに乳清カルシウム及び/又はコロイド状リン酸カルシウムを添加して調製されるプロセスチーズ(特開平11-221015号公報)、多糖を産生する乳酸菌を用いて調製される熟度30%以下のナチュラルチーズを30重量%以上配合して調製されるプロセスチーズ(特開平11-221014号公報)等が開示されている。
【0005】
一方で、乳タンパク質濃縮物は、脱脂乳を除菌した後、透析濾過膜や限外濾過膜により膜処理して、脱塩されたものを加熱、濃縮、乾燥させて得られるタンパク質40重量%以上を含有する乳タンパク質の粉末であり、近年、チーズの製造にも利用されている。例えば、限外濾過膜で濃縮し、タンパク質60重量%以上、乳糖25重量%以下に調整した乳タンパク質濃縮物に、油脂、溶融塩及び乳化剤を添加し、加熱乳化することを特徴とするプロセスチーズ様食品又はチーズ様食品の製造方法(特開平9-172964号公報)、タンパク質含量50重量%以上である乳タンパク質濃縮物粉末の水溶液に乳酸菌スターター及び酵素を添加し、チーズカードを形成させ、得られたチーズカードを熟成させることを特徴とするナチュラルチーズの製造方法(特開平11-32675号公報)が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来技術によれば、プロセスチーズに剥離性を付与するためにはヤングチーズやグリーンチーズと称される熟成の進んでいない、いわゆる若いチーズを多く配合し、原料チーズの熟度を低くするか、増粘多糖類や特殊な溶融塩を用いる必要がある。また、糸曵き性を付与するためには、熟成の進んでいないチーズを用いるか、溶融塩の添加量を少なくするか、あるいは乳化力の弱い溶融塩を用いる必要がある。このように、熟成の進んでいないチーズを用い、原料チーズの熟度を低くすれば、剥離性と糸曵き性を有するプロセスチーズが得られると考えられる。
【0007】
プロセスチーズが良好な剥離性を有するためには、室温においてプロセスチーズが軟化しづらく耐熱保形性が良好である必要があるが、一方で糸曵き性は加熱時にプロセスチーズが溶融することで発現する性質である。このように、プロセスチーズ同士の剥離性あるいは結着性と、加熱時の機能特性とは互いに異なる性質であるため、剥離性と糸曵き性の両方の特性を満足するプロセスチーズは未だ提供されていないのが現状である。
また、従来技術によれば、プロセスチーズに剥離性又は糸曵き性を付与するためには、原料チーズの熟度を低くする必要があり、そのため熟成の進んでいないチーズを多く配合しており、得られるプロセスチーズはチーズ風味に乏しいものであった。
そこで、本発明は、剥離性及び糸曵き性が良好であって、かつ、チーズ風味の良好なプロセスチーズを提供することを課題とする。
【0008】
本発明において、剥離性とは、次のようにして求めた指標である。乳化直後の乳化物100gをテフロンコートした2枚のステンレス板(クリアランス:5mm)で挟み、そのまま氷水中で品温が4℃になるまで冷却する。得られた厚さ5mmのシート状のチーズを1枚10±0.1g(50×30×5mm)に成形し、プロセスチーズ同士が密着するように2枚を重ねてラップで包み、5℃で1週間保存後、35℃で3〜5時間保持する。その後、図1及び図2a〜cに示すように、2枚が重なったチーズをレオナーに置き、下側のチーズを台(テーブル)に固定し、上側のチーズにフックを懸けて1mm/秒の速さで引き上げる。フックを引き上げた後、剥がれたチーズの重量を測定する。これを50回繰り返し、フックを引き上げて剥がれた上側のチーズの重量が10±0.1gの範囲内のチーズの割合(%)を剥離性の指標とした。
【0009】
本発明において、糸曵き性とは、次のようにして求めた指標である。プロセスチーズ15gをシャーレに入れ、1300Wの電子レンジで25秒間加熱し、加熱後、糸曳き試験機を用い、9cm/秒で引き上げ、チーズの糸曵きの長さを測定する。こうして測定されたチーズの糸曳きが切断されるときの長さが40cm以上であるときに糸曵き性が良好であると評価した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
乳タンパク質濃縮物(Milk Protein Concentrate、以下、MPCともいう)は脱脂乳を除菌した後、透析濾過膜や限外濾過膜により膜処理して、脱塩されたものを加熱、濃縮、乾燥させて得られる、タンパク質40重量%以上を含有する乳タンパク質の粉末であり、脱脂乳が脱塩された状態で、加熱殺菌された後、粉末化されているので、含有されているタンパク質の変性度が低い。このため、MPCの溶解液は、主要タンパク質であるカゼインの大部分が、カゼインミセルの構造を維持したまま存在し、また、カゼインの一部が、ホエータンパク質の一つでありカゼインネットワークを架橋する接着剤の役目を果たすβラクトグロブリンと結合し、さらにMPCは、濃縮し粉末化されたものであるため、カゼインミセルが一部、ミセル同士で結合し会合体を形成しているため、MPCを主原料として調製されるチーズは、チーズ中のタンパク質の構造がより強固である。本発明は、MPCを主原料として調製されるグリーンチーズを少なくとも20重量%配合することで、糸曵き性及び剥離性の良好なプロセスチーズが得られることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、熟度が20〜26%であって、剥離性及び糸曵き性が良好であることを特徴とするプロセスチーズであり、さらに、乳タンパク質濃縮物(MPC)より調製されるグリーンチーズを用いて得られるプロセスチーズに関するものである。
【0012】
また、本発明は、乳タンパク質濃縮物(MPC)を主原料として調製されるグリーンチーズを少なくとも20重量%配合し、熟度が20〜26%となるように調整して、溶融塩を添加して加熱乳化する、剥離性及び糸曵き性の良好なプロセスチーズの製造方法である。
【0013】
このようなプロセスチーズは、高熟度であることから、豊かなチーズ風味を持っており、そのまま食してもよく、また加熱調理した際の糸曵き性が良好であるため、ピザ、トースト、グラタン、ドリア等のトッピングとして利用することもできる。さらにまた、剥離性が良好であるため、厚さ2〜5mm程度のスライス状にして積層し、流通、保存することもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のプロセスチーズは、熟度20〜26%で、チーズ風味が豊かであり、良好な剥離性及び糸曵き性を有することから、各種の調理に好適に使用できる。熟度が20%未満ではチーズ風味が乏しくなり、また、熟度が26%を超えると、剥離性及び糸曵き性が低下してくるため、好ましくない。
良好な剥離性及び糸曵き性については、既に述べた方法で測定評価して、剥離性は90%以上、糸曵き性は40cm以上であるとき剥離性及び糸曵き性が良好である。また、同程度の剥離性及び糸曵き性を示す通常のプロセスチーズは、未熟成チーズの配合量が高いため、風味が劣る傾向を示すので好ましくない。
【0015】
なお、本発明において、熟度とは、次式で求められる値である。
熟度(%)=(可溶性窒素/全窒素)×100
上式において、可溶性窒素及び全窒素は、次のようにして求めた値を使用する。
(1)試料液: チーズ10gを採取し、それに0.5Nクエン酸ナトリウム40mlを加え、ホモブレンダーで5分間磨砕後、メスフラスコに移し蒸留水を加えて200ml定容とする。
(2)全窒素: 試料液10mlを採取し、ケルダール法で測定する。
(3)可溶性窒素: 試料液10mlに1.41N塩酸を10ml加えた後、蒸留水で125mlに定容する。生成した沈殿物を濾過し、濾液10mlを採取し、ケルダール法で測定する。
【0016】
以下に、MPCより調製されるチーズを用いて本発明のプロセスチーズを製造する方法を示すが、本発明のプロセスチーズの製造方法はそれに限定されるものではなく、上記のように熟度20〜26%で、良好な剥離性及び糸曵き性を有するプロセスチーズを得ることができる方法であれば、どのような方法で製造してもよい。熟度20〜26%のプロセスチーズは、熟成期間の長いナチュラルチーズと短いナチュラルチーズを混合して得ることができる。
【0017】
MPCより調製されるチーズは、特開平11-32675号公報に記載の方法に従って調製することができる。MPCを3〜20重量%の濃度となるように水に分散溶解させ、均質化して原料乳を調製する。この原料乳には、脂肪源として、バター、バターオイル、高脂肪クリーム(High Fat Cream、通常、脂肪含量50〜80重量%、タンパク質含量0.5〜10重量%。以下、HFCともいう)、クリーム等の乳脂肪、その他植物脂肪を添加してもよい。また、目的とする最終製品に併せて、かつ、風味や機能向上のために、乳、MPC製造時の膜透過成分、乳糖、非タンパク態窒素、ミネラル等を適宜添加してもよい。必要に応じてこれらの添加物を添加した後、原料乳を再度均質化し、63〜75℃で15秒〜30分加熱殺菌し、冷却する。約30℃に冷却した原料乳に、ラクトコッカス・ラクチス、ラクトコッカス・クレモリス等チーズ製造に通常用いられる乳酸菌スターターを1×105〜1×107個/gとなるように接種し、凝乳酵素を原料乳に対して0.001〜0.02重量%添加し、25〜35℃で約30分間凝固させ、チーズカードを得る。このとき、乳酸菌スターターの代わりにグルコノデルタラクトン、乳酸等を添加してpHを6.4〜5.0に調整してもよい。次いで、得られたチーズカードを幅約10〜40mmの立方体となるようにカッティングし、緩やかに撹拌して、チーズカードのシネリシス (凝縮) を促進させ、その後、カッティングの際に生じたホエーの一部を排除し、さらにチーズカードを35〜40℃まで加温しながら30〜90分間撹拌を続け、ホエーを全量排除した後、チーズカードを成形機に充填して圧搾する。圧搾後、カードをブライン溶液に浸漬することで加塩し、乾燥後、これをビニール製のフィルムに入れ、真空包装し、約10℃で約1カ月間保存する。加塩は、ホエー排除後、チーズカードに対して1〜3重量%の食塩を混合してもよい。
なお、上述のようにして得られたチーズ中のカゼインに結合しているβラクトグロブリンの含量は、カゼイン含量に対して1〜8重量%であり、生乳又は脱脂乳より調製されるチーズ中のカゼインに結合しているβラクトグロブリンの含量は、カゼイン含量に対して約1重量%である。
【0018】
本発明では、上述のようにして調製されるグリーンチーズを少なくとも20重量%配合して原料チーズの熟度を20〜26%となるように調整し、これに溶融塩、必要に応じて水、重曹、乳酸、増粘剤、乳化剤等を添加し、乳化機を用いて加熱乳化することにより、目的とするプロセスチーズを製造することができる。グリーンチーズの配合量が少ないと熟度が高くなりすぎ、また、多いと熟度が低くなり過ぎるので好ましくない。グリーンチーズの配合量としては、20〜80重量%が好ましく、20〜75重量%がより好ましい。なお、MPCより調製されるグリーンチーズに配合するチーズとしては、チェダーチーズ、ゴーダチーズ、エダムチーズ、エメンタールチーズ、パルメザンチーズ、クリームチーズ、カマンベールチーズ、ブルーチーズ等を例示することができる。
【0019】
また、加熱時の乳化を良好にする目的で添加する溶融塩としては、プロセスチーズの製造に通常用いられる溶融塩であれば、いずれの溶融塩を使用してもよく、例えば、クエン酸ナトリウム、モノリン酸ナトリウム、ジリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いればよい。溶融塩の添加量は、原料チーズに対して、0.1〜3重量%が好ましく、添加量が0.1重量%未満では、乳化時の乳化が不十分となることがあり、添加量が3重量%を超えると得られるプロセスチーズの風味が悪くなることがあるため、好ましくない。
【0020】
また、目的とする最終製品に合わせて重曹、乳酸、増粘剤、乳化剤等を適宜添加してもよく、例えば、pHを調製する目的で、重曹、乳酸等のpH調製剤を原料チーズに対して、0〜2重量%、得られるプロセスチーズの食感や物性を改良するために、寒天、ローカストビーンガム、カラギーナン、グアガム、キサンタンガム等の増粘剤を原料チーズに対して、0〜0.5重量%、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、グリセライド類等の乳化剤を原料チーズに対して、0〜0.5重量%添加してもよい。
【0021】
また、加熱乳化は、プロセスチーズの製造に通常用いられるケトル型、2軸スクリューをもつクッカー型、サーモシリンダー型等の乳化機を用い、100〜1500rpmで乳化し、品温が80〜100℃に達した時点で乳化を終了させ、得られた乳化物を樹脂でコーティングされたアルミ箔、ポリエチレンテレフタレート、パラコート等からなる適当な大きさの容器に充填して冷却し、ブロックタイプのプロセスチーズとしてもよい。また、乳化物を、例えば10cm×10cm×100cmのモールドに充填し、一晩冷蔵後、モールドから取り出し、スライサーで厚さ2〜5mm程度にスライスし、スライスチーズとしてもよい。
【0022】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明をより詳しく説明する。
(1)グリーンチーズ−1の調製
MPC(ALAPRO4850、タンパク質含量:81重量%、ニュージーランドデイリープロダクツ社製)3.7重量%、乳清ミネラル2.52重量%、乳糖2.78重量%、塩化カルシウム0.042重量%、HFC(脂肪含量:76.1重量%)3.72重量%を50℃の温湯87.238重量%に添加、溶解して原料乳とした。
この原料乳を75℃で15秒間加熱殺菌し、次いで30℃まで冷却し、これに乳酸菌スターター(LD−01、DVSタイプ、菌数5×1010個/g、クリスチャンハンセン社製)を原料乳に対して0.01重量%及びレンネット(HRレンネット、クリスチャンハンセン社製)を0.003重量%添加し、緩やかに撹拌した後、30℃で40分間静置してチーズカードを得た。このチーズカードをカードナイフでカッティングし、15分間緩やかに撹拌し、生じたホエーの1/3量を排除した。直ちに80℃の温湯を加えて、温度を38℃に調整し、90分間撹拌した後、ホエーの全量を排除したチーズカードを得、これをモールドに移し、0.3kg/cm2の圧力下で2時間、プレス機で圧搾した。その後、ブライン溶液に15時間浸漬し、ビニール製のフィルムに入れて真空包装し、10℃で1カ月間保存してグリーンチーズ−1を得た。得られたグリーンチーズ−1中のカゼインに結合しているβラクトグロブリン量をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定したところ、その量は、カゼインに対して2.45重量%であった。
【0023】
(2)グリーンチーズ−2の調製
脱脂乳26.6重量%及び生乳73.4重量%を混合して原料乳とした以外は、グリーンチーズ−1と同じ方法で、グリーンチーズ−2を得た。得られたグリーンチーズ−2中のカゼインに結合しているβラクトグロブリン量をグリーンチーズ−1と同様の方法で測定したところ、その量は、カゼインに対して0.7重量%であった。
【0024】
(3)プロセスチーズの製造
上記のようにして調製したグリーンチーズとチェダーチーズ(ニュージーランドデイリープロダクツ社製、熟成10カ月)をグリーンチーズ−1:チェダーチーズ=100:0(試料1)、75:25(試料2)、50:50(試料3)、20:80(試料4)、10:90(試料5)、及びグリーンチーズ−2:チェダーチーズ=100:0(試料6)、75:25(試料7)、50:50(試料8)、20:80(試料9)、10:90(試料10)の割合(重量)になるように配合し、原料チーズ各5kgを調製した。この原料チーズに対して、溶融塩としてクエン酸ナトリウム50g、水分値が45重量%となるように水、pHが5.8となるように重曹をそれぞれ添加して、ケトル型乳化機を用い、ジャケットに蒸気を入れながら、100rpmで混練し、加熱乳化を行った。品温が85℃になった時点で乳化を終了し、得られた乳化物を適当な容器に充填して10℃で1晩冷却し、試料1〜10の10種のプロセスチーズを製造した。なお、冷却する前の乳化物(品温85℃)の粘度を粘度計(ビスコステッサー、リオン社製)を用いて測定し、また、既に記した方法で、全窒素及び可溶性窒素を求めて熟度を算出した。
試料1〜10について、原料チーズの配合割合、熟度及び粘度を表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0003999431
【0026】
試料1〜10のプロセスチーズについて、1週間後及び3カ月後の剥離性及び加熱調理時の糸曵き性を測定し、さらに官能評価を以下に示す方法で行った。
(1)剥離性の測定
乳化直後の乳化物100gをテフロンコートした2枚のステンレス板(クリアランス:5mm)で挟み、そのまま氷水中で品温が4℃になるまで冷却する。得られた厚さ5mmのシート状のチーズを1枚10±0.1g(50×30×5mm)に成形し、プロセスチーズ同士が密着するように2枚を重ねてラップで包み、5℃で1週間保存後、35℃で3〜5時間保持する。その後、2枚が重なったチーズを図1に示すようにレオナー(1)(RE−3305、山電社製)に置き、下側のチーズ(6b)をレオナーの移動テーブル(7)にチーズの固定具(8)で固定する。次いで、上側のチーズ(6a)の30×5mm面(側面)中央に、図2a及びbに示すように幅15mm、厚さ2mmの板状のフック(5)を5mm貫入し、ワイヤ(4)を介してリフト(2)でフック(5)を1mm/秒の速さで図中の矢印の方向に引き上げる。フック(5)を引き上げた後、剥がれたチーズ(6a)の重量を測定する。これを50回繰り返し、フック(5)を引き上げて剥がれた上側のチーズ(6a)の重量が10±0.1gの範囲内のチーズの割合(%)を剥離性の指標とした。
なお、本発明においては、きれいに剥離され10±0.1gの範囲内に収まるチーズの割合が90%以上であるとき、剥離性が良好であるとした。
【0027】
(2)糸曳き性の評価
プロセスチーズチーズ15gをシャーレに入れ、1300Wの電子レンジ(シャープ社製)で25秒間加熱した。加熱後、糸曳き試験機(富士精機社製)を用い、9cm/秒で引き上げて、チーズの糸曵きの長さを測定した。
なお、本発明においては、チーズの糸曵きが切断されるときの長さが40cm以上であるとき、糸曵き性が良好であるとした。
【0028】
(3)官能評価
10名の熟練パネラーにプロセスチーズ20g(品温10℃)を食してもらい、チーズ風味について次の5段階で採点し、その平均点で評価した(小数点第2位を四捨五入)。5点;大変好ましい、4点;好ましい、3点;どちらともいえない、2点;好ましくない、1点;全く好ましくない。
以上の結果を表2(1週間後)及び表3(3カ月後)に示す。
【0029】
【表2】
Figure 0003999431
【0030】
【表3】
Figure 0003999431
【0031】
表2及び表3より、試料1〜10は、グリーンチーズの配合割合が高いほど、剥離性及び糸曵き性は良好であったが、風味についてはグリーンチーズの配合割合が高いほど、フラットな風味となる傾向があった。本発明品に相当する試料2〜4は、剥離性、糸曵き性及び風味の全てが良好であり、総合的に優れた特性を有していることが認められる。一方、比較品に相当する試料1、5及び6〜10は剥離性、糸曵き性及び風味の少なくとも1つは満足できないことが認められ、具体的には、常法により調製される(MPCから得られるものではない)グリーンチーズ−2を用いる試料6〜10は特に剥離性及び糸曵き性に劣り、MPCから得られるグリーンチーズ−1のみからなる、熟度18.1%の試料1は風味に劣り、グリーンチーズ−1の配合量が10重量%と少なく、熟度が28.7%の試料5は、風味は良いものの、剥離性及び糸曵き性は満足できるものではない。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、熟度が20〜26%であり、かつ、良好な糸曵き性及び剥離性を有する、特には、MPCにより調製されるグリーンチーズを少なくとも20重量%配合し、溶融塩を添加して加熱乳化することにより得られるプロセスチーズ及びその製造方法を提供することができる。
本発明のプロセスチーズは、MPCにより調製されるグリーンチーズを用いるため、熟度が20〜26%と高熟度でありながら、良好な糸曵き性及び剥離性を有するものである。したがって、高熟度であることから、チーズ風味が良好であり、そのまま食してもよく、また、加熱調理した際の糸曵き性も良好であるため、ピザ、トースト、グラタン、ドリア等のトッピングとして好適に利用することもでき、さらにまた、剥離性が良好であるため、厚さ2〜5mmにスライスしたプロセスチーズを仕切り用のシートなどを用いずに積層して流通、保存することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 剥離性を測定するために2枚を重ね合わせたプロセスチーズをセットした状態におけるレオナーの正面図を模式的に示す。
【図2a】 レオナーにプロセスチーズをセットした状態において、該チーズにフックをかけた部分の拡大正面図を模式的に示す。
【図2b】【図2a】のチーズ部分の平面図である。
【図2c】 フックを引き上げる途中におけるチーズの状態を模式的に示すチーズ部分の正面図である。
【符号の説明】
1 レオナー
2 リフト
3 リフトステム
4 ワイヤ
5 フック
6a 上側のチーズ
6b 下側のチーズ
7 レオナーの移動テーブル
8 チーズの固定具

Claims (3)

  1. 乳タンパク質濃縮物より調製されるグリーンチーズを用いて得られる、熟度が20〜26%であって、剥離性及び糸曵き性が良好であることを特徴とするプロセスチーズ。
  2. 乳タンパク質濃縮物より調製されるグリーンチーズを少なくとも 20 重量%配合して得られる請求項1に記載のプロセスチーズ。
  3. 乳タンパク質濃縮物より調製されるグリーンチーズを少なくとも20重量%配合し、熟度が20〜26%となるように調整して、溶融塩を添加して加熱乳化することを特徴とする剥離性及び糸曵き性の良好なプロセスチーズの製造方法。
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