JP3103060B2 - チ−ズの製造方法 - Google Patents

チ−ズの製造方法

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JP3103060B2 JP10036575A JP3657598A JP3103060B2 JP 3103060 B2 JP3103060 B2 JP 3103060B2 JP 10036575 A JP10036575 A JP 10036575A JP 3657598 A JP3657598 A JP 3657598A JP 3103060 B2 JP3103060 B2 JP 3103060B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な風味及び滑
らかな組織を有する糸曵き性の良好なプロセスチーズの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チーズは、タンパク質、脂質、カルシウ
ム、ビタミン、ミネラル等の各種栄養素をバランス良く
含んでおり、とりわけ良質のカルシウム源として特に注
目され、その需要は年々増加している。その中でも特
に、加熱により溶融し、糸曵き性を示すタイプのプロセ
スチーズは、ピザ、トーストやグラタンのトッピングと
して多く利用され、消費量も堅調に伸びている。プロセ
スチ−ズは、原料チ−ズの熟度指標(後出)が25%以
上では、加熱により糸曳き性を発揮させることができ
ず、プロセスチ−ズの糸曳き性を発揮させるためには原
料チ−ズの熟度指標を15%未満に調整する必要があっ
た。このため、従来、プロセスチーズに良好な糸曵き性
を付与させるには、原料チーズとして熟度のできるだ
け低いチーズを用いる方法、乳化時に溶融塩を添加し
ないか、あるいは溶融塩の添加量をごく少なくして乳化
する方法が知られていたが、このようにして得られたチ
ーズは、糸曵き性があるものの、原料チーズとして熟度
の低いチーズを用いるため風味に欠け、乳化時に脂肪分
離や離水が生じやすく、得られるチーズの組織も不均一
となり食感も悪くなる。
【0003】そこで、得られるチーズの風味を向上させ
るために熟成させた原料チーズを用い、これにローカス
トビーンガム、キサンタンガム、グアーガムなどのガム
類を安定剤として添加してチーズの糸曳き性を向上させ
る試みもなされているが、安定剤の添加のみでは、ナチ
ュラルチーズに匹敵する糸曵き性を付与することはでき
ないばかりか、安定剤の添加によって組織や風味の低下
を招く。従来、プロセスチーズの製造では、カルシウム
塩を添加することが知られており、例えばカルシウムを
強化する目的で、ナチュラルチーズにクエン酸ナトリウ
ム、ポリリン酸塩等の溶融塩を添加し、加熱乳化する際
に、最終製品のカルシウムとリンの比が2.0を越えな
い範囲でコロイド性炭酸カルシウムを添加するプロセス
チーズの製造方法(特開昭50−52261号公報)や
炭酸カルシウムとクエン酸と水を混合攪拌して生成させ
た微細なクエン酸カルシウムを添加するプロセスチーズ
の製造方法(特開昭56−138915号公報)が開示
されている。また、長期間常温で保存しても油脂の劣化
に伴う酸化臭、古臭、その他の異臭を生じることなく、
しかも組織の劣化の少ないプロセスチーズを得るために
タンパク質可溶化率(12%トリクロロ酢酸可溶性窒素
/全窒素)が10%以下である半熟成のグリーンチーズ
10〜70重量%と熟成ナチュラルチーズ90〜30重
量%の混合物を原料チーズとして用い、これに溶融塩以
外の1価又は2価の塩類、特に塩化カルシウム、炭酸カ
ルシウムを添加し、加熱乳化してプロセスチーズを得る
方法(特開平9−103243号公報)が開示されてい
る。
【0004】さらに、加熱調理したチーズの溶融状態を
長時間維持させる目的で、原料チーズに溶融塩、2価の
無機塩類及び乳化剤を添加し、加熱乳化させたプロセス
チーズ(特開平9−205987号公報)が開示されて
いる。このように、カルシウム強化、製品の保存性向
上、加熱調理時の溶融性維持等の目的で、プロセスチー
ズを製造する際にカルシウム塩を添加する試みが数々な
されているが、カルシウムの作用によりチ−ズ物性面の
機能特性を大幅に向上させる試みは極めて少ないのが現
状であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような現状におい
て、本発明は良好な風味及び滑らかな組織を有する糸曵
き性の良好なプロセスチーズの製造方法を提供すること
を主たる目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意研究を重ねた結果、熟度指標25%以下のチ
ーズ又は熟度指標25%以下に調整したチ−ズを原料チ
ーズとし、これに溶融塩及び乳清カルシウム及び/又は
コロイド状リン酸カルシウムを添加して加熱乳化するこ
とにより、良好な風味及び滑らかな組織を有する糸曳き
性に優れたプロセスチーズが得られることを見いだし、
本発明を完成させるに至った。本発明は、熟度指標25
%以下の原料チーズ又は熟度指標25%以下に調整した
原料チ−ズに溶融塩及び乳清カルシウム及び/又はコロ
イド状リン酸カルシウムを添加し、加熱乳化することを
特徴とする糸曵き性の良好なプロセスチーズの製造方法
に関する。また、本発明は、原料チーズに対し、溶融塩
を0.5〜2.0重量%添加し、加熱乳化することを特
徴とする糸曵き性の良好なプロセスチーズの製造方法に
関する。また、本発明は、最終製品中にカルシウムを7
00〜200mg/100g含有するように原料チーズ
に対し、乳清カルシウム及び/又はコロイド状リン酸カ
ルシウムを添加し、加熱乳化することを特徴とする糸曵
き性の良好なプロセスチーズの製造方法に関する。
【0007】先にも記載したように、プロセスチーズに
良好な糸曵き性を付与させるためには、原料チーズとし
て熟度の低いチーズを用いること、乳化時に溶融塩を添
加しないか、溶融塩の添加量をごく少なくして乳化しな
くてはならない。しかしながら、このようにして得られ
るチーズは、糸曵き性があるもののチーズ風味に欠け、
乳化時に脂肪分離や離水が生じやすく、得られるプロセ
スチーズも組織が不均一で食感が悪いものとなる。本発
明では、熟度指標25%以下の原料チーズに又は熟度指
標25%以下に調整した原料チ−ズに乳清カルシウム及
び/又はコロイド状リン酸カルシウムを添加し、プロセ
スチーズの糸引き性を向上させているため、原料チーズ
による風味や食感等の低下の問題、さらには溶融塩の添
加量の低下に伴う乳化不良の問題が解決された。
【0008】本発明において、乳清カルシウム及び/又
はコロイド状リン酸カルシウムを添加することにより糸
曳き性が向上する理由としては、以下のことが考えられ
る。通常ナチュラルチーズ中のタンパク質はカルシウム
カゼイネートと呼ばれる状態で存在し、カゼインが凝集
して互いにからみ合い網状構造を形成していると考えら
れており、チーズの糸曳き性は、チーズ中に存在するこ
のカゼインの構造の強さに依存しており、熟成や溶融塩
の添加によってカゼインの構造が崩れると、糸曵き性も
低下する。これに対して本発明で用いる乳清カルシウム
及び/又はコロイド状リン酸カルシウムは、加熱乳化時
に添加することにより、乳清カルシウム及び/又はコロ
イド状リン酸カルシウムが、何らかの作用でチーズ中の
カゼイン同士が結合した組織構造をより強固なものとす
る。そのため、炭酸カルシウムやリン酸カルシウム等、
従来使用されてきたカルシウム塩と異なり、得られるプ
ロセスチーズに、より良好な糸曵き性を付与することが
できるのである。
【0009】本発明で使用する乳清カルシウムは、チ−
ズ製造時の副産物などとして得られる乳清中のカルシウ
ムとして定義される。その調製方法としては、例えばチ
ーズ製造の際に副産物として産出されるホエーの溶液を
分画分子量20000〜100000の膜で処理してタ
ンパク質と溶液に分画し、次いで溶液を分画分子量20
000以下の膜で処理して分子量20000以上の乳清
カルシウムと低分子のミネラルに分画する。得られた乳
清カルシウムをスプレードライ法で乾燥処理する。この
方法以外にも、乳清カルシウムが酸で沈殿する性質を利
用して、ホエーの溶液に塩酸等の酸を添加して、溶液を
酸性に調整して乳清カルシウムを沈殿させ、得られた沈
殿物を乾燥処理することにより、乳清カルシウムを得る
こともできる。さらに本発明では前述のようにして調製
した乳清カルシウムの他、市販品も使用することができ
る。
【0010】また、本発明で使用するコロイド状リン酸
カルシウムは、カゼインミセル中に含まれるリン酸カル
シウムとして定義され、ミセル状リン酸カルシウムとも
呼ばれる。この調製は、加藤らの「日本栄養・食糧学会
誌、Vol.47,No.5、385〜390(199
4)」に記載されている方法に従って行なうことができ
る。具体的には、レンネットカゼインをホモミキサ−で
イオン交換水50kgに懸濁させ、3.6%の塩酸でp
Hを4.8に調整し、コロイド状リン酸カルシウムを撹
拌抽出する。次いで抽出液をフィルタ−で濾過して微小
なカゼインの凝集物を除き、その後、濃縮・乾燥するこ
とにより得られる。このようにして得られた乳清カルシ
ウムは、牛乳由来のカルシウムであるため、他のカルシ
ウム塩に比べて、えぐみ等も少なく風味の点でも好まし
いものである。
【0011】また、チーズの熟度に関しては、次のよう
なことが知られている。ナチュラルチーズ中の窒素の形
態はチーズの熟成度合に応じて変化し、特に可溶性窒素
はチーズの熟成が進むにつれて増加の傾向をたどる。こ
の可溶性窒素の全窒素に対する割合で表される熟度指標
は、一般にチーズの熟成度合を示す指標として用いら
れ、この値が大きいほどチーズが熟成していることを示
す。本発明では、原料チーズとして熟度指標が25%以
下のチーズ又は熟度指標が25%以下となるよう調整し
たチ−ズを用いることにより、得られるプロセスチーズ
に良好な糸曵き性を付与することができる。以下に、熟
度指標を算出するための式及び測定方法を示す。 熟度指標(%)=(可溶性窒素/全窒素)×100 測定は、まず試料液を調製する。原料チーズ10gを採
取し、それに0.5Nクエン酸ナトリウム40mlと蒸
留水40mlを加え、ホモブレンダーで5分間磨砕後、
メスフラスコに移し蒸留水を加えて200mlに定量
し、試料液とする。次いで、試料液10mlを採取し、
ケルダール法で全窒素を測定する。さらに、試料液10
mlに1.41N塩酸を10ml加えた後、蒸留水で1
25mlに定容し、生成した蛋白沈殿物を濾過し、濾液
10mlを採取しケルダール法で可溶性窒素を測定す
る。このようにして本発明に用いる原料チーズの熟度指
標を測定することができる。
【0012】また、本発明でいう糸曵き性とは、「井
門:Snow Brand R&D Reports, 100, 29-74(1993)」に従
って測定したチーズの糸曵きの長さの値のことをいう。
具体的には、チーズ20gをシャーレに採取し、これを
電磁加熱器(約90℃)で1分間加熱してチーズを溶融
させる。その後、直ちにシャーレを取り出し、1分30
秒放置後、約80℃になった時点で、糸曳き性測定機を
用い、毎秒10cmの速度でチーズを引き上げ、チーズ
の糸が切れるまでの長さ(cm)を測定することにより
得られる値である。本発明では、長さ50cm以上を示す
ものを糸曳き性良好とした。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において原料チーズとして
は、通常プロセスチーズの製造で原料チーズとして使用
されるチェダーチーズ、ゴーダチーズ等のナチュラルチ
ーズ等、いずれのものも使用することができる。このと
き、熟度指標25%以下の原料チ−ズを使用するか、原
料チ−ズの熟度指標を25%以下に調整して使用すれば
よい。原料チーズの熟度指標が25%以下の場合には、
糸曳き性の良好なチーズが得られる。なお、従来、チー
ズに糸曵き性を発現させるためには原料チーズの熟度指
標を15%未満に調整する必要があった。しかしなが
ら、熟度指標15%未満のチーズを用いて調製されるチ
ーズはフラットな風味でガム様の食感を有するものとな
る。しかしながら、本発明では乳清カルシウム及び/又
はコロイド状リン酸カルシウムを添加することにより、
糸曳き性が向上するため、これまで糸曳き性の得られな
かった熟度指標25%以下のチーズ又は熟度指標25%
以下に調整したチ−ズを原料チーズとしても良好な糸曳
き性を示すチーズが得られる。一方で、乳清カルシウム
及び/又はコロイド状リン酸カルシウムを添加する原料
チ−ズの熟度指標が25%を超えると、目的とする糸曳
き性を付与することができず好ましくない。
【0014】本発明においては、糸曵き性及び風味の点
を考慮して、乳清カルシウム及び/又はコロイド状リン
酸カルシウムを使用するが、その他、食品に添加するこ
とができるカルシウム塩を乳清カルシウム及び/又はコ
ロイド状リン酸カルシウムと併用しても構わない。例え
ば乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カ
ルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等を例示
することができる。添加量は、原料チーズに対しカルシ
ウム含量が700〜2000mg/100gとなるよう
に添加するのが好ましい。カルシウム含量が700mg
/100g未満では添加量が少なく、得られるチーズに
糸曳き性を付与することができず、2000mg/10
0gを越えると、カルシウムはチーズへの溶解性が低い
ため、カルシウム過剰となり、チーズ風味の劣化や組織
のザラツキを引き起こすため好ましくない。
【0015】また、本発明ではチーズを乳化させるため
に溶融塩を添加する。溶融塩は0.5〜2.0重量%で
添加することが好ましい。なお、溶融塩の添加量が0.
5重量%未満では、糸曵き性は良好なもののチーズの乳
化が十分に行えず、乳化時にオイルオフが生じ、乳化物
の組織も不均一となる。また、2. 0重量%を越える
と、乳化が過度に進行し、目的とする糸曳き性を得るこ
とができず好ましくない。溶融塩は得られるプロセスチ
ーズの糸曵き性を低下させる。このため、チーズに糸曵
き性を付与させるためには溶融塩の添加量に限界があっ
た。しかしながら、本発明では乳清及び/又はコロイド
状リン酸カルシウムを添加することにより、得られるチ
ーズの糸曵き性を向上させることができるので、溶融塩
の添加量に制限はない。なお、得られるプロセスチーズ
の水分、pH等に特に限定は無く、通常のプロセスチー
ズの範囲に設定することにより、糸曳き性の良好なチー
ズを得ることができる。乳化は、通常使用されるケト
ル、ステファン、サーモシリンダー等の乳化機を用いる
ことができる。また、乳化後のチーズ冷却は通常の条件
で行えばよく、褐変等の組織・風味劣化を防止する点で
急冷を行うことがより好ましい。形状は、ブロックチー
ズ、スライスチーズ等いずれでも良く、特に限定はな
い。
【0016】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を詳細に説明す
るが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】熟度指標が15%のゴーダチーズ650g
と30%のチェダーチーズ350gを混合して原料チー
ズ(熟度指標:20%)とした。この原料チーズ100
0gに対し、溶融塩としてポリリン酸塩10g及び重曹
6gと、最終製品中のカルシウム含量が1200mg/
100gとなるように、乳清カルシウム(アラミン99
5、ニュージーランドミルクプロダクツ製)、炭酸カル
シウム(国産化学製)あるいは、乳酸カルシウム(純正
化学製)をそれぞれ添加し、ケトル乳化釜に投入して、
120回転/分で攪拌し、85℃で加熱乳化して3種の
乳化物を得た。得られた乳化物をカートンに充填し、5
℃の冷蔵庫で冷却してチーズとした。得られたチーズに
ついて糸曵き性試験及び官能評価を行なった。試験と評
価の方法は以下に示す。 (1)糸曳き性試験:チーズ20gをシャーレに採取
し、これを電磁加熱器(90℃)を用いて1分間加熱溶
融させた。その後、直ちにシャーレを取り出し、1分3
0秒放置後、チーズの温度が約80℃になった時点で、
糸曳き性測定機を用いて、毎秒10cmの速度でチーズ
を引き上げ、チーズの糸が切れるまでの長さ(cm)を
測定した。この時のチーズの糸の長さが50cm以上の
ものを糸曳き性良好とした。 (2)官能評価:5cm×5cmのパンにチーズ5gを
のせ、オーブントースターで加熱調理したものを20人
の熟練パネラーに食してもらい、加熱溶融したときのチ
ーズの組織及び風味を評価してもらった。評価基準は組
織については、組織の滑らかさと口溶けを5段階で評価
し、5点;大変好ましい、4点;好ましい、3点;どち
らでもない、2点;好ましくない、1点;大変好ましく
ない、とした。また、風味についても組織と同様に評価
を行った。いずれも平均点(小数点第2位を四捨五入)
で示した。これらの結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】糸曵き性については、乳清カルシウムを添
加したものの糸曵きが50cm以上となり良好であっ
た。チーズの組織については、乳清カルシウムを添加し
たものは滑らかで、口溶けも良好であったが、炭酸カル
シウム及び乳酸カルシウムを添加したものは組織にざら
つきが感じられた。また、チーズの風味については、乳
酸カルシウム及び炭酸カルシウムを添加したものは、え
ぐみが感じられ、好ましくなかった。
【0019】
【実施例2】熟度指標が15%のゴーダチーズと30%
のチェダーチーズを熟度指標が15、20、25、30
%となるようにチーズを配合して原料チーズとした。こ
の原料チーズ1000gに対し、溶融塩としてポリリン
酸塩10g、重曹6g、最終製品中のカルシウム含量が
1000mg/100gとなるように乳清カルシウム
(カルシウム含量30%)16gを添加し、ケトル乳化
釜に投入して、120回転/分で攪拌し、85℃で加熱
乳化して乳化物を得た。得られた乳化物をカートンに充
填し、5℃の冷蔵庫で冷却してチーズとした。得られた
チーズについて糸曵き性試験及び官能評価を行なった。
試験と評価の方法は実施例1と同様に行なった。結果を
表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】調整した熟度指標が15〜25%のもの
は、いずれも糸曵きが50cm以上となり、良好であっ
たが、調整した熟度指標が25%を超えると、糸曵き性
は低下する傾向を示した。また、組織及び風味に関して
は、熟度指標が低くなるにつれて低下する傾向を示し
た。
【0022】
【実施例3】熟度指標が15%のゴーダチーズ500g
と30%のチェダーチーズ500gを混合して原料チー
ズ(熟度指標:23%)を得た。原料チーズ1000g
に対して、溶融塩としてポリリン酸塩10g、重曹6
g、さらに乳清カルシウム(カルシウム含量25%)を
0、4、16、52、76gずつ添加して、ケトル乳化
釜に投入して120回転/分で攪拌し、85℃で加熱乳
化して乳化物を得た。得られた乳化物をカートンに充填
し、5℃の冷蔵庫で冷却してチーズを得た。得られたチ
ーズについて糸曵き性試験及び官能評価を行った。試験
及び評価は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示
す。
【0023】
【表3】
【0024】最終製品中のカルシウムの含有量が700
〜2000mg/100gのとき、糸曵き性が50cm
以上と良好であった。最終製品中のカルシウムの含有量
が2500mg/100gとなると、組織と風味が低下
する傾向がみられた。
【0025】
【実施例4】(1)コロイド状リン酸カルシウムの調
製;市販のレンネットカゼイン(Alaren771、
New ZealandDairy Board社製)
7.5kgを交換水50kgに懸濁させ、3.6%の塩
酸でpHを4.8に調整し、コロイド状リン酸カルシウ
ムを撹拌抽出した。抽出液をステンレスフィルタ−で濾
過した後、濾過液をロ−タリ−エバポレ−タ−で減圧濃
縮した。濃縮液中の不溶物を除去し、濃霧乾燥してコロ
イド状リン酸カルシウムを得た。得られたコロイド状リ
ン酸カルシウムの収量は280gであった。その成分を
表4に示す。
【0026】
【表4】
【0027】(2)チ−ズの製造;熟度指標が、15%
のゴ−ダチ−ズ650gと30%のチェダ−チ−ズ35
0gを混合して原料チ−ズ(熟度指標:20%)とし
た。この原料チ−ズ1000gに対して、溶融塩として
ポリリン酸塩10g及び重曹6g、最終製品中のカルシ
ウム含量が1200mg/100gとなるように、先に
調製したコロイド状リン酸カルシウム、コロイド状リン
酸カルシウムと乳清カルシウム(アラミン995)を
1:1の比率で混合したもの、炭酸カルシウム(国産化
学製)あるいは乳酸カルシウム(純正化学製)をそれぞ
れ添加し、ケトル乳化釜に投入して、120回転/分で
撹拌し、85℃で加熱乳化して3種類の乳化物を得た。
得られた乳化物をカ−トンに充填し、5℃の冷蔵庫で冷
却してチ−ズとした。得られたチ−ズについて糸曳き性
試験及び官能評価を行なった。試験と評価の方法は、実
施例1と同様に行なった。結果を表5に示す。
【0028】
【表5】
【0029】糸曳き性については、本発明であるコロイ
ド状リン酸カルシウムのみを添加したものと、コロイド
状リン酸カルシウムと乳清カルシウムを併用したものの
糸曳き性は50cm以上となり、良好であった。チ−ズ
の組織については、本発明のものは、滑らかで、口溶け
も良好であったが、乳酸カルシウム、炭酸カルシウムを
添加したものは、組織にザラツキが感じられた。また、
チ−ズの風味については、乳酸カルシウム、炭酸カルシ
ウムを添加したものは、えぐみが感じられ、好ましくな
かった。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、良好な風味及び滑らか
な組織を有する糸曵き性の優れたプロセスチーズを得る
ことができる。本発明のプロセスチーズは、加熱調理時
に良好な糸曵き性を示すので、グラタンやピザ、トース
ト等のトッピングとして有用である。
フロントページの続き (72)発明者 西谷 紹明 埼玉県狭山市北入曽699−3 メゾンプ レミ−ルB−102 (56)参考文献 特開 昭60−110245(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23C 19/00 - 19/14 JICSTファイル(JOIS) JAFICファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熟度指標25%以下の原料チーズ又は熟
    度指標25%以下に調整した原料チ−ズに溶融塩及び、
    乳清カルシウム及び/又はコロイド状リン酸カルシウム
    を添加し、加熱乳化することを特徴とする糸曵き性の良
    好なプロセスチーズの製造方法。
  2. 【請求項2】 原料チーズに対し、溶融塩を0.5〜
    2.0重量%添加し、加熱乳化することを特徴とする請
    求項1記載の糸曵き性の良好なプロセスチーズの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 最終製品中にカルシウムを700〜20
    00mg/100g含有するように原料チーズに対し乳
    清カルシウム及び/又はコロイド状リン酸カルシウムを
    添加し、加熱乳化することを特徴とする請求項1又は2
    記載の糸曵き性の良好なプロセスチーズの製造方法。
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