本明細書内で使用するハイブリッド微粒子は、疎水性が高い微粒子を指し、主に油系化粧料である油性化粧料や油中水型化粧料に配合することで本発明の効果を発揮する。一般的に水系化粧料にも油性成分が含まれる場合があり、本発明で使用するハイブリッド微粒子が使用可能な場合はあるが、効果が得られにくいことから、油系化粧料に使用することが好ましい。
本発明の化粧料組成物に配合するハイブリッド微粒子は、有機物である内核の周りに最初に第一外殻を形成し、更に、疎水化を目的に第一外殻の周りに第二外殻を形成する。本明細書内では、第一外殻は、シリカ化合物、又は、シリカ化合物と、酸化アルミニウム及び/若しくは酸化チタンからなる複合化合物である。ここで、「シリカ化合物と、酸化アルミニウム及び/若しくは酸化チタンからなる複合化合物である」とは、シリカ化合物及び酸化アルミニウムからなる複合化合物、シリカ化合物及び酸化チタンからなる複合化合物及び、シリカ化合物及び酸化アルミニウム及び酸化チタンからなる複合化合物のいずれかを指す。また、第二外殻は、疎水変性シリカ化合物を指す。ここで、疎水変性シリカ化合物とは、疎水化を目的に第一外殻の周りで形成する第二外殻となるシリカ化合物のことである。
また、本明細書内で使用する「ソフトフォーカス性」とは、ファンデーション等の化粧料組成物を肌に塗った際、滑らかな肌に見えるよう見え方を調節したり、肌に透明性を与え明るく見せたり等、様々な意匠性を与える効果のことを指す。
本発明の化粧料組成物は、上記のハイブリッド微粒子と、炭化水素、エステル及びシリコーン誘導体の群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする化粧料組成物である。
本発明の化粧料組成物が与える効果「肌への密着性(化粧崩れのしにくさ)が良好、肌すべりや塗り心地良好」は、本発明で使用するハイブリッド微粒子と炭化水素、エステル及びシリコーン誘導体の群から選択される1種又は2種以上を併用することで得られる効果であり、また、「肌への密着性(化粧崩れのしにくさ)が良好、保存安定性良好、ソフトフォーカス性に優れる」という効果は、通常のシリカと比較し、コア/シェル型のハイブリッド構造を持つ微粒子を使用することで得られる効果であり、それぞれ詳細については本明細書にて後に記載する。
本発明の化粧料組成物に配合する、炭化水素、エステル及びシリコーン誘導体は、主として疎水化したハイブリッド微粒子の分散媒としての機能、化粧料組成物の保湿剤としての機能を有する。また、本発明で使用する疎水化したハイブリッド微粒子と共に使用することで、化粧料組成物を肌へ塗った際、肌への密着性を高め、化粧崩れの軽減等の併用効果を発揮する。また、良好な肌すべりを与え、更にべたつくことなく滑らかな感触(使用感)を与える。ここで、本発明の化粧料組成物に配合する、炭化水素、エステル及びシリコーン誘導体について以下例示する。
本発明の化粧料組成物に配合する炭化水素は、化粧料分野において使用可能な成分であれば特に限定されるものではないが、分子量200〜1000000であるものが好ましく、中でも常温(25℃)で液状のものが好ましい。例えば、水添ポリイソブテン、α−オレフィンオリゴマー、CDスクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、パラフィン、プリスタン、ポリエチレン末、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、ミネラルオイル、セシレン、ワセリン等が挙げられる。中でも、本発明の効果が得られやすいことからスクワラン、パラフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、ミネラルオイルが好ましく、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、ミネラルオイルがより好ましい。
本発明の化粧料組成物に配合するエステルは、化粧料分野において使用可能な成分であれば特に限定されるものではないが、分子量200〜1000であるものが好ましく、中でも常温(25℃)で液状のものが好ましい。例えば、オクタン酸セチル、オクタン酸セトステアリル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸コレステリル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸コレステリル、ステアリン酸ブチル、トリミリスチン酸グリセリン、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸コレステリル、エルカ酸オクチルドデシル等の炭素数8〜22の脂肪酸と炭素数3〜28のアルコールとのエステル;乳酸セチル、乳酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸コレステロール、長鎖−αヒドロキシ脂肪酸コレステリル等の炭素数3〜28のヒドロキシ酸と炭素数12〜28のアルコールとのエステル;カルナウバロウ、還元ラノリン、キャンデリラロウ、吸着精製ラノリン、硬質ラノリン、サラシミツロウ、サトウキビロウ、セラック、セレシン、ホホバ油、ミツロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、カッポクロウ、ジョジョバロウ、セラックロウ、オゾケライト、ラノリン、液状ラノリン、ラノリン誘導体等のエステルを主成分とするロウ等が挙げられる。中でも、本発明の効果が得られやすいことから炭素数8〜22の脂肪酸と炭素数3〜28のアルコールとのエステルが好ましく、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチルがより好ましい。
本発明の化粧料組成物に配合するシリコーン誘導体は、化粧料分野において使用可能な成分であれば特に限定されるものではないが、分子量200〜100000であるものが好ましく、中でも常温(25℃)で液状のものが好ましい。例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、ジメチコノール、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン(シクロメチコン)、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ポリシロキサン;3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂;ジメチコノール、アモジメチコン、アミノプロピルジメチコン、フェニルトリメチコン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の各種変性ポリシロキサン等が挙げられる。中でも、本発明の効果が得られやすいことから鎖状ポリシロキサン、環状ポリシロキサンが好ましく、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、ジメチコノール、オクタメチルシクロテトラシロキサン(シクロメチコン)、デカメチルシクロペンタシロキサンがより好ましい。
上記に挙げた炭化水素、エステル及びシリコーン誘導体は、必要に応じ1種又は2種以上を組み合わせて用いることが出来、本発明で使用するハイブリッド微粒子1質量部に対して、合計で0.5〜60質量部配合することが好ましく、1〜50質量部配合することがより好ましい。0.5質量部未満であると、疎水化したハイブリッド微粒子の分散媒・保湿剤としての効果が得られない場合があり、また、化粧料組成物を肌へ塗った際の滑らかな感触(使用感)が得られない場合もある。また、60質量部を超えると、本発明で使用するハイブリッド微粒子がもたらすソフトフォーカス性の効果が得られない場合がある。
本発明で使用するハイブリッド微粒子は、内核と外殻からなるコア/シェル構造を持つ。このような構造の微粒子を化粧料組成物に使用することで、従来の化粧料組成物と比較して、肌への密着性(化粧崩れのしにくさ)・保存安定性に優れた、ソフトフォーカス効果を持つ化粧料組成物が得られる。また、本発明で使用するハイブリッド微粒子は、製造方法によって粒度分布を狭めることも可能であり、従来用いられてきたシリカ等の広い粒度分布を持つ微粒子では得られない、肌へ塗った際の滑らかな感触(使用感)も得ることができる。
内核は有機物であり、当該有機物としては微粒子状の有機物であればいずれの材質でもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ナイロン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂;セルロース、キチン、キトサン等の天然高分子が挙げられる。また、2種以上のモノマーを重合した合成樹脂や、前記合成樹脂2種以上の混合物からなる合成樹脂(ポリマーアロイ)であってもよい。これらの樹脂を合成する際に使用するモノマーは、各々の樹脂を合成可能なモノマーであればいずれであってもよく、中でも原料モノマーとしてスチレン又は(メタ)アクリル酸エステルを1種又は2種以上使用した樹脂であることが好ましい。これら樹脂の材質が大きな形態の場合は、粉砕、造粒等により微粒子状にすればよいが、合成樹脂においては製造段階で微粒子状に製造することが好ましい。微粒子状に製造する方法としては、例えば乳化重合が挙げられる。乳化重合で製造した微粒子は粒子の形状がほぼ球状であり、反応条件によって小さな粒子径から大きな粒子径まで自由に製造出来、更に得られた微粒子の粒子径はばらつきが非常に小さいという利点を持つ。例えば、化粧料組成物に配合する場合、肌すべり改善効果、良好な感触の皮膜が得られる効果及び製品に成型した際の安定性向上効果等が期待出来ることから、粒子の大きさが球状かつ均一であることが好ましい。また、使用する場面や状況に応じて様々な粒径の微粒子が使用出来れば、尚好ましい。よって、本発明で使用するハイブリッド微粒子の原料として用いる内核の有機物としては、乳化重合によって得られる合成樹脂が好ましい。
乳化重合は重合条件によって小さな粒子から大きな粒子まで容易に製造することが出来、具体的には粒径が5〜330nmのものであれば自由に製造することが出来る。乳化重合によって得られた内核となる微粒子の粒径は、動的光散乱法にて粒度分布を測定する方法が一般的であり、本発明においても、粒度分布計を用い測定することが好ましい。
また、本発明で使用するハイブリッド微粒子の外殻は、乳化重合によって得られた5〜330nmの微粒子に外殻を反応させることで得られ、第一外殻形成後のハイブリッド微粒子は、内核の粒子径から5〜10nm大きくなった10〜340nmの粒子径を有し、第二外殻形成後のハイブリッド微粒子は、内核の粒子径から5〜20nm大きくなった10〜350nmの粒子径を有する。第一・第二外殻形成後のハイブリッド微粒子の粒径は、顕微鏡にて粒子を観察し、数十〜数百の粒子の粒径を測定する方法がしばしば用いられる。本発明においても、そのようにして測定した粒子径を用い、平均粒子径を算出することが好ましい。
乳化重合によって微粒子を得る方法としては、乳化重合として公知の方法であればいずれの方法を使用してもよく、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル等のモノマーを水と界面活性剤(乳化剤)で乳化して重合開始剤で重合すればよい。モノマーの種類、モノマー濃度、反応温度、乳化剤濃度、開始剤濃度等の条件によって得られる合成樹脂の微粒子の大きさや粒度分布が決定するので、微粒子の大きさに指定がある場合にはこれらの条件を適宜調整して乳化重合を行えばよい。
上記の乳化重合により得られる具体的なエマルションとしては、例えば、ウレタン系エマルション、アクリレート系エマルション、スチレン系エマルション、酢酸ビニル系エマルション、SBR(スチレン/ブタジエン)エマルション、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)エマルション、BR(ブタジエン)エマルション、IR(イソプレン)エマルション、NBR(アクリロニトリル/ブタジエン)エマルション、或いはこれらの混合物等が挙げられる。
ウレタン系エマルションとしては、例えば、ポリエーテルポリオール系、ポリエステルポリオール系、ポリカーボネートポリオール系等が挙げられる。
アクリレート系エマルションとしては、例えば、(メタ)アクリル酸(エステル)単独、(メタ)アクリル酸(エステル)/スチレン、(メタ)アクリル酸(エステル)/酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸(エステル)/アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸(エステル)/ブタジエン、(メタ)アクリル酸(エステル)/塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸(エステル)/アリルアミン、(メタ)アクリル酸(エステル)/ビニルピリジン、(メタ)アクリル酸(エステル)/アルキロールアミド、(メタ)アクリル酸(エステル)/N,N―ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸(エステル)/N,N−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、シクロブチルメタクリレート系、エポキシ変性系、ウレタン変性系等の重合物が挙げられる。
スチレン系エマルションとしては、例えば、スチレン単独、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/ブタジエン、スチレン/フマルニトリル、スチレン/マレインニトリル、スチレン/シアノ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン/酢酸フェニルビニル、スチレン/クロロメチルスチレン、スチレン/ジクロロスチレン、スチレン/ビニルカルバゾール、スチレン/N,N−ジフェニルアクリルアミド、スチレン/メチルスチレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン、スチレン/アクリロニトリル/メチルスチレン、スチレン/アクリロニトリル/ビニルカルバゾール、スチレン/マレイン酸等の重合物が挙げられる。
酢酸ビニル系エマルションとしては、例えば、酢酸ビニル単独、酢酸ビニル/スチレン、酢酸ビニル/塩化ビニル、酢酸ビニル/アクリロニトリル、酢酸ビニル/マレイン酸(エステル) 、酢酸ビニル/フマル酸(エステル)、酢酸ビニル/エチレン、酢酸ビニル/プロピレン、酢酸ビニル/イソブチレン、酢酸ビニル/塩化ビニリデン、酢酸ビニル/シクロペンタジエン、酢酸ビニル/クロトン酸、酢酸ビニル/アクロレイン、酢酸ビニル/アルキルビニルエーテル等の重合物が挙げられる。
上記の乳化重合に使用出来る乳化剤は、公知の界面活性剤であればいずれも使用することが出来、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキル硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫化オレフィン塩、硫酸化脂肪酸塩、スルホン化脂肪酸塩、グリセライド硫酸エステル塩、アルコキシエタンスルホン酸塩、N −アシル−β−アラニン又はその塩、N−アシル−N−カルボキシエチルタウリン又はその塩、N−アシル− N−カルボキシメチルグリシン又はその塩、アシル乳酸塩、N−アシルサルコシン塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、リン酸エステル塩、スルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、N−アシル−N−メチルタウリンの塩、N−アシルグルタミン酸又はその塩、アシル化ペプチド、アシルオキシエタンスルホン酸塩、脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、硫酸化油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム、トリアジン化合物及びアルキル又はアルケニルアミノカルボキシメチル硫酸塩等の1種又は2種以上の混合物を挙げることが出来る。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい)、ポリエチレングリコールプロピレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリグリセリン脂肪酸類、脂肪酸エステル類又はそのエチレンオキサイド付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類又はそのエチレンオキサイド付加物、ソルビタン脂肪酸エステル類又はそのエチレンオキサイド付加物、ソルビット脂肪酸エステル類又はそのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、アルキルポリグルコシド、脂肪酸モノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸−N−メチルモノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸ジエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、テトラポリオキシエチレンテトラポリオキシプロピレンエチレンジアミン縮合物類(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい)、ポリオキシエチレンヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ・ラノリン誘導体、アルカノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル類、アルキル(ポリ)グリセリンエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンダイズステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンフィトステロール(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリチル(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい)、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸、イソステアリン酸ポリオキシエチレン−60グリセリル、オリゴコハク酸ポリオキシエチレン−3−ポリオキシプロピレン−20、オレス−20、セテス−20、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸メチルエステルエトキシレート、N−長鎖アルキルジメチルアミンオキサイド及びプルロニック型類等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキル(アルケニル)トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル(アルケニル)ジメチルアンモニウム塩、アルキル(アルケニル)四級アンモニウム塩、エーテル基或いはエステル基或いはアミド基を含有するモノ或いはジ或いはトリアルキル(アルケニル)四級アンモニウム塩、長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキル(アルケニル)ピリジニウム塩、アルキル(アルケニル)ジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキル(アルケニル) イソキノリニウム塩、ジアルキル(アルケニル)モルホニウム塩、ポリオキシエチレンアルキル(アルケニル) アミン、アルキル(アルケニル)アミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ヤシ脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン系界面活性剤、スルホベタイン系界面活性剤、ホスホベタイン系界面活性剤、アミドアミノ酸系界面活性剤、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系界面活性剤等が挙げられる。また、分子内に二重結合を有する反応性界面活性剤も使用することが出来、こうした反応性界面活性剤としては、例えば、特開昭58−203960号公報、特開昭61−222530号公報、特開昭63−023725号公報、特開昭63−091130号公報、特開平04−256429号公報、特開平06−239908号公報、特開平08−041113号公報、特開2002−301353号公報等に記載されたものが挙げられる。
エマルションを製造する際、上記の乳化剤は通常の使用量の範囲で任意に使用することが出来るが、原料モノマーに対して、0.1〜20重量%添加して使用することが好ましく、0.2〜10重量%添加して使用することがより好ましく、0.5〜8重量%添加して使用することが最も好ましい。
本発明で使用するハイブリッド微粒子の第一外殻は、シリカ化合物、シリカ化合物及び酸化アルミニウムからなる複合化合物、シリカ化合物及び酸化チタンからなる複合化合物及び、シリカ化合物及び酸化アルミニウム及び酸化チタンからなる複合化合物から選択されるいずれかの化合物である。これらの製造方法は特に限定されないが、上記の第一外殻を形成する原料のいずれかを、内核の有機物の周りで反応させることで得ることが好ましい。
次に、本発明で使用するハイブリッド微粒子の第二外殻は、疎水化を目的にシラン化合物によって形成するが、第一外殻と同様、製造方法は特に限定されず、内核の有機物の周りで第一外殻を反応させた後に、その第一外殻の周りに更にシラン化合物によって第二外殻を形成することが好ましい。
本発明で使用するハイブリッド微粒子を製造するときは、内核である有機物の微粒子を水中或いは水と有機溶媒の混合液中に分散させた後、第一外殻を形成する原料を有機物の微粒子の周囲で反応させ微粒子を被覆し、更にその周囲で第二外殻を形成する原料を反応させ疎水化したハイブリッド微粒子を得る。よって上記乳化重合で得られた微粒子は、そのまま次の第一・第二外殻を形成する際の反応に使用することが出来る。この第一・第二外殻を形成する反応時、乳化重合の際に使用した乳化剤は、ハイブリッド微粒子内に取り込まれる場合もあり、取り込まれず水中或いは水と有機溶媒の混合液中に残存する場合もある。ハイブリッド微粒子内に乳化剤が取り込まれた場合は、その後のろ過・洗浄・乾燥後も外に出てくることはなく、最終的に得られたハイブリッド微粒子を化粧料組成物に配合しても何ら問題を与えない。取り込まれず水中或いは水と有機溶媒の混合液中に乳化剤が残存した場合、ろ過工程によってその大半を取り除き、水洗による洗浄によってハイブリッド微粒子表面上に残った微量の乳化剤を取り除くことが出来る。そのため最終的に得られたハイブリッド微粒子を化粧料組成物に配合しても何ら問題を与えない。一方、粉砕等によって得られる微粒子状の化合物については、水に分散するものであれば、そのまま水中に分散させればよく、水に分散しないものであれば、分散剤等を使用して水中に分散すればよい。使用出来る分散剤としては、乳化剤として上記に挙げた界面活性剤を使用することが出来る。この場合も、使用した分散剤は、外殻形成時、ハイブリッド微粒子内に取り込まれる場合もあり、取り込まれず水中或いは水と有機溶媒の混合液中に残存する場合もあるが、上記と同様の理由により、どちらの場合であっても最終的に化粧料組成物に配合しても何ら問題を与えない。
まず、第一外殻について詳細に説明する。第一外殻の原料となるシラン化合物としては、第一外殻を形成後、外殻表面にヒドロキシル基部を有するものであればいずれでも良く、こうしたシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン化合物;モノメチルトリメトキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、モノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、モノエチルトリエトキシシラン、モノプロピルトリエトキシシラン、モノブチルトリエトキシシラン等のモノアルキルトリアルコキシシラン化合物;ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン化合物;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン等のフェニルアルコキシシラン化合物;前記アルキルアルコキシシラン類のフッ素変性物であるフッ素化アルキル基含有トリアルコキシシラン化合物;アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シラン化合物;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基含有シラン化合物;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シラン化合物;トリクロロシラン、テトラクロロシラン等のクロロシラン化合物;オルト珪酸ソーダ(2Na2O・SiO2)、メタ珪酸ソーダ(Na2O・SiO2)、1号珪酸ソーダ(Na2O・2SiO2)、2号珪酸ソーダ(2Na2O・5SiO2)、3号珪酸ソーダ(N a2O・3SiO2)等の珪酸塩等が挙げられる。第一外殻を形成する原料として上記に例示したシラン化合物を使用する際には、1種又は2種以上のシラン化合物を使用することができる。
上記に例示したシラン化合物の中でも、下記の一般式(1)で表されるシラン化合物及び珪酸塩のいずれか若しくは両方を使用することが好ましい。
R1 nSi(OR2)4−n(1)
(式中、R1は炭素数1〜18のアミノ基を含有してもよいアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はフッ素原子で置換されてもよい炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アリール基を表し、nは0〜2の数を表す。)
一般式(1)のR1は、炭素数1〜18のアミノ基を含有してもよいアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はフッ素原子で置換されてもよい炭化水素基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ターシャリペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、イソウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基等のアルキル基;前記アルキル基の適所にアミノ基を含有したアミノアルキル基;前記アルキル基の適所をフッ素原子で置換したフッ素化アルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、オレイル基等のアルケニル基;前記アルケニル基の適所にアミノ基を含有したアミノアルケニル基;前記アルケニル基の適所をフッ素原子で置換したフッ素化アルケニル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族含有炭化水素基;前記芳香族含有炭化水素基の適所にアミノ基を含有したアミノ芳香族含有炭化水素;前記芳香族含有炭化水素基の適所をフッ素原子で置換したフッ素化芳香族含有炭化水素基等が挙げられる。中でも、アルキル基及びアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基が最も好ましい。
一般式(1)のR2は、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アリール基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等のアルケニル基等が挙げられる。中でも、アルキル基が好ましく、炭素数1及び2のアルキル基がより好ましい。
一般式(1)のnは、0〜2の数を表す。中でも、外殻形成後、外殻表面にヒドロキシル基部を形成するシラン化合物を使用することが好ましい。よって、n=0又は1が好ましく、n=0が最も好ましい
第一外殻の原料となるシラン化合物としては、上記の一般式(1)で表されるn=0又は1のシラン化合物、オルト珪酸ソーダ及びメタ珪酸ソーダの群から選択される1種又は2種以上を使用することが好ましく、上記の一般式(1)で表されるn=0のシラン化合物、オルト珪酸ソーダ及びメタ珪酸ソーダの群から選択される1種又は2種以上を使用することが最も好ましい。
第一外殻の一部となりうる酸化アルミニウムを形成する原料としては、例えば、アルミン酸リチウム、アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリウム、アルミン酸バリウム、アルミン酸マグネシウム等のアルミン酸塩;アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムイソブトキシド等のアルミニウムアルコキシド;硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等の無機酸アルミニウム;乳酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム等の有機酸アルミニウム;塩化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、塩素等の不純物の混入がなく、反応の制御が容易なことから、アルミン酸塩、アルミニウムアルコキシド及び有機酸アルミニウムが好ましく、アルミン酸塩及び有機酸アルミニウムがより好ましい。
第一外殻の一部となりうる酸化チタンを形成する原料としては、チタン酸リチウム、チタン酸ソーダ、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム等のチタン酸塩;チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンイソブトキシド等のチタンアルコキシド;硝酸チタン、硫酸チタン等の無機酸チタン;乳酸チタン、酢酸チタン、シュウ酸チタン等の有機酸チタン;塩化チタン等が挙げられる。これらの中でも、塩素等の不純物の混入がなく、反応の制御が容易なことから、チタン酸塩、チタンアルコキシド及び有機酸チタンが好ましく、チタン酸塩及び有機酸チタンがより好ましい。
本発明で使用するハイブリッド微粒子の第一外殻は、シリカ化合物、シリカ化合物と酸化アルミニウムの複合化合物、シリカ化合物と酸化チタンの複合化合物及び、シリカ化合物と酸化アルミニウムと酸化チタンの複合化合物の4つの形態のいずれでもよいが、酸化アルミニウムや酸化チタンを含有する外殻の方が、シリカ化合物のみの外殻に比べ、得られるハイブリッド微粒子の衝撃安定性が高いことから好ましく、反応の制御が容易なことや、得られるハイブリッド微粒子の衝撃安定性がより高いことから、酸化アルミニウムを含有している外殻であることがより好ましい。ハイブリッド微粒子の衝撃安定性が高いことは、化粧料組成物に配合し肌に塗った際の肌すべりや塗り心地に影響する。すなわち、衝撃安定性が低いと、肌に塗る際にハイブリッド微粒子の粒径が崩れ、揃っていた粒径がバラバラになることでざらつき感を与える可能性があるが、衝撃安定性が高いと、粒径は保たれ、ざらつき感なく均一に肌に付着・伸展させることが出来る。
第一外殻は、上記のシリカ化合物を形成する原料、シリカ化合物を形成する原料と酸化アルミニウムを形成する原料、シリカ化合物を形成する原料と酸化チタンを形成する原料及び、シリカ化合物を形成する原料と酸化アルミニウムを形成する原料と酸化チタンを形成する原料のいずれかを、それぞれ任意の割合で、内核である有機物の周囲で反応させることによって得ることが出来る。第一外殻は、珪素原子に対するアルミニウム原子及び/又はチタン原子の比(アルミニウム原子及びチタン原子のいずれか若しくは両方が0の場合も含む)が、珪素原子/(アルミニウム原子+チタン原子)=100/0〜80/20(モル比)になるように原料を仕込み反応することが好ましく、珪素原子/(アルミニウム原子+チタン原子)=99.9/0.1〜90/10(モル比)がより好ましく、珪素原子/(アルミニウム原子+チタン原子)=99.7/0.3〜95/5(モル比)が最も好ましい。
酸化アルミニウムや酸化チタンを含有し外殻とする場合、シリカ化合物を形成する原料に対する酸化アルミニウムを形成する原料及び酸化チタンを形成する原料のいずれか若しくは両方の割合が少なすぎると、衝撃安定性が改善されない場合や化粧料組成物に配合するに適さない微粒子になる場合があり、多すぎるとハイブリッド微粒子の製造時に粒子同士が凝集し、肌すべりや肌への密着性に悪影響を与える場合があり、また、化粧料組成物に配合するに適さない微粒子になる場合がある。
第一外殻を形成させるためには、シリカ化合物を形成する原料の1種又は2種以上、シリカ化合物を形成する原料の1種又は2種以上と酸化アルミニウムを形成する原料の1種又は2種以上、シリカ化合物を形成する原料の1種又は2種以上と酸化チタンを形成する原料の1種又は2種以上、及びシリカ化合物を形成する原料の1種又は2種以上と酸化アルミニウムを形成する原料の1種又は2種以上と酸化チタンを形成する原料の1種又は2種以上のいずれかを、内核である有機物の周囲で反応させればよい。これらの原料は全て同時に反応させても、それぞれ別々に反応させてもよいが、衝撃安定性が高くなることから全て同時に内核である有機物の周囲で反応させることが好ましい。また、第一外殻を形成する原料は、内核の有機物に対して任意の量を反応させればよいが、好ましくは内核の有機物微粒子10質量部に対してシリカ化合物の珪素原子が0.5〜50質量部、より好ましくは1〜30質量部になるように反応させ、被覆すればよい。シリカ化合物を形成する原料が少なすぎると、第一外殻をうまく形成出来ない場合があり、シリカ化合物を形成する原料が多すぎると粒子同士の融合や凝集が起こる場合がある。
第一外殻を形成する具体的な方法としては、シリカ化合物のみで外殻を形成する場合、例えば、内核となる有機物を0.1〜30質量%で含む水の中或いは水と有機溶媒の混合液の中に分散させ、0〜50℃でシリカ化合物を形成する原料(例えば、オルト珪酸ソーダ)を添加し、同温度で1〜48時間攪拌して反応させる。その後、系の温度を60〜80℃に上げて1〜20時間反応を行えばよい。この反応により、シリカ化合物からなる第一外殻を形成することが出来る。
また、シリカ化合物と酸化アルミニウムの複合化合物で外殻を形成する場合、例えば、内核となる有機物を0.1〜30質量%で含む水の中或いは水と有機溶媒の混合液の中に分散させ、0〜50℃でシリカ化合物を形成する原料(例えば、オルト珪酸ソーダ)及び酸化アルミを形成する原料(例えば、アルミン酸ソーダ)を添加し、同温度で1〜48時間攪拌して反応させる。その後、系の温度を60〜80℃に上げて1〜20時間反応を行えばよい。この反応により、シリカ化合物と酸化アルミニウムの複合化合物からなる第一外殻を形成することが出来る。尚、酸化チタンを含有する第一外殻を形成する場合も同様の反応方法でよく、第一外殻にアルキル基や反応基を付与したい場合には、アルキルアルコキシシラン化合物や(メタ)アクリロイル基含有アルコキシシラン等のシラン化合物を使用すればよい。
さらに、上記の反応時には触媒を使用してもよい。使用出来る触媒としては、例えば、硫酸やトルエンスルフォン酸等の強酸;四塩化チタン、塩化ハフニウム、塩化ジルコニウム、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、塩化鉄、塩化スズ、フッ素化硼素等の金属ハロゲン化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ソヂウムメチラート、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物やアルコラート化物や炭酸塩;アンモニア、トリメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類;酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ナトリウム等の金属酸化物;テトライソプロピルチタネート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド等の有機金属化合物が挙げられる。
次に、第二外殻について詳細に説明する。本発明で使用するハイブリッド微粒子は、上記方法で製造した第一外殻で被覆したハイブリッド微粒子の周囲で、第二外殻を形成する原料を反応させ、疎水変性処理を行った形態で使用する。この疎水変性シリカ化合物である第二外殻を形成する原料に適したシラン化合物としては、例えば、モノメチルトリメトキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、モノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、モノエチルトリエトキシシラン、モノプロピルトリエトキシシラン、モノブチルトリエトキシシラン等のモノアルキルトリアルコキシシラン化合物;ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン化合物;トリメチルモノメトキシシラン、トリエチルモノメトキシシラン、トリプロピルモノメトキシシラン、トリブチルモノメトキシシラン、トリメチルモノエトキシシラン、トリエチルモノエトキシシラン、トリプロピルモノエトキシシラン、トリブチルモノエトキシシラン等のトリアルキルモノアルコキシシラン化合物;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、トリフェニルモノメトキシシラン、トリフェニルモノエトキシシラン、トリフェニルモノプロポキシシラン、トリフェニルモノブトキシシラン等のフェニルアルコキシシラン化合物;前記アルキルアルコキシシラン類のフッ素変性物であるフッ素化アルキル基含有アルコキシシラン化合物;1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン等のジシラザン化合物;アミノプロピル基含有アルコキシシラン、アミノブチル基含有アルコキシシラン等のアミノ基含有シラン化合物;ビニル基含有アルコキシシラン等のビニル基含有シラン化合物;グリシジル基含有アルコキシシラン等のグリシジル基含有シラン化合物;(メタ)アクリロイル基含有アルコキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シラン化合物;トリクロロシラン、ジクロロシラン、モノクロロシラン等のクロロシラン化合物等が挙げられる。第二外殻形成化合物として上記に例示したシラン化合物を使用する際には、1種又は2種以上のシラン化合物を使用することができ、2種以上のシラン化合物を使用することが好ましい。
上記に例示したシラン化合物の中でも、下記の一般式(2)で表されるシラン化合物を使用することが好ましい。
R3 mSi(OR4)4−m(2)
(式中、R3は炭素数1〜18のアミノ基を含有してもよいアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はフッ素原子で置換されてもよい炭化水素基を表し、R4は炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アリール基を表し、mは1〜3の数を表す。)
一般式(2)のR3は、炭素数1〜18のアミノ基を含有してもよいアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はフッ素原子で置換されてもよい炭化水素基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ターシャリペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、イソウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基等のアルキル基;前記アルキル基の適所にアミノ基を含有したアミノアルキル基;前記アルキル基の適所をフッ素原子で置換したフッ素化アルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、オレイル基等のアルケニル基;前記アルケニル基の適所にアミノ基を含有したアミノアルケニル基;前記アルケニル基の適所をフッ素原子で置換したフッ素化アルケニル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族含有炭化水素基;前記芳香族含有炭化水素基の適所にアミノ基を含有したアミノ芳香族含有炭化水素;前記芳香族含有炭化水素基の適所をフッ素原子で置換したフッ素化芳香族含有炭化水素基等が挙げられる。中でも、アルキル基及びアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基が最も好ましい。
一般式(2)のR4は、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アリール基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリブチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等のアルケニル基等が挙げられる。中でも、アルキル基が好ましく、炭素数1及び2のアルキル基がより好ましい。
一般式(1)のmは、1〜3の数を表す。中でも、外殻形成後、外殻表面に疎水基が多く存在するシラン化合物を使用することが好ましく、m=2又は3がより好ましい。
疎水変性シリカ化合物である第二外殻を形成する原料に適したシラン化合物としては、上記の一般式(2)で表されるシラン化合物の中でもm=1〜3のシラン化合物を使用することが好ましく、上記の一般式(2)で表されるシラン化合物の中でもm=2又は3であり、かつR3の炭素数が1〜8のアルキル基であるシラン化合物を使用することがより好ましい。
第二外殻を形成する原料は、第一外殻を形成する原料に対して任意の量を第一外殻の周囲で反応させればよいが、第一外殻を形成する際使用した原料の各原子の合計量(珪素原子、及びアルミニウム原子やチタン原子を含む場合はその合計量)に対する第二外殻を形成する原料の珪素原子の比が、(第一外殻中の珪素原子+アルミニウム原子+チタン原子)/(第二外殻中の珪素原子)=1/0.1〜1/10(モル比)になるように反応させることが好ましく、1/0.2〜1/8(モル比)になるように反応させることがより好ましく、1/0.5〜1/5(モル比)になるように反応させることが最も好ましい。また、第一外殻を形成する原料全量1質量部に対して、第二外殻を形成する原料を0.01〜10質量部反応させることが好ましく、0.1〜5質量部反応させることがより好ましい。第二外殻を形成する際、第一外殻を形成した原料に対して、第二外殻を形成するシラン化合物が少なすぎると、上手く疎水化できない場合があり、また、多すぎると原料同士が反応し凝集してしまう場合や化粧料組成物に配合するに適さない微粒子になる場合がある。
第二外殻を形成させるためには、疎水変性シリカ化合物を形成する原料の1種又は2種以上を、第一外殻の周りで反応させればよい。疎水変性シリカ化合物を形成するシラン化合物を2種以上使用する場合、全て同時に第一外殻の周りで反応させても良く、それぞれ別々に反応させてもよい。
第二外殻を形成する方法としては、第一外殻にシリカ化合物のみを用いた場合もシリカ化合物と金属酸化物からなる複合化合物を用いた場合も、前述した第一外殻を形成する製造方法に連続して反応を行えばよく、例えば、第一外殻形成後、水中或いは水と有機溶媒の混合液中、0〜50℃で第二外殻を形成する原料(例えば、トリメチルモノメトキシシラン)を添加し、同温度で1〜48時間攪拌して反応させる。その後、系の温度を60〜80℃に上げて1〜20時間反応を行う。この反応により、疎水変性シリカ化合物からなる第二外殻を形成することが出来る。第二外殻にアルキル基や反応基を付与したい場合には、アルキルアルコキシシラン化合物や(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン等のシラン化合物を使用すれば良く、微粒子が反応性を持った、微粒子の帯電性が変性した等の物性変性した微粒子が得られる。
さらに、上記の反応時には触媒を使用してもよい。使用出来る触媒としては、第一外殻形成時と同様、例えば、硫酸やトルエンスルフォン酸等の強酸;四塩化チタン、塩化ハフニウム、塩化ジルコニウム、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、塩化鉄、塩化スズ、フッ素化硼素等の金属ハロゲン化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ソヂウムメチラート、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物やアルコラート化物や炭酸塩;アンモニア、トリメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類;酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ナトリウム等の金属酸化物;テトライソプロピルチタネート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド等の有機金属化合物が挙げられる。
上記の様に第一外殻の周囲で、第二外殻を形成することで、ハイブリッド微粒子の物性を変性する。例えば、第一外殻形成時は微粒子が親水性であるのに対し、第二外殻を形成することで疎水性に変性され、本発明の化粧料組成物に配合可能となる。この疎水性の度合いは、用途(求める物性)に応じて決めてやればよく、本明細書にてその好ましい反応量は規定(前述)したが、本発明の効果を損なわない範囲であれば更に疎水化の度合いを上げても問題はない。
ここで、本発明で使用するハイブリッド微粒子を化粧料組成物に配合することで得られる効果を、従来使用されていたハイブリッド型ではない微粒子(粒子全体がシリカ化合物や金属酸化物のみで構成されている疎水性の粒子)を化粧料組成物に配合する場合と比較する。本発明で使用するハイブリッド微粒子は、内核が合成樹脂であり、外殻としてシリカ化合物及びシリカ化合物と金属酸化物との複合化物のいずれかから成る第一外殻と、この第一外殻を疎水変性シリカ化合物で被覆した第二外殻を有するハイブリッド微粒子である。すなわち、本発明で使用するハイブリッド微粒子は、粒子全体がシリカ化合物や金属酸化物のみで構成されている従来の疎水性粒子に比べ、微粒子自体の比重が小さくなる(合成樹脂の比重がシリカ化合物や金属酸化物に比べ小さいため)。このことは、化粧料組成物に配合した際の肌すべりや塗り心地に大きく影響し、本発明のハイブリッド微粒子を用いた化粧料組成物の方が、粒子全体がシリカ化合物や金属酸化物のみで構成されている疎水性粒子を配合した化粧料組成物に比べ、より肌に伸び良く塗れ、肌すべりも良く、化粧膜を長期間軽く保ち、べたつきのない感触のよい被膜を形成・持続させることが出来る。このことは、化粧料組成物を肌に塗った際、心地よい肌への密着性を与え、化粧崩れのしにくさに繋がる。また、これら粒子の比重の違いは、化粧料組成物自体の安定性にも寄与する。すなわち、本発明で使用するハイブリッド微粒子は、シリカ化合物や金属酸化物のみで構成されている疎水性粒子に比べ、比重が小さいことから、化粧料組成物に配合した際に、粒子の沈降等が起きにくく、系の安定性が改善され、長期保存安定性が得られる。比重は合成樹脂によって様々な値を取るが、本明細書内に前述したエマルション類を形成する合成樹脂であれば、特に問題なくこの効果は得られる。中でも、上記効果が顕著に現れ、その効果が優れていることから、原料にスチレンを用い重合した樹脂、原料に(メタ)アクリル酸エステルを用い重合した樹脂を用いることが好ましい。ここで、表1に内核に使用可能な代表的な合成樹脂の比重を、表2にシリカ、酸化アルミニウム及び酸化チタンの比重を示す。
これらの合成樹脂を内核に使用した本発明のハイブリッド微粒子は、比重を0.85〜2.50程度に自由に変えることが可能であり、肌すべりや塗り心地と系の安定性両方の観点から、1.1〜2.0程度のハイブリッド微粒子であることが性能上好ましい。
更に、本発明で使用するハイブリッド微粒子は、粒子全体がシリカ化合物や金属酸化物のみで構成されている従来の疎水性粒子に比べ、内核部の合成樹脂の種類によって粒子の屈折率もまた調整可能である。第一外殻にシリカ化合物だけではなく、アルミニウム化合物、チタン化合物等を含有することでも、多少の屈折率調整は可能ではあるが、ハイブリッド微粒子中の金属酸化物の好ましい含有量は、シリカ化合物と比較すると非常に少量であるため、内核の合成樹脂の屈折率の影響の方をより受け易い。ゆえに、内核の合成樹脂で調整した屈折率をもつハイブリッド微粒子を化粧料組成物に配合することで、それぞれの屈折率に応じた、意匠性の異なる、ソフトフォーカス性に優れた化粧料組成物を得ることが出来る。中でも、肌すべりや良好な塗り心地が得られる効果と共にこの効果を発揮することから、原料にスチレンを用い重合した樹脂、原料に(メタ)アクリル酸エステルを用い重合した樹脂を用いることが好ましい。ここで、表3に内核に使用可能な代表的な合成樹脂の屈折率を、表4にシリカ、酸化アルミニウム及び酸化チタンの屈折率を示す。
これらの合成樹脂を内核に使用した本発明のハイブリッド微粒子は、屈折率を1.40〜1.90程度に自由に変えることが可能であり、ソフトフォーカス効果が顕著に得られやすいことから、1.45〜1.65程度のハイブリッド微粒子であることが性能上好ましい。
本発明で使用するハイブリッド微粒子は第一外殻に酸化アルミニウムや酸化チタンを含有することで、内核の合成樹脂同様、ハイブリッド微粒子の比重や屈折率を微調整することが可能である。しかし、前述したとおり、第一外殻の金属酸化物の好ましい含有量は、シリカ化合物と比較すると非常に少量であるため、この効果は、内核の合成樹脂ほど影響を与えるものではなく、本明細書内で前述した第一外殻で使用するシリカ化合物と金属酸化物の配合比の範囲内であれば、調整可能である(シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタンの比重、屈折率の値は前述した表2、表4を参照)。すなわち、第一外殻で使用する原料に適切なものを選択することで、内核の合成樹脂だけでは調整出来なかった比重の微調整を行い、用途に応じた肌すべりや塗り心地を与える化粧料組成物が得られ、また、同様に屈折率を微調整することにより、内核の合成樹脂だけでは出来なかった肌への意匠性やソフトフォーカス効果を与える化粧料組成物を得ることが出来る。また、第一外殻にシリカ化合物だけではなく、酸化アルミニウムや酸化チタンを含有することで、粒子としての衝撃安定性を上げることも可能である。すなわち、シリカ化合物のみを第一外殻に使用すると、化粧料組成物に配合し肌に塗った際、ハイブリッド微粒子の粒径が崩れる場合があり、揃っていた粒径がバラバラになると肌でざらつき感を感じる可能性がある。しかし、第一外殻にシリカ化合物だけではなく、酸化アルミニウムや酸化チタンを含有することで、粒子としての強度が上がることから、衝撃安定性が高まり、これを配合した化粧料組成物を肌に塗った際、粒径は保たれ、ざらつき感なく均一に肌に付着・伸展させることが出来、心地よい印象を与える。ゆえに、本発明で使用するハイブリッド微粒子は外第一殻に酸化アルミニウムや酸化チタンを含有することが性能上好ましい。
本発明で使用するハイブリッド微粒子は、化粧料組成物であればどの用途の化粧料組成物にも配合することは可能であるが、ハイブリッド微粒子の疎水性が高いことから本発明の効果が顕著に現れ易い油系化粧料組成物に配合することが好ましく、中でも意匠性やソフトフォーカス効果に優れていることから、油系の日中用基礎化粧料や、日焼け止め、化粧下地、BBクリーム、ファンデーション、アイシャドウやチーク等に配合することが好ましい。
さらに、本発明で使用するハイブリッド微粒子は、第一外殻・第二外殻が共にシリカ化合物のみの場合はもちろん、第一外殻がシリカ化合物と金属酸化物との複合化合物であっても、その大半がシリカ化合物であることから、通常のシリカ粒子の持つ性能、すなわち、安定剤としての効果、感触改良剤としての効果、不透明化剤としての効果、増粘剤としての効果、隠蔽剤としての効果、パール顔料としての効果、沈降防止剤としての効果、固結防止剤としての効果、粉末化剤としての効果、研磨剤としての効果、スクラブ剤としての効果、吸着剤としての効果、抗ケーキング剤としての効果、増量剤としての効果、紫外線散乱剤としての効果等もまた持ち併せている。更に、第一外殻に、シリカ化合物だけではなく、アルミニウム化合物やチタン化合物を含有することで、これらの量を変化させ、外殻の硬度を調整する事が可能である。
本発明の化粧料組成物は、本発明の化粧料組成物の必須成分である炭化水素、エステル及びシリコーン誘導体以外で、本発明の効果を損なわない質的、量的範囲内であれば、適宜様々な特性を付与する目的で、化粧料組成物で一般に使用されるその他の添加剤を使用することが出来る。例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、粉末成分、液体油脂、固体油脂、高級脂肪酸、有機酸、高分子化合物、粘性調整剤(増粘剤)、低級アルコール、多価アルコール、糖アルコール、糖、アミノ酸及びその誘導体、有機アミン、タンパク質及びその誘導体、ビタミン及びその誘導体、高分子エマルジョン、pH調整剤、保湿剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、皮膜形成剤、防腐剤、殺菌剤、キレート剤、紫外線吸収剤、ヘアコンディショニング剤、着色剤、香料、安定化剤、収斂剤、清涼剤、血行促進剤、消炎剤、賦活剤、美白剤、抗脂漏剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、アルカリ、アミン、各種抽出物及び植物海藻エキス等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を任意に配合することが出来る。
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。しかしながら、これによって本発明は何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。
まず、本発明の化粧料組成物に配合するハイブリッド微粒子の製造方法について以下に示す。なお、得られたハイブリッド微粒子の粒径は、第二外殻形成後のものを記載している。株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用い、粒子100個の粒径を倍率5万倍で観察し、その平均粒子径を算出している。
<微粒子1の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、スチレンモノマー50g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド2gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリスチレンを固形分として9.2%含有するポリスチレン乳化物を得た。得られたポリスチレン乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらオルト珪酸ソーダ15.77g(珪素原子換算で2.41g:85.7mmol)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させた。後に、系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらジメトキシジメチルシラン20.54g(珪素原子換算で4.80g)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃ に昇温して更に6時間反応させ、得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子1の粉体を得た(平均粒子径約130nm)。
<微粒子2の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、スチレンモノマー50g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド1.5gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリスチレンを固形分として9.2%含有するポリスチレン乳化物を得た。得られたポリスチレン乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらオルト珪酸ソーダ15.77g(珪素原子換算で2.41g:85.7mmol)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させた。後に、系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらジメトキシジメチルシラン20.54g(珪素原子換算で4.80g)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させ、得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子2の粉体を得た(平均粒子径約210nm)。
<微粒子3の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、スチレンモノマー50g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド4gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリスチレンを固形分として9.1%含有するポリスチレン乳化物を得た。得られたポリスチレン乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらオルト珪酸ソーダ15.77g(珪素原子換算で2.41g:85.7mmol)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させた。後に、系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらジメトキシジメチルシラン20.54g(珪素原子換算で4.80g)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃ に昇温して更に6時間反応させ、得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子3の粉体を得た(平均粒子径約60nm)。
<微粒子4の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、スチレンモノマー50g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド1.5gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製) を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリスチレンを固形分として9.2%含有するポリスチレン乳化物を得た。得られたポリスチレン乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながら、オルト珪酸ソーダ15.7g(珪素原子換算で2.40g:85.3mmol)及びアルミン酸ソーダ0.07g(アルミニウム原子換算で0.024g:0.86mmol)の混合物(珪素原子/アルミニウム原子=99/1(モル比))を添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させた。後に、系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらジメトキシジメチルシラン20.72g(珪素原子換算で4.84g:172.3mmol)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させ、得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子4の粉体を得た(平均粒子径約220nm)。
<微粒子5の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、スチレンモノマー50g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド1.5gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリスチレンを固形分として9.2%含有するポリスチレン乳化物を得た。得られたポリスチレン乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながら、オルト珪酸ソーダ15.03g(珪素原子換算で2.29g:81.7mmol)及びアルミン酸ソーダ0.74(アルミニウム原子換算で0.25g:9.1mmol)の混合物(珪素原子/アルミニウム原子=90/10(モル比))を添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させた。後に、系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらジメトキシジメチルシラン21.85g(珪素原子換算で5.1g:181.6mmol)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させ、得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子5の粉体を得た(平均粒子径約210nm)。
<微粒子6の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、スチレンモノマー50g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド1.5gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリスチレンを固形分として9.2%含有するポリスチレン乳化物を得た。得られたポリスチレン乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながら、オルト珪酸ソーダ15.7g(珪素原子換算で2.40g:85.3mmol)及びアルミン酸ソーダ0.07g(アルミニウム原子換算で0.024g:0.86mmol)の混合物(珪素原子/アルミニウム原子=99/1(モル比))を添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させた。後に、系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらメトキシトリメチルシラン17.96g(珪素原子換算で4.84g:172.3mmol)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃ に昇温して更に6時間反応させ、得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子6の粉体を得た(平均粒子径約220nm)。
<微粒子7の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、スチレンモノマー50g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド1.5gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリスチレンを固形分として9.2%含有するポリスチレン乳化物を得た。得られたポリスチレン乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながら、オルト珪酸ソーダ15.7g(珪素原子換算で2.40g:85.3mmol)及びチタン酸ソーダ0.26g(チタン原子換算で0.041g:0.86mmol)の混合物(珪素原子/チタン原子=99/1(モル比))を添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃ に昇温して更に6時間反応させた。後に、系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらジメトキシジメチルシラン20.72g(珪素原子換算で4.8g:172.3mmol)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させ、得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子7の粉体を得た(平均粒子径約210nm)。
<微粒子8の製造方法>
温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの1000mlの4つ口フラスコに、メタクリル酸メチルモノマー48g、蒸留水500g、乳化剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロライド1.5gを入れて窒素置換し、攪拌しながら70℃まで昇温させた。昇温後、開始剤として水溶性アゾ系重合開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製) を0.7g添加し、70℃で3時間反応させて、乳白色液状のポリメタクリル酸メチルを固形分として8.9%含有するポリメタクリル酸メチル乳化物を得た。得られたポリメタクリル酸メチル乳化物100gを、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を886.9g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながら、オルト珪酸ソーダ15.7g(珪素原子換算で2.40g:85.3mmol)及びアルミン酸ソーダ0.07g(アルミニウム原子換算で0.024g:0.86mmol)の混合物(珪素原子/アルミニウム原子=99/1(モル比))を添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させた。後に、系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらジメトキシジメチルシラン20.72g(珪素原子換算で4.84g:172.3mmol)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃ に昇温して更に6時間反応させ、得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子8の粉体を得た(平均粒子径約210nm)。
<微粒子9の製造方法>
旭化成ラテックス社製 DL−612(スチレン/ブタジエンラテックス)20g(スチレン/ブタジエンポリマーを固形分として48%含有)を、温度計、窒素導入管及び攪拌機付きの2000mlの4つ口フラスコに入れ、更に蒸留水を1019.6g添加して窒素置換をおこなった。系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながら、オルト珪酸ソーダ15.7g(珪素原子換算で2.40g:85.3mmol)及びアルミン酸ソーダ0.07g(アルミニウム原子換算で0.024g:0.86mmol)の混合物(珪素原子/アルミニウム原子=99/1(モル比))を添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃に昇温して更に6時間反応させた。後に、系内の温度を25℃に調整した後、系内を攪拌しながらジメトキシジメチルシラン20.72g(珪素原子換算で4.84g:172.3mmol)添加し、25℃のまま24時間反応させ、その後70℃ に昇温して更に6時間反応させ、得た水溶液をろ過後、水洗し、乾燥させて微粒子9の粉体を得た(平均粒子径約240nm)。
<微粒子10について>
日本アエロジル株式会社製 アエロジル R805(疎水性シリカ粒子 平均粒子径12nm)
<微粒子11について>
日本アエロジル株式会社製 アエロジル R812(疎水性シリカ粒子 平均粒子径7nm)
上記に記載した微粒子についてまとめたものを以下表5に示す。
< 肌すべり・肌への塗り心地(べたつき感)(微粒子1〜11を使用) >
試験方法
まず、(1)スクワラン、(2)イソステアリン酸イソセチル、(3)シクロメチコン、(4)グリセリンから1種選択し、これら30gに対し、表6に示した配合量で微粒子を配合する。微粒子が均一に分散するよう常温にて攪拌後、試験サンプル1〜20とした。この試験サンプル1〜20と、微粒子を使用していない試験サンプル21について、一般女性A〜J(10人)に自ら肌へ塗ってもらい、それぞれの肌すべり・肌への塗り心地(べたつき感)について調査した。肌すべりに関しては、肌に塗る際の滑らかさを評価してもらい、塗り心地(べたつき感)に関しては、肌に塗りしばらく肌になじませた後、5分後の肌の様子で評価してもらう。
評価方法
肌すべり・塗り心地(べたつき感)についてそれぞれ、最も良好なものを3点とし、それを基準に、2点、1点、0点の4段階で評価してもらう。
試験サンプル1〜21は以下表6に示す。
一般女性A〜J(10人)の、肌すべりに関する個人評価結果を表7に示し、その各個人の点数を集計した試験サンプルごとの総合点を図1に示す。また、肌への塗り心地(べたつき感)に関する個人評価結果を表8に示し、その各個人の点数を集計した試験サンプルごとの総合点を図2に示す。更に、この2つの観点からの評価結果を集計し、どの試験サンプルが総合的に好まれたのか点数化したものを図3に示した。
結果、肌すべりに関しては、本発明で使用するハイブリッド微粒子と(1)スクワラン、(2)イソステアリン酸イソセチル、(3)シクロメチコンのいずれかを併用した試験サンプルは、良好な結果を示した。しかし、従来用いられていたシリカ微粒子は、ハイブリッド微粒子に比べ比重が大きいことから肌すべりが滑らかではなく、試験サンプル21を下回る結果となった。塗り心地(べたつき感)に関しても、本発明で使用するハイブリッド微粒子と(1)スクワラン、(2)イソステアリン酸イソセチル、(3)シクロメチコンのいずれかを併用した試験サンプルは良好な結果を示したが、従来用いられていたシリカ微粒子は、微粒子を配合しなかった試験サンプル21とほぼ変わらない結果が得られ、塗り心地改善効果は見られなかった。また、本発明で使用するハイブリッド微粒子と(4)グリセリンを併用した試験サンプル20については、ハイブリッド微粒子を使用しているものの、(4)グリセリンがハイブリッド微粒子の分散媒として不適切であったため、肌すべりに関しても、塗り心地(べたつき感)に関しても試験サンプル21を下回る結果となった。
< 安定性に関する試験(微粒子1〜11を使用) >
試験方法
上記肌すべり・塗り心地(べたつき感)に関する試験に使用した試験サンプル1〜20について常温で2週間静置し、それぞれの系の安定性について調査した(試験サンプル21は除く)。
評価方法
目視による評価
◎ … 変化なし
○ … 上下に色むらがある
△ … 下部に白濁あり
× … 沈殿あり
結果を以下表9に示す。
結果、本発明で使用するハイブリッド微粒子と(1)スクワラン、(2)イソステアリン酸イソセチル、(3)シクロメチコンのいずれかを併用した試験サンプルは、従来用いられていた微粒子を使用した系に比べ、良好な安定性を示した。しかし、本発明で使用するハイブリッド微粒子と(4)グリセリンを併用した試験サンプル20については、(4)グリセリンがハイブリッド微粒子の分散媒として不適切であったため、沈殿が見られた。
< 肌への密着性(化粧崩れのしにくさ)に関する試験(微粒子1〜11を使用) >
試験方法
微粒子1〜11を試験用化粧料に配合し、肌への密着性(化粧崩れのしにくさ)について、肌すべり・肌への塗り心地(べたつき感)に関する試験で評価して頂いた一般女性A〜J(10人)に再度自ら肌へ塗ってもらい調査した。微粒子1〜11を配合した試験用化粧料について、肌に塗った直後の肌の様子とその後普段通りの生活を送ってもらい6時間後の肌の様子を比較し、その化粧崩れのしにくさを評価してもらう。
評価方法
肌への密着性(化粧崩れのしにくさ)について、最も良好なものを3点とし、それを基準に、2点、1点、0点の4段階で評価してもらう。
試験サンプル22〜33は以下表10に示す。表10の数値は配合量(g)を表す。
肌への密着性(化粧崩れのしにくさ)に関する個人評価結果を表11に示し、その各個人の点数を集計した試験サンプルごとの総合点を図4に示す。
結果、肌への密着性(化粧崩れのしにくさ)に関しては、ハイブリッド微粒子を配合した試験サンプルは、良好な結果を示した。しかし、従来用いられていたシリカ微粒子は、ハイブリッド微粒子に比べ比重が大きいことから化粧料に配合した際の系の安定性もあまり良好ではなく、化粧料に若干ざらつきが感じられるサンプルもあり、肌に塗った際、化粧崩れしやすい傾向が見られた。
<意匠性・ソフトフォーカス性に関する試験(ハイブリッド微粒子1〜11を使用)>
試験方法
肌への密着性(化粧崩れのしにくさ)に関する試験で用いた試験サンプルのうち何点か選出し、意匠性(見え方の違い)・ソフトフォーカス性について評価した。この試験も、これまで評価に協力して頂いた一般女性A〜J(10人)に点数付けを行ってもらった。選出した試験サンプルは、各微粒子(微粒子No.2、4、8、9、10、11)を配合した試験用化粧料(試験サンプル23、26、29、30、31、32)である。
評価方法
意匠性(見え方)が変わった場合は「はい」、変わらなかった場合は「いいえ」、どちらとも言えない場合は「わからない」と回答。「はい」と答えた人数で、各化粧下地の意匠性・ソフトフォーカス性を評価する。
結果を以下に示す。
(I)試験サンプル23と26の比較評価
一般女性10人中 「はい」 … 3人
「いいえ」 … 3人
「わからない」… 4人
(II)試験サンプル26と29の比較試験
一般女性10人中 「はい」 … 9人
「いいえ」 … 0人
「わからない」… 1人
(III)試験サンプル29と30の比較評価
一般女性10人中 「はい」 … 9人
「いいえ」 … 0人
「わからない」… 1人
(IV)試験サンプル26と30の比較試験
一般女性10人中 「はい」 … 9人
「いいえ」 … 1人
「わからない」… 0人
(V)試験サンプル23と31の比較評価
一般女性10人中 「はい」 … 7人
「いいえ」 … 1人
「わからない」… 2人
(VI)試験サンプル31と32の比較評価
一般女性10人中 「はい」 … 0人
「いいえ」 …10人
「わからない」… 0人
上記(I)〜(VI)の試験でわかることは以下の通りである。
(I)の結果 …外殻に金属酸化物を使用した場合、人によっては若干意匠
性の変化を感じる場合がある。
(II)〜(IV)の結果…内核に用いる樹脂によって意匠性が変わる。
(V)の結果 …従来のシリカ粒子を使用した場合と本発明で使用するハイ
ブリッド微粒子を使用した場合では意匠性が変わる。
(VI)の結果 …従来使用されていたシリカ粒子は、粒径等に関係なく意匠 性は変えられない。
よって、以上の結果から、ハイブリッド微粒子を配合した本発明の化粧料組成物は、従来の微粒子を配合した化粧料組成物に比べ、意匠性やソフトフォーカス効果に変化を与えることができることがわかった。