JP3414676B2 - 変性シリカ被覆顔料、その製法およびそれを含有する組成物 - Google Patents

変性シリカ被覆顔料、その製法およびそれを含有する組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は顔料粒子の表面被覆によ
る改質およびその応用分野に関する。
【0002】
【従来の技術】顔料粒子等の表面被覆による改質は従来
多々提案され、粒子の分散安定性、光学特性、化学特
性、流動特性等が、種々の被覆方法により改良できるよ
うになってきた。例えば、無機顔料のエナメル中での沈
降や凝集を防止するために、無機顔料をあらかじめフル
オロアルキル基含有低分子物質(特開平4−20821
3)や酸化ポリエチレン(特開平5−132413)で
表面被覆しておくことが提案がある。しかし、無機や有
機の顔料は比重が大きいため安定な分散が難しいことは
周知の通りであり、インキでは顔料を諦めてポリマ微小
球の染料染色物を着色剤とすることで色素の安定分散を
確保する(特公平6−13657)との提案すら存在す
る。化粧料では、配合される微細な紫外線吸収剤が凝集
して紫外線吸収性と可視光線透過性が悪化するのを防止
するため、微細な紫外線吸収剤をあらかじめ樹脂でくる
んだ球状樹脂粉体としておくこと、またそうすることに
より紫外線吸収剤による皮膚刺激や併存する他成分の化
学的変質を防止するとともに、化粧に際して紫外線吸収
剤によるざらつく感触がなくなり使用感が向上する(特
開平8−53568)ことも示されている。顔料の用途
や表面処理法に関して、上記の例を含む膨大な数の改質
提案があるにも拘わらず、未だ万全の改良策はなく、顔
料の分散安定性や流動時性その他、とくに化粧料におい
て化粧時の触感をはじめとする使用感等々の改良要求に
は根強いものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】顔料粒子の諸特性とく
に、流動性や触感をはじめとする使用感等を改良するこ
と。
【0004】
【課題を解決する手段】顔料粒子の諸特性の改良を、表
面被覆の工夫で達成することを期する。とくに本発明者
らは、酸化亜鉛の微粒子をシリカ被覆することで、酸化
亜鉛の紫外線吸収能を保ちつつ、酸化亜鉛の光化学触媒
作用による媒質の変性防止の可能なことをみいだし、特
願平9−370480号として提案した。さらに、シリ
カ被覆の最外層をアルキル変性シリカとすることで、上
記の効果に追加して、当該顔料を含有する組成物の流動
性や触感が向上することみいだし、特願平11−123
468号として提案した。この種改良方法を、既に前記
出願で提案済みの、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウ
ム、および酸化ジルコニウムを対象とする場合以外の、
その他の無機顔料および有機顔料について試みることに
した。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0005】本発明において対象とする顔料は、酸化亜
鉛、酸化チタン、酸化セリウム、および酸化ジルコニウ
ムを除く無機および有機の顔料である。顔料は通常微細
な一次粒子かその凝集体である二次粒子、あるいはそれ
らがさらに凝集した粗大粒子を含む粉体で、使用時顔料
の接触する液媒体に不溶性かつ非反応性である。本発明
での顔料は、その粉体構成に関わらず、通常着色剤とし
て使用される粒度の顔料を対象とし、色調は問わない。
【0006】本発明で実施可能な顔料は、ベンガラ等の
各種の酸化鉄、蛍光物質である希土類酸化物、黄鉛、ア
ルミナ等で例示される金属酸化物で、酸化亜鉛、酸化チ
タン、酸化セリウム、および酸化ジルコニウム以外であ
る金属酸化物系の顔料、チタン黒、チタンイエロー、群
青、コバルトブルー等で例示される金属化合物顔料、カ
ーボンブラック、また、フタロシアニン系、スレン系、
アゾ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、アンスラキ
ノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、アゾメチン系、
ペリレン系、ペリノン系、イソインドリノン系等の有機
顔料やレーキ化した染料等、さらに、無機や有機の鱗片
状のパール顔料等である。より具体的には顔料便覧や化
粧品・製剤原料ハンドブック等当該技術分野の便覧類に
記載されている化合物である。
【0007】顔料使用に当たって問題点として挙げられ
るのは、顔料の均一分散と長期にわたって沈降や凝集の
起こらない分散の安定性である。均一な分散のために顔
料の粉砕や混練の機械エネルギを多く要するし、均一で
安定な分散のために分散剤の併用を余儀なくされるため
系の粘性やその他の特性が変化し余分な調整が必要とな
るといった問題点がある。あらかじめシリカで表面被覆
した顔料は、均一で安定な分散をすることが容易になる
し、顔料の直接接触による皮膚刺激や色移りの問題は解
決するが、親油性媒体中や親油性媒体と親水性媒体の併
存する媒体中では親水性媒体中と異なり流動性の低下や
ざらざらした触感が顕著になり不満足である。化粧品の
固形ファンデーションに配合した場合もざらざらした触
感があり、のびが悪いので不満足である。これらの問題
点を解決すべく検討した結果、シリカで表面被覆した顔
料をさらにアルキル変性シリカで被覆することにより問
題点を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】以上のことから本発明の特徴のひとつは、
当該顔料粒子が内層をシリカ被覆、外層をアルキル変性
シリカ被覆の2層によって表面被覆されていることであ
る。このような被覆は、例えば、顔料粒子が分散してい
る液状媒体中でテトラアルコキシシランのゾル−ゲル反
応を行ってシリカ層を形成し、ついでアルキル変性アル
コキシシランのゾル−ゲル反応を行うことによってアル
キル変性シリカ層を形成することで実現可能である。被
覆量はシリカ層とアルキル変性シリカ層が重量比で20
〜80:80〜20の割合で、もとの顔料粒子の5重量
%以上100重量%以下の範囲であれば、本発明の目的
を達成できる。被覆量が少ないと効果がより少なくなる
し、被覆量が過大では効果が飽和して無意味である。種
々の用途で確実に本発明の目的を達成するには、被覆量
が20重量%以上60重量%以下の範囲が好適である。
シリカ層とアルキル変性シリカ層は、その効果に相異な
る部分があるので、上記範囲内で用途に応じてその割合
を選べばよい。なお、同様にして内外層の被覆が上記と
逆の場合、すなわち、内層がアルキル変性シリカ被覆、
外層がシリカ被覆の2層によって表面被覆された顔料も
実現可能であるが、この逆転被覆顔料は流動性や触感に
おいて劣り好ましくない。
【0009】本発明の被覆粒子を製造する方法のひとつ
として、ゾル−ゲル反応の応用が可能である。ゾル−ゲ
ル反応はその出発原料の種類や反応方法の工夫で種々の
製品を生み出すことが可能である。それらの基本原理や
応用例は、作花済夫著「ゾル−ゲル法の科学」(198
8年7月5日刊行、アグネ承風社発行)に総括的に記さ
れている。本発明で応用するアルコキシシランのゾル−
ゲル反応は、水の存在する液状媒体中、アルコキシシラ
ンが加水分解してSi−OH基が生成するとともに、そ
れが縮合してSi−O−Si基を形成するものである。
本発明の内層被覆形成において、テトラアルコキシシラ
ンを出発原料とするので、縮合反応の中間段階において
反応物はゾル状となり、さらに縮合が進むとSi−O−
Si基の分率が増して固体ゲルすなわちシリカになる。
ゾル状態において、系中に粉体粒子が併存すると、その
表面特性やゾル−ゲル反応の進行速度が適当な場合に、
ゾルは粉体粒子表面に吸着し、そこでゲル化が進行す
る。ゾルの粉体粒子表面への吸着が起こらなければ、粒
子の表面被覆はできないし、ゲル化反応が速すぎてゲル
が吸着する過程が実現できない場合も表面被覆は実質的
に不可能である。本発明において顔料粒子の表面は、幸
いなことにゾルを吸着しゲルが沈積するのに適してい
る。従って、顔料粒子の分散状態とゾル−ゲル反応の速
度を適正に選ぶことができれば、本発明の目的を達成す
ることが可能になる。(化1)で表されるアルキル変性
アルコキシシランもアルキル基R'の数xが2未満の場
合は上記と同様の過程をたどり、アルキル変性シリカを
形成する。
【0010】本発明の製造方法で外層被覆の出発物質と
して使用されるアルキル変性アルコキシシランは、下記
一般式で表される化合物である。
【0011】
【化1】 R'XSi(OR)4-X :ただし、RとR'は同
一あるいは異なるC1〜3アルキルである。
【0012】上式の化合物において、xは1であるが、
これにxが2である化合物が混合していて全体の平均値
が2未満である場合を含む。また一部またはすべてがそ
れらの低重合体である場合も含む。RやR'がより高級
のアルキルである場合は前項同様の理由で不適当であ
る。なお、R'が各種のパーフルオロ基である場合も実
施可能であるが、本発明の目的からは経済性に不利であ
るし過剰品質に相当する。
【0013】本発明の製造方法で内層被覆の出発物質と
して使用されるテトラアルコキシシランは、下記一般式
で表される化合物である。
【0014】
【化2】Si(OR):ただし、RはC1〜3アルキルで
ある。
【0015】上式のRはメチル、エチル、プロピル、イ
ソプロピルであるが、これがより高級のアルキルの場合
でも実施可能であるが反応性が低くなり不適である。上
式で規定されるテトラアルコキシシランは、その低重合
体を含有していても、またすべてが低重合体であっても
良い。RがC1〜3アルキルのいずれでも良いが、強いて
いえば反応速度が中庸で被覆がより均一に行えるよう制
御し易いエチルの場合、すなわち、テトラエトキシシラ
ンが好適である。しかし、C1〜3アルキルに際だった差
があるのではない。
【0016】本発明では、顔料粒子の被覆方法としてゾ
ル−ゲル反応を応用するが、出発物質であるテトラアル
コキシシランやアルキル変性アルコキシシランを溶解し
て均一な被覆が可能なように、反応媒体として水と水溶
性有機溶剤の混合物を使用する。一方、顔料粒子は不溶
性であるため、これは良好な分散状態に保たなければ均
一な被覆ができないし、多数の顔料粒子が凝集した粗大
粒子を被覆しても粉体としての適性に欠ける。顔料粒子
は使用前には凝集した粗大な粒子を多く含むので、これ
を分散剤存在下にゾル−ゲル反応媒体として使用可能な
媒体中にて粉砕して分散させる必要がある。ゾル−ゲル
反応の進行に伴い顔料粒子は被覆されつつゾル−ゲル反
応による不可避的な結合も起こるので、反応に供する粒
子は着色剤として使用される時よりも小さい粒径で分散
していることが好ましい。分散剤は少なくともゾル−ゲ
ル反応終了までは、前記不可避的な結合以外の顔料粒子
自体の凝集や沈降を起こさない分散能力を有するもので
なければならない。しかもゾル−ゲル反応を過度に加速
したり抑制したりすることのない物質であることが必要
である。分散剤がこのような性能を満たすとき、被覆粒
子は所望の表面被覆顔料粒子となりうるのである。
【0017】上述の観点から本発明に有効な分散剤を探
索したところ、アクリル酸および/またはメタアクリル
酸を共重合したアクリル系重合体のアルカノールアミン
塩、N−ビニルピロリドン−N,N−ジアルキルアミノ
アルキルアクリレート共重合体、N−ビニルピロリドン
−N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート共重
合体のジアルキル硫酸塩、N−ビニルピロリドン酢酸ビ
ニル共重合体、ポリビニルブチラール、メチルビニルエ
ーテル−ジアルキルマレエート共重合体からなる群から
選ばれた高分子分散剤の1種または1種以上が有効であ
ることを見出した。酸性やアルカリ性の強い物質はゾル
−ゲル反応を過度に加速したり完結させない等のため不
適当であるし、中性でも本発明の系ではポリビニルアル
コールやエチルセルロースは分散力が発揮できない。界
面活性剤として知られ分散力もありそうな化合物、例え
ば、ポリオキシエチレンの各種誘導体では、有効な物質
を見出せなかった。分散剤は被覆対象顔料の種類や分散
媒体である被覆反応媒体の組成により異なるが、顔料粉
体の重量に対して大略、0.05重量%以上100重量
%以下の範囲で使用すれば目的を達成しうる。無機系顔
料では2.0重量%以上20重量%以下の範囲が、有機
系顔料の場合は0.1重量%以上100重量%以下の範
囲が好適である。被覆反応に供する顔料粉体の分散に当
たっては、当該分野で公知の湿式分散法が適用できる。
【0018】前項の分散剤探求の過程で判明したことで
あるが、本発明の方法では反応媒体として水と水溶性有
機溶剤の混合物を使用するが、水溶性有機溶剤としてメ
タノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低
級脂肪族1価アルコールが分散剤の分散能力を十分に発
揮させ、しかも被覆粒子の粒度や触感が良好なので好ま
しい溶剤である。テトラヒドロフランや脂肪族ケトン類
等の水溶性有機溶剤も使用可能であるが、前記アルコー
ルの場合に比較して分散力が弱く被覆粒子の性状も劣
る。よって、本発明の方法の特徴は、特定の分散剤の使
用と水溶性有機溶剤との組合せにある。水の使用量は、
被覆反応に用いるアルコキシシラン類のすべてのアルコ
キシ基を加水分解するのに要する量以上が必須で、分散
剤存在下に水溶性有機溶剤と相俟って顔料粒子の適度な
分散状態を確保し、円滑な反応が進行するような量を使
用する。概していえば加水分解に必要な理論量の1.5
倍から15倍重量の範囲が適当である。水溶性有機溶剤
の使用量は、分散剤存在下に水と相俟って顔料粒子の適
度な分散状態を確保し、円滑な反応が進行するような量
で、概していえば顔料粒子に対して1.0倍から15倍
重量の範囲で使用する。しかし、水と水溶性有機溶剤の
合計使用量は顔料粉体の3倍から20重量倍の範囲内が
好ましい。これら使用する水や水溶性有機溶剤の一部を
選んで前記の分散媒体とすることが可能である。
【0019】本発明の方法におけるゾル−ゲル反応では
触媒を使用する。反応触媒として各種の酸や塩基が知ら
れている。しかし、塩酸や酢酸のごとき酸触媒では粉体
粒子の表面被覆は可能であるが、緻密で均一な被覆がで
きないため不適当であるし、原料アルコキシシランの反
応率の到達度が不十分であり、しかも外層被覆のアルキ
ル変性アルコキシシランのゾル−ゲル反応においては反
応促進効果も低くて被覆処理の経済性に難点がある。塩
基性触媒でも水酸化カリウムやアンモニアのごとき塩基
では、触媒活性が高すぎて、ゾル−ゲル反応の中間物質
であるゾルの多くが顔料粒子を被覆する以前にそれ自体
でゲル化してしまい、生成物は期待よりも被覆量の少な
い被覆粉体とシリカや変性シリカのゲルの混合物となり
不適当である。脂肪族アミン類はアンモニアの場合程顕
著ではないが、ゾル自体のゲル化が起こり、原料アルコ
キシシランの表面被覆への転化率が悪い。これら塩基性
触媒の濃度を低くして転化率の改善を試みたが、満足す
べき改善は達成できず、反応速度の低下が目立つのみで
あった。このような難点を回避できる触媒を探索した結
果、本発明の表面被覆方法においては、下記一般式で表
されるアルカノールアミン類が有効適切な触媒であるこ
とを見出した。
【0020】
【化3】R3-XN(R'OH)X:ただし、Rは水素かアル
キル、R'はアルキレン、xは1,2,3のいずれかで
ある。
【0021】本発明の方法では、水と水溶性有機溶剤と
くに低級脂肪族アルコールとの混合液を反応媒体とする
ので、アルカノールアミンは反応媒体に均一溶解し、か
つ適度の触媒活性を有するものを選んで使用する。反応
媒体における水と水溶性有機溶剤の混合比や上式中のx
の値により異なるが、上式のアルキルやアルキレンが炭
素数4以上になると、溶解性も触媒活性も低下するので
不適当である。したがって、Rは水素か炭素数1〜3の
アルキル、R'は炭素数1〜3のアルキレンの中から選
んで使用するのがよい。xの値が1,2,3、すなわ
ち、モノ−、ジ−、トリアルカノールアミンのいずれの
場合も実施可能であり、それらの反応加速性に差違があ
るものの使用量の選択で本発明の目的とする被覆ができ
る。すなわち、制御可能で適度に速やかなゾル−ゲル反
応が進行し、ゾルの全量が顔料粒子表面の被覆ゲルとな
しうるのである。また、これら触媒は内層被覆にも外層
被覆にも、ともに有効であり、両過程に共通して使用す
ることが可能である。これらの点が先述の水酸化カリウ
ムやアンモニアあるいは脂肪族アミン類のごとき塩基の
場合との大いなる相違点であった。
【0022】本発明の方法におけるゾル−ゲル反応の触
媒として好適に使用可能なアルカノールアミンとして、
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメ
チルジエタノールアミン、ジエチルモノエタノールアミ
ン、モノエチルジエタノールアミン、モノプロパノール
アミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミ
ン、ジメチルモノプロパノールアミン、モノエチルジプ
ロパノールアミン等々がその例として挙げられ、とくに
ジエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、
モノエチルジエタノールアミン等は触感の優れた被覆粉
体がえられるので好適である。触媒の使用量は、被覆反
応の制御のしやすさや生成した被覆粉体の触感等々の観
点から使用するアルコキシシラン類全体の重量に対して
5重量%以上30重量%以下の範囲であるのが好まし
く、10重量%以上25重量%以下の範囲はとくに好適
である。
【0023】本発明における顔料粒子の内層被覆に際し
ては、先ず水と水溶性有機溶剤の混合液の一部に顔料粒
子と分散剤を添加し、公知の方法を適用して顔料粒子を
適度の粒度にまで粉砕しつつ分散させることで、顔料粒
子の分散液を調製する。分散媒体の液はゾル−ゲル反応
の媒体と同一組成割合であるのが便利であるが、必ずし
もその必要はなく分散に適した組成割合でも良い。反応
容器の水と水溶性有機溶剤の混合液にテトラアルコキシ
シランと顔料粒子の分散液を攪拌下に添加し混合する。
触媒を添加し攪拌を続けるとテトラアルコキシシランの
加水分解と縮合が進み、ゾルの生成とともに系の粘度が
上昇する。ここに至るまでの段階では反応温度を10〜
30℃の常温とすることが好ましい。被覆に関与しない
ゲルの生成を避けるためである。顔料粒子の分散液は当
初ではなくゾル生成の段階で添加してもよい。ついでゲ
ル化反応加速のために昇温し60〜90℃での還流加熱
を続けると反応中間体は顔料粒子表面に沈積しつつゲル
化反応が進行し、系の粘度が低下する。かくして内層被
覆の終了した反応系にそのままアルキル変性アルコキシ
シランを添加すると、アルキル変性アルコキシシランの
加水分解と縮合が起こり、ゲルの形成を経て顔料粒子の
被覆内層表面上に沈積しつつゲル化反応が進行して外層
被覆反応が終了する。外層被覆反応の前半は常温で行う
内層被覆の前半と異なり常温以上の温度でも可能であ
る。反応生成物を濾別し、水と水溶性有機溶剤の混合液
やそれらの単体で残留の触媒や分散剤を洗滌し、120
〜160℃程度の加熱乾燥を行い、ついでピンミルやア
トマイザ等の装置を用いて軽く粉砕すると本発明の目的
とする被覆粉体が得られる。被覆粉体でのアルコキシシ
ラン類の反応収量は、それらがシリカや変性シリカに転
化したとする計算値とほぼ一致する。おそらく、未反応
端である−OHや−OR基の存在や残留分散剤の痕跡量
の寄与であろうが、多くの場合収量は計算値の0〜4%
過剰量である。これらを高温の焼成にて低減することも
想定されるが、そのような温度では外層の変性シリカの
変質が避けられないので、焼成の必要はない。
【0024】本発明の被覆粒子の特徴は、本発明の2層
被覆顔料粒子を媒体中に分散させるときに、単純な単層
被覆の場合よりも、より容易に均一分散が達成できるこ
とと、分散媒体が液状で分散後も液状である場合に均一
分散がより長期にわたって安定に維持されること、流動
性に優れること、また液状あるいは粉状化粧料において
化粧料ののびが良い、被覆粒子によるざらざら感がない
等の良好な触感や使用感がえられること、化粧料中の顔
料濃度を高くすることが可能であること、衣服や皮膚に
ついた顔料は容易に脱落させうること等において顕著に
現れる。
【0025】本発明の被覆顔料粉体は、流動性媒体への
分散が容易であり、配合物が液状であるときに流動性に
優れているので、その特性を活用するため、前記化粧料
への適用をはじめ、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン
樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹
脂、メラミン樹脂やそれらの共重合体樹脂で例示される
各種樹脂成型品への適用や、それらの樹脂または低重合
度品を用いる塗料や接着剤への適用が可能であり、しか
もそれらが染料、本発明以外の顔料、紫外線吸収剤およ
び可塑剤等の添加剤を含有する場合も適用可能である。
【0026】以下に実施例を挙げて本発明の詳細をより
具体的に説明する。実施例や比較例における部はすべて
重量部である。被覆粉体の粒径は、粉体を流動パラフィ
ンに分散しレーザ回折式粒度分布測定装置にて測定し
た。分散安定性の評価は、疎水性液体に粉体を分散して
透明容器に密閉し、常温で静置して時間とともに粉体の
沈降が起こるか否かを目視判定する常温分散安定性試験
と、50℃の恒温乾燥器内に1日静置したのち常温に1
日静置の繰返しサイクルを継続して沈降の有無を目視判
定する加速分散安定性試験によった。
【0027】
【実施例1】 酸化第一鉄(ベンガラ)の凝集粉体24
0.0部を、分散剤であるアクリル酸変性アクリル樹脂
のイソプロパノールアミン塩(中和度75%)の40.
0%エタノール溶液96.0部、および媒体であるイソ
プロパノールと水の等重量混合液464.0部とともに
ビーズミルに仕込み、粉砕しながら分散させた。液の滴
下装置、還流冷却器、攪拌器、および外部加熱装置を有
する反応器に、テトラエトキシシラン177部とイソプ
ロパノール140部を仕込み、室温攪拌下に前記ベンガ
ラの分散液の400部を、10分間かけて滴下し、暫く
攪拌を続けて均一な分散液とした。ついで、ジエタノー
ルアミン36部と水200部からなる触媒液を室温攪拌
下に30分間かけて滴下し、さらに40分攪拌を続ける
間に系の粘度が上昇しシランのゾル化が進行した。外部
加熱により反応温度を高めて80℃に保った。30分の
間にゾルがベンガラ粒子に吸着しつつゲル化し系の粘度
が低下した。モノメチルトリメトキシシラン33.0部
とイソプロパノール20部からなる反応試剤を添加し、
80℃にて60分間攪拌を継続すると、系の粘度が途中
で高まった後再度低下したので反応を終了した。反応物
は冷却後濾別し、水洗して溶媒、分散剤、触媒を取り除
いた。120℃での乾燥後被覆粉体の収量は188.0
部であった。これはシラン類の全量がシリカおよびメチ
ル変性シリカに転化してベンガラを被覆したと仮定した
ときの重量186.3部に実質的に等しい。したがっ
て、計算上被覆粉体の組成は、ベンガラ64.5重量
%、シリカ27.0重量%、メチル変性シリカ8.5重
量%で、被覆層の割合は35.5重量%である。得られ
た被覆粉体を衝撃式粉砕機を使用して20秒間粉砕し
た。粉砕後の被覆粉体粒径は0.05から3μmの間に
分布し、平均粒径は0.5μmであった。
【0028】
【比較例1】 実施例1と同様に、ただしモノメチルト
リメトキシシランでの外層被覆をせず、内層被覆反応の
みテトラエトキシシランを増量してゾル−ゲル反応を行
った。被覆は定量的であり、ベンガラ65.0重量%、
シリカ35.0重量%のシリカ被覆ベンガラをえた。粉
砕後の粒度と粒度分布も実施例1の場合と同等であっ
た。
【0029】
【比較例2】 実施例1と同様に、ただしテトラエトキ
シシランでの内層被覆をせずに、内層被覆の反応条件で
モノメチルトリメトキシシランを増量してゾル−ゲル反
応を行った。被覆は定量的であり、ベンガラ66.0重
量%、メチル変性シリカ34.0重量%のメチル変性シ
リカ被覆ベンガラをえた。粉砕後の粒度と粒度分布も実
施例1の場合と同等であった。
【0030】
【実施例2】 実施例1でえられた粉砕済み被覆ベンガ
ラ粉体を水面上に散布すると沈降することなく浮遊し
た。1週間後も浮遊したままであった。
【0031】
【比較例3】 実施例2と比較のために、比較例1でえ
られた粉砕済みのシリカ単独被覆ベンガラ粉体について
実施例2と同様の実験をしたところ、粉体は沈降した。
比較例2でえられた粉砕済みのメチル変性シリカ単独被
覆ベンガラ粉体は沈降せずに浮遊した。被覆しない元の
ベンガラ粉体は沈降した。
【0032】
【実施例3】 実施例1でえられた粉砕済み被覆ベンガ
ラ粉体の3部を、ひまし油、流動パラフィン、スクワラ
ンの各10部と混練してペーストとした。いずれのペー
ストも流動性に優れ、ペーストに浸漬した棒をペースト
上に取り上げると連続した糸を曳くようにさらさらと自
然流下した。当粉体がこれら疎水性物質と馴染みの良い
ものであることが判った。
【0033】
【比較例4】 実施例3と比較のために、比較例2でえ
られた粉砕済みのメチル変性シリカ単独被覆ベンガラ粉
体で実施例3と同様の実験を行ったところ、実施例3と
同等の挙動を示したが、比較例1でえられた粉砕済み被
覆ベンガラ粉体および被覆しない元のベンガラ粉体で
は、いずれの場合も連続した糸を曳くようにはならず、
塊状に断裂してボテボテとした感じで落下し流動性がな
かった。
【0034】
【実施例4】 実施例1でえられた粉砕済み被覆ベンガ
ラ粉体の3部を、ひまし油と流動パラフィンの各100
部にホモミキサを用いて別々に分散し、その両者をそれ
ぞれ3ケ月間の常温分散安定性試験と8サイクルの加速
分散安定性試験に供した。いずれも良好な分散状態を保
ち、粉体の沈降や凝集は認められなかった。
【0035】
【比較例5】 実施例4と比較のために、比較例2でえ
られた粉砕済みのメチル変性シリカ単独被覆ベンガラ粉
体で実施例4と同様の実験を行ったところ、粉体は実施
例4と同等の挙動を示したが、比較例1でえられた粉砕
済み被覆ベンガラ粉体の場合、常温分散安定性試験では
1ケ月前後で、加速分散安定性試験では4サイクル終了
時に粉体の一部が沈降し透明な上澄み液の薄い層が認め
られた。被覆しない元のベンガラ粉体では、いずれの場
合も常温分散安定性試験で2日目に、加速分散安定性試
験では1サイクル終了時に粉体の凝集沈降が確実とな
り、以後さらに悪化した。
【0036】
【実施例5】 本発明の被覆粉体を用いて、O/W乳化
型ファンデーションを以下の配合で作成した。すなわち
配合は、粉体として実施例1でえられた粉砕済み被覆ベ
ンガラ粉体0.7部、タルク3.0部を、水相としてベ
ントナイト0.5部、モノステアリン酸ポリオキシエチ
レンソルビタン0.7部、トリエタノールアミン1.0
部、プロピレングリコール10.0部、精製水56.4
部を、油相としてステアリン酸3.0部、イソヘキサデ
シルアルコール7.0部、モノステアリン酸グリセリン
2.0部、液状ラノリン2.0部、流動パラフィン8.
0部、防腐剤0.05部、香料0.05部を用いた。作
成手順は、まずベントナイトをプロピレングリコールに
分散し、これに精製水、ついで残りの水性成分を順次加
えつつ70℃でホモミキサにて水相を均一混合し、これ
に予め混合した粉体成分を攪拌下に添加分散させた。こ
の際被覆ベンガラ粉体は容易にしかも速やかに分散し
た。さらに、油相を熱時添加し乳化分散させ、冷却後香
料を添加した。えられたファンデーションは化粧に際し
て滑沢性や触感が良く、透明感のある良い仕上がりを見
せた。加速分散安定性試験に供したところ、45サイク
ル後も相分離や被覆ベンガラ粉体の沈降や凝集は認めら
れなかった。
【0037】
【比較例6】 実施例5と比較のために、比較例1でえ
られた粉砕済みのシリカ単独被覆ベンガラ粉体を用いて
実施例5と同様の実験をした。実施例5の場合に比較し
て、粉体成分を添加分散させるときに均一分散に至るホ
モミキサでの攪拌時間が60%余分に掛かったし、えら
れた化粧料は化粧に際してざらつく感じがするし、のび
の点で今一歩の改良の必要な不満足なものであった。加
速分散安定性試験で45サイクル後にも被覆酸化ベンガ
ラの沈降や凝集は認められなかった。
【0038】
【実施例6】 実施例1でえられた粉砕済み被覆ベンガ
ラ粉体45.0部、タルク44.9部、デンプン2.0
部、ステアリン酸マグネシウム3.0部、流動パラフィ
ン3.0部、ミリスチン酸イソプロピル2.0部、防腐
剤0.05部、香料0.05部を均一混合し、粉砕後篩
で粗粒を除外し、中皿に圧縮成型した。えられたパウダ
ーファンデーションは化粧に際して滑沢性や触感が良
く、透明感のある良い仕上がりを見せた。
【0039】
【比較例7】 実施例6と比較のために、比較例1でえ
られた粉砕済みのシリカ単独被覆ベンガラ粉体を用いて
実施例6と同様の実験をした。えられた化粧料は化粧に
際してざらつく感じがすることと、のびの点で実施例6
の場合より劣っていた。
【0040】
【実施例7】 ポリスチレン樹脂ペレット100部と実
施例1でえられた粉砕済み被覆ベンガラ粉体2部を混合
し、溶融押出機でストランド状に押出成型した。ストラ
ンドを薄片に切り観察したところ、粉体はストランド内
に均一に分散していた。
【0041】
【比較例8】 実施例7と比較のために、比較例1でえ
られた粉砕済みのシリカ単独被覆ベンガラ粉体を用いて
実施例7と同様の実験をしたところ、粉体はストランド
内に概ね均一に分散してしているものの、ところどころ
に10μmを越える顔料粉体粒子が認められた。また、
被覆しない元のベンガラを用いた場合は、分散不良で1
0μmを越える顔料粉体粒子が多々あり、しかもストラ
ンドは押出し方向において着色度が変動していた。
【0042】
【実施例8】 水酸化酸化第一鉄(黄色酸化鉄)の凝集
粉体240.0部を、分散剤であるN−ビニルピロリド
ンとN,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートの
共重合体の35.0%エタノール溶液96.0部、およ
び媒体であるイソプロパノールと水の等重量混合液46
4.0部とともにビーズミルに仕込み、粉砕しながら分
散させた。反応器にテトラエトキシシラン177部とイ
ソプロパノール140部を仕込み、室温攪拌下に前記黄
色酸化鉄の分散液の400部を、10分間かけて滴下
し、暫く攪拌を続けて均一な分散液とした。ついで、モ
ノエタノールアミン36部と水200部からなる触媒液
を室温攪拌下に30分間かけて滴下し、さらに40分攪
拌を続けてゾル化を進行させた。外部加熱により反応温
度を80℃に高めて30分間ゾルをゲル化させた。モノ
メチルトリメトキシシラン33.0部とイソプロパノー
ル20部からなる反応試剤を添加し、80℃にて60分
間攪拌を継続し、ゾル−ゲル反応を行った。反応物は冷
却後濾別し、水洗して溶媒、分散剤、触媒を取り除い
た。120℃での乾燥後被覆粉体の収量は189.5部
であった。これはシラン類の全量がシリカおよびメチル
変性シリカに転化して黄色酸化鉄を被覆したと仮定した
ときの重量186.3部に実質的に等しい。したがっ
て、計算上被覆粉体の組成は、カーボンブラック64.
5重量%、シリカ27.0重量%、メチル変性シリカ
8.5重量%で、被覆層の割合は35.5重量%であ
る。得られた被覆粉体を衝撃式粉砕機にて20秒間粉砕
した。粉砕後の被覆粉体粒径は0.1から10μmの間
に分布し、平均粒径は2.5μmであった。えられた粉
砕済み被覆カーボンブラック粉体を用いて、実施例2の
水面散布浮遊試験、実施例3のペースト流動性試験、実
施例4の油中分散安定性試験、実施例5の乳化型ファン
デーション試作試験、実施例6のパウダーファンデーシ
ョン試作試験、実施例7の樹脂溶融混練押出試験の各試
験と同等の試験を行ったところ、実施例1でえられた粉
砕済み被覆ベンガラ粉体の場合と同様、比較対象品より
も性能が向上し、かつ満足できる好結果をえた。
【0043】
【実施例9】 カーボンブラック(ファーネスブラッ
ク)240.0部を、分散剤ポリビニルブチラールの1
5.0%エタノール溶液400.0部、および媒体であ
るエタノール560.0部とともにビーズミルに仕込
み、カーボンブラックを粉砕しながら分散させた。反応
器にテトラエトキシシラン169.5部とイソプロパノ
ール100.0部を仕込み、室温攪拌下に前記のカーボ
ンブラック分散液の600.0部を、10分間かけて滴
下し、暫く攪拌を続けて均一な分散液とした。ついで、
ジエタノールアミン36.0部と水200部からなる液
を室温攪拌下に30分間かけて滴下し、さらに40分攪
拌を続けてゾル化を進行させ、ついで反応温度を80℃
に高めて30分間ゾルをゲル化させた。水140部を1
5分間かけて滴下したのち、モノメチルトリメトキシシ
ラン33.0部とイソプロパノール20部からなる反応
試剤を添加し、80℃にて60分間攪拌を継続し、ゾル
−ゲル反応を行った。反応物は冷却後濾別し、水洗して
溶媒、分散剤、触媒を取り除いた。120℃での乾燥後
被覆粉体の収量は定量的で、シラン類の全量がシリカお
よびメチル変性シリカに転化してカーボンブラックを被
覆したことに相当していた。被覆粉体の組成は、カーボ
ンブラック64.5重量%、シリカ27.0重量%、メ
チル変性シリカ8.5重量%で、被覆層の割合は35.
5重量%である。得られた被覆粉体を衝撃式粉砕機にて
20秒間粉砕した。粉砕後の被覆粉体粒径は0.5から
8μmの間に分布し、平均粒径は2.5μmであった。
えられた粉砕済み被覆カーボンブラック粉体を用いて、
実施例2の水面散布浮遊試験、実施例3のペースト流動
性試験、実施例4の油中分散安定性試験、実施例7の樹
脂溶融混練押出試験の各試験と同等の試験を行ったとこ
ろ、実施例1でえられた粉砕済み被覆ベンガラ粉体の場
合と同様、比較対象品よりも性能が向上し、かつ満足で
きる好結果をえた。
【0044】
【実施例10】 ヘリンドンピンクCN(CIバットレ
ッド1)12.0部を、分散剤ポリビニルブチラールの
15.0%エタノール溶液22.8部、および媒体であ
るエタノール65.2部とともにビーズミルに仕込み、
顔料粉体を粉砕しながら分散させた。反応器にテトラエ
トキシシラン56.0部、イソプロパノール360.0
部、およびマイカ135.0部を仕込み、室温攪拌下に
前記の赤色顔料分散液の56.0部を、10分間かけて
滴下し、暫く攪拌を続けて均一な分散液とした。つい
で、ジエタノールアミン16.8部と水22.5部から
なる触媒液を室温攪拌下に30分間かけて滴下し、さら
に40分攪拌を続けてゾル化を進行させた。外部加熱に
より反応温度を高めて30分間ゾルをゲル化させた。つ
いで水270部を15分間かけて滴下したのち、モノメ
チルトリメトキシシラン45.0部とエタノール25部
からなる反応試剤を添加し、さらに60分間攪拌を継続
してゾル−ゲル反応を行った。反応物は冷却後濾別し、
エタノールや水で洗浄して溶媒、分散剤、触媒を取り除
いた。120℃での乾燥後被覆粉体の収量は定量的であ
り、シラン類の全量がシリカおよびメチル変性シリカへ
転化したことに相当していた。えられた被覆粉体を衝撃
式粉砕機で10秒間粉砕した。粉砕後の被覆粉体の平均
粒径は10.5μmであった。この粉体は、顔料とマイ
カの複合体がシリカ類で被覆された構造であることが認
められた。粉砕済みの粉体で、実施例2の水面散布浮遊
試験、実施例3のペースト流動性試験、実施例4の油中
分散安定性試験、実施例5の乳化型ファンデーション試
作試験、実施例6のパウダーファンデーション試作試験
の各試験と同等の試験を行ったところ、実施例1でえら
れた粉砕済み被覆ベンガラ粉体の場合と同様、比較対象
品よりも性能が向上し、かつ満足できる好結果をえた。
【0045】
【実施例11】 フタロシアニンブルー(CIピグメン
トブルー15)粉体240.0部を、分散剤ポリビニル
ブチラールの15.0%エタノール溶液400.0部、
およびエタノール560.0部とともにビーズミルに仕
込み、フタロシアニンブルー粉体を粉砕しながら分散さ
せた。反応器にテトラエトキシシラン169.5部とイ
ソプロパノール100部を仕込み、室温攪拌下に前記の
フタロシアニンブルー分散液の600.0部を、10分
間かけて滴下し、暫く攪拌を続けて均一な分散液とし
た。ついで、ジエタノールアミン36部と水200部か
らなる液を室温攪拌下に30分間かけて滴下し、さらに
40分攪拌を続けてゾル化を進行させた。外部加熱によ
り反応温度を高めて30分間ゾルをゲル化させた。水1
40部を10分間かけて滴下したのち、モノメチルトリ
メトキシシラン33.0部とイソプロパノール20部か
らなる反応試剤を添加し、さらに60分間攪拌を継続し
てゾル−ゲル反応を行った。反応物は冷却後濾別し、エ
タノールや水で洗浄して溶媒、分散剤、触媒を取り除い
た。120℃での乾燥後被覆粉体の収量は定量的であ
り、シラン類の全量がシリカおよびメチル変性シリカに
転化してフタロシアニンブルーを被覆したことに相当し
ていた。えられた被覆粉体を衝撃式粉砕機で20秒間粉
砕した。粉砕後の被覆粉体粒径は0.5から8μmの間
に分布し、平均粒径は2.6μmであった。えられた粉
砕済み被覆フタロシアニンブルー粉体で、実施例2の水
面散布浮遊試験、実施例3のペースト流動性試験、実施
例4の油中分散安定性試験、実施例5の乳化型ファンデ
ーション試作試験、実施例6のパウダーファンデーショ
ン試作試験と同等の試験を行ったところ、実施例1でえ
られた粉砕済み被覆ベンガラ粉体の場合と同様、比較対
象品よりも性能が向上し、かつ満足できる好結果をえ
た。
【0046】
【実施例12】 実施例11におけるフタロシアニンブ
ルー粉体に換えて、下記の顔料やレーキ化した染料の1
種を用い、それぞれにつき実施例11の方法を繰返し
た。 ブリリアントファストスカーレット(CIピグメントレ
ッド24) ベンチジンエローG(CIピグメントエロー14) フタロシアニングリーン(CIピグメントグリーン7) リソールルビンBCA(CIピグメントレッド57−
1) いずれの場合も定量的な2層被覆が行え、被覆粉体の性
能試験で実施例11の場合と同様、比較対象品よりも性
能が向上し、かつ満足できる好結果をえた。
【0047】
【比較例9】 分散剤の種類をアクリル酸共重合アクリ
ル樹脂のNa塩に換えて実施例1の方法を繰返した。ゾ
ル−ゲル反応時にベンガラ粒子の凝集が進行し、また一
部被覆に関わらないシリカゲルが生成した。粉砕後も粗
大粒子のためざらざらした触感の粉体であり、粗大粒子
を除去したのちの粉体で、実施例3のペースト流動性試
験、実施例4の油中分散安定性試験、実施例5の乳化型
ファンデーション試作試験、実施例6のパウダーファン
デーション試作試験と同等の試験をしたが、被覆による
ペースト流動性や油中分散安定性の改善幅が少なく、化
粧料としてざらつき感やのびの改善が認められなかっ
た。
【0048】
【比較例10】 触媒の種類をジエタノールアミンから
アンモニアに換え、28%アンモニア水10.4部を2
00部の水で希釈して用いて実施例11の方法を繰返し
た。反応後濾紙に目詰まりが起こり、反応物の濾別がで
きなかった。蒸発乾固してえられた固形分を観察すると
被覆不完全のフタロシアニンブルー粒子とシリカゲル類
粒子の混在していることが判った。性能試験で、この粉
体のペースト流動性や油中分散安定性、および化粧料と
してざらつき感やのびの改善が認められなかった。
【0049】
【比較例11】 触媒の種類をトリエチルアミンに換え
て実施例10の方法を繰返した。えられた粉体を観察す
るとシリカゲル類粒子の混在していることが判った。性
能試験で、この粉体のペースト流動性や油中分散安定
性、および化粧料としてざらつき感やのびの改善は実質
的に認められなかった。
【0050】
【発明の効果】本発明の被覆顔料粉体は、流動性媒体へ
の分散が容易であり、分散した液は流動性に優れ、しか
も長期分散安定性を有しているので、化粧料、塗料、接
着剤、樹脂成型品等に適用して有用である。とくにざら
つき感がなくのびの良い等使用上の効用から化粧料での
着色剤として好適である。また、本発明の方法によると
前記の性能を同時に満たす有用な被覆顔料粉体を製造す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 7/12 C09D 7/12 C09J 201/00 C09J 201/00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09C 3/12 A61K 7/00 A61K 7/02 A61K 7/42 C08K 9/02 C09D 7/12 C09J 201/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、
    酸化ジルコニウムを除く無機顔料および有機顔料からな
    る群から選ばれた顔料粒子を、アクリル酸および/また
    はメタアクリル酸を共重合したアクリル系重合体のアル
    カノールアミン塩、N−ビニルピロリドンとN,N−ジ
    アルキルアミノアルキルアクリレートとの共重合体ある
    いはその共重合体のジアルキル硫酸塩、N−ビニルピロ
    リドンと酢酸ビニルの共重合体、ポリビニルブチラール
    樹脂、メチルビニルエーテルとジアルキルアレエートと
    の共重合体からなる群から選ばれた1種あるいは1種以
    上の高分子分散剤を用いて有機分散媒体中に分散させた
    後、顔料粒子表面に2層のシリカ処理が行われたことを
    特徴とし、かつそのシリカ処理が顔料粒子に対し5重量
    %以上100重量%以下のシリカ系物質で被覆され、被
    覆層の内層が(化学式2)で示される物質で処理をされ
    たシリカ層であり、外層が(化学式1)で示される物質
    で処理をされたシリカ層で、その内層と外層の重量比が
    20:80〜80:20の範囲内であることを特徴とす
    る変性シリカ被覆顔料粒子。
  2. 【請求項2】 化粧料、塗料、接着剤、樹脂成型品のい
    ずれかに請求項1の変性シリカ被覆顔料粒子を配合した
    ことを特徴とする組成物。
  3. 【請求項3】 酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、
    および酸化ジルコニウムを除く無機顔料および有機顔料
    からなる群から選ばれた顔料粒子を、分散剤を用いて有
    機分散媒体中に分散させ、テトラアルコキシシランをこ
    の分散系中でゾル−ゲル反応させ、ついでアルキルアル
    コキシシランをこの分散系中でゾル−ゲル反応させるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の変性シリカ被覆顔料粒
    子の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3の方法において、分散剤がアク
    リル酸および/またはメタアクリル酸共重合体のアルカ
    ノールアミン塩、N−ビニルピロリドン−N,N−ジア
    ルキルアミノアルキルアクリレート共重合体、N−ビニ
    ルピロリドン−N,N−ジアルキルアミノアルキルアク
    リレート共重合体のジアルキル硫酸塩、N−ビニルピロ
    リドン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、メ
    チルビニルエーテル−ジアルキルマレエート共重合体か
    らなる群から選ばれた高分子分散剤の一種または一種以
    上であることを特徴とする請求項3の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3の方法において、反応触媒とし
    てアルカノールアミン類を用いることを特徴とする請求
    項3の製造方法。
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