JP3424766B2 - 熱可塑性エラストマー用着色剤組成物およびその製法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー用着色剤組成物およびその製法

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JP3424766B2 JP08152294A JP8152294A JP3424766B2 JP 3424766 B2 JP3424766 B2 JP 3424766B2 JP 08152294 A JP08152294 A JP 08152294A JP 8152294 A JP8152294 A JP 8152294A JP 3424766 B2 JP3424766 B2 JP 3424766B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形加工の際に成形装
置へ顔料のプレートアウトが十分に抑制された熱可塑性
エラストマー用着色剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックは比重が軽く、機械的物性
が優れ、成形し易いことから天然素材を代替しつつ種々
の用途で使われてきているが、原料価格や成形法の変
化、安全衛生や環境保護などの変化で、同一用途でもプ
ラスチックの材質はその都度変遷してきている。
【0003】近年、成形コスト、耐熱性等の性能改善と
リサイクルし易く環境汚染も少ないという観点から、ゴ
ムあるいは軟質PVC(ポリ塩化ビニルの略称、以下同
じ)の代替材として熱可塑性エラストマーが幅広い用途
で射出成形、押出成形あるいはカレンダー成形にてパッ
キング材、チューブ、シート等に加工され利用されてい
る。
【0004】一般的にプラスチックの着色は、装飾性等
諸性質の向上を成形品に与える目的で行なわれ、射出成
形、押出成形あるいはカレンダー成形の段階で顔料や染
料を分散し易い状態に加工処理した粉末状、液状、粒状
の着色剤によってなされている。着色剤は顔料や染料に
分散助剤を加えた着色成分か、あるいは樹脂を加え、単
に混合したり、溶融混練したりして、得られるものであ
るが、プラスチックの材質や用途によってその着色成分
は種々変化させるのが一般的である。
【0005】従来、このように工夫した着色成分あるい
は着色剤を用いた場合、一般的にはあまり成形加工性を
損することはないが、PVC加工分野では射出成形で金
型キャビティー内壁に着色した汚染物の付着が生じ、同
様に押出成形では押出機ダイスリップ部に生じ、カレン
ダー成形では加工ロール表面に生ずるという現象があっ
た。この現象を”プレートアウト”と称するが、一度こ
れが起きると、成形品への金型転写性が低下し、成形品
に筋が入ったり、表面が汚れたり、艶が変化するなどの
外観不良を引き起こしてしまっていた。
【0006】そこで汚染物を成形途中で取り除く作業が
なされるが、成形操作を止め取り除く作業は煩雑であ
り、成形コストを大きくするという欠点があった。又、
汚染物が染料、顔料、滑剤あるいは安定剤等のPVCの
配合成分またはそれらの熱分解物と推定されるため、プ
レートアウト防止方法としてPVC中の安定剤である
金属石鹸の組合わせを変える方法、酸化ケイ素系無機
物を加える方法、公知文献(「プラスチック配合剤の
理論と実際」、(株)プラスチックエージ、1971年
版)で示されるP、S、Clを含む極圧潤滑剤を加える
方法など種々考案されている。しかしながら金属石鹸の
組合せ変更や酸化ケイ素系無機物の添加は実用化されて
いるものの、極圧潤滑剤を加える方法は実用化可能に至
らなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一方、熱可塑性エラス
トマーも着色して成形すると、PVCと同様なプレート
アウトが発生し、成形品の品質低下、加工性の低下を招
いている。そこでPVCで実施しているプレートアウト
防止方法が検討されているが、金属石鹸や酸化ケイ素系
無機物の添加方法はその効果が乏しいという問題があ
り、新しい方法の提案が求められていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な状況の元、防止効果の高い方法について鋭意研究した
結果、顔料のプレートアウトを防止する効果的な方法を
見出した。即ち、顔料に特定のシラン化合物と水酸基を
有する低分子量熱可塑性樹脂とを加え、混練磨砕処理し
て作った組成物が、成形装置への顔料のプレートアウト
を極端に低下させることを見出した。
【0009】水酸基を有する低分子量熱可塑性樹脂は、
樹脂の接着性や塗装性を変える改質剤やポリマーアロイ
相溶化剤、或いは顔料分散剤や特殊ウレタンの原料に用
いたりする事が知られているが、顔料の表面処理に用
い、プレートアウト防止効果を示すことは知られていな
かった。
【0010】一方、有機シラン化合物は有機顔料の表面
処理に用い、オレフィン系樹脂の着色成形品の成形収縮
や変形を防ぐ方法に応用されていたり、同様の処理で無
機顔料の樹脂への分散を向上させる方法に応用されてき
たりしている。
【0011】ところが、この処理だけではプレートアウ
ト防止効果がなく、別の方法が求められていた。本発明
の内容は、顔料を特定のシラン化合物としてイソシアナ
トアルコキシシラン化合物を用いて表面処理し、分子末
端に水酸基を有する低分子量熱可塑性樹脂の加熱溶融体
と混練磨砕処理すると、顔料のプレートアウト防止効果
が得られるというものである。
【0012】本発明で用いられる分子末端に水酸基を有
する低分子量熱可塑性樹脂とは、分子量が1千から数万
の熱可塑性樹脂で、水酸基を重合段階で分子末端に保有
するものや、水酸基以外の官能基を分子末端に保有した
重合物の該官能基を、後に水酸基に置換したり、該官能
基に水酸基を付加したりしたもの等である。水酸基以外
の官能基としては、例えばエステル基、ケトン基、酸基
等を挙げることができ、加水分解或いは還元して水酸基
とすることができる。この様な樹脂としては、多塩基性
有機酸とポリオールとを反応させて得られるヒドロキシ
ルポリエステルや、環状エーテルの開環重合又は共重合
によって得られるポリエーテルグリコールや、オレフィ
ン系オリゴマーの末端をヒドロキシル化したポリヒドロ
キシポリオレフィンなどを上げることができる。
【0013】オレフィン系低分子量樹脂に於いては三菱
化成工業(株)のポリテール(商品名)や三洋化成工業
(株)のユーメックス(商品名)を代表例としてあげる
ことができる。
【0014】一方、本発明で用いられるイソシアナトア
ルコキシシラン化合物とは、次の一般式1で表わされる
化合物である。一般式1:
【化3】 (式中、Xは、炭素数が1〜4のアルコキシ基、Rは、
炭素数1〜5の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基であ
り、n=1、2または3である。)具体的には、 γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、 (CHO)Si(CHNCO γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、 (CHCHO)Si(CHNCO γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、 (CHO)(CH)Si(CHNCO γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、 (CHCHO)(CH)Si(CHNC
O などである。これらの例は、作用効果、入手容易性等の
点から好適な例であるが、勿論本発明は、これらの例に
限定されるものではない。
【0015】イソシアナトアルコキシシラン化合物はイ
ソシアネート基を有するので、一般的には接着性を主体
とした樹脂の改質に用いられるが、これらシラン化合物
は、通例ではアルコキシ基が加水分解され、無機材料と
有機材料との界面の結合に寄与する作用を有しているこ
とから、顔料の保有する水分でシラン化合物のアルコキ
シ基が加水分解し、顔料表面にシラン化合物が結合する
ことが予想され、一方のイソシアネート基が低分子樹脂
の水酸基と結合反応を起こし、顔料の表面が低分子量樹
脂で処理されることが期待される。
【0016】イソシアナトアルコキシシラン化合物の顔
料に対する添加量は特に制限はないが、顔料100重量部
当り、0.1重量部以上50重量部以下、好適には5〜30 重
量部となる範囲が選択できる。
【0017】水酸基を有する低分子量樹脂は、水酸基価
(mg KOH/gr )が1以上のものがいずれも使用できる
が、イソシアナトアルコキシシラン化合物で顔料を処理
する場合は、イソシアネート基との反応当量より多い水
酸基量になるように、適宜その使用量を変えることが望
ましい。好ましくは水酸基価20〜60mg KOH/gr の、分子
量2000〜50000 の低分子量樹脂を使用することが望まし
い。
【0018】顔料の処理はヘンシェルミキサーのよう
な高速攪拌機の中に顔料と水酸基を有する低分子量樹脂
を仕込み、良く混合し、次に、これにシラン化合物を加
えてニーダー、加熱3本ロール、押出機等の混練機で加
熱溶融混練し顔料を磨砕処理させる方法、ヘンシェル
ミキサーのような高速攪拌機の中に顔料を仕込み、シラ
ン化合物或はシラン化合物の加水分解液を加え良く混合
させ、その後長時間放置または加熱処理し、シラン化合
物との反応を行なわせ、次に、ニーダー、加熱3本ロー
ル、押出機等の混練機で、水酸基を有する低分子量樹脂
と加熱溶融混練し顔料を磨砕処理させる方法、直接、
上述の混練機中で顔料と低分子量樹脂を混合混練し、次
いでシラン化合物を加えて混練する方法、或いは上述の
混練機に三者を同時に加え、溶融混練してしまう方法な
どを挙げることができる。
【0019】いずれにしても溶融混練で磨砕処理するに
は、顔料100 重量部に対して、低分子量樹脂が10重量部
以上必要であり、効率よく練るには40重量部以上が望ま
しい。多過ぎると顔料濃度が低下し、着色剤としては適
当でないので、200 重量部以下がてきとうであり、100
重量部以下が好ましい。
【0020】又、水酸基を有する低分子量樹脂以外に適
宜、その他の低分子量樹脂を加え増量し混練加工性を向
上させることもできる。希釈増量用低分子量樹脂には水
酸基を有する低分子量樹脂と同様、熱可塑性樹脂一般に
わたって分子量1千から数万までの物が使用できる。通
常用いられるオレフィン系樹脂は三井石油化学(株)の
三井ハイワックス(商品名)や、三洋化成工業(株)の
サンワックス(商品名)、アライドケミカル社のAーC
ポリエチレンワックス(商品名)、バーディシェ社のル
ワックス(商品名)などを上げることができる。
【0021】本発明で用いられる顔料はプラスチック加
工分野で公知のものであり、酸化チタン、酸化亜鉛、弁
柄、チタニウムオキサイド系焼成顔料、群青、アルミン
酸コバルト、カーボンブラックなどの無機顔料とアゾ
系、キナクリドン系、ペリレン系、アンスラキノン系、
フタロシアニン系、キノフタロン系、イソインドリノン
系、スレン系、ジケトピロロピロール系などの有機顔料
と硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルクなどの体質顔
料である。
【0022】本発明の着色剤組成物は、その使用目的に
よって、溶融混練磨砕処理物を更に微粉砕した粉末状着
色剤、或は熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性樹脂で
更に溶融混練して得られる粒状着色剤いずれの形態にも
でき、通常、これらの着色組成物は熱可塑性エラストマ
ー100 重量部に対し、0.1 重量部から20重量部の添加率
で加えられる。
【0023】本発明の熱可塑性エラストマー用着色組成
物の主要構成成分とその製法は上記の通りであるが、プ
レートアウト防止以外の用途適性や成形加工性の改善の
ために熱安定剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤或は充填剤
などを必要に応じて加えることができる。
【0024】本発明で着色対象となる熱可塑性エラスト
マーは、分子中にゴム弾性を有する柔軟性成分(軟質
相)と塑性変形防止の分子拘束成分(硬質相)を有する
熱可塑性ポリマーであれば良い。
【0025】具体的な市販品としてその商品名を挙げる
と、例えばポリスチレンを硬質相とし、ポリブタジエン
またはポリイソプレンあるいは水素添加ポリブタジエン
などを軟質相とした、シェルケミカル社のKraton、旭化
成工業(株)のタフプレンあるいは日本合成ゴム(株)
のJSR TRのようなスチレン系エラストマー:ポリ
エチレンあるいはポリプロピレンを硬質相としエチレン
プロピレンラバー、エチレン−プロピレンターポリマー
などを軟質相とした三井石油化学工業(株)のミラスト
マー、住友化学工業(株)の住友TPEあるいは三菱モ
ンサント化成(株)のSantprene N のようなオレフィン
系エラストマー:ポリウレタンを硬質相としポリエーテ
ルあるいはポリエステルを軟質相とした大日本インキ化
学工業(株)のパンデックスのようなウレタン系エラス
トマー:ポリエステルを硬質相としポリエーテルを軟質
相としたデュポンジャパンリミテッドのハイトレルの様
なエステル系エラストマー:ポリアミドを硬質相としポ
リエステルあるいはポリエーテルを軟質相とするアミド
系エラストマー:結晶性ポリエチレンを硬質相としエチ
レン−酢酸ビニルコポリマーあるいはエチレン−エチル
アクリレートコポリマーを軟質相とするエラストマーな
どを挙げることができる。
【0026】通常は熱可塑性エラストマー組成物を得る
際、これら熱可塑性エラストマーの加工性改善や用途適
性改善のため、エラストマーの基本構造に類似するポリ
マーとか、ブリードやブルーム、耐熱性、耐候性などを
考慮して鉱油、可塑剤、熱安定剤、光安定剤などが成形
加工段階で更に加えられる。
【0027】本発明の着色組成物は何等このような配合
でもプレートアウト防止効果が損なわれることはない
が、熱可塑性エラストマーの中で特に顕著な効果を示す
のがオレフィン系エラストマーである。
【0028】
【実施例】次に本発明を実施例、比較例を挙げて具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されず幅広
い応用範囲を持つものである。なお、実施例、比較例に
おける部及び%表示はすべて重量基準である。
【0029】実施例1、2と比較例1〜5 フタロシアニンブルー(β型)50部と表1記載の水酸基
含有低分子量ポリオレフィン0〜50部と低分子量ポリエ
チレン50〜0部とを小型ミキサーで混合し、続いて、予
めイソプロピルアルコールで50%希釈の表1記載のイソ
シアナトアルコキシシラン化合物10〜20部を更に少量ず
つ添加しながら混合して合計100〜120部の混合物を得
た。
【0030】次に、混合物をミキサーより取り出し、常
温にて外気に曝して6時間静置した後、110〜120℃に加
熱した小型三本ロールミルにて細かいフレーク状の混練
物に加工した。
【0031】得られた混練物は顔料濃度が20%となるよ
うに低密度ポリエチレン(MFR=7)52〜60部に対し
40〜48部加え小型ミキサーで混合したのち、160 ℃に温
度設定された30mmφ2軸押出機で溶融混練して、ペレッ
ト状着色剤に賦型した。
【0032】プレートアウトの発生を確認するため、賦
型されたペレット状着色剤をオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー(三井石油化学(株)製ミラストマー5030N)1
00部に対し4部加え、180 ℃に加熱した6インチ二本ロ
ールにてロール回転数24rpm、ロール間隔0.6 mmの条件
で5分間良く混練した後ロールから混練物を取り除い
た。
【0033】プレートアウトの発生は混練物を取り除い
た後のロール表面の汚染状態を観察するとともに、混練
物と等量の硬質ポリ塩化ビニルコンパウンド(PVC重
合度1050、安定剤5%含有)を続いて5分間良く混練し
て得られるポリ塩化ビニルシートの着色状態を観察する
ことから判定した。
【0034】表1に記載されているように、顔料に本発
明の水酸基含有低分子量ポリオレフィンとイソシアナト
アルコキシシラン化合物とを顔料に加え加熱溶融混練し
た組成物は、顔料のプレートアウトが無い。
【0035】
【表1】
【0036】表1中の配合成分名は以下の通り。配合組
成は重量部。 添加剤名 ・イソシアナトアルコキシシラン化合物(50%IPA希
釈) A:γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン KBE−9007(信越化学工業(株)製) B:γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン KBE−9207(信越化学工業(株)製) ・低分子量ポリオレフィン C:水酸基含有型(分子量2000〜3000、水酸基
価37〜53mgKOH/gr) ポリテールH(三菱化成(株)製) D:水酸基含有型(分子量40000、水酸基価26m
g KOH/gr) ユーメックス1201H(三洋化成(株)製) E:無変性(分子量6400) ハイワックスNL800(三井石油化学(株)製)
【0037】表1中の評価基準は次の通りである。 プレートアウト防止効果 5:ロール表面に汚染を全く認めず、ポリ塩化ビニルシ
ートが着色しない。 4:ロール表面の汚染は認め難く、ポリ塩化ビニルシー
トの着色もそれ単独では認め難いが、無着色シートと付
き合わせると着色を認める。 3:ロール表面の汚染が認められ、ポリ塩化ビニルシー
トが着色する。 2:ロール表面全体が汚染され、ポリ塩化ビニルシート
がかなり着色する。 1:ロール表面全体が色濃く汚染されポリ塩化ビニルシ
ートが著しく着色する。
【0038】実施例3、4と比較例6〜11 顔料をキナクリドンレッド(ジメチル型)10部とチタン
イエロー(Cr-Sb-Ti酸化物)10部及び酸化チタン(ルチ
ル型)30部の混合物50部とし、アルコキシシラン化合物
としてイソシアナトアルコキシシラン化合物を含む各種
アルコキシシラン化合物のイソプロピルアルコール50%
希釈液を用いた以外、実施例1〜4と比較例1〜3に記
載された方法と同様の方法で、顔料のプレートアウトの
発生状況を観察した。
【0039】表2に実施例と比較例の組成比とプレート
アウト評価結果を記載してあるが、表に記載されている
ように水酸基含有低分子量ポリオレフィンとイソシアナ
トアルコキシシラン化合物と併用した以外は白っぽい赤
紫色の顔料のプレートアウト物が加熱2本ロール表面に
発生し、プレートアウト防止効果を示さなかった。
【0040】
【表2】
【0041】表2中の配合成分名は以下の通り。配合組
成は重量部。 添加剤名 ・アルコキシシラン化合物(50%IPA希釈) A:表1と同じ。 G:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン NUC Aー1100(信越化学工業(株)製) H:γ−クロロプロピルトリメトキシシラン TSL−8320(東芝シリコーン(株)製) I:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン TSL−8350(東芝シリコーン(株)製) J:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン TSL−8370(東芝シリコーン(株)製) K:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン TSL−8380(東芝シリコーン(株)製) ・低分子量ポリオレフィン D:表1と同じ。 E:表1と同じ。 F:水酸基含有型(分子量20000、水酸基価46m
g KOH/gr) ユーメックス1210(三洋化成(株)製)
【0042】実施例5と比較例12 表3に記載してあるイソシアナトアルコキシシラン化合
物を50%含むイソプロピルアルコール溶液を水酸基含有
型低分子量ポリオレフィン100〜80 部に対し、0〜20部
加え小型ミキサーで混合する。
【0043】次に、この混合物50部に、顔料として酸化
チタン(ルチル型)10部、カーボンブラック(ファーネ
ス型)5部、フタロシアニンブルー(モノクロルα型)
35部を加え、120〜130℃に加熱した小型ニーダーにて15
分間溶融混練し、続いて水冷却をしながら溶融物の固化
粉砕を行なった。
【0044】得られた粉砕物は、顔料濃度が15%となる
ように28.5〜30部をポリプロピレン(ホモ、MFR=
9)71.5〜70部に加え小型ミキサーで混合したのち、20
0 ℃に温度設定された30mmφ2軸押出機で溶融混練して
ペレット状着色剤に賦型した。
【0045】プレートアウトの発生を観察するため、得
られたペレット状着色剤をオレフィン系熱可塑性エラス
トマー(三井石油化学(株)製ミラストマー8030N)80
部と低密度ポリエチレン(MFR=7)20部に加え混合
した後、20mmφTダイ押出機で200℃の設定温度で、ス
クリュ回転数45rpmにてシートを60分間押し出した。
【0046】更に、低密度ポリエチレン(MFR=7)
を洗浄剤として5分間押し出した後、ダイス部分を分解
してダイス内壁の着色物付着の状態を調べた。表3に記
載されているように、イソシアナトアルコキシシラン化
合物と酸化型低分子量ポリオレフィンとで処理された顔
料組成物には青白い付着物の発生が殆ど無かった。
【0047】
【表3】
【0048】表3中の配合成分名は以下の通り。配合組
成は重量部。 添加剤名 ・イソシアナトアルコキシシラン化合物(50%IPA希
釈) A:表1と同じ。 ・低分子量ポリオレフィン E:表1と同じ。 F:表2と同じ。
【0049】表3中の評価基準は次の通りである。 プレートアウト防止効果 5:着色物の付着が無い。 4:着色物が一箇所に僅かに付着している。 3:着色物が一箇所に明瞭に付着している。 2:着色物が所々に付着している。 1:着色物が全面に付着している。
【0050】
【発明の効果】顔料に水酸基を有する低分子量熱可塑性
樹脂とイソシアナトアルコキシシラン化合物とを混練磨
砕処理して作ることを特徴とする着色組成物を用いるこ
とによって、熱可塑性エラストマー組成物の成形時にお
ける成形装置への汚染物のプレートアウトを防止でき
る。
【0051】これにより押出成形、射出成形、カレンダ
ー成形の加工性が良好となり、外観に優れた成形物を得
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料と、分子末端に水酸基を有する低分
    子量熱可塑性樹脂と、一般式 【化1】 (式中、Xは、炭素数が1〜4のアルコキシ基、Rは、
    炭素数1〜5の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基であ
    り、n=1、2または3である。)で表わされるイソシ
    アナトアルコキシシラン化合物とからなる熱可塑性エラ
    ストマー用着色剤組成物。
  2. 【請求項2】 分子末端に水酸基を有する低分子量熱可
    塑性樹脂が、ポリヒドロキシポリオレフィンである請求
    1記載の熱可塑性エラストマー用着色剤組成物。
  3. 【請求項3】 イソシアナトアルコキシシラン化合物
    使用割合が、顔料100重量部に対して0.1〜50重
    量部の範囲にある請求項1または2記載の熱可塑性エラ
    ストマー用着色剤組成物。
  4. 【請求項4】 低分子量熱可塑性樹脂の使用割合が、顔
    料100重量部に対して10〜200重量部の範囲に
    る請求項1、2または3記載の熱可塑性エラストマー用
    着色剤組成物。
  5. 【請求項5】 一般式 【化2】 (式中、Xは、炭素数が1〜4のアルコキシ基、Rは、
    炭素数1〜5の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基であ
    り、n=1、2または3である。)で表わされるイソシ
    アナトアルコシシラン化合物を用いて顔料を表面処理し
    た後、分子末端に水酸基を有する低分子量熱可塑性樹脂
    の加熱溶融体と混練磨砕処理 することを特徴とする熱可
    塑性エラストマー用着色剤組成物の製法。
  6. 【請求項6】 分子末端に水酸基を有する低分子量熱可
    塑性樹脂が、ポリヒドロキシポリオレフィンである請求
    5記載の熱可塑性エラストマー用着色剤組成物の製
    法。
  7. 【請求項7】 イソシアナトアルコキシシラン化合物の
    使用割合が、顔料100重量部に対して0.1〜50重
    量部の範囲にある請求項5または6記載の熱可塑性エラ
    ストマー用着色剤組成物の製法。
  8. 【請求項8】 低分子量熱可塑性樹脂の使用割合が、顔
    料100重量部に対して10〜200重量部の範囲にあ
    る請求項5、6または7記載の熱可塑性エラストマー用
    着色剤組成物の製法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜4のいずれか1項記載の着色
    剤組成物を、熱可塑性エラストマー中に含有させて成る
    ことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  10. 【請求項10】 熱可塑性エラストマーが、分子中にゴ
    ム弾性を有する柔軟性成分(軟質相)と塑性変形防止の
    分子拘束成分(硬質相)を有する熱可塑性ポリマーであ
    る請求項記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  11. 【請求項11】 熱可塑性エラストマーがポリオレフィ
    ン系エラストマーである請求項9または10記載の熱可
    塑性エラストマー組成物。
  12. 【請求項12】 射出成形、押出成形あるいはカレンダ
    ー成形に供される成形材料である請求項9、10または
    11記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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