JP2648243B2 - オリゴペプチド混合物及びその製造法 - Google Patents

オリゴペプチド混合物及びその製造法

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JP2648243B2 JP3029335A JP2933591A JP2648243B2 JP 2648243 B2 JP2648243 B2 JP 2648243B2 JP 3029335 A JP3029335 A JP 3029335A JP 2933591 A JP2933591 A JP 2933591A JP 2648243 B2 JP2648243 B2 JP 2648243B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、腸管吸収性に優れ、ア
ミノ酸バランスが良く、食餌アレルギーに対する予防及
び治療効果を有し、リン摂取制限患者の蛋白質栄養源と
しても優れ、広範な種々の用途に利用できるオリゴペプ
チド混合物及びその製造法に関する。
【従来の技術】近年、腎臓病等の食餌療法では、リンの
摂取制限が行われているが、一般に蛋白質はリン含量が
高いので、食餌制限療法においては高蛋白質の食餌の摂
取を制限するか、又はリン含量の少ない蛋白質を選択的
に摂取するか、の何れかの方法が採用されている。乳清
蛋白質はリン含量が少ないので、後者の方法における蛋
白質供給源として用いられている。しかしながら。高カ
ロリー栄養補給の観点から、より消化吸収が良く、リン
含量の少ない蛋白質源が求められている。
【0002】一方、食餌蛋白質に起因するアレルギー患
者が、最近急増しており、乳児においては乳清蛋白質、
特にβーラクトグロブリンに起因するアレルギーが多い
ことが明らかになっている。従って、乳児用食品中の乳
清蛋白質の抗原性を低減するか、又は乳児用食品から乳
清蛋白質の抗原を実質的に除去することか求められてい
る。
【0003】更に、消化吸収の観点からは、遊離アミノ
酸混合物よりもオリゴペプチドが吸収速度及び吸収後の
アミノ酸バランスの点において優れていることが明らか
にされている。
【0004】以上のような背景から、乳清蛋白質を酵素
で加水分解したオリゴペプチド混合物を製造する方法が
開発されているが、それらの幾つかを例示すれば、次の
通りである。
【0005】特公昭62ー61039号公報には、2〜
5のアミノ酸からなるペプチドを少なくとも50%(重
量。以下、特に断りのない限り同じ)、及び遊離アミノ
酸を15%含有し、実質的に蛋白質を含まないペプチド
水解物からなることを特徴とする乳漿蛋白質から得た全
酵素水解物が開示されている。
【0006】特開平2ー2319号公報には、酵素で加
水分解したホエー製品をトリプシン,キモトリプシン,
それらの混合物,及びパンクレアチンから選択した酵素
により再度分解し、実質的に蛋白質に由来するアレルゲ
ンを含まない加水分解物の製造法が開示されている。
【0007】特開平2ー138991号公報には、分子
量1000以下、抗原性がなく[エライザ(ELISA: Enz
yme linked immunosorbent assay)抑制試験法(以下、
エライザ抑制試験法と記載する)により測定]、遊離ア
ミノ酸含量が20%以下、芳香族アミノ酸含量が1%以
下の低分子量ペプチドが開示されている。
【0008】特開平2ー182155号公報には、乳清
蛋白質をトリプシン及びキモトリプシンの混合酵素で加
水分解し、遊離アミノ酸含量が10%以下、分子量が1
500〜3500のペプチドからなる低アレルギー性部
分加水分解物が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
公昭62ー61039号公報の発明においては、残余の
ペプチドについては何等の考慮も払われておらず、抗原
残存活性の有無についても何等定量的な言及がなされて
いない。
【0010】また、上記特開平2ー2319号公報の発
明においては、加水分解物の分子量、遊離アミノ酸含量
等、ペプチドの消化吸収性に関係する諸性質について何
等考慮されていない。
【0011】上記特開平2ー138991号公報の発明
においては、芳香族アミノ酸含量が極めて少なく、本来
乳清蛋白質がもっているアミノ酸スコアを著しく損なっ
ている。即ち、このペプチドの利用は、特殊な用途のみ
に制限される。
【0012】更に、上記特開平2ー182155号公報
の発明においては、抗原性が存在すると考えられる分子
量3500以上のペプチドを25%含有しており、アレ
ルギー患者のアミノ酸供給源として必ずしも満足なもの
ではない。
【0013】以上のように、乳清蛋白質を加水分解物す
ることによって得られ、食餌アレルギーの回避,予防及
び治療に有効であり、消化吸収に優れ、且つ遊離アミノ
酸含量が顕著に少なく、広範な用途に利用できるオリゴ
ペプチド混合物は従来知られていなかった。
【0014】本発明者等は、前記の従来技術に鑑みて、
腸管吸収に優れ、アミノ酸バランスが良く、食餌アレル
ギーの予防及び治療効果を有し、リン摂取制限患者の蛋
白質栄養源としても優れ、広範な種々の用途に利用でき
るオリゴペプチド混合物及びその製造法の開発を課題と
して鋭意研究を行い、本発明を完成した。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、少なく
とも70%(重量)の純度の乳清蛋白質を加水分解し
て、下記の理化学的性質を有するオリゴペプチド混合物
が提供される。 (a) その加水分解物の分子量分布が2,000以下
であること、 (b) 抗乳清蛋白質血清を用いたエライザ(ELISA :
Enzyme linked immuno-sorbent assay)抑制試験法によ
り測定した抗原残存活性が10-4以下であること、及び (c) 加水分解物の全アミノ酸含量に対する遊離アミ
ノ酸含量が5%(重量)以下であること。
【0016】本発明の方法によれば、少なくとも70%
(重量)の純度の乳清蛋白質を10%以下の濃度(重
量)で水に溶解し、得られた水溶液のpHを7.5〜1
0に調整したのち、該水溶液に種々の酵素、特にバシラ
ス・サチリス(Bacillus subーtilus)由来のエンドペプ
チダーゼとトリプシンの2種類の酵素、またはバシラス
・サチリス由来のエンドペプチダーゼ,トリプシン及び
キモトリプシンの3種類の酵素を添加して加水分解し、
のち加熱により酵素を失活するか又はウルトラフィルト
レーションにより酵素を除去することにより、目的とす
るオリゴペプチド混合物が得られる。 更に、上記方法
によって得られたオリゴペプチド混合物溶液のpHを
4.5〜5.5に調整し、加熱し、沈澱物を除去するこ
とによって、残存する抗原性物質を実質的に除去するこ
ともできる。
【0017】本発明において、オリゴペプチド混合物を
製造するための出発原料は、純度が少なくとも70%の
乳清蛋白質であり、それは例えば、ホエーから常法(例
えば、イオン交換法等。下記の参考例を参照)により精
製して得られる。乳清蛋白質は、10%以下の濃度で水
に溶解され(下記の試験例1を参照)、得られた水溶液
のpHを8〜10に調整する(下記の試験例2を参
照)。この水溶液を殺菌または滅菌することもできる
が、乳清蛋白質は加熱によってゲル化する傾向があるの
で注意を要する。
【0018】本発明において使用される酵素は、特に制
限はなく、上記の理科学的性質を有する加水分解物が得
られれば良いが、特にサチロペプチダーゼ(Subtilopep
tiーdase)を主体とするバシラス・サチリス(Bacillus
subtilis)由来のエンドペプチダーゼ(以下、酵素Sと
記載する)及びトリプシンの混合物、または酵素S,ト
リプシン及びキモトリプシンの混合物を用いるのが望ま
しい(尚、市販のトリプシンにはキモトリプシンを含ん
でいる場合があり、この場合には、事実上3種の酵素を
使用したことになる)。これらの酵素は、何れも市販品
を使用することができる。酵素Sは常法による精製の程
度によっては他の酵素を含み得るが、粗製の酵素または
結晶した純粋の酵素の何れでも使用できる。
【0019】尚、以下の記載において、使用する酵素の
活性の単位は、トリプシン及びキモトリプシンについて
はアメリカ薬局方に基づいており、「USP単位」と表
示する[ザ・ユナイテッド・ステーツ・ファーマコピア
・ザ・ナショナル・フォーミュラリー(The United Sta
tes Pharmacopeia The National Formulary)、第30
7ページ及び第1431ページ、ユナイテッド・ステー
ツ・ファーマコピアル・コンベンション・インコーポレ
ーテッド(United States Pharmacopeial Convention,
Inc.)1990年による]。
【0020】また、酵素Sの活性単位は、次の定義によ
る。即ち、ミルクカゼイン[ハマーシュタイン(Hammer
stein)。メルク社製]に酵素Sを作用させ、30℃で
1分間に1μgのチロシンに相当するアリルアミノ酸の
フォリン試薬での呈色反応を示す酵素活性度を1単位と
する。この単位をUSP単位と区別するため、「PUN
単位」と表示する。
【0021】本発明における酵素使用量は、乳清蛋白質
1g当たり、酵素Sは100〜5,000PUN単位、
望ましくは500〜2,000PUN単位、トリプシン
は600〜30,000USP単位、望ましくは3,0
00〜20,000USP単位、キモトリプシンは0〜
3,000USP単位、望ましくは0〜2,000US
P単位が適当である(試験例3を参照)。
【0022】前記濃度の乳清蛋白質水溶液に、前記酵素
を前記使用量の範囲で添加し、それらの酵素の至適作用
温度である30〜55℃の温度で3〜24時間、望まし
くは6〜12時間加水分解を行う。尚、2種又は3種の
酵素は、同時に添加しても、また酵素Sで加水分解後、
残余の酵素を添加しても良い。
【0023】次いで加熱処理により酵素を失活させるか
又はウルトラフィルトレーション処理により酵素を除去
する。加熱処理は、70℃10分間から140℃2秒間
までの範囲で適宜行われる。ウルトラフィルトレーショ
ン処理は、酵素が透過せず、ペプチドが透過でき、回収
が容易な分画分子量15,000から2,000の範囲
で行われる。
【0024】酵素を失活または除去し、加水分解物を得
る。このようにして得られた加水分解物の抗原残存活性
(抗乳清蛋白質を用いたエライザ抑制試験法により測
定)は、10-4以下である。更に、この加水分解物のp
Hを4.5〜5.5に調整し、少なくとも80℃で10
分間加熱し、沈澱物を除去して残存する抗原を実質的に
除去することもできる(試験例4を参照)。このように
して得られた加水分解物の抗原残存活性(抗乳清蛋白質
を用いたエライザ抑制試験法による測定)は、10-5
下である。尚、酵素の失活と、この抗原分離のための加
熱とを同時に行うこともできる。
【0025】以上のようにして得られた本発明のオリゴ
ペプチド混合物は、後述する試験方法により測定すれ
ば、分子量分布が2,000以下であり、抗乳清蛋白質
血清を用いたエライザ抑制試験法により測定し抗原残存
活性が10-4以下であり、全アミノ酸含量に対する遊離
アミノ酸含量が5%以下であり、蛋白質1g当たりの全
アミノ酸組成は、ほぼ次の範囲内にある。
【0026】 L−アラニン 52〜 68(mg) L−アルギニン 25〜 32 L−アスパラギン酸(L−アスパラギンを含む) 118〜131 L−システイン 24〜 35 L−グルタミン酸(L−グルタミンを含む) 189〜201 L−グリシン 19〜 22 L−ヒスチジン 21〜 23 L−イソロイシン 61〜 71 L−ロイシン 117〜158 L−リジン 96〜128 L−メチオニン 23〜 25 L−フェニルアラニン 35〜 48 L−プロリン 38〜 64 L−セリン 45〜 58 L−スレオニン 57〜 83 L−トリプトファン 17〜 23 L−チロシン 37〜 47 L−バリン 61〜 66 以上のようにして得られたオリゴペプチド混合物含有液
はそのまま利用しても良く、あるいは常法により濃縮
し、又は乾燥して、液状,ペースト状又は粉末状として
利用しても良い。これらのオリゴペプチド混合物は、食
餌アレルギーの予防及び治療用に、又はリン摂取制限患
者の蛋白質資源,経腸栄養用,腹膜透析用等の原料又は
素材として広範な用途を有する。
【0027】次に、試験例を示して本発明を詳述する。
本発明の試験例においては、次の試験方法を採用した。 (1)分子量分布の測定方法 高速液体クロマトグラフィーにより測定した(宇井信生
等編、「タンパク質・ペプチドの高速液体クロマトグラ
フィー」、化学増刊第102号、第241ページ、株式
会社化学同人、1984年)。アサヒパックGS−32
0(Asahipack、旭化成社製、直径7.6mm及び長さ5
00mm)を用い、6M塩酸グアニジン、1mMEDT
A−2Na,10mMリン酸(pH6.5)により溶出
速度0.5ml/分で溶出した。検出はRI検出器を用
い、データ解析はGPC分析システム(島津製作所製)
を使用した。 (2)抗原残存活性の測定方法 エライザ抑制試験法により次のようにして測定した。9
6穴プレート(ヌンク社製)に乳清蛋白質をコーティン
グし、洗浄し、ウサギ抗乳清蛋白質血清と加水分解物試
料の混合液をプレートの穴に供給して反応させ、洗浄後
アルカリホスファターゼ標識ヤギ抗ウサギIgG抗体
(ツアイメド・ラボラトリー社製)を反応させ、洗浄後
p−ニトロフェニル・リン酸ナトリウムを添加し、30
分後に5N水酸化ナトリウムを添加して反応を停止さ
せ、反応生成物をマイクロプレートリーダーで測定した
(日本小児アレルギー学会誌、第1巻、第36ページ、
1987年)。 (3)アミノ酸組成の測定方法 トリプトファン、システイン及びメチオニン以外のアミ
ノ酸については、試料を6NのHClで110℃、24
時間加水分解し、トリプトファンについては水酸化バリ
ウムで110℃、22時間アルカリ分解し、システイン
及びメチオニンについては過ギ酸処理後6NのHClで
110℃、18時間加水分解し、それぞれアミノ酸分析
機(日立製作所製:835型)により分解し、アミノ酸
の質量を求めた。 (4)遊離アミノ酸の測定方法 スルホサリチル酸で試料を除蛋白し、アミノ酸分析機
(日立製作所製:835型)により分析し、上記アミノ
酸組成の分析でえられた各アミノ酸の総質量に対する遊
離アミノ酸の総質量の百分率で表した。 [試験例1] この試験は、加水分解に供する乳清蛋白質溶液の好適な
濃度を調べるために行われた。 (1)試料の調製 実施例1と同様の方法で種々の乳清蛋白質濃度(表1に
示した)の溶液を加水分解して、7種類の加水分解物試
料を調製した。 (2)試験方法 沈澱量は、酵素を失活させて遠心分離した沈渣の重量を
測定し、最初の乳清蛋白質の重量に対する遠心分離した
沈渣の百分率を算出し、抗原残存活性は前記のエライザ
抑制試験法によった。 (3)試験結果 この試験の結果は、表1に示すとおりであった。表1か
ら明らかなように、加熱により沈澱が発生せず、かつ
残存活性が10-4以下となる乳清蛋白質の濃度は、1
0%以下であることが判明した。
【表1】[試験例2] この試験は、加水分解時の好適なpH範囲を調べるため
に行った。 (1)試料の調製 加水分解時のpH及び時間を下記のように変更した以外
は、実施例1と同一の方法によって乳清蛋白質溶液を加
水分解し、6種類の加水分解物試料を調製した。尚、加
水分解時間の合計は何れも6時間である。 試料1:pH9で6時間 試料2:1時間をかけてpH10からpH8に低下させ、 その後pH8で5時間、 試料3:pH10で2時間、その後4時間をかけてpH8に低下させた、 試料4:3時間をかけてpH8からpH7に低下させ、 その後pH73時間、 試料5:6時間をかけてpH10からpH8に低下させた、 試料6:6時間をかけてpH8からpH7.5に低下させた、 試料7:pH8.5で6時間、 試料8:3時間をかけてpH7.5からpH6.5に低下させ、 その後pH6.5で3時間、 (2)試験方法 沈澱量及び抗原残存活性は、共に試験例1と同一の方法
を用いた。 (3)試験結果 この試験の結果は表2に示すとおりであった。表2か
ら、試料のpHを7.5〜10に調製し、1時間後pH
7〜8に保持し、その後pH6.5〜8に保持するのが
望ましいことが判明した。尚、上記3種類の酵素の組み
合わせ及び量を変更してもほぼ同一の結果が得られた。
【表2】[試験例3] この試験は酵素の適正量を調べるために行われた。 (1)試料の調製 酵素の使用量を種々に変更した(表3参照)以外は実施
例1と同一の方法で乳清蛋白質溶液を加水分解し、14
種類の加水分解物試料を調製した。 (2)試験方法 沈澱量及び抗原残存活性は、試験例1と同一である。 (3)試験結果 この試験の結果は、表3の示すとおりであった。
【表3】表3から明らかなように、加熱により沈澱が生
成せず、かつ抗原残存活性が10-4以下となる酵素の使
用量は、基質1g当たり酵素Sが100PUN単位の場
合、トリプシンは3000USP単位以上、キモトリプ
シンは0〜200USP単位であり、酵素SPが500
PUN単位以上の場合にはトリプシンが600〜180
00USP単位、キモトリプシンが0〜1300USP
単位であることが判明した。従って、本発明において
は、乳清蛋白質1g当たり酵素Sが100〜5,000
PUN単位、望ましくは500〜2000PUN単位、
トリプシンが600〜30000USP単位、望ましく
は3000〜20000USP単位、キモトリプシンが
0〜3000USP単位、望ましくは0〜2000US
P単位の範囲で使用する。 [試験例4] この試験は加水分解後の加熱失活時の適正pHを調べる
ためにおこなわれた。 (1)試料の調製 加熱時のpHを表4に示す通り変更した以外は実施例1
と同一の方法により8種類の加水分解物試料を調製し
た。 (2)試験方法 沈澱量及び抗原残存活性を試験例1と同一の方法により
測定した。 (3)試験結果 この試験の結果は、表4に示すとおりであった。表4か
ら明らかなように、加水分解物のpHを4.5〜5.5
に調製し、加熱した試料は沈澱が多く、回収された加水
分解物の抗原残存活性は実質的に存在しないレベルに達
していた。尚、酵素の種類及び量を変更してもほぼ同一
の結果が得られた。 [試験例5] この試験は、加水分解物の風味及び特異抗体生産能を調
べるために行われた。 (1)試料の調製 使用する酵素の種類及び添加量を表5に示したとおりに
変更した以外は、実施例1と同一の方法により8種類の
試料を調製した。尚、各種の分解度、遊離アミノ酸量、
分子量分布等の試料を調製するため、各種の酵素を種々
組み合わせて使用した。 (2)試験方法 a)風味 男女各10名のパネルにより官能的に試験し、風味良
(0点)から風味不良(3点)までの4段階に評価し、
評価点の平均値から次のように判定した。 −:0.5点未満 良 +:0.5点以上1.5点未満 やや良 ++:1.5点以上2.5点未満 やや不良 +++:2.5点以上3.0点未満 不良 b)抗体生産能 未分解乳清蛋白質及び各試料10mgを0.5mlのリ
ン酸緩衝生理食塩水に溶解し、0.5mlのフロイント
・コンプリート・アジュバントを添加して乳化し、家兎
背部皮下に5日間隔で5回注射し、最終感作日から7日
目に全採血し、血清を遠心分離し、血清中の未分解乳清
蛋白質に対する特異抗体生産性をELISA法により試
験し、その結果から次のように判定した。 −:生産性が10-4以下 抗体生産能がない +:生産性が10-3以下 殆ど抗体生産能がない ++:生産性が10 -2 以下 やや抗体生産能がある +++:生産性が10-1以下 抗体生産能がある (3)試験結果 この試験の結果は、表5に示すとおりであった。表5か
ら明らかなように風味が良く、抗体生産能のないオリゴ
ペプチド混合物を得るためには、遊離アミノ酸の割合が
5%以下、分子量分布が2000以下、ELISA法に
よる抗原残存活性が10-4以下であることが必要である
と判明した。
【表5】以下に、乳清蛋白質の精製方法の典型例を参考
までに例示する。 [参考例1] 温水で膨潤した30gのCM−セファデックスC−20
(ファルマシア社製)にpHを塩酸で4に調整したホエ
ー16kgを添加し、16時間攪拌した後、イオン交換
樹脂を濾別し、イオン交換樹脂を水洗してホエーを除去
し、カラムに充填した。次いで5%塩化ナトリウム水溶
液を通液し、イオン交換樹脂に吸着した乳清蛋白質を溶
出し、この溶出液を分画分子量20000の限外濾過膜
(DDS社製、GR61pp)を装着したモジュールを
用いて平均圧力3kg/cm2 で限外濾過し、水を加え
てダイアフィルトレーションを行って、塩化ナトリウム
を除去し、凍結乾燥し、高純度の乳清蛋白質の粉末約4
5gを得た。この粉末の乳清蛋白質含量は91.2%で
あった。 [参考例2] ホエー16kgを参考例1と同一の方法により限外濾過
し、水を加えてダイアフィルトレーションを行って低分
子量分画を除去し、凍結乾燥し、乳清蛋白質の粉末約5
7gを得た。この粉末の乳清蛋白質含量は75.1%で
あった。 [参考例3] ホエー16kgを参考例1と同一の方法により限外濾過
し、水を加えてダイアフィルトレーションを行って低分
子量分画を除去し、凍結乾燥し、乳清蛋白質の粉末約5
0gを得た。この粉末の乳清蛋白質含量は80%であっ
た。
【実施例】次に本発明の若干の実施例を更に詳述する
が、本発明はそれらの実施例に限定するものではない。 実施例1 参考例1と同一の方法により得た純度90%の乳清蛋白
質粉末1kgを脱イオン水9kgに溶解し、pHを10
に調整し、酵素S(長瀬生化学工業社製)100万PU
N単位を添加し、40℃に1時間保持して加水分解し、
次いでpHを8に調整し、市販のトリプシン(ノボノデ
ィスク社製)600万USP単位及びキモトリプシン
(ノボノディスク社製)30万USP単位を添加し、6
時間40℃に保持して加水分解し、80℃で10分間加
熱して酵素を失活させ、冷却し、生成した沈澱を遠心分
離して除去し、オリゴペプチド混合物を7.5%含有す
る溶液約8kgを得た。得られたオリゴペプチド混合物
を前記の試験方法により試験した結果、分子量2000
以下、抗原残存活性10-5、遊離アミノ酸含量5%であ
り、そのアミノ酸組成は下記の通りであった。 L−アラニン 57.5(mg) L−アラギニン 31.0 L−アスパラギン酸(L−アスパラギンを含む)124.3 L−システイン 34.3 L−グルタミン酸(L−グルタミンを含む) 189.2 L−グリシン 21.3 L−ヒスチジン 21.3 L−イソロイシン 61.4 L−ロイシン 141.9 L−リジン 113.4 L−メチオニン 23.2 L−フェニルアラニン 41.0 L−プロリン 47.9 L−セリン 45.1 L−スレオニン 57.3 L−トリプトファン 17.5 L−チロシン 43.3 L−バリン 61.3 実施例2 参考例2と同一の方法により得た純度75.1%の乳清
蛋白質粉末1kgを脱イオン水19kgに溶解し、pH
を9.5に調整し、市販のビオプラーゼ(長瀬生化学工
業社製)50万PUN単位を添加し、50℃に30分間
保持して加水分解し、次いでpHを8に調整し、市販の
トリプシン(ノボノディスク社製)100万USP単位
を添加し、10時間同一温度に保持して加水分解し、の
ちpHを5.3に調整し、80℃で10分間加熱し、分
画分子量6000の限外濾過膜で酵素を除去し、濃縮、
乾燥して粉末状のオリゴペプチド混合物約1kgを得
た。得られたオリゴペプチド混合物を前記の試験方法に
より試験した結果、分子量1800以下、抗原残存活性
10-4、遊離アミノ酸含量3%であった。 実施例3 参考例3と同一の方法により得た純度80%の乳清蛋白
質粉末1kgを脱イオン水19kgに溶解し、75℃に
15秒間保持して殺菌し、pHを8に調整し、市販のビ
オプラーゼ(長瀬生化学工業社製)40万PUN単位及
び市販のトリプシン(ノボノディスク社製)1000U
SP単位を添加し、pHを8に維持したまま45℃に8
時間保持して加水分解し、のちpHを5.5に調整し、
80℃で5分間加熱し、冷却し、生成した沈澱を遠心分
離して除去し、濃縮、噴霧乾燥し、粉末状のオリゴペプ
チド混合物約800gを得た。得られたオリゴペプチド
混合物を前記の試験方法により試験した結果、分子量2
000以下、抗原残存活性10-6、遊離アミノ酸含量5
%であった。
【発明の効果】本発明によって奏せられる効果は次のと
おりである。 (1) 本発明のオリゴペプチド混合物は、腸管吸収性
において優れ、アミノ酸バランスが極めて良好なので、
消化吸収能の未熟な乳幼児、又は消化吸収能が低下して
いる高齢者、病人への蛋白質供給源用素材として使用で
きる。 (2) 本発明のオリゴペプチド混合物は、実質的に抗
原残存活性がないので、アレルギー患者、アレルギー予
防を目的として乳幼児、妊産婦、消化能が低下した病人
への蛋白質供給源用素材として使用できる。 (3) 本発明のオリゴペプチド混合物は、リンを殆ど
含まないので、腎臓病患者等、リン摂取制限患者の蛋白
質栄養の素材として使用できる。 (4) 本発明のオリゴペプチド混合物は、特異抗体生
産能がなく、低分子量なので、腹膜透析液の浸透圧調整
用素材として使用できる。 (5) 本発明の方法により、広範な用を有するオリ
ゴペプチド混合物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野尻 昌信 東京都町田市つくし野2−14−19 (56)参考文献 特開 平4−112753(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも70%(重量)の純度の乳
    清蛋白質を10%(重量以下の濃度で水に溶解し、得ら
    れた水溶液のpHを7.1〜10に調整したのち、該水
    溶液にバシラス・サチリス(Bacillus sub
    tils)由来のエンドペプチダーゼとトリプシンの
    2種類の酵素、またはバシラス・サチリス由来のエンド
    ペプチダーゼ、トリプシン及びキモトリプシンの3種類
    の酵素を添加して、30〜55℃の温度で加水分解し、
    のち加熱により酵素を失活するか又はウルトラフィルト
    レーションにより酵素を除去することを特徴とするオリ
    ゴペプチド混合物の製造法。
  2. 【請求項2】 請求項第1項記載の方法において、得
    られたオリゴペプチド混合物溶液のpHを4.5〜5.
    5に調整し、加熱し、沈殿物を除去して残存する抗原性
    物質を実質的に除去することを特徴とするオリゴペプチ
    ド混合物の製造法。
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