JP2003250460A - 乳蛋白質の機能性改質方法 - Google Patents
乳蛋白質の機能性改質方法Info
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Abstract
性、粘性、ゲル化性、乳化特性、泡沫特性などの物理化
学的性質、風味、口当たり、フレーバーなどの感覚的性
質、或いは低アレルゲン性に優れた乳蛋白質を提供す
る。 【解決手段】 乳蛋白質に、分子量5000以上の蛋白質中
のアミド基に直接作用しペプチド結合の切断及び蛋白質
の架橋を伴わず脱アミドする作用を有する蛋白質脱アミ
ド酵素を作用させて脱アミド化を行い、その機能性を改
質する。
Description
に直接作用してペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を
伴わず脱アミドする作用を有する酵素を利用した乳蛋白
質の機能性改質方法に関する。この乳蛋白質の機能性に
は、界面活性などの物理化学的性質、およびフレーバー
結合能、消化酵素感受性、或いはアレルゲン性などの生
理化学的性質が含まれる。
素が含まれているが、その中でも蛋白質は最も重要な栄
養成分である。乳蛋白質は消化性やアミノ酸組成などか
らみて栄養学的に最も優れた食品蛋白質の1つに数えら
れている。また、生体の免疫、神経、内分泌、循環器系
などを調節する機能なども注目されている。
される。牛乳中のカゼインは主成分としてαS-カゼイン
・グループ、β‐カゼイン、κ‐カゼインから成ってお
り、さらにβ‐カゼインの酵素分解物であるγ‐カゼイ
ンから成る。これらは、乳中ではモノマーの形でなく、
会合体(サブミセル)を形成し、さらに、サブミセルは
コロイド性リン酸カルシウムを仲介として、平均直径15
0nmの巨大なカゼインミセルを構成している。脱脂乳を
酸でpH4.6付近に調整したり、凝乳酵素(キモシン)で
処理すると、カゼイン蛋白質が沈殿し、その上澄液は乳
清と呼ばれる。乳清中に含まれる乳清蛋白質は、β‐ラ
クトグロブリン、α‐ラクトアルブミン、免疫グロブリ
ン、血清アルブミン、ラクトフェリン、他にラクトパー
オキシダーゼやリゾチームなどの酵素群から成り、カゼ
インと比較して生理的な機能性に富んだ蛋白質群であ
る。
形で広く利用されている。さらに、近年蛋白質の分離技
術が進歩し、工業的なスケールで乳から蛋白質の分離が
可能になり、分離乳蛋白質が様々な食品の素材として広
く利用されている。
属塩であるカゼイネートは、クリームパウダー、ハム・
ソーセージ、コーヒー・ホワイトナー、プロセスチーズ
様食品などに利用されているが、酸性領域での溶解性な
どの問題があった。また、乳清蛋白質は、ヨーグルトな
どの乳製品、ハム・ソーセージ、水産練り製品などに利
用されているが、乳化特性や泡沫特性などの問題があっ
た。また、風味、口当たりなどにおいても、オフ・フレ
ーバー、gluey flavourなどの問題があった。さらに、
乳蛋白質は、主要な食物アレルゲンの1つとして知られ
ている。
の食品に応用する場合には、それぞれの用途に応じた物
理化学的性質、さらに感覚的性質が要求される。また低
アレルゲン性の要求もある。要求される物理化学的性質
としては、例えば、飲料に応用するためにはその溶解性
が、スープ、ドレッシング、デザートにはその粘性が、
ハム・ソーセージ、ケーキ、パン、などにはその水分保
持能、ゲル化能、乳化特性が、ホイップクリーム、アイ
スクリーム、ケーキなどには泡沫特性がある。また、食
品である限り、フレーバー、風味、口当たりなどの食感
も大変重要な要求事項である。一方、近年問題となって
いる食物アレルギーに関する問題も、蛋白質を食品素材
として用いる場合には十分に考慮する必要がある。
である弱酸性において、可溶性、分散性、乳化性などの
機能性が乏しいため、多くの食品例えばコーヒー・ホワ
イトナー、ジュースなどの酸性飲料、ドレッシング、マ
ヨネーズ、クリーム、ハム・ソーセージ、水産練り製品
などへの使用が制限されていた。
合物と結合している。その低分子化合物が生理活性物質
の場合は、蛋白質はその安定化や生体内への吸収促進に
関与している。一方食品の風味として考えた場合は、種
々の低分子化合物がオフ・フレーバーの原因物質となっ
ている場合がある。食品のフレーバーは、その食品の消
費者への受け入れ易さの重要な要因であり、フレーバー
物質と蛋白質のような食品成分との相互作用、即ち結合
強度や遊離し易さは、食品の風味に大きく影響を及ぼ
す。従って、フレーバー物質と蛋白質の結合強度をコン
トロールすることは、生理活性物質の安定化や吸収性の
コントロール、或いは風味の改良、オフ・フレーバーの
除去という観点から、長年望まれていたがこれまで適当
な方法がなかった。
問題となって来ている。食物アレルギーの原因物質アレ
ルゲンは、主として蛋白質である。従って蛋白質のアレ
ルゲン性を低下させるため、蛋白質の加熱変性、加圧変
性、化学変性、化学的もしくは酵素的分解など様々な方
法が試みられてきたが、変性による方法では効果が低
く、また分解による方法では、蛋白質としての他の機能
が損なわれ、また味覚の点で問題があった。
性質或いは低アレルゲン化の要求を満たす目的で、蛋白
質を熱、高圧処理などの物理化学的方法、蛋白質の化学
修飾法、或いは蛋白質分解酵素による分解法などが用い
られてきた。しかしながら物理化学的方法では優れた効
果が得られず、化学修飾法では安全性の面から食品とし
て利用するには適当ではなかった。蛋白質分解酵素を用
いる方法は、溶解性、乳化性、起泡性の向上や低アレル
ゲン化などに一部利用されているが、乳化安定性、泡沫
安定性はむしろ低下する傾向にあった。
ゲン化が試みられ、例えば低アレルゲン化粉ミルクが開
発されているが、蛋白質が低分子ペプチドに分解されて
いるため、高分子の蛋白質の機能性、例えば粘性、ゲル
化性などを利用した食品素材としては利用できなかっ
た。さらに、蛋白質分解酵素処理法は、低分子ペプチド
の性質としてよく知られるように苦味ペプチドの生成の
問題があった。また、生成する遊離アミノ酸の存在のた
め風味の点で劣っていた。
あって、その目的は、食品として利用する場合に要求さ
れる上述のごとき機能性を備えた蛋白質を提供すること
であり、具体的には蛋白質の機能性改質方法、機能性が
改質された蛋白質の製造方法、及び機能性が改質された
蛋白質を提供することである。即ち、本発明は溶解性、
粘性、ゲル化性、乳化特性、泡沫特性などの物理化学的
性質、風味、口当たり、フレーバーなどの感覚的性質、
或いは低アレルゲン性に優れたものに蛋白質を改質する
方法、このような機能性に優れた蛋白質、及び当該蛋白
質を製造する方法を提供することを目的とする。
達成すべく種々の検討を行った。即ち、食品蛋白質とし
て最も栄養価に優れ種々の食品に利用されている乳蛋白
質のうち、チーズ製造の副産物として大量に派生する乳
清蛋白質の主成分であるβ−ラクトグロブリンを対象と
して、これに蛋白質脱アミド酵素を作用させたところ、
上記物理化学的性質の基本となる蛋白質の表面活性が改
善されることを見出した。また、蛋白質への低分子化合
物レチノールの結合強度が増強されること、さらには、
蛋白質のアレルゲン性に大きく関連のある消化性が向上
することを見出した。このように、対象となる蛋白質に
蛋白質脱アミド酵素を作用させることにより、溶解性、
粘性、ゲル化性、乳化特性、泡沫特性などの物理化学的
性質、風味、口当たり、フレーバーなどの感覚的性質、
或いは低アレルゲン性に優れた蛋白質に改質できること
を見出し、本発明を完成するに至った。本発明は次の構
成を提供する。
接作用してペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わ
ず脱アミドする作用を有する酵素を作用させる、ことを
特徴とする乳蛋白質の機能性改質方法。 [2] 前記酵素が分子量5,000以上の蛋白質に対して前
記作用を有する酵素である、ことを特徴とする[1]に記
載の方法。 [3] 前記酵素が分子量10,000以上の蛋白質に対して前
記作用を有する酵素である、ことを特徴とする[1]に記
載の方法。 [4] 前記酵素が微生物由来である、ことを特徴とする
[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。 [5] 前記微生物がクリセオバクテリウム(Chryseobac
terium)属、フラボバクテリウム(Flavobacterium)
属、エンペドバクター(Empedobacter)属、スフィンゴ
バクテリウム(Sphingobacterum)属、アウレオバクテ
リウム(Aureobacterium)属、又はミロイデス(Myroid
es)属に属する、ことを特徴とする[4]に記載の方法。 [6] 前記微生物がクリセオバクテリウム(Chryseobac
terium)属に属するクリセオバクテリウム・エスピー
(Chryseobacterium SP.)No.9670(FERMBP−7
351)である、ことを特徴とする[4]に記載の方法。 [7] 前記乳蛋白質が、乳清蛋白質である、ことを特徴
とする[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。 [8] 前記乳蛋白質が、β‐ラクトグロブリンである、
ことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。 [9] 前記乳蛋白質の機能性が、界面活性である、こと
を特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。 [10] 前記乳蛋白質の機能性が、風味である、ことを
特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。 [11] 前記乳蛋白質の機能性が、低分子物質結合能で
ある、ことを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の
方法。 [12] 前記低分子物質が、レチノールである、ことを
特徴とする[11]に記載の方法。 [13] 前記乳蛋白質の機能性が、蛋白質分解酵素感受
性である、ことを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記
載の方法。 [14] 前記乳蛋白質の機能性が、低アレルゲン性であ
る、ことを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の方
法。 [15] [1]〜[14]のいずれかの方法によって機能性
が改質された乳蛋白質。 [16] 乳蛋白質に、蛋白質のアミド基に直接作用して
ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミド
する作用を有する酵素を作用させる、ことを特徴とする
機能性が改質された乳蛋白質の製造方法。 [17] 前記酵素が分子量5,000以上の蛋白質に対して
前記作用を有する酵素である、ことを特徴とする[16]
に記載の製造方法。 [18] 前記酵素が分子量10,000以上の蛋白質に対して
前記作用を有する酵素である、ことを特徴とする[16]
に記載の製造方法。 [19] 前記酵素が微生物由来である、ことを特徴とす
る[16]〜[18]のいずれかに記載の製造方法。 [20] 前記微生物がクリセオバクテリウム(Chryseob
acterium)属、フラボバクテリウム(Flavobacterium)
属、エンペドバクター(Empedobacter)属、スフィンゴ
バクテリウム(Sphingobacterum)属、アウレオバクテ
リウム(Aureobacterium)属、又はミロイデス(Myroid
es)属に属する、ことを特徴とする[19]に記載の製造
方法。 [21] 前記微生物がクリセオバクテリウム(Chryseob
acterium)属に属するクリセオバクテリウム・エスピー
(Chryseobacterium SP.)No.9670(FERMBP−7
351)である、ことを特徴とする[19]に記載の製造
方法。 [22] 前記乳蛋白質が、乳清蛋白質である、ことを特
徴とする[16]〜[21]のいずれかに記載の製造方法。 [23] 前記乳蛋白質が、β‐ラクトグロブリンであ
る、ことを特徴とする[16]〜[21]のいずれかに記載
の製造方法。 [24] 前記乳蛋白質の機能性が、界面活性である、こ
とを特徴とする[16]〜[23]のいずれかに記載の製造
方法。 [25] 前記乳蛋白質の機能性が、風味である、ことを
特徴とする[16]〜[23]のいずれかに記載の製造方
法。 [26] 前記乳蛋白質の機能性が、低分子物質結合能で
ある、ことを特徴とする[16]〜[23]のいずれかに記
載の製造方法。 [27] 前記低分子物質が、レチノールである、ことを
特徴とする[26]に記載の製造方法。 [28] 前記乳蛋白質の機能性が、蛋白質分解酵素感受
性である、ことを特徴とする[16]〜[23]のいずれか
に記載の製造方法。 [29] 前記乳蛋白質の機能性が、低アレルゲン性であ
る、ことを特徴とする[16]〜[23]のいずれかに記載
の製造方法。 [30] [16]〜[29]のいずれかの製造方法により得
られる、機能性が改質された乳蛋白質。
白質脱アミド酵素」という)は、蛋白質のアミド基に直
接作用してペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わ
ず脱アミドする作用(以下、「蛋白質脱アミド作用」とい
う)を有する。当該作用を有する限りにおいてその種類
は特に限定されるものではない。
て、分子量が5,000以上の蛋白質(変性蛋白質)に対し
て脱アミド化作用を有するものが好ましく、特に好まし
くは分子量が10,000以上(例えば10,000〜2,000,000の
範囲)の蛋白質に対して脱アミド化作用を有するものが
用いられる。この様な酵素の例として、特開2000-50887
号公報或いは特開2001-21850号公報に開示された酵素が
あるが、これらに特に限定されるものではない。
素を産生する微生物の培養液より調製したものを用いる
ことができる。蛋白質脱アミド酵素の調製に用いられる
微生物は特に限定されないが、その培養液中に当該酵素
を産生する微生物であって、例えば、クリセオバクテリ
ウム(Chryseobacterium)属、フラボバクテリウム(Fl
avobacterium)属、エンペドバクター(Empedobacter)
属、スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterum)属、
アウレオバクテリウム(Aureobacterium)属、又はミロ
イデス(Myroides)属に属する微生物を用いることがで
きる。特に、クリセオバクテリウム(Chryseobacteriu
m)属に属するクリセオバクテリウム・エスピー(Chrys
eobacterium SP.)No.9670を蛋白質脱アミド酵素の調
製に用いることが好ましい。クリセオバクテリウム・エ
スピー(Chryseobacterium SP.)No.9670は、受託番号
FERM BP−7351(2000年(平成12年)
11月8日付の移管請求に基づき受託番号FERM P
−17664の国内寄託から移管)で通商産業省工業技
術院生命工学工業技術研究所(現在は独立行政法人産業
技術総合研究所 特許生物寄託センター、〒305-8566
茨城県つくば市東1丁目1番3号 中央第6)に寄託さ
れている。
脱アミド酵素を得ることができる。即ち、分泌型蛋白質
であれば培養液より、それ以外であれば菌体内より回収
することができる。培養液から蛋白質脱アミド酵素を調
製する方法は、公知の蛋白質分離、精製方法(遠心分
離、UF濃縮、塩析、イオン交換樹脂等を用いた各種ク
ロマトグラフィー等)を用いることができる。例えば、
培養液を遠心分離して菌体を除去し、その後塩析、クロ
マトグラフィー等を組み合わせて目的の酵素を得ること
ができる。菌体内から酵素を回収する場合には、例えば
菌体を加圧処理、超音波処理などによって破砕した後、
上記と同様に分離、精製を行うことにより目的の酵素を
取得することができる。尚、ろ過、遠心処理などによっ
て予め培養液から菌体を回収した後、上記一連の工程
(菌体の破砕、分離、精製)を行ってもよい。
基のみからなる単純蛋白質だけでなく、糖、脂質等との
複合体である複合蛋白質等も含まれる。本発明の乳蛋白
質としては、例えばβ−ラクトグロブリンが挙げられ
る。また、分子量に関しては、好ましくは5,000以上、
特に好ましくは10,000以上(例えば10,000〜2,000,00
0)である。また、酸、アルカリなどによる化学的、あ
るいはプロテアーゼなどによる酵素的部分分解蛋白質
や、各種試薬による化学修飾蛋白質であってもよい。
ーあるいはペースト状で反応に供される。また、目的の
蛋白質を含む溶液等は、水溶液に限らず油脂とのエマル
ションであってもよい。さらに、目的の蛋白質を含む溶
液等の中に他の蛋白質、塩類、糖類、香料、保湿剤、着
色料などが添加されていてもよい。
反応の時間、温度、反応溶液のpHなど)は、特に限定
されないが、例えば蛋白質1gに対して0.1〜100ユニッ
ト、好ましくは1〜10ユニット、反応温度は例えば5〜
80℃、好ましくは20〜60℃、反応溶液のpHは例えば2
〜10、好ましくは4〜8で10秒〜48時間、好ましくは10
分〜24時間反応させる。また、これらの条件は、使用す
る酵素の純度や変性蛋白質の種類、純度などに応じて適
宜変更ないし調整することができる。
素を作用させることにより、蛋白質中のアミド基を直接
脱アミド化することができる。その結果、生じた脱アミ
ド化蛋白質は、生じたカルボキシル基に由来する負電荷
の増加に伴い、pIの低下、水和力の上昇、静電反発力
の上昇がもたらされる。更に蛋白質の高次構造の変化に
より、表面疎水性や空気−水界面での表面圧が上昇(表
面張力が低下)するなど表面活性の上昇がもたらされ
る。これらの効果により、可溶性・分散性の向上、起泡
性・泡沫安定性の向上、乳化性・乳化安定性の向上な
ど、蛋白質の物理化学的性質の改善がもたらされる。
白質では、主として食品分野での用途が大きく拡大す
る。一般に食品蛋白質は、通常の食品のpH範囲である弱
酸性において、可溶性、分散性、乳化性などの機能性が
乏しいため、多くの食品例えばコーヒー・ホワイトナ
ー、ジュースなどの酸性飲料、ドレッシング、マヨネー
ズ、クリーム、ハム・ソーセージ、水産練り製品などへ
の使用が制限されていた。しかしながら、本発明の方法
により得られた脱アミド化蛋白質は界面活性に優れてい
るため、これら種々の食品への応用が可能となり、その
用途が飛躍的に拡大する。
ることにより、低分子化合物の蛋白質への結合強度を変
化させることが出来る。結果、低分子化合物がミネラル
やビタミン、ステロール、フラボノイドなどの生理活性
物質の場合、食餌として摂取された生理活性物質の消化
管中での安定性や吸収性を制御することが出来る。ま
た、低分子化合物がフレーバーや香気に関連する物質或
いは色素などであった場合、蛋白質やそれを用いた食品
の風味、口当たり、色調を改善することが出来る。
って、生理活性、フレーバー、風味、色、香りに関係す
る種々の物質が含まれる。例えばミネラル、イソフラボ
ン、フラボノイド、配糖体、フィチン、脂肪酸、トリグ
リセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、燐脂質、糖
脂質などの脂質類、アルデヒド、ケトン、アルカノイ
ド、ステロール(コレステロールなど)、ビタミン(ビ
タミンA、葉酸など)、色素、単糖、二糖、オリゴ糖、
多糖、核酸などを含む。
て蛋白質分解酵素に対する感受性が挙げられる。即ち、
本発明によって蛋白質を脱アミドすることにより、蛋白
質の蛋白質分解酵素に対する感受性を向上させることが
でき、結果としてその蛋白質のアレルゲン性を低下させ
ることが出来る。一般にアレルゲン蛋白質の共通的な性
質として、その分子量が1万から10万までの範囲にある
と言われており、消化管内で低分子ペプチドまで分解さ
れにくい蛋白質はアレルゲンになり易い。しかしなが
ら、本発明により脱アミド化された蛋白質は消化酵素に
より分解され易くなる。もって、アレルゲン性が低下し
た蛋白質を得ることができる。
ン、トリプシン、キモトリプシンなど消化管内で働くも
のの他、植物、微生物由来の酵素など、蛋白質のペプチ
ド結合を加水分解する酵素であればいかなるものであっ
ても良い。
蛋白質の50%を占める分子量約18.3kDaの蛋白質であ
る。9つのβシートと2つのSS(ジスルフィド)結合によ
り、非常にコンパクトな形状をしており、このため、消
化管に存在するペプシンやトリプシン、キモトリプシン
などの蛋白質分解消化酵素に対して高い抵抗性を持つと
共に、酸性pHで著しく高い安定性を有する蛋白質であ
る。この酸性での安定性、消化酵素抵抗性さらには、人
乳中にこの蛋白質が存在しないという理由により、β−
ラクトグロブリンは、牛乳アレルゲンの主要な原因蛋白
質であると言われている。また、β‐ラクトグロブリン
1分子当たり1個のレチノール(ビタミンA)を結合して
おり、ビタミンAの生体への吸収に寄与していると言わ
れている。後述の実施例に示されるように、本発明によ
ればβ−ラクトグロブリンの蛋白質分解消化酵素に対す
る感受性を高め、当該酵素による消化を促進することが
できる。その結果、β―ラクトグロブリンを低アレルゲ
ン化することができる。また、本発明によればβ−ラク
トグロブリンに対するビタミンAの結合をより強固なも
のにすることができ、ビタミンAの生体吸収性を高める
ことができる。
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FE
RM BP-7351)をLB Base培地、25℃で40時間培養した。
次に、培養液を4℃、12000 rpm(22200 × g)、20分間の
遠心分離により菌体を除去し、得られた遠心上清を、限
外濾過膜(SEP-0013、旭化成製)により約25倍に濃縮
後、凍結乾燥して粗酵素粉末を得た。これに、2.0 M N
aClを含む10 mM 燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)に溶解
し、不溶物を4℃、10000 rpm(12300 × g)、15分間の遠
心分離により除いた後、得られた遠心上清を、2.0 M Na
Clを含む10 mM 燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で平衡化
したフェニルセファロースCL-6Bカラム(ファルマシア社
製)に供し、2.0 Mから0 MのNaCl直線濃度勾配により吸
着した蛋白質を溶離させた。
膜で濃縮後、0.6 M NaCl及び0.05%Tween 20を含む10 m
M 燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で平衡化したセファク
リルS-100カラムに供して、同緩衝液で溶離した。下記
の方法により各画分の酵素活性を測定し、蛋白質脱アミ
ド活性画分を集め、限外濾過膜で濃縮し蛋白質脱アミド
酵素溶液を得た。下記の測定法(Z-Gln-Glyを基質とす
る方法とカゼインを基質とする方法)で活性を測定した
ところ33.7単位/ml(Z-Gln-Glyを基質)、13.5単位/ml
(カゼインを基質)の酵素標品が得られた。
方法に従い、基質としてZ-Gln-Gly及びカゼインを使用
した。 活性測定方法:10mM Z-Gln-Glyを含む176mMリン酸緩衝
液(pH6.5)100μlに酵素溶液10μlを添加して、37℃、
60分間インキュベートした後、12%トリクロロ酢酸溶液
100μlを加えて反応を停止する。遠心分離(15000rpm、
4℃、5分間)した後、上清について以下のようにF-ki
t ammonia(ロッシュ・ダイアグノスティクス)を用い
て測定する(A1)。別に酵素溶液の代わりに水を用いて同
様にして測定する(A2)。
と水190μlを加え室温で5分間放置後100μlを用いての
340nmの吸光度(E1)を測定する。残りの200μlに、1.0μ
lの試薬3(グルタメートデヒドロゲナーゼ)を加えた
後、更に20分間室温に放置した後に残りの200μlの340n
mの吸光度(E2)を測定する。上記条件下で1分間あたり
1μmolのアンモニアを遊離する酵素量を1単位とし、
以下の式に従って求める。 u/ml=1.76×[A1(E1-E2)-A2(E1-E2)] 基質として10mM Z-Gln-Glyに代えて1%カゼイン(ハマ
ーステン、メルク社製)を用いて同様にして活性を求
め、蛋白質に結合するアミド基に作用することを確認す
る。
したβ−ラクトグロブリンの調製 β−ラクトグロブリン(シグマ社製)1gを10 mg/mlの
濃度で20 mM Tris-HCl緩衝液(pH7.0)に溶解し、実施例
1で得られた蛋白質脱アミド酵素を1.82 μg/mlの濃度
で添加し、37℃で振トウした。脱アミド化率(Degree of
deamidation,%)は、蛋白質中の全グルタミン残基中の
脱アミドされたグルタミン残基の割合で求めた。全グル
タミン残基数は、β−ラクトグロブリンの全アミノ酸配
列(Braunitzerら, Hoppe-Seyler’s Z. Physiol. Che
m., 354, 867-878, 1973)から求め、脱アミド化された
グルタミン残基数は反応中に遊離したアンモニア量から
求めた。β−ラクトグロブリンは、8時間で20%、26時
間で50%、48時間で80%の脱アミド化率であった。この
ようにして得られた脱アミド化β−ラクトグロブリンそ
れぞれを透析により脱塩後、凍結乾燥し脱アミド化β−
ラクトグロブリン粉末を得た。
したβ−ラクトグロブリン高次構造の変化 実施例2で得られた種々の脱アミド化率の脱アミド化β
−ラクトグロブリン(20% deamidated:脱アミド化率20
%、50% deamidated:脱アミド化率50%、80%deamidat
ed:脱アミド化率80%)の高次構造の変化を調べるた
め、CD(circulardichrorizm、円二色)分析を、スペクト
ロポーラリメーター(Jasco J-120)を用いて行った。
結果を図1に示す。分析は20 mMクエン酸緩衝液(pH3.
0、図1上段)もしくは20 mM Tris-HCl緩衝液(pH7.0、
図1下段)中で行った。コントロールとして脱アミド化し
ていないβ−ラクトグロブリンを用いた(non-modifie
d)。結果、何れのpHでも脱アミド化されたβ−ラクト
グロブリンは近紫外領域特に270nm付近のスペクトラム
強度が減少していた。そしてこの減少度は、脱アミド化
率が上昇するにつれて大きくなっていることが判る。こ
のことは、脱アミド化されることによって、β−ラクト
グロブリンの側鎖の芳香環グループの相互作用が弱めら
れたこと、即ち3次構造が崩れたことを意味する。そし
てその3次構造の破壊の程度が、脱アミド化率が高くな
るに従って大きくなっていることがわかる。
何れのpHでも脱アミド化されたβ−ラクトグロブリンは
どれも、コントロールの脱アミド化していないβ−ラク
トグロブリン(non-modified)とほぼ類似のスペクトラ
ムを示した。このことは、脱アミド化されたβ−ラクト
グロブリンは2次構造においては変化を受けていないこ
とを示す。
アミド化することにより蛋白質を変性させることが出来
ることが判る。また、この変性状態は、3次構造が崩れ
ているのに対し2次構造は保持されている温和な変性状
態であり、蛋白質の機能性にとって好適な状態である。
リンの蛍光スペクトラム分析 実施例2で得られた種々の脱アミド化率の脱アミド化β
−ラクトグロブリン(20% deamidated:脱アミド化率20
%、50% deamidated:脱アミド化率50%、80%deamidat
ed:脱アミド化率80%)の蛍光スペクトル分析(励起波
長290nm)を蛍光光度計(Hitachi F-3000)を用いて行
った結果を図2に示す。分析は20 mMクエン酸緩衝液(pH
3.0、図2上段)もしくは20 mM Tris-HCl緩衝液(pH7.0、
図2下段)中で行った。コントロールとして脱アミド化
していないβ−ラクトグロブリンを用いた(non-modifi
ed)。結果、何れのpHでも脱アミド化されたβ−ラクト
グロブリンは蛍光スペクトラム強度が減少していた。そ
してこの減少度は、脱アミド化率が上昇するにつれて大
きくなっていることが判る。このことは、脱アミド化さ
れることによって、β−ラクトグロブリン中のトリプト
ファン残基の側鎖の芳香環が疎水性領域から溶媒中へ露
出したことを示し、その程度は脱アミド化率が高くなる
に従って大きくなっていることがわかる。
リンの表面疎水性分析 実施例2で得られた種々の脱アミド化率の脱アミド化β
−ラクトグロブリン(20% deamidated:脱アミド化率20
%、50% deamidated:脱アミド化率50%、80%deamidat
ed:脱アミド化率80%)の表面疎水性分析を1-anilinona
phtalene-8-sulfonate (ANS)を用いてNakaiらの方法(Me
thod of Testing Protein Functionality, Edited by
G. M. Hall, Blackie Academic & Professional, Chapt
er 8)に従い、蛍光光度計(Hitachi F-3000)を用いて
行った。結果を図3に示す。分析は20 mMクエン酸緩衝
液(pH3.0、図3上段)もしくは20 mM Tris-HCl緩衝液(p
H7.0、図3下段)中で行った。コントロールとして脱アミ
ド化していないβ−ラクトグロブリンを用いた(non-mo
dified)。結果、何れのpHでも脱アミド化されたβ−ラ
クトグロブリンは直線の勾配が大きくなっていることが
判る。このことより、脱アミド化されることによって、
β−ラクトグロブリンの表面疎水性が上昇することが判
る。
リンの空気−水界面での表面圧 実施例2で得られた種々の脱アミド化率の脱アミド化β
−ラクトグロブリン(20% deamidated:脱アミド化率20
%、50% deamidated:脱アミド化率50%、80%deamidat
ed:脱アミド化率80%)の表面張力測定を、ウィルヘル
ミー−プレート型界面テンシオメーター(Wilhelmy-pla
te-type surface tensiometer)を用いて行った。結果
を図4に示す。それぞれのサンプルを20 mMクエン酸緩
衝液(pH3.0、図4上段)もしくは20 mM Tris-HCl緩衝
液(pH7.0、図4下段)に溶解し、測定容器に注いで新た
な表面が形成された直後にプレートを表面に接触させ、
表面張力の経時変化を追跡した。図では、低下した界面
張力の値を界面圧の上昇値としてプロットしている。コ
ントロールとして脱アミド化していないβ−ラクトグロ
ブリンを用いた(non-modified)。結果、pH7.0におい
て脱アミド化されたβ−ラクトグロブリンの水溶液は表
面圧が上昇(表面張力が低下)していることが判る。そ
してこの上昇度は、脱アミド化率が上昇するにつれて大
きくなっていることが判る。このことは、脱アミド化さ
れることによって、β−ラクトグロブリンが界面で変性
しやすくなり、その程度は脱アミド化率が高くなるに従
って大きくなっていることを示すものである。
グロブリンは蛋白質脱アミド酵素により脱アミド化され
ることにより、表面疎水性や表面活性が上昇することが
判る。従って、蛋白質脱アミド酵素により処理すること
により、起泡性、泡沫安定性などの泡沫特性、乳化活
性、乳化安定性などの乳化特性などの蛋白質の機能性が
上昇することが判る。
リンのレチノール結合性 実施例2で得られた脱アミド化β−ラクトグロブリン
(80% deamidated:脱アミド化率80%)を20μMの濃度
で、20 mMクエン酸緩衝液もしくは20 mM Tris-HCl緩衝
液に溶解し、0〜9.5μMの種々の濃度のレチノールを添
加して、蛍光光度計(Hitachi F-3000)を用いて470nm
の蛍光度(励起波長:330nm)を測定し、結合曲線を
得、その曲線から結合定数Kdおよび蛋白質中の結合部位
の数nを求めた(Laligant et al., J. Agric. Food Ch
em., 39, 2147-2155, 1991の方法による)。結果を表1
に示す。コントロールとして脱アミド化していないβ−
ラクトグロブリンを用いた(non-modified)。結果、pH
3.0において脱アミド化されたβ−ラクトグロブリンに
対するレチノールの結合定数Kdは0.9 x 10-7Mとなり、
脱アミド化していないβ−ラクトグロブリンのKd値4.2
x 10-7Mからかなり低下していた。一方pH7.0においては
変化が見られなかった。このことは、酸性領域におい
て、β−ラクトグロブリンが脱アミド化されることによ
って、レチノールの結合がより強固になることを示す。
従って、生体の胃のなかで、これまでβ−ラクトグロブ
リンから遊離され易くその結果酸化ダメージを受け易か
ったレチノールが、β−ラクトグロブリンを脱アミド化
することによって離れにくくなるため、胃のなかで安定
化され、生体への吸収量が増加することが期待される。
リンのペプシン感受性 実施例2で得られた脱アミド化β−ラクトグロブリン
(80% deamidated:脱アミド化率80%)を10mg/mlの濃
度で20mM クエン酸緩衝液(pH3.0)に溶解し50℃で15分間
加熱した。その後基質蛋白質に対し重量比で100分の1量
の蛋白質分解酵素ぺプシンを加え、37℃で反応させた。
コントロールとして、脱アミド化処理をしていないβ−
ラクトグロブリンに対して同様の処理を行った。適当な
時間にサンプリングして、同液量の12%トリクロル酢酸
溶液を加え遠心後、上清の280 nmの吸光度を測定した。
その結果を図5に示す。この様に、β−ラクトグロブリ
ンを脱アミドすることにより、ペプシンによる感受性が
2倍程度上昇した。従って、β−ラクトグロブリンの生
体の胃のなかでの消化性を、脱アミドすることにより向
上させることができる。
白質を得ることができる。この改質蛋白質は表面活性に
優れるため、種々の食品成分として広く利用することが
出来る。また、生理活性物質、フレーバー物質などの低
分子化合物の結合強度が制御された蛋白質を得ることが
できる。これにより、栄養性や風味の改善された蛋白質
食品、蛋白質素材を提供することができる。さらにま
た、蛋白質分解酵素感受性の向上した、即ち低アレルゲ
ン化された蛋白質を得ることができ、食物アレルギーの
少ない食品素材を提供することが可能となる。
合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を
有する酵素の作用によって機能性が改質された乳蛋白
質。 (12) 前記酵素が分子量5,000以上の蛋白質に対し
て前記作用を有する酵素である、ことを特徴とする(1
1)に記載の乳蛋白質。 (13) 前記酵素が分子量10,000以上の蛋白質に対し
て前記作用を有する酵素である、ことを特徴とする(1
1)に記載の乳蛋白質。 (14) 前記酵素が微生物由来である、ことを特徴と
する(11)〜(13)のいずれかに記載の乳蛋白質。 (15) 前記微生物がクリセオバクテリウム(Chryse
obacterium)属、フラボバクテリウム(Flavobacteriu
m)属、エンペドバクター(Empedobacter)属、スフィ
ンゴバクテリウム(Sphingobacterum)属、アウレオバ
クテリウム(Aureobacterium)属、又はミロイデス(My
roides)属に属する、ことを特徴とする(14)に記載
の乳蛋白質。 (16) 前記微生物がクリセオバクテリウム(Chryse
obacterium)属に属するクリセオバクテリウム・エスピ
ー(Chryseobacterium SP.)No.9670(FERMBP−
7351)である、ことを特徴とする(14)に記載の
乳蛋白質。 (17) 前記乳蛋白質が、乳清蛋白質である、ことを
特徴とする(11)〜(16)のいずれかに記載の乳蛋
白質。 (18) 前記乳蛋白質が、β‐ラクトグロブリンであ
る、ことを特徴とする(11)〜(16)のいずれかに
記載の乳蛋白質。 (19) 前記乳蛋白質の機能性が、界面活性である、
ことを特徴とする(11)〜(16)のいずれかに記載
の乳蛋白質。 (20) 前記乳蛋白質の機能性が、風味である、こと
を特徴とする(11)〜(16)のいずれかに記載の乳
蛋白質。 (21) 前記乳蛋白質の機能性が、低分子物質結合能
である、ことを特徴とする(11)〜(16)のいずれ
かに記載の乳蛋白質。 (22) 前記低分子物質が、レチノールである、こと
を特徴とする(21)に記載の乳蛋白質。 (23) 前記乳蛋白質の機能性が、蛋白質分解酵素感
受性である、ことを特徴とする(11)〜(16)のい
ずれかに記載の乳蛋白質。 (24) 前記乳蛋白質の機能性が、低アレルゲン性で
ある、ことを特徴とする(11)〜(16)のいずれか
に記載の乳蛋白質。
トグロブリンの遠・近紫外領域円二色分析スペクトラム
を示す図である。各曲線に対応する蛋白質試料は図中に
示す通りである。
トグロブリンの蛍光スペクトラムを示す図である。各曲
線に対応する蛋白質試料は図中に示す通りである。
トグロブリンの表面疎水性を示す図である。各曲線に対
応する蛋白質試料は図中に示す通りである。
トグロブリンの空気―水界面圧を示す図である。各曲線
に対応する蛋白質試料は図中に示す通りである。
トグロブリンのペプシン感受性を示す図である。各曲線
に対応する蛋白質試料は図中に示す通りである。
Claims (30)
- 【請求項1】 乳蛋白質に、蛋白質のアミド基に直接作
用してペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱
アミドする作用を有する酵素を作用させる、ことを特徴
とする乳蛋白質の機能性改質方法。 - 【請求項2】 前記酵素が分子量5,000以上の蛋白質に
対して前記作用を有する酵素である、ことを特徴とする
請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 前記酵素が分子量10,000以上の蛋白質に
対して前記作用を有する酵素である、ことを特徴とする
請求項1に記載の方法。 - 【請求項4】 前記酵素が微生物由来である、ことを特
徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 - 【請求項5】 前記微生物がクリセオバクテリウム(Ch
ryseobacterium)属、フラボバクテリウム(Flavobacte
rium)属、エンペドバクター(Empedobacter)属、スフ
ィンゴバクテリウム(Sphingobacterum)属、アウレオ
バクテリウム(Aureobacterium)属、又はミロイデス
(Myroides)属に属する、ことを特徴とする請求項4に
記載の方法。 - 【請求項6】 前記微生物がクリセオバクテリウム(Ch
ryseobacterium)属に属するクリセオバクテリウム・エ
スピー(Chryseobacterium SP.)No.9670(FERM
BP−7351)である、ことを特徴とする請求項4に
記載の方法。 - 【請求項7】 前記乳蛋白質が、乳清蛋白質である、こ
とを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。 - 【請求項8】 前記乳蛋白質が、β‐ラクトグロブリン
である、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記
載の方法。 - 【請求項9】 前記乳蛋白質の機能性が、界面活性であ
る、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の
方法。 - 【請求項10】 前記乳蛋白質の機能性が、風味であ
る、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の
方法。 - 【請求項11】 前記乳蛋白質の機能性が、低分子物質
結合能である、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれ
かに記載の方法。 - 【請求項12】 前記低分子物質が、レチノールであ
る、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。 - 【請求項13】 前記乳蛋白質の機能性が、蛋白質分解
酵素感受性である、ことを特徴とする請求項1〜8のい
ずれかに記載の方法。 - 【請求項14】 前記乳蛋白質の機能性が、低アレルゲ
ン性である、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか
に記載の方法。 - 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかの方法によ
って機能性が改質された乳蛋白質。 - 【請求項16】 乳蛋白質に、蛋白質のアミド基に直接
作用してペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず
脱アミドする作用を有する酵素を作用させる、ことを特
徴とする機能性が改質された乳蛋白質の製造方法。 - 【請求項17】 前記酵素が分子量5,000以上の蛋白質
に対して前記作用を有する酵素である、ことを特徴とす
る請求項16に記載の製造方法。 - 【請求項18】 前記酵素が分子量10,000以上の蛋白質
に対して前記作用を有する酵素である、ことを特徴とす
る請求項16に記載の製造方法。 - 【請求項19】 前記酵素が微生物由来である、ことを
特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の製造方
法。 - 【請求項20】 前記微生物がクリセオバクテリウム
(Chryseobacterium)属、フラボバクテリウム(Flavob
acterium)属、エンペドバクター(Empedobacter)属、
スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterum)属、アウ
レオバクテリウム(Aureobacterium)属、又はミロイデ
ス(Myroides)属に属する、ことを特徴とする請求項1
9に記載の製造方法。 - 【請求項21】 前記微生物がクリセオバクテリウム
(Chryseobacterium)属に属するクリセオバクテリウム
・エスピー(Chryseobacterium SP.)No.9670(FER
M BP−7351)である、ことを特徴とする請求項
19に記載の製造方法。 - 【請求項22】 前記乳蛋白質が、乳清蛋白質である、
ことを特徴とする請求項16〜21のいずれかに記載の
製造方法。 - 【請求項23】 前記乳蛋白質が、β‐ラクトグロブリ
ンである、ことを特徴とする請求項16〜21のいずれ
かに記載の製造方法。 - 【請求項24】 前記乳蛋白質の機能性が、界面活性で
ある、ことを特徴とする請求項16〜23のいずれかに
記載の製造方法。 - 【請求項25】 前記乳蛋白質の機能性が、風味であ
る、ことを特徴とする請求項16〜23のいずれかに記
載の製造方法。 - 【請求項26】 前記乳蛋白質の機能性が、低分子物質
結合能である、ことを特徴とする請求項16〜23のい
ずれかに記載の製造方法。 - 【請求項27】 前記低分子物質が、レチノールであ
る、ことを特徴とする請求項26に記載の製造方法。 - 【請求項28】 前記乳蛋白質の機能性が、蛋白質分解
酵素感受性である、ことを特徴とする請求項16〜23
のいずれかに記載の製造方法。 - 【請求項29】 前記乳蛋白質の機能性が、低アレルゲ
ン性である、ことを特徴とする請求項16〜23のいず
れかに記載の製造方法。 - 【請求項30】 請求項16〜29のいずれかの製造方
法により得られる、機能性が改質された乳蛋白質。
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