JP3059595B2 - 沈澱を生じない乳清蛋白質分解物の製造法 - Google Patents

沈澱を生じない乳清蛋白質分解物の製造法

Info

Publication number
JP3059595B2
JP3059595B2 JP4312162A JP31216292A JP3059595B2 JP 3059595 B2 JP3059595 B2 JP 3059595B2 JP 4312162 A JP4312162 A JP 4312162A JP 31216292 A JP31216292 A JP 31216292A JP 3059595 B2 JP3059595 B2 JP 3059595B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
whey protein
protein
hydrolyzate
less
ratio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP4312162A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06153792A (ja
Inventor
誠一 島村
吉隆 田村
仁志 齋藤
依群 杜
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Morinaga Milk Industry Co Ltd filed Critical Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority to JP4312162A priority Critical patent/JP3059595B2/ja
Publication of JPH06153792A publication Critical patent/JPH06153792A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3059595B2 publication Critical patent/JP3059595B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dairy Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、沈澱を生じない乳清
蛋白質分解物の製造法に関するものである。さらに詳し
くは、この発明は、育児用調製粉乳等への使用に適し、
加熱してもゲル化または沈澱を生じることのない乳清蛋
白質分解物の食品衛生上安全な製造法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】育児用調製粉乳(以下調製粉乳と記載す
ることがある)の蛋白源としては牛乳のカゼインおよび
乳清蛋白質が使用されているが、牛乳と母乳とでは蛋白
質の構成比が異なっている。すなわち、牛乳蛋白質にお
けるカゼイン、乳清蛋白質および非蛋白態窒素の構成比
は、72%、19%および9%であるのに対して母乳蛋
白質のそれは、32%、48%および20%である。従
って、調製粉乳の蛋白質の構成比を母乳のそれに近似さ
せる、いわゆる母乳化を行うためには、乳清蛋白質の増
強と、乳清蛋白質をある程度加水分解した非蛋白態窒素
の増強が必要である。
【0003】従来より、乳清蛋白質の加水分解について
は、種々の方法が知られており、例えば乳清蛋白質を酵
素で加水分解し、抗原性のないオリゴペプチドを製造す
る方法(特開平4−248959号公報)、乳清蛋白質
を熱変性させながら耐熱性の酵素で加水分解して低抗原
性蛋白分解物を製造する方法(特開平4−112753
号公報)、乳清蛋白質中のβ−ラクトグロブリンを選択
的に酵素分解してアレルゲン性を低減する方法(特開平
2−265441号公報)等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来方法により
得られる乳清蛋白質分解物は、抗原性が低いために、乳
蛋白によりアレルギーを惹起する乳児に対しては極めて
有効である。しかしながら、アレルギーリスクのない健
常な乳児に適した乳清蛋白質分解物としては、抗原性の
有無よりはむしろ、非蛋白態窒素を適当量含有している
こと、加熱によりゲル化または沈殿を生じないこと、調
製粉乳に添加した場合にカゼイン、乳清蛋白質および非
蛋白態窒素の構成比を母乳のそれに近似させ得ること、
風味が良好であること等の条件を満たすことが重要であ
る。
【0005】このような条件を考慮した場合に、上記の
従来方法による乳清蛋白質分解物は、その非蛋白態窒素
の割合(この割合は、ケールダール法により定量される
全窒素量に対するトリクロロ酢酸可溶性窒素量として定
量される非蛋白態窒素の重量百分率であり、以下この割
合をNPN比率と記載することがある)が50%(重
量。以下、後記する沈澱率を除き同じ)以上となるよう
に高度に加水分解されているため、苦味アミノ酸味等
を呈し、風味が悪化するという点において好ましいもの
ではない。また、製造費用が高くなるという不都合も存
在する。
【0006】さらに、乳清蛋白分解物は調製粉乳以外の
各種食品にも用いられているが、その場合にも、従来の
高度に加水分解された乳清蛋白質分解物は、食品の風味
を悪化させる傾向があった。このような理由から、NP
N比率を50%以下とするように乳清蛋白質を軽度に加
水分解する方法も試みられているが、その方法の場合に
は、プロテアーゼを加熱失活させる工程において分解物
がゲル化または沈澱してしまうため、調製粉乳および
種食品の製造に利用可能な乳清蛋白質分解物を得ること
が困難であった。
【0007】なお、沈澱の生成を防止した蛋白質の製造
については、特公平3−58252号公報の方法が存在
するが、この方法は分解液の粘度変化を指標とするた
め、NPN比率を調整した乳清蛋白質分解物を製造する
ことは困難であり、また、NPN比率についても一切記
載されていない。この発明は、以上のとおりの事情に鑑
みてなされたものであり、従来の製造方法の欠点を解消
し、熱安定性に優れ、かつ風味も良好な乳清蛋白質分解
物を製造することのできる新しい方法を提供することを
目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の発明者らは、
上記の課題を解決するため、乳清蛋白質の加水分解物の
性状について鋭意研究を行った結果、乳清蛋白質を加水
分解した液または加水分解に供する乳清蛋白質溶液に含
まれているカルシウムの量と、加水分解後に酵素を失活
させる際の溶液のpHが、乳清蛋白質の軽度な加水分解
物の熱安定性に影響を与えることを見出し、この発明を
完成した。
【0009】すなわち、この発明は、乳清蛋白質を含有
する溶液をイオン交換樹脂処理または脱塩処理し、蛋白
質100g当たりのカルシウム濃度を350mg以下に
調整し、エンド型プロテアーゼを添加し、全窒素量に対
する非蛋白態窒素の割合が50%(重量)以下の範囲で
乳清蛋白質を加水分解し、pHを7.0±0.5に調整
し、次いで加熱してプロテアーゼを失活させることを特
徴とする沈澱を生じない乳清蛋白質分解物の製造法を提
供する。
【0010】さらにこの発明は、乳清蛋白質を含有する
溶液にエンド型プロテアーゼを添加し、全窒素量に対す
る非蛋白態窒素の割合が50%(重量)以下の範囲で乳
清蛋白質を加水分解し、得られた加水分解液をイオン交
換樹脂処理または脱塩処理し、蛋白質100g当たりの
カルシウム濃度を350mg以下に調整し、pHを7.
0±0.5に調整し、次いで加熱してプロテアーゼを失
活させることを特徴とする沈澱を生じない乳清蛋白質分
解物の製造法を提供する。
【0011】また、この発明の上記製造法の各々におい
ては、蛋白質100g当たりのカルシウム濃度を250
mg以下に調整することを望ましい態様としてもいる。
以下、この発明について、詳しく説明する。
【0012】この発明に使用する乳清蛋白質は、市販品
であってもよく、チーズホエー等を濃縮して製造される
乳清蛋白質濃縮物(以下WPCと略記することがあ
る)、乳清蛋白質を樹脂等で精製して製造される乳清蛋
白質単離物(以下WPIと略記することがある)、また
はこれらの任意の割合の混合物であり、乳糖等乳蛋白質
以外の成分が共存していても差支えない。
【0013】これらの乳清蛋白質を加水分解するには、
まず乳清蛋白質溶液をナトリウム型またはカリウム型陽
イオン交換樹脂(望ましくは強酸性陽イオン交換樹脂)
を用いたイオン交換法、または電気透析法、限外瀘過
法、ルーズ逆浸透法等で脱塩し、溶液中の蛋白質100
gに対するカルシウム濃度を350mg以下に調整す
る。後記試験例2から明らかなように95℃、5分間の
加熱による沈澱を防止するためには、溶液中の蛋白質1
00g当たり250mg以下のカルシウム濃度に調整す
るのが望ましい。
【0014】この発明においては加熱による酵素失活前
にカルシウム濃度を前記の範囲内に調整することが必須
であるが、その調整処理は、酵素分解の前後いずれか、
または双方で行うことができる。乳清蛋白質溶液の酵素
分解にはエンド型プロテアーゼを用いる。その際に、乳
清蛋白質液の乳清蛋白質濃度が5%未満の場合には、製
造効率が低下し、15%を超える濃度の場合には、加熱
失活時に粘度が上昇するため、乳清蛋白質液の乳清蛋白
質濃度を5%以上15%以下の範囲とするのが望まし
い。
【0015】乳清蛋白質の加水分解に使用する酵素は食
品衛生上無害な市販品であり、例えばバシラス属に属す
る微生物、アスペルギルス属に属する微生物等の微生物
に由来するプロテアーゼ、パパイヤ由来のパパイン、パ
イナップル由来のブロメライン等の植物に由来するプロ
テアーゼ、動物に由来するパンクレアチン、トリプシン
等、またはこれらの任意の割合の混合物を用いることが
できる。尚、酵素分解前に乳清蛋白質溶液のpHを炭酸
カリウム、水酸化ナトリウム等の食品衛生上無害な塩類
で使用酵素の至適pHに調整することもできる。
【0016】酵素による加水分解は、NPN比率が50
%を超えない範囲、望ましくは20〜30%の範囲で軽
度に実施し、非蛋白質窒素の過剰の増加が認められず
に、風味良好な分解液を製造する。加水分解終了後は分
解液のpHを7.0±0.5、望ましくは7.0±0.
3に調整する。得られた分解液のpHが上記の範囲にあ
ればpHを調整する必要はない。
【0017】なお、カルシウム濃度末調製の溶液を加水
分解した場合には、得られた分解液を、前記のように
オン交換樹脂処理または脱塩処理し、カルシウム濃度を
調整する。次いで常法により加熱して酵素を失活させ
る。加熱温度と保持時間は使用した酵素の熱安定性を配
慮し、十分に失活できる条件を適宜設定することができ
る。加熱失活後、常法により冷却し、そのまま利用する
こともでき、必要に応じて濃縮して濃縮液を得ることも
でき、更に濃縮液を乾燥し、粉末製品を得ることもでき
る。
【0018】以上のようにして得られた乳清蛋白質の加
水分解物は、通常のホエー、WPC、WPI等と同様に
調製粉乳、食品等に使用することができる。次に試験例
を示してこの発明をさらに詳しく説明する。 試験例1 この試験は、乳清蛋白分解物のNPN比率と風味との関
係を調べるために行った。
【0019】市販のWPC(蛋白質含量80%。ドイツ
のミライ社製)を10%の濃度で精製水に溶解し、カリ
ウム型陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120
B。オルガノ社製)に対して20倍通液し、カルシウム
濃度を調整し、次いで温度を50℃に調整し、パパイン
(天野製薬社製)、プロテアーゼNアマノ(天野製薬社
製)、トリプシン(ノボ・インダストリー社製)の3種
の酵素を、表1に示すように蛋白質当たり0.5〜2.
5%の割合で添加して5時間加水分解し、のち80℃で
5分間処理して酵素を失活させた。その後、各分解液を
凍結乾燥し、風味およびNPN比率を検査した。
【0020】この試験の結果は表1に示したとおりであ
る。表1から明らかなように、風味の良い乳清蛋白分解
物を製造するためにはNPN比率を50%以下にすれば
良いことが判明した。酵素および乳清蛋白質の種類を変
更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。ただ
し、加水分解に使用する酵素の種類によっては、NPN
比率が50%に近付くと若干風味が悪くなる場合がある
ので、20〜30%のNPN比率が望ましい。また、カ
ルシウム濃度の調整を加水分解後に実施してもほぼ同様
の結果が得られた。
【0021】
【表1】
【0022】試験例2 この試験は、熱安定性に及ぼすカルシウム濃度の関係を
調べるために行った。試験例1で使用したWPCを15
%の濃度で精製水に溶解し、カリウム型陽イオン交換樹
脂(アンバーライトIR−120B。オルガノ社製)に
対する通液量を表2に示すように設定して処理したWP
Cおよび未処理のWPCを試料とした。蛋白質当たり
0.5%のパパインを添加したことを除き、試験例1と
同様の方法で乳清蛋白質を分解し、NPN比率25%の
分解液を製造した(この分解液のpHは6.80〜6.
85の範囲であった)。
【0023】得られた乳清蛋白分解液の一部を試料とし
てカルシウム含量を常法により測定した。得られた乳清
蛋白分解液の残部を表2に示すように80〜95℃で5
分間加熱して酵素を失活させ、室温に冷却し、その50
mlを2000r.p.m.で10分間遠心し、沈澱の
容量を測定し、全容量に対する沈澱の容量の百分率(容
量%。以下沈澱率と記載することがある)を算出し、各
試料の加熱に対する安定性を試験した。尚、沈澱率10
0%は、全体がゲル化して沈澱の容量を測定できないこ
とを示す。
【0024】この試験の結果は表2に示したとおりであ
る。表2から明らかなように、カルシウム濃度が低い乳
清蛋白分解物は加熱失活時の熱安定性が良好であり、蛋
白質100g当たり350mg以下の試料では、90℃
で5分間の加熱に対してもわずか8%の沈澱率であっ
た。一方、カルシウム濃度を調整することなく、WPC
をそのまま分解して加熱失活した試料では、ゲル化また
は沈澱を生じた。これらの結果から、熱安定性を向上さ
せるには分解物中の蛋白質100g当りのカルシウム濃
度を350mg以下、望ましくは250mg以下に調整
することが必須であることが判明した。尚、酵素および
乳清蛋白質の種類を変更しても、あるいはカルシウム濃
度の調整を加水分解後に実施しても、ほぼ同様の結果が
得られた。
【0025】
【表2】
【0026】試験例3 この試験は、乳清蛋白質分解物の熱安定性に及ぼすカル
シウム以外のミネラルの影響を調べるために行った。試
験例2と同一の方法によりイオン交換樹脂に対して20
倍量のWPC液を通液して製造したイオン交換樹脂処理
WPC(以下IE−WPCと記載することがある)およ
び未処理のWPCについて、ミネラル含量を常法により
測定した。
【0027】その結果は表3に示したとおりであり、リ
ンおよび塩素は、乳清蛋白質加水分解物の熱安定性に影
響を及ぼさないことが明らかである。塩化ナトリウムま
たは塩化マグネシウムをIE−WPCに添加し、ナトリ
ウムおよびマグネシウム含量を未処理のWPCと同量に
調整し、試験例2と同様の方法で分解、失活(95℃)
しても分解液は沈殿を生じないこと、および塩化カリウ
ムをWPCに添加し、カリウム含量を未処理のIE−W
PCと同量に調整し、試験例2と同様の方法で分解、失
活(95℃)すると分解液は完全にゲル化すること、が
確認された。
【0028】以上の試験により、ナトリウム、カリウ
ム、リン、マグネシウム、および塩素はWPCの分解物
の安定性に影響を与えず、WPC分解物の熱安定性はカ
ルシウム濃度に依存することが確認された。
【0029】
【表3】
【0030】試験例4 この試験は、乳清蛋白分解液の熱安定性とpHとの関係
を調べるために行った。 試験例2でイオン交換樹脂に
対して20倍量のWPC液を通液して調整したIE−W
PCを10%の濃度で精製水に溶解し、温度を50℃に
調整し、ブロメライン(天野製薬社製)、プロテアーゼ
Nアマノ(天野製薬社製)、トリプシン(ノボ・インダ
ストリー社製)、ビオプラーゼSP−20(長瀬生化学
工業社製)の各酵素を蛋白質当り0.5%添加して5時
間分解した。得られた分解液(NPN比率は全て50%
以下)に塩酸または水酸化ナトリウムを添加し、pHを
表4に示すように調整し、85℃で5分間処理し、酵素
を失活させ、沈澱の生成を肉眼で確認した。
【0031】この試験の結果は表4に示したとおりであ
る。表4から明らかなように、NPN比率が低いイオン
交換乳清蛋白分解液を沈殿を生じさせず加熱失活するた
めには、必要に応じて分解後のpHを7.0±0.5、
望ましくは7.0±0.3に調整すれば良いことが判明
した。尚、乳清蛋白質および酵素の種類を変更して試験
したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0032】
【表4】
【0033】以上の試験例1〜試験例4から、加熱した
ときにゲル化または沈澱を生じない風味良好な乳清蛋白
質分解物を製造するためには、NPN比率が50%を超
えない条件で酵素分解すること、分解物または分解前の
乳清蛋白質を含有する液の蛋白質100g当たりのカル
シウム濃度を350mg以下、望ましくは250mg以
下に調整すること、および分解液のpHを必要に応じて
7.0±0.5、望ましくは7.0±0.3に調整する
こと、が重要であることが判明した。
【0034】次に実施例を記載してこの発明を更に具体
的に説明するが、この発明は以下の実施例により限定さ
れるものではない。
【0035】
【実施例】実施例1 市販のWPC(蛋白質75%。ドイツのミライ社製)
1.5kgを、8.5kgの精製水に溶解し、ナトリウ
ム型陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK−1B三菱
化成社製)1リットルに通液し、カルシウム含量を蛋白
質100g当り50mgに調整し、得られたIE−WP
Cを10%の濃度に調整し、蛋白質当り1.0%のブロ
メライン(天野製薬社製)を添加し、45℃で10時間
分解した。分解液のpHが6.45であったので水酸化
ナトリウムを添加してpHを6.7に調整し、80℃で
10分間加熱し、酵素を失活させた。次いで、常法によ
り濃縮し、乾燥し、粉末状の乳清蛋白質分解物約1kg
を得た。
【0036】前記加熱工程において沈澱の生成およびゲ
ル化は認められず、得られた乳清蛋白分解物のNPN比
率は35%であった。 実施例2 実施例1と同一の方法で製造したIE−WPC1kgお
よび乳糖1kgを精製水10kgに溶解し(カルシウム
含量は蛋白質100g当り80mg)、炭酸カリウムを
添加して溶液のpHを7.5に調整した。その後、蛋白
質当り0.5%のハパイン(天野製薬社製)を添加して
50℃で3時間分解した。分解液のpHが7.0であっ
たので、そのままプレート殺菌装置を用いて95℃で5
分間一次加熱の後、120℃で2秒間加熱して酵素を失
活させ、のち常法により濃縮し、凍結乾燥し、粉末状乳
清蛋白分解物約1.8kgを得た。
【0037】前記加熱工程において沈澱の生成およびゲ
ル化は認められず、得られた乳清蛋白分解物のNPN比
率は22%であった。 実施例3 実施例1と同一のWPC500gを精製水9.5kgに
溶解し、常法により電気透析し、カルシウム含量を蛋白
質100g当り100mgに調整し、蛋白質あたり0.
2%のビオプラーゼSP−20(長瀬生化学工業社製)
を添加し、50℃で5時間分解した。分解液のpHが
6.6であったので、そのまま80℃で5分間加熱して
酵素を失活させ、常法により濃縮し、乾燥し、粉末状乳
清蛋白分解物約460gを得た。
【0038】前記加熱工程において沈澱の生成およびゲ
ル化は認められず、得られた乳清蛋白分解物のNPN比
率は44%であった。 実施例4 実施例1と同一のWPC3kgを精製水27kgに溶解
し、蛋白質当たり1%のパパイン(天野製薬社製)を添
加して55℃で5時間分解した。分解後5℃に冷却して
酵素反応を停止させ、試験例1と同一のカリウム型陽イ
オン交換樹脂1リットルに通液し、カルシウム含量を蛋
白質100g当り75mgに調整した。得られたIE−
WPC分解物のpHが6.7であったので、そのままプ
レート殺菌装置を用いて90℃で5分間の一次加熱の
後、130℃で2秒間加熱して酵素を失活させ、乳清蛋
白質分解液約25kgを得た。
【0039】前記加熱工程において沈澱の生成およびゲ
ル化は認められず、得られた乳清蛋白質分解液の一部を
常法により凍結乾燥し、NPN比率を測定した結果、4
2%であった。
【0040】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明に
よって、以下の効果が奏せられる。 1)この発明の方法は食品衛生上安全である。 2)この発明の方法により、加熱による酵素失活時のゲ
ル化および沈澱生成をさせることなく、分解度が低く非
蛋白態窒素量が適切である風味良好な乳清蛋白分解物を
製造することができる。 3)この発明の方法により製造された乳清蛋白質分解物
を使用することにより、蛋白質比が母乳と等しい育児用
調製粉乳を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−216544(JP,A) 特開 平4−248959(JP,A) 特開 平4−112753(JP,A) 特開 昭50−107155(JP,A) 特公 昭62−61039(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23C 21/02 A23J 3/00 - 3/34

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳清蛋白質を含有する溶液をイオン交換
    樹脂または脱塩処理し、蛋白質100g当たりのカルシ
    ウム濃度を350mg以下に調整し、エンド型プロテア
    ーゼを添加し、全窒素量に対する非蛋白態窒素の割合が
    50%(重量)以下の範囲で乳清蛋白質を加水分解し、
    pHを7.0±0.5に調整し、次いで加熱してプロテ
    アーゼを失活させることを特徴とする沈殿を生じない乳
    清蛋白質分解物の製造法。
  2. 【請求項2】 乳清蛋白質を含有する溶液にエンド型プ
    ロテアーゼを添加し、全窒素量に対する非蛋白態窒素の
    割合が50%(重量)以下の範囲で乳清蛋白質を加水分
    解し、得られた加水分解液をイオン交換樹脂処理または
    脱塩処理し、蛋白質100g当たりのカルシウム濃度を
    350mg以下に調整し、pH7.0±0.5に調整
    し、次いで加熱してプロテアーゼを失活させることを特
    徴とする沈殿を生じない乳清蛋白質分解物の製造法。
  3. 【請求項3】 蛋白質100g当たりのカルシウム濃度
    を250mg以下に調整する請求項1または2の沈殿を
    生じない乳清蛋白質分解物の製造法。
JP4312162A 1992-11-20 1992-11-20 沈澱を生じない乳清蛋白質分解物の製造法 Expired - Lifetime JP3059595B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4312162A JP3059595B2 (ja) 1992-11-20 1992-11-20 沈澱を生じない乳清蛋白質分解物の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4312162A JP3059595B2 (ja) 1992-11-20 1992-11-20 沈澱を生じない乳清蛋白質分解物の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06153792A JPH06153792A (ja) 1994-06-03
JP3059595B2 true JP3059595B2 (ja) 2000-07-04

Family

ID=18025989

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4312162A Expired - Lifetime JP3059595B2 (ja) 1992-11-20 1992-11-20 沈澱を生じない乳清蛋白質分解物の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3059595B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NZ506866A (en) * 2000-09-11 2003-05-30 New Zealand Dairy Board Bioactive whey protein hydrolysate free of bitter flavours wherein the enzyme used is a heat labile protease

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE2405589C3 (de) * 1974-02-06 1980-08-07 Agfa-Gevaert Ag, 5090 Leverkusen Verfahren zur Herstellung leicht benetzbarer, wasserlöslicher natürlicher Eiweißprodukte
FR2459620B1 (fr) * 1979-06-26 1983-08-05 Agronomique Inst Nat Rech Hydrolisat enzymatique total de proteines de lactoserum, obtention et application
CA1200416A (en) * 1983-05-13 1986-02-11 Societe Des Produits Nestle S.A. Food process
JP2626700B2 (ja) * 1990-08-31 1997-07-02 雪印乳業株式会社 低アレルゲン化したホエータンパク加水分解物及びその製造法
JP2648243B2 (ja) * 1991-01-30 1997-08-27 森永乳業株式会社 オリゴペプチド混合物及びその製造法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06153792A (ja) 1994-06-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0226221B1 (en) A peptide preparation, a process for producing it and use of the peptide preparation
JPS5858061B2 (ja) 精製タン白加水分解物の製造方法
NO315304B1 (no) Fremgangsmate for fremstilling av et myseproteinhydrolysat
WO2001064047A9 (fr) Procede de production d'un hydrolisat de proteine de soja
JPH02182155A (ja) ホエイ蛋白質の部分加水分解物、同加水分解物を製造するための酵素的方法および同加水分解物を含有する低アレルギー性滋養特別食用乳製品
CLEGG et al. Dietary enzymic hydrolysates of protein with reduced bitterness
JPH0560893B2 (ja)
JP2626700B2 (ja) 低アレルゲン化したホエータンパク加水分解物及びその製造法
JP3226695B2 (ja) 乳化性及び熱安定性に優れた乳清蛋白質分解物の製造法、並びに該乳清蛋白質分解物を使用した抗アレルギー性調製乳
JP3059595B2 (ja) 沈澱を生じない乳清蛋白質分解物の製造法
JP2002238462A (ja) 乳清蛋白質加水分解物及びその製造方法
JPS58158137A (ja) 加水分解用タンパク質の製造方法
JP3222638B2 (ja) オリゴペプチド混合物及びその製造法
CN102014656B (zh) 脱脂豆乳肽的制备方法
JP2959747B2 (ja) 風味良好な乳清蛋白加水分解物及びその製造法
JP3386635B2 (ja) カゼイン加水分解物
JPH11225686A (ja) カゼイン加水分解物及びその製造方法
JP3061649B2 (ja) 抗アレルギー性調製乳
JPH11243866A (ja) カゼイン加水分解物及びその製造法
JP2631202B2 (ja) ペプチド製造法
JPH0318864B2 (ja)
JP3383461B2 (ja) カゼイン加水分解物及びその製造方法
JP3636322B2 (ja) 乳清蛋白質加水分解物及びその製造方法
JPH10248495A (ja) 全乳蛋白質分解物及びその製造法
JP2000001500A (ja) ホエータンパクペプチド、このホエータンパクペプチド の製造法、並びにこのホエータンパクペプチドを含有す る栄養組成物

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090421

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090421

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100421

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110421

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120421

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130421

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130421

Year of fee payment: 13