JP3411035B2 - 低リンホエータンパク質,その製造方法,低リン精製ホエータンパク質加水分解物およびその製造方法 - Google Patents

低リンホエータンパク質,その製造方法,低リン精製ホエータンパク質加水分解物およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明は、低リンホエータンパク質、その製造方
法、低リン精製ホエータンパク質加水分解物およびその
製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この発
明は、各種食品の栄養価またはタンパク質の強化に有用
な低リンホエータンパク質、そのタンパク質の容易、か
つ安価な製造方法と、各種食品、医薬品のタンパク質ま
たはアミノ酸の代替物として有用であり、化粧品素材と
しても有用な低リン精製ホエータンパク質加水分解物お
よびその製造方法に関するものである。
なお、下記の説明において、タンパク質(またはホエ
ータンパク質)加水分解物とは、タンパク質(またはホ
エータンパク質)の加水分解物により得られるペプチド
と遊離アミノ酸との混合物であり、遊離アミノ酸含量と
は、タンパク質(またはホエータンパク質)加水分解物
中の全アミノ酸の含量に対する遊離アミノ酸の含量の重
量百分率である。
背景技術 ホエー(乳清)は、牛乳からチーズまたはカゼインを
製造したときの副産物として得られるが、ホエーに含ま
れているタンパク質(以下ホエータンパク質と記載する
ことがある)は高い栄養価を有している。また、ホエー
タンパク質の含量を増加したホエータンパク質濃縮物
は、さらに高い栄養価を有する他に、起泡性、高い溶解
性、ゲル形成能などの優れた特性を有し、乳製品、飲
料、肉製品、菓子・ケーキ類、パン類など多くの食品に
使用され、育児用調製粉乳のタンパク質強化にも用いら
れている。
さらに近年、ペプチドが、同一アミノ酸組成のタンパ
ク質およびアミノ酸混合物に比較して消化吸収性の良
さ、抗原性の低さ、浸透圧の低さ、および生理活性を有
するなど栄養学的、生理学的な面で優れることから、ペ
プチドの利用が様々な分野から注目され、従来の食品へ
の利用のほかに、化粧品および医薬品への幅広い利用が
検討されているが、このペプチドを工業的に大量に調製
するのに適していることなどから、ホエータンパク質の
酵素による加水分解物が種々研究されている。
ところで、これらのホエータンパク質およびその加水
分解物は、その用途の拡大にともない、各種用途に応じ
た独特の品質が要求されるようになってきており、特に
医療目的の原料としてホエータンパク質およびその加水
分解物を使用する場合には、その成分組成に種々の制約
が課せられることから、高度な精製が不可欠なものとな
っている。
また近年、食品などからのリンの過剰摂取が骨代謝に
及ぼす悪影響が明らかになり、リン摂取量の抑制が注目
されている。たとえば、医療分野では、腎不全のため透
析治療を行っている患者の血中リン濃度の増加が、骨の
成長阻害、その他疾患を惹起することが明らかとなり、
これらの患者の摂取する食品からはリンの低減が望まれ
ている。また、種々の要因により生ずる高リン血症に対
しては、現在のところ副作用のない有効な治療法がない
ため、患者用の低リン栄養食が待望されている。
以上のようにリン含量を低減した食品が望まれている
ことから、特に必須栄養素であるタンパク質の低リン化
は重要な課題となっている。例えば、ホエータンパク質
の無機質組成の改善を目的とする場合、通常はホエータ
ンパク質を脱塩処理するが、リン含量の減少は最も困難
であり、タンパク質1g当りのリン含量を0.15mg以下に減
少させたホエータンパク質を製造することは従来不可能
であった。
食品中のリンを除去する従来の方法は、(a)pHを5.
2〜6.0に調整した脱脂乳を、陰イオン交換体と接触させ
る方法(特開昭60−256342号公報)、(b)乳清中にカ
ルシウムを加えて遊離リン酸をリン酸カルシウムとして
沈殿させる方法(特開昭63−91037号公報)および
(c)液状食品を活性アルミナと接触させる方法(特開
平2−49548号公報)が知られている。
またこの発明の発明者らの一部は、低リンホエータン
パク質を製造するためのホエーの処理方法を開発し、特
許出願を行った(特開平2−117366号公報。以下先願1
と記載する)。この先願1の方法は、甘性ホエーを限外
濾過法により3倍以上に濃縮し、pHを3.0〜4.5に調整
し、陽イオン交換体に接触させてタンパク質を吸着さ
せ、吸着したタンパク質を塩類の溶液でイオン交換体か
ら溶出する方法である。
一方、例えば経静脈用輸液の窒素成分としてアミノ酸
に代えてタンパク質加水分解物を使用することを考えた
場合、そのタンパク質加水分解物は、抗原性が除去され
ている必要があり、しかもリンをはじめとする無機質の
組成は、経静脈用輸液全体の組成から制限を受ける。ま
た、経静脈用輸液の製造工程中の高圧蒸気滅菌または保
存中などにおけるアミノカルボニル反応による液の着色
を防ぐために、タンパク質加水分解物中に遊離アミノ酸
と無機質および還元糖(例えば乳糖)とが共存していな
いことが望ましく、かつ血中に投与することからエンド
トキシンにも制限が設けられる。さらには、アミノ酸の
代替物ということから当然遊離アミノ酸含量はできる限
り低く抑えられるべきである。
しかし、ホエータンパク質加水分解物を製造するため
の原料として牛乳由来のタンパク質を使用する場合に
は、その原料中に無機質、乳糖、脂肪など調整または除
去する必要のある成分が多く含まれており、上記の条件
をすべて満たすような高度に精製されたホエータンパク
質加水分解物はこれまで得られていなかった。
なお、上記条件に関連する特性を有する従来のタンパ
ク質加水分解物およびその製造方法は、(d)分子量分
布が10,000以下でメインピーク1,000〜5,000、遊離アミ
ノ酸含量20%(重量。以下、特に断りのない限り同じ)
以下、抗原性がβ−ラクトグロブリンの抗原性の1/10,0
00以下である低アレルゲン化したホエ−タンパク加水分
解物、およびホエータンパクをpH6〜10においてタンパ
ク加水分解酵素を用いて酵素分解し、これを加熱して酵
素を失活させる低アレルゲン化したホエ−タンパク加水
分解物の製造法(特開平4−112753号公報)、(e)分
子量6,000ダルトン以下のペプチド類および場合により
アミノ酸類からなり、かつアレルゲン性物質およびラク
トースを含有しない乳清の加水分解によるペプチド製
品、並びに濃縮した乳清を透析濾過して得た乳清タンパ
ク質残留物を酵素的に加水分解するペプチド製品の製造
方法(特許出願公表昭63−502004号公報)などがある。
また、この発明の発明者らの一部は、含まれるペプチ
ドの分子量が1,000以下で抗原性を呈さず、遊離アミノ
酸含有量が20%以下で、芳香族アミノ酸含有量が、全ア
ミノ酸量の1.0%以下である低分子量ペプチド組成物、
および蛋白質原料を蛋白質分解酵素により抗原性を認め
なくなるまで、かつ、原料蛋白質に含まれる芳香族アミ
ノ酸が、90%以上遊離アミノ酸になるまで分解し、ゲル
濾過法によりペプチド部分を回収する低分子量ペプチド
組成物の製造方法(特開平2−138991号公報。以下先願
2と記載する)、分子量が1,000以下のペプチド混合物
で、芳香族アミノ酸の90%以上が遊離アミノ酸であり、
乳蛋白質の抗原性を有しない乳蛋白質の加水分解物(特
開平4−26604号公報。以下先願3と記載する)、分子
量が1,000ダルトン以下のペプチド混合物で、全アミノ
酸含量に対する芳香族アミノ酸含量が5%以下であり、
乳蛋白質の抗原性を有しない乳蛋白質の加水分解物の分
画物(特開平4−26605号公報。以下先願4と記載す
る)、少なくとも70%の純度の乳清蛋白質を加水分解し
て得られ、分子量分布が2,000ダルトン以下、抗乳清蛋
白質血清を用いたエライザ抑制試験法により測定した抗
原残存活性が10-4以下、全アミノ酸含量に対する遊離ア
ミノ酸含量が5%以下であることを特徴とするオリゴペ
プチド混合物、および少なくとも70%の純度の乳清蛋白
質を10%以下の濃度で水に溶解し、得られた水溶液をpH
7.5〜10に調整し、酵素加水分解し、加熱により酵素を
失活するかまたはウルトラフィルトレーションにより酵
素を除去することを特徴とするオリゴペプチド混合物の
製造法(特開平4−248959号公報。以下先願5と記載す
る)を先に特許出願した。
しかしながら、食品中のリンを除去する従来技術につ
いては、前記(a)、(b)および(c)の方法では乳
または液状の食品から高度にリンを除去することは不可
能であり、タンパク質1g当りのリン含量は、それぞれ40
mg、10mgおよび6.4mgが限度であった。また、前記先願
1の方法によれば、ホエータンパク質についてタンパク
質1g当り0.44mgに減少させることは可能であるが、タン
パク質1g当りのリン含量を0.15mg以下の微量にまで減少
させることは不可能であった。
さらに、従来技術においても陽イオン交換樹脂または
陰イオン交換樹脂と接触させる前にタンパク質溶液のpH
調整を行うことはなされていたが、pH調整の下限は対象
とするタンパク質の等電点沈殿の発生により制限される
のが通例であった。しかも、原料タンパク質溶液をH+
陽イオン交換樹脂と接触させる場合、pHが低下して溶液
が酸性になるので、H+形陽イオン交換樹脂と接触させる
前にわざわざ溶液のpHを酸性に調整することは、先願1
を除き従来全く考慮されていなかった。
一方、タンパク質加水分解物およびその製造方法につ
いては、前記(d)、(e)、先願2〜5などの従来技
術では、乳糖含量、分子量分布、遊離アミノ酸含量、抗
原性などの条件のうちの数項目については検討している
が、タンパク質1g当りのリン含量を0.15mg以下の微量ま
で減少させることは不可能であり、その他無機質含量、
乳糖含量、分子量分布、遊離アミノ酸含量、抗原性、エ
ンドトキシン含量のすべての項目にわたって検討された
精製度の高いタンパク質加水分解物はこれまで報告され
ていなかった。
この発明の発明者らは、前記先願1〜5の方法を特許
出願した後、よりリン含量を減少させたホエータンパク
質の製造方法について鋭意研究を行った結果、先願1の
方法よりもさらに低いpHにおいてホエータンパク質を陽
イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂と接触させるこ
とによってホエータンパク質のリン含量を顕著に低減し
得ることを見出し、さらに当該方法により得られるリン
含量の低いホエータンパク質の加水分解について鋭意研
究を行い、前記先願2〜5のタンパク質加水分解物より
さらにリン含量が低く、その他無機質含量、乳糖含量、
分子量分布、遊離アミノ酸含量、抗原性、エンドトキシ
ン含量のすべてが低減された精製度の高いタンパク質加
水分解物が得られることを見出し、この発明を完成し
た。
発明の開示 この発明は、タンパク質1g当りのリン含量が、0.15mg
以下であることを特徴とする低リンホエータンパク質で
ある。
この発明は、ホエータンパク質を含有する溶液のpHを
4以下に調整し、H+形陽イオン交換樹脂および陰イオン
交換樹脂に順次接触させ、タンパク質1g当りのリン含量
を0.15mg以下に減少させることを特徴とする低リンホエ
ータンパク質の製造方法である。
また、この発明は、以下の(1)〜(6)の性質を有
する低リン精製ホエータンパク質加水分解物である。
(1)タンパク質1g当りに以下の量の無機質を含有する
こと、 ナトリウム 20mg以下 カリウム 20mg以下 マグネシウム 0.057mg以下 リン 0.15mg以下 カルシウム 0.227mg以下 塩素 0.568mg以下 (2)乳糖含量が0.5%以下であること、 (3)1,200以下の分子量を有する画分が90%以上であ
ること、 (4)遊離アミノ酸含量が6%以下であること、 (5)エライザ抑制試験法(ELISA:Enzyme linked im
muno−sorbent assay)により測定した抗原性がβ−ラ
クトグロブリンの抗原性の10-6以下であること、 (6)乾燥物1g中のエンドトキシンが10EU以下であるこ
と。
さらに、この発明は、ホエータンパク質を含有する溶
液のpHを4以下に調整し、H+形陽イオン交換樹脂および
OH-形陰イオン交換樹脂に順次接触させ、pHを5以上10
以下に調整し、限外濾過にて乳糖を除去し、動物起源の
プロテアーゼとバシラス(Bacillus)属の微生物が産出
するプロテアーゼとからなる2種以上の複合酵素、また
は動物起源のプロテアーゼ、バシラス属の微生物が産出
するプロテアーゼおよびその他のプロテアーゼとからな
る3種以上の複合酵素を添加して酵素分解し、加熱して
酵素を失活させると共に未反応のタンパク質を沈殿さ
せ、次いで限外濾過して沈殿および脂肪を除去すること
を特徴とする低リン精製ホエータンパク質加水分解物の
製造方法である。
なお、この発明の上記製造方法の各々においては、ホ
エータンパク質を含有する溶液のpHを3未満に調整する
ことを好ましい態様としてもいる。
この発明によれば、従来達成し得なかったリン含量の
顕著に低いホエータンパクを、極めて容易かつ安価に製
造することができ、しかも、ホエーを工業的規模で大量
に効率よく処理することができる。
また、リン、無機質、乳糖、エンドトキシンの含量が
非常に低く、非抗原性、吸収性に優れたホエータンパク
質加水分解物が提供される。
発明を実施するための最良の形態 まず、この発明の低リンホエータンパク質の製造方法
は、ホエータンパク質を含有する溶液のpHを4以下に調
整し、H+形陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂に
順次接触させ、タンパク質1g当りのリン含量を0.15mg以
下に減少させることを特徴としている。
ホエーとは、全脂乳または脱脂乳は酸またはレンネッ
トを添加し、生ずるカゼインを除去した残りの液体であ
り、約0.3〜0.7%のタンパク質を含有している。
この発明の低リンホエータンパク質の製造方法におい
て使用する出発原料は、タンパク質含量70%以上のホエ
ータンパク質濃縮物であり、市販品を使用することもで
きるが、ホエーから公知の方法によりタンパク質を分離
し、タンパク質含量を70%以上に濃縮した濃縮物であっ
てもよい。この濃縮物は、例えば、限外濾過膜による分
画によって低分子物質を除去しながらタンパク質を濃縮
する方法、陽イオン交換体および陰イオン交換体にタン
パク質を吸着させた後溶出して濃縮する方法、ゲル濾過
担体を充填したカラムによって脱塩および脱乳糖と同時
にタンパク質を回収する方法などにより製造することが
できる。ホエータンパク質濃縮物のリン含量は、製造方
法によって相違があり、現在市販されているタンパク質
濃縮物について例示すれば、タンパク質1g当りのリン含
量は0.4〜5.0mgの範囲である。
この出発原料を希釈し、ホエータンパク質5〜20%程
度の濃度の溶液に調製し、酸を添加してpH4以下、望ま
しくはpH3未満に調整する。pHの調整に用いられる酸
は、塩酸、クエン酸、乳酸、酢酸、硫酸などを例示する
ことができる。ホエータンパク質を含有する溶液のpHは
中性付近であるため、pHの調整に際してホエータンパク
質の等電点(pH5付近)を通過することになるが、所望
のpHに調整するために必要な酸の添加量を予め決定し、
その所定添加量を数秒〜1分間以内に全量を添加し、速
やかに混合、撹拌し、ホエータンパク質の凝固などを惹
起せずに、所定のpHに調整することができる。
次いでpHを4以下に調整したホエータンパク質を含有
する溶液を、まずH+形陽イオン交換樹脂と接触させる。
使用する陽イオン交換樹脂は、強酸性または弱酸性のい
ずれの樹脂であってもよく、ダイアイオンSK18(商標。
三菱化成工業社製)、デュオライトC−26(商標。ケミ
カル・プロセス社製)、アンバーライトIR−120B(商
標。オルガノ社製)、ダウエックスMSC−1(商標。ダ
ウケミカル社製)などの市販品を例示することができ
る。
このH+形陽イオン交換樹脂との接触によりホエータン
パク質を含有する溶液のpHは、通常1〜2.5程度とな
る。ホエータンパク質を含有する溶液のpHを調整せずに
中性付近でH+形陽イオン交換樹脂と接触させた場合、後
記する試験例から明らかなようにリン含量を低減させる
効果が認められないばかりではなく、pHの低下によりホ
エータンパク質の等電点(pH5付近)を通過するために
凝固が生成し、連続的なイオン交換樹脂処理が不可能と
なる。
pHを調製したホエータンパク質を含有する溶液と陽イ
オン交換樹脂との接触はバッチ攪拌法、カラム連続法な
ど適宜の方法で行うことができ、溶液と陽イオン交換樹
脂とを十分接触させることのできる方法であればいずれ
であってもよいが、工業的規模で実施する場合には操作
が簡便なカラム連続法が望ましい。
ホエータンパク質を含有する溶液と陽イオン交換樹脂
との混合比率は、イオン交換樹脂の吸着能力によって異
なるが、陽イオン交換樹脂の総交換容量(当量)がホエ
ータンパク質を含有する溶液の陽イオン総量(当量)よ
り大きいことが必要であり、樹脂利用効率の点から2〜
5倍量が望ましい。
ホエータンパク質を含有する溶液と陽イオン交換樹脂
との接触時の温度は、ホエータンパク質の熱変性が生じ
ない0〜60℃であればよいが、微生物による腐敗を予防
するために0〜10℃で実施するのが望ましい。ホエータ
ンパク質を含有する溶液との接触時間は、接触時の温
度、採用する接触方式などを勘案して適宜決定すること
ができる。例えば、バッチ攪拌法においては反応槽にお
いて0.5〜3時間程度攪拌、混合しながら接触させ、カ
ラム連続法においてはSV=0.01〜20h-1、望ましくはSV
=2〜15h-1の通液速度で実施する。
次いで陽イオン交換樹脂に接触した後のホエータンパ
ク質を含有する溶液をさらに陰イオン交換樹脂と接触さ
せる。使用する陰イオン交換樹脂としては、強塩基性ま
たは弱塩基性のいずれの樹脂でもよく、ダイアイオンPA
318(商標。三菱化成工業社製)、デュオライトA−116
(商標。ケミカル・プロセス社製)、アンバーライトIR
A−411(商標。オルガノ社製)、ダウエックスMWA−1
(商標。ダウケミカル社製)などの市販品を例示するこ
とができる。陰イオン交換樹脂の対イオンはOH-形また
はCl-形のいずれであってもよいが、OH-形に調製して使
用すれば溶液の脱塩を行うことができ、しかもpHが上昇
して酸性度が減少するので、処理後に中和を行う場合に
は中和剤(アルカリ剤)の使用量を低減させることがで
きる。なお、陰イオン交換樹脂の接触方法、接触条件な
どは陽イオン交換樹脂の場合と同様である。
また、イオン交換樹脂に接触させた溶液に含まれてい
る固形分を回収するため、イオン交換樹脂に精製水を通
液することもできる。
イオン交換処理して得られた溶液のpHは、通常pH1〜
4程度であり、必要に応じて水酸化ナトリウム、水酸化
カリウムなどの中和剤(アルカリ剤)を用いて中和を行
うこともできる。また、得られた低リンホエータンパク
質を溶液状態で限外濾過膜などによる定容流水透析濾過
(ダイアフィルトレーション)を行うことにより脱塩お
よび脱乳糖された低リンホエータンパク質を製造するこ
ともできる。このようにして得られた低リンホエータン
パク質を含む溶液は、このままで製品とすることもでき
るが、必要に応じて常法により濃縮し、乾燥し、粉末と
することもできる。
以上のようにして得られたホエータンパク質は、タン
パク質1g当り0.15mg以下のリンを含有する極めて低いリ
ン含量のホエータンパク質であり、従来のホエータンパ
ク質と同様に、優れた栄養価、起泡性、乳化力などを利
用して食品素材などに使用することも可能であり、高リ
ン血症などリン摂取制限者用栄養食品素材としても好適
であり、最も除去が困難なリンを顕著に低減した高度精
製ホエータンパク質として利用することもできる。
次に、この発明の低リン精製ホエータンパク質加水分
解物の製造方法は、ホエータンパク質を含有する溶液の
pHを4以下に調整し、H+形陽イオン交換樹脂およびOH-
形陰イオン交換樹脂に順次接触させ、pHを5以上9以下
に調整し、限外濾過にて乳糖を除去し、動物起源のプロ
テアーゼとバシラス(Bacillus)属の微生物が産出する
プロテアーゼとからなる2種以上の複合酵素、または動
物起源のプロテアーゼ、バシラス属の微生物が産出する
プロテアーゼおよびその他のプロテアーゼとからなる3
種以上の複合酵素を添加して酵素分解し、加熱して酵素
を失活させると共に未反応のタンパク質を沈殿させ、次
いで限外濾過して沈殿および脂肪を除去することを特徴
としている。
この発明の低リン精製ホエータンパク質加水分解物の
製造方法において使用する出発原料は、前記したこの発
明の低リンホエータンパク質の製造方法において使用す
る出発原料と同一のホエータンパク質濃縮物である。
この出発原料を希釈し、ホエータンパク質5〜20%程
度の濃度の溶液に調製し、酸を添加してpH4以下、望ま
しくはpH3未満に調整する。pHの調整に用いられる酸
は、塩酸、クエン酸、乳酸、酢酸、硫酸などを例示する
ことができるが、塩酸を用いることが、最終製品の風味
に悪影響を及ぼさず、かつOH-形陰イオン交換樹脂によ
ってCl-イオンが除去され最終的に残存しなくなるので
望ましい。ホエータンパク質を含有する溶液のpHは中性
付近であるため、pHの調整に際してホエータンパク質の
等電点(pH5付近)を通過することになるが、所望のpH
に調整するために必要な酸の添加量を予め決定し、その
所定添加量を数秒〜1分間以内に全量を添加し、速やか
に混合、撹拌することで、ホエータンパク質の凝固など
を惹起せずに、所定のpHに調整することができる。
次いでpHを4以下に調整したホエータンパク質を含有
する溶液を、まずH+形陽イオン交換樹脂と接触させ、さ
らにOH-形陰イオン交換樹脂と接触させて脱塩する。使
用するイオン交換樹脂の種類、イオン交換樹脂の接触方
法、接触条件などは前記したこの発明の低リンホエータ
ンパク質の製造方法と同様であるが、最終的に得られる
ホエータンパク質加水分解物の無機質含量を低く保つた
めに、陰イオン交換樹脂の対イオンをOH-形に調製して
使用することで溶液の脱塩を行うことができ、しかもpH
が上昇して酸性度が減少するので、イオン交換処理後に
溶液のpHを中性〜アルカリ性とする場合に、中和剤(ア
ルカリ剤)の使用量を低減させることができる。なお、
イオン交換樹脂に接触させた溶液に含まれている固形分
を回収するため、イオン交換樹脂に精製水を通液するこ
ともできる。なお、従来のタンパク質加水分解物製造方
法では、加水分解後にイオン交換樹脂、電気透析などの
脱塩処理をおこなっていたが、この発明では、加水分解
前のタンパク質をイオン交換樹脂により脱塩することに
より、ペプチドおよびアミノ酸のイオン交換樹脂への吸
着による損失を防止している。
このようにして得られた脱塩ホエータンパク質溶液は
酸性のpHを有しているため、中和剤(アルカリ剤)を添
加してpH5以上10以下、望ましくはpH6以上9以下の範囲
に調整する。pHの調整に用いられる中和剤(アルカリ
剤)は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを例示
することができる。このpH調整操作は、例えば製造設備
の酸化腐食を防止すると同時に製造設備の金属部分から
の無機質イオンの溶出を防ぐことなどを目的としてい
る。さらに、ホエータンパク質溶液のpHを、この発明の
酵素加水分解操作において使用する酵素の最適pH範囲に
合わせることをも目的としている。よって、製造設備の
酸化腐食などの恐れがない場合には、前記酵素の最適pH
範囲に合わせることを目的とした、脱塩ホエータンパク
質溶液に対するpH調整操作は、前記のように脱塩操作の
直後に行う必要はなく、酵素加水分解操作の前までに適
宜行うことが可能である。例えば、製造設備の酸化腐食
がない場合には、脱塩操作の直後にpHを調整せずに、次
の乳糖除去操作を行った後、酵素加水分解操作の直前
に、脱塩・脱乳糖ホエータンパク質溶液のpHを、この発
明で使用する酵素の最適pH範囲に調整することが可能で
ある。また、別の例としては、脱塩操作の直後に、前記
脱塩ホエータンパク質溶液のpHを、製造設備の酸化腐食
を防止できる範囲に大まかに調整し、次の乳糖除去操作
を行った後、酵素加水分解操作の直前に、脱塩・脱乳糖
ホエータンパク質溶液のpHを、この発明で使用する酵素
の最適pH範囲に調整することも可能である。
次いで脱塩ホエータンパク質溶液の乳糖を限外濾過に
より除去する。限外濾過膜は分画分子量2,000〜10,000
のものが使用可能であり、限外濾過の方法は、この技術
分野で一般的に用いられている方法が適用できる。限外
濾過用モジュールとしては、例えば平膜型、チューブラ
ー型、スパイラル型、ホローファイバー型などのモジュ
ールが使用可能であるが、分離効率および経済性を考慮
するとチューブラー型およびホローファイバー型の使用
が望ましい。
脱塩ホエータンパク質溶液に含有されるホエータンパ
ク質のβ−ラクトグロブリン、およびα−ラクトアルブ
ミンの分子量は、それぞれ約18,000および約14,100であ
るため、脱塩ホエータンパク質溶液の限外濾過によりこ
れらホエータンパク質は限外濾過膜を透過せず、分子量
の小さい乳糖が膜透過液画分として排除される。さらに
精製水による定容流水透析濾過(ダイアフィルトレーシ
ョン)を行うことにより、乳糖をほぼ完全に除去でき
る。ホエータンパク質は限外濾過膜を透過せず膜内に保
持されるため、定容流水透析濾過の操作は歩留りに影響
しない。また、限外濾過により、無機質も膜透過液側へ
排除されるため、脱塩の効果も得られる。
この脱塩・脱乳糖ホエータンパク質溶液をホエータン
パク質濃度10%未満に調整し、のち当該溶液に酵素を添
加する。
使用する酵素は、動物起源のプロテアーゼとバシラス
(Bacillus)属の微生物が産出するプロテアーゼとから
なる2種類以上の複合酵素、または動物起源のプロテア
ーゼ、バシラス属の微生物が産出するプロテアーゼおよ
びその他のプロテアーゼとからなる3種類以上の複合酵
素である。動物起源のプロテアーゼとしては、トリプシ
ン、キモトリプシン、パンクレアチンなどを例示するこ
とができ、いずれも市販品(例えば「PTN6.0S」商標。
ノボ・ノルディスク社製)として入手することができ
る。バシラス属の微生物が産出するプロテアーゼとして
は、プロテアーゼN(商標。天野製薬社製)、ビオプラ
ーゼ(商標。長瀬生化学工業社製)、プロレザー(商
標。天野製薬社製)、アルカラーゼ(ノボ・ノルディス
ク社製)などを例示することができる。
また、得られるホエータンパク質加水分解物の抗原性
を減少させるためには、動物起源のプロテアーゼとバシ
ラス属の微生物が産出するプロテアーゼとからなる組み
合わせのみの複合酵素でその目的は達し得るが、そのよ
うな組み合わせの複合酵素の使用で得られるホエータン
パク質加水分解物の風味が優れない場合には、その他の
プロテアーゼを併用して風味の改善を図ることができ
る。この場合に使用可能なその他のプロテアーゼとして
は、パパイン、ブロメライン(天野製薬社製)、アスペ
ルギルス(Aspergillus)属の微生物が産出するプロテ
アーゼ、ペニシリウム(Penicillum)属の微生物が産出
するプロテアーゼなどを例示することができる。
使用する酵素量はホエータンパク質1g当り3800〜20,0
00活性単位の割合であり、複合酵素を混合または分割し
て添加する。
加水分解の行なわれるpHは、この発明で使用する酵素
の最適pHが中性からアルカリ側にあることから、pH5以
上10以下、望ましくはpH6以上9以下の範囲である。
酵素反応による加水分解の温度条件は格別の制限はな
く、酵素作用の発現する最適温度範囲を含む実用に併せ
られ得る範囲から選択することができ、通常30℃以上70
℃以下、望ましくは30℃以上60℃以下、更に望ましくは
50℃以上60℃以下の温度範囲から選ぶことができる。特
に、温度を50℃以上60℃以下の範囲に維持することによ
り、酵素反応中のホエータンパク質溶液の腐敗を防止す
ることができる。
酵素反応の時間は、予備実験により予め決定すること
ができる。すなわち、例えば、酵素反応の開始から一定
の時間間隔で反応液を少量づつ採取し、採取した反応液
をそれぞれこの発明の酵素反応の停止処理および限外濾
過処理に付し、得られた濾過液を常法により乾燥して粉
末とし、この粉末について後記の方法で分子量分布およ
び遊離アミノ酸含量および抗原性を求め、所望の組成の
粉末の得られた場合の酵素反応時間をもってその後のこ
の発明の実施の際の酵素反応時間とすればよい。たとえ
ば、この発明において、次の性質を有するホエータンパ
ク質加水分解物を得るための酵素反応時間は、ほぼ8〜
36時間である。
(i)1,200以下の分子量を有する画分が90%以上。
(ii)遊離アミノ酸含量が6%以下。
(iii)エライザ抑制試験法により測定した抗原性がβ
−ラクトグロブリンの抗原性の10-6以下。
酵素反応が進行し、ホエータンパク質加水分解物が上
記の性質を有する段階に達した後、加熱して酵素を失活
させる。酵素の失活は、反応液を80℃以上で6分間以上
加熱することにより行うことができる。この加熱によ
り、反応液を遠心分離したとき約20(容量)%の不溶物
が生成する。
酵素を加熱失活させた後のホエータンパク質加水分解
物溶液を限外濾過し、不溶物および脂肪分を除去して液
の清澄化を行うとともにエンドトキシン除去を行なう。
不溶物、脂肪分およびエンドトキシンは限外濾過膜を透
過せず、膜保持液側に止まるため、膜透過液を採取する
ことによってホエータンパク質加水分解物溶液の清澄化
およびエンドトキシン除去ができる。限外濾過膜は分画
分子量5,000以下のものが使用可能であり、限外濾過の
方法は、当分野で一般的に用いられている方法が適用で
きる。限外濾過用モジュールとしては、例えば平膜型、
チューブラー型、スパイラル型、ホローファイバー型な
どのモジュールが使用可能であるが、分離効率および経
済性を考慮するとチューブラー型およびホローファイバ
ー型の使用が望ましい。
さらに精製水による定容流水透析濾過(ダイアフィル
トレーション)を行うことにより、原液中の有価固形分
であるペプチドの回収率を高めることができる。
このようにして得られた液は、このままで製品化して
もよく、また必要に応じて常法により濃縮し、乾燥し、
粉末とすることもできる。
以上のようにして得られたこの発明の低リン精製ホエ
ータンパク質加水分解物は、次の(1)〜(6)の性質
を有している。
(1)タンパク質1g当り次の量の無機質を含有するこ
と、 ナトリウム 20mg以下 カリウム 20mg以下 マグネシウム 0.057mg以下 リン 0.15mg以下 カルシウム 0.227mg以下 塩素 0.568mg以下 (2)乳糖含量が0.5%以下であること、 (3)1,200以下の分子量を有する画分が90%以上であ
ること、 (4)遊離アミノ酸含量が6%以下であること、 (5)エライザ抑制試験法により測定した抗原性がβ−
ラクトグロブリンの抗原性の10-6以下であること、 (6)乾燥物1g中のエンドトキシンが10EU以下であるこ
と。
さらに詳しくは、この発明の低リン精製ホエータンパ
ク質加水分解物の性質は、通常次の(a)〜(f)に示
す範囲を例示することができるが、この発明は以下の範
囲に限定されるものではない。
(a)タンパク質1g当りの無機質含有量、 ナトリウム 0.04〜17mg カリウム 0.01〜17mg マグネシウム 0.03〜0.05mg リン 0.11〜0.13mg カルシウム 0.15〜0.20mg 塩素 0.40〜0.50mg (b)乳糖含量は0.1〜0.4%、 (c)1,200以下の分子量を有する画分が90〜94%、 (d)遊離アミノ酸含量は4〜6%、 (e)エライザ抑制試験法により測定した抗原性がβ−
ラクトグロブリンの抗原性の10-6以下(後記のエライザ
抑制試験法による検出限界)、 (f)乾燥物1g中のエンドトキシンが2〜8EU。
前記(1)〜(6)に示したとおり、この発明の低リ
ン精製ホエータンパク質加水分解物は、無機質含量が低
く、エンドトキシンおよび抗原性がほとんど除去されて
いるため、例えば経静脈用輸液の窒素成分としてアミノ
酸に代えて好適に使用可能であり、またその場合には遊
離アミノ酸、無機質および乳糖の含量が共に低く抑えら
れているため、経静脈用輸液の製造工程中の高圧蒸気滅
菌または保存中などにおけるアミノカルボニル反応によ
る液の着色を防ぐことができる。また、この発明の低リ
ン精製ホエータンパク質加水分解物はペプチドと遊離ア
ミノ酸との混合であるが、遊離アミノ酸含量は6%以下
と低いため、窒素成分としてこの発明の低リン精製ホエ
ータンパク質加水分解物を使用した経静脈用輸液は、窒
素成分として同一組成のアミノ酸混合物を使用した経静
脈用輸液に比較して、浸透圧の低い輸液とすることがで
きる。さらに、無機質のなかでも最も除去が困難なリン
が顕著に低減されているので、精製度が高く、消化吸収
性の優れたタンパク質代替物として高リン血症などリン
摂取制限者用栄養食品素材としても使用できる。
なお、この発明の低リン精製ホエータンパク質加水分
解物の試験は、次の方法により行った。
無機質含量の測定方法 ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リンおよびカ
ルシウムの含量は常法(分析化学会編、機器分析実技シ
リーズ「ICP発光分析法」、第225ページ、共立出版、19
88年)により定量し、常法により測定した試料中のタン
パク質含量をもとに、試料中のタンパク質1g当りの含量
を算出した。塩素の含量は、電位差滴定法(日本食品工
業学会、食品分析法編集委員会編、「食品分析法」、第
2版、第368ページ、光琳、昭和59年)により測定し
た。
乳糖含量の測定方法 高速液体クロマトグラフィーにより測定した(日本食
品工業学会誌、第27巻、第7号、第36ページ、1980
年)。ショーデックス(Shodex)DC613(昭和電工社
製)カラムを用い、アセトニトリル:水の比が75:25の
溶出液により、溶出速度1.2ml/分で溶出した。検出は、
ポストラベル法[ブンセキ・カガク(BUNSEKI KAGAK
U)、セクションE(Section E)、第32巻、第6号、第
E207ページ、1983年]により蛍光検出器(島津製作所
製:島津RF530)を用い、内部標準法(日本分析化学会
関東支部編、「高速液体クロマトグラフィーハンドブッ
ク」、第277ページ、丸善株式会社、昭和60年)により
乳糖含量を算出した。
分子量分布の測定方法 高速液体クロマトグラフィーにより測定した(宇井信
生等編、「タンパク質・ペプチドの高速液体クロマトグ
ラフィー」、化学増刊第102号、第241ページ、株式会社
化学同人、1984年)。ポリ・ヒドロキシエチル・アスパ
ルタミド[Poly Hydroxyethyl Aspartamide.ポリ・エル
・シー(Poly LC)社製]カラムを用い、50mM蟻酸によ
り溶出速度0.5ml/分で溶出した。検出はRI検出器(島津
製作所製)を用い、データー解析はGPC分析システム
(島津製作所製)を使用した。
遊離アミノ酸含量の測定方法 トリプトファン、システインおよびメチオニン以外の
アミノ酸については、試料を6規定の塩酸で110℃、24
時間加水分解し、トリプトファンについては水酸化バリ
ウムで110℃、22時間アルカリ分解し、システイン及び
メチオニンについては過ギ酸処理後、6規定の塩酸で11
0℃、18時間加水分解し、それぞれアミノ酸分析機(日
立製作所製:835型)により分解し、各アミノ酸の含量を
求めた。遊離アミノ酸含量は、スルホサリチル酸で試料
を除蛋白して、アミノ酸分析機(日立製作所製:835型)
により分析し、前記アミノ酸組成の分析でえられた各ア
ミノ酸の全含量に対する遊離アミノ酸の含量の百分率で
表した。
抗原性の測定方法 以下に示すエライザ(ELISA:Enzyme linked immuno
−sorbent assay)抑制試験法によった。
96穴プレート(ヌンク社製)にβ−ラクトグロブリン
をコーティングし、洗浄後、β−ラクトグロブリンを感
作して調製したウサギ抗血清とホエータンパク質加水分
解物試料との混合液をプレートの穴に供給して反応さ
せ、洗浄後アルカリホスファターゼ標識ヤギ抗ウサギIg
G抗体[ツァイムド・ラボラトリーズ(Zymed Laborator
ies)社製]を反応させ、洗浄後、酵素基質であるp−
ニトロフェニルリン酸ナトリウムを添加し、30分後に5
規定水酸化ナトリウムを添加して反応を停止させ、反応
生成物をマイクロプレートリーダーで測定した(日本小
児アレルギー学会誌、第1巻、第2号、第36ページ、19
87年)。
エンドトキシン含量の測定方法 リムルス(LIMULUS)試験(丹羽允、日本細菌学雑
誌、第30巻、第439ページ、1975年)に従い、リムルスH
SIIテストワコー(和光純薬工業社製)を用い、ゲル形
成時間をトキシノメーターET201(和光純薬工業社製)
にて測定した。
次に試験例を示してこの発明をさらに詳しく説明す
る。
試験例1 この試験は、リン含量の減少に及ぼすホエータンパク
質を含有する溶液のpHの影響を調べるために行った。
1)試料の調製 精製水にホエータンパク質濃縮物(ドイツのミライ社
製。タンパク質含量90%、リン含量0.40mg/タンパク質1
g)を添加してホエータンパク質の濃度を10%に調整
し、pHを調整しない試料(pH7.18。試料1および試料
2)、3規定塩酸によりpHを4.00(試料3および試料
6)、3.00(試料4)、および2.00(試料5)にそれぞ
れ調整した各試料600gを調製した。
2)試験方法 1.方法1 試料1はイオン交換樹脂との接触を全く行わず、その
ままリン含量の測定に供した。
2.方法2 試料2から5をそれぞれ別個に、H+形陽イオン交換樹
脂アンバーライトIR−120B(オルガノ社製)50mlを充填
したカラムにSV=5h-1で通液して接触させ、次いでOH-
形陰イオン交換樹脂アンバーライトIRA−411(オルガノ
社製)100mlを充填したカラムにSV=5h-1で通液して接
触させ、試料のリンを除去した。
3.方法3 OH-形陰イオン交換樹脂と接触させなかったことを除
き、試料6を前記方法2と同一の方法で処理した。
4.リン含量の測定 前記3方法により得られた6種類の試料のリン含量を
前記の試験方法により測定し、常法により測定した試料
中のタンパク質含量をもとに、試料中のタンパク質1g当
りのリン含量を算出し、リンの除去状態を試験した。
3)試験結果 この試験の結果は表1に示したとおりである。表1か
ら明らかなように、pHの調整を行わない試料1および試
料2においては、イオン交換処理を行ってもリン含量が
タンパク質1g当り0.40mgから0.24mgに減少したのみであ
る。これに対してpHを4以下に調整した後、陽イオン交
換樹脂処理および陰イオン交換樹脂処理した試料3から
5においては、いずれの試料でもリン含量がタンパク質
1g当り0.15mg以下に減少した。また、ホエータンパク質
を含有する溶液のpHを4に調整した場合でも、H+形陽イ
オン交換樹脂のみと接触させた試料6のリン含量は、pH
を調整せずにイオン交換樹脂処理した試料2のそれとほ
ぼ同様であった。
以上の結果から、この発明の方法においては、ホエー
タンパク質を含有する溶液を陽イオン交換樹脂および陰
イオン交換樹脂と接触させる前にそのpHを4以下、望ま
しくはpH3未満に調整することが必須の条件である。な
お、ホエータンパク質濃縮物および樹脂の種類を変更し
て試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
試験例2 この試験は、接触させる陰陽イオン交換樹脂の順序の
変更がリンの除去に及ぼす影響を調べるために行った。
1)試料の調製 精製水にホエータンパク質濃縮物(カルプロ社製。タ
ンパク質含量80%、リン含量3.5mg/タンパク質1g)を添
加してホエータンパク質の濃度を10%に調整し、3規定
塩酸によりpHを3.00に調整した試料7〜9を各100g調製
した。
2)試験方法 方法1 試料7はイオン交換樹脂との接触を全く行わず、その
ままリン含量の測定に供した。
方法2 試料8を、H+形陽イオン交換樹脂アンバーライトIR−
120B(オルガノ社製)18.5mlを充填したカラムにSV=5h
-1で通液して接触させ、次いでCl-形陰イオン交換樹脂
アンバーライトIRA−411(オルガノ社製)41.4mlを充填
したカラムにSV=5h-1で通液して接触させ、試料のリン
を除去した。
方法3 陰イオン交換樹脂との接触を先に行ったことを除き、
試料9を方法2と同一の方法で処理した。
リン含量の測定 前記の方法により得られた3種類の試料のリン含量を
試験例1と同一の方法により測定し、リンの除去状態を
試験した。
3)試験結果 この試験の結果は表2に示したとおりである。表2か
ら明らかなように、ホエータンパク質を含有する溶液と
陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂との接触の順
序は、陽イオン交換樹脂が先でなければ、リンが除去さ
れないことが判明した。従って、この発明の方法におい
ては、ホエータンパク質を含有する溶液を陽イオン交換
樹脂と最初に接触させ、次いで陰イオン交換樹脂と接触
させることが必須である。なお、ホエータンパク質濃縮
物および樹脂の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の
結果が得られた。
実施例 次に実施例を示してこの発明をさらに詳細かつ具体的
に説明するが、この発明は以下の実施例に限定されるも
のではない。
なお、以下の実施例においてナトリウム、カリウム、
マグネシウム、リン、カルシウムおよび塩素含量の単位
はmg/タンパク質1gである。
また、この発明の実施例において、無機質含量、乳糖
含量、分子量分布、遊離アミノ酸含量、抗原性およびエ
ンドトキシン含量の測定方法は、前記の試験方法を採用
した。
実施例1 精製水にホエータンパク質濃縮物(ドイツのミライ社
製。タンパク質90.3%、ナトリウム5.1、カリウム0.2
6、マグネシウム0.33、リン0.39、およびカルシウム3.9
8を含む)を添加してホエータンパク質の濃度を10%に
調整し、この溶液1kgに3規定塩酸134mlを添加し、pHを
3.0に調整し、H+形陽イオン交換樹脂アンバーライトIR
−120B(オルガノ社製)75mlを充填したカラムにSV=1
2.5h-1で通液して接触させ、次いでCl-形陰イオン交換
樹脂アンバーライトIRA−411(オルガノ社製)120mlを
充填したカラムにSV=12.5h-1で通液して接触させ、さ
らに固形分を回収するために精製水を通液し、pH2.11の
ホエータンパク質を含有する液約3kgを回収し、常法に
より凍結乾燥し、約96gの低リンホエータンパク質粉末
を得た。
このようにして得られた粉末について前記試験方法に
より試験した結果、無機質組成がナトリウム0.3、カリ
ウム0.008、マグネシウム0.0005、リン0.11、およびカ
ルシウム0.008であり、リンが顕著に除去されていた。
実施例2 精製水にホエータンパク質濃縮物(カルプロ社製。タ
ンパク質83.0%、ナトリウム1.45、カリウム4.0、マグ
ネシウム0.65、リン3.39、およびカルシウム3.98を含
む)を添加してホエータンパク質の濃度を10%に調整
し、この溶液1kgに5規定塩酸76.2mlを添加し、pHを2.8
に調整し、H+形陽イオン交換樹脂アンバーライトIR−12
0B(オルガノ社製)100mlを充填したカラムにSV=2.5h
-1で通液して接触させ、次いでCl-形陰イオン交換樹脂
アンバーライトIRA−411(オルガノ社製)220mlを充填
したカラムにSV=2.5h-1で通液して接触させ、さらに固
形分を回収するために精製水を通液し、pH1.96のホエー
タンパク質を含有する回収液約3kgを得た。この回収液
を常法により凍結乾燥し、約84gの低リンホエータンパ
ク質粉末を得た。
このようにして得られた粉末について前記試験方法に
より試験した結果、無機質組成がナトリウム0.038、カ
リウム0.059、マグネシウム0.0025、リン0.125、および
カルシウム0.0213であり、リンが顕著に除去されてい
た。
実施例3 精製水にホエータンパク質濃縮物(ドイツのミライ社
製。タンパク質90.3%、ナトリウム7.7、カリウム0.6
0、マグネシウム0.4、リン0.38、およびカルシウム4.43
を含む)を添加してホエータンパク質の濃度を12.4%に
調整し、この溶液4030kgに35%塩酸68kgを添加し、pHを
3.05に調整し、H+形陽イオン交換樹脂アンバーライトIR
−120B(オルガノ社製)350lを充填したカラムにSV=10
h-1で通液して接触させ、次いでOH-形陰イオン交換樹脂
アンバーライトIRA−411(オルガノ社製)700lを充填し
たカラムにSV=5h-1で通液して接触させ、さらに固形分
を回収するために精製水を通液し、pH3.50のホエータン
パク質を含有する回収液約6,825kgを得た。この回収液
を常法により凍結乾燥し、約437kgの低リンホエータン
パク質粉末を得た。
このようにして得られた粉末について前記試験方法に
より試験した結果、無機質組成がナトリウム0.06、カリ
ウム0.03、マグネシウム0.006、リン0.119、およびカル
シウム0.023であり、リンが顕著に除去されていた。
実施例4 精製水にホエータンパク質濃縮物(ドイツのミライ社
製。タンパク質90.3%、ナトリウム5.1、カリウム0.25
6、マグネシウム0.331、リン0.392、およびカルシウム
3.98、乳糖1%を含む)を添加してホエータンパク質の
濃度を12.4%に調整し、この溶液4kgに35%塩酸68gを添
加し、pHを2.95に調整し、H+形陽イオン交換樹脂アンバ
ーライトIR−120B(オルガノ社製)350mlを充填したカ
ラムにSV=10h-1で通液して接触させ、次いでOH-形陰イ
オン交換樹脂アンバーライトIRA−411(オルガノ社製)
700mlを充填したカラムにSV=5h-1で通液して接触さ
せ、さらに固形分を回収するために精製水を通液し、pH
3.50のホエータンパク質を含有する液6.83kgを回収し
た。
この回収した液に10%水酸化ナトリウム溶液0.15kgを
添加してpH6.9に調整した後、限外濾過モジュールSEP−
1013(旭化成社製。分画分子量3000)にて限外濾過を行
ない、膜透過液側に乳糖および無機質を排出し、脱塩・
脱乳糖ホエータンパク質溶液7.7kgを得た。
この脱塩・脱乳糖ホエータンパク質溶液に10%水酸化
ナトリウム溶液30gを添加してpH8.6に調整し、ここにビ
オプラーゼsp−20(長瀬生化学工業社製)4g、PTN6.0S
(ノボ・ノルディスク社製)2g、プロテアーゼN「アマ
ノ」(天野製薬社製)4gを添加して50℃で14時間分解し
た後、85℃、10分間加熱し、酵素を失活させた。
次いでこの溶液を、限外濾過モジュールSEP−1013
(旭化成社製。分画分子量3000)にて限外濾過を行な
い、不溶物を膜保持成分として除去した。得られた膜透
過液を濃縮し、常法により噴霧乾燥し、低リン精製ホエ
ータンパク質加水分解物の噴霧乾燥品約256gを得た。
このようにして得られた粉末について前記試験方法に
より試験した結果、無機質組成が、ナトリウム15.2、カ
リウム0.22、マグネシウム0.04、リン0.12、カルシウム
0.19、塩素0.48、乳糖含量が0.26%、1,200以下の分子
量を有する画分が92.4%、遊離アミノ酸含量5.4%、抗
原性はβ−ラクトグロブリンの抗原性の10-6以下であ
り、エンドトキシンはホエータンパク質加水分解物乾燥
物1g中5.15EU/gであった。
産業上の利用可能性 この発明の低リンホエータンパク質は、各種食品の栄
養価またはタンパク質の強化に有用である。
この発明の低リン精製ホエータンパク質は、リン含量
が非常に低く抑えられており、腎不全および高リン血症
などリンの摂取量制限が必要とされる患者などに、経口
的あるいは胃・腸に直接投与するタンパク質栄養源とし
て、食品製造および医療分野に有用である。また、非抗
原性、吸収良好性に優れ、アレルギー患者、体力減少、
疾病などによる腸管免疫機構患者、アレルギー性下痢患
者、乳幼児、術前術後患者などに、経口的あるいは、胃
・腸に直接投与するタンパク質栄養源として利用可能で
ある。さらに、無機質、乳糖、エンドトキシンの含量が
非常に低く抑えられていることから経静脈用輸液や腹膜
透析液の窒素源として医療分野に利用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長廻 陽子 神奈川県座間市入谷3―6270 ヒルズサ ンロード202 (72)発明者 越智 浩 神奈川県横浜市旭区南希望が丘118 森 永希望が丘寮 (56)参考文献 特開 昭49−54568(JP,A) 特開 昭63−91037(JP,A) 特開 平2−49548(JP,A) 特開 昭48−39651(JP,A) 特開 昭48−33061(JP,A) 特開 昭60−256342(JP,A) 特開 平4−112753(JP,A) 特開 平2−128991(JP,A) 特開 平4−248959(JP,A) 特開 昭54−113470(JP,A) 特開 平4−330252(JP,A) 特公 平3−60468(JP,B2) 特公 昭42−1467(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23J 1/00 - 7/00 A23C 9/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともタンパク質含量70%のホエータ
    ンパク質濃縮物を希釈したホエータンパク質を含有する
    溶液のpHを4以下に調整し、H+形陽イオン交換樹脂およ
    び陰イオン交換樹脂に順次接触させ、タンパク質1g当た
    りのリン含量を0.15mg以下に減少させることを特徴とす
    る低リンホエータンパク質の製造方法。
  2. 【請求項2】ホエータンパク質を含有する溶液のpHを3
    未満に調整する請求項1の低リンホエータンパク質の製
    造方法。
  3. 【請求項3】少なくともタンパク質含量70%のホエータ
    ンパク質濃縮物を希釈したホエータンパク質を含有する
    溶液のpHを4以下に調整し、H+形陽イオン交換樹脂およ
    びOH-形陰イオン交換樹脂に順次接触させ、pHを5以上1
    0以下に調整し、限外濾過にて乳糖を除去し、動物起源
    のプロテアーゼ、バシラス属の微生物が産生するプロテ
    アーゼおよびその他のプロテアーゼとなる3種以上の複
    合酵素を、タンパク質1g当たり3,800〜20,000活性単位
    の割合で混合または分割して添加して酵素分解し、加熱
    して酵素を失活させると共に未反応のタンパク質を沈殿
    させ、次いで限外濾過して沈殿および脂肪を除去するこ
    とを特徴とする低リン精製ホエータンパク質加水分解物
    の製造方法。
  4. 【請求項4】ホエータンパク質を含有する溶液のpHを3
    未満に調整する請求項3の低リン精製ホエータンパク質
    加水分解物の製造方法。
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